【言語系教育講座(国語)】
 

 
有 澤 俊太郎(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学部は実習(小学校実習、中学校実習)の事前指導の授業に当たるため、国語教材の見方、扱い方を中心に教えた。実践場面とのつながりは、小学校が上越市域の実地指導講師に講義を依頼、中学校では附属中学校で国語科の授業を参観し事後に協議会を持った。
 大学院(修士課程)では特論と演習を受け持っている。講義と演習の区別をはっきりさせ、理論的・実践的実力の形成をめざした。講義には必要に応じて講読を入れ、演習では事前の打ち合わせを必須とした。
 大学院(博士課程)では、教育的読者論について全国学会水準を意識して集中講義をした(於・鳴門教育大学)。
研究指導
 学部では基礎的素養の啓発に努めるとともに、実践とのつながりを意識させた。
 大学院(修士課程)は所属院生すべてが現職教員なので、より質の高い実践を展開できるよう指導した。
 大学院(博士課程)では、研究科副研究科長として第1回D1セミナー上越を企画運営して11名の新院生の研究を支援した。言語系では副指導教官として課程博士1、論文博士1の学位論文作成と学位審査に関与した。
その他の教育活動
 ・富山大学人間発達学部非常勤講師
 ・学校図書館司書教諭講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部、大学院とも免許プログラム生が混じり、それぞれの段階で適切な教育内容と方法を決めるのは難しい。この点については今後も気を付けていきたい。
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年4月:『あたらしい国語』(共著)東京書籍
A平成17年4月:書評「レトリック探究法」言語技術教育、明治図書
B平成17年8月:『最新学習用語指導事典』項目執筆、教育出版
@平成17年7月:日本国語教育学会富山県支部にて国語教師の研修のあり方について講演(於・富山電気ビルヂング)
国際研究プロジェクトへの参加状況
@連合大学院の教育実践学構築に関する国際共同研究プロジェクトEに研究科副研究科長として参加した。代表者 岩田一彦(研究科長、兵庫教育大学教授)
学会活動への参加状況等
@平成17年5月21日〜22日、10月29日〜30日:全国大学国語教育学会(於・山梨大、岐阜大)における研究発表司会、常任理事として学会運営に関与した。
A平成17年度:日本読書学会会長として学会、研究大会(8月7日、於・筑波大学学校教育部)の運営に関与した。
B平成17年8月8日〜9日:日本国語教育学会全国大会分科会指定討論者(於・青山学院大学)、またこの学会の理事・新潟県支部長として研究大会(9月17日)の運営に関与した(於・アトリウム長岡)。
C平成18年2月19日:日本国語教育学会富山県支部研究会出席(於・サンフォルテ富山)
D平成17年8月10日:大村はま記念の会出席(於・横浜市開港記念会館)
E平成17年11月12日:富山大学国語教育学会出席(於・富山大学)
在外研究の状況
@平成18年2月27日〜3月8日:連合大学院プロジェクトEの海外調査研究のためドイツ、イギリスへ出張
◎特色・強調点等
 公務出張、学会出張が続き、新しい研究はできなかったが、時間を見つけてこれまでの国語(言語)教育関係の論文を読み直し、大きな文脈に入れる作業、すなわち論文間の空隙を埋めたり、改訂をする作業を始めた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@中央教育審議会専門委員(文部科学省)
A「魅力ある大学院教育」イニシアティブ委員会審査委員(日本学術振興会)
B上越市図書館協議会委員長(上越市)
C小川未明文学館整備検討委員会・同運営委員会委員長(上越市)
D上越市子ども読書推進会議会長(上越市)
E社会教育館・直江津図書館のあり方検討委員会委員(上越市)
F上越国語同好会にて「国語科の諸問題」と題して講演(於・光陽荘、平成18年2月)
◎社会への寄与等
・国、上越市の審議会委員として政策形成に関与した。
 

 
