【学校教育総合研究センター】
 

 
南 部 昌 敏(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 授業形態、学習指導法等の教育方法、及び成績評価法等に関する取組状況は次のとおりである。
学 部
 学部2年生全員必修「情報科学概論」では,まず、我が国における教育の情報化の動き及び学校における学習・授業・校務を支援するコンテンツ整備の状況等について解説するとともに、小・中・高・特殊教育諸学校における各教科及び総合的な学習の時間を通して行う情報通信技術(ICT)を活用した学習指導及び情報教育の方略について解説した。具体的には、ITを用いて指導できる教員に求められる基準「自己評価チェックリスト」を用いた自己評価、メディア・リテラシーの必要性とその育成方法、社会的構成主義学習観に基づくマルチメディア・ネットワークを活用した学習支援方法、学習のプロセスを情報活用の連続過程として捉える立場からの学習者の支援方法、ポートフォリオを用いた学習評価方法を取り入れ、電子メールによるレポートで評価した。
 3,4年生選択必修「教育工学」では,後期集中講義形式で,授業の設計・実施・評価、教材やメディア選択・構成・活用、問題解決に必要な情報活用等の教育方法及び技術に関するに関する15項目の学習課題を設定し,テキスト・参考図書・Web等を用いて個人毎にレポートを執筆させ、事前に電子メールで提出させた。さらに、それを基にした4人組の班毎のワークショップ形式による図式表現活用とそのプレゼンテーション、及び、授業者と教員養成実地指導講師2名(現職校長と教育委員会学校指導課長)による解説とコメントによって理解を深めさせるとともに、修正レポートを電子メールで提出させた。評価は、各自のレポート、図式表現とプレゼンテーション、修正レポートで評価した。
 以上のように、担当した授業において、ワークショップや電子メールによるレポート提出などの新しい指導方法による授業改善を行った結果、情報教育及び教育の方法と技術に関する資質能力の向上に貢献することができた。
大学院
 大学院修士課程対象の「教育工学特論」,「教育メディア特別演習」では,7年前から継続して実施している通信衛星を用いた大学間ネットワーク「SCS」を用いた大学間遠隔共同講義「教育工学特講1,2」のプログラムの改訂と同期型遠隔教育システムの活用方法の開発と実践に取り組んだ。受講登録大学数はそれぞれ18、19大学であり、毎回13から15大学、70名前後の大学教官、学部・大学院生、現職教員等が参加した。特に,前者は授業研究及び教師教育に焦点を当て,後者は教育メディアとその活用及び情報教育に焦点を当て,それぞれ教育工学的アプローチに関する理論と実践場面の課題を解決するための具体的適用方法について,全国の大学に所属している教育工学研究者の有志が連係して大学間で共同講義を行うとともに,それぞれの大学学部・大学院の受講者同士の協働学習を取り入れた。また、講義資料等は、岐阜大学のサーバに事前に保存し、そのURLをメーリングリストで周知することで、各自がダウンロードして利用できるようにする方法が定着した。毎回の講義に関するレポートで評価した。
 大学院修士課程対象の「教育実践研究方法論特講」では,5年前から継続して開講している科目であり、本年度も実証的研究,質的研究,開発的研究という3つの主要な研究方法論について,鳴門教育,兵庫教育,上越教育の3大学の教育方法関連の教員を中心に,遠隔共同して講義・演習を行った。これは,通信衛星を利用した遠隔教育システムを用いた3大学間連携と鳴門教育大学と兵庫教育大学の単位互換を含む大学教育方法の改善の取り組みである。
 実践場面分析演習「学習臨床」Ⅰ・Ⅱでは,学校現場で行われている情報教育実践をグループで分担して授業観察・記録・分析を協働して行い,授業設計・実施・評価の方略と具体方策、及び教師と学習者の行動の実態との関連性等について演習形式で検討した。
 情報教育研究セミナー「情報教育」Ⅰ・Ⅱでは、情報教育関連の研究の推進に向けて,文献研究,調査研究,実験研究,開発研究等について、情報教育分野南部研究室所属の大学院1年生1名、大学院2年生6名で定期的ゼミ形式と集中ゼミ形式を適宜取り入れ、通年で協同討論を継続的に行った。
研究指導
