【生活・健康系教育講座(保健体育)】
 

 
青 木   眞(教 授)
 
<教育活動>
授 業
○授業形態、学習(研究)指導法などの教育方法に関する取組
 体育科教育関係の学部授業では、授業づくりの基本をおさえた上で学生自ら授業計画を立てて実践する演習形式を継続して実施した。また、大学院では、新しい授業の創造を求めた授業構想を提起し検討し合う問題提起協議型の形式を継続して実施した。また、成績評価に関しては、普段の授業の中での取組を重視して評価するようにした。評価の観点は、「課題への取組」と「それによって起きた自己の脱構築性」である。
○教育の達成状況
 ゼミ所属であった大学院修了生(3名)から、修士論文の内容を実際の授業展開で生かす取組を計画しているという報告を受けている。修士課程における研究が実際の教育活動に連続していると判断している。
研究指導
○大学院:学習に対する解釈的アプローチを課題としている。実際の授業における学習についてその意味解釈を院生と共に検討した。3名の修士論文とも、この研究活動が基になって作成されたものである。
その他の教育活動
@学部3年次対象の教職講座で、体育領域を担当した。
Aゼミ活動の一環として、長野県諏訪市・佐久市および新潟県柏崎市の小学校で授業参観の機会を持った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学習の意味解釈から授業の構成を検討しているところに研究内容上の特色がある。これは、授業の諸条件と学習成果の因果関係を問題にする授業研究に対して、もう一つの研究法を開発しようとするものである。
 
<研究活動>
共同研究の実施状況
@心地よさを大切にする体育学習を求めて 代表者:高橋英雄(船橋市立薬円台南小学校長) 船橋市教育委員会学校体育研究指定校
◎特色・強調点等
 体育における実体論的な学習から関係論的な学びを大切にした授業展開を構想した。特に、体育における「仲間とのかかわりの豊かさ」や「心地よさ」を基調とした授業を提案した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市三郷小学校「体育学習研究会講師」(『体育学習の基本』をテーマに研究指導)7月
A新潟県立教育センター「高等学校体育研修会講師」(『高校体育の課題と運営』を講演)8月
B柏崎市荒浜小学校「体育学習研究会講師」(『新しい体育学習を求めて』をテーマに研究指導)10月
C上越市スポーツ審議会委員「子供の体力向上プロジェクト座長」
D上越市教育委員会「マラソンコース設置検討委員会委員長」(上越市にマラソンコースを設置する問題について教育委員長より諮問を受けた検討委員会
◎社会への寄与等
実際の教育現場における体育授業についての問題点を明確に認識できたこと、また解釈と指導のあり方について有益な示唆を得ることができたと評価された。
 

 
伊 藤 政 展(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 体育心理学, 体育心理学特論の授業では, 内在的フィードバックの機能, 文脈干渉効果等の運動スキルの学習に関する最新の理論と研究成果を取り込み, 体育・スポーツの学習指導上の諸問題について問い直す努力をするとともに, 生態学的知覚論の視点から感覚統合を促す運動遊具や運動遊びについて積極的な討論を行った。また体育心理学実験, 体育測定評価の授業では, データの収集をとおしてそれらの解析方法と解釈の仕方を理解させるとともに, 各自の研究成果の発表をとおして研究会や学会におけるプリゼンテーションの在り方について学ばせた。
研究指導
 卒業論文1件と修士論文3件の指導に当たった。卒業論文では, ボール運動遂行時の聴覚情報の機能について検討を加えた。修士論文では, 両側性転移からみた身体運動と運動イメージの機能的等価性, コミュニケーション・スキルの学習における構成的グループ・エカウンターの効果, バスケットボールのディフェンスにおける選択的注意の問題を追求した。また体育心理学を選択したゼミ生とともに, 身体運動における運動スキルの学習に関する文献を広く収集し, 児童の発育発達のレベルを考慮した体育指導の在り方について情報の整理を行なうとともに, これらの問題について積極的な討議を試みた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:『運動技能の学習に及ぼす結果の知識の相対頻度と自己評価の効果に関する発達的研究』(共著)上越教育大学研究紀要 第25巻第2号 pp.399-408
@平成17年11月:『児童の走動作の学習における接地局面に関する言語教示の効果』(共)日本スプリント学会第16回大会
学会活動への参加状況等
@平成17年度日本体育学会体育心理学専門分科会理事
A9月9日〜11日:日本スポーツ心理学会出席
B3月17日:早稲田大学人間総合研究センターシンポジウム 「スポーツと脳機能」に出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@日本体育協会認定講習会心理部門講師
A日本体育協会スポーツ指導者養成講習会講師(大阪にて『スポ-ツ の心理T』を講義)
 

