【生活・健康系教育講座(家庭)】
 

 
大 瀧 ミドリ(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
○授業形態,学習(研究)指導法等の教育方法に関する取り組み状況
 子どもの生活を身近に感じられるよう配慮した授業形態は、学生から肯定的評価を得ており、今後もこの形態を継続したい。
○成績評価法に関する取り組み状況
 受講者に対して成績評価方法だけでなく、評価基準を明示した。
【観点2】教育の達成状況(進学や就職などの卒業・修了後の進路の状況から判断した取り組み状況)
 ゼミに所属していた学部4年生の学生は、先輩ゼミ生のアドバイスを受け就職活動(企業)を比較的早期に開始した。しかし、なかなかチャンスに恵まれず、卒業後も引き続き就職活動を続けることになった。大学として教職以外を希望する学生に対する就職情報などの提供をさらに充実させる必要性を痛感した。
研究指導
【観点1】学部:学部3年次は、文献読みに時間を掛け、4年次にデータ分析を行うという研究指導の方法が定着し、学部生は卒業研究について具体的作業イメージを持ち、主体的な研究姿勢が顕著に認められるようになった。
その他の教育活動
平成17年8月:宇都宮大学非常勤講師(「児童学特論演習」)
②平成17年10月:附属幼稚園の公開保育研究会を主催
 附属幼稚園教諭3名の研究申請(上越教育大学研究プロジェクト1件「若手研究:小林秀智」・科研2件「須藤里美及び宮崎容子」)の指導をおこなった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
平成18年3月:子どもが生活文化の意味体系を構築する過程に関する実証的研究 平成17年度科学研究費補助金研究成果報告書
学会活動への参加状況等
国際幼児教育学会理事
②日本家政学会評議員
◎特色・強調点等
 保育園に在園する1歳児を対象に3年間継続研究を行うことにより、子どもが自己の外に存在する生活文化を自己の内に取り込む過程及びそれらを他児と共有化して行く過程を解明することを目的としている。本年度はその2年度目に相当する。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
家事調停委員(最高裁判所)
②新潟家庭裁判所参与員(新潟家庭裁判所)
③平成17年度科学研究費委員会専門委員(独立行政法人日本学術振興会)
④ユニバーサルデザイン検討委員会委員長(上越市)
⑤上越青少年問題協議会委員(上越市)
◎社会への寄与等
家事調停委員及び参与員として、特に子どもの最善の利益が考慮されるように調停等に関わった。
・上越青少年問題協議会委員として地域の青少年の健全育成等に関わった。
・上越市のユニバーサルデザイン検討委員会委員長として提言書をまとめた。
 

 
佐 藤 悦 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学部の被服学関連の授業では,講義・実験・実習の内容を関連づけて構成し,消費科学的な視野が養えるよう努めた。実習授業は、本年度から学部生と共に免P院生の履修があり、多様な学生に対応するため製作実習の基礎となる教材を取り上げた。
 大学院の授業では、家庭科の授業内容(小・中・高)取り上げ、専門的な視野からの解説や問題点などの意見交換を行った。
研究指導
 衣服の着脱動作ならびに被服商品の消費性能に関する研究として,生活に密着した事象から課題を見い出し,研究テーマに発展できるよう指導上において心がけている。本年度は学部生は,片手でボタンかけはずし操作を行った際の手指の動作特性を捉え,「男子学生における片手でのボタンかけはずし動作の特性」として成果をまとめた。消費性能としては、繰り返し着用によって品質が低下する既製品の外観・形態安定性を取り上げ、商品実物や文献調査などからテーマ設定を行えるよう指導した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 研究室の活動として、衣に関連する地域産業や文化の理解を深めることを目的として,施設見学や手作りの機会を設けている。本年度は,手縫いの応用技法としてニードル・ワークを行った。こうした活動が将来教員として授業展開に役立てられることを目差しているが、時間的な制限もあり,ゼミ単位での活動スケジュール調整が今後の課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①平成17年5月:「衣服の打ち合わせがボタンかけはずし操作に及ぼす影響―片手でのかけはずし操作―」 日本家政学会第57回大会研究発表
②平成17年8月:「A Study of Selection of Outfits Under the Formal or Private Situations In case of T-Shirts」 2005 Seoul International Clothing & Textiles Conference,Poster Session
学会活動への参加状況等
①平成17年5月28日~29日:日本家政学会第57回大会発表,出席