 学習臨床講座情報教育分野大学院2年生6名を対象に、①高等学校国語科におけるICTの活用を支援する教員支援環境の開発と評価、②教員養成大学におけるメディア・リテラシーを育成するための学習プログラムの開発と評価、③小学生を対象としたメディア特性理解・選択・活用能力を育成するための学習プログラムの開発と評価、④小学生を対象とした情報活用の実践力の目標基準の策定と学習プログラムの開発と評価、⑤ディジタルコンテンツを活用した授業実践を支援するための教員研修支援環境の開発と評価、⑥Weblogを用いた異文化間理解を支援するための遠隔交流学習支援システムの開発と評価の6つのテーマ研究に関して、情報教育、メディア教育、教育工学の観点から専門的な研究指導を行うとともに、それぞれ、3ヶ月から9ヶ月間にわたる授業実践を通して量的・質的データを用いて検討し、その有効性を明らかにした。その研究成果を、日本教育工学会第21回全国大会(平成17年9月23~25日、会場:徳島大学)、第31回全日本教育工学研究協議会全国大会(平成17年11月11から12日、長野市)において研究発表した。
 学習臨床講座情報教育分野大学院1年生1名を対象に、大学生のパロティングの実態とそれを改善する学習プログラムの開発と題するテーマ研究に関して、情報教育、メディア教育、教育工学の観点から専門的な研究指導を行った。
その他の教育活動
①平成17年4月から7月:毎週火曜日5限,新潟大学非常勤講師として「教育メディア論Ⅱ」を担当した。
②平成17年10月から平成15年2月:毎週火曜日2限,北陸学園非常勤講師として「情報機器の操作」を担当した。
③平成17年8月:上越教育大学学校図書館司書講習「情報メディアの活用」(2単位)を担当した。
④平成17年8月:新潟大学学校図書館司書講習「学校経営と学校図書館」(1単位分)を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
① 昨年度の引き続き、衛星通信大学間ネットワークシステム(SCS)を用いて前期18大学,後期19大学が参加して行う,遠隔共同講義・演習,前期、後期ともに2単位(17時50分から21時、9回、30時間)の教育研究実践、さらに、衛星通信(SCS)を用いて鳴門教育大学・兵庫教育大学・上越教育大学を中心として,大学院における教育研究方法に関する遠隔共同講義・演習,後期2単位(14時30分から18時、9回、30時間)の教育研究実践を継続的に行い,その有効性を検証したことは、大学院における教育方法の改善への取り組みとして評価できる。
② 昨年度に引き続き、学生による授業評価を取り入れた授業改善の試みを、新潟大学において非常勤講師として担当した学芸員資格取得関連科目「教育メディア論Ⅱ」において取り入れ、その有効性を検証した。授業者と受講生132名全員との間でコミュニケーションカード「大福帳」を用いた伝言とコメントのやり取りを毎週継続して行うとともに,受講生からの意見を次の回の授業の改善に反映させる試みを行った。その結果、学芸員の資格取得を目指す、教育人間学部、人文学部、理学部に所属の学部1年生から大学院2年生までの受講生にとって,社会教育施設等でのメディア活用の考え方を再考させ、学芸員の役割を再認識させるきっかけを与えることができた。大学教員がこのような試みを自ら実践して受講生に経験させることによって、これがモデル経験としての意味をもち、受講生に対して、社会教育施設における展示等での効果的なメディア活用の方法を来館者の要望を受け入れながら協働して創っていくことの必要性を実感させることが本年度の試みでも確認できたことは評価できる。
③ 学部における教育方法の改善への取り組みとして,昨年度と同様に、その講義において達成してほしい目標に関するチェックリストによる受講者自身による内省的自己評価を導入したが、自分自身の到達度と課題の確認をさせることができ、学習への動機付けに有効であるという知見を得たことは評価できる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①平成17年11月:『培养网络素养的学习程序开发』,(共著)、中日教育技术学研究与发展论坛发表资料、华南师范大学(日本語表記:『ウェブリテラシーを育成するための学習プログラムの開発』(共著),中日教育工学研究フォーラム発表資料、華南師範大学)
②平成18年3月:『米国公共放送局における活動的視聴(Active Viewing)を促進する番組制作方針とその番組を活用した授業実践事例-WGBH制作の「Between the Lions」を例に-』、秋田大学教育文化学部附属教育実践総合センター教育実践研究紀要、第28巻(共著)
①平成17年8月:『コミュニケーションカードを用いた授業改善の試み(2)~授業者からの返信の特徴の分析を中心に~』(共),日本教育情報学会第21回年会論文集、pp.271-272
②平成17年9月:『ICTを活用した高等学校国語科授業実践を支援するシステムの開発と評価(1)』(共),日本教育工学会第21回全国大会講演論文集、pp.379-380
③平成17年9月:『Weblogを用いた異文化交流学習支援webサイトの開発(2)』(共),日本教育工学会第21回全国大会講演論文集、pp.797-798