 
加 藤 泰 樹(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】
 学部の授業では、一貫して学生の主体的取り組みを啓発することを主軸に置きながら、体育・スポ−ツに関 わる学生個々人の興味・関心を基に、問題性の深化に向け、毎時間のミニレポートやグループワーク、そして 発表や意見交換など、授業展開の工夫に努めた。大学院の授業では、現職院生たちが研究活動へスム−ズに移行できるような内容構成を工夫し、自己開示に関わる個別演習並びにグループ演習を適切に組み込んだ。
研究指導
【観点1】学部
 体育・スポーツに関わる時事的な諸問題について、資料収集や分析等のフィールドワークを課し、レポート作成と発表を積み重ね、当該の専門的教養の広がりを得ると共に、研究の発展、展開が適切になされた。
【観点2】大学院
 実際にフィールドに出かけてのスノー、マリン、ゴルフなどの実技演習を通して、身体的な実感を伴う運動認識の獲得と運動感性の覚醒に努めた。
その他の教育活動
@国立病院機構新潟病院附属看護学校非常勤講師として、平成17年4月〜9月まで「体育実技」を担当
A小中学校実習に際して、ゼミ生と共に実習校を訪れ、授業観察とそれに基づく事後検討会など行った。
B福島大学・千葉大学・上越教育大学とのジョイント研究交流会 11月18〜20日 福島大学にて実施。
C卒業生修了生OBのためのフォローアップ活動の一環として、「かかわり研究会」を毎月1回開催した。
Dマリンスポーツ実技研修会 8月5〜7日 佐渡にて実施。
Eスノースポーツ実技研修会 3月9〜11日 栂池、白馬で実施。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 院生との「合同ゼミ」による、知的再生産効果をねらった全体指導と様々なフィールドワークを課題とした身体知の覚醒と獲得に基づく研究活動を行うところに特色がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:『いきいき浜っ子』Vol.2 柏崎市立荒浜小学校 pp.68
A平成18年3月『03あゆみ〜教師の存在論的考察そのV〜』かかわり研究会
学会活動への参加状況等
@8月19〜22日:日本体育・スポ−ツ哲学会第27回大会参加
A平成17年度日本体育・スポ−ツ哲学会理事
B平成17年度新潟体育学会評議員
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@8月24日:出前講座「やさしい運動の指導法」(柏崎市荒浜小学校)講師
 

 
下 村 義 夫(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 現職教員の受講生から学校現場での保健活動の実際を紹介させ,教育における臨床場面の分析を通して,教育実践としての視座や具体的な観点を確認あるいは理解できるよう討論などの学習形態を多く取り入れた。成績評価面では,基本的な事項についての理解度を評定するとともに,各授業の最後に提出させたミニレポートも加味し,多面的に行った。
【観点2】教育の達成状況
 ゼミ所属の学部4年次生(2名)の内1名は非常勤ではあるが教育職員の職に就き,正採用を目指して準備している。もう一人も諸般の事情により対人業務の仕事に就いたが,将来,教員になりたいとの意志をもっているので,卒業後も支援していきたい。
研究指導
【観点1】学部
 授業実践記録など,具体的な事例を用いて指導し,特に,子どもの認識の変容を重視し主題化した。
【観点2】大学院
 小学校の体育科における「保健」領域の学習に関する実態把握などを行い,一層充実させていくための課題を整理し,論文作成につながる研究指導を行った。その成果の一部を関連学会で発表した。
その他の教育活動
@上越教育大学附属小学校における研究実施に係わる指導・助言
A新潟県養護教員研究協議会における研究実施に係わる指導・助言
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年3月:『新・中学保健体育の研究』授業解説編 pp.102-105,授業発展編 pp.144-149 学習研究社
@平成18年3月:『養護教諭におけるバーンアウトと教職生活意識との関連について』(共)日本教育保健学会年報 第13号 pp.3-21
@平成17年10月:『養護教諭の複数配置に関する研究』(共)第52回日本学校保健学会研究発表
A平成18年3月:『小学校における保健の授業研究 −喫煙・飲酒・薬物乱用の授業分析−』(共)第3回日本教育保健学会研究発表
B平成18年3月:☆第3回日本教育保健学会 シンポジウム・コーディネーター
学会活動への参加状況等
@6月11日:平成17年度日本教育保健学会常任理事会
A10月28日〜30日:日本学校保健学会出席
B平成17年度日本学校保健学会評議会
C11月12日:新潟県学校保健学会出席
D新潟県学校保健学会理事会
E3月24日〜26日:日本教育保健学会出席
F平成17年度日本教育保健学会常任理事会,理事会
◎特色・強調点等
 養護教諭におけるバーンアウトと教職生活意識との関連についての調査研究を行ったことは,一般教師との比較などから健康管理の側面だけでなく教職の専門性の深化を考えていく上で貴重なものといえる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@長岡市教育センター養護教諭研修講座講師
A上越市学校教育研究会養護教員研修会講師
B新潟県養護教員研究協議会助言
 

