【生徒指導総合講座】
 

 
荻 原 克 男(教 授)
 
<教育活動>
授 業
@学部
「現代社会と学校」では,激動する現代日本社会のなかでの学校の位置や役割,今後の課題について,受講者各自の関心テーマに応じた文献を選定し,その読解・報告と討論を行った。本年度はとくに,教育基本法の改訂とそれにともなう教育三法をめぐる問題,グローバル化と教育問題,「能力」主義の変容とメリトクラシーの今後の展望,等の諸テーマを扱った。
A大学院
「教育政策特論」では,学校現場とはかけ離れて縁遠いものと考えられがちな教育政策が,実際には各学校レベルの教育実践を様々に規定し,方向づけていることを,具体的な教育課題を通して検討した。「現代教育改革特論」では,1990年代以降活発化し,現在も進行中の教育改革の動きについて,その背景・ねらい・現状と今後の課題について具体的な改革テーマに即して検討した。また,最新のトピックとして学力テストをめぐる問題について調査・討議を行った。
 学部と大学院いずれの授業についても,講義と受講者による報告・討議とを併用する授業形態を採用した。また,授業に関連する題材や指定文献に関しての感想や質問をメールによって事前に提出してもらい,その結果を次回授業時において紹介・活用することで,授業時間内外での双方向的なコミュニケーション機会を多元的に設けた。
 授業内容については,シラバスで予告した計画を前提としながら,実際の出席者の希望・関心を酌量して,適宜,授業内容の追加・入れ替え・取り扱いの精度の調整などを行うことにより,受講者の関心・学習意欲とのマッチングに配慮した。いずれも科目の性格をも考慮して,その時点で重要な争点となっているできるだけホットなトピックを授業でも取り上げるよう努めた。
研究指導
 大学院学生と,現場での素朴で直感的な問題関心を研究課題へと絞り込むための視点と方法について検討・指導を行った。本年度はとくに,@民間人校長による学校経営改革をめぐる現状と課題について,A中学校における生徒会活動の現状と活性化へ向けた課題について,B中学校区を基盤とした学校・家庭・地域社会の連携の現状について,C意見表明権と生徒の学校参加について(とくに三者協議会に注目して),D日本におけるシティズンシップ教育(市民性教育)の意義と可能性について,内外の先行研究について検討を行うとともに,具体的な研究テーマへの絞り込みを行った。2年生については,調査の計画・実施過程において随時詳細な検討作業を行うとともに,実際の論文作成過程に即しての指導・援助を行った。
◎特色ある点等
 いずれの教育活動においても,各自が主体的に課題をみつけ,それについて調査・考察し,その結果を他者に対して分かりやすく提示し,互いに討論する経験をもつことを重視した。実際に,これらの学習機会,経験機会を多角的に設ける工夫を行った。それらを通じて,立場や意見を異にする他者と適切にコミュニケーションできる力を身につけることが目標である。
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
@日本行政学会2007年度総会・研究大会:2007年5月26日〜27日(北海学園大学)
A日本教育政策学会第14回大会:2007年7月7日〜8日(北海道大学)理事会
B日本学校教育学会第22回研究大会:2007年8月4日〜5日(鹿児島大学)。学会事務局,司会担当
C日本教育行政学会第41回大会:2007年10月12日〜14日(神戸大学)年報編集委員会
[役職等]
@日本学校教育学会理事(兼,事務局長)
A日本教育行政学会年報編集委員(2007年10月まで)
B日本教育行政学会理事(2007年10月〜2010年10月)
C日本教育行政学会研究推進委員(2007年10月〜2010年10月)
D日本教育政策学会理事
共同研究等
「比較制度論を応用した日本型教育行財政システムの生成・展開・再編に関する研究」(日本学術振興会科学研究費補助金)
その他
日本学術振興会科学研究費補助金研究代表者「福祉国家転換期における教育改革―臨教審改革の再検討―」
◎特色・強調点等
 現代日本の教育改革の歴史的系譜およびその史的展開過程について検討を行った。従来までのわが国における公教育の制度編成および実施形態が大きく変容しつつあるなかで,その変容を歴史的視座から捉えなおすことを通じて,近未来の公教育像を展望しようとするものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県公立小・中・養護学校事務職員研究会への指導助言
A全国公立学校事務職員研究会,第39回全国大会(愛知大会)に助言者として参加
 

  
西   穰 司(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態、学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 シラバスに担当授業科目の目標・内容を可能な限り明確に記述するとともに、実際の授業では授業内容の理解に有益と思われる資料を、各授業科目ごとにB4判15〜20枚程度配付して学習効果を高めるよう努めた。また、一方的な講義にならないよう、授業内容に関わる学生の疑問や意見を表明できる機会を適宜設定して、対話・討議を織り込んだ授業展開に努めた。
○成績評価法に関する取組状況
 各担当授業科目のねらいが、単に基本的な認識を的確にするだけではなく、受講学生自身が当該授業科目の主要事項についての学問的反省の加わった認識に到達することを重視しているため、成績評価の主たる基準として2回のリポート提出を課した。リポートの課題・作成上の留意点・採点基準については、提出の約1ヶ月前までに文書で提示し、十分な準備をして力作を仕上げるよう求めた。また、採点結果については、個別にコメントを付して返却し、広く言えば文章表現力の向上にも資するよう配慮した。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 修士課程2年次学生2名のうち、1名は翌年次(3年次)まで就学予定の1名を除く1名は、中国からの留学生であった事情もあり、本人の希望で東京に本社がある情報処理分野の会社への就職を内定し、幸いであった。
研究指導
【観点1】学部
 担当した3年次学生1名は、学級経営に関する研究テーマを設定し、有力な先行研究の収集・分析・検討作業を着実に進めた。
【観点2】大学院
 担当した2年次学生1名は、学部段階での卒業論文を発展させる研究テーマを設定し、忍耐強くしかも緻密な事例調査に基づく優れた修士論文を仕上げた。
その他の教育活動
@平成19年8月:学校図書館司書教諭講習のうちの「学校経営と学校図書館」を担当した
A平成19年8月:新潟県栄養教諭免許法認定講習において、「人間教育学セミナー」を担当した。
B平成19年8月:富山大学教育学部非常勤講師として「学校経営」(文系)を担当した。
C平成19年9月:山形大学農学部非常勤講師として「教育経営学」を担当した。
D平成19年9月:新潟産業大学非常勤講師として「教育制度論」を担当した。
E平成20年2月:富山大学非常勤講師として「学校経営」(理系)を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 一般的・抽象的な学校経営論に陥らないように、日頃から意識的に努力して具体的実践事例を収集し、受講学生が明快に理解でき、しかも学校組織の一員としての貢献意欲を高めうるよう授業内容・方法を工夫している。
 また、研究指導においては、本学において重視している教育に関する臨床研究推進に資するよう、具体的実践事例を通して見出される「実践知」を発掘し、しかもそれを一定程度普遍化する可能性を追求している。しかしながら、この「実践知」の発掘・普及は決して容易ではなく、本学の関係者ばかりか、全国の関係機関・関係者との積極的な共同研究を通してこそ優れた成果が収められるのではないかと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年11月:「免許更新講習の内容と実施の具体」、『(別冊教職研修2007年11月号)学校管理職合格セミナー』教育開発研究所、pp.23-25.
