【言語系教育講座(外国語)】
 

 
加 藤 雅 啓(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部:「コミュニケーション英語」では,18年度から新たに導入されたマルチメディア教室を活用し,リスニングとスピーキング能力の育成を重点目標とし,英語によるスピーチと質疑応答,及びペアワークやグループワークを通して積極的にコミュニケーションを図る態度の養成に工夫を凝らした。また,英語によるコミュニケーションが得意でない学生に対しては,本人の能力と興味に応じた補助教材を準備して学習への動機を高めると同時に,基礎的な英語の知識の習得,及び理解力の向上に意を尽くした。「英語学概論」では英語学の全体像を概説した上で,談話文法理論,機能文法理論の観点から英語を理解するための基本的な知識の体系である英文法をとらえなおし,「覚える文法」から「考える文法」,「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを行った。「英文法」の授業では英字新聞や洋画などの生きた英語教材を活用しながら「母語話者の言語直感に迫る文法」の構築を目指した。いずれの授業においても,本学講義支援システムを活用し,学生にはレポート,及び振り返りシート」を提出してもらい,これに対してコメント,及び「振り返りシートの振り返り」を作成して講義支援システムにアップすることにより,学生と教員による双方向のフォローアップを行い,学習項目に関する理解を深めた。
 大学院修士課程:「談話文法特論」の授業では,教育現場における英文法指導について,談話文法理論における最近の研究成果を織り込んで内容を構成した。従来の記憶中心の学校英文法を脱却し,生徒にとって身近な話題を英字新聞やWWWの中に求め,コミュニケーションを重視した実践的な英文法指導への取り組み方を工夫した。「英語学演習」の授業では,語用論,特に関連性理論における最新の言語理論を取り込み,認知とコミュニケーションの観点から発話の理解,とくに橋渡し指示に関する理解を高める工夫を行った。これらの知見を応用し,談話における指示詞に関する実践的な教材開発を行った。
 学部生の成績評価については,積極的にコミュニケーションを図る態度という観点からスピーチ内容・プレゼンテーション,質疑応答,およびレポートを重点的に評価した。大学院生については,教室で実践できる内容を盛り込んでいるかという観点から期末レポートを評価した。
【観点2】教育の達成状況
 学部:「コミュニケーション英語」では,基礎的なリスニング能力の向上が顕著に見られ,同時に積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が身についた。「英語学概論」では,「覚える文法」から「考える文法」へ意識の転換が顕著に見られ,学校現場における「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを達成することができた。「英文法」の授業では,全員が600頁を超える文法書を精読し,各自が自らのうちに「母語話者の言語直感に迫る文法」を構築することができた。
 大学院:「談話文法特論」の授業では,「話し手・聞き手・場面」で構成される「談話」を想定した「新しい文法」観,及び「母語話者の言語直感に迫る文法」観を身につけることができた。さらに,実践的な英文法指導能力を身につけることができ,パワーポイントによる教材を開発した。「英語学演習」の授業では,最新の言語理論を咀嚼した上で,談話における指示詞に関する実践的な教材開発を行うことができた。
研究指導
【観点1】学部
 学部では従来の記憶中心の英文法指導の不備を指摘しながら,「英語ではなぜ同じ意味内容を伝えるのに複数の言い方が存在するのか(第3文型と第4文型,能動文と受動文)」などの「生徒のなぜに答えることができるような英文法指導」を実践し,大量の生きた英文データを与えて臨床的実践力の養成を行った。
【観点2】大学院
 修士課程では,教育現場において最新の言語理論がどのように応用できるかという観点により,「関連性理論の枠組みによる実践的コミュニケーション能力の育成」,「認知言語学による未来表現の分析と応用」等のテーマで実践研究を指導し,中学校・高校の英語教育現場におけるより高度な臨床的実践力の養成を行った。
 その他の教育活動
@平成19年5月−6月, 教育実習における学生指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 本学講義支援システムを活用し,学生には毎週レポート,及び振り返りシート」を提出してもらい,これに対してコメント,及び「振り返りシートの振り返り」を作成したうえで講義支援システムにアップすることにより,学生と教員による双方向通信による授業のフォローアップを行った。学生は振り返りシートを作成するにあたり,授業を振り返ることにより学習内容を確認することができ,教師は学生の振り返りシートを読むことにより,学生の理解度を把握することが可能となった。さらに,教師による「振り返りシートの振り返り」を次の授業の冒頭で振り返ることにより,他学生の疑問点を自らの問題としてとらえ直すことが可能となり,学習項目を一層深く理解することが可能となった。また,英語によるスピーチ,ペアワークやグループワークを通して,積極的にコミュニケーションを図る態度の養成に工夫を凝らした。さらに,「覚える文法」から「考える文法」,「コミュニケーションに役立つ英文法」,「体にしみ込ませる英文法」への橋渡しを行い,英字新聞や洋画などの生きた英語教材を活用しながら「母語話者の言語直感に迫る文法」の構築を目指した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年11月:「It分裂文の焦点とモダリティ表現−命題領域とモダリティ領域の認知転換と総記的含意−」 単著 International Journal of Pragmatics, vol.17: 47-70. 日本プラグマティックス学会
A平成20年2月:「It分裂文の焦点に生じる付加詞」単著 上越教育大学研究紀要 第27巻:163-172.
