【心理臨床講座】
 

内 田 一 成(教 授)
<教育活動>
授 業
○全講義科目ともスライドの配布資料(2単位科目で約25頁)を配り,スライドショウを中心に講義している。
○受講生の成績評価はもちろんであるが,その前提である教育の質,授業の質に注意を払うようにしている。
○臨床心理士試験の受験者数と合格者数も世間から問われることを認識した責任ある教育を日々心がけている。
研究指導
 「practitioner-scientist model」から,日常の臨床活動を科学的研究に高められる研究指導を行っている。
その他の教育活動
@福岡教育大学で集中講義を担当
ASCS教育臨床特別講義『性的いじめを受けた生徒とその母親に対するスクールカウンセリングと学校コンサルテーション』
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年9月『DPT手続きと修正DBT手続きの併用が奏効した潜在性二分脊椎と軽度精神遅滞をともなう成人排泄障害の一例』(単著) 行動療法研究 30(2) pp.99-112
A平成16年12月『知的障害者入所施設における応用行動分析の広範な使用:組織行動マネージメントについての臨床的研究』(単著) 応用行動分析学研究 19(2) pp.2-14
B平成16年9月:『自閉症をともなう児童・青年の発達過程に関する比較研究:U.行動症状とその決定因』(単著) 上越教育大学研究紀要 24(1) pp.271-286
C平成17年3月:『自閉性障害をもつ小児の全身性と限局性常同行動に及ぼす先行活動の影響』(単著) 上越教育大学研究紀要 24(2) pp.751-767
D平成17年3月:『思春期におけるレジリエンス構成要因の因果関係についての臨床的研究』(共著) 上越教育大学心理教育相談室紀要 4(1) pp.1-14
E平成17年3月:『ADHDを伴う青年の様々な問題行動に対するマルチ・モーダル行動療法の臨床効果:BASIC IDに基づく介入プログラムを用いて』(共著) 上越教育大学心理教育相談室紀要 4(1)pp.127-140
F平成17年3月:『夜尿症治療のための修正DBT手続きにおける正試行的過剰矯正法の試行回数の臨床効果』(単著) 上越教育大学心理教育相談室紀要 4(1) pp.141-150
@平成16年6月『福祉臨床心理学の確立に向けて』日本福祉心理学会第2回大会シンポジスト
A平成16年10月『全緘黙を呈する青年男性への行動論的アプローチ』(共)日本行動療法学会第30回大会
学会活動への参加状況等
@平成16年度日本福祉心理学常任理事
A日本行動療法学会第30回大会準備委員等
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県スクールカウンセラー
A10月:テレビ公開講座(『ストレスとのつきあい方:ストレスのメカニズムと精神的健康』を講演)
B『現職教員支援のための総合的「学校コンサルテーション」推進事業』等

 


