平成28年 教職大学院案内
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研究内容及び指導内容縁あって、本年度より講義等を担当することになりました。私は、30年前に、現職派遣教員として、本学大学院で学ばせていただいた者です。当時の院生たちが、教育実践者としてのプライドをかけて、ほぼ同年代の教授スタッフと、連日、激論を交わしていたことを思い出します。大学も小中学校も、そしてこの国全体も「若い季節」を過ごしていたと言えるのでしょう。勤務校に戻り、通算で35年の教員、教育行政職、校長等を経験しましたが、この間の社会や学校の変化、児童生徒と保護者の変貌、そして矢継ぎ早の教育改革に関して、実に多様な経験をさせていただきました。まさに「見るべき程の事をば見つ」の心境ではあります。そして、今は、次代を担う学生諸君や若き教育実践者に伝えるべきことは何か、と自問自答している毎日です。一つの回答として、「自ら学び変わり続ける教員・学校であれ」というのがあります。教育実践及び学校経営とは、眼前の課題に対処していくことの累積であり、その解決のために必要な知見を動員し、同時に自らの人格と組織文化を陶冶していくことではないでしょうか。他者の実践や他校の経営方略をそのまま導入しても成果は望めません。それらの「事象」を、実践主体である自分との関係において、「事例」として整序できる力を身につけることが、実践の高度化、経営の充実にとって有効な手立てではないかと考えています。しかし、その方法論はまだ確立していないようです。院生の皆さんと、多くの「事例」を検証して、ともに学び、互いに成長できることを願ってやみません。その他職務として経験してきた主なことがら・社会科教育の充実と指導資料の作成・非行問題行動への対応と関係機関との連携・教科用図書の採択に係る事務・学校教育関係予算の編成と各学校への配当・校内教育相談室の設置とスクールカウンセラーの配置・生徒指導上の重大事故への対応・教職員事故及び懲戒事案への対応・教員採用選考試験の実施・管理職選考の実施と任用前研修・学校への様々な要求・要望への対応・指導力不足教員への対応と研修の実施・主幹教諭等新たな職の設置と配置・教職員人事及び管理職人事・各学校への管理訪問及び指導訪問・教育行政施策や教育課題等に係る市町村教育委員会への助言・中核市の研修業務(初任者研修、5年経験者研修、20年経験者研修、主幹教諭研修、教育課題研修等における講義と指導)【担当コース】・教育実践リーダーコース・学校運営リーダーコース【担当講義】・実践的学校経営特論・学校経営の危機管理と実践的課題【プロジェクトテーマ例】・学校課題を明確にした職員の協働性の確立と中堅教員の育成【包含できる研究テーマ】・ミドルリーダーの研修・育成・学校評価による学校改善・小中連携による学校改善と学力向上・学校経営全般に対する実践的支援教授(実務家教員)近こん藤どう 誠まこと研究内容及び指導内容新潟県の公立小学校で20年間教諭を務め、本学に着任しました。教諭時代から、総合的な学習の時間や生活科などの他教科と結んだ国語科の単元づくりを通して、探究的に活動を展開しながら言葉の力を身に付けていく子どもたちの姿を追い求めてきました。本気になって知りたい、伝えたいと思うとき、読む力、表現する力が抜群に伸びます。しかしそのとき、教師が、課題解決に必要な知識や技能を活用可能な形で与えてあげないとその学習は単なる「活動」に終わってしまいます。どんなタイミングで、どんな知識や技能を、どのような形で提供するかを総合的にデザインすることが実践的な教師の力量だと考えます。そういった単元づくりの要件について、学校支援プロジェクト等を通してアクションリサーチ的に研究を展開しています。・コミュニケーション行為としての論理的思考「根拠―理由づけ-主張」というトゥルミンモデルを学習者レベルで簡略化したモデルにより、論理的思考力を育む言語活動を提案します。事実や言葉を根拠「理由づけ」ることは、他者と分かり合うためのコミュニケーションにとって大切なことです。したがって、論理的思考力を育むためには、学習者相互のコミュニカティブなかかわりが重要です。学習者の発話を授業のデータから分析し、一つひとつの事実を意味づける質的な研究を進めています。・読みの交流文章を「読む」とき、子どもは、自分の既有の知識を使いながら作品の言葉に自分なりの解釈をつくります。その解釈と解釈をつなげて、意味づけし、修正や更新を繰り返しながら自分の読みをつくりあげていきます。その過程で他者とかかわることを通して自分の読みを見直したり、価値づけたりすることが国語科の読みの学習の意義です。読みの交流を通して、読みの方略を獲得していくことが、他の作品を読む場面や自分自身で表現する場面に生きる力となると考えています。その他本学、教職大学院を修了後、公立学校に勤務しながら、兵庫教育大学大学院連合学校教育研究科博士課程を修了し、本学に着任しました。所属学会/日本国語教育学会、臨床教科教育学会、全国大学国語教育学会、表現学会、読書学会【担当コース】・教育実践リーダーコース・学校運営リーダーコース【担当講義】・国語科授業デザイン論【プロジェクトテーマ例】・思考力を育てる言語活動・国語科のアクティブラーンニング・論理的思考と言語活動【包含できる研究テーマ】・各教科の言語活動・読解リテラシー・コミュニケーション行為としての論理的思考・読書指導准教授(実務家教員)佐さ藤とう 多た佳か子こ教職大学院教員スタッフプロフィールJoetsu University of Education29

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