②平成17年8月18日~21日:2005ソウル国際被服学会議に出席,発表
③平成17年10月30日:日本家政学会被服構成学部会,総会・研究例会出席
④平成18年3月29日:被服心理学春季セミナー出席(日本家政学会被服心理学部会)
⑤日本家政学会被服心理学部会地区委員
⑥日本繊維製品消費科学会北陸支部幹事
 

 
滝 山 桂 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学生が主体的に自分の生活価値を実現するために、必要な生活情報を収集・選択・発信する能力を培うことを目的として、ブリッジ科目Ⅰ「家庭」において、「イチオシ生活情報の紹介」を取り上げた。パワーポイントにまとめ、発信することを通して、学生の生活関心の相互理解につなげることを志向した。
研究指導
 本学の特徴でもある現職の大学院生2名の研究指導を行った。時宜を得た、「個人情報」および「居場所」というテーマを取り上げた。問題解決場面を取り入れた調査研究を行い、現場に戻ったとき教育実践の中で生かせること、本人がその後も発展的・継続的に追求していかれるように配慮した。
その他の教育活動
①11月に教職講座小学校全科家庭を担当した。
②5月に附属小学校公開研究会の指導助言者をつとめた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 研究指導では、学生の課題意識を大切にし学生と教員が相談しながら研究をすすめた。研究を通して、院生の問題解決能力が加速度的に高まっていくことがうかがえた。現職教員は日頃の教育活動の中で、様々な問題意識をもっており、再教育により著しい伸びを示すことが多い。よって、再教育の必要性と意義を再確認した年であった。また、研究の成果が他の人とも共有出来、理解可能とするために視覚化する方法を導入した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
平成17年4月:『生活主体を育む未来を拓く家庭科』(共著)ドメス出版 pp.80-94 全269p.
平成17年9月:『学生宿舎における近隣騒音の実状』(共著)上越教育大学研究紀要 第25巻第1号 pp.157-69
②平成17年10月:『衣生活システムの概念を導入した中学生の衣生活の実態分析(第1報)学習関心と行動の契機』(共著)日本家庭科教育学会誌 第48巻第3号 pp.206-215
③平成17年10月:『衣生活システムの概念を導入した中学生の衣生活の実態分析(第2報)自己情報の保有状況および属性別比較』(共著)日本家庭科教育学会誌 第48巻第3号 pp.216-225
①平成17年4月:『みんなでおいしいオリジナル給食を食べよう-オリジナル給食づくり・中学校選択家庭科の実践から-』(共著)家庭科をめぐる教育課題とジェンダー-日本家庭科教育学会北陸地区会20周年記念誌-pp.130-140
共同研究の実施状況
①附属小学校教員とのアクションリサーチ「先人の知恵から学ぶ豊かなエコライフ」を平成18年2月から実施
学会活動への参加状況等
日本家庭科教育学会評議員 北陸地区会会長
日本家庭科教育学会編集査読委員
◎特色・強調点等
 生活問題の解決には生活をシステムとして捉えていく必要がある。関連して、生活システムの概念を導入した研究成果を発表した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
①平成17年度日本教育大学協会全国家庭科部門常任運営委員
②エネルギー環境教育フォーラムにパネリストとして参加
③新潟県不当取引行為調査会議構成員
◎社会への寄与等
・本学から地域に向かってエネルギー環境教育に役立つ情報を発信したことは、上越タイムズの記事、アンケートから、市民を中心とした参会者に寄与できたと考えられる。
 

 
立屋敷 かおる(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学校全体で行う食の教育を協同的に担う教員を養成する立場から、学部2年次選択必修である総合演習に「学校と食の教育」を開設し、今年度より教員養成実地指導講師2名と共に担当した。同総合演習の目標の一つである人間と食との関係を総合的に理解することに資するため、摂食障害について専門の増井晃教授に講義を依頼し、上越地区の養護教員に当該授業を公開した。大学院特論では、引き続き自身の研究を軸にして食を総合的に取り上げ、教養的な内容に専門的な内容を加えて講義した。大学院特別実験では小・中学校の授業を視野に入れた内容を加えて実施した。
研究指導
 今年度も引き続き学生、院生が研究を通して、ものの見方や考え方、洞察力などを錬磨すると共に各自の研究成果が論文として纏まることを目標として指導した。さらに、学部、大学院ともに、各自の研究課題と学校教育や教科との関連について明確にし、常に認識するよう指導した。また、研究課題と併行して、学校教育における食の教育や栄養教諭の制度化、食育基本法などについて共通のセミナー課題として取り上げ、様々な観点より検討・考察するよう指導した。
その他の教育活動
