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注目情報

天野和孝副学長が「恐竜絶滅時の環境変動を生きのびた二枚貝類と世界最古のミジンソデガイ属」を発見し記者発表を行いました。

2017年02月27日
記者発表した内容を掲載します。ご覧ください。
中生代の生き残り

記者発表を実施

説明する天野副学長

上越教育大学の天野和孝副学長,金沢大学のロバート・ジェンキンズ助教が,恐竜絶滅時の環境変動を生きのびた二枚貝類と世界最古のミジンソデガイ属を北海道の地層より発見しました。

2月27日(月),このことについて,本学を会場に記者発表が行われました。

地元のテレビ局や新聞社を中心とした,10社の報道関係者を前に,天野副学長らが今回の発見について説明しました。

(写真:説明する天野副学長)


記者発表の様子

北海道浦幌町の新生代暁新世の活平層上部から11種の原始的な深海性二枚貝化石を発見し,同定された貝化石群中には中生代白亜紀に知られる2種や2属の二枚貝が含まれていました。これらは恐竜などが絶滅した中生代末の大量絶滅を引き起こした地球規模の環境変動を生きのびた種や属といえます。この環境変動は深海域の生物に大きな影響を与えていない証拠の一つといえます。

また,11種中には1新属,3新種が含まれ,そのうちの1新種ウラホロミジンソデガイ (学名チンダリア・パレオセニカ)は,ミジンソデガイ属の世界最古の記録であることが分かり,従来の記録を3000万年以上さかのぼることとなりました。

(写真:天野副学長(右),金沢大学・ジェンキンズ助教(左))


以下,発表内容の詳細


【概要】恐竜絶滅時の環境変動を生きのびた二枚貝類と世界最古のミジンソデガイ属を発見

発表者
上越教育大学 副学長 天野和孝
金沢大学 助教 ロバート・ジェンキンズ

北海道浦幌町の新生代暁新世の活平層上部(約6000万年前)から恐竜絶滅時の環境変動を生きのびた二枚貝類と世界最古のミジンソデガイ属を発見した。

北海道浦幌町の新生代暁新世の活平層上部から11種の原始的な深海性二枚貝化石を発見し,記載した。同定された貝化石群中には中生代白亜紀に知られる2種や2属の二枚貝が含まれている。これらは恐竜などが絶滅した中生代末の大量絶滅を引き起こした地球規模の環境変動を生きのびた種や属といえる。この環境変動は深海域の生物に大きな影響を与えていない証拠の一つといえる。

11種中には1新属,3新種が含まれ,そのうちの1新種ウラホロミジンソデガイ (学名チンダリア・パレオセニカ)は,ミジンソデガイ属の世界最古の記録であることが分かり,従来の記録を3000万年以上さかのぼることとなった。

本研究成果の一部を1月末に早稲田大学で開催された日本古生物学会166回例会で発表した。論文はイギリスの雑誌Journal of Conchology(2017年1月出版)に掲載された。

【詳細情報】恐竜絶滅時の環境変動を生きのびた二枚貝類と世界最古のミジンソデガイ属を発見

発見者

天野和孝(上越教育大学・副学長)
ロバート・ジェンキンズ(金沢大学理工研究域自然システム学系・助教)

二枚貝化石の採集場所

北海道浦幌町活平(うらほろちょうかつひら)周辺の29産地 約6000万年前の活平層上部

発見の経緯と発表

帯広在住の井上清和氏が採集していた活平の標本に加えて,平成24年~27年までの調査で採集した原鰓(げんさい)類二枚貝をまとめて記載した。

研究成果の一部を1月末に早稲田大学で開催された日本古生物学会166回例会で発表した。
論文はイギリスの雑誌 Journal of Conchology(2017年1月出版,42巻5号)に掲載された。

発見された二枚貝
恐竜絶滅時の環境変動を生きのびた二枚貝類

ホッカイドウキララガイ(学名 アシラ・ホッカイドーエンシス)
サハリントメソデガイ(学名 プリスティグローマ?・サハリンエンシス)
エゾロウバイガイ属 (学名 エゾヌクラーナ)
ムカシスミゾメソデガイ属(学名 メンネロクテニア)