加 藤 哲 文(教 授)
<教育活動>
授 業
 大学院担当授業の「心理アセスメント演習U」では、臨床心理学コース学生を対象に、主として心理検査法の演習を行った。特に、学校教育場面で必要とされている知能検査法を中心に、実際の検査機器を用いた実習指導を行い、その後に検査結果の見たて方について、実際のデータをもとに小グループによる演習指導を行った。
 また、「臨床心理基礎実習」及び「臨床心理実習」では、臨床心理学系教員とともに、実際の心理臨床業務に準拠した実習を、心理教育相談室及び外部実習機関(病院や教育センター等)で行い、毎週3〜4時間をかけて、ケース担当実習時の指導とケース担当前後の打ち合わせやケースカンファレンス、スーパービジョンを行った。
 「応用行動分析学特論」では、臨床心理学コースの院生だけではなく、障害児教育コースや発達臨床コースの学生も多数受講する中で、教育相談、カウンセリング、障害児教育、学級経営等に役に立つ指導・訓練方法の実際について、豊富な事例を取り上げながら「応用行動分析」の最新知見や技法の実際を講義した。
 また、「発達障害学特論」についても、最近の学校現場で大きな問題として関心が高まっていることもあり、多数の受講生のもとで開講された。ここでもできるだけ最新の話題(新聞等で頻繁に報道されている話題も含めて)を取り上げ、発達障害に関する誤解や偏見を解き、正しい理解を促進することと、学校での教育的支援の具体的な方法論について講義を中心に授業を進めた。
 以上の各授業では、毎回の資料の印刷、パワーポイントやビデオ教材の使用を通して、知識や技術を実践的にリアルに再現できるよう工夫をした。
研究指導
 修士課程2年次生3名及び1年次生3名について,不登校や発達障害のある幼児、児童生徒への臨床心理学的な支援方法について研究指導を行った。その結果2年次生は、不登校を中心とする学校不適応の問題を取り上げた調査研究、軽度発達障害を中心とする思春期の生徒への小集団社会的技能訓練に関する臨床研究、及び通常の学級に在籍する軽度発達障害のある児童生徒への特別支援教育に関する、個別の指導計画の有効性を検証するためのシステム論的実践研究といった3つの修士論文を完成させた。これらはいずれも平成17年度に開催される各種学会で発表される予定である。また修士課程1年次生は、隔週の土曜日に思春期の発達障害のある人たちへの小集団社会的技能訓練プロジェクトを立ち上げ、ほぼ1年間にわたる訓練によって地域の障害児親の会への貢献を果たし、同時に学術的にも多くの知見を得て次年度の学会発表を行うことになっている。
 さらに、新潟県教育委員会派遣の内地留学生が1年にわたり研修を行った。この研究生には、科学的根拠に裏付けられた教育支援方法論を指導し、さらに近隣の小学校の協力が得られるように研究フィールドを整備した。そして、実際の学級での支援方法をテーマとした実践的な研究を指導し成果をあげた(これについても平成17年度の学会で発表予定)。
 また、学部学生は、4年次生1名と3年次生2名の指導を行った。4年次生は、卒業研究として「統合保育に関する調査研究」を行い、上越市や糸魚川市を始め多くの保育所の保育士の協力を得て調査を実施した。またこれらの結果についても公表し、近隣保育機関にこれらの知見を還元した。
その他の教育活動
@富山大学人文学部で「生徒指導論T」
A新潟県立看護大学で「心理学」の講義を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 臨床心理学及び学校心理学を基礎として、学校現場で役に立つ、教育相談やカウンセリング、及びコンサルテーションの方法論ついて教育研究指導を進めてきた。これらの指導や研究方法の提供は、学校教育現場を指向した学生や研究生に寄与できたと思われる。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年5月:『すぐに役立つ自閉症児の特別支援Q&Aマニュアル』(共編著)東京書籍
A平成16年9月:『特別支援教育を支える行動コンサルテーション』(共編著)学苑社
B平成16年10月:『臨床心理士養成指定大学院ガイド』(共著)日本評論社 p.31
@平成16年7月:『特別支援教育から見える、教育の新たな流れ』(単著)教育創造(高田教育研究会)第147号 pp.42-45
A平成17年2月:『ADHDのある子どもへの支援プログラム』(単著)児童心理 第59巻第2号 pp.90-94
B平成17年3月:『スクールカウンセラーに関する研究動向』(共著)上越教育大学心理教育相談研究 第4巻第1号 pp.163-190
@平成16年8月:『通常学級に在籍するADHD児の担任教員と母親に対するコンジョイント行動コンサルテーション』(共)日本LD学会第13回大会発表論文集
A平成16年9月:自主シンポジウム17『特別支援教育における行動コンサルテーションの役割(3)』(共)日本特殊教育学会第42回大会発表論文集 p.125
B平成16年9月:『自閉症児を受け持つ担任教師へのコンサルテーションに関する研究(7)』(共)日本特殊教育学会第42回大会発表論文集 p.276
C平成16年9月:自主企画シンポジウム7『学習理論における再発の問題を考える−実験室と臨床現場をつなぐ−』(共)日本カウンセリング学会第37回大会発表論文集 pp.75-76
@平成16年12月:『教員、学校や地域のシステムを支援する“行動コンサルテーション”のすすめ』(単著)日本LD学会会報 第51号 p.1
学会活動への参加状況等
@9月10日〜12日:日本特殊教育学会第42回大会出席・発表
A9月19日〜20日:日本カウンセリング学会第37回大会出席・発表
B日本行動療法学会編集委員
C日本発達障害学会評議員
D日本行動科学学会運営委員
◎特色・強調点等
 我が国における通常の学級における特別な教育ニーズのある児童生徒への支援方法について、集中的に研究を進めてきた。そして教育相談室等での児童生徒への直接的な指導や訓練のみならず、学校や家庭における教師や親を対象とした行動コンサルテーションの方法論の研究を進めており、その成果は、平成16年9月に著書(編著)として公刊した。また、これらを機に、積極的に学会等でシンポジウムや研究発表を行い、この領域の研究成果の蓄積や研究レベル向上に貢献したといえる。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成16年4月〜17年3月:新潟県スクールカウンセラー派遣事業における非常勤職員(上越市雄志中学校)
(2)4月〜3月:上越市教育委員会就学指導委員会委員
(3)4月〜3月:新潟県特別支援教育推進体制モデル事業専門家チーム委員会委員長
(4)4月〜3月:埼玉県上尾市就学指導委員会委員
(5)4月〜3月:新潟県教育委員会学校派遣カウンセラー
(6)4月〜3月:新潟県立高田養護学校学校評議員
(7)4月〜3月:埼玉県立総合教育センター調査研究委員会スーパーバイザー
(8)4月〜3月:新潟県糸魚川市保育士研修会講師
(9)新潟県臨床心理士会副会長
(10)5月〜6月:上越市特別支援教育推進員養成研修会講師
(11)5月:北海道立特殊教育センター講師(『特別支援教育における行動コンサルテーション』)
(12)6月:新潟県特別支援教育推進員養成研修会講師
(13)7月:新潟県立総合教育センター自閉症児教育講座講師
(14)7月:栃木県宇都宮市立教育研究所情緒障害教育研修会講師
(15)7月:長岡市立教育センターカウンセリング研修会講師
(16)7月:埼玉県入間地区特別支援教育研究会講師
(17)7月:埼玉県教育委員会特別支援教育推進研修会講師
(18)8月:上越市特別支援教育推進員検査法研修会講師
(19)8月:日本LD学会主催LD教育士養成講座講師
(20)8月:上尾市教育委員会特別支援教育研修会講師
(21)8月:茨城県鹿行特別支援教育研修会講師
(22)8月:(財)田中教育研究所保育カウンセリング研修会講師
(23)9月:新潟県特別支援教育推進員養成研修会講師
(24)9月:中越教育相談の会講師
(25)10月:独立行政法人国立特殊教育総合研究所短期研修会講師
(26)10月:新潟県立総合教育センター自閉症児教育講座講師
(27)11月:新潟県災害緊急派遣スクールカウンセラー
(28)11月:新潟県立南城高等学校校内職員研修会講師
(29)11月:東京都小平市教育委員会特殊教育研修会講師
(30)11月:新津市教育センター特別支援教育研修会講師
(31)12月:上越市心身障害児通園施設たんぽぽ園保護者研修会講師
(32)12月:鳥取県中部地区特別支援教育研修会講師
(33)12月:上越教育大学地域連携推進室主催『特別支援教育フォーラム in 上越:新潟県の特別支援教育の明日を語る』における企画、コーディネーター兼司会者を担当
(34)1月:埼玉県養護学校長会研修会講師
(35)1月:埼玉県総合教育センターLD・ADHD指導法研修会講師
(36)1月:上越教育大学附属幼稚園講演会講師
(37)1月:新潟県LD親の会(いなほの会)講演会講師
(38)1月:福井県教育研究所カウンセリング講座講師
(39)1月:富山県魚津市小学校研修会講師
(40)2月:新潟県災害緊急派遣スクールカウンセラー
(41)2月:上越教育大学地域連携推進室主催『学校教育相談フォーラム in 上越』における企画、コーディネーター兼司会者を担当
(42)3月:新潟県魚沼郡保育士会障害児保育研修会講師
(43)3月:埼玉県春日部市教育委員会通級指導教室職員研修会講師
◎社会への寄与等
 学内においては、1年間にわたって、心理教育相談室室長及び相談員として、外来ケースへのカウンセリングや教育相談、学校の教師等へのコンサルテーションを行ってきた。また、地域連携推進室の主催となる2つのフォーラムの企画及びコーディネーターを担当した。
 学外での寄与としては、主として、スクールカウンセラー等の巡回指導・相談業務、学校、教育センター、教育委員会、保育関連施設で開催される教職員研修会での講師を担当した。特に、不登校や非行、発達障害に関わる問題をテーマとした講演や、指導助言が大半を占め、現在の学校現場でのニーズに対して多くの貢献をしたと考える。

 


