【自然系教育講座(理科)】
 

小 林 辰 至(教 授)
<教育活動>
授 業
学  部
 小中学校で理科を担当する教諭として必要な実践的指導力の基礎となりうる知識や技能の確実な定着を目指し,野外での自然観察・基本的実験操作の習得・実験計画の立案と実施・模擬授業等,演習を中核とした協働的学習の場の構築に努めた。成績評価は,試験やレポート等の提出物のみならず,授業中の活動状況や模擬授業の内容等も加味して総合的に行い,現場で直ちに戦力として活躍できる能力が獲得できるよう努めた。
修士課程
 大学院の授業では,より高度な教育実践力及び教材や教育課程開発能力の育成を目指し,講義だけでなく実験・観察や討論を取り入れ,創造性や批判力の涵養に努めた。評価は,開発した教材や教育課程をはじめ,討論等を総合的に判断して行った。
研究指導
学  部
 総合的な学習の時間の教育課程開発能力を習得させるために,水族館等の社会教育施設との協同で教育プログラム開発の研究指導を行った。また,教材開発能力を育成するために,環境のつりあいに関する学習教材として着目されているEcoColumnの水系内の酸素等の気体の経時変化等を明らかにする基礎的研究を行った。
修士課程
 現職教員が長年の教育経験から抱いている問題意識が,実証的な研究として進められるよう,日々の議論を通して研究の支援を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部・修士課程それぞれの学生に対して,教員の養成・採用・研修及び生涯学習の観点から,自らの研究成果を授業や研究指導に還元していることについて,学生から良い評価を得ている。今後の課題は,現在研究している問題解決能力育成のための授業法略を確立し,授業と研究指導に生かすことである。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年5月:『キク科センダングサ属の痩果の発芽特性とその教材化に関する基礎的研究』 生物教育 日本生物教育学会 第44巻第3号 pp.148-153
A平成16年6月:『中学校理科におけるエコカラム(EcoColumn)の教育効果に関する実践研究』(共著) 理科の教育 日本理科教育学会 第53巻第6号 pp.62-67
B平成16年7月:『自然環境に関する主体的・実践的な学習意欲を培う要因について』(共著) 環境教育 日本環境教育学会 第14巻第1号 pp.15-21
C平成16年9月:『中学校理科教員のプロセス・スキルズ育成に関する指導の実態』(共著) 理科教育学研究 日本理科教育学会 第45巻第2号 pp.1-8
@平成17年3月:『文部省検定中学校理科教科書』(共著) 啓林館
@平成16年8月:『中学校理科教員のプロセス・スキルズ育成に関する指導の工夫』(共) 日本理科教育学会 第54回全国大会
A平成16年8月:『アミラーゼのはたらきが簡単に調べられるデンプン試験紙の活用法』 日本理科教育学会 第54回全国大会
B平成17年1月:『水族館での利用を目的とした小学校用学習シートの開発・実践−食物連鎖をテーマとして−』(共) 日本生物教育学会第78回全国大会研究発表会
C平成17年1月:『EcoColumn(水系)内の生物による溶存酸素・pHの経時変化』(共) 日本生物教育学会第78回全国大会研究発表会
共同研究の実施状況
・パートナーシップを重視した教員研修での自然体験プログラムの開発とその評価 代表者:藤岡達也(上越教育大学教授) 科学研究費補助金
学会活動への参加状況等
@生物教育学会理事(日本生物教育学会)
A日本科学教育学会理事(日本科学教育学会)
B日本科学教育学会研究会委員長(日本科学教育学会)
C日本生物教育学会「生物教育」編集委員
◎特色・強調点等
 小・中・高等学校理科で活用可能な教材開発やその基礎となる研究とともに,児童生徒の科学的な問題解決能力育成を目的とした授業改善に関する研究を行っている。特に,児童生徒の科学的な問題解決能力育成を目的とした授業改善については,具体的指導法の実用化段階まで来ており,学部学生を対象とした授業等で検証している。これらの成果は我が国の理科教育の課題解決のための具体的な方法になると考えられることから優れた研究である。
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市立教育センター運営委員会委員(上越市教育委員会)
A第15回関東甲信越地区小学校理科研究大会新潟大会実行委員
B上越市立城西中学校「新潟県学力向上フロンティアスクール事業研究発表会」講演「学ぶ楽しさ、学ぶ意欲を育てる「分かる授業」の創造」
C公開講座「理科野外観察指導実習J」
◎社会への寄与等
 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)の国内専門委員(国立教育政策研究所)として調査結果の検討に参加し,我が国の理科教育施策の改善に寄与した。
 

津戸  秀(教 授)
<教育活動>
授 業
 学部の講義では,昨年度に引き続き,内容の理解を深める工夫を継続して行っている。
研究指導
 修論生1名及び卒論生1名の研究指導を行った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@A Link between Sterol Biosynthesis, the Cell Wall, and Cellulose in Arabidopsis, The Plant Journal (Blackwell Publishing Ltd., The United Kingdom), (2004) 38, 227-243 (共著).
A‘Rinrei’, a Brassinosteroid-deficient Dwarf Mutant of Faba Bean (Vicia faba L.), Physiologia Plantarum (Blackwell Publishing Ltd., The United Kingdom), (2004) 121, 506-512 (共著).
BA Mammalian Steroid Action Inhibitor Spironolactone Retards Plant Growth by Inhibition of Brassinosteroid Action and Induces Light-induceded Gene Expression in the Dark, The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology (Elsevier Ltd.), (2004) 91, 41-47 (共著).
CNovel Biosynthetic Pathway of Castasterone from Cholesterol in Tomato, Plant Physiology (American Society of Plant Biologists), (2004) 135, 1231-1242 (共著).
DBrassinosteroid Deficiency Due to Truncated Steroid 5a-Reductase Causes Dwarfism in the lk Mutant of Pea, Plant Physiology (American Society of Plant Biologists), (2004) 135, 2220-2229 (共著).
ECYP90C1 and CYP90D1 Are Involved in Different Steps in the Brassinosteroid Biosynthesis Pathway in Arabidopsis thaliana, The Plant Journal (Blackwell Publishing Ltd., The United Kingdom), (2005) 41, 710-721 (共著).