 
榊 原   潔(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部では,学生が将来小学校の教員になることを想定し授業を構成した。授業用ノートを作成し授業の初回に配付することによって,事前の準備学習と事後の復習をしやすいようにした。この授業用ノートには,授業の概要と成績評価の基準を明示し,学生の学習意欲を喚起するようにした。また,学習カードを用い,授業後に学生が自己の学習活動を振り返る機会を設けた。
 体験学習では、春日小学校放課後児童クラブと連携し、児童と共に活動する機会を定期的に設けた。
 大学院では、身近なスポーツ運動をテーマとして,自らが実際に動く中で指導過程を構築する時間及びそれらを受講生間で討議する時間を設けた。
研究指導
学部
 研究テーマの設定,関連資料の収集,資料の整理,論文のまとめ方などを中心に指導を行った。
その他の教育活動
@上越教育大学附属中学校教育研究指導者として,生活健康科の指導・助言を行った。
A教職講座「器械運動」において、採用試験対策のアドバイス及び実技指導を行った。
B韓国教員大学校短期留学プログラムの「スポーツ交流」プログラムを担当した。
C「留学生スキー教室」において実技指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 スポーツ実践(サッカー)では,小学校の体育授業を疑似体験できるように授業を構成した。その上で、サッカーの集団的スポーツとしての特性に焦点を当て、『チームの仲間とのかかわり方を学ぶ』ねらいのもと構成した授業を紹介した。現在の体育授業の課題を理解する上で有効であったと思われる。
 全ての授業は,初等・中等学校の体育授業を想定し,学生が教員になってから役立つ実践的内容で構成するように考えてきた。今後は,学生が教員になることを支援する教員採用試験対策を含めた授業構想が必要であると考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜5月:本学公開講座講師「山屋敷サッカー教室」
A9月:上越教育大学出前講座「運動遊び」 上越市立大和小学校
B12月:上越教育大学出前講座「運動遊び」 柏崎総合高等学校
C12月〜1月:本学公開講座講師「山屋敷フットサル教室」
D3月:第64回国民体育大会上越市準備委員会専門委員
E3月:上越地区D級コーチ養成講習会講師 日本サッカー協会
◎社会への寄与等
・新潟県サッカー協会及び上越サッカー協会と連携して,サッカーの普及,競技力の向上にかかわった。
・出前講座「運動遊び」には、小学生とその保護者を対象としたPTC活動、高校生を対象とした授業の一環など幅広い要望が寄せられた。運動遊びを通して、人との関わり合いがより円滑になることを実感してもらえたと共に心身の健康について考えるきっかけになったものと思われる。
 

 
佐 光 恵 子(助教授)
 