田 中   敏(学長特別補佐、教授併任)
<教育活動>
授 業
 学校教育の現場で役立つ知識・技術を学生に習得させることを第一目的とし、事例を中心にした授業を展開した。評価は○×式の客観形式と、思考力を試すオープンエンド形式の組み合わせで実施した。
研究指導
 学部学生の指導はない。大学院学生1人に対して、探索的データ収集から確証的実験計画へステップワイズに研究を進行するよう指導した。また、このほかに、インターネット・メールで調査法・データ分析法に関する主に大学院2年生の相談を20件以上受け付け、対応した。
その他の教育活動
@平成16年8月、信州大学教育学部にて「心理学研究法」を担当した。
A平成16年9月、富山大学人文学部にて「心理学研究法」を担当した。
B平成16年10月〜平成17年3月、長岡工業高等専門学校にて「心理学」を担当した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年10月:『クイック・データアナリシス』(共著) 新曜社
@平成16年5月:『知的好奇心の構成と遊びの分析』(単著) 教育展望 (教育調査研究所)
@平成17年1月:『JavaScript-STAR version 3.6.4j』(共作)
http://www.kisnet.or.jp/nappa/software/star/index.htm
A平成17年2月:『「心の安全教育」のすすめ』(単著) 健康な子ども (日本生活医学研究所)
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成16年6月:柏崎私立鯖石小学校にて3校交流会教員研修講師(『児童生徒の学習意欲を高める教科指導』を講演)
A平成16年11月:本学附属小学校にて授業研究会講師(『豊かな知性と創造的好奇心』を講演)

 


阿 部   勲(助教授)
<教育活動>
授 業
 受講者が,講議した内容の一つひとつをただ単に暗記したり,理解するだけでなく,その内容をめぐって,自分なりに考え,問題を発見するよう努力してきた。
研究指導
 学部,大学院ともに自分で問題意識をもち,自分で研課題を設定し,自分でその解明に努力するよう,こちらからの指示を極力さけて,学習支援に努めた。
その他の教育活動
@上越保健医療福祉専門学校「発達心理学」
A信州大学人文学部「発達と教育」(集中講義)
<研究活動>
学会活動への参加状況等
@10月9日〜11日:日本教育心理学会第46回総会(富山大学)に参加
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟労災病院倫理委員会委員
A新潟労災病院試験委員会委員

 


五十嵐 透 子(助教授)
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年3月:(共著)上越教育大学心理教育相談研究 第4巻 pp. 151-162
A平成16年7月:Evidence Based Therapy 中京大学臨床心理相談室紀要 第3・4号 pp. 70-74
@平成16年5月:『対人関係のストレスと対処B:ソーシャル・サポート』(単著) 臨床老年看護 第11巻3号,pp.90-93
A平成16年7月:『ストレスマネジメントの実際@:自分の状態に気づくことと不安、および睡眠』(単著) 臨床老年看護 第11巻4号,pp.91-94
B平成16年9月:『ストレスマネジメントの実際A:呼吸をより効果的に』(単著) 臨床老年看護 第11巻5号,pp.103-106
C平成16年11月:『ストレスマネジメントの実際B:漸進的筋弛緩法とイメージの活用』(単著) 臨床老年看護 第11巻6号,pp.41-44
D平成16年6月:『心理的アプローチの基礎』(単著) 糖尿病ケア 第1巻1号,pp. 101-104
E平成16年8月:『行動療法とは』(単著) 糖尿病ケア 第1巻2号,pp. 203-205
F平成16年10月:『健康障害に対する治療の準備状態の重要性』(単著) 糖尿病ケア 第1巻3号,pp. 295-299
G平成16年12月:『治療同盟の重要性とメッセージの伝え方』(単著) 糖尿病ケア 第1巻4号,pp. 417-423
H平成17年1月:『学習理論とレスポンデント条件づけ・オペラント条件づけ』(単著) 糖尿病ケア 第2巻1号,pp. 62-66
I平成17年2月:『糖尿病ケアへの行動療法の応用I-食事療法を中心として-』(単著) 糖尿病ケア 第2巻2号,pp. 180-185
J平成17年3月:『ポジティブな感情と健康維持増進の関連要素』(単著) 糖尿病ケア 第2巻3号,pp. 303-308
学会活動への参加状況等
@平成16年5月31日〜6月1日:日本精神保健看護学会
A9月11日〜15日:日本心理臨床学会

 


越   良 子(助教授)
<教育活動>
授 業
 大学院の学級集団心理学特論と社会心理学特論においては,受講者に現職教員が多いこともあり,現場での児童生徒理解や学級づくりに有用であり,かつ,内容が網羅的でなく体系的であることを念頭において講義を組み立てた。学部の学級経営の心理学および社会心理学においては,心理学の基礎知識が身に付くことを優先し,但し,子ども理解において留意すべき教師の基本的態度に関しては,繰り返し取り上げた。課題としては,特に学部では,基礎知識を優先させた結果,学生自身が考える機会を多く作れなかった点がある。
研究指導
 修論および卒論指導において,論文の体裁だけ整えるのでなく,既定の方法論や結果の良し悪しにこだわることなく,各自の問題意識を深化させ,各自の今後に生かせるような研究になることを重視した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年4月:『講座学校心理士−理論と実践 第4巻学校心理士の実践 中学校・高等学校編』第5章 教師の認知的特徴についてのアセスメント(分担執筆) 北大路書房
@平成16年9月:『学年教師集団の雰囲気と教師-生徒関係および生徒の学校適応感の関連』(共著)上越教育大学研究紀要 第24巻第1号,61-76.
@平成16年9〜11月『児童生徒を読み解く』教職課程(計3回掲載)
<社会との連携>
社会的活動状況
@附属中学校教育相談員
A上越保健福祉医療専門学校非常勤講師
B信州大学大学院非常勤講師

 


