6 附属施設等
 
(9) 附属小学校
@ 設置の趣旨(目的)及び組織
ア 教員養成系大学の附属小学校として公立学校と同じく,文部科学省の定める学習指導要領に則って義務教育を行う。
イ 上越教育大学の改革構想を踏まえて,教育の新しい理論や方法について大学と一層連携して研究を行う。
ウ 上越教育大学学校教育学部学生の教育実習を指導し,次代を担う教育者の育成に努める。
エ 大学と共同で行う実証的研究のほかに,本校の主体的立場から研究主題を設定して,教育活動に関する各種の研究を行い,地域の教育現場に寄与できる資料を提供する。
オ 教育誌「教育創造」を発刊し,本校教員の研究をはじめ県内外の教師の研究発表の場とする。
カ 職員配置数 校長,副校長,教頭,教諭15名,養護教諭,栄養教諭,講師1名
キ 教育目標 生き生きとした子供
A 運営・活動の状況
ア 子どもの学びに着眼した教育課程開発の推進
 子どもが、人・もの・こととのかかわりを広げていく姿を心豊かに生きる姿と定義し、 そのような姿を生み出す要因分析・検討を通した教育課程開発を進めてきた。
(ア) 研究を進める基本的な考え
a 教師一人一人が日常の教育実践を子どもの姿から問い直し,学びに即した教育活動を構想・展開する。
b 実践レポートの集積・検討を通し,継続的・複眼的にカリキュラムを評価改善し,教育課程を改善する。
(イ) 研究の方法
a 教諭一人一人のもつ問題意識をもとに実践を継続しながら,その取組の状況を実践レポートに整理した。
b 自らの主張を明確にした授業研究を実施し,外部評価を取り入れながら,実践者の考えを多様な観点から検討し評価を行った。
c 大学教員には共同研究者として,理論面での整理の仕方,授業展開の在り方等について指導を受け,カリキュラムの評価改善を行った。
d 子どもの日々の記録,調査活動のまとめ,作文,作品等を分析し,集積しながらその変容をとらえ,継続的な指導に生かした。
e 6月26日,27日に研究会を開催し,研究の一端を広く学校関係者に紹介するとともに,様々な意見や考えをもとに研究の深化を図った。
イ 共通理解に基づく生徒指導体制の確立と保護者の協力体制
 子どもを見つめ,その実態をとらえながら機を逸しないように支援・指導していくことが生徒指導の基本であるとの認識に立って,情報交換を密にし全校体制で取り組む。とりわけ,予防的な指導に力を入れ,事前の早めの情報収集と情報交換を行う。
a 「心をつないでみんなの楽しみをつくろうとする子ども」をめざし,異学年交流活動の充実を図った。また、気になる子どもを見逃さない体制づくりに努めてきた。
b 子ども一人一人の結び付きを深めるという立場から,プロジェクト集会,サークル活 動の充実に取り組んだ。
c 保護者との連携を密にするため,連絡帳や学年だより等を有効に活用したり学級PTA,学年懇談会,個別懇談会等を実施して理解を深めてきた。
ウ 体験的な活動への家庭や地域の人々の協力
 子どもは体験を通して様々なもの・人・ことと出会い,自らの学びをつくりひろげながら学ぶ喜びを実感してきた。こうした体験を中核にした教育活動を構成するために,次のことに取り組む。
a 年度当初に各学級担任がカリキュラム概要を保護者に説明し,年間の活動の流れと共に,具体的なかかわり方を提示し,保護者と協働して活動に取り組んだ。
b 関係諸施設への訪問等,地域の施設やサークルに依頼し,子どもの活動が広がる仕組みを整えた。
c PTAが主催するウィークエンド体験事業等,休日を利用したふれあいの場を設け,保護者との連携を密にした。
エ 教育誌「教育創造」の発行
 「せまる!新学習指導要領改訂」を特集テーマに,大学教員の論文,附属小学校の主張や実践例,県内はもとより広く全国の公立小・中学校の実践等で編集・発行した。
B 優れた点及び今後の検討課題等
ア 教育課程開発にかかわる優れた点及び課題
 各担任が作成する「学級カリキュラム」による実践が確実に実施され,実践を通してカリキュラムの修正や付加が継続的に行われている。今後も単元開発を継続し,特色ある 教育課程編成やその運用の改善を図ることに努めていく。
イ 生徒指導体制の確立にかかわる優れた点及び課題
 いじめや心に悩みをかかえた子どもの早期発見のために,電話や連絡帳を中心に保護者との情報交換を行い,連携した取組を進めてきた。また,定期的に子どもに関する情報交換の機会を設定し,職員の共通理解を図って対応するよう努めてきた。今後は,生徒指導部を中心に気になる子どもを見逃さない体制を確立させることが課題である。
ウ 家庭,地域との連携強化にかかわる優れた点及び課題
 保護者や家族のボランティアにより,地域の通学路の安全点検を行っている。現在23名の方が,毎月10日の安全の日を中心にパトロールの協力をいただいている。また,児童を車で送迎している方には,希望制でPTAで作成した安全パトロールステッカーを車に装着していただいている。また、緊急災害時等の一斉配信メールの体制を充実させ、迅速で確実な連絡体制が整ってきた。今後も,子どもの安全を守る体制のより一層の充実と意識の高陽を図っていくことが課題である。
エ 定員充足にむけた取組の優れた点及び課題
 ここ数年新1年生の入学希望者が増加傾向にあり、平成19・20年度では、定員を超 える人数となった。これは,学校説明会の開催を始めとした学校紹介パンフレット,市 内幼稚園・保育園への情宣活動の成果である。それとともに,附属小学校の教育活動の よさが,保護者に理解されていることの表れであると考える。しかし,1年生及び低学 年において,担任一人による40名への指導は,指導が行き渡らない状況を生じやすい。 昨今のいじめ不登校児が発生した時の対応,軽度発達障害児への対応を考えた時の人的 補充を整えることが大きな課題である。