学会活動への参加状況
@平成19年7月:上越英語教育学会の企画・運営(会長)
A平成19年11月:日本プラグマティックス学会出席(理事,評議員,編集委員)
B平成19年11月:日本英語学会出席(評議員) 
C平成19年12月:日本語用論学会出席
D学会誌International Journal of Pragmaticsの編集
◎特色・強調点等
 最新の言語理論である関連性理論を取り上げ,この理論が学校教育における英語学習にどのような形で応用できるかという観点から中学校英語教諭と共同研究を行い,英語の書き換え問題について,これまでに例を見ない中学校英語教材を開発した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県立柏崎高等学校において出前講座「ハートで感じる現在完了」,「情報構造の話:英語の冠詞は難しいの?」を行った。(平成19年11月19日) 
A日本英語検定協会面接委員として地域における中学校・高等学校・大学の生徒・学生の英語コミュニケーション能力向上に寄与した。(平成19年7月8日,11月18日,平成20年2月24日) 
B社会福祉法人御幸会理事会・評議会に出席した。(平成20年2月16日)
 

 
平 野 絹 枝(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 学部の授業では最近の研究成果を取り込んだ形で,効果的な英文読解方略を指導し,異なった読解問題形式にふれさせて学生の多様な読解能力を引き出すことを心がけた。音読,黙読を練習させ,繰り返し読みの効果を強調した。このような英文の読解力向上のほかに,最近のアウトプット理論や方略使用によるコミュニケーション能力の育成に努めた。動機付けにビデオ,CDを使用して,英語の歌に親しませた。時々,日本人にとって,容易でない発音の指導も心がけた。ペア・ワークで,与えられた課題の相互評価をさせ,クラスの前で発表させることで,学生同士のフィードバックを保障した。アウトプットを強いることで,言語習得の育成をめざし,時には課題文の暗唱テストを課しインプットの重要性を理解させるよう配慮した。「中等英語科指導法」の授業では,限られた授業時間で教授法理論などを中心に理解させることに腐心した。また英語力の向上のため,教授法理論に関する英文を読ませたり発音の指導も行った。大学院では,ESL/EFL及び応用言語学の理論と指導,多角的な視点にもとづいた教材分析の理論研究と実際に焦点をあてた。理解の確認のチェックのため,時々小テストを行い,その後グループやペア・ワークで,問題点を討議させて,インタラクションをはかった。また,英語教材分析結果のレポートを相互に発表させ,コメント,質疑応答の時間を設けた。場合によってはレポートの加筆修正を求め再提出させた。大学院の授業では,特に英語教育学に関する諸理論をわかりやすく解説することに腐心した。学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
 成績評価に関しては,出席,日常点,課題,試験結果にもとづいて総合的に評価した。
研究指導
 第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,国内外の文献を通して日本語と英語の指導を行った。学部3年生と修士課程1年次生には,単独指導とグループ指導で,また,修士課程2年次生には一人一人単独に密で丁寧な研究指導を行うよう心がけた。修士論文執筆の指導では,データ分析とその結果及び考察の正確で明確な記述及び英語の論理構成にもとづいた論文構成になるように,章ごとに提出させ指導した。
 学部,大学院(修士)計5名の論文の指導を行った。連合大学院(博士)では1名の学位(学校教育学)の審査に関与した。
その他の教育活動
@平成19年4月〜20年3月:新潟大学(学部)非常勤講師として「共通英語」を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 最近の英語教育学の理論を取り入れ,英語の理解と産出のバランスを様々な,一斉指導,ペア,グループワーク活動のなかで考慮することによって,学生が効果的に相互的に,英語力の向上や専門知識の獲得をめざせるよう,自主的に課題に取り組み研究する力を培うことができたと考える。今後,限られた授業時間内で個に対応した指導をどのようにしたらよいかが検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年2月: Reading Recall Strategies: Focusing on Memory Strategies Through the use of Students’ Writtten Self-Reports (単著)上越教育大学研究紀要 第27巻 pp. 181-188 
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@連合プロジェクトG「初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発―連合大学院の特性を生かした学校教育実践学構築のモデルとしてー」
学会活動への参加状況
@6月23日〜24日:第37回中部地区英語教育学会三重大会出席
A8月4日〜5日:第33回全国英語教育学会大分研究大会出席
B9月6日〜8日:大学英語教育学会第46回全国大会出席
C大学英語教育学会評議員,中部地区英語教育学会運営委員,中部地区英語教育学会紀要編集委員長
◎特色・強調点等
 読解テストの妥当性の検証があまりなされていないリコールテストに関する研究で,目標言語学習経験年数,性差,読解力,学力,の諸要因がリコールテストのパフォーマンスとその妥当性に及ぼす影響や方略との関係について継続的な研究を行っているが,これまでの先行研究では例がほとんどなく,テスト作成,評価,読解教材開発,読解指導の改善,に貢献する点で,興味深い示唆があり,独創的であるといえる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@英語スピーチコンテスト審査員
 
