【特別支援教育講座】
 

 
我 妻 敏 博(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義では受講生に聴覚障害者がいることに鑑み,紙資料を毎回用意するとともに補足資料やビデオなどを頻繁に用いてわかりやすい授業を心がけた。臨床実習では学生に実際の障害児の指導に当たらせ,事前打ち合わせ,事後反省会,ケース会議等で実践的な指導力の育成に努めた。あわせて指導案や指導記録の作成方法などを具体的に指導した。学生に対する評価は出席の他に授業中の質疑応答や期末テスト,レポートなどで評価し,点数が低かった者には追課題を与えて授業内容の理解を徹底させた。
【観点2】教育の達成状況
 障害児教育の科目では少人数の授業が多いことから,学生の理解の度合いが把握しやすい。理解度が低い学生には復習させるようにしたり,さらに関連する科目で復習するなどの工夫をし,シラバスにある授業の目標を達成させるようにした。また,演習の時間を利用してより深く理解させるように配慮した。
研究指導
【観点2】大学院
 テーマの設定,実施,結果の分析,論文の執筆まで研究セミナーの時間以外にも個別に指導した。さらに,年間3回の合宿指導を行った。資料収集に際しては対象となった学校に学生とともに訪問し,校長ほか関係教師に研究内容について説明し,研究協力を依頼した。また,関係する学会や研究会に学生を連れて参加し学習や研究活動に役立てた。 
その他の教育活動
@海外教育特別研究Bの担当教員として事前指導に参加し,平成19年9月16日〜9月27日に参加学生を引率して米国アイオワ大学等を訪問した。
A認定講習会講師:独立行政法人国立特殊教育総合研究所非常勤講師,新潟県認定講習会講師,長野県認定講習会講師,福井県認定講習講師,富山県認定講習講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 受講生が少ない授業が多いので,一般的な内容に加えて受講者の個別的なニーズに配慮した内容での授業を実施したり,個別的な質問や疑問に対応してきた。さらに,聴覚障害学生が受講する授業については毎回詳しい紙資料を用意し,情報補償に努めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年10月:『聾学校生徒の携帯電話の活用状況』(共著)ろう教育科学,第49巻3号,pp.37〜46.
学会活動への参加状況
@8月17日〜18日:北陸教育オーディオロジー研究協議会参加(富山)
A10月2日〜7日:第41回全日本聾教育研究大会参加(熊本)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@地域貢献事業の一環として毎月1回地域の難聴児を対象にした教育相談を行った。 
A「上越地域難聴児サポートシステム構築会議」を主催し,上越市,妙高市,糸魚川市の教育委員会・子ども福祉課,聾学校,耳鼻科医との連携システムを構築した。 
B新潟聾学校の校内研修,長岡聾学校幼稚部との共同研究などを継続して行った。
 

 
大 庭 重 治(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義では受講生に聴覚障害者がいることに鑑み,紙資料を毎回用意するとともに補足資料やビデオなどを頻繁に用いてわかりやすい授業を心がけた。臨床実習では学生に実際の障害児の指導に当たらせ,事前打ち合わせ,事後反省会,ケース会議等で実践的な指導力の育成に努めた。あわせて指導案や指導記録の作成方法などを具体的に指導した。学生に対する評価は出席の他に授業中の質疑応答や期末テスト,レポートなどで評価し,点数が低かった者には追課題を与えて授業内容の理解を徹底させた。
【観点2】教育の達成状況
 障害児教育の科目では少人数の授業が多いことから,学生の理解の度合いが把握しやすい。理解度が低い学生には復習させるようにしたり,さらに関連する科目で復習するなどの工夫をし,シラバスにある授業の目標を達成させるようにした。また,演習の時間を利用してより深く理解させるように配慮した。
研究指導
【観点2】大学院
 テーマの設定,実施,結果の分析,論文の執筆まで研究セミナーの時間以外にも個別に指導した。さらに,年間3回の合宿指導を行った。資料収集に際しては対象となった学校に学生とともに訪問し,校長ほか関係教師に研究内容について説明し,研究協力を依頼した。また,関係する学会や研究会に学生を連れて参加し学習や研究活動に役立てた。 
その他の教育活動
@海外教育特別研究Bの担当教員として事前指導に参加し,平成19年9月16日〜9月27日に参加学生を引率して米国アイオワ大学等を訪問した。
A認定講習会講師:独立行政法人国立特殊教育総合研究所非常勤講師,新潟県認定講習会講師,長野県認定講習会講師,福井県認定講習講師,富山県認定講習講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 受講生が少ない授業が多いので,一般的な内容に加えて受講者の個別的なニーズに配慮した内容での授業を実施したり,個別的な質問や疑問に対応してきた。さらに,聴覚障害学生が受講する授業については毎回詳しい紙資料を用意し,情報補償に努めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年10月:『聾学校生徒の携帯電話の活用状況』(共著)ろう教育科学,第49巻3号,pp.37〜46.
