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上越教育大学入学式 学長告示(学部)(平成29年4月)

雪解けの水が土に溶け込み,そこから新たな植物の芽生えがある。雪国独特の春の香りを感じる頃となり,日本3大夜桜で有名な高田公園の桜も,間もなく見頃を迎える季節となりました。

本日,上越教育大学学校教育学部に入学された170名の皆様,ご家族の皆様,御入学おめでとうございます。本学教職員,在校生を代表して心よりお祝い申し上げます。また,ご多用のところご臨席賜りましたご来賓の皆様に,深く感謝申し上げます。

さて,上越教育大学は,現職教員の資質能力の向上と初等教育教員養成という社会的要請に応えるために,設立された新構想の大学です。皆さんがこれから学ぶ学校教 育学部の他に,大学院として修士課程と専門職学位課程いわゆる教職大学院を有し,さらに高度な研究を希望する方のために連合大学院博士課程も設置されている,教員養成のための総合大学と言えましょう。皆さんには,この教員養成のための総合大学という恵まれた環境で4年間,専門的知識と優れた実践的指導力を身につけた教師を 目指して,しっかり学んでほしいと願っています。

先程,現職教員の資質能力の向上というお話をしましたが,実は大学院全体の2割以上は学校現場の現職の教師の皆さんが大学院学生として所属しており,そのため,キャンパス内では皆さんよりずっと年上の学生さんを多く見かけることと思います。このことは,これから教員を目指す皆さんには,その環境は願ってもないものとなりましょう。授業で一緒に学ぶ機会は少ないかもしれませんが,それでも現職の先生方と日頃からゼミなどで接することにより,生の学校現場の状況や課題をごく身近に,本音で聞くことができ,それが必ずや皆さんが目指すであろう教員への道に大きな力となってつながることでしょう。

学校教育現場でも今,大きな変化が起こっています。皆さんもご存じとは思いますが,学習指導要領の改訂では,道徳が特別な教科として導入され,小学校でも外国語活動や外国語(英語)が教科として新しく加わり,その他にも情報活用能力・プログラミング的思考の重要性が指摘され,小学校にもプログラミング教育が導入されることになりそうです。このように,子どもたちが学ぶ内容は常に変化し,新しいことが加わっています。グローバル化の波や第4次産業革命と呼ばれている科学技術の目覚ましい進歩は,すでに教育現場にも影響を及ぼしています。教育内容や方法の変化以外にも,現在は副教材の扱いであるタブレット端末による電子教科書(デジタル教科書)も2020年度には正式な教科書として導入される見込みであるなど,使用する機器類も含めて今後も変化し続けることでしょう。そのような中では,教える教師の側も常に学び続けなければなりません。

これからの社会を生きていくために,子どもたちは,自ら課題を見つけ,答えの決まっていない問いを解決する力を身につける必要があります。皆さんが将来,このような子どもたちを育てることのできる,「教えのプロ」になるために,大学としても優れた教員や充実したカリキュラムなど,教職員一丸となって環境を整え,しっかり対応いたします。

知識として知っていることと,それを教えることは違います。教師は単に教科書に沿って,知っていることを教えていると思ったらそれは大きな間違いです。例えば,教育学者の佐藤学氏は「専門家として教師を育てる」という著書の中で,次のように述べています。オーケストラの指揮者を知っていると思いますが,指揮者は音楽を熟知しない観客から見ると演奏中は単にテンポを合わせて指揮棒を振っているように 見えます。しかし,実は非常に高度な仕事を行っています。演奏する楽譜の細部まで 知り尽くしており,音楽性と音楽の専門的知識と楽曲の解釈において誰よりも卓越して,さらに楽団員1人ひとりの力・創造性を最大限に引き出す能力を備え,その全てを最大限に発揮して実は指揮棒を振っています。そのことは指揮者が演奏前に非常に多くのリハーサルを行い,細かい指導で自分の理想に近づけようとすることでも分かります。しかし,その高度の音楽性や専門的知識,楽曲の精緻な分析,楽団員の創造性を最大限に引き出す能力は,指揮棒を振っている時には,外から見えないかもしれません。教師も同様で,教師の仕事ほど複雑で知性的で芸術的で高度の創造性と専門性を求められる仕事はないと言ってもよいでしょう。しかも,その専門的知識や専門的能力のほとんどは外から見ることはできません。このように,教師に求められるものは極めて高いことを自覚し,常に学び続ける姿勢を持つことが必要です。自分が学ぶ喜びを知ってこそ,それが教える喜びに繋がり,ひいては教師の高い専門性に繋がると考えています。

そこで,皆さんにはこの4年間で是非,夢中になれるものを,これだけは他の人には負けない,これだけは自信がある,これだけは頑張ったというものを身につけて頂きたいと思います。例えば,資格の取得やボランティア活動でも良いでしょう。スポ ーツ,文化活動や部活・サークル活動で頑張るのも良いかもしれません。地元上越の高田城マラソン大会完走や自転車で長距離走破などでも良いかもしれません。その経験は必ず教師となったときに支えとなると信じています。そして,ここにおられる皆さんは,全国から本学に集まった教師の大切な卵です。互いに夢中になるものを探し,切磋琢磨しながら,素晴らしい友人関係を築いていって下さい。大学で得た友人は一生の宝です。友だちとの絆を大切にしてほしいと思います。

さて,いよいよ学園生活が始まります。本学の歴史は,まだ40年に満たないほどで長くはありませんが,教育界に大きな足跡を残していることは自他共に認めるところです。海と山に近く,自然環境が素晴らしい,四季の移ろいが鮮やかな上越市の学びの館,上越教育大学で,健康に十分留意しながら,充実した4年間の大学生活を送り,皆さんが,心に期している目的を達成できますよう心より祈念し,告辞といたし ます。

平成29年4月6日

国立大学法人上越教育大学長 川崎直哉


このページは上越教育大学/広報課が管理しています。(最終更新:2017年05月08日)

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