【芸術系教育講座(音楽)】
 

 
池 田   操(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 歌唱指導は音楽教育の要であり、学部の「独唱T,U」及び大学院の「独唱」の授業は個々の歌唱技能習得が課題である。しかし、時間が限られているため、また、指導法の開発と幅広い音楽性を養うために、個と集団授業の良さとを組み入れ授業を行った。
研究指導
学部:音楽教育において歌唱の指導は重要である。しかし、現場では発声法の問題から声がでにくい、高い音が出ない等音楽を楽しむことや音楽表現以前で歌うことが苦手になるケースも多い。指導者は正しい発声法を会得していることが必要であり、音楽性に限らず発声法を重要な研究課題として指導した。
大学院:体得した様々な歌唱技能や磨かれた感性が指導者の実力となる。歌唱法の両輪として音楽性を高め、その音楽性を表現出来る発声法の技能修得が重要であり、高度な専門的指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院の研究指導ではM2の学生が神戸国際学生音楽コンクールで受賞した。特にコンクールを目標に指導している訳ではないことから、日頃の指導の方向性を確認できた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年4月:首都オペラ「春のコンサート」、神奈川県港南区民文化センター
A平成17年6月:東京室内歌劇場メンバーズコンサート、旧東京音楽学校奏楽堂
B平成18年1月:首都オペラ第9回ニューイヤーコンサート、神奈川県立音楽堂
C平成18年1月:東京室内歌劇場ニューイヤーコンサート、日本橋公会堂
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年6月:第40回新潟県音楽コンクール予選会声楽部門審査員
A平成17年7月:第35回上越市民芸能祭「合唱の集い」講師、上越文化会館大ホール
B平成17年7月:第40回新潟県音楽コンクール本選会審査員 新潟市民芸術文化会館コンサートホール
C平成17年7月:第16回日本クラシック音楽コンクール地区大会(富山)声楽部門審査員
D平成17年7月:第16回日本クラシック音楽コンクール地区大会(東京)声楽部門審査員
E平成17年11月:長野県発声研究会第56回例会講師、長野市城山公民館
◎社会への寄与等
新潟県音楽コンクール声楽部門の審査員、実行委員として新潟県の音楽文化、声楽教育発展に寄与した。
生涯教育にも関わる第35回上越市民芸能祭「合唱の集い」で講師を務めた。
・長野県発声研究会で日本歌曲の演奏法の講義実習と公開レッスンを行った。
 

 
小 川 昌 文(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
(1)学生の興味関心を尊重し、学習意欲を高めるように身近な問題からアプローチしている。
(2)最初の講義の時には必ずシラバスを配付し、それぞれの講義の目的と内容、そして評価の方法を通知している。
(3)一方的な講義形態を取るのではなく、適宜その時のトピックについて自由な意見や主張を学生が発表する機会を作っている。
(4)講義の時間外において、学生の演奏の練習にできる限り立ちあい、適宜アドバイスを行なった。
(5)講義の時間外において、当該講義に関しての質問に対応、また発表等の準備の方法や内容について指示、示唆を行なった。
○成績評価法に関する取組状況
 大学院においては、履修学生の発想を尊重し、企画力、構成力、文章力、取材力等をトータルに把握、評価することを意図した。したがってすべての授業においてレポートを課し、上記の点を中心に評価した。また、評価後は、必ずコメントを入れて返却し、今後の改善点を通知した。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 卒業論文を担当した学生(いわゆるゼミ生)は5名。卒業後、1名は新潟県公立小学校教諭、1名は兵庫県公立小学校教諭、1名は石川県公立小学校常勤講師、1名は新潟県公立中学校非常勤講師として赴任した。なお、残りの1名は引き続き学部生として在籍する。修士論文を担当した学生(ゼミ生)は4名。1名は千葉県公立小学校教諭、1名は新潟県公立中学校常勤講師として赴任し、1名は岐阜県の公立中学校からの派遣教員として岐阜県の中学校に帰任し、1名は現在聴講生として引き続き上越教育大学に在籍中である。
研究指導
【観点1】学部
 卒業論文を指導した学生は5名。2005年5月、6月の中学校教育実習の際、実習に参加した全員の授業を観察し、指導を行なった。また、指導した各学生の卒業論文研究内容は、(1)音楽指導におけるハンドサインの有効性について調査研究、(2)音楽を「楽しさ」に関する哲学的研究、(3)鼻歌の研究、(4)福島県の高校女声合唱の隆盛に関する調査研究、(5)南部アフリカのゴスペル音楽に関する分析的研究であった。いずれの卒業研究においても、調査のための環境や条件をセッティングし、取材や調査に立ち会った。