<教育活動>
授 業
学部
 一般の英語教育では,大きく分けて二通りの方針で英語教育を実施した。
@ 20人強のクラスにおいて,4技能のうち特にリーディングに焦点を合わせる指導をした。教材は英字新聞から読みやすいものを毎回配布して使用。アンケート結果では最高のランクに71.4パーセントの支持があった。
A 40人強のクラスにおいてはアメリカ合衆国の歴史,地理,文化に関する教材を使用し,アメリカ文化の理解と読む力の涵養を目指した。好評である。
Bその他,英米文学講読,米文学概論,アメリカ小説講義等の講義をした。これらは毎年とても好評である。
大学院
(前期):ネイチャーライティングの一環としてインドの水問題を論じた上質の論を読み,自然と人間の関係についての洞察を得ること,そしてなによりも英文を読む力をつけることの二点を目的とした。使用したテキストはThe New Yorker 誌掲載の優れた長編ルポルタージュであり,インドだけの問題にとどまらず人類全体の将来に致命的なものとなりうるテーマを論じたもので,とても好評であった。
(後期):Raymond Carver の短編小説集を教材として使用し,英文の読みと行間の理解をはかり,さらに文学的特質を集中的に講義した。
 その上で毎回英文の要旨を課し,次週に添削したものを返却して英作文力の向上を図った。英文は分かりやすいものの,奥の深い作品を選んだため難しい半面,とても喜ばれた。
研究指導
ゼミで指導した内容は,次の通り。
@4年次生には,卒論の対象を読み終えたのちテーマをどのように見つけ,どのように論理を積み上げ,どのように傍証を加えて論文にするかということを指導したのは例年のとおり。自然主義文学の傑作とされる作品を扱って,なかなか力の入った卒論が含まれていた。
A3年ゼミ生は連続物の長編小説第1巻を読んだが,アメリカ中西部の開拓民の生活が興味深かったようであり,作品の面白さに満足感を抱いていた。そのほかに会話力を中心とする表現力の涵養のため3月末までゼミを指導した。
B修士課程ではAnne Morrow Lindbergh の著作と伝記的資料を網羅的に読んでいる学生の指導に終始した。旺盛な勉強意欲を持つ学生であるため指導がしやすいものの,今後の論文執筆と教員採用試験受験準備を同時進行させる難しさを考えねばならない。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院の教育では毎回,短編小説を読ませてその要旨を英文で書かせるという作業を課した。これは英作文力の涵養に大いに役立ったことと,そもそも要旨をまとめるためには作品自体を繰り返して熟読するという作業が前提であるため,英語の読み書きにはこの上ない指導となり,そして文学入門として優れた教育になった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@ Raymond Carver's “Submerged Menace” in “Everything Stuck to Him”(上越教育大学紀要 第27巻)
学会活動への参加状況等
@5月:日本英文学会
A10月:日本アメリカ文学会
◎特色・強調点等
 夏休みに毎日研究室に来てレイモンド・カーバーの全作品を読み,さらにいくつかの論文や関連図書も読んだ。おかげでレイモンド・カーバーの生涯と作品の特質および傾向など,かなり見通しがついた。今回それをもとにして執筆した論文は一本であるが,今後急速に研究が深まり,論文を集中して書けそうな見込みである。
 
<社会との連携>
 高田商業高校から講演依頼あり,アメリカ文化・歴史と私自身の来し方との関係について,1時間ほど話した。後日高校側から送られてきたアンケートによると,高校生にはとても喜ばれたことがわかる。これまではこのような機会があれば話してきたが,猛烈に疲れ喉を甚だ傷つける。今後の継続も考えてはいるが,件数を減らすことも考慮したい。
 公開講座で学外の市民対象に「アメリカ文学入門(2)」と題して授業を行った。終了後のアンケートでは好評であったが,原語の英語を使ったことと受講生のレベルが千差万別であるため,今後の継続については難しさを感じた。

 
前 川 利 広(教 授)
 
<教育活動>
授 業
学部
 一般の英語教育では,大きく分けて二通りの方針で英語教育を実施した。
@ 20人強のクラスにおいて,4技能のうち特にリーディングに焦点を合わせる指導をした。教材は英字新聞から読みやすいものを毎回配布して使用。アンケート結果では最高のランクに71.4パーセントの支持があった。
A 40人強のクラスにおいてはアメリカ合衆国の歴史,地理,文化に関する教材を使用し,アメリカ文化の理解と読む力の涵養を目指した。好評である。
Bその他,英米文学講読,米文学概論,アメリカ小説講義等の講義をした。これらは毎年とても好評である。
大学院
(前期):ネイチャーライティングの一環としてインドの水問題を論じた上質の論を読み,自然と人間の関係についての洞察を得ること,そしてなによりも英文を読む力をつけることの二点を目的とした。使用したテキストはThe New Yorker 誌掲載の優れた長編ルポルタージュであり,インドだけの問題にとどまらず人類全体の将来に致命的なものとなりうるテーマを論じたもので,とても好評であった。
(後期):Raymond Carver の短編小説集を教材として使用し,英文の読みと行間の理解をはかり,さらに文学的特質を集中的に講義した。
 その上で毎回英文の要旨を課し,次週に添削したものを返却して英作文力の向上を図った。英文は分かりやすいものの,奥の深い作品を選んだため難しい半面,とても喜ばれた。
研究指導
ゼミで指導した内容は,次の通り。