学会活動への参加状況
@8月17日〜18日:北陸教育オーディオロジー研究協議会参加(富山)
A10月2日〜7日:第41回全日本聾教育研究大会参加(熊本)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@地域貢献事業の一環として毎月1回地域の難聴児を対象にした教育相談を行った。 
A「上越地域難聴児サポートシステム構築会議」を主催し,上越市,妙高市,糸魚川市の教育委員会・子ども福祉課,聾学校,耳鼻科医との連携システムを構築した。 
B新潟聾学校の校内研修,長岡聾学校幼稚部との共同研究などを継続して行った。
 

 
齋 藤 一 雄(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態,学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 受講生の実態は,初めて障害児教育について学ぶ者から現職教員まで幅広い状況にある。そこで,授業の始めに1時間ごとの細かいシラバスと評価方法,参考図書を示している。最後の授業では,独自のアンケートを行い,次年度の内容・方法を改善するように努めている。また,院生の幅広い実態に応えるために,具体的な映像や資料の提供,基礎的な内容と最新の情報や研究成果を取り入れ,バランスよい配置を心がけている。そして,ミニアンケートやグループ討議を織り交ぜて,院生同士の意見交換や学び合いができるような工夫も行っている。教科書に当たる本も作成し,事前・事後学習ができるようにしている。
○成績評価法に関する取組
 授業の目標と評価の内容・方法とシラバスを講義の始めに示し,受講生が目当てをもって取り組むことができるようにしている。また,知的障害児のための自作の教材・教具を各自1つ製作することを課題とし,自作した教材・教具のねらいや使い方,効果等についてレポートを求めている。そのなかから,特別支援教育実践研究センター紀要の「教材・教具の紹介」のコーナーで広く紹介するようにしている。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの修了後の進路の状況から判断した取組状況
 受講生は特別支援学校等の教員を目指して意欲的に取組んでおり,現職院生の話を参考にしたり,お互いの意見に耳を傾けて学ぼうとしている。しかし,学卒の院生にとっては経験のないことだけにイメージしにくい部分があるようだ。そこで,さらに,教師自身の学校現場での経験を話したり,具体的な資料を提示したり,特別支援学校等での授業を実際に行い,細かい分析を行ったり,公開研究会に参加したりして,実践的な資質を身につける取組みを行っている。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程)
 特別支援学校等での教員や教育実習の経験のない院生については,地域の特別支援学校等の学校行事,例えば運動会や学習発表会に参加したり,小学校特別支援学級での音楽発表会にゲスト出演したりし,その場で具体的な指導を行うとともに,ゼミ等で討論したりしている。
 また,特別支援学校や特別支援学級等で教員と一緒に授業に参加し,その準備や分析等を行うこと,そして,その研究結果を互いに発表し合い,討議する機会をとおして,臨床的な実践力や研究方法などを身につけるようにしている。
その他の教育活動
@富山県教育委員会による特別支援学校教諭免許状取得のための認定講習の講師を勤めた。
A専門性向上事業の一環で特別支援学校教諭免許状取得のための認定講習の講師を勤めた。
B小学校での教育実習1名,養護学校での教育実習2名の指導に当たった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 院生それぞれの研究テーマに沿った集団と個別による指導を重視すると共に,学校現場に即した臨床的な取り組みの場や実践を紹介している。学卒の院生が多い状況を考慮して,基礎的な講義から臨床実習,そして教育実習,就職へと一貫した指導とともに,特別支援学校等の教員の仕事について学べるようにすることが課題だと考える。
 