【観点2】大学院
 修士論文を指導した学生は4名。院生は1名が岐阜県の公立中学校からの派遣教員である。修士論文として、中学校の音楽科における弦楽器の導入と指導カリキュラムについての実践的な研究を行った。他の3名はすべて教職を目指しており、それぞれの修士論文研究は(1)音楽科教育における「個性」に関する分析的、実践的研究、(2)小学校音楽科担当教員の教員養成カリキュラムの歴史的研究、(3)フリースクールにおける音楽教育の実践的研究であった。それぞれ訪問学校や情報提供者とインタビューのセッティングをするとともに、取材や資料収集に同行して適宜アドバイスを行った。
その他の教育活動
〈教職講座〉
 平成18年1月19日に教員採用試験対策講座を各1時間、第二講義棟203教室において実施した。
〈教育実習〉
 中学校4年次の教育実習は、音楽コースの学生が配属されている中学校のうち、5校を訪問、授業観察を行なった。上越教育大学附属中学校においては13日間の実習中、5日間訪問した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 卒業論文、修士論文研究指導においては、学生、院生個人個人の興味を最大限に尊重し、能力と適性に応じて研究のオリジナリティが見られるように指導している。特に、大学院のゼミ生には岐阜県より派遣された現職教員が含まれ、ゼミ全体の教育実践力の強化および推進に貢献している。また、ホームページにおいて、教官の経歴、業績、講義内容、ゼミ生、行事、今後の予定等の情報を公開し、プライバシーに配慮しつつ情報公開を推進している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成18年1月:『音の百科事典』丸善出版 「聞くと聴く」の項目を担当した(pp.328-332)
@「音楽を学校から閉め出さないで 〜アメリカの音楽教育動向と音楽教育推進・支援運動の現状〜」『教育音楽』中学・高校版 2006年1月号 pp.47-51
A「タングルウッド・シンポジウム考 その1 〜あるいはアメリカ音楽教育の一座標〜」『上越教育大学研究紀要』第25巻 第2号 (2006.3)pp.411-426
B「学習の継続化を核とした学校音楽カリキュラム・授業の創造 〜アメリカの音楽教育とわが国との比較を通して〜」『平成16、17年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(C)日本の音楽教育学の再構築に関する基礎的研究』(課題番号・16530570)研究報告書 (2006.3)pp.596-609
〈指導・審査歴〉
・指導助言者
@平成17年度上越教育大学附属中学校教育研究協議会 「自分を知り、世界とのかかわりを深める教育の創造」(第3年次) 音楽科「表現力や完成を自らはぐくむ資質、能力の育成」題材「伝えようメッセージ」 上越教育大学附属中学校2005.10.18.
〈書評〉
@Estelle Jorgensen著「Transforming Music Education」『音楽教育研究ジャーナル』第25号 (2006.3)pp.100-109
〈報告書〉
日本音楽教育学会第8回妙高ゼミナール“2005” 「音楽教育の実践と研究の新たな展望」
@基調講演翻訳 「音楽教育の哲学の本質」Estelle R. Jorgensen pp.2-9
Aラウンド9 「今外国ではどんな教育が行われているか」Estelle R.Jorgensen, Vicotr Fung, Sherrill Bridgewater, 下道郁子、小川昌文 pp.57-60
共同研究の実施状況
@教員養成GP 「マルチコラボレーションによる実践力の形成 〜学校現場の教育課題に対応した学校教育プログラムと大学の教師教育プログラムの開発を通して〜」に参加し、大町小学校の岡田晶子教諭と一緒に「モチベーションと基礎スキルの同時・相互的獲得を目指す音楽科カリキュラムと教材の開発〜即興表現と歌唱活動を中心として〜」というテーマで共同研究を行った。
国際研究プロジェクトへの参加状況
@共同研究 音楽と統合学習に関する日米比較研究  マイアミ大学 スティーブン・ジンスキー 準教授 継続中
学会活動への参加状況等
〈参加状況〉
@平成17年10月28、29日:日本音楽教育学会全国大会(琉球大学)
〈学会役職〉
@日本音楽教育学会地区代表理事
AIPSME(国際音楽教育哲学学会役員)
B日本声楽発声学会理事
〈国内学会の企画〉
・2005.9.9-11まで日本音楽教育学会音楽教育ゼミナールの事務局長として企画、運営に携わっている。
在外研究の状況
 兵庫教育大学連合大学院共同研究プロジェクトEグループA「アメリカ合衆国の教師によるカリキュラム編成に関する教育実践学研究」を企画、立案し、平成18年2月27日から3月9日まで、アメリカインディアナ州のインディアナ大学と近隣の小中高等学校、およびフロリダ州タンパの南フロリダ大学と近隣の小中高等学校を訪問し、交流を行うとともに、現地の大学の教員や学校の教員と情報の交換を行った。
