【社会系教育講座】
 

赤 羽 孝 之(教 授)
<教育活動>
授 業
学 部
 地域と産業・社会、経済地理学、地理学実験、地理学野外実験、地域調査法B、実践セミナーT、地理学専門セミナーT・U
大学院修士課程
 人文地理学特論、実践場面分析演習T、地理学研究セミナーT・U
研究指導
 社会系コースの修士課程2年次生1人、研究生(留学生)1人の研究指導。
その他の教育活動
・非常勤(集中講義):9月6〜12日、信州大学人文学部で「文化生態学特殊講義」を講義した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 中国遼寧省・吉林省・黒竜江省、アメリカ・ロスアンゼルス、新潟県上越地方などの自主的な地理巡検旅行、その際の各地で得た地理情報をスライド映写・説明などの形で講義・ゼミなどの授業に生かした。
<研究活動>
 前年度から継続の、中国東北地方の経済・図們江経済開発地域・中朝国境における貿易などの文献研究を行った。そして本年8月9日〜23日の15日間の中国東北地方への調査旅行を実施した。遼寧省大連〜吉林省朝鮮族自治区・延吉・琿春・図門などに滞在、その後、長春〜黒竜江省哈尓濱〜新潟の行程であった。撮影した多くの写真や資料・文献等を使って、講義などの授業に生かし、さらに考察を深めたい。
 9月・10月には、新潟県の地理学関係者グループによる、地形図を利用したガイドマップと文章の「新潟県ウォッチングマップ」の調査を牧村・清里村・上越市などで行った。平成17年度には、新潟県各市町村を網羅する形で調査・編集の作業に入っており、担当市町村の執筆のみでなく、企画・編集の仕事にも関わった。
研究成果の発表状況
@講演『現代中国の現状』 日本地理学会地理教育部会夏季研究会,平成16年7月23日、於・上越教育大学
@書評:岡橋秀典編著「インドの新しい工業化−工業開発の最前線から−」新潟経済地理学会年報 第12号,pp.40〜42.
学会活動への参加状況等
@上越教育大学社会科教育学会(10月23日)
A人文地理学会大会(於:仏教大学,11月13・14・15日)に参加・出席し、研究者交流を行った。
◎特色・強調点等
 東北部の大連・長春・哈尓濱など主要都市の資料入手、中国と北朝鮮・ロシア沿海州の3国国境地帯での経済発展の可能性と現状を視察・見聞できたことは大きな収穫であった。とくに琿春市と上越市は友好都市であり、そこでの対外解放区・自由貿易区・工場団地などの現状と事務所での聴取調査は、今後の環日本海交流、直江津港を通じた交易などを考える上で大きな参考となった。
 また、「新潟県ウォッチングマップ」の実地調査と企画・編集の仕事は、市町村の大規模広域合併が進行中の時期であり、県内各市町村の地図と地誌を記録し一般市民向けの出版物として出す事には意義があろうと思われる。
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市史編集委員
A上越TMO協議会委員(副委員長)
B上越市公共事業評価監視委員会委員(委員長)
C上越市景観審議会委員(副委員長)
D関川流域委員会委員
E上越市商工会議所政策委員会(委員長)
F上越市北陸新幹線建設促進期成同盟会顧問
G上越市公文書館整備検討委員会委員
H新潟地域文化デジタル化研究会(代表幹事)  など
◎社会への寄与等
 上記の各種委員会の委員・委員長として、上越地方・新潟県の地域経済・産業・文化・景観・自然などが抱える諸問題・諸課題を他の市民・研究者・行政機関と共に考え意見交換し、方向性や方策を考える事ができた。
 

大 嶽 幸 彦(教 授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 学部の授業では講義だけでなく、作業学習や発表形式も加え、学生の実践的能力がつくようにした。特に2年生には教員採用試験や各種の就職試験に対応できるように毎時間小リポートを書かせ、添削して翌週返却した。
 大学院は現地調査に基づいた発表形式を取り、報告者を中心に討議すると共に、全員で事前・事後の学習を踏まえた1日巡検を実施し、実践的な力がつくよう工夫している。
○成績評価法に関する取組状況
 シラバスに明記したとおりに、出席状況、発表状況、毎回の小リポート、最後の筆記試験を点数化して総合評価し、学生・院生の納得のゆくように事前・事後に説明している。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 学部1年次の授業から本学が教員養成大学であることを自覚させ、講義のなかにワークを入れて作業させると共に、教員採用試験の出題箇所についても折にふれ説明している。授業時の成績と就職状況との相関もあることから、日頃の授業形態が進路に貢献していると判断している。
 大学院の修了生も指導的立場で活躍している者も多く、授業の方式が十分役立っていると考えている。
研究指導
【観点1】学部
 どのような課題が与えられてもみずから考え、調査項目を決めて調査し、かつ教育現場に還元できるような教育の視点を意識させた研究指導を行っている。
【観点2】大学院(修士課程・博士課程)
 修士課程では、専門の研究テーマを院生自らが深めるのを手助けすると共に、教材化の視点からもテーマに取組ませ、実践力をつけて教育現場に入れるよう指導している。博士課程では、新しい教育実践学の構築に寄与するよう、より独創性のある論文作成をめざすよう指導している。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学生、院生がみずから課題に取組み、教官はあくまでその手助けをして能力を引き出す役に徹するよう心掛けている点が以上を通底している。しかしながら、以前ほど課題に質的にも量的にも取組まない学生が出てきているので、どのように動機づけるかが今後の課題である。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年9月:『アルザス・ロレーヌ通信』(単著) ディーティーピー出版
@平成17年3月:「英語版人文地理学概説書に関する一考察」(単著) 上越教育大学研究紀要 第24巻第2号 pp.393〜409
@平成17年2月:『「地図と地誌」授業記録」(平成16年度後期)』(単編著)
@平成16年11月:『地理学から見た「農商務省蔵版 欧米巡回取調書」』(単著)
学会活動への参加状況等
@9月24日〜26日:日本地理学会秋季大会出席
A11月12日〜14日:人文地理学会出席
B3月28日〜30日:日本地理学会春季大会出席
◎特色・強調点等
 アカデミックな研究成果のみならず、教育現場に還元できるような著書・冊子・論文・授業記録などにまとめ、関係機関に配布している。
 

