【生徒指導総合講座】
 

  
西   穰 司(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 シラバスに担当授業科目の目標・内容を可能な限り明確に記述するとともに,実際の授業では授業内容の理解に有益と思われる資料を,各授業科目ごとにB4判15〜20枚程度配付して学習効果を高めるよう努めた。また,一方的な講義にならないよう,授業内容に関わる学生の疑問や意見を表明できる機会を適宜設定して,対話・討議を織り込んだ授業展開に努めた。
○成績評価法に関する取組状況
 各担当授業科目のねらいが,単に基本的な認識を的確にするだけではなく,受講学生自身が当該授業科目の主要事項についての学問的反省の加わった認識に到達することを重視しているため,成績評価の主たる基準として2回のリポート提出を課した。リポートの課題・作成上の留意点・採点基準について提出の約1ヶ月前までに文書で提示し,十分な準備をして力作を仕上げるよう求めた。また,採点結果については,個別にコメントを付して返却し,広く言えば文章表現力の向上にも資するよう配慮した。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 卒業研究(論文)の作成に関わる授業を担当した学部4年次学生2名のうち,1名は本学大学院修士課程に進学した。もう1名は,公立学校教員採用試験を受験したが合格できなかったため,次年度に再度挑戦することとしている。修士課程2年次学生2名は,いずれも現職教員の身分を有する者で,無事修士課程を修了して各県の現職に復帰した。
研究指導
【観点1】学部
 担当した4年次学生2名は,教師の職能発達に関する,それぞれ新任期と中堅期に焦点を当てた事例調査法による研究に取り組んだ。具体的には,本学大学院修士課程に在学中の現職教員数名を対象とする自由面接法によるデータ収集方法を採用したが,収集したデータの整理・分析作業がやや不十分であったため,研究の成果としては必ずしも高い水準に達しなかったと言わざるを得ない。
【観点2】大学院
 研究テーマを明確に絞り込んだ上で,事態調査を緻密に実施し,その結果を冷静に分析・考察した説得力のある修士論文を仕上げるよう指導した。担当した修士課程2年次学生2名は,対象こそ小学校と高等学校の違いはあるものの,いずれも参与観察法を中心とするエスのグラフィーの手法による事例調査を実施し,ほぼ満足できる水準の成果を収めたと考える。
その他の教育活動
@平成17年8月:学校図書館司書教諭講習のうちの「学校経営と学校図書館」を担当した。
A平成17年8月:新潟県栄養教諭免許法認定講習において、「人間教育学セミナー」を担当した。
B平成17年9月:富山大学教育学部非常勤講師として「学校経営」(文系)を担当した。
C平成17年9月:山形大学農学部非常勤講師として「教育経営学」を担当した。
D平成18年2月:富山大学教育学部非常勤講師として「学校経営」(理系)を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 一般的・抽象的な学校経営論に陥らないよう,日頃から意識的に努力して具体的実践事例を収集し,受講学生が明快に理解でき,しかも学校組織の一員としての貢献意欲を高め得るよう授業内容・方法を工夫している。また,研究指導においては,本学において重視している教育に関する臨床研究推進に資するよう,具体的実践事例についての「実践知」を発掘ししかもそれを一定程度普遍化する可能性を積極的に追求している。
 しかしながら,この「実践知」の発掘・普及をいっそう深化することは容易ではなく,本学の学内のみか,全国の関係機関・関係者との共同研究等を通して優れた成果を収められるよう努めたいと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年6月:「課題提起−学校リーダーは,若手・中堅・ベテラン教師それぞれの『意欲』をどのように喚起すればよいのか?」,『総合教育技術』第60巻第4号,pp.16-17
A平成17年7月:「『開かれた学校』への経営責任とその履行」,『教育展望』臨時増刊No.37(第51巻第6号),pp.38-43
B平成18年1月:「教員評価とキャリアの複線化」,八尾坂修編『新たな教員評価の導入と展開』教育開発研究所,pp.62-65
C平成18年3月:「年度末の時点で考える『外部評価』−否定的な回答した保護者の学校に対する疑問や不満がどのようなものかを分析し,解明しておく」,『総合教育技術』第60巻第15号,pp.26-29
@平成17年8月7日:日本学校教育学会第20回研究大会(於:びわ湖成蹊スポーツ大学)での公開シンポジウム(テーマ:「今,改めて,教師の専門性を問う−子どもの豊かな学びを拓く教師の専門的資質・能力と教師教育のあり方−」)において,「教育経営の立場から」の題目で提案を担当
共同研究の実施状況
@日本教育経営学会・スクールリーダーの資格・任用に関する特別委員会 委員長:小島弘道(筑波大学教授)
学会活動への参加状況等
@6月2日〜3日:日本教育経営学会第45回大会(於:横浜国立大学)出席
A7月9日〜10日:日本カリキュラム学会第16回大会(於:東京学芸大学)出席
B8月6日〜7日:日本学校教育学会第20回研究大会(於:びわ湖成蹊スポーツ大学)出席
C9月24日〜25日:日本教師教育学会第15回研究大会(於:北海道教育大学釧路校)出席
D平成17年度日本教育経営学会理事(常任)
E平成17年度日本学校教育学会理事(常任)
F平成17年度日本教師教育学会理事
◎特色・強調点等
 わが国の学校改革の諸施策が多様に展開されるなかで,とくに各学校での教育課程の開発的取組と,個々の教師の職能発達の促進に力点を置いた研究を特色としている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@8月5日:財団法人教育調査研究所主催の第34回教育展望セミナー講師(理論提案:「『開かれた学校』への経営責任とその履行」担当)
A8月30日:関根学園教育研究会講師(「望ましい学校像と教育経営」を講演)
B9月9日:石川県教育センター主催継続研修講座「学校経営」講師(「教職員の人間関係づくり」を講義)
C9月21日:富山県総合教育センター主催の県立学校経営研修会講師(教員の資質向上の課題と展望」を講義)
D11月2日:福島県教育センター主催県立学校経験者研修V講師(「スクールリーダーに求められること」を講義)
E1月7日:財団法人教育調査研究所主催第12回教育展望札幌セミナー講師(理論提案1「『開かれた学校』への経営責任とその履行」担当)
 

 
若 井 彌 一(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学部については,クラス担任(1年)として,「人間教育学セミナー」を担当した。その他,単独の担当授業として,「人権と教育行政」,「人権・同和教育」,「教育と法規」等を,また,オムニバス方式によるものとして,「実践セミナーT」,「実践セミナーU」等を担当した。
 「人間教育学セミナー」については,入学してきた学生が大学での学びに適応できるようにすることも課題としていることから,大学での学びが本人の強い内発的意欲に支えられて成立することを強調するとともに,学習(授業)に関する悩み等については,随時相談に来るように働きかけるよう努めた。
 単独の担当授業については,シラバスに授業の狙い(目標)を明示し,授業時の最初に説明し,目標意識を持たせるように努めた。「人権・同和教育」については,人権についての思考力の深まりをつけることが特に重要であるので,レポートを提出させ,その記述内容を踏まえて授業展開を図るようにした。
