平成28年度 学校教育研究科案内
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11 学校臨床研究コースは,教科の授業にとどまらず学校教育全般を幅広く研究対象とし,児童生徒の学習促進と人間形成の両面にわたって,実際に学校で起こっていることと当事者の視点を大切にしながら,実践的支援に資する臨床研究をめざします。実践的な知識・技能だけでなく,その理論的な背景の検討や再構築も行いながら,新たな教育活動を構想し推進できる能力の育成を目標としています。所属院生は,「学習臨床研究」,「生徒指導総合」,「学校心理」の各科目群のいずれかを中心として学びながら,各自の研究課題を追究し修士論文の作成をめざしていきます。〈コース長〉 釜田 聡Tel:025-521-3549 E-mail:kamada(ドメイン名等は5ページ参照) 本科目群は,子どもが自己を確立・表現できるように,常に子どもの学習の場面に臨みながら,その子どもの学習の可能性を想定し,それを実現するプロセスを反省したうえで,次の実践へ向けた開発的な教育活動を展開できるカリキュラム開発能力を備えた教員の養成をめざしています。そのため〈教育方法臨床領域〉〈学習過程臨床領域〉〈情報教育領域〉〈総合学習領域〉の四つの領域が設けられています。学習臨床研究 今次,教育改革のポイントは「子どもの個性が輝き,子ども一人ひとりの学びが生きる」教育課程の改善であるところにその特質がある。他方,学校教育から逸脱する子どもの実情や授業崩壊などの病理現象が各方面から指摘されている。このような改革と現実を視野に入れ,教育方法臨床領域では,具体的な授業場面を多様な観点から分析できる高度な専門的力量の形成をはかっている。具体的には,教育内容・方法,授業研究の先端的研究,さらには,教育改革および学級におけるコミュニケーション理論の最先端について多面的に検討している。教育方法臨床領域 学校教育においては,次代を担う子どもたちにとって必要となる「生きる力」を育むために,これまで以上に情報教育の果たす役割が大きくなっている。新学習指導要領では,小学校・中学校・高等学校を通して,情報教育が各教科のカリキュラムに埋め込まれ,各教科の授業実践において,情報の収集・選択・加工処理・生成・表現・発表伝達・交流の各情報行動を盛り込み,各教科の学力の習得と有機的に関連させて情報活用の実践力を育成することが示されている。一方,教師が日々行っている各教科の授業実践能力のさらなる向上,その中でも,特に ICT を活用した指導力の向上は喫緊の課題であり,教師を対象とした ICT 活用指導力に関する教員研修の創造・継続・普及・定着が求められている。本領域では,こうした学校現場の実情を踏まえ,情報教育に関するシステム開発,教材開発,及び指導方法・評価方法の開発等に関する実践的・実証的研究に取り組む。情報教育領域 子どもの学習場面により添いながら,一人ひとりの学びがどのように成立するか,その学びはどのような過程で展開されているのかなどについて,子どもの学びの現実を適切に把握し,学びの成り立ちや学びの過程と,そこでの教師のかかわり方について研究と教育を進める。学びの成り立ちへの理解を深めるために,子どもとのかかわりをもちながら一人ひとりの子どもの顔の見える議論をし,その子どもに適した支援のあり方までをさぐる。また,子どもたちの学びの成り立ちをめざした授業の展開やカリキュラムの開発についても,学びの過程の実際に即しながら研究する。本領域の開講科目はいずれも,子どもの学びという観点から関連し,その中核にはいまそこにいる,さらには可能性としての子ども像がある。学習過程臨床領域 本領域は,新学習指導要領においても引き続き重視されている「生きる力」を育む「総合的な学習の時間」の探究とともに,時代のニーズに応えた新しい学校教育活動の構築を目指している。従来の教科の枠組みを超えた,体験活動や問題解決型の学習の展開を視野に入れながら,教育内容や方法そのものの再構築を求め,学校や教員を支援し,その力量を向上させることをねらいとしている。本領域では実践的研究を通じ,これまで教員に求められていた教科指導,生徒指導等のインストラクター的能力の向上だけでなく,これからより必要とされる様々な機関,人材,フィールド等と学校との連携を築くコーディネーター的能力の向上も目指す。授業科目は,総合学習に関する原理と歴史,授業開発や授業実践分析,地域,国際,環境をはじめとする多彩な内容から構成されている。総合学習領域学校臨床研究コース

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