佐 藤 芳 コ(教 授)
<教育活動>
授 業
 大学院の「自然地理学特論」では,自然地理学の最新の研究成果を取り入れて講義した。また,資料等の教材化も念頭に入れて授業内容を構成している。学部の授業では,環境科学的内容を充実させたほか,地理学野外実験などの実験科目を中心に,学生が地理的現象を直接取り扱えるよう授業内容を工夫した。必要に応じてIT機器を利用した。
研究指導
 卒業研究においては,地理学関係,特に自然地理学を中心に指導を行った。また,修士論文作成においては,地理学的な見地からの助言を行った。
その他の教育活動
 信州大学教育学部において大学院「自然地理学特論」,学部「自然地理学概論」を担当した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年9月:『上越地域の湖の水文環境』(単著) 上越教育大学研究紀要 第24巻 第1号pp.161-170
@平成16年10月:『磐梯山および猫魔ヶ岳周辺地域の陸水の地球化学的特性について』(共) 2004年度日本水文科学会学術大会研究発表
共同研究の実施状況
@独立行政法人産業技術総合研究所の研究員と共同で,同位体水文学についての研究を行った。
A日本水文科学会研究ワーキンググループ「日本の火山の地下水−性状と水文プロセスの体系化に向けて−」における共同研究
学会活動への参加状況等
@3月27日〜28日:日本地理学会出席
A10月30日〜31日:日本水文科学会出席
<社会との連携>
社会的活動状況
@日本水文科学会評議員
A庄川扇状地水環境検討委員会委員(国土交通省)
B新潟県自然環境保全審議会専門調査委員(新潟県)
C上越市環境審議会委員(上越市)
D上越市水道水源保護審議会委員(上越市, 委員長)
Eダム水源保全・涵養検討委員会(上越地域水道用水供給企業団,副委員長)
F上越市史専門委員
◎社会への寄与等
 8月12日:上越水資源開発協議会において高田平野の地下水流動について講演
 

鈴 木 敏 紀(教 授)
<教育活動>
授 業
 授業の特色は、学部の「経済学概説」「経済学文献講読」「自然と人間」「アメリカ事情」「公民教材開発論」「経済学領域専門セミナーT・U」、大学院の「経済学特論」「経済学専門セミナーT・U」において、基本的な専門的用語及び理論を文献、統計資料、新聞記事などを活用し解説すると同時に、テキストの各節を受講生が要約し、その関連する事柄について独自の文献研究を行い、その深めた内容を発表して議論する形態をとったことである。
研究指導
 卒業研究では主に先行研究、文献研究及び資料研究に基づいたアンケート調査を行い、先行研究の上にさらに独自の実証内容を付加した優れた卒業研究論文を作成させることに成功した。これは特に卒業後の教育実践において実際的経済活動の姿をシュミレーションすることに役立つものと思われる。
 修士論文では、主に先行研究、文献研究及び最新の統計資料分析を中心に据え、実証性に優れた内容のある修士論文を作成させることに成功した。この論文及びその資料分析能力は民間会社に高く評価され、大学院修了後、幹部候補生としてその会社への就職要因となった。
その他の教育活動
@長岡工業高等専門学校非常勤講師(「現代社会」担当)
A上越教育大学付属中学校3学年の総合学習「中国経済の現況及び日中経済関係の動向について」に関して助言を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 授業の目標は受講生の文献読解能力、資料調査・作成能力及び発表能力を付けることにおき、その目標を達成するためにテキストの要約、関連文献研究、統計資料の調査と作成の指導に力点を起き、それを発表する授業形態をとった。そしてその目標は達成された。
 今後の課題はインターネット活用法である。インターネットは調査の入り口であって、その内容は独自の調査と関連の文献研究によって深めなければならないのであるが、丸写しのままレポートするものがいる。これを改めさせることである。
<研究活動>
 自由市場価格論及び独占価格理論の研究を続けている。
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県地域づくりアドバイザー
A新潟県公共事業再評価委員会委員
B板倉町情報公開・個人情報保護条例審査会委員
C三和村情報公開・個人情報保護条例審査会委員
D大潟町情報公開・個人情報保護条例審査会委員
E上越市史編さん委員、専門部会委員、現代史部会長
F大潟町商工会広域合併問題検討委員会アドバイザー
◎社会への寄与等
@新潟県の公共事業再評価会員として県の公共事業政策に積極的にかかわった。
A上越市の市史編さん委員・専門部会委員、現代史部会長として市史編さん事業に積極的にかかわった。
B近隣町村の情報公開・個人情報保護条例審査会委員としてその審査に積極的にかかわった。
C頚北5町村(大潟町・柿崎町・吉川町・三和村・頚城村)の広域合併に関する諸問題にアドバイザーとして積極的にかかわった。
D出前講座「地域づくり」(上越市まちづくり市民講座)において市民の健康で豊かな地域づくりに関する講演を行い、多くの方からとてもわかりやすい講座であったと評価を得た。
E公開講座「おもしろ柔道教室」において近隣の子どもたちに柔道のおもしろさと基本的な礼法・技能を教え、価値ある夏休みを過ごせたと保護者の方からよい評価を得た。
 