A平成19年12月:「わが国の教員免許制度の歴史的特質と課題−『専門職制の確立』理念を視座として−」、『文教大学教育研究所紀要』第16号、pp.7-15
B平成20年3月:「教師にとっての『理論知』と『実践知』−両者の新たな関係性創出のために−」、日本学校教育学会編『学校教育の「理論知」と「実践知」−その現状と新たな関係性の探求−』教育開発研究所、pp.213-229.
学会活動への参加状況
@平成19年7月7日〜8日:日本カリキュラム学会第18回大会(於:埼玉大学)出席
A平成19年8月4日〜5日:日本学校教育学会第22回研究大会(於:鹿児島大学)出席
B平成19年9月29日〜30日:日本教師教育学会第17回研究大会(於:鳴門教育大学)出席
C平成19年度日本学校教育学会理事
D平成19年度日本教師教育学会理事
◎特色・強調点等
 わが国の学校改革の諸施策が多様に展開されるなかで、とくに各学校での教育課程の開発的取組と、個々の教師の職能発達促進に力点を置いた研究を特色としている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年7月4日:大分県教育センター主催の県立学校教務主任等研修講師(「学校経営における教務主任の役割」を講義)
A平成19年8月6日:新潟県教育センター主催の教職12年経験者研修(教育課程コース)講師(「教育課程をマネジメントする」を講義)
B平成19年8月16日:新潟県教育センター主催の教職12年経験者研修(教育課程コース)講師(「教育課程をマネジメントする」を講義)
C平成19年10月24日:富山県総合教育センター主催の県立学校経営研修会講師(「教員の資質向上と学校経営の課題」を講義)
 

 
林   泰 成(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 演習ではワークやエクササイズを取り入れ,参加体験型の授業を実施し,実際に小中学校で使えるスキルを身につけるような指導を行った。講義でもビデオで小中学校での授業の様子を視聴し,その後に議論を行って,臨床的な力の育成に努めた。成績評価の基準は,シラバスで明示している。
【観点2】教育の達成状況
 道徳関連科目では,実践的な方法を採り上げているので,卒業生・修了生が教職に就いたときに役立っていると判断できる。学部ゼミ生のうち1名が大学院へ進学した。
研究指導
【観点1】学部
 授業でのワークやエクササイズを通して実践的なスキルの指導ばかりでなく,ゼミを通して,いじめや不登校に対する支援などの方法について指導した。
【観点2】大学院
 専門職大学院GPに関わる実践研究を通して,ゼミ生が小学校現場に入り,協力者として学校現場の教職員と協同で活動を行った。大学の中だけでは身につけることのできない実践力を育成できたものと考える。
その他の教育活動
@国立大学法人富山大学非常勤講師として「道徳教育論」を担当した。
A新潟産業大学非常勤講師として「道徳教育論」を担当した。
B放送大学客員教授として「道徳教育論」を担当した。
C学内の教職講座において「道徳教育・同和教育」を担当した。
D附属小学校および附属中学校において研究協力者として指導・助言を行った。
E上越市立春日小学校,上越市立大手町小学校をはじめ複数の小中学校で,研究授業公開の講師・指導者として講演や指導・助言を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 大学および大学院の授業を,参加体験型で実施しているのが大きな特色である。ただし学部の「道徳の指導法」は,必修科目であり,多数の履修者がおり,参加体験型の授業を実施できない状況にある。この講義も,クラス分けをするなどして,より実践に即した指導ができるように今後検討しなければならない。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成19年6月:☆日本道徳教育学会シンポジウム「生き方教育としての道徳教育」コーディネーター
A平成19年6月:「日本におけるケアリング倫理の観点からの道徳教育」Asia Pacific Network for Moral Education第2回大会発表(中国,中山大学)
B平成19年11月:「モラルスキルトレーニング:日本における新しい道徳教育」Association for Moral Educationニューヨーク大会発表(USA, New York University)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@専門職大学院GPによる取り組みの一環として,上越市内4つの小中学校で実践研究を行った。
学会活動への参加状況
@5月11日〜14日:Asia Pacific Network for Moral Education出席
A6月9日・10日:日本道徳教育方法学会出席
B6月23日・24日:日本道徳教育学会出席
C6月30日:日本キリスト教教育学会出席
D10月13日・14日:教育哲学会出席
E11月15日〜17日:Association for Moral Education出席
在外研究の状況
@5月11日〜5月14日:中国広州の中山大学に滞在し,Asia Pacific Network for Moral Educationに出席
A11月9日〜11月18日:USAニューヨーク市に滞在し,ニューヨーク大学で資料収集を行うとともに,Association for Moral Educationに出席
◎特色・強調点等
 以前より,モラルスキルトレーニングという新しい道徳教育の方法についての提案を行っているが,19年度は海外の学会においてその取り組みを紹介した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県同和教育推進協議会委員(副委員長)
A新潟県命の大切さを学ばせる体験活動推進会議委員
B新潟県豊かな体験活動推進協議会委員
C新潟県学校派遣カウンセラー
D新潟県命を大切にする教育フォーラム講師(県内5会場で約700名の教員を対象に講演を行った)
E上越市立城北中学校評議員
FNHK「道徳ドキュメント!」番組委員
G独立行政法人教員研修センター平成19年度道徳教育指導者養成研修(九州ブロックおよび北海道・東北ブロック)講師・助言者
◎社会への寄与等
 県教委が組織する委員会等への参加を通して,県教委の活動にかかわった。大学が設置する出前講座と,小中学校・高等学校からの依頼による研修会の実施を通して,学校現場との連携に努めた。
 

 
若 井 彌 一(教 授)
 
<教育活動>
授 業
学部の担当授業「人権と教育行政」、「教育と法規」、「人権・同和教育」等については、シラバスに授業の狙い(目標)を明示し、授業時の最初に説明し、目標意識を持たせるように努めた。「人権・同和教育」については、人権についての思考力の深まりをつけることが特に重要であると考えられるので、レポートを複数回提出させ、その記述内容を踏まえて授業展開を図るように努めた。
次に、大学院については、単独の担当授業として、「人権と教育行政特論」、「学校の危機管理特論」、「教育法規特論」等を担当した。また、オムニバス方式によるものとして、「実践場面分析演習T」、「実践場面分析演習U」等を担当した。