①非常勤講師 1)早稲田大学人間科学部非常勤講師「食生活論」(30時間)
2)早稲田大学人間科学研究科修士論文審査委員
②教育実習における学生指導 保倉小学校教育実習研究授業参観・指導
③附属研究会等における研究会 附属園平成17年度「保育について語る会」講演「子どもと食」
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 食育基本法を理解しその目標達成に自らが実践するとともに、学校教育における食の教育を協同的に担うことができる教員の養成を目指している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①『包丁による調理操作のパフォーマンスと調節能に対する利き手と非利き手の比較とその解析』(共)日本調理科学会誌、39(1)、pp.31-35(2006)
②『箸およびスプーン使用時の利き手と非利き手の比較と箸のトレーニング効果』(共)日本調理科学会誌、38(4)、pp.350-354(2005)
③『小中学生における箸の持ち方と鉛筆の持ち方との関連』(共)日本調理科学会誌、38(4)、pp.355-361(2005)
④『箸使用時の利き手と非利き手のパフォーマンスに対する視覚の関与』(共)日本調理科学会誌、38(3)、pp.236-242(2005)
⑤『飲酒と健康』(共)体力科学、54(3)、pp.279-286(2005)
①Effects of hypokinesia/hypodynamia and β2 agonist on white blood cell levels in rats.(共)Japanese Journal of Physiology, 55 (Supplement) S110(2005)第82回日本生理学会大会
②In vivo effects of iron-deficiency on white blood cell and white adipose tissues mass levels in rats.(共)Japanese Journal of Physiology, 55(Supplement) S111(2005)第82回日本生理学会大会
③Effects of fasting on the activities of liver alcohol dehydrogenase and aldehyde dehydrogenase in three life-stage rats.(共)Japanese Journal of Physiology, 55(Supplement) S220(2005)第82回日本生理学会大会
④Changes of plasma β-hydroxybutyrate and acetoacetate levels during fasting in three life-stage rats.(共)Japanese Journal of Physiology, 55(Supplement) S220(2005)第82回日本生理学会大会
⑤Effects of skeletal muscle hypertrophy and atrophy on muscle DNA, RNA and protein levels.(共)Japanese Journal of Physiology, 55(Supplement) S225(2005)第82回日本生理学会大会
⑥Muscle atrophy-induced changes of cathepsin and dipeptide levels in rats.(共)Japanese Journal of Physiology, 55(Supplement) S225(2005)第82回日本生理学会大会
⑦絶食によるラットの血漿ケトン体、β-hydroxybutyrateおよびアセト酢酸レベルと脂肪分解反応-ライフステージ毎の比較-(共)体力科学、54、527(2005)(共)第60回日本体力医学会大会
⑧鉄欠乏によるラット総白血球、顆粒球、単球およびリンパ球レベルの変動(共)体力科学、54、534(2005)(共)第60回日本体力医学会大会
⑨絶食によるラット肝臓内alcohol dehydrogenaseおよびaldehyde dehaydrogenaseの活性の変化-ライフステージ毎の比較・解析-(共)体力科学、54、535(2005)(共)第60回日本体力医学会大会
⑩Hypokinesia/Hypodynamiaおよびβ2-agonist投与によるラット白血球レベルの変動(共)体力科学、54、535(2005)(共)第60回日本体力医学会大会
⑪亜鉛欠乏によるラット白血球系細胞数の変動(共)体力科学、54、536(2005)(共)第60回日本体力医学会大会
⑫亜鉛欠乏によるラット赤血球の数とその容積およびヘモグロビン濃度の変動とその解析(共)体力科学、54、537(2005)(共)第60回日本体力医学会大会
共同研究の実施状況
①平成17年度早稲田大学健康医科学プロジェクト研究所 花王委託研究プロジェクト「ヒトの茶カテキン摂取に伴う脂肪分解と全身持久力の改善効果に関する運動生理学的研究」研究分担者