 次に,大学院については,単独の担当授業として,「人権と教育行政特論」,「学校の危機管理特論」,「教育法規特論」等を担当した。また,オムニバス方式によるものとして,「実践場面分析演習T」,「実践場面分析演習U」等を担当した。
 単独の担当授業では,例年の如く授業の目標を講義の最初において明示し,小・中・高等学校の教育現場で発生し,又は関連深い問題を素材として取り上げ,実践的又は応用的理解力を豊かにするように努めた。また,テーマ設定によるレポート提出を求め,受講生の理解度を把握し,授業展開に活用した。
 成績評価については,レポートの記述内容,授業時の発言内容等をも考慮に入れて,公平・妥当な評価に努めた。
研究指導
 3年間の長期履修プログラム(いわゆる「免P」)を希望して入学してきた院生に対して,随時の個別相談を実施した。学部での履修内容(経済学を中心とする)を大学院での研究テーマにどのように活かし,発展させるかについて指導・助言を与え,教育行政,教育法規の基本的事項についての理解を深めることができるよう工夫をしている。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 授業については,学部では,特に分かり易く,要点を押さえた授業を,大学院では,特に教育現場で実際に発生する課題・問題についての理解と対応力を鍛える授業を心掛けてきている。大学院については概ね良好な結果を得ているが,学部の授業(特に,人権・同和教育)については,更なる工夫が必要であると感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年8月:『学校の危機管理−法的基礎と訴訟事例−』(単著) 日本教育新聞社
A平成17年10月:『設例 教育法規演習(全訂新版)』(共著) 教育開発研究所
B平成18年3月:『要説 教職専門(補訂第2版第2刷)』(共編著) 金港堂出版部
@平成17年4月〜平成18年3月:「教育と時事−解説・提言−」(連載・単著) 月刊『教職研修』,教育開発研究所
A平成17年4月〜平成18年3月:「法規で読む教育の今」(連載・単著) 月刊『悠』,ぎょうせい
B平成17年4月〜平成18年3月:「学校管理職の法的教養〜教育改革を生き抜くために〜」(連載・単著) 全国公立学校教頭会編集,月刊『学校運営』,学校運営研究会
C平成17年4月〜平成18年3月:「学校経営法律指南」(連載・単著) 『週間教育PRO』,日本教育総合研究所
@平成17年9月:「今夏実施の教員採用試験を活かす」(単著) 『教職課程』,Vol.31 No.13
A平成17年11月:「ジェロントロジー国際総合会議」(単著) 『教育展望(平成17年11月号)』,(財)教育調査研究所
国際研究プロジェクトへの参加状況
@平成17〜19年度 科学研究費補助金,基盤研究B海外(研究課題番号174020383401):東アジアの学校教育改革に関する総合的研究(研究代表者:戸北凱惟)
学会活動への参加状況等
@日本教育行政学会理事
A日本教育経営学会理事
B日本生徒指導学会理事
C日本学校教育学会理事,機関誌編集委員
D日本教育法学会会員
E上越教育経営研究会会員
◎特色・強調点等
 研究については,小・中・高等学校等の教育界で問題となっていることを直視して,問題解決のための具体的・実践的提案を心掛けており,教育現場から一定の評価を得られていると思われる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@文部科学省「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議」委員
A全日本大学準硬式野球連盟評議員
B北信越大学準硬式野球連盟会長
C新潟県社会教育委員
D新潟県同和教育高等学校用副読本『生きるX』活用委員会委員
E独立行政法人教員研修センター研修講師「教育と法規」担当
F上越市情報公開・個人情報保護審議会委員
G日本教育都々逸研究会会長
◎社会への寄与等
 本務の遂行に支障のない範囲で,社会的活動にも積極的に参加し,研究成果の社会的還元に努めている。上記@については,平成18年1月に,「第2次とりまとめ」を会議として公表している。
 

 
安 藤 知 子(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 受講者自身が主体的に学び、他者へ向けて発信する力を身につけられるように、グループ活動やディスカッションを多く取り入れた。また、毎回の授業のまとめを翌週にフィードバックするよう心がけた。
研究指導
 経験的で素朴な問題関心を、分析的に捉えて行動を判断する思考訓練に重点をおいて指導を行った。特に先行研究を丁寧に読解しつつ自らの主張を組み立てる作業について、多様な関心を持つ院生間の議論が生かされるよう配慮した。また、ゼミ生以外の学生、他コース院生からの相談にも応じ、広く論文作成への支援を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教育活動、研究指導いずれについても、授業評価等を参考にして受講者の要望を把握するよう試みた。その上で、個々の院生・学生の主体的な取り組みへのモチベーションが高まるように工夫した。また個人の学習が単発的なものではなく、一連のまとまりになっていくように授業や研究指導の連続性に配慮した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:「学校・家庭・地域の新たな関係構築の可能性と課題」(単著) 市民と創る教育改革 日本標準 pp.192-201
A平成17年12月:「教員研修体系における10年経験者研修制度化の意味」(単著) 教員人事評価と職能開発 風間書房 pp.440-461
@平成17年5月:「一人ひとりの教職員の力量を高める手立て」(単著) 悠 第22巻第5号 pp.24-25
A平成17年8月:「仲間とともに成長していく教師」(単著) 教職研修8月号増刊 pp.46-49  他
共同研究の実施状況
@学校指導職の養成・研修システムとカリキュラム開発に関する比較研究 代表者:西穣司(上越教育大学教授) 平成15〜17年度上越教育大学研究プロジェクト
A学校の自律的な取り組みを促進する要因と学校支援のあり方に関する臨床社会学的研究 代表者:藤田武志(上越教育大学助教授) 平成16〜17年度上越教育大学研究プロジェクト
Bマルチコラボレーションによる実践力の形成 代表者:藤田武志(上越教育大学助教授)及び林泰成(上越教育大学助教授) 平成17年度大学・大学院における教員養成推進プログラム
学会活動への参加状況等
@6月3日〜5日:日本教育経営学会第45回大会出席
A8月6日〜7日:日本学校教育学会第20回研究大会出席
B8月25日:日本教育学会第64回大会出席
C9月17日〜18日:日本教育社会学会第57回大会出席
D日本学校教育学会理事・機関誌編集委員会副委員長
E日本教育経営学会研究推進委員会委員
◎特色・強調点等
 前年度に継続してS県S市立M中学校に関わり,学校と地域の連携を模索する主体的・自律的な取り組みの実態を探究した。研究者として実践にも関わり,その成果や課題をともに分析し,次の行動を検討するというアクション・リサーチに研究の意義と独自性がある。また,並行して教員評価や研修体系,学校組織マネジメントなどの今日的な課題との関連で教員の専門性の変容を模索している点は重要な着眼である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@埼玉県志木市立宗岡中学校学校評議員(埼玉県志木市)
A7月:栄養教諭認定講習講師(教育実地研究Y生徒指導)
B1月:新潟県教職12年経験者研修講師(学校経営に参画する中堅教員の在り方)
 

 