<教育活動>
授 業
学部のみ。(17年度は大学院の担当なし)
○教育方法及び成績評価に関する取組
 学生の興味関心を示す事柄に着目し学習への動機付けを図るとともに、学生の学生課題に沿った課題解決型の授業形態を随時取り入れた。学生の学習成果を個別の報告(発表会)を設定するとともに、レポート提出を課し、学習の深化を図った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教員による一斉授業ではなく、随時グループワークや発表等の授業形態を取り入れ、学生の学習への動機付けや学習の深化を図った。
 今後は、シラバスを充実させるとともに、授業で扱う基礎基本的な内容の精選と構築が必要である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年5月:『中学生における社会的スキルの現状と課題』(共) 学校教育相談研究 第15号 pp.54-65
A平成17年10月:『H16年度 健やか親子inぐんま』ベースライン調査 群馬県の乳幼児不慮の事故実態調査報告書 (共) 全49p 群馬県
B平成18年3月:『訪問看護職が提供している在宅看護技術の実施頻度と難易度に関する研究』(共) 上武大学看護学部紀要(1) pp.19-33
@平成17年6月:『在宅看護・介護技術研修会の成果についてのフォローアップ調査』(単)日本地域看護学会発表
A平成17年6月:『在宅看護論演習における教育方法の一考察』(共)日本地域看護学会発表
B平成17年6月:『介護保健制度下におけるケアマネジメント実践と評価に関する研究 第3報』(単)日本ケアマネジメント学会
C平成17年9月:『乳幼児の不慮の事故実態と家庭における予防』(共)日本公衆衛生学会発表
共同研究の実施状況
@『市町村における介護保険事業適正評価システムの開発』に関する研究 代表者佐藤由美(群馬大学) 科学研究費補助金(C)
学会活動への参加状況等
@平成17年5月28日:学校教育相談学会参加(群馬)
A平成17年6月11日:日本地域看護学会参加(愛知)
B平成17年6月16〜17日:日本マネジメント学会参加(東京)
C平成17年10月8〜9日:日本養護教諭教育学会参加(埼玉)
D平成17年10月28〜29日:日本学校保健学会(仙台)
E平成18年3月3〜4日:日本在宅ケア学会参加(新潟)
F新潟県学校保健学会役員理事
◎特色・強調点等
 群馬大学との科研共同研究は、16.17年度にわたる研究である。
 今後は教育学関連学会誌への投稿を意欲的におこないたい。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@石川県かほく市健康計画算定委員
A新潟県養護教諭研修会講師(大学からの情報提供)
B群馬県学校保健会研修会講師(指導助言)
C石川県小学校講演会講師(学童期の生活習慣病の予防)
◎社会への寄与等
新潟県、上越市の現職養護教諭会との情報交換を行い、大学との連携を図った。
 

