【障害児教育講座】
 

 
我 妻 敏 博(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 講義では受講生に聴覚障害者がいることに鑑み,紙資料を毎回用意するとともに補足資料やビデオなどを頻繁に用いてわかりやすい授業を心がけた。臨床実習では学生に実際の障害児の指導に当たらせ,事前打ち合わせ,事後反省会,ケース会議等で実践的な指導力の育成に努めた。あわせて指導案の書き方や指導記録のまとめ方などを具体的に指導した。学生に対する評価は出席の他に授業中の質疑応答や小テスト・期末テストなどで評価し,点数が低かった者には追課題を与えて授業内容の理解を徹底させた。
研究指導
 テーマの設定,実施,結果の分析,論文の執筆まで研究セミナーの時間以外にも個別に指導した。さらに,年間3回の合宿指導を行った。資料収集に際しては対象となった学校に学生とともに訪問し,校長ほか関係教師に研究内容について説明し,研究協力を依頼した。また,関係する学会や研究会に学生を連れて参加し学習や研究活動に役立てた。
その他の教育活動
@独立行政法人国立特殊教育総合研究所非常勤講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 受講生が少ない授業が多いので,一般的な内容に加えて受講者の個別的なニーズに配慮した内容での授業を実施したり,個別的な質問や疑問に対応してきた。さらに,聴覚障害学生が受講する授業については毎回詳しい紙資料を用意し,情報補償に努めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:『聾学校におけるコミュニケーション手段に関する研究』(分担執筆)独立行政法人国立特殊教育総合研究所課題別研究報告書
@平成17年10月:『補聴器の評価と満足度に関する分析』(共)第39回全日本聾教育研究大会
学会活動への参加状況等
@5月21日〜22日:日本国際聾教育学会・日本聴覚障害教育実践学会出席
A9月23日〜25日:日本特殊教育学会出席
B10月18日〜20日:全日本聾教育研究大会出席
在外研究の状況
@9月11日〜9月21日:中国 中国黒竜江省における障害児教育の現状調査,哈爾濱師範大学との研究協議
A10月30日〜11月6日:中国 哈爾濱師範大学において講義,北京での障害児教育関係の研究会において特別講演を行った
◎特色・強調点等
 中国黒竜江省哈爾濱師範大学との連携事業として同大学の学生を対象に講義を行い,これをもって連携事業の一つが具体的に開始された。また,北京における研究会で特別講演を行ったことは中国障害児教育の分野で上越教育大学の名前を広めるのに有効であった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越障害児教育研究会顧問
A新潟聾学校運営評議会委員
B宇奈月地区教育相談講師
C長野聾学校校内研修会講師
D山梨聾学校校内研修講師
E新潟県認定講習会講師
F長野県認定講習会講師
G山梨県認定講習講師
H富山県認定講習講師
 

 
大 庭 重 治(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 大学院修士課程の授業において,障害児の心理学及び指導法に関する内容を扱った。講義では,従来の研究成果を紹介するとともに,臨床研究において得られた新たな知識についても紹介した。演習では,他の教員と連携して授業にあたり,院生の研究活動と連動した指導を目指した。実習では,障害児教育実践センターと近隣の小学校に臨床研究の場を設定し,カンファレンスにおいて具体的臨床データに基づく議論の機会を提供した。
研究指導
 研究室に所属する大学院生9名の指導を継続的に行い,4名については修士論文作成の指導を行った。特に,軽度の障害のある子どもの事例的研究を中心に指導した。また,留学生1名の指導も行った。
その他の教育活動
 新潟県立新潟盲学校において教育実習の指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 院生の研究テーマに即して継続的かつ総合的な研究支援を行った。特に,軽度発達障害に関する研究を希望する院生が増加したことから,地域の小学校において放課後学習会を開き,臨床研究の場を拡大した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年12月:『通常の学級に在籍する軽度発達障害のある児童に対応した校内支援体制に関する学級担任の意識』(共著)発達障害研究 第27巻 pp.316-330
A平成18年3月:『知的障害養護学校高等部における教師の専門性向上のための校内研修方法に関する実践的検討』(共著)上越教育大学障害児教育実践センター紀要 第12巻 pp.25-28
@平成17年9月:『知的障害を伴う弱視生徒における書字学習支援』第47回日本教育心理学会発表
