4 教育・研究活動
(1) 各講座・分野の教育・研究
 

 
@ 学習臨床講座
ア 組織
 平成12年に開設された本講座は,教員20名(うち教授定員12名)の定員で構成されている。本年度途中に山崎貞登教授の生活健康系(技術分野)への所属変更が,年度末に和井田清司教授の国士舘大学への転出があった。前年度からの懸案事項であった高田喜久司副学長と戸北凱惟副学長の輩出に伴う二つの空席については,それぞれの後任者を平成18年4月1日付で補充する準備を進めた。本年度末における教員の現有数は16名であり,4名の欠員のうち,2名については次年度の懸案事項となった。また,平成17年4月1日付で和井田清司助教授と中村光一助教授がともに教授に昇任した。
イ 教育・研究の特色
 本講座は,従来の実践的な教育研究を踏まえ,より一層教育現場に密着して,児童・生徒の学習を臨床的に研究し,教育実践上の様々な課題に応えられる教育研究を創造することを目指して来た。
 大学院の教育研究活動は,教育方法臨床,学習過程臨床,情報教育,総合学習の四分野に分かれて行われているが,実践場面分析演習を通して,各分野の特質を生かしながら,学習臨床の研究内容や方法の開発に取り組んでいる。また,研究室単位での演習を通して,大学院生自身が教育実践に取り組み,課題を明らかにしながら,授業分析をはじめとする研究活動を行っている。修士論文の構想発表と中間発表は四分野ごとに組織・運営されるが,これを公開のかたちで実施することにより,隣接分野における研究成果と刺激を相互に吸収できるようにしている。論文提出後の修士論文発表会は,各分野単位ではなく,四つの分科会形式で行われ,学習臨床研究の共通基盤の構築を意図して,分野相互の研究動向を確認する場ともなっている。
 学部の教育研究活動に関しては,四分野の解消を前提として,前期に「学習臨床入門」,後期に「学習臨床概論A」と「学習臨床概論B」の授業を開設・実施した。本年度は卒業論文作成の3回目の年であったが,大学院と同様の経過を踏まえ,方向性を模索しながら2会場で発表会を開催した。四分野の相互乗り入れとすることにより,学習臨床研究の成果を幅広く共有化することができた。
ウ 運営・活動の状況
 大学院生数は,1学年標準定員60名であるが,本年度は1年生が62名,2年生が47名,合計109名が在籍している。なお,大学院1年生62名のうち免許プログラムの学生は18名である。一方,学部学生数は,1学年標準定員20名であるが,本年度は2年生が28名,3年生が24名,4年生が19名,合計71名が在籍している。講座開設以来,定員である20名に満たない数の教員が,これらの学生たちの研究指導に当たっており,実態としては既に限界を超えているが,大学院定員充足のための努力の結果もあり,平成18年度の入学生も53名を予定している。
 これら100名を超える大学院生については,その実情を直接的に把握するにはあまりにも人数が多いため,講座代表,庶務係2名,各分野の連絡係4名及び大学院生の代表者10名による「教員・院生協議会」を毎月開催して,コース・分野の運営,研究環境の問題等について定期的に協議しながら改善の努力を払っている。
 また,本講座は,常に学校教育総合研究センターと連絡を取り合いながら,附属学校をはじめとする教育現場との連携,国際交流事業への参画,各種シンポジウムの開催,「総合学習研究年報」の発行など,多様な教育研究活動に積極的に取り組んでいる。
エ 今後の検討課題等
 平成17年度は本講座が開設されてから6年目に当たり,大学が法人化されて2年目に当たる。次年度は,平成12年度改革の成果と課題を整理する一方,平成19年度または平成20年度に予定されている教職大学院の設置を見通して,講座組織等の見直しを図っていく必要性があるように思われる。また,大学院1年生のおよそ3分の1を占める免許プログラムの学生に対する研究指導の在り方も今後の検討課題の一つといえよう。
 