内 藤 美 加(助教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 大学院の講義では,自閉症を中心とする発達障害や社会性の発達に関する最近の認知発達心理学の研究成果を取り込んで内容構成を行い,子どもの発達についての心理学的理解を促すよう工夫した。大学院及び学部の実験では,実験レポートの添削およびその解説を行って心理学的データの分析方法と研究報告書の作成方法を習得させた。学部の概論講義では,心理学の面白さを体験させることを目標とし講義内容の理解に重点を置いた。講義3回に一度の割合で学生に質問票を提出させ,質問の解説に十分な時間をあてた。学部の専門科目では週ごとに模擬実験と講義を交互に実施し,認知現象を実体験させた後その理論的背景について解説するという方法をとった。
○成績評価法に関する取組状況
 教育心理学特論および概論では,試験によって講義内容の理解度を評価した。認知心理学では,模擬実験と講義のセットからなるトピック2つごとに1回,合計3回のレポートによって評価することを初回の授業でシラバスとともに明示し,各レポートの成績ならびに実験への出席を総合的に評価した。心理学実験および特殊実験では,基準点に達しない場合には再提出を課し心理学のレポートとして最低限の形式と内容を備えたものを評価対象とした。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 学部1名の卒業生は,心理学と教職に関わるより高度な実践力をつけるため,本学大学院修士課程に進学した。大学院1名の修了生は新潟県内の中学校に復職し,修士論文を学会誌投稿論文に書き直した。
研究指導
【観点1】学部
 3年生1名に対して,週1回定期的に書籍購読を行い,当該学生の関心領域である認知発達の研究方法とその知見を理解させた。4年生1名に対しては年間を通じて不定期に卒論研究を実施させ,卒業論文を執筆させた。
【観点2】大学院
 2年生1名に対して不定期にゼミを行い,修士論文の研究及び論文執筆指導を行った。特に実験データの収集と分析,結果の解釈について助言を与え,原稿に丁寧に朱を入れて論文の向上を図った。1年生1名に対しては,1月末まで定期的に国内外の心理学雑誌論文を講読させることにより,心理学論文の読み方とその内容把握の技能を修得させた。3月には関連論文をさらに集中的に読ませてその知見と問題点を把握させ,研究テーマの絞り込みと研究計画を策定する助言を与えた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 以上の教育活動を通じて,以下のような特色を持たせた。講義では模擬実験を頻繁に導入して心理現象の面白さを実感させた上で,それを理解するための心理学的な捉え方や説明の枠組みを修得させた。実験の授業では,レポートをなるべく詳しく添削して解説することにより,心理学の具体的な方法論を理解,修得させた。さらに研究指導では,各学生が抱いている問題意識を具体的な研究のレベルに落とし,実証的に検証するための方法を考えさせ,同時に関連する先行研究の知見を批判的に再考させて,検証すべき問題をより具体的かつ客観的に捉える能力を養った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年5月:『Is theory of mind a universal and unitary construct?』(単著) The ISSBD Newsletter,45, pp.9-11.
A平成16年9月:『幼児・児童期にみる対人的認知の発達』(単著)こころの臨床à la carte, 星和書店
学会活動への参加状況等
・平成16年8月:第28回国際心理学会招待シンポジウム話題提供『Age-and schooling-related influences on the development of number concepts and addition skills:Evidence from Japan』
◎特色・強調点等
 論文では,心の理論(人の信念や知識の由来を理解する能力)の発達が普遍的で単一の能力とはいえないことを日本の子どものデータをもとに論じた。従来一括りにされてきた心の理論が多元的な能力からなり,文化や言語によって発達の様相が異なるということを指摘した点で先進的である。国際心理学会シンポジウムでは,足し算方略と数概念が日本の子どもでは欧米の報告に比べ学校教育によって著しく向上することを報告した。

 


中 山 勘次郎(助教授)
<教育活動>
授 業
 大学院「学習心理学特論」では,動機づけに関する最新の研究成果をとり入れながら,教育実践への適用事例をあげながら講義した。また,過去のレポートの例とコメントをWeb上に掲載し,発展学習やレポート作成の参考にできるよう配慮した。
 学部「学習心理学」では,学習領域に限らず教育心理学全般にわたる基礎概念について講義を行い,さらに,最新の研究成果にもとづいて実際の授業のありかたを考える「授業の心理学」を開講して,体系的な学習を支援している。
研究指導
 学校現場の実践的な問題意識や発想をできるだけ活かしながら,それを心理学の視点から理論的に裏づけ,実際の学習指導や生徒指導に適用していく,という方針で指導にあたっており,本年度は「中学生の家族関係と社会的スキル」「中学生の無気力傾向の解明」「高校生の精密検査受診行動への影響要因」に関する修士論文が生み出された。
その他の教育活動
@平成16年度新潟県看護職員臨地実習指導者養成講習会講師(教育心理)
A平成16年度特別教職講座講師(教育心理学)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学校現場での実践という視点を常に意識しながら,内容を構成している。また,受講生の質問を積極的に汲み上げ,フォローしたり授業改善に役立てるよう努力している。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年4月:『学校心理士の実践 中学校・高等学校編』(共著)北大路書房
@平成17年3月:『児童の学習目的と意志決定関連要因との関係』(単著)上越教育大学研究紀要,24(2),769-782.
@平成16年12月:『意欲の評価』(単著)指導と評価,50(12),33-36.
A平成17年1月:『夢のチカラ』(単著)Z-SQUARE, (1), 9.
学会活動への参加状況等
@10月9日〜11日:日本教育心理学会第46回総会(富山大学)出席
A日本教育心理学会理事
B日本教育心理学会『教育心理学研究』常任編集委員
C日本教育心理学会学校心理学実行委員会委員
D日本学校心理士会新潟支部副支部長
◎特色・強調点等
 児童の学習への動機づけの予測因としての学習目的の影響性を中心に,個々の学習意欲の特徴をとらえようとする研究を継続して進めている。また,学習指導に関する教育的カウンセリングやコンサルテーションに対して,動機づけ理論にもとづいて提言を試みている。
<社会との連携>
社会的活動状況
@日本学校心理士会主催研修会講師(「教科指導のコンサルテーション」を講演)
Aカウンセラー学校派遣事業に基づく派遣カウンセラー(柏崎市立荒浜小学校・柏崎市立北鯖石小学校)
B附属中学校教育相談体制に基づく相談員
◎社会への寄与等
 前年度に引き続き,派遣カウンセラーとして臨床的な面での地域への支援を行うとともに,カウンセリング活動の学習指導への拡大についても,積極的な提言を行った。

 