A平成17年9月:『肢体不自由養護学校における居住地校交流の実施方法に関する研究(その3)』(共)第43回日本特殊教育学会発表
共同研究の実施状況
@発達障害児を対象とした実行機能の評価に関する基礎的研究 代表者:惠羅修吉 科学研究費補助金
A特別支援教育に係わる教員養成・研修を目的とする地域連携システムの試行的構築 代表者:大庭重治 上越教育大学研究プロジェクト
B障害児の認知発達支援に関する研究 小学校及び盲学校との共同研究
学会活動への参加状況等
@9月17日〜19日:日本教育心理学会出席
A9月23日〜25日:日本特殊教育学会出席
B特殊教育学研究編集委員
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@障害種別研修会講師(富山県立盲学校)
A北陸地区盲学校教育研究大会講師(富山県)
B免許法認定講習講師(長野県)
C教育研究集会共同研究者(新潟県)
D目や見え方に関する巡回教育相談会講師及び相談員(新潟県)
E仙台市発達相談支援センター特別講座講師(宮城県)
F新潟県立高田盲学校評議員(新潟県)
G出前講座講師(県内5校)  他
◎社会への寄与等
 障害児教育実践センター,小学校,盲学校における発達支援活動に努めた。また,研究室のホームページを通して,研究成果を広く公開した。
 

 
藤 原 義 博(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 「情緒障害児指導法」の授業では,特に自閉症児・ADHD・学習障害児の行動問題に関する最近の研究成果を取り入れ,パワーポイントとそのコピー資料を事前配付し、また事例のビデオを活用することで授業内容の理解を深める工夫を行った。また,「障害児臨床実習T・UC」「障害児応用教育臨床実習T・UC」では,実際に障害児の臨床指導を実施するだけでなく、その過程で知的障害児のアセスメントとそれに基づいたプログラムの立案、実施、そしてビデオ分析による評価を繰り返すことで,プログラムの立案力・指導力の習得を高める工夫を行った。
研究指導
 修士課程2年次生5名及び1年次生5名について,情緒障害及び知的障害児・者の家庭場面、地域生活、保育所、知的障害者更生施設における行動問題の改善や適応支援、コミュニケーションの改善に関する研究・指導を行った。また、兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科2年次生1名について、自閉性障害児のコミュニケーション支援方法に関する研究指導を行った。新潟県と鳥取県から派遣された4名の内地留学生(現職)に対して、軽度重度の情緒障害や知的障害児に対する行動の見方考え方、支援方法について専門的な研修の実施と研究指導を行った。
その他の教育活動
@立命館大学大学院応用人間科学研究科の「障害学研究H」の非常勤講師を担当し、主として知的障害児、情緒障害児の教育的支援方法について講義を行った。
A国立大学法人九州大学教育学部の「発達臨床心理学」の非常勤講師を担当し、主として知的障害児、情緒障害児の発達臨床心理学からのアプローチについて講義を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 臨床実習を軸に観察・分析・立案・実施・評価の一連の作業を繰り返すことによって、高度な知識と洞察力・実践力がバランスよく獲得され、高い問題意識も培うことができたと考える。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年9月:『保育士のための気になる行動から読み解く子ども支援ガイド』(監修・編著)学苑社
A平成17年『特別支援教育ハンドブック』(共著)第一法規 質疑応答編第2章 pp.2181-2182、pp.2231-2237
@平成17年7月:『家庭における知的障害者の選択決定の機会についての検討』(共著) 発達障害研究 第27巻第1号、pp.46-62
A平成18年3月:『課題の選択が知的障害児の課題従事行動に及ぼす効果:課題に対する好みのレベルからの検討』(共著) 上越教育大学研究紀要 第25巻2号 pp.619-633
@平成17年7月:『知的障害児の課題遂行反応に試行間の遅延間隔が及ぼす効果』(共) 日本行動分析学会第23回大会
A平成17年7月:『保育所における気になる・困った行動を示す子どもの実態調査4−子どもの診断の有無からみた「保育所から家庭へ」の伝え方について−』(共) 日本発達障害学会第40回研究大会
B平成17年7月:『保育所における気になる・困った行動を示す子どもの実態調査5−子どもの診断の有無からみた「家庭から保育所へ」の伝え方について−』(共) 日本発達障害学会第40回研究大会
C平成17年7月:『K市における幼児期の発達障害児の診断・相談に関する動向』(共) 日本発達障害学会第40回研究大会