 
A 幼児教育講座
ア 組織
 幼児教育講座は教授2名,助教授2名,講師2名の総勢6名の教員で構成され,この6名で幼児教育学,幼児心理学,保育内容の研究,生活科教育学の4つの専門領域を担当した。また今年度は附属幼稚園園長を併任していた大山美和子教授の任期が終了し,全面的に講座の仕事に復帰した。
イ 教育・研究の特色
 各専門領域の立場から,幼稚園教諭及び保育士の養成を中心とした従来の実践的研究を,各専門分野の有機的な関連を図りながら保育実践現場と密着させて教育研究を行った。
 具体的には保育実習専門部会に部会長を含む3名のスタッフを送り,本学の幼稚園実習と保育所実習の引率及び事前事後指導を講座の全スタッフが中心となって行った。
 幼稚園1種免許取得希望者(幼児教育専修の4年次生他)を対象とする幼稚園専修実習については従来のやり方に加えて,講座のスタッフが事前指導をローテーションで行いその指導の中で研究の成果を教育に活かす努力を行った。他に附属幼稚園に依頼し,直前指導として幼稚園理解と実習に際しての諸注意等を話して頂く機会を設けた。 
 「実践セミナー」「実践場面分析演習」の「T」では専門の講義と幼稚園・保育園での観察・参加を通してテーマを設定し,各自で資料収集・分析・検討を行い,発表し討論を行った。「U」では附属幼稚園の協力のもとに,全学生・院生共に作業分担を行い,「ペープサート」教材を通した保育活動の実践を試みた。結果については資料を分析し全員で検討を行い,その成果については従来通り報告書にまとめた。
 なお,幼児教育専修4年生及び幼児教育専攻の2年生の全員がそれぞれ卒業,修了したことを付記しておく。
ウ 運営・活動の状況
 講座運営の中心となる講座会議は,従来通り隔週開催というこれまでの原則を踏襲し,全スタッフ参加のもと23回開催した。このほかに臨時の会議を複数回催し,情報に関するスタッフへの周知徹底に努力した。また時間的な効率化も図った。
 今年度は附属幼稚園との連携の有効性を図る目的で,昨年から講座と附属幼稚園で検討を重ねてきた「幼児教育講座・附属幼稚園協議会」を年度当初に設立させ,その運営方法,参加者,議題,開催日程等について取り決めを交わし,これまでも行ってきた附属幼稚園の幼稚園教育研究会をはじめとする講座の幼稚園への協力体制の見直しをはじめた。会の実質的な運営は講座代表と附属幼稚園副園長とが担当する。
エ 今後の検討課題等
 文部科学省の指導のもとに平成17年度第1回目の「幼稚園教員資格認定試験」が実施された。本学のスタッフも中心的な立場で,他大学との連携のもとで具体的に作業が進められた。実施に伴う今後の諸課題の解決を,文部科学省の指導のもとに他大学との連携を取りながら進むことが求められている。また従来の「幼・小連携」に加えて,幼稚園と保育所を一元化する「総合施設」について講座としての早急な検討が必要と考える。
 

 
B 生徒指導総合講座
ア 組織
 本講座の教員構成において,前年度末時点で次の異動があった。すなわち,前年度3月末日で杵淵俊夫教授が定年で退職された。また,平成17年4月1日付で下司晶講師が本講座所属教員に就任された。その結果,教授2名,助教授7名,講師1名となった。また,大学院修士課程在籍者(発達臨床コース全体として)は,2年次学生24名,1年次学生34 名であった。
イ 教育・研究の特色
 第一に,本講座の内部を次の三つの授業科目群に緩やかに区分して日常の教育・研究活動を展開しつつ,なお講座としての統合性を追求する指導体制を採っている。すなわち,(1)不登校やいじめ等,生徒指導の今日的問題に個別的に対応するだけでなく,チーム・ガイダンスのコーディネータとして総合的に問題解決を図る教員の育成をめざす「生徒指導」の科目群,(2)開かれた学校や特色ある学校づくり等,自主的・自律的な学校経営をめぐる現代的課題にスクール・リーダーとして対処しうる教員の育成をめざす「学校経営」の科目群である。そして,(3)社会の変化と学校が置かれている状況を客観的に理解し,保護者や地域の教育への関心やニーズの分析・把握をめざす「教育社会環境」の科目群である。これら三つの科目群それぞれの専門分化を許容しつつ,併せて学校教育の実践的な諸問題に対する総合的かつ臨床的な研究活動を学内研究プロジェクト等の推進を通して展開している。
 第二に,大学院発達臨床コースの「生徒指導相談」「学校経営」「教育社会環境」の3分野それぞれの専門性を活かしつつも,発達臨床コース全体の統合性のある教育活動を展開するために,特に研究セミナーと実践場面分析演習の授業運営に独自的な工夫・配慮をしている。つまり,研究セミナーについては日常の個別教員による指導の発展形態として,5月に大学院2年次学生の「修士論文第2次構想発表会」(1年次学生も全員出席),10月に「修士論文中間発表会」(同),そして12月には1年次学生による「修士論文第1次構想発表会」を開催して,所属教員全員による多面的かつ詳細な指導を実施している。また,実践場面分析演習については,学校教育に関する実践的諸問題への広い視野の習得と分析的考察能力の向上を意図して,ディベートによる追究・討議の機会を設定し,学部3〜4年次学生(「実践セミナー」の授業)を含めた意欲的な学習を促した。なお,この実践場面分析演習の授業記録については,本年度も報告書にまとめ公表した。
 第三に,本講座所属の教員多数が会員となっている日本学校教育学会の運営に力を注ぐとともに,特に現職教員の大学院学生に研究大会での研究発表や機関誌への論文投稿を積極的に行うよう指導し,広くわが国教育学界の発展・向上にも貢献している。
ウ 運営・活動の状況
 毎月第一水曜日を基本に講座会議を開催し,本講座の運営に関する重要事項について協議している。本年度の主要事項としては,大学院定員充足のための方策,学部1年次学生の2年次進学時の発達臨床コース生徒指導総合分野への所属希望者の増加であった。
エ 今後の検討課題等
 従前より,大学院の「生徒指導相談」分野での研究を希望する学生の数が急速に増しており,そのため専門分野としては教育相談(教育学系)の専任教員の配置(増員)をできるだけ早く実現できるよう,関係者の理解と援助を強く望んでいるところである。
 