石 田 美 清(助教授)
 

 
大 前 敦 巳(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 教育社会学特論(大学院)では、学校・家庭・地域・職場にわたる社会生活環境の変化への対応をふまえ、フランス社会との比較を念頭に置きながら、社会の中の人間発達と子ども支援について議論した。小テーマ毎に3回分の時間を割り当て、最初2回を講義に充て、3回目をディスカッション中心とし、学生との双方向的な対話を重視した。授業終了時にリアクション用紙を配布し、質問、意見、感想などを記入してもらい、授業改善とディスカッションの参考資料に使用した。成績評価は、討論への積極的参加を重視した平常点と、「後期青年期の現在」(『教育社会学研究』第76集特集)にかかわるレポートによるものとし、レポートの内容を最終回のディスカッションに取り上げて学生へのフィードバックを行った。
 教育実地調査分析演習T(大学院)では、発達臨床コースの修士論文作成にむけて、質問紙調査、観察、インタビュー、プログラム開発、授業参画などによる現地調査の基本的な技法について概説した。後期の同演習Uにおいて、質問紙調査(大前敦巳担当)と観察・インタビュー調査(藤田武志担当)の2班に分かれて、実際の教育実地調査の過程を実習形式で体験的に学習する授業を行った。調査データの分析においては、エクセルを用いた統計技法を活用した演習を行った。
 比較教育学(学部)では、幼少時から成人へと発達していくあり方に着目して日仏の教育を比較した。特にこの年に話題になったフランスの移民とライシテの問題を大きく取り上げた。フランスの教育について概説した後、日本との差異や類似点について無作為に学生に質問し、発言を求めた。リアクション用紙も活用し、学生との双方向の対話を重視した。最終回にフランス式の論述試験を行い、授業の理解度と教育実践への展開にかかわる思考力を問い、発言とリアクション用紙による授業への積極的参加度と合わせて評価の材料とした。
 生涯学習概論A(学部)では、現代社会の変化に柔軟に対応することのできる生涯学習の施策および支援体制作りについて、レジュメ・プリント・パソコン・プロジェクタ等の複数のメディア教材を利用して講義した。比較教育学と同様に無作為に学生に発言をさせ、それを平常点とすることで授業の緊張感を高めた。加えて論述試験による評価を行い、生涯学習が人々のつながりや幸福をもたらす効果について問題の理解度を評価した。
研究指導
 @学部3年と修士1年、A学部4年と修士2年の組み合わせによる、2つのゼミを開講した。
 前者@のゼミでは、教育社会学に関するテキスト講読を行った後、卒業論文・修士論文のテーマを確立し、自ら課題を見つけ問題解決を図るためのディスカッションを行った。現職院生の問題意識を学部学生に話してもらい、現場で生起する諸問題をめぐって意見交換をすることにより、論文作成に向けた内発的モチベーションの向上に努めた。また、レジュメの作成、聞き方・話し方、プレゼンテーションなどの技法を習得する機会を複数回設けた。
 後者Aのゼミでは、各学生の研究テーマにそくして論文を作成するための指導と助言を行った。特に、現地調査によるデータ収集・分析の指導に十分な時間を費やし、教育現場との関わりを重視した臨床的・実践的な研究を推進した。夏と春にはゼミ生全員による発表会を行い、大学院・学部の学年をこえた知識伝達と研究交流を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教育を取り巻く社会環境の変容と人間発達支援のあり方に関して、ステレオタイプ的な理解にとどまらず、データや資料を用いながら自分で問題を吟味し判断する力をつけることに、教育の重点を置いている。学生自身の教育現場での経験に基づいて、社会学的な理論と方法を適切に用いることにより、自らの研究テーマについて考え深め、事実に根ざした問題解決や対応策を導き出すことを目指した。修士論文の作成にあたっては、教育実地調査分析演習を通じて修得した、現地でのデータ収集と分析の技法に基づく指導を行った。また、ディスカッションを通じて双方向的なコミュニケーションができるよう指導の工夫をした。さらに、公開ゼミ、ティームティーチングなどを行うことにより、教育内容の公開性を高め、ゼミ外の多くの方々に意見やアイデアを求めることで授業改善に努めた。次年度以降は、本学の「講義支援システム」を活用して、上記の特色を一層効果的に発揮できる授業を試みたいと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年9月:「学生生活を通じた文化習得プロセス―1・2年次生の質問紙追跡調査の結果から―」(単著) 上越教育大学研究紀要 第25巻第1号 pp.285-297
A平成18年3月:「今日の大学生における文化資本の社会的意味―関西と北陸・上越の調査結果の分析から―」(単著) 上越教育大学研究紀要 第25巻第2号 pp.565-578
B平成18年3月:「フランスの大学初年次における『学生のメチエ』形成と社会化過程」(単著) 早稲田大学教育総合研究所 共同研究A-I大学の初年次・導入教育中間報告書
@平成17年5月:「大学教育の文化習得効果(2)―1・2年次生のパネル質問紙調査の結果から―」(共)日本高等教育学会第8回大会
A平成17年9月:「今日の大学生における文化資本形成―学習経験と学生生活に関する質問紙調査の結果から―」(単) 日本教育社会学会第57回大会
B平成17年12月:「フランスにおける『学生のメチエ』の形成と初年次教育」(単) 早稲田大学教育総合研究所 共同研究A-I大学の初年次・導入教育 第5回研究会議
@平成18年2月:「大学・短大生の生活と文化についての調査2005年 調査結果報告書‐上越教育大学と関西の私立大学3年生の比較‐」(単著) 平成15〜17年科学研究費補助金若手研究(B)自主出版報告書
A平成18年3月:翻訳(単) シャルル・スリエ「学問分野とL.M.D. 対照的な効果 パリ第8大学の事例」 アレゼール日本ニューズレター pp.2-4
B平成18年3月:アレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会) 第3回シンポジウム「大学評価はどこにいく、フランスとイギリスの比較から」 コメンテーター参加
共同研究の実施状況
@早稲田大学教育総合研究所特別研究員 共同研究A-I大学の初年次・導入教育 代表者:石堂常世(早稲田大学教授)
Aアレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会)事務局会員 代表者:岡山茂(早稲田大学助教授)
学会活動への参加状況等
@5月21〜22日:日本高等教育学会出席
A9月17〜18日:日本教育社会学会出席
B9月24日:日仏教育学会出席
C日仏教育学会理事、年報編集委員長
◎特色・強調点等
 2003〜2005年度科学研究費補助金若手研究(B)「日本型高等教育における学生の文化習得過程とその社会的支援に関する研究」(代表者:大前敦巳)の計画に基づき、上越教育大学と関西私立大学・短大の3年次生を対象に第3回パネル調査を実施して、結果を学会・研究会で報告し、年度末に報告書にまとめた。また、フランスにおける「メチエ(職人仕事)」形成という観点から、日仏の学習経験と文化習得の特徴について比較を企てた。次年度以降の計画については、科学研究費補助金基盤研究(C)の申請書を作成し、提出した。
 また、上記学会理事・編集委員長の活動を通じて、他大学の研究者との連絡交流を図った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市生涯学習推進会議委員