単独の担当授業では、例年の如く授業の目標を講義の最初において明示し、小・中・高等学校の教育現場で発生し、又は関連深い問題を素材として取り上げ、実践的又は応用的理解力を豊かにするように努めた。また、テーマ設定によるレポート提出(「人権と教育行政特論」、「学校の危機管理特論」で実施)を求め、受講生の理解度を把握し、授業展開に活用した。
成績評価については、レポートの記述内容、授業時の発言内容等をも考慮に入れて、公平・妥当な評価に努めた。
研究指導
3年間の長期履修プログラム院生(M3)に対して、随時の個別相談を実施した。学部での履修内容を大学院での研究テーマにどのように活かし、発展させるかについて指導・助言を与え、教育行政、教育法規の基本的事項についての理解を深めることができるよう工夫を試みたが、論文をまとめきるに至らなかった。
18年度入学の2名の院生(1名は現職教員、1名はストレートマスター)に対しては、共通理解を深めるための合同ゼミと、院生の課題別に応じての個別指導を併用する形で進めた結果、良好な論文をまとめ、修了した。
19年度入学の4名の院生(1名は現職教員、3名はストレートマスター)については、適宜個人指導を中心として、学習状況を確認し、また、合同ゼミを通じて、論文作成の基礎を築くことに向けて指導を進めた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
授業については、学部では、特に分かり易く、要点を押さえた授業を、大学院では、特に教育現場で実際に発生する課題・問題についての理解と対応力を鍛える授業を心掛けてきている。大学院については概ね良好な結果を得ているが、学部の授業(特に、「人権・同和教育」)については、「人権の尊重」について「考える力」と実践的意欲を向上させるため、更なる取り組みの工夫が必要であると感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年2月:『2009年度版 必携 学校小六法』(共編著)協同出版、総頁数970頁 執筆項目「教育公務員特例法」の解説 267、「教育職員免許法」の解説 327-329 事項別解説 2学校教育編「学校教育の目的・目標」806、「教育課程の編成」807-809、「性行不良による出席停止」817、「児童生徒の懲戒」817-818、「各種学校・専修学校」829-830、「総合的な学習の時間」830、「人権教育・人権啓発」833-834、「学校評価」838、3学校教育奨励編 「就学援助」839-840、「教育振興」840-841、6教育職員・勤務条件・教員免許編 「公務員の定義」856、「設置」856-858、「教職員の職務」858-859、「教職員の任用」859-860、「分限」860-861、「懲戒」861、「教職の研修」864-865、「共済組合」869-870、「公務災害補償」871、「教職員の資格および免許」871-875、7教育行政編 「中央の教育行政」876、「情報公開制度」881-883
A平成20年3月:『教員の養成・免許・採用・研修』(編著)、教育開発研究所 総頁数 359頁
論】@平成19年4月〜平成20年3月:「教育と時事−解説・提言−」(連載・単著)、月刊『教職研修』、教育開発研究所、(執筆分量、毎号約400字×10枚)
A平成19年4月〜平成20年3月:「学校管理職の法的教養〜教育改革時代を生き抜くために〜」(連載・単著)、全国公立学校教頭会編集、月刊『学校運営』、学校運営研究会、(執筆分量、毎号約400字×7枚)
B平成19年4月〜平成20年3月:「学校経営法律指南」(連載・単著)、『週刊教育PRO』、日本教育綜合研究所(執筆分量、毎号約400字×2.5枚)
C平成20年3月:「日本の教育基本法及び教育関連三法の改正と今後の課題」『東アジアにおける学校教育改革の共通理解と差異の比較に関する総合的調査研究』(最終報告書 研究代表者 戸北 凱惟 103〜114
国際研究プロジェクトへの参加状況
@平成17〜19年度 科学研究費補助金、基盤研究B海外(研究課題番号174020383401):東アジアの学校教育改革に関する総合的研究(研究代表者:戸北凱惟)
A平成18〜20年度 科学研究費補助金、基盤研究B(研究課題番号18330164):教員養成系大学院の制度とその教育実践に関する総合的研究(研究代表者:和井田清司)
学会活動への参加状況等
@日本教育行政学会理事
A日本教育経営学会理事
B日本生徒指導学会理事
C日本学校教育学会会長
D日本教育法学会会員
E日本教師教育学会会員
F上越教育経営研究会会員
◎特色・強調点等
研究については、小・中・高等学校等の教育界で問題となっていることを直視して、問題解決のための具体的・実践的提案をすることを心掛けている。教育委員会や教育センター主催の教員研修講師の要望が毎年相当数あることから、教育現場から一定の評価が得られていると思われる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@文部科学省「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議」委員
A全日本大学準硬式野球連盟評議員
B北信越大学準硬式野球連盟会長
C新潟県社会教育委員
D新潟県同和教育高等学校用副読本『生きるX』活用委員会委員
E上越市情報公開・個人情報保護審議会委員
F日本教育都々逸研究会会長
 
◎社会への寄与等
本務の遂行に支障のない範囲で、社会的活動にも積極的に参加し、研究成果の社会的還元に努めている。上記@については、平成18年1月に、「第2次とりまとめ」を会議として公表した。その後、第3次とりまとめに向けて作業を進め、平成20年3月に一応の完成をみた。

 
安 藤 知 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
 平成19年度は,受講者が多く,「学年・学級経営特論」を2つの時間帯に分けて授業を行ったが,それでも受講者のレポートと討議を中心としたスタイルには課題が残った。その中で,授業記録用紙を活用したリフレクションとフィードバックは,受講者個々人の思考を深め,それを他者と交流させる方法として有効であった。また学部授業科目は,現職教員へのインタビューやショート・エクササイズ,グループ討議などを活用し,学生の興味関心を喚起し,能動的思考を促す講義を行うよう配慮した。
研究指導 
 経験的で素朴な問題関心を分析的に捉えて行動を判断する思考訓練に重点をおいて指導を行った。特に先行研究を丁寧に読解しつつ自らの主張を組み立てる作業について,多様な関心を持つ院生間の議論が生かされるよう配慮した。また,ゼミ生以外の学生,他コース院生からの相談にも応じ,広く論文作成への支援を行った。
その他の教育活動
@8月:栄養教諭認定講習講師(教育実地研究Y生徒指導)
A9月:筑波大学非常勤講師「教育基礎学」
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教育活動,研究指導いずれについても,個々の院生・学生の主体的な取り組みが高まるように,課題設定や提示方法を工夫した。また個人の学習が単発的なものではなく一連のまとまりになっていくように,記録させることとそれに対するフィードバックを繰り返していくことで,内容の連続性に配慮した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年5月:「免許更新制論議と研修体系の再構築」(単著) 時代の転換と学校経営改革 学文社 pp.162-172.