学会活動への参加状況等
①5月18日~20日:第82回日本生理学会大会(仙台)参加・発表
②9月23日~25日:第60回日本体力医学会大会(岡山)参加・発表
③3月28日~30日:第83回日本生理学会大会(前橋)参加・発表
④日本生理学会評議員、日本体力医学会評議員、日本運動生理学会評議員
 
<社会との連携>
社会的活動状況
・各種学外委員等
①上越市食の安全を考える市民会議委員
②上越市健康づくり推進協議会委員
③上越市食育基本条例等策定会議委員
④学校法人香川栄養学園家庭料理技能検定(文部科学省後援)専門委員
・各種研修会等指導・助言等
①上越市学校教育研究会学校給食部会講演 「食の教育について」
②上越市教育委員会食育研究推進事業 上越市三和区食育研究推進協議会等 指導・助言等
③上越市、上越市教育委員会、上越市農林水産業振興協議会主催「食育フォーラムin上越」ポスターセッション発表
◎社会への寄与等
・上越市の食育基本条例策定会議副会長および健康づくり推進協議会委員として各々市の条例策定および健康づくり推進計画策定等に、また、上越市食の安全を考える市民会議委員長として食の安全の啓発等に積極的に関わった。
・学校における食の教育推進に積極的に関わった。
 

 
得 丸 定 子(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部・院共に全授業で講義支援システムを用いてレポート管理、学生との連絡・交信を取り総合的に成績評価を行った。学部の授業では食生活に関すること、初等・中等家庭科の指導法では「いのち教育と家庭科」に関与すること、家庭科の教材の検討と教材作成を行った。大学院の授業では「いのち教育」について討議や英書講読等、多面的に検討した。
研究指導
 学部は、「いのち教育」の基礎資料として「死と死後の不安」についての日韓比較調査を行った。大学院は味覚教育についての世界的な動向の文献研究、日本の中学生を対象とした味覚教育のプログラム試案を作成した。
その他の教育活動
附属中学校の生活健康科における研究指導・助言
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 「いのち教育」の視点の立った教育活動を行った。「いのち教育」は教育的基礎として重要な内容であり、社会的・時代的要請があるものの、我が国の学校教育では緒についたばかりである。今後はより日本人の感性に沿ったいのち教育の検討が課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
平成17年4月:『いのちと生活―死からアプローチする「いのち教育」-』 『生活主体を育む』ドメス出版所収、pp.143-152、pp.194-201
平成17年4月:『いのち教育とジェンダー』 『家庭科をめぐる教育問題とジェンダー』中央プリント所収、pp.93-106
平成17年11月:『若い世代への「いのち教育」』 『教職課程』第31巻15号、共立出版、pp.21-25
平成17年1月:『食領域の研究動向に関する一考察-「中学校技術・家庭 理論と実践誌」と「日本家庭科教育学会誌」の分析-』 『上越教育大学研究紀要』第25巻1号、pp.171-183
平成18年2月:『ODSラットにおけるビタミンCとEの相互作用』 『20年のあゆみ』(財)浦上食品・食文化振興財団、p.57
平成17年6月:『中学生の食生活環境と味覚との関連』(共)日本家庭科教育学会大48回大会
②平成17年6月:『大学生におけるペットとペットロスに関する意識調査』(共)日本家庭科教育学会大48回大会
③平成17年10月:『死と死後の不安に関する日本ト韓国大学生の比較』(共)第29回日本死の臨床研究会
他3件
共同研究の実施状況
学校教育におけるスピリチュアル・エデュケーションの理論・実証的考察 代表者:得丸定子 科学研究費補助金
学会活動への参加状況等
6月5日~8日:International Death, Grief and Bereavement Conference 参加
6月9日~10日:Ninth East-West Philosophers’ Conference 参加
③9月9日~11日:Twelfth Biennial Conference of the International Association of Shin Buddhist Studies出席
④日本家庭科教育学会評議員
◎特色・強調点等
 「いのち教育」に関する基礎資料として「死と死後の不安」日韓比較調査・研究や、「いのち教育」とスピリチュアリティの関係性の探求、それらの学校教育への実践の試みは先駆的な取り組みである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
上越市各種委員(情報公開・個人情報保護審査会他2委員)
②日本死の臨床研究会企画委員
③5月24日長野県「生徒指導専門研修講座」講師
④7月9日~8月6日間の毎土曜日計5回:「平成17年度上越教育大学公開講座」開催