@4年次生には,卒論の対象を読み終えたのちテーマをどのように見つけ,どのように論理を積み上げ,どのように傍証を加えて論文にするかということを指導したのは例年のとおり。自然主義文学の傑作とされる作品を扱って,なかなか力の入った卒論が含まれていた。
A3年ゼミ生は連続物の長編小説第1巻を読んだが,アメリカ中西部の開拓民の生活が興味深かったようであり,作品の面白さに満足感を抱いていた。そのほかに会話力を中心とする表現力の涵養のため3月末までゼミを指導した。
B修士課程ではAnne Morrow Lindbergh の著作と伝記的資料を網羅的に読んでいる学生の指導に終始した。旺盛な勉強意欲を持つ学生であるため指導がしやすいものの,今後の論文執筆と教員採用試験受験準備を同時進行させる難しさを考えねばならない。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院の教育では毎回,短編小説を読ませてその要旨を英文で書かせるという作業を課した。これは英作文力の涵養に大いに役立ったことと,そもそも要旨をまとめるためには作品自体を繰り返して熟読するという作業が前提であるため,英語の読み書きにはこの上ない指導となり,そして文学入門として優れた教育になった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@ Raymond Carver's “Submerged Menace” in “Everything Stuck to Him”(上越教育大学紀要 第27巻)
学会活動への参加状況等
@5月:日本英文学会
A10月:日本アメリカ文学会
◎特色・強調点等
 夏休みに毎日研究室に来てレイモンド・カーバーの全作品を読み,さらにいくつかの論文や関連図書も読んだ。おかげでレイモンド・カーバーの生涯と作品の特質および傾向など,かなり見通しがついた。今回それをもとにして執筆した論文は一本であるが,今後急速に研究が深まり,論文を集中して書けそうな見込みである。
 
<社会との連携>
 高田商業高校から講演依頼あり,アメリカ文化・歴史と私自身の来し方との関係について,1時間ほど話した。後日高校側から送られてきたアンケートによると,高校生にはとても喜ばれたことがわかる。これまではこのような機会があれば話してきたが,猛烈に疲れ喉を甚だ傷つける。今後の継続も考えてはいるが,件数を減らすことも考慮したい。
 公開講座で学外の市民対象に「アメリカ文学入門(2)」と題して授業を行った。終了後のアンケートでは好評であったが,原語の英語を使ったことと受講生のレベルが千差万別であるため,今後の継続については難しさを感じた。
 

 
石 M 博 之(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の「コミュニケーション英語」(1年次・2年次)の授業では,アメリカの都市を扱ったテキストやポピュラーな歌を扱ったテキストを使用して,英語をとおして文化的な側面の知識を得たり,英語に親しませながらリスニングやリーディング技能の向上に焦点をあてた。そして,将来の教員に必要とされる基本的な英語力の養成を目指した。また,最新のニュースに関する記事(時事英語:身近な話題や教育問題)も扱った。事前にプリントを配布して予習しやすいようにした。授業では,オーバー・ラッピングの手法を取り入れたりして読むことの練習をした。「小学校英語教育概論」では,現在実施されている英語活動を想定して,その理論を概観させながら実際のアクティビティ(ゲームの活動・歌の活動)を体験するような授業展開をした。学部の授業では,授業出席,レポート,小テスト,定期試験を基にして評価した。
 大学院の「小学校英語教育特論」では,初等英語教育に必要とされる専門的及び理論的な知識(ねらい,スキル,指導法,教材・教具,授業計画,及び評価)を身につけさせるために,英文のテキストを読ませた。そして,専門的な項目に関して説明をした。毎時間テーマを提示して話し合いを実施した。授業参加態度,授業後のレポート,及び学期のレポートで評価とした。後期の「小学校英語コミュニケーション演習」では,現在実施されている英語活動のねらいに基づいた模擬授業(学年ごと)を提示した。学期の中盤から,大学院生に小学校の高・中・低学年向けの実際の場面を想定した模擬授業を実施させた。指導案から教材作成,及び模擬授業を展開させた。実際の授業運営ができる点で好評であった。
【観点2】教育の達成状況
 学部では,英語(リスニングやリーディング)をとおして教育に関する時事的な話題を取り上げた。教員養成系の学部学生には教育問題に関心をもってもらいたいためである。小学校英語に関する授業では,英語指導できるような基礎を育成するようにした。
 大学院では,実際に模擬授業を試みさせたために教育実践の中で応用できる。
 おのおのの授業のねらいはおおむね達成されたが,授業の内容については内容を精選して,更に学生が満足できるような内容を検討する必要がある。
研究指導
【観点1】学部
 2名の卒業論文の指導にあたり,基本的な専門書を読ませながら専門的知識を習得させた。テーマに沿ったデータを収集させるために公立小学校で実際に授業をさせた。そして,収集したデータの分析や考察をさせ,臨床的な実践力を習得させた。
【観点2】大学院
 5名の修士論文の指導にあたり,専門的な論文や専門書の内容を報告させ,研究課題を設定させた。実証研究や実践研究を通したデータの収集,分析,及び考察をさせて,修士論文を完成させる指導をした。
その他の教育活動
@4名の免許プログラムの大学院生,2名の4年の学部生,及び3名の3年の学部生の教育実習校を訪問して学生指導にあたった。
 ◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部の小学校英語に関する授業では,体験的な活動を多く取り入れたために,将来小学校教員になったとしても基本的な指導ができるように心がけた。