④平成17年9月:『小学校高学年を対象とした情報活用の実践力育成プログラムの開発と評価~小学校情報教育カリキュラムの体系化をめざして~』(共),日本教育工学会第21回全国大会講演論文集、pp.841-832
⑤平成17年9月:『教員養成段階のおけるメディア・リテラシー育成プログラムの開発と評価(1)』(共),日本教育工学会第21回全国大会講演論文集、pp.853-854
⑥平成17年10月:『米国公共放送局におけるActive Viewingの概念に基づく番組制作方針と映像番組を活用した授業実践』(共)、日本教育メディア学会第12回年次大会発表論文集、pp.128-129
共同研究の実施状況
①平成16,17,18年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(2)、課題番号16300266)「ヴィジュアル・リテラシー育成プログラムと遠隔教員研修支援システムの開発と評価」代表者:南部昌敏(上越教育大学教授)、共同研究
②教育情報化推進指導者養成研修事業(所轄:日本教育工学振興会)、共同研究
③上越教育大学地域貢献特別支援事業「情報教育実践に関する指導力養成のための現職教員研修支援事業」共同研究
④平成16,17,18年度文部科学省委託研究「ネットワーク配信コンテンツの活用推進事業」(所轄:日本教育工学振興会)、共同研究
学会活動への参加状況等
①平成17年6月18日:日本教育工学会総会・シンポジウムの企画と出席
②平成17年8月20日~21日:日本教育情報学会第21回年会(滋賀大学)出席・研究発表
③平成17年9月22日:第67回国立大学教育実践研究関連センター協議会(香川大学)出席・議長
④平成17年9月23日~25日:日本教育工学会第21回全国大会(徳島大学)出席・研究発表
⑤平成17年10月1日~2日:第12回日本教育メディア学会年次大会(東京学芸大学)出席・研究発表
⑥平成16年10月15日~16日:日本教育工学会秋の合宿研究会(和歌山)出席・企画
⑦平成17年11月11日~12日:第31回全日本教育工学研究協議会(長野市)出席・座長
⑧平成18年2月12日~13日:第68回国立大学教育実践研究関連センター協議会(東京学芸大学)出席・議長
⑨平成18年3月25日~26日:日本教育工学会冬の合宿研究会(専修大学)出席・企画
◎特色・強調点等
① 昨年度の引き続き、遠隔教育,情報教育,メディア教育に関する実践的研究に積極的に取り組み、成果をあげた。
② 研究成果を中国と日本の教育工学研究者の研究交流フォーラム(平成17年11月19日から23日、華南師範大学(広州市))で発表するとともに、加盟している各種学会の全国大会で積極的に発表した。
③ ヴィジュアル・リテラシーに関する先行研究の分析と諸外国の状況調査
 平成17年9月11日から19日の日程で、ボストン公共放送局(WGBH)、The Amigo School(ボストンの公立小学校)、The Public Broadcasting Service(ワシントン)を訪問し、米国の公共放送局における映像番組制作の現状について、実際の番組の制作者(ディレクター)からその概要について聞き取り調査をするとともに、映像番組を活用した教育実践を実際に行っている小学校を訪問し、その授業の様子を参観し、映像番組の活用に関する目的・方法等に関する基本的考え方等について情報を収集した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
①日本教育工学会会員・理事・企画委員会委員長
②日本教育メディア学会会員・理事
③日本教育工学協会理事
④日本科学教育学会会員
⑤日本教育情報学会会員
⑥国立大学教育実践研究関連センター協議会会長
⑦教育情報化推進指導者養成研修指導講師(筑波会場(全国教育委員会指導主事対象))
⑧千葉県総合教育センター・コンピュータ教育開発センター共催情報教育研修講座「これからの情報教育」講師
⑨長野県指導力不足等教員判定委員会委員長
⑩第45回新潟県小・中学校学習指導研究大会・新潟県学校視聴覚教育研究大会(上越大会)講師
⑪文部科学省委託研究「ネットワーク配信コンテンツの活用推進事業」評価推進委員・地域アドバイザー
⑫文部科学省委託研究「e-Learning教員研修システム開発委員会」委員
⑬ICT教育推進プログラム協議会「ICTスキルアッププログラム開発プロジェクト」主査
◎社会への寄与等
① 所属学会の理事,企画委員長、指導力不足等教員判定委員会委員長、情報教育に関する研究開発プロジェクトの委員等を積極的に引き受け,助言指導を行った。
② 教育の情報化を推進するために、教員の指導力を育成するため研修講座における講師を積極的に引き受け、講義・演習指導を行った。
③ 上越教育大学附属中学校における文部科学省指定開発研究に際して、情報活用科のカリキュラム開発に関する指導助言を行った。