藤 澤 郁 夫(教 授)
<教育活動>
授 業
 学部授業では、「倫理学概説」において、社会科の教科専門科目としての内実を確保るよう努力した。将来の教員としての基礎教養はもとより、人間形成のための基礎学問として、学生に問題提起しながら授業をすすめた。
 また、大学院の授業「倫理学特論」においては、プラトンの初期対話篇をとりあげ、西洋における倫理学および哲学の成立状況を丹念に調べた。なおこの講義は院生の興味関心を配慮した面もあった。
研究指導
 院生指導として2本の修士論文を指導した。伊藤葉子『社会と自由との関係に関する一考察−ジャン=ジャック・ルソーの思想に着目して−』、金澤秀子『教師は教室でソクラテスになり得るか−高校における哲学教育の可能性について−』。なお引き続き休学後復学した院生、由井峰雄の指導に当たった。
その他の教育活動
@平成16年4月〜9月:国立療養所新潟病院附属看護学校非常勤講師として「論理学」を担当した。
A平成16年10月〜平成17年3月:新潟県立看護大学非常勤講師として「哲学」を担当した。
B指導においては、基本原理の徹底的理解を心がけることに鋭意努力している。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年3月:『世界市民観念の想像力のためのノート−ルソ−からカントヘ−』(単著)上越教育大学研究紀要 第23巻 第2号 pp.651-673.
A平成17年3月:『いかにしてソクラテスは政治家でありうるか』(単著)上越教育大学研究紀要 第24巻 第2号 pp.411-444.
共同研究の実施状況
・平成16年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))の研究代表者(研究分担者:香川大学・経済学部・教授・齋藤和也)として研究に従事。なお論文Aは研究成果の一部である。
◎特色・強調点等
 平成17年度3月に年次休暇をいただいてイタリアを旅行した。イタリアのルネサンス期の哲学思潮を探索するためであったが、美術・思想を問わずギリシャの哲学思想を措いてルネサンスは語り得ず、これまでギリシャ思想を学んできて種々思うところがあり、大変有意義な旅行となった。ビザンツ思想の理解のためにラヴェンナを訪れることが次なる課題となっている。
 

安 田   尚(教 授)
<教育活動>
授 業
 学部2年の社会学概説では、社会学の古典的著作をテキストとして宗教、政治、経済、歴史などについて概説し、最新の研究成果にもとづいてテキストの文献批判を行うなど、アカデミックな研究スタイルと問題発見の重要性を体得させる工夫をこらした。本年度はマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』をテキストに、解説を加えた。学部3年の社会学文献講読では、メディア・リテラシーの理解を深めるべく、英文テキストの読解とその検討を行った。本年度のテキストはJ.Potter, Media Literacyの第七章“Commercial Advertising”であった。また、巻末の練習問題を解かせるなどメディア教育の実践的教育能力を高めるよう工夫を凝らした。大学院の社会学特論では、シルバーブラットの『メディア・リテラシーの方法』(リベルタ出版)をテキストにメディア・リテラシーを体系的に学ぶと共に、受講生には一つのメディア作品を選ばせ、メディア分析に実践を試みるよう指導した。
研究指導
 大学院においては、家族社会学に一分野である夫婦関係論について権力論の視点から研究指導をおこなうとともに、調査計画の作成を指導した。社会調査の経験が浅い学生であることを念頭に置き、丁寧な指導を心がけた。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@”The Media of Japan”, Silverblatt A. & Zlobin N., International Communication., M.E.Sharp, 2004
<社会との連携>
社会的活動状況
・国立療養所犀潟病院倫理委員会外部委員を務める。平成16年8月12日(木)3件の申請について審査した。さらに、平成16年12月24日(金)1件の審査を行った。
 

山 本 友 和(教 授)
<教育活動>
授 業
 学部では,各講義・演習内容の連続・連携に留意した指導を行い,教材開発の成果を『社会科教育法研究・2004年度』という冊子にまとめた。学部の指導法の授業では,臨床的な教員養成・教師教育と関連する講義内容も設定した。
 大学院では,社会科・公民教育の基本概念について習得させた上で,比較社会科教育研究の成果に基づいた模擬授業の分析も行った。
 成績評価に関してはオリエンテーション時に説明を行うとともに,期末試験前には質問時間も設定した。
研究指導
 学部では3年生2名の学生に対する卒業研究指導を行い,大学院では6名(M1が3名,M2が3名)の院生に対する修士論文指導を行った。ゼミの初年次は各自の研究テーマとかかわる文献・先行研究の講読と発表を中心に行い,研究課題を明確化させた。ゼミの2年次は各自の論文構成に沿って個別指導を行った。なおゼミにおいては,教材化やカリキュラム開発といった臨床的なあり方を意識しながら助言した。
その他の教育活動
@群馬大学非常勤講師として,「中学校社会科指導法C」「公民科指導法A」の集中講義を担当した。
A本学では教職講座の講師を務めた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 講義においても課題研究や授業ビデオの視聴等を取り入れ,能動的な学習となるよう留意した。演習・ゼミでは,受講生・ゼミ生の研究テーマに沿って各自の専門性を深められるように工夫した。なお,今後の課題としては,複数の教員による授業における相互調整・連絡のより一層の緊密化があげられる。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年4月:『社会科教育実践学の構築』(共著) 明治図書
@平成17年2月:『よいこと悪いこと、様々な海外体験』(単著) ホットライナー 60-1 学研 pp.4-7
学会活動への参加状況等
@6月25日〜26日:日本公民教育学会 第15回全国研究大会出席
A11月5日〜7日:日本社会科教育学会 第54回全国研究大会出席
B平成16年度日本公民教育学会理事
C平成16年度日本社会科教育学会評議員
D平成16年度全国社会科教育学会理事
◎特色・強調点等
 共著(分担執筆)において,授業構成の理論と方法をシミュレーションを事例として考察したが,これは,学校教育現場での臨床研究にも寄与するものであると自負している。
<社会との連携>
社会的活動状況
@教科書研究センター特別研究員
A新潟県上越市公民館運営審議会委員
B新潟県上越市女性サポートセンター運営審議会委員
C新潟県教育委員会教員12年研修会講師(「学習指導のあり方」について講演)
◎社会への寄与等
 公民館活動や女性支援活動,教科書の改善,教育現場の問題解決等に多少なりとも貢献したと考える。
 

