平成29年度上越教育大学 教職大学院案内
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研究内容及び指導内容あいさつ指導から犯罪対策までと、日本の学校が担う領域は極めて広いものです。授業、生徒指導、部活動担当など、一見当たり前のように思われている教員の仕事は、国際比較によれば驚くほど広範であることが分かります。また、それだけに学校の役割や教員の専門性の内実が曖昧になりがちな現状もあります。「教育は人なり」と言われますが、現実の学校には人(教員)の力ではどうにもできない要素も多く存在します。むしろ、ヒト(教員人事)・モノ(教育内容)・カネ(学校予算)を、およそ中央・地方の教育行政によって規定されているのが日本の特徴でもあります。こうした中で、子どもの発達を支える学校をどのようにつくっていけば良いのでしょうか。学校にできることとできないこととを峻別した上で、学校づくりについて考えなければ画餅になります。その際、学校づくりとは「改革」ばかりを意味するのではなく、学校が積み重ねてきた日常の教育活動を再評価することも必要です。また、学校づくりの方向性は、「学力向上」や「いじめゼロ」といった全国共通のスローガンとして外部から与えられるものではなく、その学校に通う子ども(やその保護者)の状況、地域社会の特質などをふまえて学校自らが打ちたてなければなりません。世界に目を向ければ、いずれの国の教育にもさまざまな課題があり、また強みもあるものです。しかし、一般に強みの部分は見えにくく、教育を「課題」としてばかり語りがちになります。これも各国共通の特徴と言えるでしょう。私たちにとって日常自明視していることを問い直すことは最初の一歩と言えます。目まぐるしく変化する社会の中で、どのような学校づくりが求められるのでしょうか。このことを考えるためには、教員個々人のレベルを超えて、学校組織や教育行政へも目を向けていかねばなりません。また、子どもが生きていく将来社会を見据えた教育を行うためには、国際的な視野も重要になります。大学院の授業や学校支援プロジェクトでは、以上のような観点から、学校の内と外の両面に目を向けて教育を捉えることを意識しています。また、授業外の研究会や自主ゼミなどの場でも自由に議論を交わし相互研鑽できればと願っています。その他【経歴】京都府立大学大学院福祉社会学研究科博士後期課程単位取得満期退学。神戸学院大学非常勤講師、大阪市立大学特任講師を経て、2010年4月より現職。専門は比較教育学、教育経営学。【主著】『「考える教師」―省察、創造、実践する教師―』(学文社より共著)、『学校改善マネジメント』(ミネルヴァ書房より共著)。『教育のための法学』(ミネルヴァ書房より共著)【所属学会】日本教師教育学会/日本比較教育学会/日本教育行政学会/日本教育経営学会/ISfTE(国際教師教育学会)/DGBV(ドイツ教育行政学会)など【担当コース】・教育臨床コース・教育経営コース【担当講義】・学校教育の制度と理念・教育における権利と責任【プロジェクトテーマ例】・学校づくり・学校と地域・教育行政【包含できる研究テーマ】・学校経営子ども・教育行政と学校・地域・教育の国際比較准教授辻つじ野の けんま研究内容及び指導内容現在の学校は、学力向上、生徒指導、生活指導、特別支援、地域社会・保護者との連携等々の様々な問題を抱えています。私は、その解決を支援するために、以下の二点に重点をおいています。第一は、教科学習を通じた学級づくりです。子どもたちの人間関係は向上すれば、学級で起きた諸問題は子ども達自身で解決できるようになります。そのような居心地のよい学級であれば、それは成績に反映され、それらの結果として保護者からの信頼も得られます。それらはやがて、子どもたちの自信となり、子どもたちの人間関係の向上に繋ります。このような一連のサイクルが学級づくりです。全ての学校の抱える問題の解決には、特効薬があるわけではなく、地道な学級づくりが基本だと私は考えております。その学級づくりは、子どもたちの学校で過ごす大部分の時間である、毎日、毎日の教科学習の時間にまずしなければならないと私は考えております。第二は、一人の教師が問題を抱え込まないように協働を大事にします。学校の抱える様々な問題では、とても気になる「その子」、「その人」がいます。一人の教師が、「その子」、「その人」に個別対応すれば多くの負担がかかり、教育への情熱が絶たれかねません。一人で抱え込むのではなく、子どもたち・教師たち・保護者たちと一緒に解決することが大事と考えます。私は、そのような協働が成立するために支援します。私は子ども・教師・保護者の姿に着目し、特定の教科・課題には拘りません。そのため、それぞれの学級の様々な課題を「教科学習」と「協働」を軸にトータルに捉え、学校全体の取り組みとして支援します。その学校全体の取り組みの中で、子どもたち・教師たち・保護者たちの協働を形成することによって、学校づくりを支援します。その他『学び合い』を通して、「学力向上」、「教科学習におけるクラスづくり」、「学年間の人間関係づくり」、「教師の学び合い」、「通常学級での特別支援の子どもの教科学習」を行いました。『学び合い』を主軸として学校創りを行っている学校は全国的に広がっています。その中で紀要等を発行している学校の実践例や新聞等で取り上げられた実践例はHP(http://www.iamjun.com/)の『学び合い』を学ぶコーナーで公開しています。【担当コース】・教育臨床コース・教育経営コース【担当講義】・学び合いの授業論【プロジェクトテーマ例】・教科指導を通じた学級づくり・学校づくり【包含できる研究テーマ】・学び合いによる○○の学力向上(○○の部分に、任意の教科名を入れてください)・異学年学習による教科指導・授業研究を通した教師間の学び合い・普通学級における発達障害児の特別支援・保護者と連携した教科指導等々教授西にし川かわ 純じゅん教職大学院教員スタッフプロフィール31Joetsu University of Education

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