平成28年 教職大学院案内
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研究内容及び指導内容現在2つの柱で研究しています。一つは、理科教育学です。理科嫌い、理科離れが叫ばれ始めた頃、理科の楽しさは「手品のような実験・観察をするのではなく、自らの考えを出し合い、周りの子ども同士で、話し合い、確認し合い、考えを再構成していく」であると考え、それを見いだす子どもを育むことを目標に、授業を行っていました。理科は、難しいから嫌いではなく、難しいけど楽しいと答える子どもがいる理科をデザインすることが研究の柱です。一つは、教師教育です。若かりし頃、授業研究の後に行われる授業検討会での話し合いでは、その話題の転換について行くのが精一杯で発言などできない自分がいました。一方、率先して意見を言う先輩教師、授業を批判されたじろぐ授業者等を見てきました。現場の授業研究は教師の力量を育む最高の手段であるといわれています。しかし、それは本当のことでしょうか?若手もベテランも、誰もが共に納得して、笑顔で意見を交換し合う授業研究はできないものなのかと考え、様々な授業検討会に出席しビデオで記録を撮り分析しました。若手教員の授業力量に貢献できる授業研究会に対する方略を築きつつあります。研究は、決して実験室で測定していれば成立できるものではなく、実際の授業をつぶさに見とる必要があります。そのため長時間に渡り授業を録画し、子どもの声を録音し、外化されたノートや観察記録を丹念に蓄積し、それらをていねいに分析する手法をとっています。非常に根気がいる作業ではありますが、一筋の光が見えたとき、喜びに変わります。そのためには、学校現場で起こっている事柄を、一歩引き、俯瞰して見られる立場となる必要があると考えます。それができるのが教職大学院であります。その他長野県出身。昭和61年より中学校理科教師として7校在籍。長野県総合教育センターで指導主事として3年勤務。平成14年:上越教育大学大学院修了「異年齢学習形態を用いた教科学習に関する研究」平成21年:兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了「理科授業研究における授業検討会の活性化に関する臨床的研究」平成25年 本学着任所属学会臨床教科教育学会(学会誌編集事務局、理事)、日本理科教育学会、日本科学教育学会、日本教科教育学会、日本地学教育学会【担当コース】・教育実践リーダーコース・学校運営リーダーコース【担当講義】・理科授業デザイン論【プロジェクトテーマ例】・理科学習における学力向上プログラムの展開・若手理科教師の授業力量の育成・授業力量向上に寄与する授業検討会の検討【包含できる研究テーマ】・学校現場における授業研究並びに授業検討会・異教科教員によるコラボ授業・総合的な学習の時間・子どもの見とりについての研究【担当コース】・教育実践リーダーコース・学校運営リーダーコース【担当講義】・生活科の教科特性とその存在意義【プロジェクトテーマ例】・地域に根差した生活科・総合的な学習による自己有用感の育成・保小連携にもとづく接続期カリキュラム作成及び展開【包含できる研究テーマ】・生活科教育論(単元開発、カリキュラム改善、学習指導のあり方)・幼保小連携(カリキュラム開発、研修のあり方)・幼児教育論(子ども理解、保育方法)・総合的な学習(単元開発、学習指導、子ども理解の連続性)研究内容及び指導内容私の現在の研究領域は、幼児教育学・幼保小連携を基盤にした生活科教育学・小学校領域中心の総合的な学習教育論です。その内容は、幼児期から児童期にかけての子どもの発達実態(子ども理解)から始まり、具体的な保育のあり方・生活科や総合的な学習の単元開発・学習指導に至るまで、幼児教育から小学校教育の全般にわたって展開できるものです。研究方法としましては、継続的に直接教室に足を運び、子どもと共に活動しながら、子どもや担任の具体的な姿から学習や教育を語るという、いわゆる「参与観察」の手法を行っています。担任の先生とは、その日の子どもの姿から授業の反省・評価を行い、明日の授業の展開についてアドバイスも行いつつ、共に考える場を設けています。このような方法を用いながら「生きて働く教育学」の構築を目指しています。一方、私の教育学研究の出発点は、児童中心主義であるルソー、ペスタロッチを中心としたヨーロッパの教育思想研究です。学校教育実践を支える教育哲学についても皆さんと学ぶことが出来ます。平成13年度文部科学省在外研究員として、10ヶ月間ペスタロッチ研究所客員研究員としてチューリッヒに滞在しました。そして、帰国後それまでの生活科を中心とした論考を1冊にまとめ『生活科の新生を求めて~幼児教育から総合的な学習まで~』(日本文教出版)として出版しました。また2012年には、生活科における実践面と教育哲学的な特性も配慮した『生活科の理論と実践―「生きる力」をはぐくむ教育のあり方―』(日本文教出版)を出版しました。教育の現代的な諸課題を、様々な実践を踏まえ、常に教育の本質論から分析し考察を加えています。その他文部科学省の委員をいくつも務めています。特に、平成18年4月から20年3月まで小学校学習指導要領の改善に関する調査研究委員〈小学校・生活〉を務め、『小学校学習指導要領解説 生活編』(平成20年8月)の作成に当たりました。この成果を受けて『小学校学習指導要領の展開 生活科編』(明治図書、2008.11.)の編著者を務めました。また、我が国の学校教育課題の一つである幼小連携の情報として『「スタートカリキュラム」のすべて―仙台市発信・幼小連携の新しい視点―』(ぎょうせい、2010)の監修者を務めました。一方で、幼児教育から生活科・総合的な学習まで、様々な内容の研修会講師を全国で務めています。学会関係では、平成17年に日本生活科・総合的学習教育学会より研究奨励賞をいただきました。そして、平成17年度よりこの全国学会の常任理事を現在まで務めています。さらに、同学会の新潟県支部に当たります新潟県生活科・総合的学習研究会の上越地区理事も務めております。教授木き村むら 吉よし彦ひこ准教授(実務家教員)桐きりゅう生 徹とおる教職大学院教員スタッフプロフィールJoetsu University of Education28

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