◎特色・強調点等
 本学に赴任以来一貫して「音楽教育の実践」のあり方を諸外国と比較しながら追求している。この実践にあり方とは単に「よい実践の方法」を方法論的に模索するだけでなく、音楽と教育の本質を追求することにより自ずと「実践」が導き出されることをねらっている。学生、院生の指導においては、学部、大学院いずれにおいても理念や目的をアプリオリに受容するのではなく、自らが考え、批判的精神を持ちながら実践することを中心に教育している。
 当面のテーマである教育実習のありかたの改善は継続して研究をしている。また、実際の教育現場での実践も継続して行い、上越市立大町小学校、新井市立新井小学校の音楽指導を行った。来年度以降も、上越地区をはじめ様々な学校において自らが音楽の授業を行いながら現場について学ぶと共に、大学と学校教育現場のコミュニケーションを密にしていきたいと思っている。
 なお、特記事項として、業績に記載してある投稿論文「音楽を学校から閉め出さないで 〜アメリカの音楽教育動向と音楽教育推進・支援運動の現状〜」『教育音楽』中学・高校版 2006年1月号 pp.47-51は、コピーが文部科学省の中で閲覧され、学校における音楽科の重要性をアピールするという点において効果が見られた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
〈公開講座〉
 上越教育大学主催「現職教員のための音楽ワークショップ」:6月13日より各週水曜日合計10回の企画と運営にあたった。小川は6月に「音楽科授業の構造と方法」というタイトルで講義を行った。
 

 
後 藤   丹(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学部1年の「体験学習H」では8名の教員による連携授業をコーディネートし、全員が出演するコンサートを開催した。2年次の「作曲法」では実践的な音楽的思考力を養うために個人的指導を多く取り入れた。学部4年の「音楽劇創作演習」では学生の自主性を考慮しつつ指導を行ないミュージカル《Colorful》の一般公演を成功させた。大学院「作品分析B」では西洋音楽史における対位法の系譜を各時代の作品例を分析しながら講じた。情報表現演習は他コースの2人の教官とともに集中講義で行い、ビデオ制作の主として音楽面を担当した。成績評価は出席数を重視し、また普段の授業への参加状況も加味しつつ行なった。
研究指導
 学部のゼミは3年次生1人を担当。実技指導では学生が楽譜をコンピュータに入力したものに基づいて行うことを試みた。大学院ゼミではM2の学生1名に修士論文の指導を行ったほか、同学生が金沢大学で開かれた日本音楽教育学会北陸地区例会で発表するのに協力した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年11月:《日は暮れて星が輝く》ピアノ曲集「こどもたちへ」カワイ出版
@平成17年4月:混声合唱曲《ふえ》、《こかげ》(詩、谷川俊太郎)リージョンプラザ上越(上越)
A平成17年7月:Pastorale《幸福の形》(Org.)りゅーとぴあ大ホール(新潟)
B平成17年11月:《日は暮れて星が輝く》(Pf.)自作自演、紀尾井ホール(東京)
C平成17年12月:《二つの砂山》(混声合唱とオーケストラ)りゅーとぴあ大ホール(新潟)
D平成18年3月:モーツァルト作曲、オペラ《魔笛》のアンサンブル編曲及び指揮 上越文化会館(上越)
共同研究の実施状況
@上越市立大手町小学校6年生の組曲創作の編曲(平成18年3月)
学会活動への参加状況等
@7月2、3日:日本音楽表現学会において分科会の司会(静岡)
A日本音楽表現学会編集委員
◎特色・強調点等
 編曲活動の多い年度であった。ここに挙げていないものも含めると十数曲にのぼる。特に《魔笛》のアンサンブル編曲(フルート、クラリネット、弦楽四重奏、ピアノ)は総譜にして210頁の大きな仕事となった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@妙高市立妙高小学校及び上越市立清里小学校の校歌作曲(平成17年4月)
A本学で開催されたコーラス・ワークショップの講師及び教材の編曲(平成17年5月)
B上越・詩を読む会主催「谷川俊太郎 詩の世界」のための合唱編曲(平成17年6月)
C久比岐野合唱フェスティヴァルの講師(平成17年6月)
D新潟日報あーとぴっくす欄、執筆5回(TOKI弦楽四重奏団他、平成17年6月〜12月)
E新潟県音楽コンクールの運営委員及び審査員としての活動(主として平成17年6、7月)
F上越市民歌見直し委員会の委員長(平成17年7月〜10月)
G新潟県音楽コンクール40回記念・中越大震災復興祈念コンサートの構成及びフィナーレの編曲(平成17年10月)
H講演「安吾が愛した作曲家・エリック・サティー」りゅーとぴあAスタジオ(平成17年10月)
Iアドヴァイス・コンサート講師(上越教育大学講堂)(平成17年11月)
J新潟市立黒埼中学校卒業式の合唱曲《新しい風》の作曲(平成18年3月)
 

 