A上越教育大学公開講座講師「地域に信頼される学校づくり―市民、保護者、教師で地域の学校を考える―」
◎社会への寄与等
上越市の合併に伴い新たな生涯学習推進プランを策定するための会議に出席した。
・本学公開講座において、市民の方との協働による地域の学校づくりのあり方について討論し、フランスの事例との比較を試みた。
 

 
荻 原 克 男(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 教育学研究法(学部。下司助教授と共同)では,レポート・論文作成のために必要な知識・技法を具体的な実践練習をとおして身につけることをねらいとした。そのために本授業の最終目標として各自が1本の研究レポートを完成させることを最初に明示し,実際にレポート作成の中間段階までを授業内で取り扱った。現代社会と学校(学部)では,大きく変動する現代社会のなかでの学校の位置や役割,求められる課題等に関連した受講者各自の関心テーマに応じた文献を選定し,その読解・報告と討論を行った。教育政策特論(大学院)では,学校現場から見ると“上の方”にある疎遠なものと考えられがちな「教育政策」が,実際には各学校レベルの教育実践を様々に規定し,方向づけていることを,具体的な教育政策課題を通して検討した。現代教育改革特論(大学院)では,1990年代以降活発化し,現在も進行中の教育改革の動きについて,その背景・ねらい・現状と今後の課題について具体的な改革テーマに即して検討した。
 いずれの授業についても,シラバスで概要を予告するとともに,オリエンテーション時に成績評価基準・評価方法について説明を行った。授業形態としては,講義と受講者による報告・討議とを併用する形を採用した。また,大学院の授業では,メールによる意見聴取を行い(質問や指定文献に関しての感想等),その結果を次回授業時において活用するなど,授業時間内外での双方向的なコミュニケーション機会の設定に努めた。
 学校教育とその社会環境が大きく変動しつつあるなかで,従来自明とされてきたことが次々と再審に付され,新たなアイデアや施策が次々と検討・実施に移されている。このようななか公教育に携わろうとする者は,単なる目先の新しさに眼を奪われることなく,また逆に旧来型に固執し続けることなく,教育問題を広い視野から捉えると同時に,政策課題や制度問題についても基本的見識を持ち,自分なりの視点でそれらを評価できる力が一層重要になっている。上記授業を通してこうした力量を養うことをねらいとしている。
研究指導
 大学院学生(現職院生)と,現場での素朴で直感的な問題関心を研究課題へと絞り込むための種々のアプローチについて検討・討議を行った。本年度はとくに,1)青少年の問題行動についての社会的対応(施設・組織ネットワーク)をめぐる問題状況とそれへの対応課題,2)地域づくりと学校づくりとの良好な関係構築について(教育コミュニティの構想と実践事例),3)小学校と中学校との連携(いわゆる中一ギャップ問題等)と異校種間の人事交流,4)社会福祉の思想と技術を学校教育に生かす方途(ケアの思想,スクールソーシャルワーク機能等),に関する内外の先行研究について検討を行った。2年生については,調査の計画・実施過程において随時詳細な検討作業を行うとともに,実際の論文作成過程に即しての指導・援助を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 いずれの教育活動においても,各自が主体的に課題をみつけ,それについて調査・考察し,その結果を他者に対して分かりやすく提示し,互いに討論する経験をもつことを重視した。実際に,これらの学習機会,経験機会を多角的に設ける工夫を行った。それらを通じて,立場や意見を異にする他者と適切にコミュニケーションできる力を身につけることが目標である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@「日本の公教育と宗教をめぐる問題〜フランス的例外=典型性を合わせ鏡として考える〜」日仏教育学会編『日仏教育学会年報』第11号,2005年,pp.29-40
A「地域・市民が支える教育へ向けて〜可能性としての地方分権・学校裁量権の拡大〜」Benesse教育開発研究センター『BERD』No.3,2006年1月,pp.2-9
B「教育行政組織の分化と統合〜戦後文部省史への予備的考察」国立教育政策研究所『戦後教育法制の形成過程に関する実証的調査研究最終報告書』2006年3月,pp.155-175
C『現代教育改革政策の歴史的位相とその特質』(日本学術振興会科学研究費補助金2003-2005年度(基盤研究(C))研究成果報告書)2006年3月
共同研究の実施状況
@国立教育政策研究所,共同研究プロジェクト「戦後教育法制の形成過程に関する実証的調査研究」
A上越教育大学学内研究プロジェクト「学校指導職の養成・研修システムとカリキュラム開発に関する比較研究」。このプロジェクト研究の一環として,テネシー州ナッシュビル市とヴァンダービルト大学が共同運営している校長指導者養成アカデミー(Principals’ Leadership Academy of Nashville)についての視察調査,およびブラウン大学(RI)の都市教育政策専門家養成コース(Urban Educational Policy)等について担当者からインタビュー調査を行った(2005年10月26日〜11月4日)。なお,同プロジェクトの最終年度報告書の一部を構成する原稿として「教職大学院構想と日本における学校指導職養成」(報告書第2章として収録予定)を執筆した。
学会活動への参加状況等
・参加状況
@日本学校教育学会第20回研究大会:2005年8月6日〜7日(びわこ成蹊スポーツ大学)
A日本教育行政学会第40回大会:2005年10月14日〜16日(東北大学)
・役職等
@日本学校教育学会理事(兼,事務局長)
A日本教育行政学会年報編集委員
B日本教育政策学会理事
◎特色・強調点等
 現代日本の教育改革政策の展開過程に関する検討作業を継続して行った。これまでの公教育の組織形態・サービス提供形態が大きく変容しつつあるなか,その構造的変容が何を意味するのかを究明することを通じて,我が国における近未来の公教育像を展望しようとの趣旨にたつものである。変動著しい教育改革動向を追跡する作業は,しばしば現象の後追いに終始するという結果に陥りかねない。そうならないために,独自の理論枠組みの提案・検証作業を通して研究を進めている。現実追跡と理論(再)構築との往復作業が当面続くことになろう。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年6月4、5日:上越教育大学公開講座「地域に信頼される学校づくり〜市民・保護者・教師で地域の学校を考える〜」(上越教育大学)
A平成17年5月〜平成18年3月:新潟県立高田商業高等学校,学校評議員
B平成17年8月24日:新潟県公立小・中・養護学校事務職員第23会研修大会,講座「現代教育改革とスクールリーダー:学校事務職員の視点から」担当(三条市)
 

 
林   泰 成(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部・大学院ともに,講義では,ビデオ視聴や討議の時間を取り入れ,実践的な内容になるように工夫した。また,演習では,実践的なエクササイズを取り入れて,実践力を身につけられるように工夫した。評価に関しては,事前に評価基準を明示した。
研究指導
 学部生に対しては,卒業論文作成の指導と合わせて,臨床的な実践力を身につけられるように個別に対人関係の技法などを指導した。大学院生については,修論作成の指導と合わせて,実践研究の具体的方法について指導した。
その他の教育活動
@富山大学非常勤講師として「道徳教育論」を担当した。