FA Novel Cytochrome P450 Is Implicated in Brassinosteroid Biosynthesis via the Characterization of a Rice Dwarf Mutant, dwarf 11, with Reduced Seed Length, The Plant Cell (American Society of Plant Biologists), (2005) 17, 776-790 (共著).
G学校現場で実施可能な自作光度計を用いる定量分析実験 −モリブデンブルー法による飲料水及び環境水中イオン状シリカへの応用−,化学と教育 (日本化学会), (2004) 52, 332-335 (共著).
Hケナフの葉に含まれるステロールを活用する科学実験教材の開発 −ステロール類の同定とシトスタノールステアリン酸エステルの合成−,化学と教育 (日本化学会), (2004) 52, 396-399 (共著).
I簡易気圧計の製作,物理教育 (日本物理教育学会), (2004) 52, 123-127 (共著).
J教員養成系大学生の明るさと温かさに関する認識と実験,物理教育 (日本物理教育学会), (2004) 52, 218-222 (共著).
K科学的に探求する能力と態度を育てる化学教材の開発(V)−アゾ色素を用いた総合化学実験プログラムの開発−,化学と教育 (日本化学会), (2005) 53, 94-97 (共著).
学会発表14件(全て共同発表)省略。
◎特色・強調点等
 「植物生長ホルモン,ブラシノステロイドに関する植物科学的研究」を,国内および海外の研究者との共同研究として継続して行っている。本年度の成果は,グローバルスタンダードの観点からの評価が確立している海外の学術誌に7編の論文として掲載された。また,「理科の教材開発およびその教育実践」について,本学,他大学および学校現場の教員との共同研究を行っており,本年度の成果として5編の論文が国内の学会誌に掲載された。
 

中 川 清 隆(教 授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 昨年度までに引き続き学部を対象にして実施している「地学」および「気象学」の講義ノートをHPに掲示して、学生の学習を手助けとなるよう工夫した。さらに、これらの講義に出てくる気象学的な計算のためのJava script言語によるページをHPに開設して学生の理解の一助とし、少しずつ増ページした。また、講義における説明においては、微分方程式等による記載だけでなく、幾何学的な手法で視覚的に説明する方法の模索を継続している。
 ブリッジ科目T「理科」の天文領域と気象領域の授業は、パワーポイントのスライドショーによるアニメーションを多用する授業を展開し、学生の興味と理解を高めるために努力した。さらに、遠隔教育システムによるブリッジ科目T「理科」の気象領域のデモ授業を実施するなど、新しい授業形態の開発にも取り組んだ。
○成績評価法に関する取組状況
 「地学」および「気象学」の学習のためには、基礎的な概念の理解と基礎的な計算能力の習得が不可欠であるので、昨年度までと同様に、これらの観点から評価できる試験問題を作成した。また、講義ノートをHPに掲載して、授業計画および目的を、シラバスの記載以上に具体的に明確にすることにより、達成度の評価基準が明確になるよう努力した。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 大学院修士課程第2学年および学部第4学年に、それぞれ1名づつ、合計2名の指導学生が所属し、いずれも、正常に修了・卒業した。1名の大学院修士課程修了の学生は、大学院休職制度を利用した愛知県の公立中学校の現職教師だったので、修了後は元の中学校に復職した。1名の学部卒業生は、静岡県の教員採用試験に合格し、同県西部の公立小学校教諭として着任した。以上の状況から、教育の達成状況は極めて十分と判断される。
研究指導
【観点1】学部
 1名の卒業研究指導学生は、汎地球測位システム(GPS)を搭載した自動車に超音波風速温度計(SAT)と気圧計を同時に搭載して、気圧、気温、風向・風速を移動観測するシステムの開発に従事し、開発された同システムを利用して上越市直江津港〜長野市長野地方気象台間で二日間に11往復する移動観測を実施した。昨年度に引き続き信州大学教育学部榊原保志研究室と合同セミナーを実施し、当該学生の視野が拡大された。
【観点2】大学院・研究留学生
 1名の修士研究指導学生は、GPS衛星受信データからGPS可降水量をより簡便にかつ効率的に解析できるシステムの開発に従事し、開発された同システムを利用して夏季における新潟県上越地方のGPS可降水量場の変動を解析した。日本気象学会、日本地理学会および日本地学教育学会においてその成果の一部を発表するとともに、昨年度に引き続き信州大学教育学部榊原保志研究室と合同セミナーを実施し、当該学生の視野が拡大された。
その他の教育活動
@平成16年10月4日(月)10時〜11時、上越ケーブルビジョン「テレビ公開講座」において講師を務め、「どか雪の仕組み」と題する講義をスタジオ収録した。収録された内容は同年11月20日(土)以降、上越ケーブルビジョンにより放映された。
A平成16年10月5日(火)〜平成17年2月15日(火)の第1限、新潟県立看護大学の「環境生態学」の非常勤講師を務めた。
B平成16年12月8日(水)14時〜15時、第四銀行高田駅前支店四交会若手の会研修会の講師を務め、「フェーン現象の仕組み」と題する講義を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 気象現象をテーマにして、地球科学的な視点・手法により、自然観を体得させることに努力を傾注しており、その一貫として、榊原保志信州大学助教授および下山紀夫長野地方気象台長とともに任意団体「気象情報を教育に利用する会」を設立し、自作ソフト「気象情報画像の巡回・保存と観察ソフト」の普及活動を展開している。現在、会員数は200名余りであるので、これを更に増加させることにより、活動をより活発にする。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年1月:『気候のフィールド調査』(共)古今書院
@平成16年5月:『雲のライブカメラ網の展開と気象情報画像取り』(共)地学教育, 第57巻, 69-83.
A平成16年9月:『雲に関する野外学習実施の問題点と手立て』(共)地学教育, 第57巻, 145-154.
B平成16年12月:『地表面物質の熱特性に関する測定法の検討』(共)信州大学教育学部紀要, 第113号,157-168.
C平成17年1月:『A simple theoretical radiation scheme for regular building arrays』(共)Boundary-Layer Meteorology, 114, 71-90.