下 西 善三郎(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 参加型の授業運営を心がけ、受講者には、その旨、講義・演習等の初回ガイダンスにおいて周知をはかった。とくに、人に聴かせてわかる話し方、発表態度等、プレゼンテーションの訓練として毎回の授業に臨むことを要求し、将来的な臨床場面(学校における教室現場、また、諸種の会議等人前で発表すること)へのたしかな対応力、基礎力を培う事をめざした。講義科目では、一つのテーマを通時的に眺めわたす工夫をし、最近の研究成果を盛り込んで内容構成を図った。講読・演習の科目では、各人に事前に発表の指針を与え、レジュメの作成の仕方、読んでおくべき文献等について指示し、個人の事前学習における効果や内容の理解を深める工夫を行った。成績評価については、授業出席、積極的な発言、取り組みの態度、試験・レポート等を総合的に判定して評価することを伝え、各回の授業への積極的参加を促した。
研究指導
 学部学生および大学院学生自身の興味・関心に基づく分野から、問題・課題の発見と解決の方法を自主的・主体的に身につけさせることを心がけ、日本古典文学領域における、読んでおくべき基礎文献の探索、先行論文の理解、テクスト本文の読解、課題発見・解決の手続き、発表、等を通じて基礎力の涵養につとめ、臨床的応用場面への対応力を育成できるように日本古典文学の領域から基礎研究の指導をおこなった。学部学生と大学院学生の合同ゼミを開き、発表の仕方、レジュメの作成の仕方を学部学生が学ぶ場とした。発表についての互いの意見交換があり、相互啓発の有効な場となった。大学院生が指導的立場に立つことによって院生自身の研究への自覚をうながすこととなり、学部学生は、院生の発表を通じて、多くのものを学んだ。また、現職院生の活用という観点から模範授業を試みた。とくに、本年度は、佐渡羽茂高校から、内地留学研究として現職教員が加わり、新たな刺激を得た。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年7月:『兼好 人と文学』(単著)勉誠出版
A平成17年12月:『西行 長明 受容と生成』(単著)勉誠出版 
学会活動への参加状況等
@5月:中世文学会(早稲田大学)参加
A6月:説話文学会(早稲田大学)参加
B6月および2月:上越教育大学国語教育学会(上越教育大学)。2月の学会では、研究発表をおこなった。
C3月:北陸古典文学研究会(於金沢兼六荘)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@2月:松代商工会議にて講義。
A4月:高田文化協会伊東汎賞選考委員会。
B5月:伊東汎賞選評を『文藝たかだ』に掲載。
 

 
野 村 眞木夫(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学部では,受講者の言語直観を資料として文法規則を理解する授業を行った。「質問書方式」を導入し,評価もこれによる。他に,談話の録画資料の分析を行わせた。大学院では,現代日本語のテクストにおける機能と関係に着目して検討を行った。演習では,授業実践の録画資料につき一定の方法の適用による理解の可能性を検討した。学部4年次学生は教員採用試験受験・民間企業採用各1名,大学院の指導学生は現職教員1名,その他2名である。教育的な実践と言語理論との両面からの指導を展開している。
研究指導
 学部学生は,自然談話におけるターンテイキングの実態を複数の標識に着目してとりあげ各談話グループの特徴を認定する研究,子守唄の複数の表現類型に着目した構造分析,宮沢賢治の童話における色彩表現の調査分析である。ともに研究の現状を精査したうえで,立論しており,独自性の充分に認められる内容の論文を作成することができた。
 大学院では,総合学習における生徒の談話を資料とし,これがより高次の言語表現や沈黙持続時における自己内対話といかに結びつくかにかかわる実証的な研究を展開し,客観化し範疇化することが困難な沈黙とこれに並行する行為をとりだして修士論文を作成することができた。継続中の,修士論文の研究対象は,自然談話における指示詞をふくむ接続表現の記述分析研究,談話において笑いが生じる条件と笑いの類型化の研究の二つである。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 講義・演習は,学習材開発と分析,プロトコル分析の基礎研究,方法的実践としての機能をはたすように方向付けている。専門領域は日本語学だが,応用言語学である言語教育への展開を指向している。受講生の言語直観と内省的な疑問を学習材やデータとする方法により,参与の度合いを高めている。「質問書方式」に対する学生の評価は好評であり,集中して授業に臨める,理解が深まるなどのメリットが指摘されているが,改善の余地も少なくない。なお,この方式による授業は今年度で終了し,次年度からはピアレビューを中核とした授業を展開する予定である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年5月:『談話における発話の相互関係とまとまり』(単著) 石塚晴通教授退職記念会 [編] 『日本学・敦煌学・漢文訓読の新展開』汲古書院 pp.339-357