藤 生 英 行(助教授)
<教育活動>
授 業
 「学校臨床心理学特論」においては,学校現場で出会う,いじめ,不登校,行為障害などを取り上げ,その発症,最新の対応方法などをわかりやすく説明する工夫を行った。学卒者には最新の文献をレポートさせるともに,現職のものには自分の経験してきた事例をレポートさせ,一方通行とならない授業を心がけ相互交流に勤めた。学校危機介入の考え方などもわかりやすく説明した。
 「家族・集団心理学特論」においては,集団心理療法から集団作業までをグループアプローチとして位置づけ,その心理メカニズムを概説すると共に,課題を課し適宜グループ経験を受講者に心がけた。
 「臨床心理基礎実習1」は,藤生が1人でカリキュラム整理をしカウンセリングの基礎となる,コミュニケーションスキルについて,ロールプレイを交えながら実施し,定着をはかった。不足しているカウンセリング手法の演習も含め,臨床心理学に関する事柄をわかりやすく説明した。体得しやすいように,適宜実践を取り入れて現職教員に理解しやすい形態に工夫した。
 また,全学選択必修授業「臨床心理援助法」のオーガナイズし授業を体系立てるとともに,授業運営を担当し,実際に一コマ担当した。全学選択必修授業「学校心理解析法」の一コマを担当した。そのほか,共同担当授業も多く行った。シラバスへの授業内容の明記は,すべての担当授業科目において実践した。成績基準もシラバスに掲載した上,授業での説明を行い実施した。現職教員と学卒から大学院生が構成されているので,それぞれに有益であるよう,目的意識を持たせ指導を行った。
 それぞれの,成績評価基準についてはシラバスに明確化し,それに基づいて評価した。
研究指導
 平成16年度は3年生が1人おり,卒論テーマに関わる専門文献の購読を行った。先行研究の確認,実際の調査のプランニング,結果をまとめなどを通して卒論指導を行った。臨床的な実践力を修得させるために,適宜学校教育相談事例などの検討もおこなった。
 また,大学院においては修士1年3名,2年4名の研究指導を行った。それぞれの関心領域の文献購読などを行った。1年生は,多彩な関心があったがそれぞれについての,文献購読,予備調査などを指導した。2年生にはそれぞれの関心領域である先行研究の確認,実際の調査のプランニング,結果をまとめなどを指導した。また,大学院生については,相談室において受理した相談事例への実際の対応を通して,相談の進め方,見立て方,介入の仕方,症状への知識の獲得などを,サブゼミで行った。また,カリキュラム外で,サブゼミとして大学院生および学部生に対して「うつへの認知行動療法」に関わる3つの基礎文献の英文購読を行った。このほか,富山県からの現職派遣短期内地留学生1人に対して,論文指導を行った。また,県内のスクールカウンセラーに採用された修了生を交えてのグループスーパーバイズを行い,臨床実践上でも最新の知見などを取り入れることを援助した。
 大学院修了生4名と内地留学生1名が,その成果の一部を心理相談室紀要に論文として投稿し掲載された。そのほか,大学院修了生1名は日本教育心理学会において連名で発表し,大学院在学者1名が日本健康心理学会にて連名で発表した。大学院修了生1名は,学術雑誌カウンセリング研究に修正採択となった。
その他の教育活動
@筑波大学大塚地区心理・心身障害教育相談室非常勤相談員として,相談場面を通しての指導を行った。
A浦川原村立浦川原中学校において,10回にわたる教員対象のコンサルテーションを行い,その1部として,ピアカウンセリング導入基礎として,全校生徒対象のカウンセリングスキル訓練の講義を大学院生とともに2回に分けて実施した。
B上越ケーブルテレビジョンにて,市民講座「ストレス:うつとの関連」を撮影,市内で放映された(地域連携業務として無償出演)。
C学校教育相談フォーラム「学校における危機介入をめぐって」パネルディスカッション・コーディネーター担当
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 授業,研究指導以外に,相談室事例を通した実際の介入方法などを中心に指導を行うことで,現場で役立つ知識・技能を獲得させることができたと考えられる。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年3月:『高校生の自己分化度と情動や行動の問題との関連についての検討』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究,4,15-24.
A平成17年3月:『中学生における自尊感情の不安定さと攻撃性・うつとの関係』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究,4,25-38.
B平成17年3月:『怒りの表出抑制と抑うつへの反応スタイルとの関連』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究,4,39-47.
C平成17年3月:『定時制高校におけるサポートについての研究−単位制による定時制高校と全日制高校のストレス比較』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究,4,49-56.
D平成17年3月:『教師によるソーシャル・サポートがストレス関連要因の軽減に及ぼす効果の検討−ストレス関連要因と不適応行動との関連を踏まえて−』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究,4,57-75.
@平成15年8月:『Comparing eating attitude and behaviors between Chinese and Japanese female university students.』(共著) 17th Congress of the International Association for Cross-cultural Psychology, August 2-6 2004 Xiian China.
A平成15年9月:『怒りの抑制と抑うつへの反応スタイルとの関連』(共著)日本健康心理学会第17回大会
B平成15年10月:『定時制高校におけるサポートのための基礎研究−単位制による定時制高校と全日制高校のストレス比較−』(共著)日本教育心理学会第46回大会
共同研究の実施状況
@行為障害傾向を持つ子どもへの介入プログラム開発のための基礎研究 代表者:藤生英行(上越教育大学助教授)科学研究費補助金
A危険行動の予防 代表者:勝野伸吾(兵庫教育大学教授)連合大学院研究プロジェクトC
国際研究プロジェクトへの参加状況
・北京師範大学臨床心理教員との摂食障害の日中比較研究を実施中であり,平成16年度に西安で開催された国際異文化心理学会において共同発表した。
Jianping Wang, Wei Chen, Hideyuki Fujiu, Dandan Fu, Freedom Leung 2004 Comparing eating attitude and behaviors between Chinese and Japanese female university students. 17th Congress of the International Association for Cross-cultural Psychology, August 2-6 2004 Xiian China.
学会活動への参加状況等
@5月:日本学生相談学会出席
A9月:日本教育心理学会出席
B9月:日本心理学会出席
C10月:日本健康心理学会出席
D学会誌カウンセリング研究の編集
E学会誌健康心理学研究の編集
F学会誌日本教育実践学研究の査読
G学会誌教育心理学研究の編集
H専門健康心理士資格取得(日本健康心理学会)
I臨床発達心理士資格取得(臨床発達心理士資格認定機構)
◎特色・強調点等
 大学院生に強調しているように,心理学における臨床実践は,実践のみならず,研究・教育も必要であるという観点から,研究での成果もあげる必要がある。研究的観点から絶えずその実践が有益であるかどうかを客観的に評価するためである。そのような趣旨から,特に実践上役に立つことに焦点を当て,それについて研究を行った。
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月から3月:新潟県学校派遣スクールカウンセラー(浦川原村立浦川原中学校)
A上越教育大学保健管理センター精神衛生カウンセラー(学生カウンセラー)
B上越教育大学心理教育相談室相談員として,地域の教育・心理相談
C上越教育大学心理教育相談室運営委員会委員
D上越教育大学心理教育相談室専門部会部会長
E筑波大学心理・心身障害教育相談室非常勤相談員として,地域の教育・心理相談
F本学で実施された大学院説明会への参加
G臨床心理士養成大学院連絡協議会への本学代表として参加
H臨床心理士指定大学院査察への対応
I兵庫教育大学連合大学院プロジェクト研究Cへの参加と発表会での発表
J中越震災による臨床心理士派遣業務(7回担当)
Kさいがた病院における電話相談ボランティア「こころのホットライン」(2回担当)
L独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)実用化開発助成事業ピアレビュー者(7件)
M連合紀要「学校実践学論集」査読者
◎社会への寄与等
 地域への知識普及の拠点として,上越教育大学があるとの観点から,業務上差し支えない範囲で知識普及に勢力を注いだ。また,現場のニーズとして,こころの問題についての知識や技能への要望が高い。しかしながら,今後このような多忙な状態が続くと,研究上差し支えると考えられ,今後は対応を減らさざるを得ない状況である。
 教育相談への要望も高く,そちらへの対応でも地域貢献ができたと考えられる。しかしながら,当相談室へ来談するケースの多くは,この地域での相談機関を転々としてくるものが多く,地域全体での臨床専門家の臨床技能や知識の向上が必要であると考えられる。このための,活動も今後大学として対応する必要があろう。