⑤10月8日:平成17年度交流サロン/福祉ナウ青少年問題シリーズ「青少年の生と死を授業する」講師
⑥12月3日:国際セミナー「家族の死別を癒すスピリチュアル・カウンセリングを探る」開催
⑦12月19日:頚城中学校研修会講師  他
◎社会への寄与等
上越市の委員会に複数参画、また、地域の小・中学校への研修会講師として地域市民への奉仕に積極的にかかわった。
国際セミナー「家族の死別を癒すスピリチュアル・カウンセリングを探る」を開催し、全国の市民、教員等の研鑽に寄与した。
 

 
藤 木 一 浩(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部2年生対象の授業科目「被服学」では,次年度に実施する「被服学実験」の実験項目と関連付けて内容を構成した。しかしながら,限られた時間の中で,ミニマムエッセンシャルをいかに満足させるかが重要な課題として残ったように思われる。
 学部3年生対象の授業科目「被服学実験」においては,昨年度に引き続いて,界面活性剤の性質を理解する上で重要な「乳化の型の判別」及び「乳化力」の実験項目について,望ましい結果が得られるように実験操作を改善し,学習効果や内容の理解を高める工夫を行った。授業に際しては,実験の前に事前準備のレポートを課し,コメントを付して返却することで,学生自身が実験の目的を正確に把握するとともに内容の理解度を高められるように工夫した。
 また,学部1年生対象の授業科目「体験学習」において,高分子材料のリサイクルに関する講義と簡単な実験を担当した。この授業においては,経済及び技術の発展による我々の豊かな日常生活と,それに伴う環境に与える負荷との関連性について,常に問題意識を持てるように学習内容を配慮した。
 大学院生対象の講義科目「暮らしの新素材と資源循環型社会」では,これからのライフスタイルである“環境負荷の低減”という課題にスポットを当て,最新のトピックも織り交ぜながら学生の興味・関心を喚起するように配慮した。「被服学特別実験Ⅱ」では,実験操作の目的を事前レポートとして調べさせ,コメントを付して返却することにより,実験結果と対比させて内容を正確に理解できるように工夫した。
 実験関係の授業では,学部・大学院のいずれにおいても,試薬や実験器具の取り扱い方,及び実験操作の仕方については詳細に説明し,安全確保に対する認識を各自が十分に身につけるように配慮した。また,次年度以降の授業内容や方法の改善に反映させるべく,授業に対する感想や意見・要望等を自由に記述させた。
 成績評価法に関する取組としては,レポートの書き方等に関する指導を十分に行い,特に提出の締切期日を厳格にして,評価対象の重要項目とした。しかしながら,評価基準の明示については曖昧であったと思われる点もあるので,昨年度に引き続き今後の課題としたい。
研究指導
 各自の論文テーマに関連する学術論文を取り上げ,その報告を行わせるとともに内容に関する議論を深め,研究の内容を論文にまとめる一連のレトリックをマスターできるよう指導した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 実験関係の授業では,実施前に,実験目的や操作を予習させる目的で事前レポートを課し,誤っている部分等は添削するとともに注意事項等のコメントを付して,必ず実験前に学生に返却している。これは,学生が実験操作を正確に把握し,安全に実験を行うことが出来るように配慮しているとともに,返却したレポートが,そのまま実験中の記録ノートとしても使用できるようにすることで,理解を高められるように意図しているからである。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①平成17年11月:『Grafting of polymers onto vapor grown carbon fiber surface by ligand-exchange reaction of ferrocene moieties of polymer with polycondensed aromatic rings of the wall-surface II』(共著) Polymer Vol.46 pp.8650-8657
①平成17年4月:『カーボンナノチューブ表面へのポリマーのグラフト反応による機能化』(共) 第13回複合材料界面シンポジウム研究発表
②平成17年5月:『カーボンマイクロコイルへのポリマーのグラフト化と分散性』(共) 第54回高分子学会年次大会研究発表
③平成17年7月:『Grafting of Branched Polymers onto Vapor Grown Carbon Fiber』(共) The 8th SPSJ International Polymer Conference 2005 研究発表(他1件)
④平成17年8月:『カーボンナノチューブ表面への各種グラフト反応』(共) 第54回高分子学会北陸支部研究発表会研究発表
⑤平成17年9月:『気相生長炭素繊維表面へのポリマーのグラフト反応とそのセンシング機能』(共) 第54回高分子討論会研究発表