@平成16年5月:『3次元簡易都市放射解析モデルの構築と検証』(共)日本気象学会2004年度春季大会発表
A平成16年8月:『ライブカメラ画像を中心とした気象情報画像による前線の学習』(共)日本地学教育学会2004年度全国大会発表
B平成16年8月:『気象庁電子閲覧室1時間値取得ソフトの開発』(共)日本地学教育学会2004年度全国大会発表
C平成16年9月:『大気重心高度の地表面高度および気温依存』(共)日本地理学会2004年度秋季学術大会発表
D平成16年10月:『暖候季におけるわが国大気重心高度重力加速度の地表面高度および気温からの推定』(共)日本気象学会2004年度秋季大会発表
E平成16年10月:『Bernese4.2解析結果からのGPS可降水量の自動算出』(共)日本気象学会2004年度秋季大会発表
F平成17年3月:『SAT, 気圧計およびGPSを用いた気圧、気温、風向風速移動観測システムの開発』(共)日本地理学会2005年度春季学術大会発表
共同研究の実施状況
・科学技術振興事業団戦略的基礎研究「北東アジア植生変遷域の水循環と生物・大気圏の相互作用の解明」
学会活動への参加状況等
@平成16年6月4日(金):日本農業気象学会「農業気象」編集委員会出席
A平成16年8月20日(金)〜23日(月):日本地学教育学会第58回全国大会出席
B平成16年9月24日(金)〜26日(日):日本地理学会2004年度秋季学術大会出席
C平成16年10月6日(水)〜8日(金):日本気象学会 2004年度秋季大会出席
D平成16年11月29日(月):日本農業気象学会「農業気象」編集委員会出席
E平成17年3月27日(月)〜29日(火):日本地理学会2005年度春季学術大会出席
◎特色・強調点等
 気象情報の教育への利用に関する一連の研究が纏まりを見せ、一定の成果として世に問うことができ、気象教育の一助とすることができた。また、都市の放射環境モデルの構築を目指して行ってきた研究活動も一応纏まり、提案されたモデルは簡易なモデルであるにもかかわらず現実の都市放射環境をよく再現する優れものである。GPS解析ソフトの簡便な運用システムの開発は、GPS気象学への参画を容易にする手段の提供と位置づけることができる。SATを用いた移動観測システムの開発も、都市気候等の局地気候研究の新たな発展に大きく寄与する可能性のある新技術であるという点で優れたものである。
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成16年5月8日(土)〜9日(日):本学公開講座講師「理科野外観察指導実習H」
A平成16年10月4日(月):上越ケーブルビジョンテレビ公開講座講師「どか雪の仕組み」
B平成16年12月8日(水):第四銀行高田駅前支店四交会若手の会研修会講師「フェーン現象の仕組み」
◎社会への寄与等
 上記の各種公開講座はいずれも教育・研究活動の成果の社会に対する還元と位置づけられる。いずれの講座の参加者からも、とても分かりやすく役に立つ講座であったとの評価を得た。
 

中 村 雅 彦(教 授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 平成16年から理科野外観察指導に関する大学院講義・実験を担当した。大学院授業では,学習指導要領に基づき,内容構成を再検討し,現職院生の要望と現在の研究成果を取り込むこむことで学習効果や内容の理解を深める工夫を行なった。
 学部授業では,従来通り,最近の研究成果を取り込むとともに,野外に出て身近な生物を対象とすることで動機付けを与え,内容の理解を高める工夫を行なった。
 学部生・院生とも各授業における学習目標を周知徹底し,個人の具体的な達成度を評価基準とした。
【観点2】教育の達成状況
 就職を希望した本年度の学部卒業生は1名,大学院修了生は1名であった。2名とも教育関係の職業についた。
研究指導
【観点1】学部
 学部4年生1名,学部3年生2名の指導教官となった。研究テーマは学生の希望を尊重し,3名とも科学的問題解決能力の育成をはかる指導を行なった。
【観点2】大学院・研究留学生
 大学院2年生2名,大学院1年生3名の指導教官となった。研究テーマは学生の希望を尊重し,5名のうち4名は修士論文の作成を通して科学的問題解決能力の育成をはかる指導,1名は理科教育に関わる臨床的な実践力を習得させるため身近な生物を対象とする研究の指導を行なった。
その他の教育活動
@平成16年4月〜9月:上越保険医療福祉専門学校非常勤講師として「生物学」を担当した。
A平成17年2月22,23日:筑波大学大学院生命環境科学非常勤講師として「生命共存科学特論」を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部・大学院の授業では,上越教育大学構内に生息する身近な生物を対象とすることによって,受講者が学校現場で児童・生徒に即戦的な指導ができるよう配慮した講義及び指導を行なった。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年3月:『Social Organization of the Rufous Vanga』(分担)Kyoto University Press.
@平成16年11月:『Predation by Eulemur fulvus fulvus on Eggs of Ploceus sakalava sakalava (Aves: Ploceidae) in Ankarafantsika, Madagascar』(単著)Folia Primatologica 75 (6): 376-378.