A平成20年3月:「教員研修の制度的整備と新たな課題 10年経験者研修」(単著) 教員の養成・免許・採用・研修 教育開発研究所 pp.143-148.
他】@平成20年3月:「子どもと向き合う時間の確保」(単著) 教職研修第428号 pp.24-27.
共同研究(小,中,高等学校及び特殊教育書学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@学校支援プロジェクトでの直江津東中学校及び潮陵中学校との共同研究(平成19年度専門職大学院等教育推進プログラム「即応力を育成する教職大学院教育課程の構築」)
学会活動への参加状況
@8月4日〜5日:日本学校教育学会第22回研究大会出席
A日本学校教育学会理事・機関誌編集委員会副委員長
◎特色・強調点等
 学校支援プロジェクトの一環として,上越市立中学校に関わり,班長会議を中心とする学級活動の工夫やリーダー育成に関する取り組みの成果を評価する方法について共同研究を行った。この研究は,学校での実践的研究であると同時に,教職大学院発足をにらんだプログラム開発研究にもなっている点に研究の意義と独自性がある。また,並行して教員評価や教員免許更新制などの今日的な課題との関連で,教員の専門性の意味内容の変容を模索した。変化の激しい社会的状況の中で,今後の教員の専門性の有り様を探る視点は,新たな教員養成カリキュラムを構想する際にも不可欠となる着眼である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市立高志小学校学校評議員
A12月:新潟県12年経験者研修(学校経営に参画する中堅教員の在り方)
 

 
大 前 敦 巳(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育社会学特論(大学院)では,学校・家庭・地域・職場にわたる社会生活環境の変化への対応をふまえ,フランス社会との比較を念頭に置きながら,社会の中の人間発達と子ども支援について議論した。小テーマ毎に3回分の時間を割り当て,最初2回を講義に充て,3回目をディスカッション中心とし,学生との双方向的な対話を重視した。授業終了時にリアクション用紙を配布し,質問,意見,感想などを記入してもらい,授業改善とディスカッションの参考資料に使用した。成績評価は,討論への積極的参加を重視した平常点と,「格差に挑む」(『教育社会学研究』第80集特集)にかかわるレポートによるものとし,授業内容が受講生の教育実践につながるよう工夫を試みた。
 教育実地調査分析演習T(大学院)では,修士論文の作成に向けて,質問紙調査,観察,インタビュー,プログラム開発,授業参画などによる現地調査の基本的な技法について概説した。後期の同演習Uにおいて,質問紙調査の過程を実習形式で体験的に学習する授業を行った。調査データの分析においては,エクセルを用いた演習により単純集計から多変量解析にいたる分析技法を習得させた。また,後期にはFD活動の一環として授業公開を行った。
 比較教育学(学部)では,幼少時から成人へと発達していくあり方に着目して日仏の教育を比較した。フランスの教育について概説した後,日本との差異や類似点について無作為に学生に質問し,発言を求めた。リアクション用紙も活用し,学生との双方向の対話を重視した。最終回にフランス式の論述試験を行い,授業の理解度と教育実践への展開にかかわる思考力を問い,発言とリアクション用紙による授業への積極的参加度と合わせて評価した。
 生涯学習概論A(学部)では,現代社会の変化に柔軟に対応することのできる生涯学習の施策および支援体制作りについて,レジュメ・プリント・パソコン・プロジェクタ等の複数のメディア教材を利用して講義した。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケートの結果から,いずれの授業とも幅広い社会の文脈から,今日の教育にかかわる理解を深め,変化に柔軟に対応できる力量を高めることに貢献できたと考える。また,各人が主観的に抱いている教育への思いを超えて,現実の調査データや資料に向き合うことで,具体的な教育の実際に即した理解力と探究力を育成することができた。
研究指導
【観点1】学部
 今年度は3年次生1名の指導であったが,週1回のゼミのほか,個別指導を通じて研究への興味関心を喚起し,卒論テーマを明確化することに努めた。今日の子どもにおける絵画経験を仮テーマに,先行研究や関係資料を読み進める作業を行った。
【観点2】大学院
 11名の大学院生が参加する週1回の全体ゼミでは,修士論文作成に向けた研究レポート報告とディスカッションを行ったほか,前期に教育社会学の基本テキストを,後期により高度な専門文献(P.ブルデュー『結婚戦略』藤原書店刊)を講読した。3名の修士論文準備学生に対しては,個別指導を通じて先行研究の整理,調査の計画と実施,データの分析,原稿の執筆にいたる支援を行い,教育現場との関わりを重視した臨床的・実践的な研究を推進した。また,6名の免P・ストレート学生に対しては,全体ゼミとは別個に週1回のサブゼミを実施し,文献の読み方・まとめ方,文章の書き方,レジュメ作成の仕方などの指導を行うとともに,学生同士の相互交流を図り,日常生活の様々な相談に応じた。
その他の教育活動
@平成19年8月:新潟県教員免許認定講習(教育に関する社会的,制度的又は経営的事項)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教育を取り巻く社会環境の変容と人間発達支援のあり方に関して,ステレオタイプ的な理解にとどまらず,データや資料を用いながら自分で問題を吟味し判断する力をつけることに,教育の重点を置いている。修士論文の作成(ゼミ運営)にあたっては,各学生の教育経験や関心を基に自ら選択した研究テーマを掘り下げ,発表する機会を与えるとともに,他の学生の発表を聴き,ディスカッションを行うことを通じて,教育に関する問題の理解を広げ,現場の様々な問題に対応できる力を身につけさせるよう心がけた。公開ゼミとすることで教育内容の公開性を高め,サブゼミで緊密なコミュニケーションを図ることにより困難を抱えた学生の支援に努めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年2月:「職業形成面からみた4年間の学生生活―上越教育大学における追跡調査の結果から―」『上越教育大学研究紀要』第27巻, 55-64頁.
発】@平成19年5月:「大学教育の文化習得効果(4)―4年間の学生生活を通じた職業形成との関わりから―」, 日本高等教育学会第10回大会, 名古屋大学.
A平成19年9月:「大学生活を通じた文化資本の蓄積効果―上越教育大学と関西私立大学・短大における追跡調査の結果から―」, 日本教育社会学会第59回大会, 茨城大学.