 大学院の授業では,授業を受講することによって学校教育の枠組みで多様性のある小学校英語の教育実践が可能であることと,授業の内容と大学院生の修士論文のテーマと関連させた。
 学部の卒業論文を指導した学生は,実際に小学校や幼稚園の教職ついたために,学んだことを応用可能である。
 大学院の5名の修士論文を指導する場合,個人的にやりとりをするための時間を確保することが困難であった。たとえ時間を決定していたとしても,大学院生からいろいろな理由でゼミを中止することが多かった。多くの大学院生を指導する場合,効率的に指導する必要がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年3月:『小学校における35時間の「英語活動」が中学校1年生の聴解力に及ぼす影響』(単著)中部地区英語教育学会紀要 第37号 pp.55-62
業】@平成19年7月:『コミュニケーションの楽しさのある活動の発掘』(単著)小学校英語セミナー No.25 pp.8-9
A平成19年8月:『平成19年度 かほく市小学校英語活動の手引き』(共著)かほく市教育委員会
B平成20年3月:『2年間のかほく市の英語活動に関わって』(単著)平成18・19年度文部科学省委嘱かほく市小学校英語活動地域サポート事業まとめ かほく市教育委員会 pp.2-5
C平成20年3月:『小学校英語における「授業づくり」の留意点−『だれでもできる』『ためになる』『楽しい』英語活動をめざして−』(単著)愛知県立大学文学部生涯発達研究報告(2007年度)pp.52-119
発】@平成19年6月:『小学校における「英語活動」が中学校1年生の聴解力に及ぼす影響』(単)第37回中部地区英語教育学会三重大会研究発表 
A平成19年8月:『英語活動における「話すこと」に関する効果−どのくらい児童は既習の言語項目を表現できるか−』(共)小学校英語教育学会全国大会第7回徳島大会研究発表
他】@平成20年3月:『「だれでもできる」「ためになる」「楽しい」英語活動−学級担任主体の英語活動指導の取り組み−』(共)糸魚川市立西海小学校報告書
A平成20年3月:『糸魚川市立西海小学校の英語活動 B指導案集(平成18年度指導案集)』(共)糸魚川市立西海小学校報告書
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@小・中連携を意識した小学校英語の実践的研究−カリキュラム編成に焦点をあてて− 代表者:石M博之 科学研究費補助金
A初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発−連合大学院の特性を生かした学校教育実践学構築のモデルとして− 代表者:勝野眞吾 共同研究プロジェクトG 研究協力者
学会活動への参加状況
@6月23日〜24日:第37回中部地区英語教育学会三重大会出席
A7月1日:大阪大学言語文化研究科「小学英語教育はいかにあるべきか」公開シンポジュウム出席
B7月21日:上越英語教育学会第11回大会出席
C8月18日〜19日:小学校英語教育学会全国大会第7回徳島大会出席 
D平成19年度小学校英語教育学会紀要編集・査読委員
◎特色・強調点等
 前年度に引き続き,小学校英語に関しては児童の聴解力の向上,及び小学校英語に向けての教員研修や教員養成のあり方について検討している。特に,小学校英語経験の有無と聴解力との関係を提示したという点ですぐれたものといえる。「聞くこと」と関連した「話すこと」に関する児童の発話を考察しているが,このような研究は英語活動の枠組みの中で例がほとんどなく独創的であると思われる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@公開講座「「小学校英語」進め方入門」合計6回 9時間 
A平成19年4月〜平成20年3月:糸魚川市立西海小学校英語活動教育実践の指導助言者(計11回実施) 
B平成19年4月〜平成20年3月:糸魚川市立上早川小学校英語活動教育実践(出前授業)指導者(計17回実施)
C平成19年4月〜平成20年3月:文部科学省地域サポート事業石川県かほく市英語活動協議会顧問・6つの小学校英語活動の指導助言者(11回),及び協議会での講演者及び指導助言者(3回) 
D平成19年10月24日:文部科学省地域サポート事業石川県かほく市英語活動 かほく市立金津小学校研究発表会公開授業発表者,及び講演会講師(『かほく市における小学校英語の2年間の軌跡と展望−『だれでもできる』『ためになる』『楽しい』英語活動をめざして−』を講演)
E平成19年8月23日:富山県朝日町英語活動研修会講師(富山県朝日町教育センター主催)
F平成19年8月27日:新潟県三条市立森町小学校校内研修会講師
G平成19年10月10日:富山県入善町立上青小学校校内研修会講師
H平成19年11月2日:新潟県三条市立森町小学校校内研修会講師(師範授業と授業協議会)
I平成19年11月5日:新潟県十日町市英語活動等国際理解活動推進事業講師(十日町市立馬場小学校,十日町市教育委員会主催)
J平成19年11月12日:富山県朝日町立さみさと小学校校内研修会講師
K平成19年12月10日:富山県入善町立上青小学校校内研修会講師
L平成20年2月2日:愛知県立大学生涯発達研究施設公開フォーラム「子どもに楽しい英語活動を!」の講演とワークショップ
M平成20年2月18日:石川県志賀町立下甘田小学校内研修会講師(師範授業と授業協議会)
N平成20年2月25日:新潟県十日町市立馬場小学校校内研修会講師(師範授業と授業協議会)
O平成20年3月3日:富山県入善町立上青小学校校内研修会講師(師範授業と授業協議会)
P平成20年3月11日:上越市立宮嶋小学校校内研修会講師(師範授業と授業協議会)
Q平成19年7月:「糸魚川市広報 いといがわNo.28」に糸魚川市立上早川小学校の英語活動が紹介される。
R平成19年10月24日:金沢テレビ「かほく市立金津小学校の研究実践」で放送される。