浅 倉 有 子(助教授)
<教育活動>
授 業
 日本史Aでは、アニメ映画「もののけ姫」を教材として、近年の歴史研究の成果について講義をした。学生の関心を引き出すことに成功したものと考える。他の授業を含めて、ビデオ、OHPなどを用いることで、新味のある授業を行うよう努めた。大学院の日本史システム特論Aでは、最新の研究動向を紹介するとともに、基本的な資料の扱い方や、学校現場における応用に付いて理解を高める工夫を行った。実践場面分析演習では、他の歴史系教官と共に雁木をテーマとした講義と巡見を行い、仲町のK家(桶職人)などを訪問した。
研究指導
 1名の修士論文の指導と2名の卒業論文の指導を行った。学部では3・4年生を一緒に、大学院では1・2年生を一緒にしてゼミを行い、研究へ取り組む姿勢、資料の分析方法をはじめとする研究の手法等が共有されるよう配慮している。また議論する能力の育成に努めている。そのほかに4年生と修士2年生については、資料読解など論文を完成させるためのゼミを個別に行っている。修士論文は、いずれ刊行される予定である。
その他の教育活動
 東北芸術工科大学の非常勤講師として「歴史遺産応用演習T」、「歴史遺産基礎演習T」を、新潟産業大学人文学部・経済学部の非常勤講師として「日本の歴史A/日本事情AA」、「日本社会論AA」、「日本の歴史B/日本事情AB」、「日本社会論AB」を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 授業では、単調な講義にならないよう教材や授業方法に配慮している。研究指導については、学生の能力を引き出すように努めながら、懇切で厳しい指導を行っていると考える。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年1月11日:「北日本における交易と流通」(『中世考古学文献研究会会報』、第4号、中世考古学文献研究会)
@平成16年11月3日:「北日本における交易と流通」(シンポジウム「中近世の集散地--砥石の流通を中心として--」、中世考古学文献研究会)
A平成16年12月12日:「北日本における漆器の生産と流通−近世前期を中心として−」(「東北アジア中世考古学」研究集会、中世考古学文献研究会)
B平成17年3月28日:「日本海物流と新潟奉行・佐渡奉行」(地域史フォーラム研究会)
共同研究の実施状況
@中世考古学のための日本中世・近世初期の文献研究
代表者: 矢田俊文(新潟大学) 文部科学省特定領域研究
A教師コミュニティーの創成を通じての教員養成・現職再教育プログラムの開発研究
代表者: 戸北凱惟 連合研究プロジェクト
学会活動への参加状況等
@平成16年5月24日:北海道東北史研究会参加
A平成16年5月29日〜30日:歴史学研究大会参加
◎特色・強調点等
 平成16年度は、文献史学と考古学の「学的融合」をめざす科学研究費の研究グループの一員として、アイヌ民族が宝器として重要視した漆器に着目し、新しいテーマの研究に着手した。
<社会との連携>
社会的活動状況
@各種学外委員
・上越市文化財審議会委員
・上越市史専門委員
・青森県史専門委員
・長野県文化財審議会委員
・上越市男女共同参画審議会委員
A講演
・平成16年7月7日:「上杉謙信の虚像と実像」(上越自家用電気協議会)
・平成16年7月11日:「高田藩榊原家の当主と政治」(榊原家・歴史探訪会、上越市教育委員会文化振興課)
・平成16年10月8日:「近世越後における女性--暮らしと生業--」(上越地区高等学校社会科研究会)
B公開講座
・平成16年7月3日:「江戸時代の旅と女性」(にいがた連携公開講座2004、新潟県教育委員会)
・平成16年12月10日:「『越後美人』のはじまりと近世越後の女性」(平成16年度博物館講座、「郷土の歴史講座」みなとまち新潟研究の最前線、新潟市歴史博物館)
Cその他
・中越地震による歴史資料救済ネットワークへの参加(ボランティア)
◎社会への寄与等
 地域の文化や歴史の掘り起こしと、それらによる人々の歴史認識の形成について、また地域に存在する貴重な文化財や歴史資料の保持と活用等について、一定の寄与を果たしていると考える。
 