D平成17年9月:『小集団指導において知的障害のある児童の主体的な課題遂行を高める手だての検討(1):課題遂行機会の増加と課題遂行行動の生起との関連』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
E平成17年9月:『小集団指導において知的障害のある児童の主体的な課題遂行を高める手だての検討(2):物理的環境設定と課題遂行及び逸脱行動の生起との関連』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
F平成17年9月:『重度知的障害児の個別指導における課題手続きの展開−教材の受け渡し手続きを中心に−』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
G平成17年9月:『知的障害養護学校・特殊学級在籍児の家庭内活動における効果的な物理的環境条件に関する実態調査(1)−「とくに教えやすかった活動」と「とくに難しかった活動」における子どもの実態について−』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
H平成17年9月:『知的障害養護学校・特殊学級在籍児の家庭内活動における効果的な物理的環境条件に関する実態調査(2)−「とくに教えやすかった活動」と「とくに難しかった活動」における家族の工夫の特徴について−』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
I平成17年9月:『通所授産施設において作業従事に困難を示す知的障害者にたいするセルフコントロール技法適用の検討』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
J平成17年9月:『要求文脈において自閉性障害児が示す行動トポグラフィの分析』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
K平成17年9月:『一斉指導場面における知的障害児の主体的活動・参加を促進する補助指導者の役割の検討』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
L平成17年9月:『発達障害のある青年のゲーム活動場面における相互交渉に関する研究』(共) 日本特殊教育学会第43回大会
M平成17年9月:自主シンポジウム『行動問題のある発達障害児者のQOLの向上を目指した積極的行動支援(6)−望ましい行動を促進する物理的環境設定の在り方−』 日本特殊教育学会第43回大会
@平成18年2月:『分科会報告(共通部会第16分科会):情緒障害への支援』 発達の遅れと教育 No.582 pp.30(日本文化科学社)
共同研究の実施状況
@『児童生徒が地域社会で主体的に活動するための教育支援に関する実践的研究−特別支援学校と家庭や関係機関との連携の在り方−』代表者:藤原義博 上越教育大学研究プロジェクト
A『一斉指導における行動問題の低減と授業参加の促進』 大学・大学院における教員養成推進プログラム教育プロジェクト
学会活動への参加状況等
@7月3日〜4日:第39回日本発達障害学会研究大会出席
A9月10日〜12日:日本特殊教育学会第42回大会出席
B10月9日〜11日:日本教育心理学会第46回総会出席
C日本特殊教育学会編集委員
D日本発達障害学会評議員・編集委員
E日本行動分析学会常任理事
◎特色・強調点等
 我が国において研究蓄積や対応方法の普及が遅れている発達障害児者が示す行動問題の改善とQOLの向上を目指した積極的行動支援方法について継続的な研究を行い、研究レベルの向上と共に教育・福祉現場への理解・啓発及び家庭支援において着実な成果を上げ、中心的な役割を果たしたと考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜3月:柏崎市元気館こども課早期療育事業指導者
(2)4月〜3月:柏崎市就学相談検討会指導講師
(3)柏崎市教育センター研修会講師(『軽度発達障害児の理解と対応』)
(4)新潟県教育職員免許法認定講習講師(『心身に障害のある幼児、児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目』)
(5)山梨大学教育人間科学部附属養護学校第20回公開研究会講師(『よりよく生きる豊かな生活のためのコミュニケーション』)
(6)新潟県発達障害者支援センター設置検討委員会委員長
(7)富山大学教育学部付属養護学校事例研究会講師
(8)冨山大学付属養護学校教育実践研究会講師(『児童生徒が地域社会で主体的に活動するための家庭支援の在り方』)
(9)国立特殊教育総合研究所短期研修講師(『自閉症児の保護者との連携』)
(10)第44回全日本特別支援教育研究連盟全国大会(愛知大会)分科会助言者(情緒障害への支援)