A平成18年3月:『日本語の二人称小説における人称空間と表現の特性(2) −コミュニケーションとダイクシスの観点から−』(単著)『国語研究』20 pp.1-19
学会活動への参加状況等
【参加状況等】
@平成17年6月4〜5日:表現学会全国大会(香川大学教育学部,司会担当)その他
【役職等】
@表現学会理事
A表現学会ウェブページ担当運営委員
B北海道大学国語国文学会評議員
C北海道大学国語国文学会編集委員
◎特色・強調点等
・ 今年度の発表論文は,テクスト言語学のうち文体論・談話論の領域における問題提起をはたすものである。@は談話における発話の相互関係を類型化したもの,Aはこれまで焦点化されることの少なかったジャンルをとりあげ,一定の観点から分析したもの。
・ 所属学会の公式ウェブページを作製し,学会活動と学会誌の情報を中心に運営中である。
・ 個人のウェブページでは,研究領域の普及と研究情報の公開を継続して行っている。
 

 
小 埜 裕 二(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 担当全授業において詳細なシラバスを作成し、ほぼシラバスどおりに授業を行った。成績評価については、シラバス及び授業初回時に示した方法に基づき行った。教員養成を目的とする本学学生に、小・中・高等学校の国語を担当する上での十分な能力・技能を身につけてもらうことを心がけ、授業を展開した。また、読書に対する興味・関心を抱き、学校現場で児童・生徒達に豊かな読書生活の習慣を授けることのできる力を学生に身につけてもらうようにも努めた。なお本年度は学部生4名・大学院生1名が卒業・修了し、それぞれの志望先へ進んだ。
研究指導
 学部学生には小・中・高等学校における国語の実践的能力を修得させるため、文学作品の解釈を中心とした共同討議を課外活動として毎週(金曜5限)行った。担当の学生がレジュメを作成し、それに基づき話す・聞くの活動を重視した討議を行った。大学院学生にもこの共同討議に参加してもらい、学部学生への臨床的指導を通じ、より高度な読みの実践力を身につけることを図るとともに、別に時間を設け修士論文の研究テーマに即した個別指導を行った。また学部・大学院学生連携の国文学実地踏査研究を2月に行った。行き先は京都。
その他の教育活動
 新潟大学人文学部非常勤講師(集中講義「国文学特殊研究」9月26日〜30日)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み、教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫した。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。本年はとくに授業及びゼミを通じて、文学研究に関するテクスト理論の実践化応用化に力を注いだ。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年9月:『川端康成「化粧」の表現機構(2)』(単著)上越教育大学研究紀要 第25巻第1号 pp.1-11
A平成18年2月:『真らしいいつはりの自伝―三島由紀夫「ラディゲの死」論―』(単著)イミタチオ 第44号 pp.2-14
B平成18年3月『慈悲と空観−宮沢賢治「雁の童子」論―』(単著)上越教育大学研究紀要 第25巻第2号 pp.1-10
@平成17年10月:☆新潟大学人文学部国語国文学会 招請講演『川端康成「化粧」のテクスト研究』
A平成17年11月:日本近代文学会新潟支部研究発表『宮沢賢治「烏の北斗七星」について』
学会活動への参加状況等
@平成17年10月22日〜23日:日本近代文学会秋季大会参加(東京)