 
C 心理臨床講座
ア 組織
 講座の構成は,教授2名,助教授7名,講師2名,助手1名の陣容であった。本講座教員が指導を担当した学部生は3年次12名,4年次生11名であった。大学院については,旧来の臨床心理学分野がコースとして独立したため,臨床心理学コースと発達臨床コース学校心理分野は別組織となった。大学院生は臨床心理学コース1年次生19名,2年次生18名(うち退学と休学各1名)であった。
イ 教育・研究の特色
 学部教育は,心理臨床分野の専攻学生に対して全教員で指導にあたり,特に卒論や実践場面分析演習では,基礎心理学と臨床心理学の連携を重視した指導体制をとっている。大学院教育は組織上分離しているが,授業科目は臨床心理系の教員が学校心理分野の院生に臨床心理関係科目を,そして学校心理系の教員が臨床心理学コースの院生に基礎心理学関係科目を開講し相互に補完し合っている。両者ともそれぞれ修論中間発表会や修論発表会を行いレベルの向上に努めている。研究面では著書,学術論文が多数出されている。
ウ 運営・活動の状況
 講座会議は月1回開催し,心理臨床講座の人事基準,修士課程のマル合・合基準,中期目標・競争的教育研究資金の配分基準などについて検討した。
エ 今後の検討課題等
 学部は共通であるが,大学院は臨床心理学コースと発達臨床コース学校心理分野と分離していることから派生してくる教育上の弱点の解消方法とより効果的な指導体制づくり。臨床心理学コースにおける心理教育相談室の来談ケース担当院生への臨床指導にかかわる加重負担の解消方法とより効果的な指導体制づくり。
 

 
D 障害児教育講座
ア 組織
 教授4名,助教授2名,講師2名で構成された。また,障害児教育実践センターの教授,助教授,講師,助手の各1名と緊密な連携をとりながら運営がなされた。
イ 教育・研究の特色
 本講座の目標は,障害児教育の現場に直結した高度な専門的知識と実践的技能を備えた教員の養成である。このため,障害児の教育学,心理学,生理・病理学,指導法を専門分野とする教員スタッフを擁し,盲・聾・養護学校に在籍する児童・生徒の他,小・中学校に在籍する軽度発達障害のある子どもに関する教育・研究を展開した。
 特に,講義による専門的な知識の提供とともに,障害児教育実践センターにおける臨床研究の場を数多く提供した。授業としては,盲・聾・養護学校教諭の各専修免許状,一種免許状の取得に必要な科目を開設し,合わせて新潟県内の盲・聾・養護学校の協力を得て,14名の院生の教育実習を実施した。
ウ 運営・活動の状況
 講座及び障害児教育実践センターの教員全員による講座会議を28回開催し,両組織の運営について審議した。また,諸課題の解決に向けた5つのワーキング・グループを組織し,院生募集・支援,カリキュラム,予算,人事,障害児教育実践センターの構想及び地域連携に関して,各改善策を検討した。
 院生募集では,継続して雑誌広告の掲載,パンフレットの作成・配布,私立大学訪問,ホームページにおける情報提供を実施し,院生支援では,修士論文作成にかかわる指導方法の改善,研究室変更希望に対する柔軟な対応,障害学生やハルピン師範大学からの留学生に対する支援体制の整備等を実施した。
 また,カリキュラムに関しては,大学院では,昨年の特別支援教育論Tに続けて特別支援教育論Uを新たに開講し,軽度発達障害に関する内容を積極的に取り上げた。また学部では,大学院までの6年一貫教育を念頭に置き,昨年開講した障害児教育概論Tに続けて2年次学生を対象とした障害児教育概論Uを新たに開講した。
エ 今後の検討課題等
 院生募集に向けて様々な方策を講じた結果,平成18年度の入学試験には30名定員に対して53名の応募者があり,44名の合格者を出した。しかしながら,合格者の中には教育職員免許取得プログラムの申請者が多く含まれており,逆に現職院生の数は減少する傾向にある。このようなことから,講座と障害児教育実践センターの連携を強め,これまでに蓄積してきた盲・聾・養護学校に係わる教育・研究の一層の推進を図るとともに,特別支援教育への転換に応じて,小・中学校等の現場におけるニーズにも適切に対応できるように,軽度発達障害に関する教育・研究領域をカバーできる教員の充実を早急に進める必要がある。
 