(11)青森県『21世紀を拓く特別支援教育』南黒大会記念講演講師(『特別な支援を必要とする児童生徒への支援のあり方』)
(12)北海道知的障害養護学校教育研究協議会講演講師(『子どもがわかって動ける授業作り』)
(13)京都市立鳴滝総合養護学校研修会講師(『主体的活動のできる授業作り』)
(14)新潟県いなほの会10周年記念「NHKハートフォーラム:新潟県の特別支援教育シンポジウム」シンポジスト(『特別支援教育における大学の役割』)
(15)北海道七飯養護学校おしま学園分校学校見学会講師(『自閉症教育のこれから』)
(16)社会福祉法人中東福祉会障害関係施設合同講演会講師(『自閉症・発達障害の方の支援方法について』)
(17)群馬大学・群馬県総合教育センター連携「サポートプログラム」開発研修会講師(『応用行動分析による行動調整』)
(18)柏崎市障害児保育研修会講師(『子どもの気になる行動への理解と対応』)
(19)上越教育大学地域連携推進室主催「特別支援教育フォーラム2006」コーディネーター
(20)上越特別支援教育研究会講師(『情緒障害児の特性や支援の仕方について』)
(21)筑波大学心身障害学系研究交流セミナー講師(『教育大学における現状と特別支援学校教諭免許状への移行における課題』)
(22)筑波大学21世紀COEプログラム拠点「こころを解明する感性科学の推進」定期セミナー講師(『発達障害児者の生活を豊かにすることを目指す応用行動分析的アプローチの展開』)
(23)静岡県立浜松養護学校校内研修会講師(『一人一人の教育的ニーズに応える特別支援教育』)
(24)広島県盲・ろう・養護学校教育研究大会講師(『個に応じた支援の進め方』)
(25)文部科学省教育研究開発学校指定研究最終報告会シンポジスト(京都市教育委員会)
(26)富山県立しらとり養護学校現職教育講師(『学校における「個別の指導計画」「個別の指導計画」「個別の移行支援計画」の作成と授業への反映のさせ方』)
(27)鳥取県立白兎養護学校校内研修会講師(『ひとり一人が主体的に活動・参加できる教育実践』)
(28)上越教育大学出前講座講師;はまなす養護学校(『子どもが主体的に動ける授業づくり』)
(29)新潟県中越地区特別支援教育研究大会小千谷大会講師(『ひとり一人のニーズに応える特別支援教育とは』)
◎社会への寄与等
・新潟県発達障害者支援センター設置検討委員会の委員長として寄与した。
・近隣市町村の早期療育事業の指導・助言者として、その機構整備と質の向上に寄与した。各種の障害児教育に関わる研修会の講師として多数の講演、参加研修、実践指導を行い、知的障害及び情緒障害教育現場の質の向上及び教員の指導力の向上に寄与した。特に知的障害教育の質の向上と行動問題の理解・啓発に多大の貢献を行った。 
 

 
星 名 信 昭(教 授)
 
<教育活動>
授 業
学 部
 一年生のセミナーで、大学生活と研究の面白さ、教育者としての人間形成など副読本も使って、お互いの理解や考え方を認め合う討論を実施した。当初は遅刻や欠席もあったが、後半は遅刻が無くなり全員出席が続いた。
大学院(修士)
 障害児教育のうち主として聴覚障害に関すて実験実習を含めて基礎的内容を講じ、聾学校教員免許(一種、二種及び専修免許状)取得の条件を習得させている。特に臨床的実践的な力の向上に努めている。日々の授業毎に評価を行い。トピックスごとにまとめとレポートを課し、指導内容の習熟度を判定する。
大学院(博士)
 障害児のきこえと発音に関する論文講読を中心に研究指導をおこなう。なお、受講院生と研究生のために特に補聴器とその適合に関する課題に焦点をあてた。3月に西宮で実施したD1の合宿集中講義では夜の討論会で博士課程の意義と論文について話し合い、最終日の講義では障害児教育の現状と学校教育相談を講じた。
研究指導
 基礎的研修を踏まえて修士論文および博士論文作成のための指導をセミナー中心に行い、院生時代または終了後には研究の成果を関連学会で発表させるように指導している。研究のレベルを評価の基本にしている。なお、他に院生と研究プロジェクトを計画実施して研究の実地指導とその内容の充実につとめた。
 本年度主指導教官として9月に論文博士、3月に課程博士それぞれ一名を誕生させた。
その他の教育活動
@国立特殊教育総合研究所短期研修非常勤講師
A障害児教育観察・参加および障害児教育実習を教育現場と共同で指導
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:一期一会と継続、聴音研シンポジュウム報告書(編著) 深堀印刷
@平成17年6月:学齢期人工内耳装用児のきこえに関する自己評価の事例的検討(共著) Audiology Japan, Vol.48.3.234-241
A平成18年3月:障害児教育実践学を考える.(単著) 上越教育大学障害児教育実践センター紀要.第12巻.1-4.