茂手木 潔 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 平成17年度は、音楽学分野の助教授転出により、筆者の担当する音楽学関連の授業科目数も増え、内容の整理・統合をせざるを得なかった点で、平成16年度と比べて、授業形態や指導方法に新たな観点を提示することは困難であった。特に、バリガムランの実技授業など、楽器がありながら指導が困難な授業ができてしまったことは、非常に残念であった。教員数減少の中で、平成14年度実施の新指導要領に記述された、音楽教育に必要とされる諸民族の音楽・日本の音楽に関する授業を、如何に充実させることができるかが、未解決の課題となっている。
 しかしながら、授業において効果的であったと考えられるのは、20人以内の授業では、授業のたびに学生すべてに、疑問や関心を持ったことなど、必ず意見を述べさせたことである。ディベートではなく、対象に対して積極的に働きかける意識を持たせることが目的であったが、「関係力」の育成に役立った。
 実践場面分析演習では、模擬授業のアドヴァイザーとして修了生の現職教師を4名招き、指導助言をしてもらい、授業を充実させることができた。
 そのほか、来日中のウイーンで活躍する作曲家や、人形浄瑠璃の演奏家、中国楊琴演奏家を授業に招き、学生たちとの意見交換及び、演奏鑑賞の機会を作った。
○成績評価法に関する取組状況
 17年度は、課題を多く出し、学習者自身の考察を深めさせる試みを行った。評価は、提出されたレポートと授業中の課題に対するアプローチの態度などで評価したが、提出レポートに筆者のコメントを書いて返却することができなかったことが反省点である。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 学部ゼミ生6人のうち、採用試験合格1人、臨採1人、就職2人、大学院進学1人である。ゼミにおいても、就職、進学などについて互いに話す機会を多く設けたことは、学生の積極性を育んだ。
 大学院生2人はともに就職活動中である。1人は、養護学校でのガムランを用いた音楽療法の実践について研究し、就職は養護学校をめざしている。もう一人は、図書館や研究所の学芸員を希望しており、学位論文では、絵画資料に現れた音楽場面の分析を行なって、絵画資料や古文書を用いた研究方法を研究過程で学ぶことができた。
研究指導
【観点1】学部
 教員志望の学生に対しては、教育現場における指導力を高めるための教材研究に焦点を当てて論文指導を行った。例としては、鑑賞教材の徹底研究、和楽器指導のための課題の探求など。また、一般就職希望の学生に対しては、課題へのアプローチ方法と、対象に対しての観察や探求の方法に焦点を当てて指導した。例としては、箏曲に現れた自然描写の特徴から、日本文化と自然観について研究したり、音楽療法について研究することにより、社会・人・環境の問題を考えさせ、また、鬼太鼓の研究からは、地域の伝統文化への関心を持たせることなど。
【観点2】大学院
 論文のために、修了生と連絡を取り授業参観への協力を依頼した。修士論文指導では、基本的な研究態度の育成から始める必要があり、学生の問題意識の開発と、研究の焦点の当て方を指導することに時間がかかったため、臨床的な研究に対する学生の問題意識を持たせることにも困難を感じた1年であった。個別指導ではなく、グループ指導により、学生相互の研究交流が、より効果的であることもわかった。
 また、昨年度に引き続き博士課程研究生1人の指導を行い、研究生は博士課程に合格した。
その他の教育活動
@6月30日〜7月1日:附属小学校研究会指導助言者
A8月7日〜10日:金沢大学非常勤講師
B8月19日:全国付属学校研修会に当たり、ガムラン体験に協力した。
C9月24日:バリガムランの皆川厚一氏を招聘、学生への指導の機会を作った。(音楽棟102教室)
D3月15日:人形浄瑠璃文学座技芸員5名による「文楽の音楽」演奏会開催(音楽棟102教室)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 臨床的な授業に現職教師を招いて、指導助言を頂いたり、学生との意見交換を行えたこと。ウイーンで活動する作曲家、森本氏から、授業の中で日本の音楽教育の課題など率直な話を聞くことができたことなど、筆者の範疇だけにとどまらない視点の広い授業が行えたこと。日本音楽やアジア音楽の専門演奏家、皆川氏、金氏の実演を学生に提供できたこと。特に、生演奏の提供は、本学にアジア音楽や日本音楽の演奏を専門とする教員がいないために、どうしても必要な機会である。しかしながら、招聘費用を、限られた研究費で対応するため、充分な機会を作ることが困難であるので、この点にもっと工夫の余地があれば良いと思う。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年10月:『浮世絵の楽器たち』共著 全124頁 太田記念美術館