@平成16年9月:『イワヒバリ雄性生殖器の組織構造と精液形成』(共)日本鳥学会2004年度大会
A平成16年12月:『マダガスカル固有種ハシナガオオハシモズの延長された交尾期間』(共)日本動物行動学会第23回大会
B平成16年12月:『ウズラの社会的順位と精子運動活性との関係』(共)日本動物行動学会第23回大会
C平成16年12月:『ライチョウの配偶者防衛行動』(共)日本動物行動学会第23回大会
共同研究の実施状況
@イワヒバリの雌の配偶者選択-父性,精子の運動,ホルモンレベルの統合- 研究代表者:中村雅彦(上越教育大学助教授)日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(B)(1)
Aニホンライチョウの血液原虫感染および保全医学に関する研究 研究代表者:村田浩一(日本大学教授)日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)
B上越教育大学 自然観察ハンドブックの作成 研究代表者:中村雅彦(上越教育大学助教授)上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況等
@平成16年12月1日〜3日,日本動物行動学会出席
A日本鳥学会評議員及び英文誌編集委員
◎特色・強調点等
 昨年に引き続き,科学研究費補助金による高山鳥類イワヒバリの雌の配偶者選択の研究を日本大学,国立科学博物館の研究者と継続した。本年度は新たに科学研究費補助金によるニホンライチョウの保全医学に関する研究を開始した。いずれも研究例が極めて少ない高山鳥類に関する基礎的・応用的研究である。
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県文化財保護審議会委員(新潟県)
A河川水辺の国勢調査アドバイザー(国土交通省北陸地方整備局)
Bトキの野生復帰に向けた川づくり検討委員会委員(新潟県)
C新潟県トキ野生復帰推進本部トキ野生復帰支援アドバイザー(新潟県)
D企画展「カラス展(仮称)」企画委員会委員(国立科学博物館)
E理科野外観察指導実習A〜C(公開講座)
Fテレビ公開講座講師(JCV)
◎社会への寄与等
 上記各種委員・アドバイザーとして生物の保護・保全施策に関わった。また,新潟県上越市立春日小学校探鳥会講師(5/26),新潟県上越市立城東中学校2年生の総合学習「上越再発見」講師(5/25),新潟県愛鳥センター講演会講師(11/23),新潟県諏訪小学校総合学習「上越のツバメの謎」講師(12/7),高田ロータリークラブ特別講演講師(12/10),四交会若手の会研修会講師(2/9)を通して社会の教育・研究に関するニーズへ寄与した。
 

西 山 保 子(教 授)
<教育活動>
授 業
 学部の授業では,昨年度に引き続き授業内容の見直しを行い,学生が積極的に参加できる授業を行うように努めた。また,演習問題を多く取入れるなど,内容の理解を深める工夫を継続して行った。大学院の授業では,専門の授業においても学校現場における活用例を示す等,受講生の要望に応じられるよう心がけている。
研究指導
 大学院修士学生2人。個々の研究課題に相応した指導を行うための個別指導のほか,共通ゼミでは,教科内容の再認識や指導上の問題点等についての議論を行っている。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 高等学校での物理履修者が1割未満であること,履修者も事物や現象についての体験が不足していることなどを考慮し,演習や体験を多くして,自然科学の基礎的な考え方や実践力が身につくよう配慮している。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年7月:『簡易気圧計の製作』(共著) 物理教育 日本物理教育学会,第52巻第2号,pp.123-127.
A平成16年9月:『教員養成系大学生の明るさと温かさに関する認識と実験』(共著) 物理教育 日本物理教育学会,第52巻第3号, pp.218-221.
B平成16年12月:『濃度差による光の屈折現象の教材化』(共著) 物理教育 日本物理教育学会,第52巻第4号,pp.323-324.
@平成16年12月:『発電教材の開発を目指した磁束密度の変化と誘導電流についての考察』(共著) 日本物理学会新潟支部第33回例会.
共同研究の実施状況
@黒鉛炉表面の分光学的研究(今井昭二徳島大学助教授)
A理科教材の開発研究(小池守長野県教諭)
学会活動への参加状況等
@8月5日:日本理科教育学会第54回全国大会に出席
A12月6日:日本物理学会新潟支部例会で発表
◎特色・強調点等
 教育現場との共同研究により,実験教材の開発,評価が可能となった。
<社会との連携>
社会的活動状況
@リージョンプラザ上越運営協議会委員(上越市)
A頸城村環境審議会委員(頸城村)
B上越市環境審議会委員(上越市)
C上越市企業振興審議会委員(上越市)
D上越市新エネルギー導入推進検討委員会委員(上越市)
◎社会への寄与等
 運営協議会委員として新潟県立上越科学博物館を含む施設の運営に貢献した。また,環境審議会委員として頸城村および上越市の環境政策の形成・推進に,新エネルギー導入推進検討委員会委員として上越市の新エネルギー政策の推進に積極的にかかわった。また,企業振興審議会委員として上越市の企業振興に寄与した。
 

室 谷 利 夫(教 授)
<教育活動>
授 業
 学部のブリッジU「理科研究法」では、今後、理科の研究を行う上で、重要となる「誤差の取り扱い」について、数学の苦手な理科の学生にも理解できる内容になるよう、また例題、演習を多く取り上げ、真の実力として身につき、卒業研究などこれからの理科の研究に役立つ内容になるよう工夫した。学生が事前に行う準備学習のために、授業時間の終わりに、次の授業時間で取り扱う内容を説明し、資料等は事前に配布するようにした。また、学習内容の理解を深め、しっかりと定着させるためには自らの力で演習問題を解くことの重要性を説明し、演習問題を複数回レポート提出させた。レポートは添削して戻し、一人一人の目標が分かるようにすると共に、評価の基準も明らかにした。
研究指導
 学部学生の卒業論文テーマとして、身近な物理学の課題である「燃料電池」、なかでも今後社会に大きなインパクトを与えるであろうと予測される「固体高分子型燃料電池」をとりあげ、将来学生が教員になった時のことを想定し、教員としての実践力が身につくよう、自分の頭で考え、発見し、分析して、解決する方法を見出す一連のプロセスを繰り返しトレーニングすることによって、必要な力が養成されるよう工夫した。
<研究活動>
学会活動への参加状況等
・3月29日〜4月1日:第52回応用物理学関係連合講演会出席
<社会との連携>
社会的活動状況
@新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術委員
A上越地区理科教育センター研究協議会「近代化研修会」講師
◎社会への寄与等
 国の新エネルギー開発計画について、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術委員として、「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発」に係る研究の評価や成果の評価に積極的に関わった。
 上越地区の理科センターの先生方に「半導体の仕組みと応用」について、実験を交えて講義し、とても分かりやすい話であったとの評価を得た。
 

森 川 鐵 朗(教 授)
<教育活動>
授 業
 科学的素養は初等教育教員にとって,現場の多様な要請に応えるため必須である。理科の授業では,科学的素養の質的向上をめざして,最新の研究成果を取り入れた。
研究指導
 院生の指導では,研究希望を満たすため,学外の機関との連携をはかった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 海外でも通用するような科学教育教材の研究開発をすすめ,それらの成果を取り入れた。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@2004年:On the π-Electron Content of Bonds and Rings in Benzenoid Hydrocarbonds (共著), Zeitschrift fuer Naturforschung, vol. 59A, no. 4/5, pp. 295-298 (Verlag der Zeitschrift fuer Naturforschung, Germany).