A平成17年11月27日:日本近代文学会関西支部大会参加(奈良)
◎特色・強調点等
 三島由紀夫および宮沢賢治に関する研究を中心に行った。従来、見落とされてきた観点を掘り下げる作業を通じ、それぞれの作家の文学世界に新しい光を当てることが出来た。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年11月24日:三条市成人大学講座講師(タイトル「明治の文学(寺田寅彦)」)
A日本海文学大賞選考委員(北陸中日新聞社)を務めた。
B10月〜12月:本学公開講座講師「女性作家を読む 〜短編小説を楽しむB〜」
C文学に対する興味を広く一般に喚起するためインターネット上にホームページを開設し、小説のあらすじ及び鑑賞のポイントを掲載した。
 

 
 本 條 治(助教授)
 

 
中 里 理 子(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部の講義科目では、日本語の基礎知識の習得と言葉の歴史に対する理解とを目指して授業を組み立てた。適宜指名して意見を聞き、学生自身が主体的に参加できるようにした。また、日本語の常識や文学史の基礎知識などを確認する小テストを実施して、国語の授業を担当する教員にふさわしい知識を身につけられるよう工夫した。学期末には講義を通して得た知識をまとめられるような試験を実施し、授業への参加のしかたと期末試験とを合わせて成績評価した。
 演習科目では、各学生が調査・分析を行った資料を作成し、それを各グループ内で発表し、班別討議により考察と理解が深まるような授業形式にした。発表する力、話し合う力、資料をまとめる力を養うように工夫した。討議を経て考察が深まった内容をレポートとして提出してもらい、授業の参加のしかたとレポートとを合わせて成績評価した。
 大学院の講義科目では、国語科教育に携わる教員に必要と思われる日本語の知識を深めることを目的として、語彙・文法の面を中心にいくつかのトピックを選定して講義した。現職教員の再教育と教職を志す現役院生に対する国語の力を養うことを目標に、授業を組み立てた。適宜意見・感想を聞き、小課題を書いてもらい、院生自身が主体的に考え、授業に参加できるようにした。学期末に選択課題を出してレポートにまとめてもらい、成績評価した。
 大学院の演習科目では、院生が考えながら参加できる形式を工夫し、授業を通して文章表現に対する意識を高める内容を組み立てた。グループ演習を取り入れ、話し合い等の活動を通して、実践的に文章表現力及び鑑賞力が身に付くようにした。
研究指導
 学部学生については、卒業論文のテーマに関する文献を集めて先行研究を把握し、目的に沿った研究方法を選択した上で自分の論を構築し、それをわかりやすく整理して学術的論文にまとめられるよう指導した。論文をまとめる過程で、情報を収集する力、調査したことを文章化し、わかりやすくまとめる力が養えるよう指導した。
 大学院学生については、基礎的な知識の確認から始めて専門的な知識の拡充を図り、そこから得られた知識を研究内容へ応用・発展させて学術的論文にまとめられるよう指導した。論文をまとめる過程で、専門的な情報を収集する方法、それらを整理する力、論文にふさわしい文章にまとめる論理的な思考力、構成力が養えるように指導した。
その他の教育活動
 3年次ゼミ生及び4年次ゼミ生に対して、教育実習期間中の実習指導を行った。4年次ゼミ生に対しては、教員採用試験及び民間の採用試験の面接対策の指導、模擬授業の指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 授業においても研究指導においても、学生・院生の自主的な取り組みを重視し、課題を与えて各人にそれについて考えさせ、自分の言葉で表現できるような指導を心がけている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年12月:『ケーススタディ日本語の表現』(共著):pp.156-167 ケース26「話し言葉と書き言葉」・ケース27「文体(和文・漢文訓読文・翻訳文)」半沢幹一他編 おうふう
@平成17年3月:『教科書教材に見るオノマトペ− 特徴の整理とそれをふまえた読解指導の関連を目指して− 』(単著)上越教育大学研究紀要 第25巻第1号 pp.1-14
A平成18年3月:『オノマトペに見る漢語の影響−和語系オノマトペと漢語系オノマトペの関わり−』(単著)上越教育大学研究紀要 第25巻第2号 pp.341-343