「特別展『浮世絵の楽器たち』の企画にあたって」(単著)(pp.67-71)、「絃、弓、そして駒 浮世絵に見る胡弓についてのいくつかの仮説」(翻訳・再構成)(pp.90-96)、「北斎と馬の鈴」(単著)(pp.97-100)、「作品解説」(共著)(pp.101-111) を担当
@平成17年10月1日〜11月26日:企画・監修 特別展『浮世絵の楽器たち』太田記念美術館における展示・演奏会
・展示:10月1日〜11月26日:展示作品の決定、作品と関わる楽器の選択と収集、展示構成の決定、図録の作成、演奏会・シンポジウムの企画・実施
・演奏会企画・制作
10月2日:義太夫「傾城恋飛脚」 人形浄瑠璃文楽座技芸員4名
10月8日:薩摩琵琶「潯陽江」 薩摩琵琶正派 須田誠舟
10月15日:新内節「明烏」 新内剛士・新内仲三由貴
10月22日:常磐津節「将門」 常磐津英正、常磐津紫緒
10月23日:「歌舞伎下座音楽」 尾上菊五郎劇団音楽部5名
11月13日:真言聲明 真言宗豊山派迦陵頻伽聲明研究会
11月19日:長唄「吉原雀」 杵屋崇光ほか4名
11月20日:三曲合奏 竹澤悦子ほか2名
11月23日:天台聲明  天台聲明 七聲会
・講演
10月9日:「葛飾北斎と馬の鈴」 茂手木潔子
・講演通訳
10月19日:「ケンペルの聞いた日本の音」(講演:ケルン日本文化会館 Heinz-Dieter Reese)
11月23日:「ライデン国立民族学博物館の浮世絵」(講演:同博物館学芸員・ライデン大学教授 Dr. Matthi Forrer)
・シンポジウム構成・司会
11月20日:「浮世絵の楽器たち」(茂手木潔子、鳥越けい子、Matthi Forrer、Heinz-Dieter Reese)
A平成17年6月:国立劇場雅楽公演「唱歌―声で奏でる管絃―」監修および舞台解説(30分)
@平成17年5月14日:「曲目解説・詞章」(関西元気文化圏共催事業 国立文楽劇場第二十一回舞踊邦楽公演「明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会」プログラム(共著)pp.2-8  共著者:廓正子、茂手木潔子 日本芸術文化振興会国立文楽劇場
A平成17年6月4日:「唱歌 〜自由自在な合奏を支える声の音楽〜」(国立劇場第五八回雅楽公演 「唱歌―声で奏でる管絃― 公演プログラム」)(単著)pp.4-5 日本芸術文化振興会
B平成17年6月:「古代楽器パンフレットの楽器解説」日本芸術文化振興会
C平成17年9月:「初心者のための伝統芸能講座 第10回 雅楽」淡交社『なごみ』2005.10 pp.86-92
D平成18年1月:「水の音色と暮らす人々〜伝統芸能の中に聴く水の音〜」(財)建築保全センター『Re』(Building Maintenance & Management)pp.29-33
国際研究プロジェクトへの参加状況
@11月2日〜12日:「日本音楽の今」ケルン、ミュンヘン、バンベルクにおける日本音楽の古典及び現代作品演奏会の企画・一部舞台解説・シンポジウムパネリスト(上越教育大学助成・国際交流基金助成)
・11月5日:ケルン日本文化会館「美術館の長い夜」にて演奏会・プログラム解説
・11月7日:ミュンヘン芸術家の家「日本の現代と伝統」演奏会企画・シンポジウムパネリスト、プログラム解説
・11月9日:バンベルク 旧市庁舎ホール 演奏会企画・曲目解説
学会活動への参加状況等
@5月21日〜22日:記号学会 富士大学(東京都)
A5月25日〜26日:教育大学協会全国大会(福岡市)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@文化庁文化審議会専門委員(文化財分科会)
A文化庁新進芸術家国内研修制度専攻委員
B文部省教科用図書検定調査審議会委員
C日本芸術文化振興会雅楽・声明公演専門委員会委員
D日本芸術文化振興会調査事業専門委員会委員
E国際交流基金コンサルティング
F月影雅楽保存会顧問
G5月:朝日酒造主催「あさひ日本酒塾」にて「越後の酒屋唄の魅力」の題で講演(長岡市)
H7月23日:講演「日本音楽の音色」 洗足学園現代邦楽研究所(東京都)
I10月12日:柏崎市立教育センター主催専門研修講座講師 小中学校教諭対象「日本音楽への導入」
J1月29日、2月5日、18日:大学公開講座で教師のための日本音楽入門を開催(音楽棟102教室)
 

 
上 野 正 人(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 実技指導は、できうるかぎり個人指導の形態で行っている。それは、学生自らが自己の技量の成長過程の分析を通して、実践的指導能力を向上させるとともに、それが臨床の力となるからである。学生には、そのような指導の目的を十分に把握させ、取り組むよう指導している。また、成績評価は授業への取り組み、出席状況、実技試験における各学生の習熟度とした。担当学生は3名で、兵庫県新採用1名、愛知県において教員採用試験を目指して継続して研究に当たるもの1名、長野県一般企業1名となった。
研究指導