A2004年:Chemical Amount: A Difficult Concept and its Avogadro-like Understanding (共著), Chem NZ, no. 95, pp. 14-18 (The New Zealand Institute of Chemistry, New Zealand).
B2004年:化学量論に基づく物質量の指導法とその学習過程における高校生の理解の分析 (共著), 科学教育研究, 第28巻第3号, pp. 188-196 (日本科学教育学会).
C2004年:物理化学教育における化学数理 ― 分布と誤差 ― について (共著), 上越教育大学研究紀要, 第24巻第1号, pp. 183-198.
D2004年:Balancing the Pauling Bond Orders in Kekulean Benzenoid Hydrocarbons(共著), Journal of Molecular Structure: THEOCHEM, vol. 686, no. 1-3, pp.181-183 (Elsevier Science, Amsterdam).
E2004年:Hexagonoidal Partitioning and Quasi-single Bonds in Benzenoid Hydrocarbons (共著), Polycyclic Aromatic Compounds, vol. 24, no. 1, pp.75-82 (Taylor and Francis, Philadelphia).
F2004年:A Classical Valence Bond View of Cylinder-shaped and Fully Benzenoid-like Polyarenes (Polycyclic Aromatic Hydrocarbons) of Large Size (共著), Polycyclic Aromatic Compounds, vol. 24, no.3, pp. 195-206 (Taylor and Francis, Philadelphia).
G2004年:Molecules-in-Molecule Estimation of the Extent of Localization of Kekulean Substructures in Polycyclic Aromatic Hydrocarbons (共著), Journal of Chemical Information and Computer Sciences, vol. 44, no. 6, pp. 1891-1896 (The American Chemical Society, USA).
H2004年:'Amount of Substance' and a Single Elementary Entity (共著), KHIMIYA, vol. 13, no.6, pp. 431-435 (The Ministry of Education and Science, Bulgaria).
I2004年:物質量とモルに関る教具 ― 開発と利用 ― の研究 (共著), 上越教育大学研究紀要, 第23巻第2号, pp. 691-703.
@2004年:メッシュ法を用いた Ih 対称フラーレンの構造最適化について (共),日本コンピュータ化学会 2004 秋季年会 1P15 (東京大学, 山上会館).
◎特色・強調点等
 研究成果を海外英文雑誌に投稿(上記,英文論文は海外研究者との共著)した。
<社会との連携>
社会的活動状況
電子雑誌「化学教育ジャーナル(CEJ)」編集長(日本コンピュータ化学会)
◎社会への寄与等
 化学教育と化学教育活動を係る情報の流通発展を支援するために,電子雑誌の出版を積極的にすすめた。
 

天 野 和 孝(助教授)
<教育活動>
授 業
 授業前に日程を含めた授業計画表を作成し、学部生、大学院に配付した。その際に到達目標についても明示した。地圏環境進化学関係の授業では、これまでの研究成果も資料として使用した。また、大学院の地学教材の授業では「地学教育」誌に掲載された化石教材に関する論文を用いている。成績評価についてはレポートを中心に評価し、評価後に返却すると共にその解説を行なった。
研究指導
 学部については教育実習で役立てるように露頭の観察、スケッチ、化石のクリーニング等の指導を重視した。また、大学院においては内容的なことに加え、研究のプレゼンテーションを重視した指導を行なった。
その他の教育活動
 信州大学教育学部、新潟大学理学部の専門科目の非常勤講師、秋田大学附属鉱業博物館の化石教室、九州大学総合研究博物館の公開講演会、上越科学技術研究会の講師を務めた。また、地域貢献事業の一環として市内の公立中学校から依頼され、上越市の大地の生い立ちについて講義した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 体験学習や博物館資料論など専門科目以外の科目も含めて、日程を含めた授業計画を配付し、授業の目的を明示した。また、毎時間プリントや現物資料を用意し、視聴覚機器を用いて授業を行った。さらに、諸大学の非常勤講師を依頼され、地域貢献事業に積極的に参加した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年4月:Latest early -earliest middle Miocene deep-sea molluscs in the Japan Sea borderland - the warm-water Higashibessho fauna in Toyama Prefecture, central Japan(共著). Paleontological Research, vol.8, no.1, p.29-42.
A平成16年9月:児童生徒の地殻変動の理解度を考慮した地層の選定(共著). 地学教育, vol.57, no.5, p.155-160.
B平成17年1月:Miocene whale-fall community from Hokkaido, northern Japan(共著). Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, vol.215, nos.3/4, p.345-356.
C平成17年3月:Calyptogena (Bivalvia:Vesicomyidae) from Neogene strata in the Joetsu district, Niigata Prefecture, central Japan(共著). The Veliger (California Malacozoological Society), vol.47, no.3, p.202-212.
@平成16年4月:鮮新世〜更新世の日本産ヌノメツノオリイレ属(巻貝)の分類と分布. 日本古生物学会2004年年会発表.
A平成16年8月:Miocene molluscan community at whale carcasses from Hokkaido, northern Japan. 32nd International Geological Congress (Florence) 発表(共).
B平成17年1月:Miocene molluscan community at whale carcasses from Hokkaido, northern Japan. 日本古生物学会第154回例会発表(共).