<研究活動>                                           
研究成果の発表状況
論】@平成20年3月:『知的障害児の描画活動ための自作曲』(共著)上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要 第14巻 pp.25-32
A平成20年3月:『知的障害児における歌唱教材によるリズム同期の分析』(単著)学校音楽教育研究 Vo1. 12 pp.174-183
学会活動への参加状況
@平成19年8月:ラウンド・テーブルX『いろいろな障害を持つ子供に対し,楽器活動をどのように行うか』(司会)日本音楽教育実践学会第12回全国大会
A平成19年9月:ポスター発表P2ー41『知的障害養護学校における第三次産業を視野に入れた進路指導(2)ー3年間を経て企業・養護学校はどのように変化したかー』(共著)日本特殊教育学会第45回大会
B平成19年9月:ポスター発表P2ー52『知的障害児の描画活動のための自作曲』日本特殊教育学会第45回大会
C平成19年9月:自主シンポジウム47『特別支援教育のための大学院における教員養成・研修』(企画・司会)日本特殊教育学会第45回大会
D平成19年4月より『特殊教育学研究』(日本特殊教育学会)編集委員
E平成19年8月より日本音楽教育実践学会常任理事・『学校音楽教育研究』編集委員
◎特色・強調点等
 これまでの研究・実践活動をさらに発展させ,院生とともに地域の小学校特別支援学級で実践研究活動を展開し,特別支援学校高等部や特別支援学級での音楽会にゲスト演奏の依頼を受け,参加した。曲目は,モーツアルト作曲歌劇「魔笛」より「おいらは鳥刺しパパゲーノ」,ディズニー映画より「星に願いを」,映画『天空の城ラピュタ』より「君をのせて」,『サウンド・オブ・ミュージック』より「エーデルワイス」,マルチェルロ作曲リコーダー・ソナタ第1楽章,その他であった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@6月長岡市教育センター研修講座講師「みんなで取り組む特別支援教育シリーズ@ 特別支援教育コーディネーター入門」について講義
A6月新潟県立教育センター「平成19年度特別支援教育基礎講座」研修会講師(『知的障害教育における教育課程』『領域・教科を合わせた指導』を一日にわたって講義)
B7月群馬県総合教育センター平成19年度特別支援学校初任者研修(『障害のある子どもの音楽指導の進め方』を講義・演習)
C7月新潟県立小出養護学校公開講座講師(シンポジウム『発達障害への支援の実際と課題について〜プランの活用と連携のあり方を考える〜』において「自閉症児とその家族から学ぶ」を話題提供)
D富山県教育職員免許法認定講習講師(『障害児教育学論』を56人を対象に講義)
E8月出前講座(見附市立見附養護学校において『障害児のリズム指導』を講義・演習)
F9月上越教育大学特別支援教育講座及び上越教育大学特別支援教育実践研究センターと哈爾浜師範大学国際交流処特別支援教育の障害児教育分野における連携事業による派遣講座(哈爾浜師範大学において『為了特殊教育大家一起来努力』を哈爾浜師範大学学生を対象に2回にわたって講義)
G11月新潟市立青山小学校学校公開授業づくりを語る会講師
H11月平成19年度特別支援学校教員専門性向上事業による認定講習講師(『障害児教育学論』を34人を対象に講義)
I12月平成19年度西毛ブロック研修会講師(群馬県立みやま養護学校において『特別支援教育とコーディネーター』を114名を対象に講演)
◎社会への寄与等
@上越市就学支援委員会委員として,障害児の適正な就学について助言等を積極的に行った。
A新潟県立高田養護学校学校評議員として,学校行事や授業の様子を積極的に参観し,教育課程編成や教育実践,地域とのかかわり方,そして学校評価について参考となる意見を述べた。
B新潟県教科用図書選定審議会委員長として,主に『107条本』の採択に関する審議並びに答申を行った。