新属新種

新属 オオロウバイガイ属 (学名 メガヌクラーナ)
新種 ウラホロオオロウバイガイ(学名 メガヌクラーナ・アレンアイ)
    ウラホロハトムギソデガイ (学名 ネイロネラ・ アレンアイ) 
    ウラホロミジンソデガイ (学名 チンダリア・パレオセニカ)

ウラホロミジンソデガイは世界最古のミジンソデガイ属

発見の意義

暁新世(ぎょうしんせい)の貝化石群は,日本では百笑(どうめき)層(高知県),函淵(はこぶち)層(北海道中軸部),活平層(北海道浦幌町)でしか知られていない。このうち,中生代末の境界は浦幌町でしか見られない。

発見された二枚貝類のうち,最低でも2種,2属(文末の用語集「属」を参照)は恐竜などが絶滅した中生代末の大量絶滅時の環境変動を生きのびた種や属といえる。中生代末の絶滅は短期間で,浅海や陸上生物には大きな影響を与えた(文末の用語集「中生代白亜紀末の大量絶滅事変」参照)。一方,深海域は環境的には安定し,この環境変動は深海域の生物に大きな影響を与えていない。これらの種は暁新世(約6600万年前から5600万年前)の次の時代である始新世(約5600万年前から3300万年前)の地層からは知られておらず,暁新世-始新世(ししんせい)温暖化極大事件(5600万年前)により絶滅したと考えられる。

ウラホロミジンソデガイは最大で6.2 mmで小型の二枚貝である。これまでミジンソデガイ属は2800万年前以降に知られていた。世界最古のミジンソデガイ属が発見され,従来の記録を3000万年以上さかのぼることとなった。これまでも,世界最古のワダツミフネガイ属(二枚貝),エゾコロモガイ属(巻貝)が活平層上部から発見されており,新生代型深海性貝類の起源の一つが北太平洋地域にあった可能性がある。

中世の生き残り

[左上]ホッカイドウキララガイ
[右上]エゾロウバイガイ属の1種
[左下]ムカシスミゾメソデガイ属の1種
[右下]サハリントメソデガイ










(写真:発見された恐竜絶滅時の環境変動を生き延びた二枚貝類)


  • ウラホロミジンソデガイ
    (写真:発見された世界最古のミジンソデガイ属のウラホロミジンソデガイ)
用語集
原鰓(げんさい)類二枚貝

原鰓類と呼ばれる一群は二枚貝の中でも特に原始的なグループとして知られている.

新生代

新生代は中生代の次の大きな時代である(現在も新生代である).新生代は古い方から順に暁新世,始新世,漸新世,中新世,鮮新世,更新世,完新世に分けられる.現在は,新生代の一番新しい時代である完新世である.

属(ぞく)

生物の分類階級の一つ.生物学の世界では,通常は大きい括りから順に「門,綱,目,科,属,種」に細分されていく.属は種の一つ上のカテゴリになる.

中生代白亜紀(ちゅうせいだいはくあき)

約1億4500万年前から6600万年前の時代を指す.中生代は古い方から順に三畳紀,ジュラ紀,白亜紀の3つの時代に区分される.白亜紀は中生代の最後の時代である.白亜紀の陸域では恐竜が栄え,海ではアンモナイトや首長竜などが栄えていた.

中生代白亜紀末の大量絶滅事変(たいりょうぜつめつじへん)

約6600万年前に起きた地球規模の大量絶滅事変である.この大量絶滅が起きた原因として最も有力視されているのが巨大隕石の衝突による劇的な環境変動である.今回の研究により,この隕石衝突によると考えられる環境変動は深海域にはあまり影響しなかった(つまり,深海が生物の避難場所(シェルター)として機能していた)可能性を示唆している.

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このページは上越教育大学/広報課が管理しています。(最終更新:2017年02月28日)

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