S平成20年2月3日:読売新聞名古屋市内版に「英語教育は楽しく」という題で紹介される。
◎社会への寄与等
 公立小学校での学級担任やALTとのティーム・ティーチングによる出前授業は,学校教育関係者から,1つの授業のあり方として具体的かつ実践的であると評価を得た。
 教員研修会等も,小学校英語教育・英語活動に関する理論の提示にとどまらず,具体的な指導方法がわかりやすかったと評価を得た。
 マスコミや広報誌で,講演や教員研修内容が紹介され,地域から評価を得た。
 

 
大 場 浩 正(准教授)
 
<教育活動>
授 業
(学部)「コミュニケーション英語」(1・2年生)においては,リスニング,リーディング,ライティングの3技能と語彙に焦点をあてた授業を展開した。第1回目の授業において,受講学生の英語学習に関する意識等をアンケートにより調査すると同時に,授業全体の目的・目標,学習内容(計画),成績評価方法を詳細に解説した。また,毎回の授業では個々の活動に関して何のために行なうのか(何に役立つのか),どのように行うのかを明確にし,学習への動機付けを促し,自己評価やプリント等のチェックなどを通して(形成的評価として)その日の活動成果を確認した。学習の成果のみならずその過程を評価することを通して受講学生の学習意欲を高めるようにした。「中等英語科指導法(授業論)」でも同様に,学習内容や個々の活動の意義を明確にした。授業は全体を3期に分け,1期では英語の授業展開や指導案の作成の方法を解説し,2期では1期の内容を踏まえ,受講学生達が実際に1時間の授業を組み立て,模擬授業を行った。模擬授業後のディスカッションによって授業を観察する目が養えたのではないかと思う。3期には中学校現場の教員による講義を組み込み,学生の教職への動機付けを行った。教育実習や現場に出てから役に立つ英語の授業の基礎技術を獲得させることに焦点をあてた。
(大学院)「英語科学習方法演習」と「英語科教育コミュニケーション特論」では,目的・目標,学習内容,成績評価方法を明確にし,より高度な,そして,専門的な知識を獲得できるように,学生によるプレゼンテーションとグループディスカッション等を通して指導を行った(特に前者の授業)。また,英語指導の際に,直接的・間接的に役に立つ背景知識の獲得と自己の英語教育に対する考え方を形成させることに焦点をあてた(特に後者の授業)。毎回の授業後にはレポートを提出してもらいコメントをつけて返却した。
 研究指導
(学部)国内外の専門誌に掲載された論文や専門書の講読を通した専門的知識の獲得(文献研究)とその知識に基づく実証的な研究(実験研究)を通して英語教育に関する洞察力や臨床的な実践力を深めさせ,卒業論文を完成させるための指導を行った。
(大学院)より高度な専門的な知識,および臨床的な実践力を修得させるために,国内外の専門誌に掲載された論文および専門書の内容を報告させ(文献研究),それに基づいて議論等を行い,設定した研究課題への取り組みを通して修士論文を完成させるための指導を行なった。
その他の教育活動
 上越教育大学附属中学校における教育研究協議会実施に係わる指導・助言を行った。
◎特色のある点等
 学部では,英語を専攻していない学生の指導において,将来,(主に)小学校の教員として子供たちに英語を教える機会もあることを踏まえ,英語に対して肯定的な態度が育つように心がけた。また,英語教育に関する専門の授業では,最低限,教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。卒業論文の指導においては,理論的な側面のみならず,理論に基づく提案等を通して実践力の獲得に焦点をあてた。大学院においては,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実験研究の成果を正確に理解させることに努めた。また,修士論文の指導においては,英語科におけるリスニングと語彙指導に有益な示唆を与える研究の指導を行うことが出来た。また,平成19年度の学内ファカルティ・ディベロップメント研修会(平成20年3月4日実施)において「授業実践紹介・パネルディスカッション『授業の方法』」のパネリストとして「コミュニケーション英語」の授業内容を紹介した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成19年9月:「Characterization of two EFL classrooms at the primary education level in Korea」(共) The 1st Korean English Teachers Associations Joint Conference & 2007 English Teachers Association in Korea (ETAK) International Conference研究発表
A平成19年9月:「A comparative analysis of EFL teachers’ beliefs on classroom activities」(共) The 1st Korean English Teachers Associations Joint Conference & 2007 English Teachers Association in Korea (ETAK) International Conference研究発表
B平成19年12月:「Variation in the acquisition of unaccusative verbs by Japanese EFL learners」(共) The 12th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics研究発表