 
E 言語系教育講座(国語分野)
ア 組織
 平成17年4月1日現在の構成員は,実技教育研究指導センター所属の教員を含めて9名である。教授3名,助教授4名,講師2名であり,迎勝彦講師は平成17年4月1日に助手から昇任しており,また渡部洋一郎講師は平成18年4月1日をもって助教授に昇任する。
イ 教育・研究の特色
 本分野は,国語学,国文学,国語科教育,書写・書道の4領域で組織されており,学部学生,大学院学生ともにその各領域に帰属している。指導の具体はそれら領域における実施を中核とするが,「実践場面分析演習」は複数の領域によって多重的に開講される例がある。卒業論文と修士論文の指導に係る構想発表会・中間発表会は全領域合同で行い,領域にかかわらず議論が展開される。
 また「上越教育大学国語教育学会」を組織しており,年2回の例会では,卒業・修了生の実践または研究の発表,卒業論文・修士論文の発表および教員の研究発表が行われており,平成17年度末で50回をむかえた。また,学会誌として年1回『上越教育大学国語研究』を刊行し,平成17年度で20号を数える。
 なお,漢文学を専攻する教員を欠くため,学部・大学院ともに非常勤講師を招いて充実をはかっている。
ウ 運営・活動の状況
 本年度,国語分野会議は18回開催された。主たる審議内容は,人事基準の明確化,資源配分基準・分野別教員評価基準の検討,教育職員免許取得プログラムに係る学生指導の方法,現職派遣大学院受験者の面接方法,「上越教育大学国語教育学会」の運営方法等である。内部的な評価基準の明確化に係る議論を別とすれば,学生指導および大学院入学試験の方法論的な検討と,指導体制や研究体制の改善に関する検討が分野会議の中核を占めている。
エ 今後の検討課題等
 大学院は一定の学生数を確保しえているが,その属性は現職研修教員,新卒進学者,長期履修学生および免許プログラム学生のごとく複雑化している。このため単一の方法では有効に指導しがたい状況が生じつつある。修士論文の質的水準の維持をはかるのみならず,修了時の状況を予測し,学生の指向に応じたきめの細かい対応が要求される。学部については,基礎学力を養成しつつ採用試験の合格率を上昇させることが求められる。
 大学院,学部ともにこれまでのように総合的・統合的な方針を基盤とするが,また部分的な差異化を可能とすべく,カリキュラムの再編を検討することが課題となろう。
 

 
F 言語系教育講座(外国語分野)
ア 組織
 外国語分野のスタッフは附属実技教育研究指導センター所属教員と外国人教師を含めて9名である。そのうち外国人教師キャロリン・カルテンバック氏が平成18年3月31日付けで退職したが,入れ替わって4月1日付けでアイヴァン・ブラウン氏が着任のため,教員の構成と総数に変化はない。
イ 教育・研究の特色
 学校教育学部ではこれまでと同様,英語の基本的な力を身につけさせる教育に尽力した。4年生については平成18年2月に卒業論文発表会を開催し,言語系英語分野として卒業生11名を送り出すことができた。
 大学院言語系英語コースでは,英語教育に関する指導力,教科専門性,実践的技能をあわせもった人材の育成を目指している。平成17年度は1年生が10名(うち3年プログラム2名),2年生が5名在籍した。2年生は4月の修士論文構想発表会,10月の修士論文中間発表会,1月末の修士論文審査・試験を経て,3月に巣立っていった。
ウ 運営・活動の状況
 平成17年度はマルチメディア語学教材システム採用に伴い,マルチメディア教室および個人LL教室の機器全面入れ替えと改装がなされた。
 「小学校英語教育」に関わって,糸魚川市の公立小学校「小学校英語活動」についての支援は石濱助教授が継続して指導・助言に当たっている。NHKの取材もあり,放映もなされた。
 「出前講座」には3名の教員に対して外部から要請があり,出向いた。
 「公開講座」については2名の教員が開講した。
エ 今後の検討課題等
 3年プログラムによる大学院への入学者が次第に増加しており,その対応について試行錯誤の面が多々ある。
 大学院入学者の英語力の低下が著しい。力の乏しい学生をどう教育すべきかが問われるが,英語力は一朝一夕には身につかないため,非常に大きな問題である。
 「小学校英語教育」の教科化が間近である。しかし日本の公立小学校での英語教育構想がはらむ問題と,中学校・高校での英語教育現場が抱える問題の関連は,文部科学省のレベルから家庭での関心のレベルに至るまで,まだ議論が不十分である。それにも関わらず,小学校での英語教育実施に移らざるを得ない事態を迎えるため,本学でも全面的に取り組むべき問題である。
 