茨 木 智 志(助教授)
<教育活動>
授 業
 学部学生対象の授業においては,教育現場を念頭に置いて,教科内容の基礎的知識の充実,調査能力の向上及び,教育実践の場面における表現能力の向上に努めた。その成果の一部を公民教育の山本友和教授,地理教育の志村喬助教授と共同で社会科教育学研究室紀要『社会科教育法研究2004年度』として発行した。
 大学院学生対象の授業においては,各国・各時代および特定の研究者の社会科教育・歴史教育の理論の紹介や検討等を通じて,各自の理論構築に向けた研究能力育成を目指した。受講生の探求の成果をレポート集にまとめ,各自の目標達成への参考とした。
研究指導
 歴史教育等をテーマとする大学院学生(1年2名,2年1名)及び学部学生(3年1名)に対して,論文作成あるいは各自の課題への具体的な研究方法について,ゼミ等を通じて指導を行なった。
その他の教育活動
@本学附属中学校2004年度教育研究指導者として指導助言を行なった。
A本学教職講座「社会科」を担当した。
B国立大学法人筑波大学大学院教育研究科で「歴史教育論」の集中講義を行なった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 社会科教師としての実践能力と研究能力の育成に努めるなかで,学生が自己の習得した能力を自覚できる授業の在り方を工夫した。また本年度から始まった社会科の実践場面分析演習・実践セミナーUにおいて,学部生と大学院生との連携を模索し,一定の成果を収めることができたと考えるが,さらに社会科授業を核とした授業のあり方を検討していく必要がある。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年6月:『越境する歴史教育』(共著)教育史料出版会
A平成16年8月:『21世紀の歴史認識と国際理解』(共著)明石書店
@平成16年10月:『文部省通達「高等学校社会科世界史の学習について」(1950年9月)の世界史教育史上の位置づけ』(単著)歴史教育史研究 第2号 pp.19−28
A平成17年3月:『モンゴル語版『蒙古喇嘛教史』の研究(10)』(共著)大正大学綜合佛教研究所年報 第27号 pp.78−95
@平成16年5月〜平成17年2月:『新刊紹介』(単著)歴史と地理(世界史の研究)第199〜202号(4回掲載)
@平成16年11月:『戦時下の初等国史教科書におけるアジア史像−自国史教育の中の外国史教材を検討する素材として−』日本社会科教育学会第54回全国研究大会発表
A平成17年1月:『アジア諸国の歴史教育におけるモンゴル史認識−自国史と世界史を考える素材として−』近現代史教育研究会第142回例会発表
共同研究の実施状況
@大正大学綜合佛教研究所モンゴル仏典研究会に参加
A笹川日中友好基金若手歴史研究者会議に参加
学会活動への参加状況等
@8月1日:総合歴史教育研究会大会出席
A10月9〜10日:教育史学会大会出席
B10月23日:上越教育大学社会科教育学会第18回研究大会出席
C11月6〜7日:日本社会科教育学会第54回全国研究大会出席
D日本社会科教育学会幹事
E総合歴史教育研究会委員
◎特色・強調点等
 社会科教育・歴史教育の向上のために,歴史的研究および比較研究の観点からの基盤整備に努め,その成果の一部を公表した。また歴史教育研究にモンゴルの視点をいかに取り入れるかに努力した。歴史教育史研究に関する雑誌の刊行を継続した。
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟大学と上越教育大学との教員養成・現職教員研修のあり方に関する連携協議会第2部会委員を務めた。
A現職教員支援のための総合的「学校コンサルテーション」推進事業実行委員会に参加した。
 

小 田 桐  忍(助教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
@将来の教員である本学の学生にとって、日本国憲法や教育基本法を含む法的政治的教養は必須の基礎知識であるのみならず、人間社会において不可欠の構成原理である点にまで踏み込み、理解できるよう講述した。
A(市)議会の傍聴を学生に課し、レポートを提出させた。学生時代に傍聴マナーを心得ておくことは児童生徒を引率するときに有益であると考えたからである。
B今年度から始まった保育士関連科目では、質の高い保育士を養成するため、社会福祉援助技術(論)まで含んだ授業内容を展開することにより、本学における「社会福祉(T・U)」の担当者としての責務を全うした。
C大学院(修士課程)では、法律学の起源・学説・課題等の特殊問題について説明し、法と人間と社会の関係を考察した。単なる“条文暗記”と思われがちな法律学に向けられる偏見を排除するよう努めた。
 成績評価については、厳格であることを主として、時には必要に応じた救済措置を講じながら、学生各自の目標達成を支援するよう努めた。例年通り、学部の定期試験時の出題形式として、正誤問題・穴埋問題・論述問題等を総合的に採用した。質・量ともにボリュームのある試験ながら、学生は十分に準備をして臨み、良好な成績を収めている。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業時には、当面の教員採用試験(公務員試験を含む。)対策と近い将来教育現場で役立つ内容になるよう配慮している。
研究指導
 卒業後、即戦力になれるよう、サブゼミを実施し、濫読・記録・発表を参加者の義務とさせている。また、必要最小限の英語力を身に付けさせるため、今年度も英字新聞から厳選した社説(17編)を読ませた。
その他の教育活動
@平成16年4月〜平成17年3月:早稲田大学法学部非常勤講師「3・4年法学演習(法哲学)」担当
A平成16年4月〜平成17年3月:帝京短期大学生活科学科非常勤講師「社会福祉概論」担当
B平成16年8月:新潟県立看護大学看護学部非常勤講師「法学」(集中講義)担当
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部の授業では拙担当科目を履修することにより、教員採用試験、国家U種及び地方上級程度の公務員試験の問題に対応できるよう指導している。また、拙研究室における今年度の活動と成果を公表するため、平成17年3月に『高田法学』第4号(ISSN 1347-2402)を刊行した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年10月:『法と文化の歴史社会学』(塚本潔、原信芳との共著)世界思想社。
@平成16年10月:「法理論における第3の道:尾高朝雄の場合」(単著)経済社会学会(編)『経済社会学会年報』第XXVI号、44−54頁、現代書館。
A「探究事実、追尋平等:井上茂教授的法哲学思想」(願粛(南京大学教授)との共著)『南京大学法律評論』秋季号、173−181頁。(平成14年に刊行されたものであるが、平成17年1月に初めて現物を手にした。年次報告書の本来の趣旨等に合致しないが、拙業績として、この場をお借りし公表することを御了承願いたい。)
学会活動への参加状況等
 経済社会学会(平成16年10月、日本大学)、日本社会福祉学会関東部会研究集会(平成17年3月、日本女子大学)等に出席した。
◎特色・強調点等
 今年度の研究成果は、どれも「法律学的領域」に属する。今年度からスタートした拙担当の保育士関連科目(「社会福祉(T・U)」)に係る業績は次年度以降に活字化してゆくことにしたい。また、次年度に開講される「子どもの福祉」の準備も今年度の研究活動の一つとして継続的に行ってきた。
 