C平成19年12月:「A Study of grammar development among Japanese university students: Intransitive verbs, transitive verbs, ditransitive verbs and logical subjects, Part (1)」(共)The 12th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics研究発表
D平成19年12月:「A Study of grammar development among Japanese university students: Intransitive verbs, transitive verbs, ditransitive verbs and logical subjects, Part (2)」(共)The 12th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics研究発表
論】@平成19年12月:「Variation in the acquisition of unaccusative verbs by Japanese EFL learners」(共) Proceedings of the 12th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics
他】@平成20年3月:『日本人英語学習者の関係代名詞節構文・疑問構文の処理過程の解明に関する研究』(単)科学研究費補助金研究成果報告書
 共同研究(小・中・高等学校との共同研究を含む)の実施状況
@項目応答理論・差異項目機能分析を用いた英語文法能力発達過程の研究 代表者:山川健一(安田女子大学准教授)科学研究費補助金
A「初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発−連合大学院の特性を生かした学校教育実践学構築のモデルとして−」代表者:勝野眞吾(兵庫教育大学副学長)連合研究科共同研究プロジェクト
B「Characterization of two EFL classrooms at the primary education level in Korea」代表者:今井裕之(兵庫教育大学)日韓共同研究
C「A comparative analysis of EFL teachers’beliefs on classroom activities」代表者:杉野直樹(立命館大学)日韓共同研究
学会活動への参加状況
@平成19年度北海道英語教育学会の運営委員及び学会誌編集委員
A平成19年度日本第二言語習得学会の運営委員及び学会誌編集委員
B平成19年6月23日〜24日:中部地区英語教育学会(三重大学)出席
C平成19年9月7日〜10日:The 1st Korean English Teachers Associations Joint Conference & 2007 English Teachers Association in Korea (ETAK) International Conference (English/Culture Center, Kongju National University, Korea)出席
◎特色・強調点等
 日本人英語学習者の関係節構文とwh疑問構文の習得について,オンライン処理における文解析の視点からの研究を昨年に引き続き行っている(科学研究費補助金による)。また,共同研究の第二言語の文法能力の発達における新しいテスト方法やデータ分析方法の開発(科学研究費補助金による)に関しても,その研究成果を国際学会で発表し,報告書の形でまとめた。これまでにない分析方法による包括的な研究という点で優れたものである。さらに,韓国の小学校における英語授業の分析も行った(日韓共同研究)。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@ECHOの会(上越地区中学校英語教師の会)研修会講師(『自立した英語教師になるために』を講演)
A上越市教育センター主催「中学校英語科教員研修」研修会講師(『生徒の意欲を引き出す指導方法』を講演)
 

 
野 地 美 幸(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法に関しては,「英語学演習」で講義支援システムを使ってレポート管理を行ったり,「英語音声学」ではマルチメディア教室で教材作成・提示を行ったりと,19年度も昨年度に引き続き情報機器の活用に取り組んだ。
【観点2】教育の達成状況
学部:「コミュニケーション英語」の授業では,LL 等を活用し,リスニングとスピーキングを中心にコミュニケーション能力の育成に努めた。「英語音声学」では,英語の音を体系的に教授した。「英語学演習」と「英語基礎研究」では英語の文の形成にどのような原理が関わっているかを解き明かし,英文読解力の養成を図った。
大学院:「生成文法特論」においては生成文法理論の入門の授業を行った。「生成文法特論」においては,本年度は生成文法に基づく第二言語獲得研究に関する論文を読みとく形式で授業を行った。また,「実践場面分析演習」では,英語の進行形について指導・助言を行った
研究指導
【観点1】学部
 学部3年生2名に対して英語学の基礎的知識の養成を図るよう指導し,学部4年生に関しては卒論の指導を行った。また小学校の英語活動の指導も行った。
【観点2】大学院
 指導院生2名のうち免P生に関しては論文を一緒に読み,M2院生に関しては修論の指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年2月:「L2英語における目的語格標示:日本人英語学習者の発話コーパス研究」『上越教育大学研究紀要』第27巻,pp.173-180.
A平成20年3月:「小学校英語活動・国際教育における共同授業の試み」(共著)『教育実践研究』第18集,pp.1-7.