@平成16年12月:上越市史 通史編T『自然・原始・古代』, 第一部自然の編集および一部執筆
学会活動への参加状況等
@6月24日〜6月28日:日本古生物学会評議会および2004年年会出席
A8月18日〜8月26日:32nd International Geological Congress (Florence)に出席
B1月20日〜23日:日本古生物学会評議員会および第154回例会出席(座長)
◎特色・強調点等
 採択されている科学研究補助金により、二枚貝の穿孔捕食痕の研究を継続して行なった。また、世界的に見ても3件目となる珍しい化石鯨骨群集を北海道の新第三系より発見し、国際学会で発表した。
<社会との連携>
社会的活動状況
@日本古生物学会評議員
A日本地質学会古生物部会幹事(9月まで)
B上越市史編纂委員・同専門委員
C上越市環境影響評価会議委員
Dフォッサマグナ・ミュージアム協議会委員
E飯山トンネル特別委員会委員兼幹事
◎社会への寄与等
 日本古生物学会評議員、日本地質学会古生物部会幹事として学会活動に積極的にかかわった。
 上越市史通史編の執筆および編集、博物館協議会委員など地域の文化向上に貢献した。
 

大 場 孝 信(助教授)
<教育活動>
授 業
 地球物質科学実験や地学実験で、材料の資源が何か、岩石がどのように使われいるか、について知る目的で、大学の周りや高田公園まで行き、できるだけ実物をみせる事に心掛けた。また、走査電子顕微鏡を用いて、拡大してみると鉱物などの表面に規則正しい構造が見えることを観察させた。これらの観察をもとにお互いに話し合うことや教官と対話することにより理解を深め合えるよう試みた。
 大学院の授業「地学教材研究」では、現場で役に立つ,観察実験や科学ショーを行えるような教材つくりをおこなった。今年も、現職の教員が岩石の名前は知っているが、実物をみたことがないことがわかり、実物を観察させることに努めた。
研究指導
 学部3年生1人、学部4年生1人、大学院2年生1人の研究指導を行った。
 学生の教育実習で、学生の研究授業を院生とともに見に行った。授業方法について話し合い、事後の相談、指導などをおこなった。
その他の教育活動
@群馬大学教育学部非常勤講師
A石川県教員採用試験対策としての簡単な理科実験の指導をおこなった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 岩石学と一般地質学の朝ゼミをおこない専門の基礎学力の強化をはかっている。単なる知識の増強だけでなく、広く体系づけてものを考える力や総合的にものを考える力がつくようトレーニングしている。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年4月:『群馬県片品村戸倉鉄斧石』(共著) 群馬大学教育学部紀要, 自然科学編,  第52巻, 29−42.
A平成17年1月:『The mineralogical characterization of desert soils from and rocks surrounding Taklimakan desert, China』(共著) Proc.Fourth ADEC Workshop, 269-272.
@平成16年9月:『北部フォッサマグナ地域に分布する鮮新世火山岩類のK-Ar年代および岩石化学的研究』(共) 日本地質学会発表
A平成16年9月:『北部フォッサマグナ清津峡半深成岩の岩石化学的研究』(共) 日本地質学会発表
B平成17年1月:『The mineralogical characterization of desert soils from and rocks surrounding Taklimakan desert, China』(共) Fourth Aeolian Dust Experiment Climate Impact Workshop (第4回国際エアロゾル気象学会)
共同研究の実施状況
・ナピア地域太古代リソスフェアーの地球科学的研究 代表者:有馬真(横浜国立 大学教授)国立極地研究所共同研究
国際研究プロジェクトへの参加状況
・平成16年度科学技術振興調整費による『風送ダストの大気中への供給量評価と気候への影響に関する研究』 矢吹 貞代(独立行政法人理化学研究所 先端技術開発支援センタービームアプリケーションチーム 嘱託職員)
学会活動への参加状況等
・参加状況
@平成16年9月16日:粘土科学討論会出席
A平成16年9月18日〜9月20日:日本地質学会出席
B平成17年1月26日〜1月28日:Aeolian Dust Experiment Climate Impact Workshop(第4回国際エアロゾル気象学会)
・学会役職
日本粘土学会 幹事
◎特色・強調点等
 北部フォッサマグナの第三紀の火成活動について、K-Ar年代測定をおこない、鉾ヶ岳、高妻山、火打山などの西頚城半深成岩の活動時期を明らかにした。また、SrとNdの同位体を測り、マグマ供給源を明らかにしつつある。北部フォッサマグナの火成活動が明らかになり、今後の上越地域での火成活動が明らかとなる。
<社会との連携>
社会的活動状況
@いきいきわくわく科学賞審査委員(新潟県教育センター)
A「わくわく大学デー」講師
B公開講座 理科野外観察指導実習G(火山とマグマ)
C講演 火山や地震について3ヵ所で講演をおこなった(妙高高原村、能生町商工会議所、高田ロータリークラブ)
D東山小学校 4年生理科実験をおこなった。
E春日小学校総合学習の授業の一環として小学生4名の訪問をうけた。
F長野県屋代高校が理科のスーパハイスクールの指定を受けたため研究課題の実験の手伝いをおこなった。
◎社会への寄与等
 上越地域は北部フォッサマグナと重なり、火山活動や地震活動の多い地域である。中越地震がおこり、地質の関心が高まった。地質構造に加え粘土鉱物が地すべりの被害を大きくしたことや、プレートの動きと火山活動や地震活動が関与しており、これまでの研究が地域貢献に生かされる結果となった。
 

小 川   茂(助教授)
<教育活動>
授 業
 授業では、実験と観察をまじえながら講義を行った。特に、大学院の実験では「学校現場で使える教材の開発」をテーマとして実際に教材の作製を受講生に行わせた。学部の一部の授業では適宜小テストを行い、知識の定着をみるとともに、その結果を授業の改善にむすびつけた。
研究指導
 大学院M1(1名)、学部4年(1名)、3年(1名)の研究指導を行った。その過程で、理科の教員として必要な実験器具の使用法、試薬の取り扱い方、生物の飼育・培養法などを習得するよう指導した。大学院の学生には、教材開発を目指したテーマを与えて指導した。
その他の教育活動
@「わくわく大学ウイーク」講師
A三和中学校、高士小学校における教育実習学生の指導
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院の「生物教材実験」では、教育現場に還元できる教材の作製を指導した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年2月:「Behavior of nuclei during zoosporogenesis in Bryopsis plumosa (Bryopsidales, Chlorophyta)」(共)Journal of Plant Research 118巻 第1号 pp. 43-48
共同研究の実施状況
・「自然観察教育における走査型電子顕微鏡データの活用の試み」 代表者:中村雅彦 学内プロジェクト
学会活動への参加状況等
@平成16年9月9日〜12日:日本植物学会第68会大会(藤沢)参加
A「Journal of Plant Research」、「生物教育」 査読員
◎特色・強調点等
 発表論文は学術的内容であるが、「実験をとおして生活史を理解させる」ための教材開発につながる重要な研究成果が含まれている。
<社会との連携>
社会的活動状況
・平成16年7月:公開講座「上越教育大学理科野外観察指導実習D(ミクロの世界)」 講師
◎社会への寄与等
 公開講座をとおして、野外観察に秀でた教師や自然観察の指導的役割を果たす人材の養成に寄与できたのではないかと考える。参加者からは比較的好意的な評価をいただいた。
 

定 本 嘉 郎(助教授)
<教育活動>
授 業
学 部
 コンピュータを使った数式処理システムと実験とをうまく組み合わせた授業を行った。学生はこのような授業を受けたことがなく,新鮮で良かったと評価している。物理学の力学と電磁気学分野で教育系学生用に厳選した授業・演習・実験を行った。
大学院
 高校物理の力学分野において,エネルギー保存則の理解を促す教材について議論と製作を行った。また,実践場面分析演習では,小・中・高の電流学習における水流モデル教材の改善を行った。
研究指導
 @「物理学理解に関する実態調査」,A「実験教材の開発」,B「教材の学校現場での実践とそれに基づく評価」の3点を目標に掲げている。去年から継続して今年も,電場に関する理解を促す教材の開発および高校での実践とそれに基づく評価の指導を行った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成16年5月:"High-beta steady-state research and future directions on the Japan Atomic Energy Research Institute Tokamak-60 Upgrade and the Japan Atomic Energy Research Institute Fusion Torus-2 Modified", Phys. Plasmas 11 (2004) 2532-2542.