 
G 社会系教育講座
ア 組織
 平成17年4月1日における社会系講座の構成員は教授6人,助教授8人の計14人であった。山縣耕太郎助手が,平成17年4月1日をもって助教授に昇任した。同助教授は,学際的な新領域として地域環境学特論の外,地理学研究セミナーT,U等を担当する。
イ 教育・研究の特色
 当講座では,教育内容にかかわる地理学,歴史学,法学,経済学,倫理学,宗教学などの専門諸科学,その教育方法にかかわる社会科教育学を研究し教育する体制をとっており,学部学生や大学院生は自らの研究課題に基づいて各研究室に所属し,基本的には各指導教員の下で卒論や修論を作成する。しかしながら,当講座では,研究室単位だけではなく,全教員が協力・連携して学生や院生の教育・研究指導にあたるという共通認識が確立されている。院生を例にすれば,課外の時間帯を用いて,全教員参加の下,修論構想発表会1回と修論中間発表会3回が実施されている。したがって,学部生や院生の研究は,教科専門,社会科教育,教科専門の内容を教材化するという視点で再構成したものなど多岐にわたる。また,いわゆる学際的・総合的な研究に取り組んだものなども多くみられる。
 当講座の全教員が会員となり,主として修了生と在校大学院生で構成される上越教育大学社会科教育学会では,「学会だより」や学会誌の発行,巡検,例会や研究大会の開催等の研究活動を継続して行っている。本年度の研究大会は10月22〜23日に,第20回記念大会として,加藤章元学長,二谷貞夫名誉教授(いずれも会員)を講師に迎えて国立妙高少年自然の家で開催され,県内外から多数の現職教員が参加し活発な討議が行われた。
ウ 運営・活動の状況
 本年度,社会系教育講座会議は計17回開催された。ここでは,各種委員会委員と講座代表による議事と報告がなされ,系としての意見がとりまとめられた。学部教育と大学院教育における指導理念と指導体制についても話し合いがなされた。院生の修士論文指導については個別指導のみならず,系全体でも行えるようにしている。学部生の卒業研究における指導体制は1教員上限2名とし,また院生の修論指導については原則2名を指導する体制とし,ほぼこのこの線で指導が行われた。実践セミナーT・実践場面分析演習Tについては,学部3年生と大学院1年生が合同で行う体制が定着し,成果をあげている。懸案の学部生の学生控室設置に関しては,当面製図室の一部を使用することとなった。公民資料室については,人501を借用してこれに当てた。人501は資料室仕様であり,開学以来社会系で使用していたものなので,今後継続してその使用を願い出ていく。
 平成17年度の当講座の学部卒業生は19人,大学院修士課程修了者は14人であった。
エ 今後の検討課題等
 大学院の定員充足については,定員25人に対しM2が18名(うち1名進路変更のため途中退学),M1が24名であった。M1には5名の免許プログラム受講者がいた。次年度入学予定者は22名であり,定員をわずかに下回る。定員を超える合格者を出しているので,今後は入学辞退を減少させることが大きな課題である。また,免許プログラム受講者の増加と現職教員の減少が予測されるため,それに向けての対応も十分検討する必要がある。
 

 
H 自然系教育講座(数学分野)
ア 組織
 4月から新たに解析学分野で谷川助教授が赴任した。かねてより米国留学中の岡崎助手が帰国した。また,この4月付けで中川氏が教授に,高橋氏が助教授にそれぞれ昇格した。この結果現在のスタッフは代数学教授2名,幾何学教授2名,解析学助教授1名,数学教育学助教授2名,助手1名である。
イ 教育・研究の特色
 数学分野では,代数学,幾何学,解析学の数学の研究と数学教育学の研究がそれぞれにおいて活発になされた。
ウ 運営・活動の状況
 年間,数学教室会議として19回を開催し,それぞれルーティンな問題から学部,大学院の教育上の諸問題,または全般的教室運営を協議した。
エ 今後の検討課題等
 修士課程の院生の充足率を上げると同時に派生してくる,院生の質の低下への対応をどうするか,または免P等の院生の多様性にどう対処すべきか等の検討を行った。
 