 音楽において教育に関わる臨床的な実践力とは、それぞれの子供が、音楽表現や理解の上で今現在どのような状況にあり、どのような支援を行うことが最も有効であるかを見抜き、指導達成できる能力であると考えている。それは、指導するものが自らの成長体験を通しての、即ち実体験を通して能力獲得が不可欠である。そのために、できうるかぎり実技指導は個人単位で行うようにし、それぞれの技量、課題にあった指導を行うことでその習得を目指している。大学院においても同じことである。
その他の教育活動
@新潟大学教育人間科学部非常勤講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 これまで授業で実践してきた、自己成長の分析を通しての実技能力の臨床場面への応用の指導は成果を挙げていると考えている。今後、さらにこの方法をもとに授業を進めるとともに、分析演習などでの実践の試行を行うなど、更なる臨床能力の向上のための実践的なカリキュラムの構築が必要であると考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年6月:「長榮交響楽団演奏会・ベートーヴェン《第九交響曲》独唱」台北市・ナショナルコンサートホール
A平成17年6月:「新潟県音楽コンクール予選審査員」長岡リリックホール
B平成17年7月:「新潟県音楽コンクール本選審査員」新潟市民芸術文化会館コンサートホール
C平成17年8月:「上越地区小中学校音楽祭審査員」上越文化会館
D平成17年9月:「小西奈雅子第6回作品展での独唱」新潟市音楽文化会館
E平成17年9月:「東京フィルハーモニー交響楽団演奏会・ベートーヴェン《第九交響曲》の独唱」妙高市文化ホール
F平成17年10月:「新潟県音楽コンクール40回記念コンサートでの独唱」長岡リリックホールコンサートホール及び新潟市音楽文化会館コンサートホール
G平成17年11月:「1stうおぬまLiricaコンサートでの独唱」南魚沼市民会館大ホール
H平成17年12月:「ミュンヘンバロックアンサンブル演奏会・J.S.バッハ《クリスマス・オラトリオ》独唱」ドイツ・グラーフィング・シュタット・プファール・キルヒェ
I平成18年3月:「上越市民オペラ合唱団演奏会・モーツァルト《魔笛》制作総監督・演出」上越文化会館
在外研究の状況
@平成17年12月21日〜平成18年1月2日:オーストリア及びドイツ 演奏発表と声楽研究資料の収集
◎特色・強調点等
 海外での演奏研究発表は、クラッシック音楽がその土地の人々の生活の中でどのような位置を占め、どのように生活に密接に関わっているかを知る貴重な機会となり、これは特筆すべきことであると考える。また、上越市主催のオペラ《魔笛》において総監督・演出を行い、その中で《真の》市民参加型オペラの構築を目指して演奏会を成功に導いたことも特筆に値する成果である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県音楽コンクール実行委員・審査員
A上越地区小中学校音楽祭審査員
B高田木曜会合唱団指揮者
C合唱団「雪ん子」指揮者
D上越市民オペラ合唱団制作総監督・演出
E「コーラスワークショップ」企画・運営・講師
◎社会への寄与等
新潟県音楽コンクールの実行委員・審査員として同コンクールの運営に携わり新潟県の音楽文化向上に寄与した。
高田木曜会合唱団、合唱団雪ん子、上越市民オペラ合唱団の指導・指揮に携わることによって生涯学習としての合唱団活動に寄与し、それぞれの団の演奏会開催に当たっては、製作に参画しそれぞれの演奏会を成功させた。
・大学と市民の協働及び社会教育の実践体験を通しての学生教育支援を目的として、「コーラスワークショップ」を企画、運営し、また講師として指導を行い高い評価を得た。
・長岡市内において積極的に演奏によるアウトリーチ活動を行った。
 

 
酒 井   創(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 「ピアノ演奏研究」・「ピアノ独奏」他,実技系授業では,各学生の確実な[表現技術]の向上をめざし演奏技術と表現が遊離しないように配慮し,潜在能力をたかめるための効果的なメソードを試作・試行した。本人の努力に見合った演奏表現の質的向上が実感できるように指導した。
 「表現・<子ども>の活動」では,明治以降の文教政策によって,音楽をはじめとした「表現」の西洋化で現在に至っている状況を,多角的な視点で捉えなおすことにより,現在の「自分」の感性を客観的に考えるような授業を工夫した。
研究指導
 修士論文2名の各研究対象に関する資料収集と整理・分析に重点を置いて指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 実技関連では,演奏の客観性と主観性で表現のバランスを常に把握し修正しながら即応できる能力の育成こそ,教育現場での真の実践力に直結するという考え方に沿って指導を行っている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年8月:「子どもの為のレクチャー・コンサート」I.S.O/東京