 
清 水 富 弘(助教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態,学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 学部授業では「スポーツ実践」の水泳を担当している。受講生の技術・能力レベルが授業開始時点で大きく異なっており、それが学生相互にも認知しやすい特徴がある。そこで各レベルの学生個々の動気づけを高めるため、泳げない者を泳げるように保証する「水泳教材データベース」を作成し、水泳能力の評価、分析および指導教材を提供し、学生の水泳に関する問題解決を支援した。また、授業では能力レベル別のグループを作り、各グループごとに達成可能な課題を提案している。また夏休みに補講を実施し、泳ぐ技術習得に時間のかかる受講生に対し、個別指導を行うことで受講生とのコミュニケーションを深め、自己の課題に挑戦し、その結果を出すことを重視している。
 その他集中授業の「マリンスポーツ」「野外運動B(カヌー)」では、シラバス、全体ガイダンス、受講者ガイダンス、学内実習、本実習というステップを経ることで本実習までに野外教育に必要な情報、方法を段階的に伝えることを重視している。
 大学院でも上記と同様の「到達度評価」を実施しているが、特に指導理論と自己の能力との融合を重点的にとらえさせている。また、自己の課題も学部より多岐にわたるよう工夫している。
○成績評価に関する取組状況
 「到達(達成)度評価」を実施している。これは、授業開始時に学生の能力レベルが大きくことなるため、技術・能力レベルおよび知識レベルにおける観点について開始時から終了時までにいかなる変化が生じたかを評価の大きな観点とし、その客観的変化を毎回の授業ごとに、受講生に公開した。また、受講生の行う授業評価については、大学側アンケートの他、独自で作成した授業評価チェックリストを授業最終回に無記名式で実施した。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 小中学校の教師に必要な体育実技・指導能力のひとつに水泳がある。また小中学校の教員採用試験にもほとんど水泳が課せられる。このため、学部授業「スポーツ実践」の中の「水泳」を担当しているが、前期授業において水泳初心者には100m(クロールおよび平泳ぎ)泳げることを達成基準としている。最初の授業の段階でこの基準を既に達成している者には、200m(クロールおよび平泳ぎ)泳げることを達成基準としている。また5分間泳のパフォーマンス向上を最終課題においている。本学の学生は、当授業終了時までに水泳の能力を必ず身に付けることになる。また、その過程における支援的教授により、水泳能力が未熟な学生にとっては不可能と思える課題を系統的に挑戦することで、段階的に克服する体験を味わい、さらに成果を上げることを重視している。さらに学生が自主的に水泳技術を習得するために、具体的にどのような課題に取り組めばいいかを明確にするために水泳教材データベースを作成した。また、夏期休業期間には基準の未達成者に対し4〜5日の補講を実施している。
研究指導
【観点1】学部
 研究指導を開始する時点で、1年間の最終目標を明確にし、その目標の達成のために、毎月の活動がどのような意味をもつのかを学生自身が自己評価することを重視することで、学生の研究に対する動気づけを高める指導を行った。
【観点2】大学院
 研究課題となる内容について、院生自身が実験・調査のために必要な環境を具体的に明確にし、その交渉自体を院生の手によって行わせる。研究目的の明確化(GOAL)→現状の把握・問題の認識(Reality)→選択肢の創造(Option)→具体的スケジュール(Will)という「問題解決をめざすGROWモデル」を院生自身が推進するための、コーチング(教官は直接指示することなく、質問・傾聴・提案・要求・承認により院生に気づかせる手法)を主体にコミュニケーションをとることを重視した。このようなゼミを前期は週に1回、後期は週に2回実施した。また、学校教育現場との教員と関わりからの学びの必要性から修了生を中心とした現場教師との共同ゼミを積極的に開催した(年間2回)。
その他の教育活動
 他大学の非常勤講師は、新潟県立看護大学にて『健康スポーツ学』(講義及び実技)を、前期及び後期担当した。
 教職講座では、水泳を担当し、受験する都道府県の出題傾向に応じた実技(特に水泳)指導を行った。個別の指導により、短期間で技術(泳法技能、スタート、ターン)の改善に成功した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 上記(授業、研究指導、その他の教育活動)を通じて、学生とのコミュニケーション及び教授過程において、「コーチング」手法を導入した。コーチングとは、教官は直接指示・指導することはなく、質問を多用し、状況に応じ提案や要求を提示することに徹し、学生・院生自身に気づかせ「自問自答」する習慣をつくることを目的とした支援型コミュニケーション法である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年12月:『水泳コーチ教本』(共著)大修館書店
@平成17年5月:『中高年を対象とした水中運動指導』(シンポジウムパネリスト) 第70回日本温泉気候物理医学会総会
A平成17年5月:『水中運動に期待できる効果』(シンポジウムパネリスト)第17回日本体力医学会北陸地方会大会
B平成17年9月:『水中運動教室において水中歩行が下肢筋力向上に有効か』(共) 第60回日本体力医学会大会
共同研究の実施状況
@経済産業省委託事業「地域資源活用型健康サービス人材育成事業」委員 代表者:里敏行((社)民間活力開発機構理事長)
A社団法人民間活力開発機構「温泉療養ネットワーク事業推進委員会」委員 代表者:里敏行((社)民間活力開発機構理事長)
B小学校体育「水泳」の教材開発に関するプロジェクト研究 代表者:清水富弘(上越教育大学助教授)・岩澤勝(上越教育大学附属小学校教諭)
 上記@は、平成17年度経済産業省「地域資源活用型健康サービス人材育成事業」の採択を(社)民間活力開発機構が受け、そこから委嘱された私共委員により「温泉療養に関わるコーディネーター」を育成するため温泉療養学に関するカリキュラムおよびテキストの作成を行った。またその実証的実験として上越教育大学および赤倉温泉で講義・実技の講習会を試行的に開催し、その成果発表会を上越教育大学にて開催した。
 上記Aは、ワーキンググループの研究員として大学、民間研究所および民間企業の研究者とともに予防医学・健康科学としての温泉入浴、運動、栄養の処方的実証調査・研究を実施した。
 上記Bは、大学教員、大学院生、小学校教諭からなる研究会による小学校体育「水泳」の教材開発に関する研究を定期的に開催し、研究会の代表として研究成果をまとめた。また、上越教育大学附属小学校の研究授業にてその成果の一部を公開した。
学会活動への参加状況等
@平成17年5月27日:日本温泉気候物理医学会のシンポジウムに演者として参加
A平成17年5月29日:日本体力医学会北陸大会のシンポジウムに演者として参加
B平成17年9月23日:第60回日本体力医学会大会に共同研究者として出席・発表
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@文部省認定・日本体育協会公認A級スポーツ指導者養成講習会講師(日本体育協会)
A(財)日本水泳連盟競技力向上コーチ委員会委員(日本水泳連盟)
B平成17年度経済産業省「地域資源活用型健康サービス人材育成事業」のうち「温泉療養コーディネーター育成」委員会メンバー(経済産業省)
C社団法人民間活力開発機構「温泉療養事業推進委員会」委員
 