 
I 自然系教育講座(理科分野)
ア 組織
 組織は,物理学,化学,生物学,地学,理科教育学及び理科野外観察指導者養成部門の6部門で構成されている。教員数は物理学3名(教授2名,助教授1名),化学3名(教授2名,講師1名),生物学2名(助教授1名,助手1名),理科教育学2名(教授1名,助教授1名),理科野外観察指導者養成部門1名(教授1名)の合計13名である。
イ 教育・研究の特色
 理科分野は,自然に興味関心を持ち,積極的に研究に取り組む意欲を育て,科学研究の体験を踏まえて自分自身を発見し,次世代の教育に生かす人材の育成を目指している。平成13年度より学部および大学院修士課程における教育・研究指導体制を「物質・エネルギー」,「生命・地球」,「理科総合」の3グループとし,学生はいずれかに所属し,講義,演習,実験,ゼミナール等の指導を受けながら,理科の教材研究やその指導方法及び自然事象の基礎的研究を行っている。
 また,平成16年度からは,理科野外観察指導者養成部門を創設した。本部門は,既存の5部門(物理学,化学,生物学,地学,理科教育学)と連携しつつ,講義・実験を通して,野外観察のあり方や指導方法など実践を重視した指導を行っている。本部門の実習「理科野外観察指導実習」は,本学大学院学校教育研究科で開設している授業科目であり,地域の教員に対して専修免許状取得に関わる学習の場となっており,特筆すべき点である。
ウ 運営・活動の状況
 定例の理科部会を毎月1回開催し,教育・研究や分野運営等に関する計画立案や情報の共有をはかっている。特に,卒業研究・修士論文の研究指導については,年度初めに綿密な年間指導計画を立て,学生への周知をはかるとともに,教員が連携して指導に当たっている。
 修士課程の広報活動としては,平成17年8月号の「理科の教育」裏表紙に理科野外観察指導者養成部門を初めとする理科分野の概要や入試の日程等の広告を掲載した。また,理科野外観察指導実習の受講者数をさらに増やすために,実習のパンフレットを作成し,地域連携係と共同して新潟県内にある約1,600の教育機関に郵送した。
 新部門創設後の平成17年度の修士課程入学者は21名となり,前年度に比べ2倍以上増加した。平成17年度の理科全体の院生数のうち新部門の院生数の割合は29%である。平成17年度に入学手続きを済ませた6名の新部門院生のうち教職員免許プログラム受講者は3名である(理科全体では教職員免許プログラム受講者は8名)。
 修士論文の研究成果を地域に公開するために,平成18年2月11日(土)に修士論文発表会を本学202教室で開催した。発表会の案内は,上越市内の小・中・高等学校の学校長及び理科主任宛に郵送した。
エ 今後の検討課題等
 学部・修士課程ともに,理科の実践的指導力を確実に習得させるためカリキュラムをスリム化と効率化の観点から検討する必要がある。また,物理学,化学,生物学,地学,理科教育学及び理科野外観察指導者養成部門の間で,学生数の偏りが認められることから,これが解消できるような魅力ある部門の再構築が必要と思われる。
 

 
J 生活・健康系教育講座(保健体育)
ア 組織
 本年度は昨年度より1名少ない10名の構成員(教授4名, 助教授5名, 講師1名)によって分野の運営が行なわれた。この構成員数の減に加え, 平成18年3月31日付けで青木眞教授が辞職され, 同年4月1日付けで下村義夫教授が学校ヘルスケア分野に異動されることになったため, 分野の将来構想について議論を重ねる年度となった。教員の顕著な研究業績としては, 直原幹助教授が日本武道学会より平成17年度優秀論文賞を受賞された。在籍した学生数は, 学部生が47名, 大学院生が30名であった。
イ 教育・研究の特色
 保健体育分野は,体育科教育学,体育学,運動学,学校保健学の4つの柱からなるが, これらの基礎的理論と実践・体験とを有機的に融合させた指導プログラムのもとで,@教育実践力に富む教員の養成とA地域の体育・スポーツ活動の支援を目指している。
 @については, 大学院の「実践場面分析演習T・U」と学部の「実践セミナーT・U」を融合させた授業を, 近隣の小・中学校をフィールドとして展開し, 実践力を高める工夫をするとともに, 新しい教員養成カリキュラム開発の可能性を追求している。
 Aについては, 出前講座7件, 公開講座4件, 学校コンサルテーション事業1件, 中越地震被災学校支援1件を実施し, 地域貢献の充実を図った。
ウ 運営・活動の状況
 本年度は, 分野教員会議を18回, 分野教授会を6回開催した。主たる検討事項は, 教員人事について, 個別学力検査(前期日程)における実技検査の見直しについて, 「実践的人間理解科目」の中の「スポーツ実践」科目の見直しについて, であった。
 その結果, 教員人事については, 市川真澄助教授が平成18年4月1日付けで教授に昇任することとなった。実技検査の見直しについては, これまでの各種スポーツ種目の運動技能テストを総合的な運動の基礎的能力をみる運動能力テストに変更し, 検査の簡便性と評価の客観性を高める努力をした。「スポーツ実践」科目の見直しについては, これまでの「マリンスポーツ」, 「スノースポーツ」に加え「ウォータースポーツ」を新設し, 体験的な学びの機会の充実を図った。
エ 今後の検討課題等
 保健体育分野は過去20年以上にわたって, 生活・健康系教育講座の学部・大学院の定員の大半を確保してきた実績を持つ。他方, 平成12年以降, 本分野では7名の教員が退職したが, 補充された教員は1名のみであり, さらに次年度は構成員の2名を欠く事態を迎えようとしている。この人的問題が解決されないならば,教育・研究を含めた分野の運営が著しく困難となることは必至である。これらの問題を克服すべく, 構成員一丸となって分野の将来構想について積極的な議論を展開しているところである。
 