他】@平成20年3月:『大学から職業への移行における文化資本の持続効果に関する追跡調査研究』, 平成18〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書.
A平成20年3月:「新刊紹介,アレゼール,C.シャルル・Cスリエ編,『ヨーロッパにおける大学「近代化」の荒廃』」, 日仏教育学会年報 第14号
 
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@アレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会)事務局会員 代表者:岡山茂(早稲田大学教授)
学会活動への参加状況
@5月25〜27日:日本高等教育学会出席
A9月21〜23日:日本教育社会学会出席
B10月28日:日仏教育学会出席
C日仏教育学会理事,事務局長
◎特色・強調点等
 2006-2007年度科学研究費補助金基盤研究(C)「大学から職業への移行における文化資本の持続効果に関する追跡調査研究」の計画に基づき,上越教育大学の過去5年間の卒業生を対象に「学生経験と職業生活についての調査」を郵送にて実施し,その結果を科研報告書にまとめた。前年度に着目したフランスの職業形成に関する知見をもとに,その日本への展開について調査結果をもとに分析を試みたところに特色がある。また,日仏教育学会事務局長の活動を通じ,フランス人学者招聘を伴う研究大会シンポジウムを企画し,日仏会館および日仏の研究者との連絡交流を図った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越教育大学公開講座講師「子ども・子ども観の昔と今―世代を越えた人間発達の支援のために―」
A長野県上田染谷丘高等学校分野別進路説明会
◎社会への寄与等
@本学公開講座において,現在の子どもを取り巻く状況と,映像を通じた昔の子どもとの比較を試み,それをふまえた世代を越えた子ども支援のあり方についてレクチャーとディスカッションを行った。
A上記進路説明会では,教育系大学学部の説明を担当し,本学の概要と教員養成,および大学で学ぶための心構え,高校生活での進学準備などについて,模擬授業の形式でレクチャーを行った。
 

 
藤 田 武 志(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部における教育方法として,学習への動機づけを高めたり,学習内容のより深い理解を促進したりするために,次の5つの工夫をしている。@講義の初回に講義の目標や各回の講義内容,評価の方法などを記したシラバスを配布すること,A内容をより深く理解するための参考文献を適宜紹介すること,B身近な題材や,教育現場において必ずかかわる題材を通して,学問的な概念や理論,方法論を理解させること,C図表などの資料,ビデオなどの視聴覚教材を多く用い,具体的な理解をはかること,D毎回の講義の終了時に,質問や疑問,自分の意見や感想などを「リアクション・ペーパー」として書かせ,その一部を,次回の講義の初めに紹介してコメントをしたり,講義内容に反映させたりすること,である。
 大学院における教育方法として工夫しているのは,次の3点である。@講義への参加意欲を高め,多様な意見の存在に気づくことによって理解を深めるため,ディスカッションを多く取り入れること,Aディスカッションの成立に不可欠な共通の知識基盤を参加者に持たせると同時に,講義時間以外における学習を促進させるため,複数の論文を課題として講読させること,B毎回の講義の終了時に,質問や疑問,意見や感想などをリアクション・ペーパーに書かせること,である。
 学部と大学院の共通授業として行われている実践セミナーと実践場面分析演習を企画・運営し,自ら学び考える教員を養成・再教育するために以下のような6つの工夫をした。@学部生と大学院生の混成チームで活動を行うことによって,世代や立場の違いを意識しながらコミュニケーションをはかること,A教員として必ず直面する切実な問題を題材に,チームとして広範なリサーチをすること,Bリサーチに基づき,他のチームとディベートを行うことによって,論理の組み立て方や議論のしかたを体験的に学ぶこと,Cリサーチやディベートに先立ち,リサーチの方法,論理的思考法,議論の組み立て方などに関する講義を行うこと,D講義の際には,エクササイズを取り入れることによって理解しやすいようにすること,Eこれらの活動を通して,さまざまな意見の存在に気づき,それらを論理的に組み立てながらコミュニケーションをはかる力を育成すること,である。 
【観点2】教育の達成状況
 平成19年度の指導生のうち,学部卒業生は,2人中1名が公立小学校の教諭,もう1人が青年海外協力隊の隊員として働いている。また,大学院修了生5名のうち3名は現職教員として学校現場に復帰しており,1名は公立小学校の教諭,もう1名は私立学校の教諭として働いている。
 これらの結果から,教員養成系としての社会的責任を十分に達成していると考えられる。 
研究指導
【観点1】学部
 学部生に大学院のゼミに参加させ,現職の院生とのディスカッションを通して,現職の院生の問題意識や,現場で生起する諸問題などに関する理解を促すようにした。また,自分の考えを筋道立てて分かりやすく提示したり,他人の意見に耳を傾ける態度を育成するため,ゼミにおけるプレゼンテーションの機会を複数設けた。さらに,自らの問題関心を自発的に深め,広げていくことができるような指導・助言に努めた。
【観点2】大学院
 大学院では,修士1年の入門期には理論と方法論に関する基礎的な文献を題材に,それぞれの院生の課題と関わらせた発表とディスカッションを行うことによって,理解を深めるとともに,それぞれの問題関心も掘り下げていくことができるよう配慮した。また,修士1年の後半では,院生それぞれの問題関心に基づいた発表とディスカッションを行うことで,多様な現職院生の見解も取り込めるようにした。さらに,修士2年においては,修士1年までの指導法を踏襲しつつ,それぞれの課題を実践と関わらせながら自ら追究していくことができるよう,方法論や論理構成,先行文献などに関する指導・助言に努めた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
講義やゼミについて,次のつの4点を特色として挙げることができる。
(1)双方向性:講義においてリアクション・ペーパー方式を採用することにより,一方的ではなく,学生・院生の意見や疑問などを取り入れた双方向的な講義を行っている点。
(2)公開性:学生・院生のリアクションを講義で公開することを通して,さまざまな意見の存在に気づかせ,自らの考えを相対化・深化させられるように工夫するとともに,講義概要の公開によってアカウンタビリティに応えようとしている点。
(3)日常性:リアクションの公開やディスカッションを日常的に行うことよって,自分の意見の公表,他人の意見への傾聴に対する前向きな態度を育成するようにしている点。