A放送大学客員助教授として「道徳教育論」を担当した。
B教職講座「道徳教育・同和教育」を担当した。
C附属小学校において「心の活動」の研究協力者として指導助言を行った。
D附属中学校において「人生ゼミ」の研究協力者として指導助言を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部・大学院ともにワークショップ型の演習を取り入れている点が特色である。ゼミ生の数が多く,一人一人に対して十分な指導ができていないのではないかとの危惧があるので,今後改善して行きたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年9月:『道徳授業の新しいアプローチ10』(共著)明治図書
@平成17年9月:「道徳教育における他律から自律への発達図式についての哲学的検討」『上越教育大学研究紀要』第25巻第1号
共同研究の実施状況
@道徳教育番組とインターネット掲示板を利用した道徳教育の研究(継続:NHKとの共同研究)
学会活動への参加状況等
@6月11、12日:日本道徳教育方法学会出席
A6月25、26日:日本道徳教育学会(春季大会)出席
B8月6、7日:日本道徳性発達実践学会出席
C9月24日:アメリカ教育学会出席
D10月22、23日:教育哲学会出席
E11月19、20日:日本道徳教育方法学会(秋季大会)出席
国内外の学術賞の受賞状況
@平成17年8月20日:教育研究賞受賞(財団法人教育研究連合会)『ケアリングやモラルスキルトレーニングを取り入れた道徳教育実践学』
◎特色・強調点等
 さまざまな機会に,新しい道徳教育の方法であるモラル・スキル・トレーニングの提案を行っている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県同和教育推進協議会委員(副委員長)
ANHK「道徳ドキュメント」番組委員
B上越市立城北中学校学校評議員
C新潟県学校派遣カウンセラー
D本学出前講座講師(県立村上中等学校ほか9校)
E村上市立村上東中学校人権教育研究発表会講師
F新潟県立教育センター講師
G福井県三国町小中学校道徳教育研修会講師
H新潟県命の大切さを学ばせる体験活動推進会議(座長)
I上越生徒指導研究会講師
JNPO法人「国際フリースクールI CAN」理事  など
◎社会への寄与等
新潟県同和教育推進協議会や新潟県命の大切さを学ばせる体験活動推進会議の委員として,県の人権教育や命の教育の政策形成に積極的にかかわった。
 

 
藤 田 武 志(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部における教育方法として、学習への動機づけを高めたり、学習内容のより深い理解を促進したりするために、次の6つの工夫をしている。@講義の初回に講義の目標や各回の講義内容、評価の方法などを記したシラバスを配布すること、A内容をより深く理解するための参考文献を適宜紹介すること、B身近な題材や、教育現場において必ずかかわる題材を通して、学問的な概念や理論、方法論を理解させること、C図表などの資料、ビデオなどの視聴覚教材を多く用い、具体的な理解をはかること、D毎回の講義の終了時に、質問や疑問、自分の意見や感想などを「リアクション・ペーパー」として書かせ、その一部を、次回の講義の初めに紹介してコメントをしたり、講義内容に反映させたりすること、Eレポートによって評価をする講義の場合、添削・採点済みのレポートを返却すること、である。
 大学院における教育方法として工夫しているのは、次の3点である。@講義への参加意欲を高め、多様な意見の存在に気づくことによって理解を深めるため、ディスカッションを多く取り入れること、Aディスカッションの成立に不可欠な共通の知識基盤を参加者に持たせると同時に、講義時間以外における学習を促進させるため、複数の論文を課題として講読させること、B毎回の講義の終了時に、質問や疑問、意見や感想などをリアクション・ペーパーに書かせること、である。
 学部と大学院の共通授業として行われている実践セミナーと実践場面分析演習を企画・運営し、自ら学び考える教員を養成・再教育するために以下のような6つの工夫をした。@学部生と大学院生の混成チームで活動を行うことによって、世代や立場の違いを意識しながらコミュニケーションをはかること、A教員として必ず直面する切実な問題を題材に、チームとして広範なリサーチをすること、Bリサーチに基づき、他のチームとディベートを行うことによって、論理の組み立て方や議論のしかたを体験的に学ぶこと、Cリサーチやディベートに先立ち、リサーチの方法、論理的思考法、議論の組み立て方などに関する講義を行うこと、D講義の際には、エクササイズを取り入れることによって理解しやすいようにすること、Eこれらの活動を通して、さまざまな意見の存在に気づき、それらを論理的に組み立てながらコミュニケーションをはかる力を育成すること、である。
研究指導
 学部3年生に修士1年のゼミに参加させ、現職の院生とのディスカッションを通して、現職の院生の問題意識や、現場で生起する諸問題などに関する理解を促すようにした。また、自分の考えを筋道立てて分かりやすく提示したり、他人の意見に耳を傾ける態度を育成するため、ゼミにおけるプレゼンテーションの機会を複数設けた。さらに、自らの問題関心を自発的に深め、広げていくことができるような指導・助言に努めた。
 大学院では、修士1年の入門期には理論と方法論に関する基礎的な文献を題材に、それぞれの院生の課題と関わらせた発表とディスカッションを行うことによって、理解を深めるとともに、それぞれの問題関心も掘り下げていくことができるよう配慮した。また、修士1年の後半では、院生それぞれの問題関心に基づいた発表とディスカッションを行うことで、多様な現職院生の見解も取り込めるようにした。さらに、修士2年においては、修士1年までの指導法を踏襲しつつ、それぞれの課題を実践と関わらせながら自ら追究していくことができるよう、方法論や論理構成、先行文献などに関する指導・助言に努めた。
その他の教育活動
 国立大学法人金沢大学教育学部において、非常勤講師として教育社会学の講義を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 講義やゼミについて、次のつの4点を特色として挙げることができる。@双方向性:講義においてリアクション・ペーパー方式を採用することにより、一方的ではなく、学生・院生の意見や疑問などを取り入れた双方向的な講義を行っている点。A公開性:学生・院生のリアクションを講義で公開することを通して、さまざまな意見の存在に気づかせ、自らの考えを相対化・深化させられるように工夫するとともに、講義概要の公開によってアカウンタビリティに応えようとしている点。B日常性:リアクションの公開やディスカッションを日常的に行うことよって、自分の意見の公表、他人の意見への傾聴に対する前向きな態度を育成するようにしている点。C自主・自発性:研究指導においては、教え込みや押しつけの指導を廃し、自ら考え、学ぶ姿勢を育成するようにしている点。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年10月:『脱「中央」の選択 地域から教育課題を立ち上げる』(共著)岩波書店
@平成17年9月:「教育改革と質問紙調査(1) ─統計的分析─」(共同)日本教育社会学会第57回大会
共同研究の実施状況
@「中等教育における部活動の実態と機能に関する実証的研究」代表者:西島央(東京大学助手)科学研究費補助金
A「代替システム評価ユニット」代表者:苅谷剛彦(東京大学教授)東京大学基礎学力研究開発センター(文部科学省21世紀COE)
学会活動への参加状況等
@9月17〜18日:日本教育社会学会にて発表(放送大学)