 
K 生活・健康系教育講座(技術)
ア 組織
 平成17年3月31日付けで石田文彦教授(金属加工学担当)及び川島章弘教授(電子工学担当)が定年退職し,同年7月1日付けで平田晴路教授(技術科教育・木材加工学担当)が岡山大学教育学部技術科に転出した。同年7月16日付けで山崎貞登教授(技術科教育担当)が配置換えで学習臨床講座から生活・健康系講座技術分野に異動した。平成18年2月1日に大森康正講師が助教授に昇任し,同年3月16日に技術分野から情報基盤センター専任教員として配置換えになったが,技術分野の授業担当や学生院生の研究指導などの教育研究活動は,継続している。専任教員は,黎子椰助教授と山崎教授の2名のみである。特に,技術とものづくり教育の中核を担う材料加工担当の専任教員がいないために,教員補充が喫緊の課題である。川崎直哉副学長は,技術分野の教授併任である。
イ 教育・研究の特色
 修士論文研究では,分野全体の構想及び中間発表会は行わず学会発表を重視し,外部評価による質の向上を図っている。中学校技術教育実習,学部卒業研究,修士論文研究ともに,附属中学校や公立中学校との連携を重視した教育・研究を行った。進路は,学部4年生6名のうち,教職2名,企業1名,進学2名,その他1名,修士大学院生は教職1名,博士課程研究生は他大学のポスドク1名であった。
ウ 運営・活動の状況
 分野会議は,毎月1回定例の分野会議と臨時の分野会議1回の計13回開催した。重点的に取り組んだ課題の第1点は,技術コースを専攻する大学院生の充足率向上である。ここ数年,技術コースの大学院生は少なかったが,他大学の教育学部技術科や私立大学工学部4年生に対する院生募集方法の改善を集中的に取組み,平成18年度は7名が入学し,大きな成果が得られた。第2点は,学部の実践セミナーと大学院の実践場面分析演習の改善である。平成17年度までは,各研究室ごとで実施していたが,専任教員の現員が著しく少なく種々の問題が生じている点や院生同士の学び合いを促進するために,平成18年度から分野全体で取り組むことになった。
エ 今後の検討課題等
 平成17年度からの主たる継続課題の第1は,教員の補充をはじめ人事配置である。第2点は,学部の技術分野専攻生の増加対策が喫緊の課題である。平成18年度4年次生が1名,3年次生1名,2年次生はゼロである。第3点は,地域,同窓会をはじめ社会に広く開かれた修士論文発表会をするため,例えば土日休日に開催するなど,開催期日,開催方法,開催案内等の改善である。
 

 
L 生活・健康系教育講座(家庭)
ア 組織
 家庭分野の教員は,平成17年度において教授4,助教授4の計8名の構成であった。平成18年度の学校ヘルスケア新設に伴う,教授昇任人事が1件あり,平成18年4月発令が決定した。
 本年度の家庭分野に所属する学生は,学部が2年次5名,3年次9名,4年次7名(うち1名が休学),大学院修士課程が1年次5名(全員が免許プログラム申請者),2年次3名(うち現職2,留学生1),国費留学生1名であった。
イ 教育・研究の特色
 家庭分野では,次世代を担い教育実践現場・研究機関などで活躍できる人材の育成を目差して,家庭科教育学,家庭経営学,児童学,食物学,被服学の各教員が教育・研究活動を精力的に行っている。このため,人間の生活におけるさまざまな生活課題に対して主体的に取り組み,生活のあり方を追求すべく,各専門領域から,生活と研究開発分野を繋ぐ教育を視野に入れて授業等を展開している。各教員の指導のもとに,学部生・大学院生は各課題に取り組み,その成果を学部生卒業研究6編,修士論文3編としてまとめ,修士論文発表会を公開開催した。
ウ 運営・活動の状況
 分野会議の開催状況:定例として11回,状況に応じて臨時17回,計28回,分野教授会を5回開催し,分野運営を行った。審議された主なる事項は,院生の免許プログラム取得に対する対応,教大協北陸地区の研究協議会開催計画・実施に向けての対応,大学院定員充足のための私大訪問・広報活動等の方策,学生の修学上の問題に対する対応など広範にわたる内容であった。本年度は,日本教育大学協会北陸地区会家庭部門の研究協議会の開催当番校として開催その企画・運営等を行った。(7月於本学)
 本年度から教員免許プログラムの導入により,大学院の授業科目と学部の科目履修計画等に混乱が予想されたため,実践場面分析演習の授業後,検討会を開き相互に報告し合い,諸問題に対応した。
エ 今後の検討課題等
 大学院の定員充足が継続的な検討課題である。その方策として,今後のカリキュラムの方向性・構築が必要課題となるので,分野のカリキュラム検討会を定例(月1回)として,検討することとした。さらに,私大等への訪問キャラバン,広報活動を積極的に行うことなどの取り組みが求められる。
 