A公開講座:平成17年4月:「ピアノ入門」
B公開講座:平成17年10月:「現職教員の為の音楽ワークショップ」
 

 
時 得 紀 子(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部1年次のブリッジ「音楽」では初めてピアノ指導にも携わった。バイエルを苦手とする初級レヴェルの学生等の要望に応え、次度以降のピアノ教材およびブリッジ「音楽」のカリキュラムは、楽典に偏らないよう幅広い内容を盛り込み、分野教員で独自の教科書を新たに作成した。学部2年次及び4年次の「中等音楽科指導法」、学部3年次の「初等音楽科指導法」においては、授業の実践場面の映像を随所で活用し、音楽科の今日的課題を積極的に扱った。さらに音楽の諸要素を身体表現や遊びを取り入れながら体得する活動も重視した。
 大学院「総合的な学習と音楽科」および「総合芸術と表現活動」においては、多様な表現領域に学びの可能性を求め、全国の小、中学校の実践例等を積極的に取り上げた他、視聴覚教材による鑑賞を通じて、あまたの芸術に五感で触れる学びに努めた。受講生には生の演奏会を体験させるべく、授業の一環として上越文化会館におけるコンサート等では学生価格での鑑賞の実現に務めた。
研究指導
 学部では教採試験の対策としての作文指導を論文指導と並行させ、傾向に応じた添削指導を行った。論文ゼミでは、学部4年次2名、学部3年次2名の計4名の指導に携わった。4年次の卒業論文は、「音楽と色彩」、「映像に於けるバック・グラウンド・ミュージックの効果」についてそれぞれの指導に携わった。その他、学習臨床所属の4年次学生卒論指導の依頼を受けた。題目の「ダンスによる表現活動を小学校に取り入れた実践」を探るべく、学生と学校参観に同行することで、観察に基づいた考察に導くことができた。
 大学院では小学校現職の院生を担当、ゼミ生の論文テーマである「総合表現活動」の実践観察を広く現場に求め、大手町小学校卒業組曲の制作過程に関わったほか、京都市立御所南小、滋賀大学附属中学校など県内外の学校に同行し、インタビュー等の資料収集を支援した。
その他の教育活動
@新潟大学附属小・中学校、上越教育大学附属小・中学校、上越市立大手町小学校、お茶の水女子大附属小、筑波大附属小、京都市立御所南小、滋賀大学附属中学校等、兵庫県篠山市立今田小学校、私立和光小学校(東京都)他全国の研究先進校において、音楽科や総合的な学習の時間における表現活動の参観及び実践指導、公開研究会の助言に多数携わった。
A平成17年3月、妙高自然の家における部活動のリーダース・トレーニング研修において、「コミュニケーション トレーニング」の指導講師を担当した。
B平成17年度本学学園祭のイベントにおいて、ポピュラー音楽独唱の舞台の機会を得たことを契機として、講義以外の学生研修の場においても、学生の表現活動の充実に積極的にかかわった。
Cアカペラ部の顧問を務め、高田公園における屋外コンサート、サマーライブ、学園祭公演等多くの発表の機会を支援した。
Dストリート・ダンス部の顧問を務め、中庭噴水での屋外発表や講堂での新歓、学園祭等の発表会をサポートするとともに、活動の成果を試すため大学生全国大会に初出場した。その結果、最も優秀な団体で構成される最終グループにノミネートされる成果を得ることができた。(平成18年3月 於:神奈川県川崎市Club CITTA’)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教員自らも生の演奏を披露することは、表現芸術に親しむ歓びを学生に五感を通して訴える意味で、効果をもたらすと実感する。同様に学生の演奏会に教員が出向き、鑑賞することも彼らには励みや歓びとなる。昨年度は本学混声合唱団、管弦楽団、吹奏楽団、アカペラなどほぼ全ての定期演奏会に出かけ、鑑賞したコメントを学生に伝えた。講義を通じてのみならず、教室外でも多様な表現芸術の機会に親しみ、学生が感性を磨き、かつ創造性を培う素地づくりを今後も支援していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年9月:日本音楽教育学会第8回音楽教育ゼミナール"2005"「音楽教育の実践と研究の新たな展望」報告書(共)「中越地震を乗り越えて」〜その時音楽教育が果たした役割〜
@平成17年9月:新潟大学教育人間科学部附属長岡小学校 テーマ「総合芸術の様々な世界について探求しよう」指導講師
A平成17年7月:上越教育大学附属中学校わくわく大学ウィーク「オペラやミュージカルなどの総合芸術に親しもう!」講師
B平成17年7月: Teachers College, Columbia University M.A. Program in TESOL. Title:"Trends in Language Teaching II" 招待講師
C平成17年8月:新潟県国公立幼稚園協会 夏期教員研修会「音楽リズムの指導に関すること」於:長岡市立劇場 幼稚園教諭対象・指導講師
D平成17年11月:兵庫県篠山市立今田小学校ワークショップ型講習「さまざまな総合表現活動に取り組もう」講師