@平成17年9月:「聴覚障害児のための音楽を考える(4)−聾学校幼稚部・小学部における音楽活動− 第42回日本特殊教育学会、シンポジュームの指定討論者
A平成17年9月:「人工内耳装用に関する自己評価の検討(その2)」(共) 第31回 日本コミュニケーション障害学会
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県就学指導委員会の委員長として県内の就学指導体制および県立校への就学についての審議に加わった。
A文部科学省委嘱事業「特別支援教育推進モデル事業」に関する調査研究運営会議委員長として審議し、調査研究をまとめた。
B文部科学省独立法人評価委員会(国立特殊教育総合研究所部会)委員として審議に加わった。
C新潟県教育委員会教員免許認定講習会講師
 

 
河 合   康(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 「実践場面分析演習T、UA(障害児教育)」では、盲学校における大学院生の教育実習のビデオを教材として取り上げ、1年次生にとっては事前指導の、また2年次生にとっては事後指導となるように工夫を行った。「障害児教育課程論」(大学院)の授業では、「特殊教育」から「特別支援教育」へと移行しつつある国内の動向を取り入れて、内容を再構成した。「障害児教育概論T」(学部)では、学校現場のビデオ視聴を取り入れ、学習への動機付けを高める工夫を行うと共に、第1年次で実施予定の介護等体験と関連を持たせながら授業を展開することにより、障害児教育に対する意識を喚起する工夫を行った。
研究指導
 パキスタンの障害児教育について修士論文を執筆する院生が現地で調査するに当たり、10日間同行し、修論指導が円滑に行えるように配慮した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 わが国の障害児教育が、「特殊教育」から「特別支援教育」へと移行しつつある現状を踏まえて、文部科学省の協力者会議等の最新の情報を入手し、その内容を授業に反映させ、今後の方向性を明示できるように配慮した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:『世界のインクルーシブ教育』(共訳) 明石書店
@平成17年5月:『特別支援教育』(単著) 総合教育技術 5月号 pp.296-313.
A平成17年9月:『インドネシアの国家教育システム法及び特殊教育令における障害児教育関連規定』(単著) 上越教育大学研究紀要 第25巻第1号 pp.315-329.
B平成17年11月:『「特殊教育」から「特別支援教育」へー戦後の政策を振り返るー』(単著)教職課程 第31巻第15号 pp.12-15.
@平成17年9月:日本特殊教育学会第42回大会にてポスター発表『パキスタンにおける障害児教育の史的発達』を行った。
共同研究の実施状況
@民主社会実現手段としてのインクルーシブ教育の社会的背景と理論的基盤に関する研究 代表者:中村満紀男(筑波大学教授) 平成14-17年度科学研究費補助金基盤研究(A)(2)
A途上国における特別支援教育開発の国際協力に関する研究 代表者:中田英雄(筑波大学教授) 平成17-20年度科学研究費基盤研究A(海外学術研究)
B開発途上国における障害児教育分野の教育協力モデル指針の研究 代表者:中田英雄(筑波大学教授) 平成17年度文部科学省拠点システム構築事業
学会活動への参加状況等
@9月23日〜25日 日本特殊教育学会第43回大会出席
◎特色・強調点等
 特殊教育から特別支援教育への転換がなされていく中で、その方向性を諸外国との比較教育学的観点から検討した。また、途上国の障害児教育に対する国際教育協力についインドネシアとパキスタンに焦点を当てて教育・研究活動を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市障害者社会福祉推進連携協議会委員
A新潟県教育職員免許法認定講習講師
 

 
齋 藤 一 雄(助教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 初めて障害児教育について学ぶ院生から現職教員まで幅広い実態にある。そこで、授業の始めにさらに細かいシラバスと参考図書を示している。最後に4段階評価を行い,次年度の内容・方法を改善している。また,院生の幅広い実態に応えるために,具体的な映像や資料の活用,基礎的な内容と最新の情報や研究成果のバランスよい配置を心がけている。そして,ミニアンケートやグループ討議を織り交ぜて,お互いに学びあえるようにしている。教科書に当たる本も作成し,事前・事後学習ができるようにしている。
○成績評価法に関する取組状況