 
M 芸術系教育講座(音楽)
ア 組織
 音楽分野は声楽、器楽、作曲、音楽学、音楽教育学の5領域からなり、教員数は10名で、そのうち2名が実技教育研究指導センターの所属となっている。所属した学生数は学部2年次9名、3年次4名、4年次12名で合計25名、大学院生は1年次12名、2年次13名で合計25名である。分野内の係分担としては一般的な係の他に本分野特有のものとして視聴覚室係、ピアノやその他の楽器維持管理係、学生の演奏会を指導する演奏委員会がある。
イ 教育・研究の特色
 教員の研究領域は大きく実技系と理論系にわけられる。学位論文は分野内措置として論文のみ(Aタイプ)及び、論文に演奏実技を加えたもの(Bタイプ)の2種があり、実技系分野の研究特質が活かせるようになっている。院生の演奏会としては例年のとおり「アウトゥンナーレ」、「修了演奏会」が開催された。学部では卒業研究として論文と実技の両方を義務付けており、卒業演奏会には全員が出演し、演奏・作品発表をおこなった。
ウ 運営・活動の状況
(ア) 講座・分野会議等の開催状況
 分野会議は基本的に毎月1回の定例があるが、緊急の協議事項については臨時会議を設け、計27回の分野会議を開催した。他にメールによる意見聴取も行った。
(イ) 審議された主な事項
・平成18年度概算要求(音響機材の更新)
・学部入試における音楽実技試験の改善
・大学院入学試験における実技試験の改善
・卒業研究における論文指導及び実技指導のありかた
・平成18年度授業時間割りの編成方針
・平成19年度概算要求(グランドピアノの更新)
・演奏会での不測の事態における対応及び緊急連絡網
(ウ) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
・学部1年次生全員が対象である「音楽」におけるピアノの指導態勢について現有スタッフの他、2名のピアノの非常勤講師と3名のティーチングアシスタントを加えたことにより、新年度はよりきめ細かな指導ができるように改善された。
・大学院入学試験では演奏分野は全て実技の試験を課すことになった。
エ 今後の検討課題等
・教員選考に関する業績評価基準におけるA論文相当の内容について、実技系が専門として含まれる音楽分野の特殊性から「A論文相当」の内容を実技に置き換えて論ずるには難しい面もあり、なお、今後の検討課題となった。
・学部入試における実技試験の内容と方法を引き続き検討することになった。
 

 
N 芸術系教育講座(美術)
ア 組織
 美術分野の教員スタッフは実技教育研究指導センター所属の教員を含めて10名(教授6名、助教授3名、講師1名)であったが、平成18年3月31日に増谷直樹教授(実技教育研究指導センター所属)が定年退職され、現在は9名である。
イ 教育・研究の特色
 大学院修士論文の研究指導については、教員と大学院生とが教育研究に関する対話・交流の機会を設け、共通認識をもって教育研究にあたっている。論文作成を計画的に進めるために修士課程1年次の12月に修士論文研究会を行い、2年次の5月に修士論文構想発表会、10月に修士論文中間発表会を行っている。平成18年2月に修士論文発表会を開催した。平成17年11月に開催された第44回大学美術教育学会(会場:岡山大学)で8名の大学院生が研究発表を行った。
 美術分野の修士課程では実技研究も重視しているが、その成果の一部をあげると次のとおりである。国画会展(東京都美術館)奨励賞受賞1・入選1、新制作展(東京都美術館)入選2、二紀展入選(東京都美術館)1、また上越市展等の展覧会においても受賞している。
 平成17年10月3日から10日まで上越市本町七丁目商店街の一部を会場として「上越教育大学・信州大学 立体造形合同展覧会」を開催した。上越教育大学の学生・大学院生16名、信州大学教育学部学生・大学院生10名が立体造形作品を出品した。また会期中の8日から10日まで同会場で「雁木〜花通り〜」というテーマの造形ワークショップを両大学の学生・大学院生が共同で開催した。
ウ 運営・活動の状況
(ア)分野会議の開催状況
 分野会議は月1回の開催を原則とし、本年度は14回開催した。
(イ)審議された主な事項
 時間割・カリキュラムに関する検討
 大学院・学部のクラス担当教員の決定
 大学院・学部生の指導教員・セミナー教員の決定
 修士論文構想発表会・中間発表会・発表会日程検討など教育支援に関する事項
 大学院及び学部の入試に関する事項
 美術分野の予算に関する事項  などである。
(ウ)重点的に取り組んだ課題や改善事項等
 卒業研究・修了研究の発表方法について検討し、内容の充実がみられた。
エ 今後の検討課題等
 大学院定員充足が全学的な重要課題になっているなか、近年充足率が十分とはいえない美術分野においては、定員を充足するために、美術分野の教育内容を見直し魅力あるコースづくりをすること、コース活動内容の周知活動を改善することなどが課題である。
 美術分野の本年度の特筆すべき活動は、昨年度に続いて平成16年の新潟県中越地震で被害を受けた小千谷市立東山小学校の教育支援を行ったことである。本年度は、東山小学校校舎の修復完了行事で発表する全校制作を東山小学校校長からの要請を受けて支援した。松尾大介講師が企画した活動プラン「宝の木」を基に、平成17年の11月14日と11月28日に上越教育大学美術棟実習室で、東山小学校の全校児童が一人ひとりの夢や希望を木に描くという創作活動を教員と大学院生が支援した。平成18年2月17日に小千谷市総合体育館で開催された学習発表会「子ども ときめきメッセージ 東山」で完成した「宝の木」が披露された。