(4)自主・自発性:研究指導においては,教え込みや押しつけの指導を廃し,自ら考え,学ぶ姿勢を育成するようにしている点。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年4月:「学校現場と大学の協働による授業実践と教師教育」奈良女子大学附属小学校学習研究会『学習研究』426号,pp.56-61
A平成19年6月:「学力格差の経年変化─東京都S区の事例」上越教育経営研究会『教育経営研究』第13号,pp.79-88
B平成19年6月:「部活動の現状とゆくえC 外部指導者と連携した特色ある部活動」『月刊ホームルーム』学事出版,2007年7月号,pp.56-57
C平成19年7月:「部活動の現状とゆくえD 地域におけるスポーツ活動の課題」『月刊ホームルーム』学事出版,2007年8月号,pp.44-45
D平成20年2月:「親と子どもの意識と行動 ─親子ペア調査から見た階層差─」上越教育大学『上越教育大学研究紀要』第27巻,pp.67-72
E平成20年2月:「部活動の現状とゆくえK 現職教員に聞く部活動の今後の課題」『月刊ホームルーム』学事出版,2008年3月号,pp.46-48
発】@平成19年9月:「親と子どもの意識と行動」日本教育社会学会第59回大会(於:茨城大学)にて発表。
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@「義務教育インフラストラクチャー(基盤構造)の長所と短所の立証」(研究代表・苅谷剛彦)文部科学省「新教育システム開発プログラム」採択課題 
A「若者の教育とキャリア形成に関する調査」代表者:乾彰夫(東京都立大学教授)科学研究費補助金
学会活動への参加状況
@8月4〜5日:日本学校教育学会に出席(鹿児島大学) 
A8月29〜30日:日本教育学会に出席(慶應義塾大学) 
B9月22〜23日:日本教育社会学会にて発表(茨城大学) 
◎特色・強調点等
 学校現場と大学の協働に関わる論文は,学校現場の課題解決の支援をする取り組みを通して教師教育を行う試みの実際を紹介したものであり,これまでの大学にはない新しい形での教師教育の在り方を示したものである。
 また,親子ペア調査に基づく論文は,子どもの教育達成に対する階層の影響がどのようなメカニズムで生じているのかを探究したものであり,教育達成と階層という2つの要因をつなぐメカニズムの一端を明らかにした点において高い独創性を持つと言える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県生涯学習審議会委員(2006年10月より) 
A新潟県上越市立柿崎中学校校内研修会講師(2007年5月)講義題目:「ソーシャルスキルの向上を目指した教育プロジェクト」
B新潟県立長岡大手高等学校(2007年5月)講義題目:「高校で学ぶということ」
C新潟大学教育人間科学部附属新潟中学校教育研究発表会(2007年10月)討論会「教育改革で教員の何を変えようとしているのか」
D新潟県上越市立春日中学校校内研修会講師(2007年11月)講義題目:「青少年の逸脱行動について」
E新潟県立六日町高等学校(2007年11月)講義題目:「社会の常識は非常識? 教育について考えよう」
F新潟県立久比岐高等学校校内研修会講師(2008年1月)講義題目:「ソーシャルスキルの向上を目指した教育プロジェクト」
G長野県飯山北高等学校(2008年2月)講義題目:「社会の常識は非常識? 教育について考えよう」 
◎社会への寄与等
 大学の地域貢献事業の一環として行われている出前講座及び公立学校の研修会を担当することにより,地域の教育ニーズに寄与した。また,大学の公開講座の講師を担当することにより,大学の社会貢献に寄与した。さらに,生涯学習審議会の委員や認定講習の講師を務めるなどの社会的活動を行い,新潟県における教育課題や政策形成に積極的に寄与した。
 

 
三 村 隆 男(准教授)
 
<教育活動>
授 業 
 学部授業では,大人数授業であるため座席指定制を導入し,授業環境の維持に努めた。授業は,シラバスに明記した内容を進め,毎回授業レポートを提出による学生の授業理解及びニーズ把握を行い,授業に関する質問への回答を行うなど双方向型の授業創造を試み効果を上げた。授業方法は,カウンセリング実習,グループワーク実習など体験的な活動を取り入れながら進路指導・キャリア教育の理解を深める努力を行い一定の成果が得られた。評価は毎回の授業レポート,発表状況,遅刻を正確に把握した出席状況をもとに学生が納得のいく評価方法採用した。
 特に今回は実践的な授業を試み,8月6日〜12日の一週間にわたって上越市で行われた県立高田商業高校,上越市立大町小学校,上越市立城北中学校を加えた小中高大の連携によって行われた店舗「RIKKA」の経営に携わった。
研究指導
 修士論文4名指導。研究対象領域の焦点化までのプロセスとし,関心領域のブックレポート及び調査研究方法の検討を中心に行った。ゼミにおいては,学部生と院生との合同研究指導を行い,それぞれの研究領域への理解を示しながら各自の研究を進めるように配慮した。研究成果については,積極的に学会発表も勧め結果的にゼミ2年生全員の4名が学会発表を行った。それぞれキャリア教育に関する先進的な研究を行ない学会でも注目された。
その他の研究活動 
新潟県カウンセラー活用事業として上越市立城北中学校及び飯小学校スクール・カウンセラー
新潟県カウンセラー学校派遣事業として,上越市立飯小学校に派遣される。
新潟大学工学部非常勤講師(職業指導)
茨城大学工学部非常勤講師(職業指導)
新潟工科大学非常勤講師(職業指導)
◎特色ある点 
 職業観,勤労観の欠如,フリータの急増のなかで学校教育における進路指導がキャリア教育として生まれ変わろうとしている。こうした状況下,キャリア教育を積極的に推進するため理論と実践双方において力量のある教師の育成に念頭を置き研究及び教育活動を行っている。平成16年度から文部科学省によって本格的に着手されたキャリア教育を先導的に推進できる力量を身につけた教師の養成および研修に力を入れている。一方,キャリア教育の教育書や教育雑誌の執筆を通し,キャリア教育への理解を深め,全国の教師の教育実践力を高めることができた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年3月:仙崎武,藤田晃之,三村隆男,鹿嶋研之助,池場望,下村英雄,キャリア教育の系譜と展開,編著,67-95頁,雇用問題研究会.
論】@平成19年9月:「第3章 学校のキャリア教育に対する期待」「第7章 今後のキャリア教育・キャリアガイダンス施策への示唆 2.学校におけるキャリア教育への示唆」『労働政策研究報告書No.92』労働政策研究・研修機構,(29−43頁,92−98頁)
業】@平成19年4月:「職業観・勤労観を育む学習プログラム」『子どもの社会的自立と生徒指導・キャリア教育』教育開発研究所,123-127頁.
A平成19年4月:三村隆男・広島県世羅郡世羅町立中央小学校,地域に参画する体験的キャリア教育の実践,進路指導,80(4),2007,32-35.
B平成19年5月:三村隆男・長尾順子,体育科をとおした小・中連携の授業実践,進路指導,80(5),2007,33-36.