学会活動への参加状況
@上越英語教育学会第10回大会(平成19年7月21日開催)の企画運営参加
A学会誌「上越英語研究」の編集
B日本英語学会第25回大会参加(平成19年11月10-11日)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市国際教育推進協議会委員
 

 
ブラウン・アイヴァン(外国人教師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部新入生の大部分は,中・高等学校で学習した英語の知識を実際のコミュニケーションに使う機会が不足しており,自発的な会話ができない。
 まず基本フレーズを復習,活用方法を練習し,学生が自分の経験や意見をペア及びグループ内で発表した。そして学生は,成績評価の対象となる発表に向け,好きな話題を選びプレゼンテーションの準備をした。後期では,学生がそのプレゼンテーションの発表の前にスピーチの内容を提出した。そして私はそれを校正し,モデルスピーチを録音し,与えていた。それは学生に対して,文法,聞き取りや発音の学習の大変良い機会だったと思う。さらに,作文で自分の経験や意見を伝える練習,体験及び自信をつけるため,授業に関する話題について作文を書かせた。作文での不適切な英語を自分で書き直す力を強化するために,直ぐに正解を与えず,その不適切な点を指摘し,学生が自分で考え,調べ,書き直させてから再提出させた。さらに,学生が英語での電子メールにも慣れるように,時々作文を電子メールで提出させた。将来,中学校で英語を教えたいと考えている学部二年生以上の学生の中で,まだ自分の英会話力に自信のない学生向けに,英語コミュニケーション(会話)の選択科目で,集中的な会話活動を行った。まず,学生が毎回同じ友達グループで同じ様な会話にならないよう,学生同士の会話グループ・メンバーを3週間ごとに変えたり,更に,会話を録音し,分析し,感想文や上達目標についてレポートを書かせたりした。
 大学院の現代英語特論では,院生は英語で学校教育,社会言語学及び世界英語の多様性といった話題について発表,議論,小論文を書き,その話題に関する知識を増やした。学理的な英語を練習する機会が多く,非常に活発で刺激的な授業になった。現代英語演習では,大学院生がアカデミック・ライティング力の上達を目標とし,授業活動,自習や小論を積極的に,一所懸命に取り組んだため,非常に活発で刺激的な授業になった。プロセス・ライティング・アプローチを通し,院生は内容深く正式な小論を書くことが出来た。最後に学生の達成感のために,院生が書いた英語小論文を集め,雑誌を作って学級で配った。
【観点2】教育の達成状況
学部生:多数の学生が英語コミュニケーション力に深く役に立つ英会話活動及び英作文活動の経験をし,英語コミュニケーションというプロセスの意味をより深く理解し,どうやって実際の英語コミュニケーションの力を強化するかを効果的に考えるようになった。
大学院生:英語ライティングの過程で学生の英作文の質が全体的に上達し,質の高い論理的な英語で,興味深い見解を伝えられるようになった。
研究指導
【観点1】学部
4年生の卒業論文に関する研究資料(英語版のアンケートなど)と卒業論文の英語要約文を指導した。
【観点2】大学院
研究資料及び教育実習資料,卒業論文の英語の内容を確認し,適切な英文表現を細かく指導した。
その他の教育活動
@アメリカ・アイオワの教育交流会・教育実習の参加学生を対象に,クラスルーム・イングリッシュ及びホームステイ・イングリッシュの授業を行った。学生の教育実習のための授業内容を指導し,学生が準備した授業内容の英語を校正し,学生の発音参考のためにモデルスピーチを録音し与えた。その教育実習の授業のリハーサルに参加し,英語での説明及び資料にフィードバックをした。その教育実習は非常に効果的であった。
A前期,後期とも毎週,学部生(火曜日)大学院生(水曜日)のために「ランチタイム・英会話」を行った。希望した参加者は落ち着いた易しい雰囲気で英会話を経験し,自信を増やした。 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 日本の学生は人前で自分の意見を発表したり他の人の意見に対して自分の意見を述べるという経験が乏しいため,これから教員になろうという学生の将来を踏まえ,なるべく発表の機会を与えた。今後は,学部生もより積極的に英会話できるよう,クラスルーム・イングリッシュ及び会話ストラテジーをさらに細かく指導する予定である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年12月:『The Critical Period Hypothesis and Second Language Acquisition:A Critique of Two Empirical Studies』(単著)上越英語教育学会:上越英語研究 第8号 pp.3-10.
A平成20年2月:『A Meta-Analysis of Recent Research on the Social Psychology of Language』 (単著)上越教育大学研究紀要 第27巻 pp.157-161
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@平成19年度から本学の石濱博之先生が担当している科学研究費で行う「小・中連携を意識した小学校英語の実戦的研究-カリキュラム編成に焦点をあてて-」に研究分担者として参加,DVDで録音した小学生の英会話を評価した。来年度も継続した研究活動を行う。
A本学の附属小・中学校研究会の英語授業を見学し,感想会に参加し,感想を発表した。
学会活動への参加状況
@平成19年6月:全国語学教育学会・コンピュータ言語教育研究会(JALTCALL2007),早稲田大学 出席
A平成19年7月:全国語学教育学会大学外国語教育研究会(JALTCUE2007) 名古屋市杉山女学院大学 出席
B平成19年11月:全国語学教育学会(JALT2007) 東京都,国立青少年教育振興機構 出席
在外研究の状況
@2月6日〜3月31日:平成18年度より始まった「英語教育に関する社会言語学:現在世界での英語の状況に対する日本人学生の態度」の研究計画を続け,研究資料(アンケートなど)を準備した。
◎特色・強調点等
 全国語学教育学会への出席は,最新語学教授方法(特に会話ストラテジー)の研究,及び社会言語学の研究活動(言語に対する日本人の態度)に有意義であった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年8月:上越市民プラザでJOINの市民が参加する「英語しゃべり場」で特別講師としてスピーチ,英会話活動を指導した。
A平成19年8月から「MPEC - Myoko Powerful English Club」でSpecial Advisorとして登録。
B平成19年10月:MPECの毎月行う市民のための英語活動に参加,指導した。
◎社会への寄与等
 地元の市民及び小学校,中学校の英語力又は英語教育の質を高めるため,研究活動又は教育指導を計画する予定。