④ 上越地域の学校を対象として、情報教育実践に関する教員の指導力向上を図るための現職教員研修支援活動を行った。
 

 
濁 川 明 男(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取り組み状況
・実践的力量を高めるために、学部の「体験学習」では、将来の教育活動に生きる実践的プログラムを導入し、経験幅の拡大が教職を目指す上で大切であることを自覚させる努力を行った。また、教育実地研究Ⅱにおいては、双方向性のある授業への改善に取り組み、基礎基本としての小学校漢字・筆順テスト、国語教材の朗読、授業構想から学習指導案作成など、学生自身の取組を重視したプログラムで展開した。
・兼担としての大学院科目においては、実践的力量形成を重視し、フィ-ルドワーク、カリキュラム構成の手法について実践的事例を通して授業の改善を図った。
○成績評価法に関する取組
 学部「体験学習」においては事後学習を重視し、ポートフォリオの作成を義務づけそれによる評価、実践的技能や基礎的知識については過程で小テストを幾度も位置づけ、学生の努力を評価に反映させた。教育実地研究Ⅱでは教育実習に臨む上で当然身に付けていなければならない基礎学力を課題として提示し、各種の小テストや実技試験を位置づけ評価に反映させた。
【観点2】教育の達成状況
 授業内容が将来の教職とどう関連するのかについて、常に意識して指導に当たった。少人数指導ということもあり、学生の意欲的な取組が見られ、授業評価は高いものであった。
研究指導
【観点1】学部
 フィールド調査活動、文献研究、聞き取り調査等の幅広い調査研究を義務づけ、プログラム開発や学習展開構想までを要求し、実践的指導力につながるように配慮した。
【観点2】大学院
 総合的学習のカリキュラム構想力の育成を重視し、調査、文献研究、聞き取り調査等に基づき、カリキュラム開発研究に取り組ませると共に、アクションリサーチを通して、教育現場の総合的学習の実際と課題を自覚させ、自らの修士研究に反映させるように指導した。
その他の教育活動
①教育実習に伴う事前指導、事後指導、巡回指導、また、合宿研修での教育実習委員長としての指導・助言を行うと共に、「総合インターンシップの導入」、「免Pに伴う実習校の拡大」を図った。
②附属小学校4年1組、大手町小学校の総合的学習でのアクションリサーチ研究
③附属中学校「科学技術教育」での指導助言
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 本学の分離方式の初等教育実習を核とした教育実習体系に関して、文部科学省の特色ある教育支援プログラムへの申請原案を作成した。学内の協力を得て申請書を提出し特色GPに採択されるに至った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①平成17年12月:『青森県尾鮫沼の珪藻群集』(共著)Diatom Vol.21 pp.107-118 日本珪藻学会
①平成17年9月:『森林をテーマとした総合的な学習と支援のあり方』森で学ぶ活動プログラム集3-中学校の総合的な学習-.pp.10-17 全国林業改良普及協会編
共同研究の実施状況
①池沼をテーマとした総合的学習のための基礎研究( 代表者:濁川明男 学校教育総合研究センタープロジェクト研究
②教員養成課程カリキュラム改革のための教育現場の要望・意見調査(代表:濁川明男 学校教育総合研究センタープロジェクト)
③附属小学校4年1組の関川をテーマとした「川童子」でのアクションリサーチ研究
④教職GPに基づく、大手町小学校4年生「青田川」でのアクションリサーチ研究
学会活動への参加状況等
①10月8~9日:日本珪藻学会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
①4月~3月:独立行政法人国立妙高少年自然の家企画評価委員会副委員長
②4月~3月:新潟県義務教育課にいがたスクールエコ運動審査会座長
③11月:長岡市環境教育講座講師
◎社会への寄与等
・県内小・中学校のスクールエコ運動の立ち上げから運営・審査に関わり、本年度で100%の実施率に至った。
 

 
浅 野 秀 之(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 教育実地研究Ⅱの前期は,初等教育実習で活用する学習指導案の作成を履修生に課し,全履修生の学習指導案約340部を分担して読み,朱を入れ,個別・グループ別指導を行った。後期は,履修生を約20名ずつに分けて「国語科授業づくり」を少人数で行い,双方向性のある演習形式で展開した。さらに,成績評価の一部に,漢字テスト,教育用語テスト,朗読テストを採り入れ,実践的な能力を身に付けることができるようにした。
その他の教育活動