 


宮 下 敏 恵(助教授)
<教育活動>
授 業
 「教育実地研究Xカウンセリング論」では、学校現場において多様化する問題行動を幅広く理解し、援助をおこなえる実践力を身につけるために、今年度はティームティーチングにより、それぞれの専門分野について講義を行った。「臨床心理学特論U」では、分析的心理学、イメージ療法、遊戯療法、催眠療法などについて幅広く講義を行い、リラクセイション技法や風景構成法など臨床現場で役立つ方法についても実践的に行った。
 授業内容については、シラバスに明記し、より実践的な教育相談、カウンセリングの知識を身につけるために、実習をおこなったり、教育現場で生かせるための体験的授業を行った。
研究指導
 平成16年度は学部3年生2人、4年生2人、大学院1年生3人、大学院2年生1人の計8人にゼミ指導を行った。学部3年生については、それぞれの関心領域について臨床心理学の基礎研究の文献購読を行った。学部4年生については、親の養育態度が友人関係、ソーシャルスキルに及ぼす影響についての調査研究、音楽による気分の変化についての実験研究について指導を行った。大学院1年生については、共感性、教育相談の指導体制活性化、S-HTPテストを用いた児童理解などの文献購読を行い、研究指導を行った。大学院2年生については、教員の指導態度・行動を向上させる自己研修方法プログラムの開発についての研究について指導を行った。
 また、学校現場における教育相談の実践力を習得させるために、カウンセリング技術をはじめ、様々な臨床技法の実習を行った。さらに、心理教育相談室において受理した事例への関わりを通して、事例の見立て、面接の進め方、面接技術、介入方法、さまざまな病理や症状の知識について指導を行った。
その他の教育活動
@新潟県立看護短期大学専攻科非常勤講師(「パーソナリティの諸問題」を担当)
A放送大学教養学部非常勤講師(「臨床心理学実習T」を担当)
B信州大学農学部非常勤講師(「生徒指導」を担当)
C新潟県立上越テクノスクール非常勤講師(「高齢者への心理的援助」を担当)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 主に、教育相談を中心とした実践力を習得させるために、授業、研究指導等をおこなった。学校現場で直接役立つ技術の指導をおこない、児童、生徒への関わり方について指導をすすめた。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年4月:『講座学校心理士−理論と実践 第3巻 学校心理士の実践:幼稚園・小学校編』 北大路書房 第15章担当
@平成17年3月:『小学校・中学校における心の居場所に関する研究』(共著) 上越教育大学研究紀要,24(2),pp.783-801.
A平成17年3月:『中学校教師の指導態度の変容への試み−自己研修形式による研修を通して−』(共著)上越教育大学心理教育相談研究,4(1),pp.77-89.
B平成17年3月:『手の左右開閉動作が気分に及ぼす影響−特性不安の観点から−』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究,4(1),pp.91-101.
@平成16年10月9日〜11日:『小学校・中学校における居場所の検討』(共) 日本教育心理学会第46回総会発表
学会活動への参加状況等
@9月8日〜9日:日本心理臨床学会出席
A9月18日〜20日:日本催眠医学心理学会出席
B平成16年日本催眠医学心理学会理事(学会誌の編集、研究担当)
◎特色・強調点等
 研究としては、感情の制御方法に関する研究、否定文の及ぼす影響についての研究、さらには教師のメンタルヘルスについても研究をすすめている。
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成16年4月〜平成17年3月:新潟県スクールカウンセラー活用事業によるスクールカウンセラー(上越市立城西中学校)
A平成16年6月、11月:新潟県カウンセラー学校派遣事業による派遣カウンセラー(上越市立春日小学校)
B平成16年7月:新潟県カウンセラー学校派遣事業による派遣カウンセラー(上越市立大町小学校)
C平成16年7月:三条市本城寺中学校水害についてのメンタルヘルス研修会講師
D新潟県小・中・特殊教育諸学校教職12年経験者研修地区別全体研修「いじめ問題の基本的認識と学校の説明責任」講師
E平成16年8月、12月:上越市立教育センター主催カウンセリング研修会講師「ことばにならないことばを聴くテクニック」
F平成16年8月:新潟県カウンセラー学校派遣事業による派遣カウンセラー(上越市立谷浜小学校)
G平成16年8月:新潟県カウンセラー学校派遣事業による派遣カウンセラー(上越市立古城小学校)
H平成16年10月:日本学校心理士会主催研修会「前思春期の病理的問題への援助・介入」講師
I平成16年11月:上越市立直江津南小学校職員研修会講師
J平成16年11月:「新潟県中越地震に係わる児童生徒の心のケア」研修会講師
K平成16年11月:妙高町立妙高北小学校職員研修講師
L平成16年11月、12月、1月、2月、3月:「新潟県中越地震に係わる児童生徒の心のケア」カウンセリング派遣
◎社会への寄与等
 主として上越地域の学校にスクールカウンセラー、学校訪問カウンセラーとして直接訪問し、教職員の研修に関わった。不登校をはじめとする事例への対処方法、職員研修のありかた等についてコンサルテーションを行った。また上越地区を中心として、心理的悩みを抱えて心理教育相談室に来談する児童、生徒、成人に対して、心理療法を行い、地域のメンタルヘルスのために寄与した。