@平成17年6月:『オノマトペに見る漢語の影響−和語系オノマトペと漢語系オノマトペの関わり−』(単)上越教育大学国語教育学会例会
 

 
迎   勝 彦(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】 学部においては基本的に一斉授業の形態をとった。この授業形態の問題点を解消するため、教材の工夫(資料・ワークシートの工夫)を中軸とした指導法の見直しを随時行った。また、授業内容は教育実習を含め、教育実践場面に適用できるものとなるよう配慮した。大学院においては一斉授業だけではなく、適宜討論を交えるなどして、講義及び演習が、受講者相互の情報交換、意見交流の場となるようにも配慮した。評価については、学部、大学院ともに成績評価基準を明示して厳格な成績の評価に努めた。
研究指導
【観点1】 学部の指導においては、国語科教育に関わる臨床的な実践力を習得させるために、主として、1)文学的文章読解における発問研究、2)文学的文章を教材とする指導法の探究、3)話すこと・聞くことに関する指導内容(特に朗読指導)を専門的に扱った。
【観点2】 大学院の指導においては、現職派遣教員のニーズに応えるよう、より高度な教育実践力を修得させることをねらいとした。また、教育実践場面を対象とする「研究法」「分析法」を中軸とした専門的知識の教授を行うとともに、具体的実践的な作業・実習を重視した。
その他の教育活動
 「特別教職講座(国語)」の講義を担当した。国語科の指導内容を「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」に分けて説述するとともに、中学校、高等学校受験希望者に対する指導を行った。また、面接・小論文対策、模擬授業対策についても解説を加えるとともに、希望者に対して個別指導を適宜行った。
 この他、教育実習における学習指導も重視し、上越市立大和小学校では、授業検討会にも参加し実習生への助言・指導に努めた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部学生の指導にあたっては、教育実習対策と教員採用試験対策の二点を重視した。前者については、国語科における教材研究の方法、学習指導のあり方を中軸として基礎的な点から指導、助言を行っている。後者については、国語科の教科内容に関する情報提供を基本としながら、面接・討議討論に関わる指導、小論文執筆に関わる指導、模擬授業対策を適宜行った。これらは、教育実習対策及び受験対策としてのみ機能するものではなく、学生自身が実際に教職に就き、実践的、臨床的に教育活動を行っていく上で重視されるべき点であると考える。学生個々において、その重要度や有効性に異なりを見せるため、今後は個々の学生のニーズにあった情報提供、各種能力の育成を念頭においた指導を行っていくようにしたい。大学院生の指導にあたっては、基本的に「授業研究」「授業分析」の基本的考え方(理念や理論)の教授と臨床場面を想定した具体的実際的な研究の方法的知見分析の方法に関する意見の交流、情報の交換を重視した。これは、大前提として修士論文研究の基盤を与えることをねらいとしたものであるが、(特に)現職派遣教員が、これまでの教育実践を振り返り、今後の実践・研究の在り方を考えていく上での指針を与えることにおいて意義があったと考える。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年8月:『話し合い活動における学習者の実相把握−分析対象の抽出と検討に際しての留意点−』(単著)『月刊国語教育研究』400号 日本国語教育学会
A平成17年9月『話し合い活動時における聴解過程−中学生を対象とした実相把握と学習支援の方途−』(単著)『上越教育大学研究紀要』第25巻第1号 上越教育大学
@平成17年8月『最新 学習指導用語辞典』(共著) 教育出版
学会活動への参加状況等
@平成17年8月7日:日本読書学会第49回研究大会出席
A平成17年9月17日:平成17年度 日本国語教育学会新潟県支部総会・研修会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
