平成29年度上越教育大学 教職大学院案内
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研究内容及び指導内容学校のリーダーに求められる資質・能力は4つあります。①人格、②管理、③運営、④指導です。今日、②・③がマネジメント能力として強調される一方、①・④が忘れられかけている現状を憂いています。教職大学院、特に教育経営コースにおいては、①・②・③・④のバランスがとれ、法的視点と教育的視点を併せ持って学校運営と教育実践の改善を推進できる人材を育てたいと思います。これまで、「小中一貫教育」「学校評価」「学校と地域の連携」「コミュニティ・スクール」「学年会の運営」等に関するテーマで学校支援プロジェクトを実施してきました。今後とも、院生がやりたい研究テーマと学校が求める支援テーマの調整を図りながら、よりよい協働の在り方を模索していきます。研究者としては、宗教学、法学、哲学、教育学などの学際的研究をベースに、公教育における宗教の取扱いに関する理論と実践をテーマとした新しい宗教教育学の構築を目指しています。平成18年の教育基本法の改正を踏まえて、その第15条(宗教教育)の趣旨を学校教育においてどのように具体化するかを考えるプロフェッショナル科目を開講しています。大学教員となる以前には3つの校種(小学校4年・中学校1年・高等学校16年)を経験し、教育委員会では教職員人事や法規演習を中心とした管理職研修などの教育行政に9年間携わりました。中学校長と高等学校長の時は、教育の大目的である「人格の完成を目指す」ことを基軸に据えた学校運営を心がけ、すべての教諭の授業を参観して教科の枠を超えた指導を行い教育実践の改善に努めました。これらの経験をも生かして、今後とも大学での教育・研究に取り組んでいきたいと考えています。その他富山県の小学校や高等学校の教諭、知事部局主事、教育委員会教職員課主任管理主事・主幹、中学校長、高等学校長等を経て、平成20年から現職。教育実践高度化専攻長等を経て平成27年から副学長・附属図書館長。この間、上越教育大学大学院に内地留学したときの修士論文が「公教育における宗教の取扱いに関する理論的研究」(平成6年)。専門分野は、宗教教育学、学校運営、教員人事。日本学校教育学会常任理事。日本教育行政学会、宗教法学会、日本宗教学会、上越教育経営研究会などの会員。主な著書・論文に、『学校の中の宗教』(共著、時事通信社、平成8年)、『要説 教員養成・採用と免許法〜教職志望者の必勝指南〜』(共著、協同出版、平成24年)、「日本国憲法上の『宗教』の意味」(『宗教法』14号、平成7年)、「教育基本法上の『宗教』の意味」(『宗教法』29号、平成22年)、「教育の目的に関する一考察」(『上越教育大学教職大学院研究紀要』第1巻、平成26年)などがあります。研究内容及び指導内容日本の学校教育に何が起こっているのか。この問いに答えるために、日本・イギリス・シンガポールで質問紙調査やインタビュー調査を行い、学校や教育委員会の取り組みや、教師や子どもの実態に迫ってきました。調査をもとに分析してきたテーマは多岐にわたります。たとえば、子どもたちの学力や学習意欲の格差、子どもの自己肯定感、学校教育のガバナンス(統治の仕組み)、教育の公共性、ジェンダー/セクシュアリティ、教師のキャリアと自己能力観などです。研究スタイルは、よりよい教育実践の方法を開発したり、教育のあるべき姿を議論したりするというものではありません。それらの意義を尊重しながらも、教育に関する実態の把握を重視しています。学校や子どもたちに何が起こっているのか、それはどのようなメカニズムで生じているのか。たとえば、このような問いに取り組むのです。このように実態把握を重視する理由は、病気を治すためには、身体の様子を診断したり、身体・病気のメカニズムを把握したりすることが欠かせないのと同じです。とりわけこの10数年の日本をふりかえってみてください。学校教育には、打ち上げ花火のような華々しいスローガンとともに、さまざまな取り組みが導入されてきました。しかし、想定どおりのよい結果だけが得られているでしょうか。こう考えてみるだけで、教育現実の把握がどれだけ大切であるかに思い至ることでしょう。教職大学院で担当する授業では、教育現実を観察する方法(調査分析法)や、教育現実を様々な観点から理解する方法(理論的枠組み)を提供します。学校支援プロジェクトでは、連携協力校からの要望を手がかりにしながら、実態把握とそれにもとづいた提言に取り組みます。これらの担当授業と学校支援プロジェクトとを有機的にリンクさせることで、否応なく複雑化する教育現実と切り結んでいく上で不可欠な、粘り強く思考する技術の習得にかかわりたいと考えています。その他東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任研究員、東京理科大学助教を経て、2011年に着任。専門は教育社会学。共著に『現代高校生の学習と進路』(学事出版)、『学力の社会学』(岩波書店)など、共編著に『教育改革の社会学』、『「復興」と学校』(いずれも岩波書店)がある。上越市では、地域青少年育成会議協議会のアドバイザーや講師として協力しています。【担当コース】・教育臨床コース・教育経営コース【担当講義】・公立学校における宗教の取扱い・教育公務員の服務・勤務・教育経営の理論と実際・教育経営総合演習【プロジェクトテーマ例】・信頼される学校運営・学校における宗教の取扱い・小中学校の連携【包含できる研究テーマ】・学校評価の改善・学校と家庭や地域との連携・学校の危機管理・人格の完成を目指す教育 等【担当コース】・教育臨床コース・教育経営コース【担当講義】・授業と学校の改善に向けた教育調査の理論と実際・学校文化改革の課題と視点【プロジェクトテーマ例】・社会学的調査研究にもとづく指導改善・学校改善【包含できる研究テーマ】・子どもの友人関係・学校・家族・地域社会の連関・地方分権/地域主権改革と学校教育・ジェンダー/セクシュアリティと教育・学校から職業への移行・学校教育のガバナンス改革等教授(実務家教員)葊ひろ瀨せ 裕ひろ一かず准教授堀ほり 健たけ志し教職大学院教員スタッフプロフィール33Joetsu University of Education

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