 初等教育実習,中等教育実習,観察・参加実習期間中は,担当した小・中及び特殊教育学校を訪問し,実習生の授業や活動を参観し,指導を行った。さらに,実習校の校長や担当教諭から,実習への要望,意見を聴取し,今後の教育実習の改善に役立てようと試みた。実習校への丸投げではないと印象付けることができた。
 本学附属小学校と連携してアクションリサーチを試行し,教育研究と実践とを結び付けた活動の可能性を検討した。附属小学校の研究授業17本を参観し,主に教室環境や授業行為,児童の姿などを批評した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教育実習期間中も指導を継続するため,学校訪問に取り組んだ。18年度の教育実習は学部生と免許取得プログラム院生とが同時になるため,個別・グループ別指導の時間設定の変更,1校当たり訪問回数の減少を懸念している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①平成18年2月:『授業批評の金字塔大森修著作集から学ぶ』(単著) 授業研究21 明治図書 第44巻第2号 pp.13-14
②平成18年2月:『少年ジャンプ努力」「友情」「勝利を伝える』(単著) 心を育てる学級経営 明治図書 第21巻第2号 pp.66-68
平成18年2月:『教員養成課程に求める教育現場の声』(共著)
平成18年3月:『特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)報告書』(共著)
共同研究の実施状況
教員養成課程カリキュラム改革のための基礎調査 代表者:濁川明男(本学教授)
◎特色・強調点等
 共同研究として,教育実習協力校の校長,指導教諭,本学を卒業した教諭を対象にアンケート及び座談会を行い,報告書にまとめた。現場に必要な資質や能力が明確になり,本学カリキュラム改革の方向性が示唆された。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
①8~11月:本学学校教育総合研究センター「模擬授業連続セミナー」講師
②見附市立新潟小学校教員研修講師
③上越市立末広小学校教員研修講師
④上越市立三郷小学校教員研修講師(「模擬授業」の演習)
⑤見附市立名木野小学校教員研修講師(「授業上達論」を講演)
⑥上越市立飯小学校教員研修講師
⑦上越地区教育サークル「ソレイユ」顧問
⑧第3回五色百人一首新潟県大会顧問
◎社会への寄与等
・「模擬授業連続セミナー」全6回に,学部生,院生,現職教員延べ118名が参加した。小中学校における授業の留意点が分かった,このようなセルフモニタリングが大事だ,などと好評であった。
・模擬授業による演習を各校の教員研修にも積極的に採り入れた。18年度は「出前講座」として開設する。
 

 
石 川   真(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 教育情報基礎演習(学部)では,基礎的なコンピュータスキルの修得を行なった。また,予習復習を支援するためにWebも積極的に活用した。講義科目においては,適切なテキストがないため,また,最新の情報を提供するために,各回ごとに資料を作成し配付した。特に卒業後,教師として身に付けておかなければならない最低限の情報リテラシーの指導を行った。
 情報教育方法特論(大学院)では,すべての講義を録画し,VODシステムにより閲覧可能とした。授業時においては,ディスカッションの時間を設け,実践的な事例などについて議論を深めた。ディスカッションを設けることにより,実践的な中での問題点およびその解決策等を明確にすることが可能となり,現職教員にとっては,有用な場となった。
研究指導
 修士1年のゼミにおいては,実践調査に向けて個別指導を丹念に実施した。その他,情報教育分野における他ゼミ生に対しても随時助言を行なった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 講義支援システムを活用し,授業時間外にもさまざまなディスカッションを行える環境を整えたが,今後はより多く利用されるためのカリキュラムの検討が必要である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
平成18年3月:『情報社会における意思決定に関する研究』(単著)上越教育大学研究紀要,25(2), pp. 539-549
平成17年9月:『Webページ上の文字の見やすさと好みの関係に関する研究』(単著)日本感性工学会第7回大会
平成17年9月:『大学生の学習観と授業時学習方略【1】』(共著)日本教育心理学会第47回総会
平成17年9月:『大学生の学習観と授業時学習方略【2】』(共著)日本教育心理学会第47回総会
学会活動への参加状況等