◎特色・強調点等
 著書と学会発表は、現在の教育改革の実際についてフィールドワークと質問紙調査をもとに探究したものであり、これまでのような中央主導型ではない、地方の教育改革がどのような状況にあるのかを明らかにした点において高い独創性を持つといえる。また、部活動をめぐる一連の研究は、部活動を単なるスポーツ・文化的活動の場としてだけ見るのではなく、学校の活動として部活動がどのような機能を果たしているのか、社会的不平等という問題との関係で部活動はどのような意味を持っているのか、といった新しい観点から研究したものであり、部活動研究のみならず、学校社会学的な研究にも新たな地平を拓くものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県生涯学習審議会委員(新潟県)
A新潟県「ニートに関する実態調査研究会」委員(新潟県)
B新潟県上越市立大瀁小学校平成17年度全体研修会講師
C新潟県見附市立見附中学校校内研修会講師(「部活動や特活といった教育活動の役割」を講演)
D上越教育大学公開講座「地域に信頼される学校づくり ―市民、保護者、教師で地域の学校を考える―」講師(「子どもの学びをどう支援するか」を講演)
E上越教育大学出前講座(上越市立大潟町中学校、長岡市立江陽中学校、新潟県立六日町高等学校、新潟県立村上高等学校、新潟県立長岡大手高等学校、私立上越高等学校、新潟県立柿崎高等学校にて「社会の常識は非常識? ―社会について調べよう」を講演)
◎社会への寄与等
・大学の地域貢献事業の一環として行われている出前講座を担当することにより、地域の教育ニーズに寄与した。また、大学の公開講座の講師を担当することにより、大学の社会貢献に寄与した。さらに、生涯学習審議会の委員やニートに関する調査研究会の委員を務めるなどの社会的活動を行い、新潟県における教育課題や政策形成に積極的に寄与した。
 

 
三 村 隆 男(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学生の多様化に対応し、授業への参加意欲を高めるため以下の工夫を実施した。授業秩序を保ち、効率を高めるために大人数授業では座席指定制とした。授業は、シラバスに明記したテキストを使用し、第1回目の授業にて詳細な進度を示し、それに沿って行った。毎回、授業レポートを課し、授業理解度の調査、ニーズ把握、さらに授業で質問への回答を行うなど双方向型の授業創造を試みた。授業形態としては、カウンセリング実習、グループワーク実習など体験的な活動を取り入れながら進路指導・キャリア教育の理解を深める努力を行った。評価は毎回の授業レポート、発表状況、遅刻を正確に把握した出席状況をもとに学生が納得のいく方法での評価を試みた。
研究指導
 卒業論文1名、修士論文4名指導。研究対象領域の焦点化までのプロセスとし、関心領域のブックレポート及び調査研究方法の検討を中心に行った。ゼミにおいては、前半は、学部生と院生との合同研究指導を行い、それぞれの研究領域への理解を示しながら各自の研究を進めるように配慮し、後半は、卒業論文、修士論文作成への指導を集中的に行うため個別指導が中心となった。特に修士論文では、5月に修士論文作成計画を立て、計画に沿った形で論文に取り組むように配慮した。論文修了後、論文を修了した院生と、次年度論文を修了する院生のとの情報交換会を設け、次に続く院生の論文作成への展望を持った取り組みを促進した。
その他の教育活動
@新潟大学工学部非常勤講師(職業指導)
A茨城大学工学部非常勤講師(職業指導)
B新潟工科大学工学部非常勤講師(職業指導)
C上越教育大学教職講座講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 職業観、勤労観の欠如、フリータ・ニートの存在による青少年の職業意識の低下なかで学校教育における進路指導・キャリア教育が強く求められている。そこで、進路指導・キャリア教育を積極的に推進するため理論と実践双方において力量のある教師の育成に念頭を置き研究及び教育活動を行っている。平成16年度から文部科学省によって本格的に着手されたキャリア教育を先導的に推進できる力量を身につけた教師の養成および研修に力を入れている。一方、進路指導・キャリア教育の教育書等への執筆を通し、全国の教師の教育実践力を高めることができた。今後の検討課題は、授業受講者に発展的な学習の取り組む方途を授業を通していかに伝えていくかである。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年4月:『キャリア教育が小学校を変える!沼津市立原東小学校の実践』(編著) 実業之日本社
A平成17年12月:「第4章キャリア教育を評価する」「第5章35年にわたるキャリア教育」「第6章セント・ルイス教育委員会におけるキャリア教育」『キャリア教育―歴史と未来』(共訳)Kenneth B. Hoyt, Career Education: History and Future(2005)の翻訳、担当pp.100-163(全p.278) 雇用問題研究会 共訳者、仙ア武、藤田晃之、下村英雄
B平成18年3月:「進路指導の基礎理論と方法」『生徒指導・教育相談・進路指導』担当、pp. 189-209、(全p.285)編著者、仙ア武、野々村新、渡邉三枝子、菊地武剋、著者、松井賢二、榎本和生、植松紀子、下司昌一、三川俊樹、橋本幸晴、藤田晃之、池場望 田研出版
C平成18年3月:「2章小学校でキャリア教育をすすめるための基礎的理解」「3章キャリア教育のカリキュラム編成の方法」「4章編成されたカリキュラムの実践」『小学校キャリア教育のカリキュラムと展開案』明治図書、pp.14-29(全p.166) 編者、児島邦宏、三村隆男、著者、児島邦宏、三村隆男、石打俊弘、川井栄治、鈴木圭子、古市博之、千葉、八巻寛治、工藤榮一
(1)平成17年4月:「新連載小学校キャリア教育入門(1)−小学校でキャリア教育をはじめるにあたって」『進路指導』第78巻4号 日本進路指導協会 pp.39-42
(2)平成17年5月:「問われる生徒指導第3回学校教育における生徒指導の機能と進路指導」『教職課程』第31巻第7号、協同出版、pp.40-43
(3)平成17年5月:「新連載小学校キャリア教育入門(2)−キャリア教育と進路指導」『進路指導』第78巻5号 日本進路指導協会 pp.39-42
(4)平成17年6月:「進路指導からキャリア教育への移行期を迎えた学校教育」(単著)『季刊教育法145号』エイデル研究所。pp. 28-33
(5)平成17年6月:「問われる生徒指導第3回キャリア教育の導入と学校教育の見直し」『教職課程』第31巻第8号、協同出版、pp.46-49
(6)平成17年6月:「新連載小学校キャリア教育入門(3)−キャリア教育と生き方教育」『進路指導』第78巻6号 日本進路指導協会 pp.40-43
(7)平成17年7月:「キャリア教育の導入と推進−登場から実践2年目のキャリア教育の足跡をたどる−」『教職課程』第31巻第10号、協同出版、pp.8-11
(8)平成17年7月:「キャリア教育という名の教育改革」『教育創造vol.150』上越教育大学附属小学校高田教育研究会、pp.48-52
(9)平成17年7月:「新連載小学校キャリア教育入門(4)−実践から学ぶ小学校キャリア教育(1)−準備段階編」『進路指導』第78巻7号 日本進路指導協会 pp.39-42
(10)平成17年7月:「全体研究協議テーマ「キャリア教育における実践のあり方」について」『進路指導』第78巻7号 日本進路指導協会 pp.12-14
(11)平成17年8月:「新連載小学校キャリア教育入門(5)−実践から学ぶ小学校キャリア教育(2)−実践段階編」『進路指導』第78巻8号 日本進路指導協会 pp.41-44