C新潟県教科用図書選定審議会委員長として,主に県立佐渡中等教育学校の教科書採択に関する審議並びに答申を行った。
 

 
笠 原 芳 隆(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
@ 各授業の開始時に各自が学びたいことについて,また,授業を進める過程で疑問に思うことについてそれぞれ学生から書き出してもらい,その後の授業で可能な範囲で追加説明するよう心がけた。
A レポートや試験の評価については規準を設けるようにし,配点を明確にするなど配慮した。
【観点2】教育の達成状況
@ 臨床実習では,特別支援教育の現場における自立活動の指導を想定し,動作法を参考に,個別の指導計画を作成して実習を行った。経験者と未経験者のグループ実習とし,ティーム・ティーチングの一端を経験できるよう配慮するとともに,保護者への説明の場を設けるなど,現場での実践を意識した取り組みを行った。
A 研究法演習では,3研究室合同のプロジェクト研究を行い,「個別の教育支援計画」をテーマに示し,特別支援教育の現場で現在重要な位置づけとなっている個別の教育支援計画策定の実態について理解を深められるよう配慮した。また,障害児自立活動論では,重複障害のある生徒の実態把握や課題抽出に関するシミュレーションを行い,実践力を高める工夫をした。
研究指導
【観点2】大学院
 私自身が立ち上げた障害者の余暇活動グループ「ナディアの会」の活動への参加を学生に促し,障害のある青年及び地域の特別支援学校教員と実際にかかわる中で,障害児・者への余暇支援や特別支援教育における移行支援のあり方等について実践的に学べるよう配慮した。
◎特色ある点等
 授業も研究指導も,実践的指導力や特別支援教育の場における諸課題を解決する力を身に付けられるよう工夫した。また,自らがかかわる障害青年の余暇・学習支援活動や全国規模の特別支援教育に関連する研究会等への参加を促し,授業以外の場でも学生が実践的指導力を高めるための資料を得られるようにした。また,近隣の学校に学校ボランティアとして入るなかで,先方に修士論文作成への協力を依頼し,実践の中で研究が推進できるよう配慮した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年10月:「専門家チームとは」(分担執筆)怒らない!怒鳴らない!特別支援教育の実践スキルT安藤隆男・平山諭(編著) 明治図書 133-139
他】@平成20年3月:「教員養成大学の特別支援教育担当教員に対する地域研修組織を活用した支援に関する研究」代表者:笠原芳隆 平成18年度-平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書 全49頁
A平成20年3月:「『ナディアの会』の活動について」上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要 第14巻 67-69
B平成20年3月:「特別支援教育Q&A-改訂版-」(分担執筆)藤井和子・笠原芳隆・丸山昭生(編著) 代表者:笠原芳隆 平成18年度-平成19年度科学研究費補助金により作成
共同研究(小・中・高等学校教員との共同研究を含む。)の実施状況
@「特別支援教育における個別の教育支援計画の活用と評価に関する実践研究」代表者:藤井和子 平成19年度上越教育大学研究プロジェクト
A「特別支援教育における自立活動のあり方を展望する」代表者:安藤隆男(筑波大学),自立活動研究ネットワーク(全国の特別支援教育に携わる教員との共同研究)(継続)
B「学習や生活上の困難に対応する指導や支援」代表者:小杉敏勝(元新潟県立高田養護学校),上越自立活動研究会(上越地域の特別支援教育に携わる教員との共同研究)(継続)
学会活動への参加状況
@平成19年8月18日:第8回自立活動研究フォーラム企画・運営(於 上越教育大学)
A平成19年9月22日〜24日:日本特殊教育学会第45回大会出席(於 神戸国際会議場)
◎特色・強調点・課題等