⑥平成18年3月:『ポリマーグラフトカーボンナノチューブの電気特性』(共) 日本化学会第86春季年会研究発表
共同研究の実施状況
①グラフト重合による高分子機能材料の合成に関する研究 共同研究者:坪川紀夫(新潟大学工学部・超域研究機構教授)
学会活動への参加状況等
上記『研究成果の発表状況』の「学会等における口頭発表」の項に記した各学会に出席した。(全6学会)
◎特色・強調点等
 次世代を担う基幹技術の一つとされるナノテクノロジーにおいて,非常に重要な材料として注目を集めているカーボンナノチューブを用いて,昨年度に引き続いて機能化に関する研究を実施した。これまで困難とされてきた,カーボンナノチューブ表面のπ電子系を損なうことなくナノチューブの表面を改質する新規な方法について更に研究を発展させ,新機能を有する複合材料を開拓する際の実用・応用面で,いくつかの重要な成果が得られている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
①8月~11月:高分子学会北陸支部主催「ポリマーフォーラム北陸」運営委員
◎社会への寄与等
・富山県高岡市で開催された高分子学会北陸支部主催,富山県工業技術センター,富山県プラスチック工業会共催の「ポリマーフォーラム北陸」の運営に委員として携わり,北陸地区の産官学連携活動に貢献した。
 

 
細 江 容 子(助教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
○授業形態、学習(研究)指導方法等の教育方法に関する取り組み状況
 学習への動機付け:家庭経営学領域(家族関係、家庭経済)であるので、学生が日常生活の中で、特に日頃、疑問に思う身近な事柄をとらえながら授業の導入を行い、知識の習得と同時に、そのような問題がなぜ生じるかを考えさせる授業の展開によって、思考力や判断力を育てる授業を展開した。
 学習・研究目標確立のための指導:将来、家庭科の教員として授業を行う可能性のある学生たちに対し授業での知識の習得と同時に、思考力や判断力を育てるために、ディベートや発表などの時間を設け、学生が意欲的に授業に取り組むように授業を展開した。
 事前・事後の学習:文献、資料等の提示により事前・事後の学習をさらに深める方法をとった。
○成績評価法に関する取り組み状況
 各授業における学習目標を知識、思考、判断、表現、意欲といった項目を基に、その目的達成のための授業の計画と方法を考え、その視点から成績評価をおこなうと同時に、学生からの授業評価を得ることで、自己の授業改善を行った。
研究指導
【観点1】学部
 教育に関する臨床的な実践力習得のための指導:各授業における学習目標を知識、思考、判断、表現、意欲といった項目を基に、その目的達成のための授業計画と方法によって、学生が教育現場に出た時の新指導要領での評価基準への学生自身の応用も可能となる授業の展開を図った。
【観点2】大学院
 教育に関するより高度な臨床的実践力習得のための指導:大学院においては特に思考力を身に付けることをねらいとし、レポートの報告やディスカッションを多く行う授業実施した。また、指導・研究内容に関わる国際会議に出席する事により、最新の研究・教育に関する内容について、指導できるように努力した。
その他の教育活動
①共立女子大学非常勤講師(家族関係学)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 授業においては、導入部とその展開に関する方法を工夫する中で、学生達が授業に興味・関心を持つことが出来るようにすると同時に、学生の長所を積極的に評価し、学生の意欲を引き出すための努力を行った。そのことがとりもなおさず、学生達が児童・生徒を指導する教育現場において、役立つことと考えた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①平成18年3月:『日本、韩国大学生的老年人抚养意识(日本、韓国大学生的老年人扶養意識)』(単著)中国人口学会
②平成18年3月:『中国、日本大学生的老年人抚养意识探讨(中国、日本大学生的老年人扶養意識探究)』(共著)中国人口学会
①平成17年12月8日:『日本、韩国大学生的老年人抚养意识(日本、韓国大学生的老年人扶養意識)』(単著)中国人口学会
②平成17年12月9日:『中国、日本大学生的老年人抚养意识探讨(中国、日本大学生的老年人扶養意識探究)』(共著)中国人口学会
共同研究の実施状況
①家族関係学部会研究活動委員会「子どものウェルビーイングと家族・地域社会についての実証的研究」(代表:長津美代子、群馬大学、事務局:細江容子)
国際研究プロジェクトへの参加状況
①「東北アジアにおける高齢者扶養と高齢者のウェルビーイング」(代表:Shu-Tzu Cheen, Shhih Chien University、事務局:細江容子)
学会活動への参加状況等
①第12回アジア地区国際家政学会議出席
②家政学会家族関係学部会出席
③日中社会学会に出席
④地域福祉学会に出席
◎特色・強調点等