 
直 原   幹(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部ブリッジ科目や大学院の教科専門における実技を伴う授業では、授業形態は、運動技能の上達過程における身体の内的変容に対する問いかけを重視した示範型の一斉授業の形式で実施した。また、指導方法では、運動技能の上達に伴う身体的実感の意識・言語化を学習目標とし、受講者の運動指導の指導実践能力と結びつくよう配慮して授業内容を工夫した。特に、大学院については学校現場における対人的な危機回避能力を啓蒙する視点から、武道学、運動学および運動生理学を基盤とした専門的な知識と技能の拡充および得られた知識の指導実践への応用可能性について指導した。
研究指導
 学部学生、大学院生の研究志向に応じて、教科「体育」における教育現場の今日的課題を教科教育学的、体力学的、運動学的視点から幅広く取り扱っている。今年度は、運動学の領域(ソフトボール、野球、バスケットボール、走運動、バレーボール、体操、剣道)に関わる卒業研究(4年生4名、3年生4名)および修士論文(1年生3名)の研究指導を担当した。各研究テーマ上の専門的な知識の拡充および教育現場における臨床的課題に関わる学術的な論文が纏められるよう指導したが、全員が教職希望者であることから、教育現場での指導実践に関わる方法論やマルチメディア機器の活用可能性を重視して指導した。また、ゼミ所属の4年次生4名の内、2名は教員採用試験(東京都小学校、長野県中学校)に合格し、1名が1次試験(鹿児島県中学校)に合格した。他1名は本学大学院に進学した。
その他の教育活動
@課外活動(剣道部)顧問として、年間を通じた稽古指導(年間200日)および合宿・大会の引率(年間6回)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 運動学の研究内容、授業内容等において教科臨床的視点に立った専門内容の再構成化を試みている。特に、@日本の型文化からみた現代の子どもの体の拘束性、A武道教育からみた「いじめ」と「フザケ」、B東洋的体育の再構成化と身体開発、C学校現場における対人的な危機回避能力の育成等、東洋的な身体運動文化の学校教育における今日的意義を検討している点に特色がある。また、本研究・授業指導とは直接の関連はないが、今後の課題として、教員免許プログラムを利用する大学院生の授業履修と研究指導のバランスを工夫する必要を感じた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年10月:『マルチメディア教材を用いた運動観察により形成される運動表象と画像の呈示方法に関する基礎的検討』(共著)新潟体育学研究、第23巻 pp.3-11
@平成17年8月:『第40回全日本少年剣道錬成大会(小学生団体戦・中学生団体戦・中学生男子個人の部)』(新潟県代表高田修道館監督)日本武道館(全日本剣道連盟)
A平成17年7月:『全日本学生剣道東西対抗大会』(東軍助監督, 東日本地区選出)日本武道館(全日本学生剣道連盟)
B平成17年11月:『第4回全日本学生剣道オープン大会』(上越教育大学監督)宮城県立塩竃体育館(全日本学生剣道連盟)
@平成18年1月:『体から発揮される活発な運動・スポーツ活動への意志』(単著)教職課程 第32巻4号 pp.12-15 協同出版
@平成17年9月:『ボール打ち動作による剣道の技術評価表の作成』(共)第38回日本武道学会発表
A平成17年9月:『ボール打ち動作による剣道技術評価表の有効性』(共)第38回日本武道学会発表
学会活動への参加状況等
@平成17年9月:日本武道学会出席
A平成17年度日本運動生理学会評議員
B平成17年度新潟県体育学会理事
国内外の学術賞の受賞状況
@平成17年9月:優秀論文賞受賞(日本武道学会)『中学生剣道における礼法指導後の心理的特徴の変化と競技面への適応可能性, 武道学研究, 37(1), 21-30, 2004.』
◎特色・強調点等
 公表した論@の内容は、運動技能学習における視覚媒体を用いた動作モデルの対呈示の有効性を表象化される運動要素の面から実践的に検討した点に特色がある。この報告は、平成14・15・16年度科学研究費補助金(基盤研究C−2:教科「体育」における運動技能学習とマルチメディア活用の有効性に関する実践的研究)の交付による研究成果の一部である。これらの成果を受け、今年度は残された課題を学部卒業研究の内容で取り扱うことができた。その他、今年度は、運動指導における言語教示と動作変容パターンについての基礎的準備および実験の一部を実施した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年5〜7月:上越教育大学公開講座(少年剣道教室)講師
A平成17年7月:新潟県夏季剣道講習会(新潟県剣道連盟)指導講師
B平成17年7月:全国教育系大学学部学生剣道セミナー講師(指導法、審判法)
C平成17年8月:上越教育大学・信州大学間の連絡協議会(地域貢献部会)平成17年度個別事業(少年剣道交流フレンドシップ)実施
D年間:上越地区小・中・高校生剣道強化練成会指導(年間24回)
E年間:上越市内在住の幼児・児童の剣道指導(スポーツ少年団、週2回/年間)
F年間:県内の各種剣道大会に審判員として協力参加
G年間:高齢者を対象とした早朝剣道稽古会主催(週1回/年間)
H平成17年12月:イタリア剣道連盟主催冬期講習会講師および昇段審査(Kangeiko Di Kendo 2005, Palazzo dello Sport di Verona,Italia)
I平成17年6〜7月:平成17年度新潟県生涯スポーツ指導者講習会講師
Jその他:全日本学生剣道連盟理事、全日本学生剣道連盟事業委員会委員、北信越学生剣道連盟理事、全上越剣道連盟常任理事、上越市剣道連盟常任理事、高田修道館館長、NPO法人上越市体育協会理事
◎社会への寄与等
上越地域の児童の健全育成に寄与するため、上記のような剣道を通じたフレンドシップ的な活動および新潟国体に向けた技術強化事業としての錬成稽古会を、本学学生と共に年間150日以上実施した。草の根的なボランティア活動であるため、表彰や新聞報道とは無縁であるが、多くの児童および保護者からその継続が依頼されている。
 