 評価の方法と内容を講義の始めに示し,了解を得て進めている。後期の授業では,冬休みを活用してもらい,知的障害児のための自作の教材教具を各自1つ製作することを課題とし,最終回にその自作教材教具について,ねらいや使い方,効果等についてレジュメをもとに発表し,受講生が互いに評価し合うようにしている。そのなかからいくつかについては,障害児教育実践センター紀要の「教材教具の紹介」のコーナーで広く紹介している。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 受講生は養護学校等の教員を目指して意欲的に取組んでおり,現職員生の話を参考にしたり,お互いの意見に耳を傾けて学ぼうとしている。博士課程への進学もあり,学校の教員になって活躍している院生が多い。そのなかで,学校現場での経験を話したり,具体的な資料を提示したりして,実践的な資質を身につける取組を行っているが,学卒の院生としては経験のないことだけにイメージしにくい部分があるようだ。
研究指導
【観点】大学院
 養護学校等での教員や教育実習の経験のない院生については,地域の養護学校等の学校行事,例えば運動会や学習発表会,作品展示会に一緒に参加し,その場で具体的な指導を行うとともに,ゼミ等で討論したりしている。
 また、養護学校や特殊学級等で教員と一緒に授業に参加し,その準備や分析等を行うこと,そして,その研究結果を教員が発表し討議する機会を設定し,臨床的な実践力や研究方法などを身につけるようにしている。
その他の教育活動
@7月:平成17年度附属中学校わくわく大学ウィーク特別授業(『障害について考える』を講義)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 院生が知的障害児のための自作の教材教具を各自製作し,ねらいや使い方,効果等について発表しあうとともに,いくつかについては,障害児教育実践センター紀要の「教材教具の紹介」のコーナーで広く紹介している。
 学卒の院生が多い状況を考慮して、基礎的な講義から臨床実習,そして教育実習,就職へと一貫した指導とともに,養護学校等の教員の教育実践やその他の仕事について学べるようにすることが課題だと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年7月:『養護学校音楽科教科書の活用調査』(単著) 発達障害研究 第27巻2号 pp.147ー152
A平成18年1月:『知的障害児におけるリズムパターン同期の誤反応の分析』(単著) 特殊教育学研究 第43巻3号 pp.193ー201
B平成18年3月:『自作の教材を活用したリズム同期の指導』(単著) 上越教育大学障害児教育実践センター紀要 第12巻 pp.29-38
C平成18年3月:『手拍子によるリズム反応を高める自作曲』(単著) 上越教育大学障害児教育実践センター紀要 第12巻 pp.63-64
共同研究の実施状況
@知的障害児のリズム同期と合奏指導のための教材開発研究 代表者:齋藤一雄 ヤマハ音楽支援制度「研究活動支援」
AプロジェクトJU「通常学級における障害児教育の在り方」 代表者:加藤博之(昭和音楽大学) 日本音楽教育実践学会プロジェクト研究
学会活動への参加状況等
@平成17年8月:『自作教材を用いたリズム同期の指導』(単) 日本音楽教育実践学会第10回記念全国大会発表
A平成17年8月:『特別支援教育への第二歩−教科書の中に特別支援教育の手だてを−』(単) 日本音楽教育実践学会第10回記念全国大会プロジェクトJU提案発表
B平成17年9月:『障害児のリズム活動の研究と実践その2』 日本特殊教育実学会第43回大会自主シンポジウム50企画・司会・話題提供
◎特色・強調点等
 これまでの研究・実践活動をとおして追求してきたことを『知的障害児におけるリズム同期の発達とその指導に関する研究』という題目で博士論文(162頁)を提出し、平成17年9月兵庫教育大学より学校教育学博士の学位を授与された。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@8月:埼玉県教育職員免許法認定講習講師(『養護学校における教育課程の編成及び指導法』を312人を対象に講義
A7月:埼玉県立総合教育センター平成17年度特殊教育諸学校5年次教員研修(『障害児の個に応じた教育課程編成』を講義・演習)
B8月:新潟県寄宿舎主任指導員資格認定講座講師(『障害児教育における教育課程や障害のとらえ方、意図的な実践的な授業づくり』
C8月:新潟県教育職員免許法認定講習講師(『障害児教育の教育課程編成及び指導法』を講義)
D10月:埼玉県特殊教育・特別支援教育教育課程研究指定校研究発表会講師(桶川市立桶川東中学校)(『学校をあげて取り組む特別支援教育』を講演)
E2月:平成17年度埼玉県特別支援教育コーディネーター指導者養成研修会講師(『特殊教育から特別支援教育へ』を講義)