 科学研究費補助金基盤研究(C)「教員養成大学の特別支援教育担当教員に対する地域研修組織を活用した支援に関する研究」(2年目)では,地域研修組織の事例研究を行うとともに,昨年度入手した特別支援教育推進上の課題に関する情報を整理し,研修組織メンバー共同で課題への回答をめざした「特別支援教育Q&A-改訂版-」を作成した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年4月−平成20年3月: 新潟県立上越養護学校非常勤講師(『動作法を用いた自立活動の指導』について助言)
A平成19年4月−9月: 上越保健医療福祉専門学校非常勤講師(『障害者福祉論』について講義)
B平成19年4月−平成20年3月: 平成19年度新潟県中越地区特別支援教育推進事業専門家チーム委員
C平成19年7月−12月: 新潟県立小出養護学校校内研修講師(『重度・重複障害児の自立活動』について講義・実習)
D平成19年6月−平成20年2月: 新潟県立柏崎養護学校校内研修講師(『重度・重複障害児の自立活動』について講義・実習)
E平成19年6月・9月: 新潟県特別支援教育コーディネーター養成研修会講師(『発達障害の理解』『個別の指導計画作成・活用』について講義・演習),
F平成19年8月: 新潟県教職12年経験者研修講師(『個別の指導計画と評価』について講義)
G平成19年8月: 新潟県教育職員免許法認定講習講師(『肢体不自由児の特性と指導』について講義)
H平成19年5月−6月: 本学公開講座講師(『個別の指導計画の作成法と活用法』について講義・演習)
I自立活動研究ネットワーク事務局(『第8回自立活動研究フォーラム』を実施)
J上越自立活動研究会事務局(『第1〜3回学習会』の企画・運営)
Kナディアの会事務局(肢体不自由児・者の余暇・学習支援活動を実施)
◎社会への寄与等
 特別支援教育に携わる教員に対しては,公開講座や校内研修会,研究協議会等とおして,自立活動における個別の指導計画作成と活用・評価の方法や重度・重複障害児の具体的な指導法について助言した。また,自立活動研究ネットワークや上越自立活動研究会の活動をとおして,広く地域や全国の特別支援教育担当教員の力量向上の一端を担えたものと考えている。                                                 
 

 
河 合   康(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】
 「障害児教育行政制度論」(大学院)の授業では,「特殊教育」から「特別支援教育」へと移行した初年度であることを踏まえて,国内外の最新動向を取り入れて,内容を再構成した。また,成績評価については,授業開始時だけでなく,適宜評価の観点を授業中に提示するように配慮した。 
【観点2】
 大学院での研究室3名の内,2名は正規採用教員として,また,1名は非常勤講師としてすべて学校現場で活躍しており,当初の目的が達成されたといえる。
研究指導
【観点1】
 「障害児教育概論U」では,ビデオを用いて,学校現場の実情を実感できるように配慮した。
【観点2】
 「実践場面分析演習T,UA(特別支援教育)」では,近隣養護学校の協力を得て,実際に,子どもの実態把握,授業の立案から実施までを行い,現場に直結した授業展開を行うように配慮した。
 
<研究活動>
研究成果の発表活動
著】@平成19年5月『最新教育基本用語』(共著)小学館 
A平成20年3月『特別支援教育ー理解と推進のために』(共著)福村出版
B平成20年3月『教員の養成・免許・採用・研修』(共著)教育開発研究所
論】@平成19年8月『自校の特別支援教育体制の客観的な実態把握に基づいた意識改革と組織改革が必要』(単著)総合教育技術8月号 14-18頁
A平成20年3月『Present Situation and Problems of Special Education in Pakistan』(共著)The Bulletin of Research and Praxis Center for Education of Children with Disabilities. Vol.14 pp.41-51.