 
土 田 了 輔(助教授)
 
<教育活動>
授 業
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 学部教育では、近年、球技に関するゲームの発展様相についての実感が乏しい学生が多いことを危惧している。そこで、本年度も引き続き自分達の手によるゲーム状況の操作を中心とした授業を実施している。
 大学院教育では、児童生徒が学習に取組やすい「環境作り」としてのグルーピングから、防御線の突破に焦点をあてた指導法を重視した。
○成績評価法に関する取組状況
 学部教育では、実技授業が技能中心の評価に陥らないよう、スポーツ教材を通じての関わりを重視し、仲間との交流の深まり、授業に対する取り組みの姿勢を評価できるような項目を工夫した。講義においては、授業中に示した基本的なタームについて、学生自身の理解度を見るためにレポート形式での表現を重視した。
 大学院教育では従来はレポートを重視した評価をしてきたが、文章表現能力の高い現職教員がもともと多い演習においては、レポートだけでは差異化が困難なことから、授業中のディスカッションを重視した。
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路状況から判断した取組状況
 学部の実技授業においては教育現場での指導力を念頭において、常に「子ども」への配慮等を強調した.特に大人の目線からではなく、児童生徒の目線から見た体育授業の空間を再現、説明しながら、将来教職に就くであろう学生を支援した。
 大学院の授業においては現職とストレートマスターが混在し、非常に指導しにくい状況であった。そこで今年度は現場経験のない院生にも技能格差が多いメンバーによるゲームを体験させ、教職に就いた時の様子を再現した。
研究指導
 学部教育のセミナー等研究指導においては課題の発見プロセスを重視し、本人が選択したテーマを尊重しながら論文作成までを支援した。
 大学院のセミナーにおいては、現職経験のない者2名の指導であったため、課題の発見から論文作成までの道筋を細かくチェックしながら実施した。当然のことながら定時のセミナーでは時間が足りず、長期休暇中も含めてなるべく個別に対応した。
その他の教育活動
@新潟工科大学にて体育実技の非常勤を行った。
A教職講座において,短期間で必要最低限の技能修得ができるよう,ドリブルシュートやパスの実践力を育成した。
B課外活動において,専門であるバスケットボールの指導に従事し,北信越地区の男子選抜チームアシスタントコーチとして全国大会に出場した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 月2〜3回,上越市バスケットボール協会主催のジュニアバスケットボール教室に出向き研修を行い,児童の指導に従事した。また、外部講師として上越市立八千穂小学校に出向き、4、5、6年生の体育(バスケットボール)を指導した。また専門であるバスケットボールに関しては,審判活動を通じて近隣の小、中、高、一般の多くの方々と交流した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
競技指導
@平成17年7月1日〜3日:第9回日本男子学生選抜バスケットボール大会北信越学生選抜チームアシスタントコーチ(第3位)
学会活動への参加状況等
@平成17年10月22日(土):新潟県体育学会平成17年度大会出席
◎特色・強調点等
 現在、小学校の休憩時間における児童の集団的遊戯活動の役割構造に関して調査を進行中である。体育、スポーツの専門分野では、競技スポーツの研究が中心となるが、児童が遊びの中で変化させる遊技活動に焦点をあてた研究は少ない。今回はベースボール型ゲームという、比較的役割が固定化される活動を対象に調査をすすめている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@北信越学生バスケットボール連盟副理事長
A北信越男子学生バスケットボール選抜チームアシスタントコーチ
B甲信越学生バスケットボール定期戦大会理事
C新潟県学生バスケットボール連盟理事長
D新潟県バスケットボール協会公認審判員
E上越市バスケットボール協会理事
F上越市ジュニアバスケットボール教室指導補助
◎社会への寄与等
・新潟県学生バスケットボール連盟理事長として,県内の大会企画運営で新潟県の学生バスケットボールの普及に積極的にかかわった。また地域の小学生対象ジュニアバスケットボール教室の指導補助に出向き、地域の指導者との交流や指導法の情報交換をした。加えて県の公認審判員として近隣の大会に出向いた。
 

