6 附属施設等
 
(1) 附属図書館
 
@ 附属図書館
ア 設置の趣旨(目的)及び組織
 附属図書館は、教育及び研究活動に資するため、図書・雑誌・その他の資料を一元的に収集・整理・保存し、本学の学生及び職員の利用に供することを目的として設置されている。組織は、附属図書館長(併任)のもと、学術情報課長、学術情報係、情報管理係、情報サービス係より構成されている。
イ 運営・活動の状況
 国立大学は平成16年4月1日、法人化されたが、附属図書館設置の趣旨(目的)、運営方針は変わらない。さらに法人化されることによって、附属図書館は経営面での合理化、および社会に開かれた図書館としての役割を担うことが求められている。
 現在、学術情報の電子化(デジタル化)が急速に進展しており、これに対応して電子ジャーナルへのアクセスの拡充と安定的供給が急務となっている。また、大学の教育支援機能の強化が必要とされている中で、授業と関連した資料の網羅的収集はもちろんのこと、教育者を目指す本学の学生が幅広い教養を身につけるための図書を提供していくことが課題となっている。さらに、地域の学術情報提供の中核として市民の要求に応えていくことが求められている。
 このような状況の下、学術情報流通の基盤的組織である附属図書館は、学習図書館機能、研究図書館機能の充実強化、電子図書館的機能の整備充実を進めている。
 
A 運営委員会
ア 設置の趣旨(目的)及び組織
 館長の諮問に応じ附属図書館の運営に関する重要事項を審議するために置かれている。第1部から第5部までの各部から選出された教授又は助教授1名と附属図書館長、学術情報課長の計7名により構成され、附属図書館長が委員長となる。
イ 運営・活動の状況
 平成16年度は3回、開催し、次の事項について審議した。
○第1回:平成15年度図書購入費決算、Elsevier社の電子ジャーナルコンソーシアム、附属図書館関係諸規程、附属図書館の年度改革案、平成16年度実施計画、上越市民への貸出、外国雑誌の見直し
○第2回:平成16年度図書購入費予算、上越地区住民への館外貸出、附属図書館の運営に関する投書への対応、Elsevier社の電子ジャーナルコンソーシアム
○第3回:コア・ジャーナル(外国雑誌)の選定、時間外開館の拡大、年度計画自己点検・評価報告書、電子ジャーンルコンソーシアム
 審議の結果により実施した主な事項(企画)は以下のとおりである。
(ア) 基本学術研究図書・学習用図書の選定及び収集
 全学の教員に対して推薦依頼を行い、それに基づき基本学術研究図書、学生用図書及び雑誌バックナンバーを収集した。また、シラバス掲載図書について全学教員に推薦依頼を実施し収集を強化するとともに、図書課選書W.G.は、学生用図書、学生リクエスト図書、参考図書、寄贈資料を中心に選定を行った。
(イ) 日曜開館の実施
 日曜開館については、大学院の多様なカリキュラム提供の関連もあり、また学生からの日曜開館への要望があった。日曜開館についてのニーズに対するアンケート調査を9月に実施し、平成17年度から実施することになった。また、平成7年度から実施の土曜開館に加え、日曜開館を実施することで、学生の研究活動、地域貢献の一層の充実となる。
(ウ) 電子ジャーナルへのアクセス可能タイトルの拡充
 電子ジャーナルの体系的収集は文部科学省からの電子ジャーナル導入経費が60万円措置されたことから始まる。平成14年度に EBSCOhost社のProfessional Development Collection(教育学分野)とPsychology & Behavioral Sciences Collection(心理学分野)を契約し、また、Elsevier Science社のScience Directに関するコンソーシアムに参加した。平成15年度からは導入経費が100万円に増額されたことから、EBSCOhost社が提案してきたコンソーシアムに参加し、PDCおよびPBSCからAcademic Search Elite(ASE)に切り替えた。
 平成16年度からはKluwer社のコンソーシアムに参加したことにより、アクセス可能タイトル数は約4000となった。
 平成17年度以降、Elsevier Sciences社はクロスアクセス条件を廃止する提案をしてきたが、国立大学図書館協会の電子ジャーナルタスクフォースと交渉を行い、教員養成系サブコンンソーシアムを形成することにより、最終的には3年間はコンテンツ料金の増額とクロスアクセス料の課金で妥結した。
 平成17年度は、Wiley社のコンソーシアムに参加することでさらにアクセス可能タイトル数は拡大することになった。
(エ) 上越地区住民への附属図書館資料の館外貸出
 平成15年度から附属図書館所蔵の学術資料を上越市立図書館を介して地域住民に貸出・提供することを試行してきたが、さらに地域貢献を促進するために、上越地区住民に対して所蔵資料の直接館外貸出を実施した。
(オ) 附属図書館の年度計画、実施計画
 法人化に伴う附属図書館としての年度計画案、実施計画を策定した。
ウ 今後の検討課題等
(ア) 図書館資料購入費
 図書充実費(学内共通経費)の学生定員減に伴う年次進行による減額については、平成15年度で一応終わった。この減額分については、年度末の追加配分等により補填されてきた。とくに電子ジャーナルについては、コンソーシアム等の新たな購入形態が模索されているが、冊子体と異なる契約条件が提示されていることもあり全学的な見地からの収集体制を確立する必要がある。
 電子ジャーナル購入経費をの通経費化、資料購入費の増額については説明、要望を行ってきたが、本学の財政事情の厳しさと法人化への緊急対応(安衛法対策、大学院の定員充足)から実現されていないが、引き続き電子ジャーナルの共通経費化の拡大を積極的に検討し実現を図る必要がある。
(イ) 学術情報の電子化への対応
 利用者が電子化された各種の学術情報を入手するための情報環境を整備するために、マルチメディア・コーナーの情報機器を計画的に更新するする必要がある。また、利用者のための情報リテラシー教育・啓発に積極的に関与していく必要がある。
(ウ) 地域社会への貢献
 地域の学術情報拠点として公共図書館との連携・協力を推進するとともに、来館した地域住民へ所蔵資料を直接貸し出しするサービスを始めた。平成17年度からは日曜開館をし、利用の便の拡大をする。今後さらに地域社会への貢献をするための方策を地域関係諸機関と連携をとりながら検討していく必要がある。
(エ) 保存すべき資料の再検討および効率的な収納
 当館の資料収容力は約30万冊であり、資料の増加により、早晩書架の収容力の限界に達することが予想される。一方、図書館の増改築は昨今の財政状況からすると早期実現は困難である。そこで将来的に増改築が実現されるまでの間、保存すべき所蔵資料の再検討を行うとともに、館内施設の整備と合わせて効率的な収納により対応する必要がある。