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上越教育大学大学院入学式 学長告示(大学院)(平成29年4月)

雪解けの水が土に溶け込み,そこから新たな植物の芽生えがある。雪国独特の春の香りを感じる頃となり,日本3大夜桜で有名な高田公園の桜も,間もなく見頃を迎える季節となりました。

本日,上越教育大学大学院に入学された268名の皆様,御入学おめでとうございま す。本学教職員,在校生を代表して心よりお祝い申し上げます。併せて,ご多用のところご臨席賜りましたご来賓の皆様に,深く感謝申し上げます。

さて,上越教育大学は,現職教員の資質能力の向上と初等教育教員養成という社会 的要請に応えるために,設立された新構想の大学です。大学院は修士課程と専門職学位課程いわゆる教職大学院を有し,教師としての専門的知識と優れた実践的指導力を身につけた人材を養成することを目的としており,また,さらに高度な研究を希望する方のために連合大学院博士課程も設置されています。そのため大学院全体の2割以上は学校現場の現職の教員が占めており,ここにおられる皆さんの中にも現職の先生方がおられると思います。その皆さんも本日から大学院で学ぶ学生となります。本学で学校現場における実践的課題を解決できる力量を身につけることを強く願っています。一方,大学院全体の7割以上はいわゆる学卒者の皆さんであり,本学で2年もしくは3年間,現職の先生方と一緒に学ぶこととなります。これから教員を目指す皆さんには,その環境は願ってもないものとなりましょう。現職の先生方と日頃から接することにより,大学の授業以外でも,生の学校現場の状況や課題をごく身近に,本音で聞くことができ,それが必ずや皆さんが目指すであろう教員への道に大きな力となってつながることでしょう。

皆さんが本学を修了して教師となり,その時に教える子どもたちが社会で活躍する頃はどのようになっていると思いますか。ロボットや自動運転自動車,AI(人工知能),ICT(情報通信技術),IoT(Internet of Things)などいわゆる第4次産業革命と呼ばれる最近の科学技術の進歩は目まぐるしいものがあります。このままのペースで世の中が進歩すると,今の子どもたちが活躍する社会は現在では想像ができないほどの社会となると考えられます。そして,そのような社会で生きていくために,子どもたちは,自ら課題を見つけ,答えの決まっていない問いを解決する力を身につける必要があります。本学では子どもたちに対して,その能力を育成することのできる教員の養成を,大きな柱として掲げています。

知識として知っていることと,それを教えることは違います。ましてや高度専門職業人として「教えのプロ」になる教師に求められるものは,極めて高いことを自覚してほしいと思います。例えば,教育学者の佐藤学氏は「専門家として教師を育てる」 という著書の中で,次のように述べています。マイナス×マイナスはプラスになることは我々は知っていますが,それらを教師が子どもたちにどのように教え,またそれを受けて,子どもたちがどのように考え,どのように理解するか,その時にどのような反応になるか,それらは子どもによっていろいろな場合があるでしょう。しかし,それらを広く理解して,こどもたちに応じて対処・指導できる力量をもった教師こそ,本当の高度専門職業人と言えます。単に「マイナス×マイナスのときはプラスにする」という計算の仕方を教えるだけでは,子どもたちはその数学的な意味を認識することはできないし,この知識を生活の中に活用することもできません。世界の教科書を調べるとこのマイナス×マイナスの教え方は20通り以上あり,教師がそれら全てを認識していれば,子どもの多様なわかり方を認識するでしょうし,子どもの多様なつまづきにも対応できるでしょう。せめて5通りの教え方を知っていれば,子どもたちにこの計算の数学的意味と現実的意味を理解させることはできるでしょうと述べています。このように高度専門職業人としての教師に求められるものは,極めて高いことを認識してしっかり学んで,引き出しの多い教師になってほしいと思います。

今更申し上げることでもありませんが,学ぶということは何も大学の教員から学ぶだけではありません。むしろ,それ以外で学ぶことの方が大きいかもしれません。皆さんがその気になればいくらでも学ぶことができます。上越教育大学の大学院に所属しているときが,人生で一番勉強したなと思えるくらい多くのことを学んで頂くことを期待します。大学としても,教員,カリキュラムなど教職員一丸となって環境を整え,しっかり対応いたします。

さて,いよいよ学園生活が始まります。本学の歴史は,まだ40年に満たないほどで,長くはありませんが,教育界に大きな足跡を残していることは自他共に認めるところです。海と山に近く,自然環境が素晴らしい,四季の移ろいが鮮やかな上越市の学びの館,上越教育大学で,健康に十分留意しながら,充実した大学院生活を送り,皆さんが心に期している目的を達成して,修了されますことを心より祈念し,告辞といたします。

平成29年4月6日

国立大学法人上越教育大学長 川崎直哉


このページは上越教育大学/広報課が管理しています。(最終更新:2017年05月08日)

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