 


井 沢 功一朗(講 師)
<教育活動>
授 業
学部:個性の心理学
 パーソナリティ心理学について,その研究の歴史を追い,現在のパーソナリティ研究の主流となっている大5因子論まで概略した。さらに,青年期の心理社会的な発達に焦点を当てた補講も実施した。現代のパーソナリティ心理学が対象とする領域は幅広く多様性を増してきているので,それらを概略的に説明しながら,人の個性をとらえる観点を柔軟にすることを目的としたところが特色である。一方で,受講者が教育実習のために授業に参加できないことが多くあったため,次年度では集中講義にするなどの工夫が必要である。
大学院:臨床的パーソナリティ発達論
 まず,パーソナリティ心理学の基礎知識について講義した後,特に臨床心理の領域で問題となるパーソナリティ障害について,系統的な授業を行った。この領域については,精神医学的知識から分子生物学の知識まで,きわめて幅広い見識が要求されるが,カバーできる範囲でそれらの最先端の研究の導入を行った。
大学院:投影法特論
 被験者の精神状態を測定するための最も伝統的かつ信頼性の高い方法として特にロールシャッハ・テストを取り上げ,施行の仕方,採点方法,一般的な所見の書き方などの基礎的技法について実習をまじえた講義を行った。特に,実際の事例についてそれを分析するという課題を一貫して行った点が本講義の特色である。また,問題点としては,グループ単位での実習では個別的理解があまり深まらないということが考えられたため,そうした問題点を解消すべく,次年度の講義・実習形態についていくぶん修正を加える予定である。
研究指導
 ゼミ生2名を対象に,修士論文作成に向けた専門的指導を行った。入門書から入り,徐々に海外の文献にもあたるなどして,臨床心理学研究の基礎とともにより進んだ現在の研究動向についての教示を行った。扱った分野は知覚および神経心理学から社会臨床心理学まで幅広い範囲におよんだ。
その他の教育活動
 心理教育相談室で,相談面接の指導を行った。その中で,相談者の問題の見立て方や,相談者のその時の状態に合わせてどのような対応が求められるのかといったことに焦点を当てて,実習指導した。このような,具体的事例に対する相談活動実施と並行して,現在の認知行動療法に関する基礎的テクニックについての指導も行った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年1月:『新・心理学の基礎知識』 (共著) 有斐閣
学会活動への参加状況等
・日本パーソナリティ心理学会機関誌『パーソナリティ研究』編集委員
◎特色・強調点等
 『新・心理学の基礎知識』は,現在の心理学研究の最新の動向をまとめた伝統あるハンドブックの改訂版であり,その中で,著者が担当した弁証法的行動療法の紹介は,我が国の心理学研究の未来の一つの方向性を示すししんを提供したといえる。
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県立出雲崎高校教員研修講師(2004年7月26日)
A文部科学省スポーツ・青少年局災害時特別対策カウンセラー
B上越市立教育センター教員研修講師(2005年1月6日)
C中越大地震被災者電話相談員(心のケア・ホットライン)
◎社会への寄与等
・主に,中越大地震被災者に対する心理的ケアに重点的に携わった。

 


米 山 直 樹(講 師)
<教育活動>
授 業
 授業参加者の意欲を引き出させるため,演習を多く導入し,学校現場に即応した形で臨床心理に関する事例を用いて説明するなどの工夫を行った。また,授業中に講師の説明に集中させるため,毎回授業内容をまとめたレジュメを配布し,それに従って授業を進めた。成績評価も出席点とレポートにより行い,客観性を保つ形で行った。修了生は学校現場に戻ってから教育相談や生徒指導等の臨床的業務の役割を担うことが期待されている。
研究指導
 学部における研究指導については,教師として学校現場に入った時に,児童生徒の問題へ即応的に取り組める教育実践力を修得させるため,学級現場で問題となっている事象に関する教育研究に取り組ませた。大学院における研究指導では,現場で生じている様々な問題に対して具体的対応法を習得させるために,即効性の高い内容の臨床研究を進めさせた。特に臨床心理学という学問の特殊性から,単に机上の理論だけでなく,臨床実践を重視した。
その他の教育活動
@大学院臨床心理学コース学生に対する学内(心理教育相談室)及び学外(県立精神医療センター)指導
A附属中学校生徒の研究活動に対する指導・助言
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 臨床心理学という観点から,学校現場で生じている様々な問題への対応法を学部,大学院,及び学校現場の教師に対し伝達した。特にその際,心理学に関する理論を伝えるだけでなく,実際の臨床事例に即応できる具体的かつ効果的な講義・実習内容になるように留意した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年3月:『育児関連項目の因子構造と、母親の属性による因子得点の差異の検討』(共著)上越教育大学心理教育相談研究 第4巻第1号 pp.103-115.
@平成16年10月:『行動療法における「職人芸」をいかにデータとして表現するか』 日本行動療法学会第30回大会シンポジウム「若手研究者から見た行動療法」シンポジスト
A平成16年10月:『特別支援教育における大学附属心理教育相談室の役割』 日本行動療法学会第30回日本行動療法士会企画ナイトシンポジウム「専門機関の積極的援助と地域ネットワーク」シンポジスト
共同研究の実施状況
・公立中学校における軽度発達障害をもつ生徒への特別支援教育システムの開発 代表者:米山直樹(上越教育大学講師) 科学研究費補助金
学会活動への参加状況等
@7月20日〜24日:World Congress of Behavioral and Cognitive Therapies 2004出席
A9月8日〜11日:日本心理臨床学会出席
B10月9日〜11日:日本行動療法学会出席
◎特色・強調点等
 特別支援教育に関する研究を軸に,それに関連した学校教育相談システムの構築や,軽度発達障害に関する研究を二次障害まで網羅する包括的な研究を行ったことは,従来の枠組みを脱却した非常に先進的な試みだと思われる。いずれの項目においてもその中心概念は「学校支援」であり,この観点から教育臨床活動を進めている点が特色といえる。
<社会との連携>
社会的活動状況
@「スクールカウンセラー活用事業」に基づくスクールカウンセラー(柿崎町立柿崎中学校・柿崎町立柿崎小学校・柿崎町立上下浜小学校:文部科学省及び新潟県1/2事業)
A「カウンセラー学校派遣事業」に基づく派遣カウンセラー(板倉町立板倉中学校・板倉町立針小学校・板倉町立豊原小学校:新潟県教育委員会)
B「災害時における児童生徒の心のケア特別対策事業」に基づく被災した児童生徒の心のケアのためのカウンセラー(小千谷市立千田中学校・小千谷市立東小千谷中学校・大島村立大島小学校・安塚町立安塚小学校・川口町立田麦山小学校:文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課)
C本学心理教育相談室相談員
D新井市1歳6ヶ月児健診心理相談員(新井市健康福祉課)
Eテレビ公開講座講師(『ストレスの受け取り方、とらえ方』を講義:上越教育大学・上越ケーブルビジョン共催)
F平成16年新潟県中越地震こころのケアホットライン相談員(新潟県臨床心理士会)
G新潟県立上越テクノスクール非常勤講師(『心理的援助方法:障害者の心理』を講義:新潟県)
H上越市立教育センターカウンセリング研修会講師(『カウンセリング面接の基本と演習』を講義:上越市)
I中頸城郡学校保健会養護教諭部研修会講師(『こどもの心のみとりと支援のあり方について 〜養護教諭の役割についてスクールカウンセラーから見えること〜』を講演:中頸城郡学校保健会)
J本学オープンキャンパス公開授業講師(『心理学入門 〜こころの学問とはどんなもの〜』を講義)
K子どもと親の相談員活用調査研究事業連絡会講師・指導者(新潟県教育委員会)
L柿崎町教育研究会生徒指導部研修会講師(『LD,ADHD,高機能自閉症等への理解と支援』を講演:柿崎町教育研究会生徒指導部)
M新潟県教職12年研修会講師(新潟県教育委員会)
N頸城地区教職員厚生行事メンタルヘルス研修会講師(『くよくよ悩まない 〜ものごとの考え方・とらえ方〜』を講演:頸城地区教育研究会保健体育部・保健教育委員会)
O東頸城郡学校教育振興協議会生徒指導研究部研修指導者研修会講師(『軽度発達障害の理解について 〜スクールカウンセラーの経験から〜』を講演:東頸城郡学校教育振興協議会)
P柿崎町立下黒川小学校生徒指導研修会講師
Q糸魚川市立糸魚川小学校子育て講演会講師(『子どもの育ちと親の子育て』を講演)
R板倉町立板倉中学校生徒指導研修会講師
S糸魚川市立上早川小学校家庭教育学級講師
◎社会への寄与等
 平成16年新潟県中越地震で被災した地域の小中学校に対する支援を行い,災害復興に寄与した。
 スクールカウンセラー活動を通じて,学校現場が抱えている問題に積極的に関わった。
 本学心理教育相談室相談員として,上越近郊に在住する方達の精神衛生向上に寄与した。
 児童生徒の保護者に対し,子育て支援に関する講演会を開催し,上越地域の子育て支援向上に寄与した。