◎社会への寄与等
・上越市就学指導委員会委員として,障害児の適正な就学について助言等を積極的に行った。
・新潟県立はまなす養護学校学校評議員として,学校行事や授業の様子を積極的に参観し,教育課程編成や教育実践、地域とのかかわり方,そして学校評価について参考となる意見を述べた。
 

 
笠 原 芳 隆(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 ガイダンスの際,資料を配布して授業の目的や内容等についてシラバスの内容をより詳しく学生に説明するようにした。また,各自が学びたいことについて書き出してもらい,授業内容にフィードバックするよう心がけた。
 評価については観点を明確にするなど配慮した。
【観点2】教育の達成状況
 臨床実習では,特別支援教育の現場における自立活動の指導を想定し,動作法を参考に,個別の指導計画を作成して実習を行った。M1・M2のグループ実習とし,ティーム・ティーチングの一端を経験できるよう配慮した。
 肢体不自由児指導法では,肢体不自由の模擬体験や構内のバリアフリーチェック,自立活動の指導のシミュレーションを実際に行うとともに,肢体不自由養護学校の指導例や学校現場で現在抱えている課題等を資料や映像により提示し,その対処法を考察する機会を設けた。また,障害児自立活動論では,個別の指導計画作成に必要な実態把握や課題設定を実際に演習形式で行って実践力を高める工夫をした。
研究指導
【観点】大学院
 実際に特別支援教育の現場を視察する機会を設けるなどして研究に関連する事項について見聞するようにし,そこから課題意識を高めるよう配慮した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 授業も研究指導も,実践的指導力や特殊教育の場における諸課題を解決する力を身に付けられるよう工夫した。また,障害青年の余暇支援活動や全国規模の自立活動に関連する研究会・フォーラム等を企画し,授業以外の場でも学生が実践的指導力を高めるための資料を得られるようにした。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:『「障害児者の自立」のイメージに関する研究』(共著)上越教育大学障害児教育実践センター紀要 第12巻 pp.39-47
@平成17年9月:『教育臨床とは何か(3)−本人と家族のニーズに応える地域生活支援−』(自主シンポジウム指定討論)日本特殊教育学会第43回大会
共同研究の実施状況
@特別支援教育における個別の教育支援計画作成に関する実践研究 代表者:藤井和子,上越教育大学研究プロジェクト(継続)
A多様な教育的ニーズに対応した個別の指導計画作成と授業づくり 代表者:安藤隆男(筑波大学),自立活動研究ネットワーク(全国の特別支援教育に携わる教員との共同研究)(継続)
B特別支援教育における教師の専門性−多様化するニーズに対応する− 代表者:小杉敏勝(前新潟県立高田養護学校),上越自立活動研究会(上越地域の特別支援教育に携わる教員との共同研究,「特別支援教育Q&A」の作成)(継続)
学会活動への参加状況等
@平成17年8月19日:第6回自立活動研究フォーラム企画・運営(於 上越教育大学)
A平成17年9月23日〜25日:日本特殊教育学会第43回大会出席(於 金沢大学)
◎特色・強調点等
 地域の特別支援教育に携わる教員と共同で「特別支援教育推進上の課題に関する研究」を行い,その成果を「特別支援教育Q&A」にまとめたことは,地域の教員への支援や研究室学生指導に活かすことができ,有意義であった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年4月−平成18年3月:新潟県立上越養護学校非常勤講師(『動作法を用いた自立活動の指導』について助言)
A平成17年4月−9月:上越保健医療福祉専門学校非常勤講師(『障害者福祉論』について講義)
B平成17年4月−平成18年3月:平成17年度新潟県中越地区特別支援教育推進事業専門家チーム委員(困難事例の個別相談)
C平成17年6月・9月:新潟県特別支援教育推進員養成研修会講師(『軽度発達障害の理解』,『個別の指導計画作成・活用』について講義・演習)
D平成17年7月:岐阜県立長良養護学校校内研修会講師(『個別の指導計画の活用法』について講義)
E平成17年7月:新潟県教職12年経験者研修講師(『個別の指導計画と評価』について講義)
F平成17年8月:新潟県教育職員免許法認定講習講師(『教育の基礎理論』について講義)
G平成17年10月:富山県特別支援教育コーディネーター養成講座講師(『個別の指導計画の作成と活用』について講義)
H平成17年5月−6月:本学公開講座講師(『個別の指導計画の作成法と活用法』)
I自立活動研究ネットワーク事務局(『第6回自立活動研究フォーラム』を実施)