A平成16年8月:"Investigation of compatibility of low activation ferritic steel with high performance plasma by full covering of inside vacuum vessel wall on JFT-2M", J. Nucl. Mater. 329-333 (2004) 721-725.
B平成16年11月:"Compatibility of Reduced Activation Ferritic Steel Wall with High Performance Plasma on JFT-2M", 20th IAEA Fusion Energy Conference, IAEA-CN-116/EX_P2-33(2004).
C平成16年11月:"Overview of steady-state tokamak operation and current drive experiments in TRIAM-1M", 20th IAEA Fusion Energy Conference, IAEA-CN-116/OV_5-2(2004).
@平成17年3月:「トルネード磁場中における直流放電プラズマの生成」,スペース・プラズマ研究会(☆研究会座長)
共同研究の実施状況
@トカマクに於ける静電プローブを用いた輸送過程の研究, 代表者:定本嘉郎(上越教育大学助教授)日本原子力研究所協力共同研究
A外部ポロイダル磁場による球状プラズマの研究, 代表者:定本嘉郎(上越教育大学助教授)宇宙科学研究所共同研究
BTRIAM-IMの周辺プラズマに於ける非対称プローブによるイオン温度の測定とプラズマ輸送の研究,代表者:上原和也(原研 主任研究員)九州大学応用力学研究所共同研究
学会活動への参加状況等
・日本物理学会誌「大学の物理教育」編集委員(平成16年8月まで)
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 中越地震災害援助として,小千谷市立東山小学校3年生に電気と磁石の実験を行った。児童の感想文には,楽しく,いきいきと活動した様子が書かれていた。
 

庭 野 義 英(助教授)
<教育活動>
授 業
 自分の意見を持って、物事を多角的に分析・考察できるような学生の育成を目指して授業を行った。読む力、考える力と表現する力を育成することを目的とした。
研究指導
 自然観、科学観、自然科学の教育的価値・倫理的側面の研究、「理工系離れ、環境問題、学校の多くの問題」の解決に寄与する理科教育の研究、およびその指導をそれぞれ行った。
 修士論文;奥原竜司「理科教育における環境教育に関する研究」と矢野学「ソロモン諸島と日本の生徒の環境問題に関する意識の比較調査」の指導をそれぞれ行った。
 大学院の授業で理科教育学基礎論、理科教育研究法の指導を行った。
その他の教育活動
@小学校・中学校段階の教員養成に関して、アメリカでの実情を調査した。
A小・中学校や県・市教育委員会を訪問した。
B現場教師との共同研究を行った。
C教員採用試験対策を行った。
Dせんせいのたまご倶楽部を指導して、次の活動を行った。
 大学近くの3小学校を中心に、第5回サマースクールを計画し実施した。8月19日から23日まで、1−6年生約200名を学生と共に指導した。
E飯小学校での学生の指導補助の指導を行った。
F八千浦中学校での学生の指導補助の指導を行った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@2004,08:「勉強」の概念の変化−理科嫌い・理科離れの背景−、教育学論説資料、論説資料保存会
A2004,07:19世紀末米国における理科教育に関する考察−W.T.Harrisの理科教授論−、CD-ROM教育学論説資料、論説資料保存会
@2004,10:実習、体験、ボランティアを理論化することにより実践的指導力を身に付けた教師の養成に関する研究、教大協全国大会(北海道教育大学旭川校)
A2004,10:ソロモン諸島初等中等理科教育に関する研究(富山大学)
B2004,10:環境教育における「配慮行動」に関する研究(富山大学)
国際研究プロジェクトへの参加状況
・Collaboration in Science Education Research 2004(代表者:Dr. Robert E. Yager, The Science Education Center, The University of Iowa)
学会活動への参加状況等
・参加状況
@日本理科教育学会全国大会参加(筑波大学大学、平成16年8月)、座長
A日本科学教育学会年次大会(千葉大学、平成16年8月)、研究会委員
B日本理科教育学会北陸支部大会(富山大学、平成16年10月)
・学会役職
@日本理科教育学会研究紀要査読委員
A日本科学教育学会研究会査読委員
B日本科学教育学会研究会運営委員会委員
 

下 村 博 志(講 師)
<教育活動>
授 業
 講師として理科(ブリッジ科目)、体験学習、化学実験、分析化学、無機分析化学特論、物質化学実験等の授業を行った。各授業はシラバス記載の内容について、受講生の興味の指向性や背景となる知識などを考慮しつつ授業を構築した。
・ブリッジの理科(化学)では、酸化還元の部分を担当し、1時限を学生による実験を取り入れたものにした。
・体験学習では、関川や矢代川の水質現地調査、実験室でのCOD, BOD測定などを行い、環境測定の基礎を取り入れたものとした。
・化学実験は従来の通りであるが、担当教員のうちで負担の偏りが著しく、改善を計画している。
・物質化学実験では原子吸光法などの環境分析の基礎的手法を取り入れたものにした。
・分析化学、無機分析化学特論においては、化学分析の果たす社会的役割も踏まえた内容とした。
