平成28年 教職大学院案内
31/40

研究内容及び指導内容現在の学校は、学力向上、生徒指導、生活指導、特別支援、地域社会・保護者との連携等々の様々な問題を抱えています。私は、その解決を支援するために、以下の二点に重点をおいています。第一は、教科学習を通じた学級づくりです。子どもたちの人間関係は向上すれば、学級で起きた諸問題は子ども達自身で解決できるようになります。そのような居心地のよい学級であれば、それは成績に反映され、それらの結果として保護者からの信頼も得られます。それらはやがて、子どもたちの自信となり、子どもたちの人間関係の向上に繋ります。このような一連のサイクルが学級づくりです。全ての学校の抱える問題の解決には、特効薬があるわけではなく、地道な学級づくりが基本だと私は考えております。その学級づくりは、子どもたちの学校で過ごす大部分の時間である、毎日、毎日の教科学習の時間にまずしなければならないと私は考えております。第二は、一人の教師が問題を抱え込まないように協働を大事にします。学校の抱える様々な問題では、とても気になる「その子」、「その人」がいます。一人の教師が、「その子」、「その人」に個別対応すれば多くの負担がかかり、教育への情熱が絶たれかねません。一人で抱え込むのではなく、子どもたち・教師たち・保護者たちと一緒に解決することが大事と考えます。私は、そのような協働が成立するために支援します。私は子ども・教師・保護者の姿に着目し、特定の教科・課題には拘りません。そのため、それぞれの学級の様々な課題を「教科学習」と「協働」を軸にトータルに捉え、学校全体の取り組みとして支援します。その学校全体の取り組みの中で、子どもたち・教師たち・保護者たちの協働を形成することによって、学校づくりを支援します。その他『学び合い』を通して、「学力向上」、「教科学習におけるクラスづくり」、「学年間の人間関係づくり」、「教師の学び合い」、「通常学級での特別支援の子どもの教科学習」を行いました。『学び合い』を主軸として学校創りを行っている学校は全国的に広がっています。その中で紀要等を発行している学校の実践例や新聞等で取り上げられた実践例はHP(http://wwww.iamjun.com/)の『学び合い』を学ぶコーナーで公開しています。【担当コース】・教育実践リーダーコース・学校運営リーダーコース【担当講義】・学び合いの授業論【プロジェクトテーマ例】・教科指導を通じた学級づくり・学校づくり【包含できる研究テーマ】・学び合いによる○○の学力向上(○○の部分に、任意の教科名を入れてください)・異学年学習による教科指導・授業研究を通した教師間の学び合い・普通学級における発達障害児の特別支援・保護者と連携した教科指導等々教授西にし川かわ 純じゅん研究内容及び指導内容人は、問題が生じない限り、習慣化した役割行動を反復するだけで、それを変えようとはしません。人間関係も、道徳的な価値についても、知っている「つもり」でいることが少なくありません。しかし、そのことに気づかないでいることは、怖いことでもあります。例えば、人間関係の固定化(クラス内での序列化)や、いじめの問題等も、役割行動の反復、すなわち、自分の役割に疑問を持てないところに問題の根本があると言っても、過言ではないと言えるのではないでしょうか。道徳授業は、そんな知っている「つもり」になっている自分の姿を映し出す鏡の役割もあるのだと思います。一方で、その大切な道徳授業の効果を実感できない、指導方法が分からない…などの声が先生方に多いのも、事実かと思います。私は今まで、役割演技による道徳授業の効果として、子どもたちが道徳的価値を「実感的に」自覚することを明らかにしてきました(例えば、「役割演技を道徳授業に」明治図書)。役割演技は、単に資料にある台詞をそのまま表現することに終始することではありません。今までの役割では解決できない問題に直面し、自分ごととして相手との関係から新たな役割を創造する…、驚き、苦しみ、悩みながら、しかし、新たな役割の実現には感動を伴って、価値を「実感的に」自覚するのです。それは、学習構造の主体的変容の実現でもあります。このように、役割演技による内面的な資質・能力(道徳性)の育成と学習構造の主体的変容による道徳授業の充実の探究をテーマに、実践と理論を往還しながら、道徳科(特別の教科 道徳)を要とする道徳教育の拡充を、展望していきたいと思っています。その他私は、千葉県の公立小学校の教員として過ごした26年間のうち、4年間は児童相談所の児童福祉司として、児童福祉の最前線で勤務しました。その中で、子どもたちや子どもたちを取り巻く様々な課題を、まさに、表裏から実感的に味わってきました。前述した学習者である子どもの学習構造の主体的変容の実現は、教師や学校がいかに変容しうるかとの問いでもあると思います。そこで求められるのは、関係機関との連携も含め、子どもや子どもを取り巻く環境が発信する社会的課題を受けとめながら、持続可能な教育社会の形成を担う実践力だと考えます。そこで、児童福祉のケースワークで培った発想も取り入れながら、学習構造の主体的変容の実現や、持続可能な教育社会の形成を担う実践力の構築を、皆さんと共に探究していきたいと考えております。【担当コース】・教育実践リーダーコース・学校運営リーダーコース【担当講義】・道徳教育の理論と実際【プロジェクトテーマ例】・道徳教育を通した、新たな人間関係の基盤づくり(新たな役割関係の創造)・児童生徒の道徳性を高める、道徳教育プログラム・友情や思いやりの心を育てる道徳教育プログラム・内面的な資質・能力を育成する「道徳」の授業づくり・役割演技を取り入れた、道徳授業づくり【包含できる研究テーマ】・道徳の授業研究を軸とした研修・関係機関の役割や児童福祉との連携・(児童虐待等で傷ついた子どもたちを中心にした)「心の教育」プログラム・特別の教科 道徳の授業改善への支援教授(実務家教員)早はや川かわ 裕ひろ隆たか教職大学院教員スタッフプロフィールJoetsu University of Education31

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です