第一章 組織の運営状況に関する自己点検・評価
 
2 平成19年度の大学運営
 
平成19年度は,第一期中期目標期間の4年目にあたり,平成16年度からの4年間の業務実績に基づいて行われる中期目標期間評価に対応できるよう慎重な業務運営に努めた。
まず,平成20年4月に設置することとした教職大学院(教育実践高度化専攻)については,次のとおり設置準備を行った。
・設置計画書の提出(6月29日)
・大学設置・学校法人審査会の意見に基づき設置計画書を補正した補正計画書の提出(10月9日)
・教職大学院(教育実践高度化専攻)の設置認可(12月3日)
・入学者選抜試験実施(第1次:1月12日,第2次:3月5日,追加:3月25日)
 
教育研究活動では,学部において,中央教育審議会「今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申)」(平成18年7月11日)で新設・必修化が提言された「教職実践演習」について,教職課程の質的水準の向上を目的として,4年間の本学における学習活動で学生が身に付けた知識や技能を有機的に結合させるとともに,教員としての資質・能力が育成されているかを確認するための科目として,全国に先駆けて開設した。
大学院修士課程では,従来より教育現場からの要望が高かった,臨床的・今日的教育課題に即した総合的な指導力を育成することを目的として,共通科目の在り方を検討し,平成20年度入学生に係るカリキュラムから,これまでの2領域3科目から3領域11科目に拡大することとした。
研究活動では,平成19・20年度の専門職大学院GPに採択された「即応力を育成する教職大学院教育課程の構築−教育委員会・学校と連携した教職大学院における実践的な教育課程の充実−」の取組において,地元教育委員会及び上越市内小・中学校(25校)との連携の下,教職大学院教育課程のプログラム開発研究を実施するとともに,この成果については,上越市教育委員会等との共催により開催した「教育フォーラム in 上越」(参加者:県内外の学校教育関係者など延べ約1,000人)において公表した。
研究活動推進のための取組としては,科学研究費補助金の申請を行ったが採択されなかった者に対し,継続して科学研究費申請を行うための支援として,31人に対し研究費の追加配分を行った。
 
社会連携・地域貢献,国際交流等を推進するための取組としては,平成21年度からの教員免許状更新講習の実施に向けて,本学が幹事大学となり,私立大学を含む県内の大学等14機関で構成する「教員免許状更新講習コンソーシアム新潟」を設置し,連携体制を整備するとともに,新潟大学と共同で,試行実施のための免許状更新講習プログラム開発事業の実施を決定した。また,平成18年度に発足した「アジア教師教育コンソーシアム(ATEC)」について,本学が当番大学となり,4ヵ国12大学の参加を得て,第2回ATEC国際シンポジウムを開催した。
 
業務運営の効率化の面では,人的資源を最大限に活用し,教員養成に関して次々に生ずる新たな社会的ニーズに迅速な対応を行うとともに,学生に提供する教育サービスの充実を可能とする新たな教育研究体制を編成することとし,平成19年4月から教員の所属を学校教育学部から大学院学校教育研究科へ変更した上で,平成20年4月からは,これまでの「部」及び「講座」を廃止し,教員組織として研究領域に基づく「学系」と,教育組織として「専攻・コース」を置き,学系に所属する教員が専攻及びこれと対応する専修・コースの教育に出向く体制を構築した。
 
財務内容の改善に関しては,研究費の不正使用防止のための対応として,「研究機関における公的研究費の管理・監査ガイドライン(実施基準)(平成19年2月15日,文部科学大臣決定)」に基づき,学内規定を整備し,責任体制を明確にするとともに,関係組織を設置し,不正使用の防止に努めた。
また,経費の節減のため,管理的経費については前年度に引き続き,冷・暖房期間の短縮やクール・ビズ,ウォーム・ビズを促進するなど,光熱水料の節約に努めるとともに,自己収入の増加に向けた本学の資金運用の新たな試みとして,余裕資金で国債を購入し,利息収入を得た。
 
評価活動に関しては,学校教育法で定められた,教育研究の総合的な状況の評価である「認証評価」について,大学評価・学位授与機構の実施する機関別認証評価を受審し,評価結果については,学内で速やかに指摘点等を検討するとともに,改善に向けた検討に着手した。
 
広報活動に関しては,法人の広報戦略等の企画立案及び大学情報の発信・提供などの広報活動を積極的に推進することを目的とした「広報室」(副学長を室長とし,室長補佐・室員で構成)を設置し,広報体制の強化を図った。また,新たな情報発信として,上越地域の民間FM放送「FM−J」において,教員が自らの研究内容等についてわかりやすく説明する番組「ゼミのあいまに」を週1回合計51回放送した。