第一章 組織の運営状況に関する自己点検・評価
 
2 平成18年度の大学運営
 
平成18年度は,第一期中期目標期間の3年目として,平成19年度までの業務の実績に基づいて行われる中期目標期間評価に対応できるよう慎重な業務運営に努めた。
まず,大学院修士課程の定員充足に関しては,教育内容の見直し,新たな教育ニーズへの対応等,教育・研究指導体制の改善や学生支援の充実,さらには,積極的な広報・PR活動等の実施など,全学を挙げた取組を行った。
この結果,平成18年度の大学院修士課程入学者は定員300人に対して313人に達し,収容定員充足率も前年度の86.3%から102.5%に改善し,本学創設以来の念願であった定員充足の目標を達成することができた。
 
教育研究活動では,附属学校及び地域の学校とともに,教育現場が抱えている教育問題を解決することを目的とし,大学と学校教育現場が連携して教育プログラムの開発を目指した研究プロジェクト「大学・大学院における教員養成推進プログラム(教員養成GP)」も採択2年目を迎え,その成果をまとめた。このプロジェクトでは,本学に在籍する多数の現職院生も参加することにより,本学独自の極めて特色のある取組となっており,この取組は,設置を計画している教職大学院のカリキュラムに組み込む予定である。
授業改善の取り組みとしては,学生による授業評価アンケート,公開授業及びFD推進のための情報交換会を実施するとともに,本学教員による授業改善のための取組みの実践例の紹介と,方策等についての情報交換会も実施した。
また,平成17年度から受け入れを開始した長期履修学生制度に基づく教育職員免許取得プログラムの受講生に対する修学,就職その他学生生活全般に関する支援体制を強化するため,「教育職員免許取得プログラム支援室」を設置するとともに,新たに学外相談員として公立学校校長経験者を1名採用し,支援体制の強化を図った。
さらには,学務情報システムの導入により,教員側は成績評価作業等の確実・効率的な実施,シラバスやオフィスアワー等の周知と内容の充実,学生の履修状況の確認等について迅速に対応することが可能となり,学生側は,端末からの履修登録,リアルタイムでの単位修得状況の確認などが可能となった。
 
戦略的な法人経営体制の確立のため,企画立案体制の整備として,平成16年度の法人化に合わせて設置した総合企画室等5室1本部の見直しを図り,「学生支援室」「カリキュラム企画室」を廃止し,「評価支援室」「GP支援室」「教育職員免許取得プログラム支援室」を設置した。また,平成19年度から「危機管理室」「広報室」の設置を決定し,8室1本部体制となった。
 
業務運営の効率化の面では,平成18年4月より,従来の課・室の構成組織である「係」を統廃合し,一定の業務を包括した「チーム」として編成替えを行い,これまでの41係体制から16チーム体制に再編した。また,課長補佐の職名を副課長に,係長の職名を主査に変更し,主査等のうちからチームリーダーを置き,要員をチームとして束ねることにより,より機動的かつ柔軟な事務が執行できる体制とした。これと併せて,教育支援と研究支援事務の一元化の観点から,総務部の所属であった研究連携室を学務部へ変更した。
 
地域への貢献の面では,小・中学校の評価に関する信頼性・妥当性のある評価資料の開発,教師が評価資料の検討に集中できるシステムの構築をめざすため,産学官連携研究プロジェクト「バードアイシステムの構築による学校評価支援に関する研究」を開始し,大学のもつ専門的ノウハウに,中小企業グループの技術的支援,そして上越市教育委員会の全面的協力を得て,本学附属小・中学校及び計6校において予備調査を開始した。
 
自己点検・評価の充実の面では,中期目標,中期計画及び年度計画に係る原案の策定,自己点検・評価,認証評価及び法人評価に係る専門的実務並びにこれらの評価の結果に基づく改善を行う体制として「評価支援室」を設置した。また,平成17年度に制定した自己点検・評価規則等に基づき,「本学の目的」,「教育研究組織(実施体制)」,「教員及び教育支援者」,「学生の受入」,「教育の成果」,「教育の質の向上及び改善のシステム」,「国際交流」,「施設・設備」,「財務」,「管理運営」の基準に関する自己点検・評価を実施し,直ちに改善に向けた取組を実施した。
 
上記の他にも,平成18年7月の中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」に基づき,前年度から検討を進めてきた教職大学院の設置構想について,デマンドサイドである教育委員会の意見をさらに取り込み,内容の充実を図るため,10県の教育委員会への訪問や,9都県の教育委員会現職教員派遣担当者を招聘した際に,同構想の説明を行い,意見を聴取した。さらに,現職教員派遣実績のある31都道府県教育委員会に同構想についてアンケート調査を実施し,この結果得られた意見等を基に,構想のブラッシュアップを行うとともに修士課程についても見直しを行った。