J上越自立活動研究会事務局(『第1〜3回学習会』の企画・運営,『特別支援教育Q&A』の作成
K上越青年の休日を楽しむ会事務局(重度知的障害者を対象に『いなり寿司教室』を実施)
◎社会への寄与等
 特別支援教育に携わる教師に対しては,公開講座や校内研修講師等により,個別の指導計画作成や活用,評価の方法について具体的な提案をした。また,自立活動研究ネットワークや上越自立活動研究会の活動をとおし,地域や全国の特別支援教育担当教員の支援の一端を担えたものと考えている。
 

 
藤 井 和 子(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 受講者が,障害児教育について初心者であることを踏まえ,基礎的な知識・指導技術を伝えることを中心とした。
 障害児の実態を把握してもらうために、ビデオや録音テープを適宜用い、講義だけでは伝わりにくい部分を補った。また必要に応じて、ビデオ分析などを取り入れ、講義内容に対する動機付けを高めるように工夫を行った。
○成績評価法に関する取組状況
 ガイダンスにおいて,成績評価は,出席(50%)とテスト(50%)により評価を行うことを伝えた。
 障害児の指導において必要な知識、技術等についてポイントを明確に示し、事後の復習やレポート作成が行いやすいようにした。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 上越地域の現職教員を主な構成メンバーとする研究会を毎月開催した。そのなかで,現在,現場においてどのような困難が生じているのかを知ることができる。これらの研究会で得る情報を,養成の場である大学の授業に活かすよう努めた。
研究指導
 教育現場における課題が研究のテーマとなるよう、先行研究を調べさせるだけでなく,現場の観察機会を設けることにより,問題意識の掘り下げを行った。修士論文を作成していく中で、教育現場で生じている課題に影響している要因や課題解決の方法等を意識させるようにした。特に、論文の教育的意義については、十分に検討してもらうように指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 地域の幼児ことばの相談室等の療育機関や,養護学校へコンサルテーションを継続的に行っているので,そのような現場を院生に観察してもらうことで,問題意識の掘り下げを行ってもらうことができた。また,上越地域の現職教員が参加している研究会に,院生も参加してもらい,地域の教員との交流を持ってもらう中で,自らの研究の教育的意義について考えてもらう機会とした。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:『摂食指導を担当する養護学校教員の研修』 (単著)上越教育大学研究紀要第25巻第2号605-618.
A平成18年3月:『肢体不自由養護学校における摂食指導に関するコンサルテーション −経管栄養を必要とした児童への指導事例を通して−』 (共著)上越教育大学障害児教育実践センター紀要第12巻(印刷中)
共同研究の実施状況
@上越教育大学研究プロジェクト「特別な教育的ニーズのある子どものための個別の教育支援計画作成の実践研究」(代表者:藤井和子)をとおして,上越地域の養護学校教員と共同研究を行った。昨年度の成果は,刊行物『特別支援教育Q&A』にまとめた。
学会活動への参加状況等
@8月19日:第6回自立活動研究フォーラムの企画・運営に携わった。
◎特色・強調点等
 自立活動研究フォーラムは、全国各地から、約150名の教員の参加を得た。現在、話題となっている個別の指導計画作成とその活用に関して、参加した教員に対し情報交換の場を提供することができた。
 上越教育大学研究プロジェクトを通した現職教員との共同研究の場は,現職教員が,日頃の指導上の悩みを出し合い,仲間で話し合い,解決策を出していくという協働解決の場としての役割を果たした。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@早期療育事業講師(上越市、柏崎市,十日町市)
A新潟県立上越養護学校非常勤講師
B上越教育大学公開講座「特別支援教育における個別の指導計画の作成法と活用法T」担当
◎社会への寄与等
 早期療育の現場では,様々なニーズのある子どもが通室しており,その保護者が適切に育児を行っていくための支援が求められている。また,早期療育の場を利用した子ども達が,学齢を迎えると,特別支援教育の場において教育を受ける場合が多い。したがって,早期療育の場の充実は,特別支援教育の実際に直接関連する。このようなことから,早期療育の場への支援は,特別支援教育充実のために欠かせない。
 早期療育担当者に対し、年間を通して継続的に支援を行ったことで,指導員の指導力の向上に寄与することができたと考える。