C平成19年6月:三村隆男・千葉県千葉市立柏台小学校,ドリームマップで,夢や希望をふくらまそう!,進路指導,80(6),2007,33-36.
D平成19年7月:三村隆男・田平範子,人とのかかわりをとおした表現能力の育成−1学年の生活科学習の実践をとおして−,進路指導,80(7),2007,33-36.
E平成19年7月:財団法人日本進路指導協会の歩み(戦前編),進路指導,80(7),2007,47-50.
F平成19年7月:三村隆男,「学ぶ力」を現出するキャリア教育,『はるか・プラス』,24(7),2007,20-21.
G平成19年8月:三村隆男・高淵直哉,地域学習をとおして地域に愛着を深めるキャリア教育の実践,進路指導,80(8),2007,37-40.
H平成19年9月:三村隆男・吉田裕子,津沢キッズチャレンジ−自分たちのお店を開こう−,進路指導,80(9),2007,35-38.
I平成19年10月:三村隆男・田千佳代,キャリア教育の視点から見つめ直す教育活動の実践−生活科・総合的な学習の時間を中心にして−,80(10),2007,33-36.
J平成19年11月:三村隆男・森崎光,児童・生徒の勤労観・職業観を育む「キャリア教育」の創造−文部科学省実験開発学校としての取り組み−,80(11),2007,34-37.
K平成19年12月:三村隆男・荒木隆信,「未来へつながるバッグ」で子どもの意識を変える!,進路指導,80(12),2007,33-36.
L平成19年12月:三村隆男,学習指導要領改訂に伴い,キャリア教育をどのように教育計画に盛り込むか,道徳と特別活動,24(12),2008,10-11.
M平成20年1月:三村隆男・棚原美由紀,中学校への円滑な移行を目指した小・中連携キャリア教育の実践,進路指導,81(1),2008,33-36.
N平成20年2月:三村隆男・原博一,教科におけるキャリア教育の推進−コミュニケーション力の育成をねらいとした図画工作の鑑賞活動−,81(2),2008,30-33.
O平成20年3月:三村隆男,“夢”実現への思いを内発的な学習エネルギーとして,主体的に生きる子どもの育成を目指して−教科・算数学習からはじめる「キャリア教育(生き方探究教育)−,進路指導,81(3),2008,30-33.
P平成20年3月:三村隆男,小学校のキャリア教育をどう考えるか--教育活動を見直す視点 (特集 夢・憧れ・生き方 小学校からのキャリア教育),児童心理,62(3) ,2008,2-11.
発】@平成19年6月:日本キャリア教育学会第25回研究セミナー,分科会T「学校教育の接続とキャリア教育」にてコーディネーターをつとめる
A平成19年7月:日本進路指導協会,第56回進路指導研究協議全国大会,全体研究協議パネルディスカッション「キャリア教育の先進的な実践」のコーディネーター
B平成19年9月:Darryl T. Yagi & Takao Mimura, Promotion of Career Education in Japan, AIOSP/IAEVG International Conference, University of Padova
C平成19年10月:日本キャリア教育学会第29回研究大会シンポジウム「キャリア発達研究と支援のあり方を探る」にてシンポジストを務める。
D平成19年10月:三村隆男・白石紳一,小学校6年生用(進路)自己効力テストの開発,日本キャリア教育学会第29回研究大会,多摩美術大学.
他】@教育研究業績の「3.その他」
共同研究の実施状況
 平成18年度より日本キャリア教育学会研究推進委員長として労働政策研究・研修機構と共同研究「キャリア教育・キャリアガイダンスに対する社会のニーズ−キャリア発達プログラムに向けた保護者の意識に関する分析」を開始した。
学会活動への参加状況等
@日本キャリア教育学会常任理事
A日本キャリア教育学会研究推進委員長
B日本特別活動学会紀要編集常任委員
◎特色・強調点など
 研究活動全般を通し,各学校で導入が進んでいるキャリア教育の普及や研究の進展を意図した。主に著書では,実践者や研究者がわが国の教育活動へのキャリア教育の導入を円滑移行できるような,その理論的背景や歴史的な検討を行った。特に,職業観,勤労観形成における二層構造論は,多くのキャリア教育推進地域で受け入れられ,キャリア教育の推進に貢献した。一方,わが国における職業指導の成立過程を職業観,勤労観形成について歴史的に研究することでこうした考え方の裏づけを行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@群馬県総合教育センター「キャリア教育実践研究講座」
A青森県総合学校教育センター「進路指導主事研修講座」
B神奈川県中学校進路指導研究会総会にて講演
C山形県教育センター「平成19年山形県高等学校教職5年経験者研修全体研修」
D福島県教育センター「キャリア教育研修会」
E茅ヶ崎市教育研究所「新教育課程教科研究講座」
F山形県教育センター「平成19年山形県高等学校教職10年経験者研修全体研修」
G熊本県中学校教育研究会進路指導部会「夏季研修会」
H横浜市教育センター「教育課程研修」
I東京都教職員研修センター「平成19年度選択課題研修」
J埼玉県立総合教育センター「平成19年度中学校・高等学校進路指導研修会」
K教員研修センター(文部科学省)平成19年教職員等中央研修「キャリア教育」
L埼玉県伊奈町教育委員会「キャリア教育講演会」
L仙台市教育センター「自分づくり教育研修会」
M福井県教育研究所「キャリア教育研修会」
N北海道立教育研究所「キャリア教育研修講座」
O鹿児島県中学校進路指導研究協議会「第3回鹿児島県キャリア教育セミナー」
P栃木県総合教育センター「平成19年度新任進路指導主事研修」
Q茨城県教育研修センター「平成19年度10年経験者研修講座(高等学校)」
R長岡市教育センター研修会
S神戸市「トライやる・ウィーク」シンポジウム
◎社会への寄与等
平成17年〜平成19年度 文部科学省研究開発学校運営指導委員(広島県庄原地区)
平成19年度経済産業省委託事業「地域自律・民間活用型キャリア教育事業(中核コーディネーター)」の体系化・評価・自律化等の検討およびガイドブック監修委員
平成19年度 上越市「ゆめ」チャレンジ事業実行委員長
 

 
下 司   晶(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部では基礎的・基本的な事項を,大学院では専門的な内容を取り上げた。基礎的なテクストの理解を中心とし,教材を作成し,また学部授業では視聴覚教材も多く取り入れるなど,方法上の改善も重ねた。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケートの結果等からみて,目標はほぼ達成された反映されたといえる。なかでも「教育学研究法特論」(大学院)は,受講者から極めて高い評価を得た。