①9月8~10日:日本感性工学会第7回大会出席
②9月17~19日:日本教育心理学会第47回総会出席
③2月16~17日:第37回ヒューマンインタフェース学会研究会出席
◎特色・強調点等
 科学研究費補助金(若手研究(B))の助成を受け,モバイル機器を活用した魅力ある学習環境インタフェースの検討(課題番号16700556)を中心に研究を進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
情報教育実践に関する指導力養成のための現職教員研修支援事業(代表者:南部昌敏)
②特別教育研究経費:情報教育の実践的指導力を備えた教員の養成・研修-「情報モラルを核とした情報教育」及び「教育の情報化」の推進-(代表者:室谷利夫)
 

 
井 上 久 祥(助教授)
 

 
釜 田   聡(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 「教育実地研究Ⅱ」では,最初に,教育実習までに準備すること(身に付けること)を理解させ,学生一人が具体的な目標をもてるように努めた。具体的な授業場面では,初歩的な指導案の作成方法と授業の進め方等の指導を小集団で行ったり,学生同士の相互評価を実施したりした。教育実習後の授業改善アンケート調査(選択式)の結果,最も多いのは,「児童・生徒と対話をしながら授業を進められるような力がつく授業をのぞむ」であった。こうした力は,教科の専門性を高め,的確に児童・生徒と対話する能力,あたたかな人間性などが統一的に求められるものである。そこで,平成17年度は,教科の専門性と子ども理解,表現力などが統一的に発揮できる場面を授業中に意図的に設定した。また,評価テストについては,事前に評価基準を明示して,小集団での朗読テストや漢字書き取りテスト等を実施した。
その他の教育活動
①教育実習の事前・事後指導,実習中の巡回指導等
②学生企画の「学びのクラブ」の指導(フレンドシップ事業)
③韓国短期留学プログラム担当
④上越教育大学附属小学校の研究会協力者
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 「学びクラブ」では,危機管理の面でのハード面とソフト面,双方からの再点検が求められる。本年度は,毎月の活動に,警備員2名と養護教諭1名の常駐を実現した。今後は,学生自身の安全意識を高めることと,具体的な危機回避の方策を学ぶ場を設定する必要がある。平成17年度は,不審者対策講習会と避難訓練,子どもの人権講習などを企画した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
①平成17年4月:「An Application of a three-Dimensional (3-D) Rubric in Assessing the Learning of Undergradua te Students Participating in the“Friendship Jigyou[Friendship Program」(共著),International Journal of Curriculum Development and Practice vol. 7, No.1,pp.1-14
②平成17年5月:「教職をめざす学生にとっての「学びクラブin妙高」の意義-上越教育大学のフレンドシップ事業(自然体験・宿泊学習)における学生の「学び」について-」(共著),『国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要』第5号,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター,pp.163-173
③平成17年4月:釜田聡,「総合を実践する教師の力量形成」,『上越教育大学研究紀要』VOL.24.NO.2,上越教育大学 pp.146-158
④平成17年10月:釜田聡,「中学校における各教科等と関連を図った「総合的な学習」についての意識調査-上越教育大学附属中学校教員へのアンケート調査から-」,『上越教育大学研究紀要』VOL.25.NO.1,上越教育大学,pp.243-254
⑤平成17年11月:釜田聡,「日韓大学生の歴史意識・歴史認識について」,『The 6th annual conference on EIU  East -asian Culture and EIU』,Asia-Pacific Centre of Education for international Understanding,pp.401-412
⑥平成18年3月:釜田聡,「日韓の中学校歴史教科書叙述の比較検討-朝鮮通信使の教科書叙述を中心に-」,『上越教育大学研究紀要』VOL.25.NO.2,上越教育大学,pp.551-563