発】@平成19年9月 日本特殊教育学会第45回大会 学会企画シンポジウム『欧米インクルーシブ教育のインパクト』話題提供者
A平成19年9月 日本特殊教育学会第45回大会 準備委員会企画シンポジウム『特別支援教育分野における途上国教育協力』司会者
共同研究
@特殊教育とインクルーシブ教育の創造的融合による特別支援教育革新のための総合的研究 代表者:中村満紀男(筑波大学教授) 平成18ー21年度科学研究費補助金基盤研究(A)
A途上国における特別支援教育開発の国際協力に関する研究 代表者:中田英雄(筑波大学教授)平成17-20年度科学研究費基盤研究A(海外学術研究)
学会活動への参加状況
@7月14日〜15日 日英教育学会出席
A9月22日〜24日 日本特殊教育学会第45回大会出席
B日本特殊教育学会編集委員
C日本発達障害学会編集委員
在外研究の状況
 先進国の障害児教育を視察するために6月にイギリスで現地調査を実施した。
◎特色・強調点等
 特殊教育から特別支援教育への転換がなされていく中で,その方向性を諸外国との比較教育学的観点から検討した。
 
<社会との連携>
 富山県及び新潟県教育職員免許法認定講習講師として講義を担当し,障害児教育免許状の取得率向上に寄与した。
 
 

 
葉 石 光 一(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 筆者が受けもつ特別支援教育専攻は大学院のみであり,学生の学習に対する目標,動機自体は比較的明確である。しかし学生の多様性は非常に大きい。免許プログラムの学生にはそもそも教員免許を全くもっていない者が存在する。また教員免許をもっていても特別支援教育について知識をもっている者といない者が存在する。加えて現職教員とストレートマスターの違いは言うまでもなく大きい。筆者は学部しかない大学から昨年度,赴任し,こういった状況での教育が初めてであったため,その難しさを実感した。当然のことであるが,こういった状況では教育内容を学生の多様性に合わせて幅広く設ける,つまり初歩的な内容から応用的な内容へむけて多段階に用意する必要がある。またこれを単に多段階に行うのではなく,初学者には応用的内容へスムーズにつなげる工夫を,すでに一定の知識をもつ者には新たな気づきの内容を含むようなものとする工夫を必要とする。筆者はこの点をシラバスの構成,一日の授業の組み立てに十分反映させることできていなかったと思われる。
 成績評価については,基準の明確さ,厳格な評価が卒業時の学生の質を確保する上で求められる。この点については,授業初日にどのような成績評価を行うか,授業の意図とともにどのような点に留意して学習を進めることが望まれるかを明確にした。成績評価については,出席,試験,レポート等の課し方,それぞれを全体的な成績評価にどのような割合で反映させるかを明らかにした。またレポート,試験の設問の設定においては,求めている内容の説明を十分に行い,評価しようとしている事柄を明確にした。
【観点2】教育の達成状況
 筆者は昨年度,赴任したばかりなので修了生を出しておらず,進学,就職状況に基づいた評価はできないが,担当した授業の学生からの評価は概ね高かった。上に述べたような課題があるとは考えているが,用意し,行った授業の範囲では一定の水準を保つことができたと考える。
研究指導
【観点2】大学院
 より高い実践力を修得させる上で重点を置いたのは,@教育実践の対象となる子どもとの間で円滑な関係を作り出す力を身につけさせることとともに,A背景的な力としてより客観的な情報収集と判断を行う力を身につけさせることであった。これらは,近隣の幼稚園,小学校をフィールドとした子どもの観察,記録,及び状態に応じた教育内容の考案,実施,改善を行わせる中で行った。
その他の教育活動
@長野大学社会福祉学部非常勤講師(発達心理学T,障害児生理病理A,障害児生理病理B)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 平成19年度は赴任一年目でもあり,フィールドの様子をうかがいながらであったため,一通りの観察記録,教育実践とその反省というサイクルをこなすことで精いっぱいであった。今後はフィールドとしている幼稚園,小学校の教員との連携を強めつつ,より実践的な視点からの学びの場としてフィールドを機能させることを目指したい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成19年9月:日本特殊教育学会第45回大会自主シンポジウム「知的障害者の運動行為の諸問題」指定討論者
他】@平成20年3月:上越市内の小学校における特別な教育的ニーズのある子どもを対象とした放課後学習会の開催.上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要, 14, 65