 


吉 田 真 弓(助 手)
<教育活動>
授 業
 大学院授業「臨床心理基礎実習T」では,臨床心理学的な面接技法の習得にかかる指導補助を行った。また,「臨床心理基礎実習U」では,学外見学実習の日程調整および引率を行い,自発的な学習と理解を促進するためのレポート作成を求め,指導を行った。
 「臨床心理実習U」の学外臨床実習においては,実習目的の明確化と実習における学習の深化を目的とした実習前指導,および,実習期間中の学内・実習先指導,実習後指導について指導補助を行い,臨床実習における理解の促進を図った。また,「臨床心理基礎実習T,U」,「臨床心理実習T,U」におけるインテイク・カンファレンスおよびケース・カンファレンスにおいて,心理教育相談室における臨床実践にかかる助言と指導を行った。
研究指導
 卒業論文,および修士論文にかかる発表会,審査会において,助言と指導を行った。また,適宜,学生のニーズに応じて研究にかかる助言と指導を行った。
その他の教育活動
 放送大学「臨床心理学実習U」の非常勤講師として,臨床心理学の実践にかかる実習授業を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 心理臨床の基礎となる面接技法の習得を援助するとともに,さまざまな活動領域における臨床心理士の役割や機能,他職種や他機関との連携の在り方について見学実習,学外臨床実習を通じて指導を行っている。それらは,臨床的なオリエンテーションに関わらず,心理臨床の実践に重要な学習内容である。そうした心理臨床実践の基礎となる学習内容に加えて,精神分析的観点から,防衛機制や精神病理,家族力動などによる葛藤・衝動の扱われ方に留意した臨床的助言と指導を行い,多様な観点からのケース理解の獲得を援助している。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年3月:『幼児の要求行動に対する母親の感情と情緒調整的対応』 (単著) 上越教育大学心理教育相談研究第4巻第1号 pp.117-126.
@平成16年9月:『「白雪姫」の人形遊びを通して,思春期葛藤を表現した女児事例』 (単独) 日本心理臨床学会 第23回大会発表論文集 p.142.
学会活動への参加状況等
@平成16年9月8〜11日:日本心理臨床学会第23回大会出席,発表
A平成16年10月1〜3日:第50回日本精神分析学会出席
◎特色・強調点等
 幼児が情緒調整機能を獲得するにあたり,幼児の情緒表現を養育者がどのように受け止めてきたかは重要である。本研究では,幼児の要求表現を取り上げ,1歳半から4歳11ヶ月までの幼児を持つ母親を対象に幼児の要求表現に対する感情と対応,その背景要因について検討し,育児支援のあり方について考察を行った。
 思春期の女児においては,母親からの自立と女性性の獲得は主要な発達課題である。意識的・言語的な思春期葛藤の表現に先行して,人形遊びを通して遊びの中で葛藤を表現し,また,それを乗り越えていくための素地を獲得した症例研究を通じて,思春期葛藤の解消を援助する治療者の役割について論じた。
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県立高田高等学校 心理相談員(月2回,2時間),教師対象の心理相談研修会講師
A能生町健康福祉課 育児支援事業「3歳児健診」,「1.5ヶ月児健診」,「乳児育児教室講師」
B医療法人社団うえくさ小児科 心理相談員(月3回,7時間)
C新潟県カウンセラー学校派遣事業 八千浦小学校(年2回),八千浦中学校(年2回)
◎社会への寄与等
 学内外での心理相談業務および,カウンセラー学校派遣事業,高田高校での心理相談研修における教員への講演およびコンサルテーション,乳幼児を育てる養育者への教育・相談活動を通じて,地域の健康福祉の増進に寄与している。