河 西 英 通(助教授)
<教育活動>
授 業
 学部・大学院ともに、議論を中心にすえた授業展開に努めた。
研究指導
 1名の修士論文の指導と2名の卒業論文の指導を行った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年5月:『東北学』(共著、京都造形芸術大学)
A平成16年6月:『東北学』(共著、角川書店)
B平成16年6月:『津軽の歴史と文化を知る』(共著、岩田書院)
C平成16年6月:『越境する歴史教育』(共著、教育史料出版会)
@平成16年5月:「北方地域認識と日本海開放論」(単著、『アジア民衆史研究』第9集、アジア民衆史研究会)
A平成16年9月:「高田事件−その記憶のされ方−」(単著、『上越教育大学研究紀要』第24巻第1号)
@平成16年11月:「ロナン・コアディック「アイデンティティとグローバリゼーション」へのコメント」(単著、『ことばと社会』第8号)
A平成16年12月:「表象は表面にあらず」(単著、『北海道・東北史研究』創刊号)
学会活動への参加状況等
@平成16年5月24〜25日:歴史学研究大会参加
A平成16年5月24日:北海道東北史研究会参加
在外研究の状況
・海外先進教育研究実践支援プログラム「地域史研究の方法論に関する国際的比較検討」の研究のため、平成17年2月26日から8月1日までプリンストン大学東アジア学科に留学
◎特色・強調点等
 平成16年度は、ニュージーランド・オタゴ大学との共同研究の成果を出版した。平成17年度には英語版が同大学出版会から刊行される予定である。
<社会との連携>
社会的活動状況
・各種学外委員
@上越市史編纂委員
A上越市史専門委員
B青森県史専門委員
C新潟県文書間運営協議会員
・出前講座
@平成16年7月6日:桐蔭学園女子高等部(於:妙高高原)
A平成16年7月15日:新潟向陽高等学校
B平成17年1月21日:寺泊中学校
C平成17年2月16日:糸魚川高等学校
 

志 村   喬(助教授)
<教育活動>
授 業
 学部では,フィールドワークを活用し社会科教育における体験的・作業的学習の意義を実感させ教師としての基礎的な知識・理解・技能の定着に務め,評価対象にした成果の一部は『社会科教育法研究』(山本友和教授、茨木智志助教授と共編)にまとめた。
 大学院では,各自の学習・研究成果を履修者全員で共有し評価しあえるよう配慮した。
研究指導
 学部生3名(3年2名・4年1名),大学院生3名(1年2名・2年1名)を指導した。学部の卒業論文は初等学校をフィールドに子ども理解を目指すよう,大学院では教育現場での問題意識を深化させるよう指導に留意した。
その他の教育活動
・本学教職講座「社会」講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部4年と大学院2年との連携による実践力向上を目指した授業の成果を社会系コース編『「実践セミナーU「社会」」・「実践場面分析演習U「社会」」実践報告書』として刊行した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年7月:「英国『ナショナル・カリキュラム(2000年版)』開発とジオグラフィカル・スキル」(単著),地理科学,第59巻第3号,pp.149-156
A平成17年2月:「1930年代に高田で発行された地理教育研究誌:『郷土・地理研究』と『郷土研究』」(単著),新潟地理フォーラム2004,pp.75-80
B平成17年3月:「地図学習の実態に関する若干の考察−現職教員研修会での調査をもとに−」(単著),新潟経済地理学会年報,第12号,pp.23-29
C平成17年3月:「英国地理教育における地図に関する技能と学習−初等教育におけるカリキュラムと教材から−」(単著),『地図嫌いの発生要因の解明と地理教育による改善方法の検討』pp.55-84
@平成16年8月:The 30th Congress of the International Geographical Union (Glasgow ,U.K.) What make people dislike maps in Japan? : For making new map learning programs. (joint signature)
A平成16年9月:日本地理学会秋季学術大会「英国「ナショナル・カリキュラム地理」における系統地理的学習内容の変化−環境・資源・開発をめぐる課題を重視した地理教育へ」(単)
B平成16年9月:☆日本地理学会秋季学術大会シンポジウム「地理的資質を有する小・中学校教員養成の課題 」オーガナイザー(連名)及び座長
C平成16年10月:東北地理学会秋季学術大会「地理的探究を重視した学習過程と英国地理教育論−「ナショナル・カリキュラム地理」改訂からみえるもの−」(単)
D平成16年10月:「上越市の現代史と『地図』」(単)上越教育大学社会科教育学会研究大会講演
E平成17年3月:☆日本地理学会春季学術大会シンポジウム「天変地異に備えるための地理学」発表「新潟県中越地震による災害と地域特性」(連名)
F平成17年3月:☆日本地理学会春季学術大会地理教育公開講座「イギリスの地域変容−地域経済の変化と田園都市開発」実行委員及びコメンテーター
共同研究の実施状況
@科学研究費補助金(基盤研究(C)(1))「地図嫌いの発生要因の解明と地理教育による改善方法の検討」研究代表者
A上越市高田地区における「交通事故危険地図」の作成による児童・生徒の交通安全のための基礎的研究(佐川交通社会財団研究助成,研究代表朝倉啓爾)
学会活動への参加状況等
・学会役職
@日本地理教育学会:評議員・学会誌編集委員
A日本地理学会:地理教育公開講座委員会委員
B東北地理学会:東北地理教育研究会世話人
・上記発表以外の参加状況
@7月22日:日本国際地図学会平成16年度定期大会(大会発表座長)
A8月10日〜23日:Commission of Geographical Education, Congress of the International Geographical Union (Glasgow ,U.K.)
在外研究の状況
・8月10日〜23日:英国での地図・地理教育に関する調査及び学会発表(再録:科研費)
◎特色・強調点等
 現代英国地理カリキュラム研究(論】@,発】AC),科研費をもととした地図学習改善に関する研究(論】BC,発】@,在外研究@)では我が国の比較地理教育研究に新知見をもたらした。さらに,地域に関する研究(論】A,発】DE)や学会での教育活動(発】BF)も積極的に行った。
<社会との連携>
社会的活動状況
@教育課程実施状況調査(高等学校地理)結果分析協力者(国立教育政策研究所)
A新潟県社会科教育研究会副幹事長
B上越市史専門委員会現代史部会編集委員(上越市)
C7月:新潟県立六日町高等学校「大学出張講義」講師
D7月:上越教育大学附属中学校わくわく大学ウィーク講師
E10月:新潟県立教育センター「中学校社会科講座T」講師
F10月:新潟県立教育センター「高等学校地理歴史科(地理)講座U」講師
◎社会への寄与等
 国立・県立の教育研究機関への協力(上記@EF),地域の教育研究組織役員(A)などを通じ現職教員の研修・実践力向上等に寄与するとともに,中学生・高校生への授業を実践し(CD),生徒の学習意欲向上を目指した学校施策に貢献した。
 