 国勢比較調査等で高齢者扶養や介護の研究を行う中で、高齢者のウェルビーイングがコミュニィテー形成の在り方と深い関わりを持つとの認識にいたった。さらに、このコミュニュテー形成は子どもの社会力とも関係しており、子ども、高齢者のウェルビーイングに関する研究を行っている所である。これらの研究はまだ十分に研究が行われていない分野であり、調査・研究の結果が、社会に貢献できるとの強い認識を持っている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
①中国山東師範大学福祉学科での講演
②新潟県労働審議会委員
◎社会への寄与等
・中国山東師範大学福祉学科で日本の高齢者福祉に関する内容の講演を行い福祉学科の学生の教育に貢献した。
・新潟県労働審議会委員として、新潟県の労働労働問題の審議に積極的に関わり、労働問題の解決に寄与した。
 

 
光 永 伸一郎(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 食物に関する講義と実験を担当したが,特に学部授業においては,食物について学習するうえでの必須の知識を講義するとともに,食育等の学校教育現場における発展も視野に入れた解説を心がけた。また,大学院授業では,時代に即した新しいテーマに関する実験及び講義を行った。すべての講義において,プレゼンテーションソフトのパワーポイントを活用し,講義内容の充実を図った。なお,担当の科目については,シラバスの内容を熟考し,それらを忠実に反映することのできる授業展開を試みた。
研究指導
 卒業研究の指導は,発芽した穀類(特に発芽玄米と麦芽)に関する生化学的研究を行ったが,並行して,教育現場でも利用することができる分析方法(実験教材)の開発も進めた。教科書に掲載されている発芽に関する学習内容について,その科学的根拠を的確に理解できる教材の開発を試みた。その結果,発芽植物を理解するために最適な実験教材を開発することができた。現在それらをまとめた学術論文を執筆中である。
その他の教育活動
新潟県立看護大学において,臨床栄養学の非常勤講師を務めた(平成17年4月1日~平成18年3月31日)。
本学主催の平成17年度の「附属中学校わくわく大学ウイーク」において特別授業を実施した。テーマは「発芽した植物のなかではいったい何が起こっているのか観てみよう(平成17年7月26日)」。
全学1年生対象の体験学習においては,穀類の栄養や文化についてわかりやすく紹介した。また,いくつかの穀類については調理実習も行った。
学部学生が附属小学校等で担当した教育実習時の研究授業を参観し,実験部分の実施にあたっては器具類の補助や助言を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 食物については,新聞記事,学会出版物等を利用することにより,ホットな情報の提供に努めた。また,その解説については,十分な科学的根拠をもとに行い,巷に氾濫する非科学的情報をできる限り排除することを心がけた。また,講義の内容と学校教育現場との関連性についても検討し,特に食育については具体的な応用例についても提示した。加えて,講義内容と実験との関連についても重点を置き,教育現場での活用が可能な実験をプランニングした。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
平成17年11月:『β-アミラーゼによるモチ米デンプン分解機構についての生化学的・生理学的研究』(単著)飯島記念食品科学振興財団第18回学術講演会講演要旨,pp.11-15
平成17年12月:『Measurement of the Concentration of Bioactive Gibberellin in Germinating Rice Seed Using the α-Amylase Induction from Aleurone Cells』(共著)Journal of Applied Glycoscience, 52, pp.399-402
平成17年11月:『β-アミラーゼによるモチ米デンプン分解機構についての生化学的・生理学的研究』(単)飯島記念食品科学振興財団第18回学術講演会
平成17年8月:『「家庭科」と栄養教諭の連携を考える特別委員会報告』第19回日本教育大学協会,全国家庭科部門大会報告
平成17年11月:『発芽した植物のなかではいったい何が起こっているのか観てみよう』日産科学振興財団 理科・環境教育助成成果報告
学会活動への参加状況等
平成17年8月24日~25日:第19回日本教育大学協会,全国家庭科部門大会出席
平成17年11月22日:(財)飯島記念食品科学振興財団第18回学術講演会口頭発表
◎特色・強調点等
 『Measurement of the Concentration of Bioactive Gibberellin in Germinating Rice Seed Using the α-Amylase Induction from Aleurone Cells』においては,発芽に重要な役割を果たしている植物ホルモン・ジベレリンを定量する方法を開発した。これは,発芽玄米をはじめとする発芽した植物性食品の栄養価について検討する際,きわめて有効な解析手段となる。