研究指導
【観点1】学部
 生徒指導総合分野の学部2年生は,4名が所属ゼミ生となり,3年生の4名を加えると,生徒指導総合分野でもっとも大所帯のゼミとなった。また2年生の担任も兼任した。
【観点2】大学院
 大学院では,修士2年3名,修士1年3名,計6名の指導にあたった。修士課程では,他,8名の論文審査に関与した。
その他の教育活動
(1)平成19年8月:新潟県教育委員会 栄養教諭認定講習講師「教育原理」
(2)平成19年9月:新潟県教育委員会 看護職員臨地実習指導者養成講習会講師「教育原理」
(3)平成19年9月:新潟県医師会立准看護学校連絡協議会 教員養成講習会講師「教育原理」
(4)教育実習指導
所属ゼミ生6名(学部4名大学院2名)の教育実習に関し,研究授業に参加し,指導を行った。
(5)フロイト研究会(隔週開催)
以下の二つの学内研究会は,大学院生を中心とした本学の教育活動を主眼として行っているのでここに記した。
(6) 臨床教育哲学研究会(隔月開催)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 以下では特に授業に関して記す。
 まず,全ての授業に共通する取り組みとして――。
 @授業初回に詳細なシラバスを配布し,授業の到達目標と具体的な活動を明示した。A毎時,参考文献リストを明記し,受講者の自学自習の助けとした。B身近な題材を入り口として,学問的な概念や思考法を理解の助けとした。Cテキストや視聴覚資料を含む授業資料を,独自に編纂した。D毎回,リアクションペーパーにて感想・質問を募集し,次回以降の授業構成に反映させ,質問には出来る限り答えた。E大人数の授業では,最後に無記名のアンケートを実施し,翌年以降の授業改善に努めた。
 次に,各授業の内容から――。
 教育研究法特論(大学院)では,教育諸問題の研究手続きを身につけてもらうことを念頭に置いた。毎時,A4版換算手法で8〜12頁分の資料を独自に作成し,エクササイズや演習などを交えながら授業を組み立てた。当初,(統計処理を伴なう)実験や質問紙法に依らない文献調査研究(哲学・歴史・思想史・社会学の一部)を研究法の一つの範型として想定したが,本学の修士論文の多くが実地調査や実験等をもとに書かれていることから,これら研究全てに共通する作法を伝えることを中心とした(例えば,先行研究の調査法や,先行研究の蓄積を踏まえて自分の問題を組み立てる方法など)。研究法を身につけることは,教育現場の声を広く発信するためには極めて重要なものであるため,授業準備にはかなりの時間(毎時10時間以上)を必要としたが,結果,授業評価アンケートでは,「修論の執筆にとって最も有用な授業」として,極めて高い評価を得た。
 発達臨床思想特論(大学院)では,毎時,400字換算で50〜100枚程度の専門論文をあつかった。事前に論文を読み,感想を「講義支援システム」の「掲示板」に掲載させることで,相互の知的交流を図り,教員はそれを授業時間までに一つの文書としてまとめ上げ,配布した。授業評価アンケートでは,極めて高い評価を得た。ただし,受講者の専門的知識にはかなりの斑があったため,難易度の点で若干の課題も残された。
 教育本質論(学部)では,教職科目の基礎の一つとして,教育に関する〈思想的ことがら〉を取り上げた。特に,西洋近代の教育思想と,それらの日本への導入を通して,受講者各自がこれまで自然に身につけている「教育観」を見直してもらえるようデザインした。また同時に,教員採用試験では毎年出題される思想家たちを身近に知ってもらえるよう,彼ら自身のオリジナルテクスト(邦訳)を独自に編纂し,毎時,A4版換算手法で8〜12頁分の資料を配布。エクササイズや演習などを交えながら授業を組み立てた。授業準備にはかなりの時間を必要としたが(毎時10時間以上),結果,授業評価アンケートでは高い評価を得た。ただし,学期末のレポートは,提出期間を8月下旬まで延長したものの,かえって実習等と重なってしまい,残念ながら提出できなかった学生も存在した。レポートの課題の内容や形式に関しては,改善の余地が残されている。
 発達臨床思想(学部)では,専門分野への入門となるよう授業を組み立てた。毎時,学生に課題を課し,専門的知識を徐々に身につけてもらえるよう心がけた。授業評価アンケートは,非常に好評であった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@井ノ口淳三編『道徳教育』学文社2007年4月.
発】@平成19年9月:教育思想史学会 フォーラム2「フロイトからフロイト主義へ/病因論から教育言説へ―精神分析の心理学化と因果論の変容」 於 京都大学
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@教育哲学会特定課題研究「教員養成課程における教育哲学の位置づけに関する再検討」林泰成(研究代表者・上越教育大学)・山名淳(東京学芸大学)・古屋恵太(東京学芸大学)・下司 晶(上越教育大学)
 教育哲学会創立50周年を記念する課題研究である(複数年度採択2,単年度採択1のうちの一つ)。教員養成課程における教育哲学の位置づけを包括的に検討する研究である。
A上越教育大学研究プロジェクト「教員養成における反省的思考力の育成に関する研究」下司 晶(研究代表者・上越教育大学)・林泰成(上越教育大学)
 上記教育哲学会特定課題研究と連携しつつ,本学を中心とした教員養成課程における反省的思考力の育成を包括的に検討する研究である。
学会活動への参加状況
@平成19年9月17日(日),18日(月)教育思想史学会 於 京都大学  参加および「フォーラム2」発表。
A平成19年10月13日(土),14日(日)10月14日−15日 教育哲学会 於広島大学大学院に出席。
〔学会等の役職〕
@ 教育思想史学会編『コメンタリー教育思想史』編集委員
A 中央大学教育学会事務局長
〔学会誌の編集〕
@ 教育思想史学会編『コメンタリー教育思想史』編集委員
A 教育実践研究(上越教育大学学校教育総合研究センター)査読委員
◎特色・強調点
 科学研究費補助金「若手研究(B)」「教育」と「心理臨床」の境界に関する原理的研究―精神分析を中心に―」(H18-20課題番号 18730490)を取得し当該研究を継続中である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@教育思想史学会編『コメンタリー教育思想史』編集委員
A教育実践研究(上越教育大学学校教育総合研究センター)査読委員
B平成19年8月:新潟県教育委員会 栄養教諭認定講習講師「教育原理」
C平成19年9月:新潟県教育委員会 看護職員臨地実習指導者養成講習会講師「教育原理」
D平成19年9月:新潟県医師会立准看護学校連絡協議会 教員養成講習会講師「教育原理」
E平成19年7月:上越教育大学公開講座「子ども・子ども観の昔と今」講師
F中央大学教育学会事務局長