◎特色・強調点等
 日本特殊教育学会第45回大会の自主シンポジウム「知的障害者の運動行為の諸問題」では,これまでに報告されてきた知的障害者の運動機能障害に焦点をあてた。これまでは運動機能を評価するための細分化された諸指標(たとえば速度や巧緻性)が単体で扱われることが多く,そういった観点から知的障害者の運動機能の低さが指摘されてきた。しかし本シンポジウムでは,知的障害者の運動を目的と対応した行為のレベルで見ることで彼らの運動機能の新しい見方を提案しようと試みた。具体的には行為の目的との関係で,分析の諸指標にどのような関連性があるかを検討するというものである。このような検討は,始まったばかりであるが,今後の継続的な検討により,知的障害者に対する新たな教育方法の開発につながる可能性をもつものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@長野県教育職員免許法認定講習会講師 
A特別支援学校教員専門性向上事業認定講習会講師
B社会福祉法人カルディア会(長野県上田市)評議員
◎社会への寄与等
 長野県教育職員免許法認定講習会,特別支援学校教員専門性向上事業認定講習会はともに地域の特別支援教育に関わる教員の専門性向上に寄与するものである。前者については肢体不自由児教育に関する内容,後者については知的障害児教育に関する内容を主として講習を行った。ともに教育実践の基礎となる知識を,特に生理心理学的側面から整理した講習を行った。受講者の教育経験と講習の内容を照らしてまとめを行わせるレポートの内容から見る限り,自らの教育実践を振り返り,また今後の取組を方向づける新たな視点を提供できたものと考えている。
 長野県上田市の社会福祉法人カルディア会評議員としての活動は,年3回程度の理事会・評議会への出席が主たる内容である。発達心理学,障害児教育の専門的知識を有する者として,法人が運営している保育所,知的障害児通園施設の経営に関する課題の検討を行っている。
 

 
藤 井 和 子(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 特別支援教育専攻には,障害のある子どもの教育に初めて取り組む院生が多数在籍している。そこで,臨床実習ではPlan-Do-Seeの力量形成に重点を置いた授業を実施している。
 成績評価においては,実習の事前準備,授業への参加態度,報告書の作成状況等の観点から多面的な評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 特別支援教育の授業は,ティームティーチングに代表されるように複数の教員が協働で行っている。特に,臨床実習においては,協働による課題遂行に重点を置いた授業を行った。その結果,協働の重要性,困難さの改善方法について学習することができたという評価を受講した院生から得ることができた。このことから,今年度実施した教育の成果が現れているのではないかと思われた。
研究指導
【観点2】大学院
 学校現場で必要とされる協働による研究実践力を養成するために,研究法演習では,複数の院生が協働して研究テーマを設定し,実際にデータを収集・分析するというプロジェクト研究を実施してもらった。
その他の教育活動
@研究室所属院生の教育実習における研究授業参観,授業反省会参加を通して,学生指導を実施した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年10月:『怒らない!怒鳴らない!特別支援教育の実践スキルT』(共著)明治図書
論】@平成20年2月:『特別支援教育における難聴・言語通級担当教員の専門的力量形成に関する研究』(単著)上越教育大学研究紀要 第27巻 107-117
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@上越教育大学研究プロジェクト(「特別支援教育における個別の教育支援計画の活用と評価に関する実践研究」)の実施
◎特色・強調点等
 研究プロジェクトを通して地域の特別支援教育担当教員との共同研究を実施している。教育現場で現在生じている課題を取り上げることが可能となり,その成果を大学院のカリキュラム改善に活かすことができる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越教育大学公開講座「特別支援教育における個別の指導計画作成法と活用法」を開催
A上越市及び柏崎市早期療育事業講師
B養護学校における自立活動の指導及び校内研修に関する支援
C第8回自立活動研究フォーラムの開催
◎社会への寄与等
自立活動研究フォーラムでは,特別支援教育における自立活動の指導について,全国に対し情報発信を行った。