 評価方法については講議の初回に説明し、それに基づいて行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 環境関連の学部や専攻では、環境測定や環境保全技術、関連する法体系についての学習の到達度を測るため公害防止管理者の国家資格取得を奨励する例が増えているようである。本研究室においても環境教育を実施する基礎となる、環境とその保全について確かな理解を有する教員の養成を目指し、無機分析化学を基礎とし、それに上記資格に関連した内容(特に水質に関する環境測定、環境保全)を授業に取り入れている。
 自身も水質関係第一種公害防止管理者資格を取得した。希望する学生には上記資格の取得にも資する講議、実験と研究課題を提供できるよう体制を整え、研究室での教育内容の高価値化を試みている。
<研究活動>
共同研究の実施状況
・教員養成課程における自然環境を知るための理科実験教材の開発と環境教育プログラムの開発 代表者:下村博志 上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況等
@日本分析化学会新潟地区部会ニュース編集担当
A日本分析化学会新潟地区部会幹事会ニュース編集会議(8月)
B日本化学会春季年会(3月)
◎特色・強調点等
 昨年度に引き続き、研究内容、特に学生の指導に関わる部分については、環境教育 の充実につながるものに重点をシフトさせつつある。また環境分析技術の学校教育へ の応用を教材開発として行っている(水中シリカの分析教材開発の他測定項目への発展)。
 

五 百 川  裕(助 手)
<教育活動>
授 業
 学部の生物学実験では,課題説明だけでなく関連基礎知識の確認を図り,生物学および生物教育における当該実験の意義を理解した上で,実験に主体的に取り組めるように工夫した。課題は中学校理科との関連を考慮し精選した。
 大学院の理科野外観察指導実習Eでは,身近な環境で普通に見られる植物を対象とし,観察指導時に児童生徒の興味を惹きつけるポイントの解説と,理科授業で使える課題の体験を行い,実践力の養成をめざした。
研究指導
 まず教師自身が科学的な見方,考え方のできる能力を確実に修得しており,その大切さと面白さを理解していることが,理科教育の目的であるその能力の養成には不可欠であるとの認識のもと,植物野外調査を中心とする研究指導を行い,観察記録能力,データ処理能力の養成に努めた。小中学校理科の学習内容との関連を意識させながら植物観察指導を行うことにより,教育実践力に結びつく専門性の向上をめざした。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部授業においては,高校生物の学習内容が定着していない,あるいは未履修の学生がいる実態を考え,自身の高校教員経験を生かして,高校生物の復習を行い授業内容の理解がはかり易いよう配慮している。
 大学院授業においては,学生の実践経験に基づく学習内容への疑問や,指導の困難さ等を解決できるように,学生との対話を重視しながら,問題解決の充実感や実践意欲を高められるような授業改善を試みている。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年1月:『ヒマラヤに花を追う−秘境ムスタンの植物−』(共著)八坂書房
A平成17年2月:『新潟県植物目録[チェックリスト]』(共著)植物同好じねんじょ会
@平成16年8月:『Uraria barbaticaulis (Leguminosae), a New Name for U. barbata Lace, and Its Leaf Organization』(共著) J. Jpn.Bot. 第79巻 pp.224-226
A平成16年8月:『A New Variety of Campylotropis bonii Schindl. (Leguminosae)』(共著) J. Jpn.Bot. 第79巻 pp.227-229
B平成17年2月:『Large-scale general collection of wild-plant DNA in Mustang, Nepal』(共著) J.Plant Res. 第118巻 pp.61-69
@平成17年3月:『ユズリハの両性花』(共)日本植物分類学会第4回大会研究発表
国際研究プロジェクトへの参加状況
・ネパール・ムスタン地域植物相調査 代表者:大場秀章(東京大学教授)緑育成財団ネパール植物研究助成金
学会活動への参加状況等
@9月9日〜9月12日:日本植物学会第68回大会出席
A3月11日〜3月13日:日本植物分類学会第4回大会出席
◎特色・強調点等
 アジア温帯域の植物多様性の実態と起源の解明を研究テーマとする。著書@は,ネパール・ムスタン地域調査の実施状況と成果を一般市民に紹介し,地球上の生物多様性調査の意義,魅力,困難さ,必要性への理解普及を図る。著書Aは,新潟県の植物多様性の全貌解明のための基盤資料である。論文@,Aは,開発の進む東南アジアで見過ごされていた植物の記録である。論文Bは,遺伝子レベルの多様性研究への貢献をめざす取組みである。
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市児童生徒科学研究発表会審査委員長(上越市立教育センター)
A県下児童生徒生物標本・自然科学写真展示会審査委員(長岡市立科学博物館)
B平成16年度サイエンス・パートナーシップ・プログラム研究者招聘講座講師(新潟県立新津高等学校)
C秋の植物観察研修会講師(理友会)
D植物レッドリスト見直し調査調査員(環境省)
E北アルプスカモシカ保護地域特別調査指導委員(新潟県教育委員会)
◎社会への寄与等
 児童生徒の自然環境への興味関心を高め,科学的視点を育む催しに審査委員として実施協力をし,また,高校生への科学教育魅力化の試みであるSPP事業において高校生に対して授業を行った。
 中学校教員が自然観察指導力向上を図る催しである理友会秋季研修会の講師として,植物観察の研修に協力した。
 植物レッドリスト見直し調査調査員および北アルプスカモシカ保護地域特別調査指導委員として日本の植物保護活動に貢献した。