⑦平成18年3月:和井田清司,釜田聡,杉浦英樹,「「上越教師の会」における教育実践の展開過程-江口武正教育実践資料(江口資料)に基づく一考察-」,『上越教育大学研究紀要』VOL.25.NO.2,上越教育大学,pp.483-514
①平成17年4月:「中学校における国際理解教育」,グローバル時代における国際理解教育日中シンポジウム(北京師範大学)発表
②平成17年6月:「日韓相互理解のための歴史教育への提言ー上越教育大学と韓国教員大学校でのアンケート調査からー」,日本国際理解教育学会発表
③平成17年9月:「「上越教師の会」における地域教育実践の展開過程~江口武正教育実践資料(「江口資料」)にもとづく一考察~」,日本教師教育学会発表
④平成17年10月:「日本と韓国の中学校歴史教科書における前近代両国関係史の記述内容に関する研究」,日本社会科教育学会第55回全国研究大会発表
⑤平成17年11月:「日韓大学生の歴史意識・歴史認識について」,The 6th annual conference on EIU East -asian Culture and EIU,発表
 
共同研究の実施状況
①「国際理解を中心とした総合的学習の内容構成に関する基礎的実践的研究」代表者:川村知行,科研費(基盤研究B(2))
②「教員養成課程の体験的実習に関するルーブリック作成のための実践的研究」代表者:梅澤実,科研費(基盤研究科研費基盤研究(B)(1))
③「地域教育実践に関する総合的調査研究-「上越教師の会」関係資料の収集・分析を中心として-」,代表者:釜田聡,上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況等
①平成17年4月:日中国際シンポジウム参加・発表,北京師範大学比較教育センター・日本国際理解教育学会共催(北京)
②平成17年6月:日本国際理解教育学会参加・発表(東京)
③平成17年9月:日本教師教育学会参加・発表(釧路)
④平成17年10月:日本社会科教育学会参加・発表(東京)
⑤平成17年11月:韓国国際理解教育学会参加・発表(ソウル)
⑥平成17年12月:日中国際シンポジウム参加,日本国際理解教育学会(東京)
⑦日本学校教育学会事務局員(会員管理)
 
◎特色・強調点等
 教師教育の研究では,地域教育実践の掘り起こしに努め,学会発表や研究報告書を作成した。国際理解教育の研究では,韓国教員大学校と連携し,実証的な研究を進めた。また,国際学会にも積極的に参加・発表した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
 フレンドシップ事業企画運営委員として,地域諸機関と連携しながら,学生のボランティアの受け入れ先確保に努めた。
 その他,長岡市教育センター研修講座講師(「「総合的な学習の時間」の光と影」),上越国際交流協会アジア映画鑑賞会講師(「日韓の若者たちの「現在」-「過去」-「未来」」)として,大学と地域の連携に努めた。
◎社会への寄与等
・上越教育大学学校教育総合研究センターのプロジェクト研究や各種事業を通じて地域貢献に尽力した。
 

 
松 井 千鶴子(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 教育実地研究Ⅱ(授業基礎研究)の前期は,初等教育実習で実際に学生が使用する学習指導案の作成,提出を課し,「指導案検討」では,学生が作成した指導案340部程度を分担しながら丁寧に読み,朱を入れ,個別(グループ別)指導を実施した。後期「発問の構成」の授業は,20名弱の少人数で行い,具体的な教材を提示し,考察する視点を明確にしながら,双方向性のある授業を展開した。さらに,成績評価の一部に,漢字テスト,教育用語テスト,朗読テストを取り入れ,基礎的な力を身に付けられるようにした。
その他の教育活動
 初等教育実習及び中等教育実習期間中は,担当した小・中学校すべてを回り,実習生のほとんどの授業を参観し,可能な範囲で指導・助言を行った。また,実習校の校長や担当教諭から,実習への要望,意見等を聴取し,今後の教育実習の改善に役立てようとした。実習校への丸投げではないことを強く印象付けることにもなった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教育実習中も実習生への指導を継続するため,精力的に学校を巡回した。次年度の教育実習は学部生と免許プログラム院生とが同時展開になるため,個別指導の時間設定の方法,一校当たりの訪問回数の減少が懸念される。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
平成18年3月:『実践場面における質的研究法』(共著) 上越教育大学研究紀要 第25巻第2号 pp.463-481