 
大 橋 奈希左(講 師)
 
<教育活動>
授 業
 学部・大学院ともに、授業の方針、目標をシラバスに明記し、最初の授業で評価の方法を示した。学部の授業では、将来学生が指導者になったときの実践力、特に課題設定とその解決のための指導・支援に焦点を当て、授業を展開した。大学院の授業では、新学習指導要領で新たに加わった内容と従来からの内容とのつながりを意図した授業実践を試みた。成績評価にあたっては、実技とレポートを中心に評価した。
研究指導
 学部生には、実践的課題を明確化し、運動学的視点から解決に向けての方策を探求するよう支援した。特に、課題の設定等を中心に、議論するとともに、運動観察の視点の明確化を目指した。また、教育実習の反省については、合同ゼミ形式で、研究交流を図った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年6月:新潟県高校ダンスフェスティバル 創作コンクール部門審査委員長
A平成17年9月:アーティスティック ムーブメント イン トヤマ 指導作品発表
B平成17年12月:全国創作舞踊研究発表会(東京) 指導作品発表
共同研究の実施状況
@公立小学校の英語科導入に関する包括的開発研究 代表者:齋藤九一(本学)科学研究費補助金
A地域における高齢者指導システムの開発−仲間との交流を目指す運動プログラムの展開− 代表者:大橋奈希左 科学研究費補助金
学会活動への参加状況等
@平成17年8月:日本体育・スポーツ哲学会出席
A平成17年11月:日本女子体育連盟全国大会出席
◎特色・強調点等
 科学研究費補助金(若手B)の成果の一部を上越市の体操として、JCVで公開することとなった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県健康運動実践指導者認定試験委員
A新潟県女子体育連盟常任理事
B新潟県女子体育連盟秋期研修会事務局
C新潟県 健康運動実践指導者養成講習会講師
D下越地区 高体連ダンス指導者講習会講師
E上越市 運動普及推進員育成研修会 講師
F上越市 市民のための講座「適度な運動で得られるもの」 講師
G上越市 ずっとずっと元気体操作成・指導
H公開講座「中・高齢者のためのやさしい運動教室」
I出前講座 柏崎市荒浜小学校
J出前講座 国府町内会 健康指導 講師
K小千谷市立東山小学校への学習支援(振付)
◎社会への寄与等
科学研究費補助金を受けて取り組んできた「高齢者の指導システム」の開発の成果を公開講座で紹介・展開することができた。また、その一部は今年度上越市の体操として採用された。さらに指導法と評価法も含めて研究の進展と社会への貢献が期待できる。