E平成17年11月:於:兵庫県篠山市 鳴門教育大学大学院生及び学部生、村川雅弘教授、俳優、演出家と共にワークショップ型総合表現活動「ドラムジカ」の作品制作・企画・歌唱指導講師を担当し、他大学との研究連携をはかった。
F平成18年3月:「埼玉県ちくみ幼稚園、公開音楽発表会」ミュージカルおよび合唱指導、講評
@平成17年9月9日:日本音楽教育学会第8回音楽教育ゼミナール全国大会 於:妙高高原メッセ他 研究発表「中越地震を乗り越えて〜その時音楽教育が果たした役割〜」
A平成17年10月20日:平成17年度日本教育大学協会北陸地区音楽部門研究協議会
@平成17年度11月:「創造的な知性を培う」新潟大学教育人間科学部附属小学校第2年次研究紀要への研究協力
共同研究の実施状況
・創造的な音楽学習の実践の成果に関する共同研究を継続。「東京学芸大学附属竹早小学校卒業生を対象とした追跡調査をもとに」(共)平成16年10月:日本音楽教育学会においてその成果を研究発表し、現在も継続している。
国際研究プロジェクトへの参加状況
・異文化理解教育に関する日米比較研究の試み。Teachers College, Columbia University, Prof. Sandra Epps(Chief)(平成16年1月〜)
学会活動への参加状況等
@平成17年10月:日本教育大学協会北陸地区音楽部門 研究協議会出席。主催校:信州大学。研究発表(詳細は別途記載)を行った。
A平成17年9月:日本音楽教育学会第18回音楽教育ゼミナール"2005"全国大会実行委員を務めた他、研究発表を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年4月:内宮音楽教室演奏会、企画、運営、司会。 於:長岡リリックホール。
A平成17年10月:新潟県立近代美術館における文化講演会の企画、運営、司会。(社会への寄与等を参照)
B上越市文化・スポーツ振興基金審査会委員として、上越市の文化等の推進を図るべく務めた。
◎社会への寄与等
 平成17年10月:新潟県立近代美術館における文化講演会「ケーテ・コールヴィッツの作品と生涯」(講演者:新潟大学教授 近藤フジエ氏)はドイツの女流版画家・彫刻家、ケーテ・コールヴィッツの特設展覧会を記念して実施された。その作品を通して平和を訴えたコールヴィッツのメッセージを企画や司会進行を通じて、県内からの多くの参会者に届けることができた。一昨年の「舞踊」(本学講堂にての講演会)、17年度の「美術」と、広い意味での芸術をテーマとした講演会等を通じて、県内の方々のコミュニケーションの機会に貢献していきたい。
 

 
平 野 俊 介(助教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 学部のピアノ独奏では、音楽教員としてのピアノの基本的な技能の習得と教育現場で生かせる実践力の獲得を目標にして、指導した。専門セミナー及び大学院のピアノ演奏研究では、各学生の学習目標を明確に見据え、その上で一人一人の適性を慎重に判断し、表現力の育成につながるような研究内容の組み立てに留意した。
○成績評価法に関する取組状況
 音楽実技に関わる授業では、学生が日頃の練習と授業の中で浮かび上がった問題点や課題を、いかに自主的に解決できるヒントを与えることができるかが重要である。評価に際しても、音楽の専門大学とは異なる本学では、技能の到達度や技術の優劣ではなく、あくまでも各学生の学習目標の到達に至る過程を重視した。それに加えて学部は、最終回に行った演奏発表の成果を、大学院では最終的な楽曲の習得状況も含めて評価した。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 音楽科を担当する教員、及び音楽指導に携わる者には、教育の場で幅広く使われるピアノの演奏力を身に付けておくことが要求される。今年度卒業した2名の指導学生も教職に就いたが、現場で生かすことができるピアノの実践力と応用力は獲得できたと思う。
研究指導
 専門セミナー、研究セミナーでの指導は、専門研究としての内容を維持する一方、それだけに偏ることなく学生の卒業修了後の教職の中での実に生かされるようなものであるように努めた。また、大学院の修論指導では、理論面の考察と演奏とが一体化する方向に導いた。
その他の教育活動
@教職講座で音楽実技指導(ピアノ、弾き歌い)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
@平成17年5月:『新潟県公立学校退職校長会記念演奏会』でファゴットの伴奏 センチュリーイカヤ
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越教育大学公開講座『ピアノ入門』を担当(4月〜6月)
A新潟県音楽コンクールピアノ部門実行委員、及びコンクールの審査
B第2回子供のためのアドヴァイスコンサート(上越教育大学講堂)での審査、及び公開レッスン
C高田木曜会合唱団定期演奏会その他でピアノ伴奏を担当