下 里 俊 行(助教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 学部「世界史研究入門」「総合演習(多文化社会論)」,大学院「国際理解教育特論」で受講者に小レポートを課し,その内容を次の授業に活用する形での対話型授業を行った。「ユーラシア史認識論」では映画教材を活用した。「世界史研究入門」では,板書とノートテーキングを重視した。学部「外国史システム専門セミナー」と大学院「外国史システム研究セミナー」では,個別発表と問題発見型の討論に努めた。「ロシア語コミュニケーション」では英語版テキストを使用し,英語−ロシア語−日本語の相関関係を説明する工夫をおこなった。実践場面分析演習・実践セミナーでは上越市職員の協力を得て雁木通りの教材化のための調査をおこないポスター教材・電子教材を作成した。
○成績評価法に関する取組状況
 事前に受講者に毎回授業時の小レポートへの評価を40点満点,期末課題レポートへの評価を60点満点とする評価基準を明示し,内容理解,自己内省,自己表現の三つの観点から成績評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 学部セミナー4年次受講者2名のうち1名が臨時教員、1名が地方公務員として採用された。
研究指導
【観点1】学部
 学生の研究テーマに応じてインターネットの積極活用,視覚資料の作成面の指導を重視するとともに海外でのフィールドワーク(チェコおよびドイツ)を支援した。
【観点2】大学院・研究留学生
 専門にかかわる日本語・外国語の文献読解力・翻訳技能の向上を重視して指導し,また日本人学部学生との討論によりコミュニケーション能力の向上を図った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教員による海外での国際交流のビデオ映像の教材化や、海外巡検、留学生との討論により受講者の強い興味・関心を引き出すことができた。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年5月:『集いのかたちー歴史における人間関係』(共著)柏書房
A平成16年6月:『越境する歴史教育−世代を越えて,国境を越えて』(共著)教育史料出版会
@平成16年9月:『ロシアにおけるハーバート・スペンサーの受容の諸側面−『生物学原理』を中心に−』越境する歴史研究会(日本大学)
A平成16年9月:『ロシアにおけるH.スペンサーの受容の諸側面』ロシア思想史研究会・夏期合宿大会(河口湖)
共同研究の実施状況
@19世紀後半のロシアの絵入り新聞にみる東アジア表象にかんする基礎的研究 代表者:下里俊行 科学研究費補助金(基盤C)
Aロシア思想史の多面的包括的再構築:グローバリズムと民族主義の問題を軸に 代表者:御子柴道夫(千葉大学) 科学研究費補助金(基盤B)
学会活動への参加状況等
@5月14〜15日:日本西洋史学会(東北学院大学)に出席
A7月14日〜16日:北海道大学スラブ研究センター夏期国際シンポジウム「21世紀のシベリア・極東:「アジア共同体」のパートナー 」に出席
B9月19日:越境する歴史研究会例会で発表
C9月24日〜27日:ロシア思想史研究会・夏合宿研究大会で発表
D10月23日〜24日:ロシア史研究会大会(北海道大学)に出席
E2月11日〜12日:科研費プロジェクト「ロシア思想史の多面的包括的再構築」・冬季研究大会(市ヶ谷私学会館)に出席
在外研究の状況
・8月18日〜9月7日:フィンランド・ヘルシンキ大学およびスウェーデン・ストックホルム大学の各図書館にてロシア思想史に関する文献調査
◎特色・強調点等
 フィンランド等でのロシア思想史に関する文献調査を通して複眼的視点での分析をおこなうことができた。
<社会との連携>
社会的活動状況
@9月:新井市教育委員会の依頼による出前講座「現代の世界情勢を読み解く」実施
A本学公開講座「すぐ使えるロシア語会話」実施
B上越市男女共同参画基本計画見直し策定検討委員会委員
◎社会への寄与等
 出前講座や公開講座の講師として市民の教養向上に寄与し,また上越市の施策検討に関与した。
 