 「上越教育大学エネルギー・環境教育学会」において上越地区を中心としたエネルギー・環境教育に関するネットワークづくり、情報収集、実践活動を行った。特に実践活動として、平成18年2月18日に本学講堂において「エネルギー環境フォーラム」を開催した(主催:上越教育大学エネルギー・環境教育学会、共催:エネルギー環境教育情報センターおよびNPO法人エコネット上越)。また、地域の小学校及び中学校との当該教育研究に関する連携を図った。
◎社会への寄与等
 上記フォーラムは、エネルギー環境教育に関する社会の教育・研究に関するニーズに応えたといえる。フォーラムに関するアンケートや寄せられた参加者(市民)からの意見などからこの点が読み取れた。また、エネルギー環境教育に関するネットワークづくりを実現させていくことにより、地域への当該教育についての関心や意識改革を図ることができたと考える。今後の課題としては、このネットワークをさらに広げていくとともに、充実を図ることである。
 

 
渡 部 洋一郎(講 師)
 
<教育活動>
授 業
 大学院修士課程の授業では,1年生対象の「国語科教育演習B」において,教師の即時的な意思決定を把握する方法としての「刺激回想法」に関する講義を行い、実際の刺激回想記録に基づきながら、授業実施過程における教師の意思決定分析を実施した。また、そうした分析は、臨床的な教室場面での実際の授業を考える際にどのような点で意味があるのかも併せて検討し、量的な分析の手法である「領域分析」と組み合わせた新たな分析方法の可能性について受講者を含め考察を行った。「国語科教育特論B」では、大正時代における随意選題論争に関する資料をもとに、特に発想・着想過程に関わる作文指導法の検討を行った。また、現在の作文教育の課題に即して考えたとき、これらの論争はいかなる視点を提供し得るのかについても言及し、経験主義的な作文指導が内包する構造的な問題について考察を深めた。1・2年生対象の「実践場面分析演習」では、主な量的・質的分析にかかわるこれまでの国語科教育の取り組みを概観した上で、修論作成に向けての実質的な分析法の策定を行った。
 学部2年生対象の「中等国語科指導法(課程論)」では、特に、中学校の授業指導に関わって、具体的な国語の説明文教材に基づき実際の授業展開や指導法の工夫を考えた。また、「限定条件」という視点を設定すると新たにどのような指導の可能性が開けるのかについても検討を行った。
研究指導
 学部では、先行研究の調査の方法とその整理・検討の方法を習得させるとともに、卒業論文作成のために必要な資料の考察の仕方について実地に指導を行った。また、大学院では、修士論文の作成にあたり、コミュニケーション過程の量的分析のための指標開発と質問紙の統計的な分析手法についての指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年8月:『国語教室のマッピング』(共著)教育出版
@平成17年5月:『限定をもたらす条件と説明文の論理』(単著)『月刊国語教育』第25巻第2号通巻296号 東京法令出版 40-43
A平成17年5月:『説明的文章教材と思考力―『魚を育てる森』の課題探求的な読みをめぐって―』(単著)『月刊国語教育研究』通巻398号 4-9
B平成17年9月:『自分の考えや意見を持たせる文章指導』(単著)『総合教育技術』第60巻第9号 小学館 31-33
@平成17年8月:「作文指導」『学習指導用語辞典』(単著)教育出版 219
A平成18年3月:『『伝え合う力』の基礎としての聞く力』(単著)『妙高市立新井中央小学校研究集録』妙高市立新井中央小学校 99-100
共同研究の実施状況
@長岡市内の小中学校の教諭27名及び校長・教頭・指導主事と共に、発展的な学習資料集の作成(昨年度継続)
A新潟県教育委員会の研究指定を受けている妙高市立新井中央小学校と3カ年計画の2年目の研究及び実践指導
学会活動への参加状況等
@5月21〜22日:第106回全国大学国語教育学会出席
A8月7日:日本読書学会第49回研究大会出席
B8月8〜9日:日本国語教育学会第68回例会出席
C10月29〜30日:第回107全国大学国語教育学会出席
D早稲田大学国語教育学会役員
E日本読書学会事務局長
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4〜5月:長岡市教育委員会発展的学習資料作成企画委員兼指導者
A4月〜3月:新井市立新井中央小学校研究会講師兼研究協力者
B8月:学校図書館司書教諭講習会講師