平成18年2月:『教員養成課程に求める教育現場の声』(共著)
平成18年3月:『特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)報告書』(共著)
共同研究の実施状況
教員養成課程カリキュラム改革のための基礎調査 代表者:濁川明男(本学教授)
上越市立大手町小学校の教育課程開発・授業研究システムのモデル化の試み 代表者:増井三夫(本学教授)
勤労観,職業観を身に付けるための学校教育の在り方 代表者:三村隆男(本学助教授)
◎特色・強調点等
 実務家教員として参画し,学校現場での実践研究の進め方等にかかわる提言をしてきたことにより,大学と学校現場の連携協力の推進,学校課題の解決に向けた臨床的研究に寄与できた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
新潟県立教育センター「総合を核とした特色ある学校づくり講座」シンポジスト
②柏崎市立枇杷島小学校「郡市指定総合学習研究発表会」指導者
③糸魚川市立大野小学校校内研修講師(「小学校から行うキャリア教育」を講義)
④総合学習カリキュラム開発セミナー「キャリア教育の視点でつくる総合の授業」の開催
◎社会への寄与等
総合的な学習の時間の内容や指導方法にかかわる考え方や改善策について話をした。実践事例を基にした話で分かりやすいという評価を得た。
 

 
松 沢 要 一(助教授)
 
<教育活動>
授 業
 教育実地研究Ⅱの前期は、指導案の作成を課し、「指導案検討」では、指導案340部程度を分担しながら丁寧に読み、朱を入れ、個別(グループ別)指導を実施した。後期「算数授業づくり」の授業は、20名弱の少人数で行い、具体的な教材を提示し、考察する視点を明確にしながら、双方向性のある授業を展開した。さらに、成績評価の一部に、漢字テスト、教育用語テスト、朗読テストを取り入れ、基礎的な力を身に付けられるようにした。
その他の教育活動
 初等教育実習及び中等教育実習期間中は、担当した小・中学校すべてを回り、実習生のほとんどの授業を参観し、可能な範囲で指導・助言を行った。また、実習校の校長や担当教諭から、実習への要望、意見等を聴取し、今後の教育実習の改善に役立てようとした。実習校への丸投げではないことを強く印象付けることにもなった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 実習中も学生への指導を継続するため、精力的に学校回りに取り組んだ。次年度の実習は学部生と免許プログラム院生とが同時展開になるため、個別指導の時間設定の見直し、一校当たりの訪問回数の減少が懸念される。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
平成18年2月:『教員養成課程に求める教育現場の声』(共著)
平成18年3月:『特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)報告書』(共著)
共同研究の実施状況
教員養成課程カリキュラム改革のための基礎調査 代表者:濁川明男(本学教授)
確率概念の活動的・体験的理解を図る教授単元の臨床的開発研究 代表者:岩崎浩(本学助教授)
小中の接続を意識した新たな図形領域の単元構成 代表者:齋藤九一(本学教授)
学会活動への参加状況等
8月1~3日:日本数学教育学会の講習会に出席
◎特色・強調点等
 大学・大学院における教員養成推進プログラム(教員養成GP)の研究に、実務家教員として参画し、提言してきたことは、マルチコラボレーションによる実践力の形成という点で貴重であるといえる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
科学技術振興機構理数大好きモデル地域事業(新潟県中越地区)運営委員
②三条市小学校教育研究協議会算数部一斉部会研修講師
③中越地区中堅研修講師
④上越市算数・数学の発展的な学習資料作成委員研修講師
⑤長岡教科書を読む会研修講師
⑥十日町市教育振興会学習意欲向上事業算数・数学部研修講師
⑦上越市学校教育研究会算数・数学部会研修講師
⑧見附市立名木野小学校児童向け学び方講座講師
⑨見附市立名木野小学校校内研修講師
⑩上越市立大手町小学校算数指導案検討の指導・助言
⑪上越市立里公小学校出前講座講師
⑫糸魚川市立市振小学校出前講座講師
⑬上越市立大和小学校出前講座講師
◎社会への寄与等
理数大好きモデル地域事業(新潟県中越地区)運営委員として3回の会議に出席し、事業の方向性、事業評価のあり方等について進言した。また、講演を1回行い、具体的な教材を複数紹介した。
研修会の講師等を9回、出前講座の講師を3回務め、主に算数・数学教育の憂慮すべきことや改善策等について話をした。参加者の多くから具体的で分かりやすかったという評価を得た。