6 附属施設等
 
(7) 障害児教育実践センター
 
@ センター
ア 設置の趣旨(目的)及び組織
 本センターは,障害児教育に関わる教育臨床等を通して院生の実践的指導力の育成と向上を図るとともに,教育相談や指導者研修により地域の教育・福祉に資することを目的として昭和62年に発足し,平成4年に建物が建てられた。センター籍教員は4名であるが,センターの運営・活動に際しては障害児教育講座教員全員が一体となって参加している。
イ 運営・活動の状況
 本センターは上記の設置目的に照らして,臨床部門(教育相談,教育臨床),研究部門,研修部門の3つの柱立てからなる事業を展開している。以下,本年度の活動状況をまとめる。
(ア) 教育相談・教育臨床活動
 年間相談件数は66件であった。そのうち本年度新たに教育相談を開始した新規相談件数は22件あり,残り44件が継続相談件数である。全体では昨年度より2件の増加であった。障害種別をみると「知的障害・ダウン症」が最も多く新規・継続合わせて21件であった。年間相談・指導回数は新規・継続の合計で717回であった。内訳でみると,新規相談は年間の合計で延べ174回,継続相談は543回になっている。昨年度より83回の増加であった。年間相談・指導時間の合計は1029.5時間であった。そのうち検査関係が120時間,継続指導が909.5時間であり,1回の相談・指導時間は平均で1.4時間である。
(イ) 研修活動
a センターセミナーの開催
○第69回セミナー(日時:平成16年11月12日17:30〜19:30,講師:東京学芸大学教授・太田昌孝,演題:自閉症児の理解と指導法,参加人数:141名)
○第70回セミナー(日時:平成16年12月18日14:30〜16:30,講師:文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特別支援教育調査官・柘植雅義,演題:特別支援教育の理念と施策の動向,参加人数:76名)
○第71回セミナー(日時:平成17年2月5日14:00〜16:00,講師:東洋大学教授・宮崎英憲,演題:個別の教育支援計画の活用,参加人数:107名)
b 各種研究会・講習会
○新潟県特別支援教育学習会(7/3)
○上越地区特殊教育懇談会(7/5)
○新潟県認定講習会(7・8月)
○平成16年度附属学校初任者研修会(8/2)
○上越障害児教育研究会主催研修会(8/18)
○上越青年の休日を充実させる会(月1回)
○上越自立活動研究会(隔月)
○通級指導教室担当者学習会(隔月)
(ウ) 地域貢献活動
a 研究生の受け入れ
 新潟県(1名,期間1年),鳥取県(4名,期間6ケ月),中国ハルビン師範大学(1名,期間1年)からの研究生を受け入れた。研究生にはそれぞれ指導教員がつき,それぞれの研修テーマにもとづいて指導を受けるとともに,障害児教育講座の授業を聴講,臨床指導への参加などを行った。
b 地域支援活動
 新潟県就学指導委員会委員,新潟県教育職員認定講習会講師,新潟県初任者研修講師,新潟県内特殊教育諸学校職員研修会講師,新潟県教育相談運営会議委員及び教育相談委員,新潟県保健所療育教育講師,上越障害児教育研究会顧問・講師,上越市こども発達相談室講師及び保育所巡回指導,上越市障害者福祉推進連携協議会(会長,部会長,委員),新井市障害児通園事業「ひばり園」職員研修講師,大潟町第2保育所保育士研修講師
(エ) 研究刊行物
 上越教育大学障害児教育実践センター紀要第11巻を平成17年3月に刊行した。
(オ) センターの利用状況
 当センターは障害児教育講座と一体となって,主として障害児教育専攻の大学院生に対して,実践的・臨床的な活動の場と機会を提供している。教育臨床実習,実践場面分析演習など,幅広くかつ活発に利用されている。平成16年度センターを利用して実施された授業科目は以下の通りである。
 「障害児教育臨床実習TA,TB,TC」「障害児教育臨床実習UA,UB,UC」「障害児応用臨床実習TA,TB,TC」「障害児応用教育臨床実習UA,UB,UC」「実践場面分析演習障害児教育TA,TB,TC」「実践場面分析演習障害児教育UA,UB,UC」「情緒障害児指導法」「言語障害児指導法」「重複障害児指導法」「障害児研究法」「障害児研究セミナーT,U」
 
A 運営委員会
ア 設置の趣旨(目的)及び組織
 障害児教育実践センター運営委員会は,主に本センターの管理運営の方針に関する事項,障害児教育における教育実践のあり方の研究及び具体的指導技術の開発に関する事項,障害児教育における教育実践の企画及び運営に関する事項,学生の実践指導に関する事項を審議する目的で設置されている。構成員は本センター長(委員長)の外に,本センター教員1名,障害児教育講座教員1名,第一部から第五部までの教員各1名,研究連携室長,教育支援課長の計10名である。
イ 運営・活動の状況
 平成16年度第1回障害児教育実践センター運営委員会が平成16年6月16日に開催され,平成15年度の事業報告・決算報告が行われ,引き続いて平成16年度事業計画,同予算等について協議した。運営委員会の後,センター紀要編集委員会が開催され,センター紀要第11巻の編集について協議した。
ウ 今後の検討課題等
 特別支援教育の全国的な広まりによって当センターへの社会的な期待が増大している現状に鑑み,センターの機能の充実拡大が検討課題である。今後,センターの機能や事業の見直しをはかり,他機関との連携事業もさらに推進する必要がある。