(12)平成17年9月:「新連載小学校キャリア教育入門(6)−実践から学ぶ小学校キャリア教育(3)−特別活動・総合的な学習の時間を通して」『進路指導』第78巻9号 日本進路指導協会 pp.41-44
(13)平成17年10月:「新連載小学校キャリア教育入門(7)−実践から学ぶ小学校キャリア教育(4)−道徳の時間を通して」『進路指導』第78巻10号 日本進路指導協会 pp.41-44
(14)平成17年11月:「キャリア教育の導入と地域の人材育成」『JOYO ARC』第37巻433号 常陽地域研究センター pp.10-15
(15)平成17年11月:「新連載小学校キャリア教育入門(8)−実践から学ぶ小学校キャリア教育(5)−各教科を通して」『進路指導』第78巻11号 日本進路指導協会 pp.41-44
(16)平成17年12月:「新連載小学校キャリア教育入門(9)−実践から学ぶ小学校キャリア教育(6)−中学校への移行支援として」『進路指導』第78巻12号 日本進路指導協会 pp.38-41
(17)平成17年12月:「キャリア教育の登場と学校教育」『道徳と特別活動』第22巻第9号、文渓堂、pp.4-7
(18)平成17年12月:「キャリア教育の推進にあたって−児童・生徒・学生を社会の変化に対応できる大人に育てるには」(翻訳)『進路指導』日本進路指導協会、第78巻12号、pp. 16-31
(19)平成17年12月:「キャリア教育と特別活動」『特別活動研究』38巻12号、明治図書、pp.105-107
(20)平成17年12月:「キャリア教育の登場と教育における意義」『学校運営』第47巻第9号、全国公立学校教頭会 pp.11-15
(21)平成17年12月:「キャリア教育は学校を変えるか」『山形教育』山形県教育センター pp.10-13
(22)平成18年1月:「新連載小学校キャリア教育入門(10)−小学校キャリア・カウンセリング(基礎編)」『進路指導』第79巻1号 日本進路指導協会 pp.38-41
(23)平成18年2月:「新連載小学校キャリア教育入門(11)−小学校キャリア・カウンセリング(応用編)」『進路指導』第79巻2号 日本進路指導協会 pp.41-44
(24)平成18年3月:「新連載小学校キャリア教育入門(最終回)−キャリア教育の評価−評価と追指導」『進路指導』第79巻3号 日本進路指導協会 pp.41-44
(25)平成18年3月:「矯正教育におけるキャリア教育の有効性」(単著)『形成』 矯正協会 第117巻第3号、pp. 68-76
@平成17年7月:日本教育学会特別課題研究フォーラム第2セッション(教育諸課題と教師教育)「キャリア教育の導入における現職教師教育の見直し」
A平成17年7月:日本進路指導協会、第54回進路指導研究協議全国大会、全体研究協議「キャリア教育のおける実践のあり方」のコーディネーター
B平成17年8月:第49回全国特別活動研究会東京大会、特設分科会「キャリア教育と特別活動」にて指導助言者を務める。
C平成18年1月:Careers Conference 2006(The University of Wisconsin-Madison's Center on Education and Work)のConcurrent Sessions IIにて‘Promotion of Career Education in Japan’のテーマで1時間発表
学会活動への参加状況等
・参加状況
@平成17年7月:日本進路指導協会、第54回進路指導研究協議全国大会参加
A平成17年8月:第49回全国特別活動研究会東京大会
B平成17年11月:日本キャリア教育学会第27回研究大会(愛知大会)
C平成18年1月:Careers Conference 2006(The University of Wisconsin-Madison's Center on Education and Work)
・学会役職
@日本キャリア教育学会常任委員・研究推進委員
A日本特別活動学会常任編集委員
◎特色・強調点等
 研究活動全般を通し、各学校で導入が進んでいるキャリア教育の普及や研究・実践の進展を意図した。主に著書では、実践者や研究者がわが国の教育活動へキャリア教育導入を円滑に行えるような、その理論的背景や歴史的な検討を行った。日本進路指導協会『進路指導』における「小学校キャリア教育入門」の連載は、わが国小学校キャリア教育の実践に多大の影響を与えた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成17年度文部科学省研究開発校(広島県庄原地区)運営指導委員
@平成17年度文部科学省研究開発学校(庄原小・中学校)キャリア教育研修会「「キャリア教育をどうすすめるか」
A平成17年度文部科学省研究開発学校 第2回庄原市立庄原小学校・庄原中学校合同研修会「キャリア教育の基礎的理解とキャリア・カウンセリング」
B平成17年度文部科学省研究開発学校 第2回運営指導委員会研修会講師(広島県庄原地区)
(2)文部科学省キャリア教育推進地域、函南市立東中学校研修会「キャリア教育におけるNIE:新聞から仕事を探そう!」
(3)文部科学省キャリア教育推進地域(青森県平内町)研修会「キャリア教育に取り組む心構え」
(4)文部科学省キャリア教育推進地域、小松市夏季職員研修講座「キャリア教育の現状とめざす教育活動」
(5)文部科学省キャリア教育実践プロジェクト指定平成17年度竹原市立竹原中学校公開教育研究会「今、キャリア教育に求められていること」
(6)独立行政法人教員研修センター「外国におけるキャリア教育調査団」(アメリカ班)副団長
(7)独立行政法人教員研修センター平成17年度各地域の中核となる校長・教頭等の育成を目的とした研修・第1回校長・教頭等研修「キャリア教育の工夫改善」
(8)独立行政法人教員研修センター平成17年度各地域の中核となる校長・教頭等の育成を目的とした研修(特別研修)「キャリア教育時代の到来と学校教育」
(9)法務省多摩少年院 少年対象講演「オンリーワンを目指し自分の進路を踏み出そう!」職員研修「人間形成におけるキャリア教育の意義」
(10)第54回進路指導研究協議全国大会 全体研究協議(「今求められているキャリア教育を推進する教師の実践力」の企画及びコーティネーターを務める)
(11)日本労働政策研究・研修機構 雇用職業研究会「学校から仕事への移行を促進するキャリア教育の導入」
(12)日本学校教育相談学会研修会「キャリア教育とキャリア・カウンセリング」
(13)財団法人企業活力研究所「産業人材育成の観点から見た学校段階におけるキャリア教育の評価に関する調査」の企画・設計ワーキンググループのメンバー
(14)北海道教育研究所「今求められている進路指導の在り方」
(15)山形県教育センター5年次研修「キャリア教育の理論と実践」
(16)山形県教育センター10年次研修「進路指導からキャリア教育への移行」
(17)栃木県総合教育センター、平成17年度中高連携を図るキャリア教育の推進に関する調査研究、指導助言者
・栃木県総合教育センター「新任進路指導主事研修」「これからの進路指導‐キャリア教育時代の進路指導を考える」
(18)埼玉県立総合教育センター中期研修「キャリア教育をどう進めるか」
(19)埼玉県高等学校教育相談研究会研修会「キャリア教育とキャリア・カウンセリング」
(20)埼玉県高等学校進路指導研究会、顧問
・埼玉県高等学校進路指導研究会キャリア学習研修会キャリア学習委員会「キャリア教育理解のための8のクエスチョン」
(21)埼玉県教育委員会キャリア教育推進検討会議、委員
・埼玉県キャリア教育推進検討会議「教育改革としてのキャリア教育」
(22)大田区中学校進路学習研修会「キャリア教育と小中連携」