松 田 愼 也(助教授)
<教育活動>
授 業
 学部講義概説科目については、基礎的知識・概念の定着をはかるため、事前に板書事項を精選するとともに、配布資料は基本的に使用しない方針で臨み、学生たちにノートをとらせるよう指導した。ただし、ノートチェックを行う機会が作れなかったことは反省点として残った。その他、学部・大学院講義科目においては、詳細な講義資料を毎回配布し、それに基づきながら講義を進める形式を遂行し、講義内容の密度を上げる努力を行った。
 成績評価は、学部・大学院ともに宗教学という学問分野に関しては初心者がほとんどであることを前提に、用語解説をさせることにより基礎的知識の定着度をはかる試験を行った。試験結果については、ほぼ所期の目的を達し得たものと判断している。また、自由記述による講義の感想においても、宗教を身近な問題として感じられるようになったとの肯定的なものが多く得られた。
研究指導
 資料の読み込みを通じてその内容を構造的に把握させることを目指し、論文作成学生については、毎週、個別指導の時間を設定して報告を聞くとともに、対話を通じてその内容の再整理を行って理解を深めさせるよう努力した。また、この対話では直接研究に関わることのみならず、日常生活を含めた周辺的なことも話題にのせて相互の信頼関係を深め、教育が全人格的な営みであることを実感させるよう努力した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 宗教を理解していくうえでの基礎的な知識や世界の諸宗教についての基本的情報を精選・整理して教授している点が特色といえる。今後の課題としては、これらの知識をもとに、文化の基底としていかに宗教が重要な役割をになっているか、そのことを理解させていく工夫が必要であると考えている。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年3月:『近世後期上越地域における真宗僧侶の学問的ネットワークについて』上越教育大学研究紀要 第24巻第2号 pp.441-444
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市文化財調査審議会委員
A上越市史専門委員
B平成16年10月13日:新潟県公立学校退職校長会高田支部主催「平成16年度 講演会・施設見学」において「本山浄興寺と宝物」との演題で講演を行った。
 

山 縣 耕太郎(助 手)
<教育活動>
授 業
 地理学に関わる実験,演習,調査法の授業補助を行った。地理学実験においてはビジュアル素材を多く提示することを心がけ,コンピュータを活用したGIS教材を用いた。巡検などの実習授業では,実地の観察や経験を通して,基礎的な知識を身につけられるよう配慮した。
研究指導
 地理学関係の卒業論文,修士論文研究について研究指導の補助を行った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年1月:『アフリカ自然学』(共著).古今書院
@平成16年4月:地理情報システム(GIS)を活用した地域学習教材作成の試み.上越教育大学研究紀要
A平成16年7月:石狩低地帯南部,テフラ−土壌累積層に記録された最終間氷期以降の植物珪酸体群の変遷 −特にササ類の地史的動態に注目して−.第四紀研究
@平成16年5月:カラハリ砂漠西部における古砂丘の安定時期.日本アフリカ学会
A平成16年8月:富士相模川泥流堆積物の残留磁化と泥流の堆積様式・成因.日本第四紀学会
B平成17年3月:カムチャッカ半島中部における植生遷移と土壌環境.日本地理学会春季大会
C平成17年3月:新潟県中越地震による災害と地域特性.日本地理学会春季大会
D平成17年3月:新潟県中越地震によって発生した斜面崩壊の特徴.日本地理学会春季大会
E平成17年3月:カムチャッカ半島中央部・エッソ村周辺の永久凍土環境.日本地理学会春季大会
F平成17年3月:カムチャッカ半島中央部・エッソ郊外の山地斜面に分布する岩塊被覆ロウブ地形.日本地理学会春季大会
G平成17年3月:カムチャッカ半島エッソ地域でのハイマツ群落内の永久凍土.日本地理学会春季大会
H平成17年3月:カムチャッカ半島中央部・エッソ東方のカール内における地形発達と植生遷移.日本地理学会春季大会
共同研究の実施状況
@北海道十勝地域における開拓期の人為的作用による自然環境への影響に関する検討 代表者:山縣耕太郎(上越教育大学助手)科学研究費補助金
Aカムチャッカ半島における完新世古環境変動に関する地生態学的研究 代表者:山縣耕太郎(上越教育大学助手)北海道低温科学研究所共同研究経費
B寒冷陸域における植生,水,土壌の相互作用 代表者:原登志彦(北海道大学教授)北海道低温科学研究所共同研究経費
C日本全土を対象にした火山リスク評価のための被災年代マップの作成 代表者:早川由紀夫(群馬大学教授)
D遺跡と史料に残る歴史噴火の火山灰層序学的解明と古環境復元の研究 代表者:杉原重夫(明治大学教授)科学研究費補助金
E鮮新・更新世古地理の高精度復元 代表者:山崎晴雄(都立大学教授)科学研究費補助金
F氷河コア解析による北太平洋の気候・大気輸送物質変動の復元 代表者:白岩孝之(北海道大学助教授)科学研究費補助金
Gトキの野生復帰に向けた,佐渡島における中山間地環境問題の研究と地域環境保全の実践 代表者:本間航介(新潟大学助教授)新潟大学地域貢献プロジェクト計画書
国際研究プロジェクトへの参加状況
@カムチャッカ半島における植生動態と環境変動の相互作用過程の解明 代表者:原登志彦(北海道大学教授)科学研究費補助金
Aアフリカの半乾燥地域における環境変動と人間活動に関する研究 代表者:水野一晴(京都大学)科学研究費補助金
B北東アジアの人間活動が北太平洋の生物生産に与える影響評価 代表者:成田英器(国立総合地球環境学研究所助教授)総合地球環境学研究所研究プロジェクト
C北海道十勝地域の湖沼堆積物を用いた古環境変遷史に関する研究,Richard Jones (University of Exeter,Lecturer)
学会活動への参加状況等
・参加状況
@平成16年5月29日〜30日:日本アフリカ学会出席
A平成17年3月13日:日本第四紀学会テフラ研究委員会シンポジウム出席
B平成17年3月28日〜29日:日本地理学会春季大会出席
・学会役職
@日本第四紀学会編集委員
A日本第四紀学会PAGES-PEPU対応委員会委員
B日本学術会議PAGES小委員会委員
◎特色・強調点等
 従来の研究が少ない東アジア寒冷地域と南部アフリカの乾燥地域における古環境変動に関する研究を行っている。また,北海道における人為作用の自然環境への影響に関する研究を開始した。これらの研究は,現在行われている国際的なプロジェクト(IGBP.PAGES)による汎地球的な規模での古環境変動の復元に寄与するものと考えられる。