(23)墨田区特色ある学校づくり推進研究校発表会講師「キャリア教育の充実と学力の向上」
(24)富山県キャリア教育推進研究事業、実践協議会、指導助言者(3年間)
(25)富山県、新総合計画「学校教育・生涯学習・スポーツ研究会」、委員
(26)岐阜県総合教育センター高校新任進路指導主事研修「進路指導とキャリア教育」
(27)広島県立教育センター 企画部共同研究の「我が国におけるキャリア教育の現状と課題−キャリア教育推進地域指定事業における指定地域の研究成果分析を通して−」、助言者
(28)九州地区私学教育研究会「進路指導からキャリア教育へ」
(29)福岡県中学校進路指導研究会研修会「キャリア教育をふまえた小・中9ヵ年間の教育のあり方とその実際」
(30)新潟県、キャリア教育・若年者雇用問題懇話会、大学研究機関の構成員
(31)新潟県生活科・総合的学習研究会第14回研究大会「キャリア教育の理論と実践‐生活・総合を中心に」
(32)上越市教育委員会、キャリア教育推進委員会、指導助言者
・上越市立教育センター主催キャリア教育研究発表研修会「地域に根ざしたキャリア教育をどのように推進するか」
(33)新潟県カウンセラー活用事業として上越市立城北中学校及び飯小学校スクール・カウンセラー
(34)上越教育大学公開講座講師
◎社会への寄与等
 4省大臣による「若者自立・挑戦プラン」後、新キャリア教育プランにより、学校教育におけるキャリア教育の推進が顕著になるなか、全国の、文部科学省キャリア教育推進地域、文部科学省キャリア教育実践プロジェクト指定地域の支援をはじめ、都道府県のキャリア教育推進に対し助言者、講師を務める。
 上越市においても平成17年度よりキャリア教育推進委員会が設置され、3中学校、3小学校の委員による、キャリア教育による小中連携が推進されている。そこで、本委員会の助言者として、研究協議における諸助言、研修会の講師、発表会の助言及び講師など、全面的に支援を行っている。その結果、上越市キャリア教育推進委員会は、来年に向けさらに活発な活動計画を立て、市内の二中学校が文部科学省のキャリア教育実践プロジェクトキャリア・スタート・ウイークに参加することが決定した。
 わが国学校教育が直面している課題に対し、日本全国規模、また、足元の上越市のキャリア教育推進に貢献し、教育大学としての使命を果たした。
 

 
下 司   晶(講 師)
 
<教育活動>
授 業
 まず、全ての授業に共通する取り組みとして――。
 @授業初回に詳細なシラバスを配布し、授業の到達目標と具体的な活動を明示した。A毎時、参考文献リストを明記し、受講者の自学自習の助けとした。B身近な題材を入り口として、学問的な概念や思考法を理解の助けとした。Cテキストや視聴覚資料を含む授業資料を、独自に編纂した。D毎回、リアクションペーパーにて感想・質問を募集し、次回以降の授業構成に反映させ、質問には出来る限り答えた。E大人数の授業では、最後に無記名のアンケートを実施し、翌年以降の授業改善に努めた。
 次に、各授業の内容から――。
 教育研究法特論(大学院)では、教育諸問題の研究手続きを身につけてもらうことを念頭に置いた。毎時、A4版換算手法で8〜12頁分の資料を独自に作成し、エクササイズや演習などを交えながら授業を組み立てた。当初、(統計処理を伴なう)実験や質問紙法に依らない文献調査研究(哲学・歴史・思想史・社会学の一部)を研究法の一つの範型として想定したが、本学の修士論文の多くが実地調査や実験等をもとに書かれていることから、これら研究全てに共通する作法を伝えることを中心とした(例えば、先行研究の調査法や、先行研究の蓄積を踏まえて自分の問題を組み立てる方法など)。研究法を身につけることは、教育現場の声を広く発信するためには極めて重要なものであるため、授業準備にはかなりの時間(毎時10時間以上)を必要としたが、結果、授業評価アンケートでは、「修論の執筆にとって最も有用な授業」として、極めて高い評価を得た。
 発達臨床思想特論(大学院)では、毎時、400字換算で50〜100枚程度の専門論文をあつかった。事前に論文を読み、感想を担当教員までメールで送信させ、教官はそれを授業時間までに一つの文書としてまとめ上げ、配布した。授業評価アンケートでは、「資料的に最も充実した授業であった」として、極めて高い評価を得た。ただし、受講者の専門的知識にはかなりの斑があったため、難易度の点で若干の課題も残された。
 教育本質論(学部)では、教職科目の基礎の一つとして、教育に関する〈思想的ことがら〉を取り上げた。特に、西洋近代の教育思想と、それらの日本への導入を通して、受講者各自がこれまで自然に身につけている「教育観」を見直してもらえるようデザインした。また同時に、教員採用試験では毎年出題される思想家たちを身近に知ってもらえるよう、彼ら自身のオリジナルテクスト(邦訳)を独自に編纂し、毎時、A4版換算手法で8〜12頁分の資料を配布。エクササイズや演習などを交えながら授業を組み立てた。授業準備にはかなりの時間を必要としたが(毎時10時間以上)、結果、授業評価アンケートでは高い評価を得た。ただし、学期末のレポートは、提出期間を8月下旬まで延長したものの、かえって実習等と重なってしまい、残念ながら提出できなかった学生も存在した。レポートの課題の内容や形式に関しては、改善の余地が残されている。
 発達臨床思想(学部)では、専門分野の入門書数冊をもとに授業を組み立てた。毎時、学生に課題を課し、専門的知識を徐々に身につけてもらえるよう心がけた。授業評価アンケートは、おおむね好評であったが、ほとんど全ての学生が、「思想」をあつかう授業であるが故に、一限の設定では十分な思考が展開できないと述べていた。すでに平成18年度の授業時間割は確定しているとはいえ、早急に改善の必要があるだろう。
研究指導
 大学院修士課程一年次生3名の指導にあたった。ゼミでは論文指導と、文献講読を平行して行った。論文指導では、各自がそれぞれのテーマを見いだし、すでに一次資料の分析に取り組んでいる。文献講読のゼミでは、共通テキストとして諏訪哲二『オレ様化する子どもたち』、N・ポストマン『子どもはもういない』、Ph・アリエス『〈子供〉の誕生』を読了した。また英文講読のゼミとしては、カリフォルニアの自殺予防プログラムの講読をすすめている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年6月:「教育言説の心理主義化に抗して ─ある幻想の未来」『情況』2005年7月号, pp.100-115
@平成17年7月2日:上越教育経営研究会にて発表 「フロイト主義の教育への影響に関して――〈精神分析的子ども〉の系譜学」
A平成17年9月:教育思想史学会コロキウムにて研究発表 「精神分析と教育――エディプス・コンプレックスをめぐって」
共同研究の実施状況
@「精神分析と教育」に関する研究(東京大学大学院教育学研究科)。研究を重ね、平成17年9月、教育思想史学会コロキウムにて研究発表(「精神分析と教育――エディプス・コンプレックスをめぐって」)を行った。
学会活動への参加状況等
@7月6日:上越教育経営研究会出席、発表
A月18日(日)〜19日(月):教育思想史学会出席、学会コロキウムにて発表
B教育思想史学会編『リーディングス教育思想史』編集委員(平成17年12月まで)
C中央大学教育学会 事務局長、第2回大会企画・運営・参加(11月12日)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県教育委員会栄養教諭認定講習「教育本質論」(8月29日〜31日)
A☆埼玉教育塾「教育言説の心理主義化に抗して ─ある幻想の未来」(11月19日)
◎社会への寄与等
・@について、参加者からかなりの好評を得た旨、教育委員会を通して大学に伝えられた。
・Aについて、参加者から好評を得た。