【社会系教育講座】
 

 
赤 羽 孝 之(教 授)
 
<教育活動>
授 業
学部:人文地理学概説,人文地理研究,地理学実験,地理学野外実験,地域調査法B,実践セミナーT,地理学専門セミナーT・U
大学院修士課程:人文地理学特論,実践場面分析演習T,地理学研究セミナーT・U
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組   
 地理学は地域・場所・空間に関わり景観的で実証的な性格をもつ為,スライド写真・パワーポイント・統計・地図などをなるべく利用し,対話型の授業を心がけた。成績評価も筆記試験の成績のみでなく,日常的な出席数や受講姿勢・態度なども取り入れ,試験結果と出欠・態度をほぼ同じ比重で評価した。
【観点2】教育の達成状況
 受講生による授業評価の結果を見ても,一部を除き,大半の受講生の評価は良好であり,概ね目標は達成されていると考えられる。問題は,一部の意欲に問題のある受講生に対する今後の対応を如何にするかであろうと思われる。
研究指導
 社会系コースの大学院修士院生6人(M1:4人,M2:2人),及び研究生(留学生)2人に対する研究指導
【観点2】大学院 
 研究セミナーT・Uを通じた指導である。M2院生の修論研究では,留学生1人のために文献・書籍を用意するだけでなく,論文チューター1人を付け,教員自身も執筆指導,文章の添削なども行った。M1:4人の内3人も留学生であり,留学生の経済的理由もあって文献等を研究費で購入貸与し,文献収集のために新潟市の環日本海研究所などに同行し,実地指導を行った。他は,前期・後期を通じたゼミ指導であるが,各種の先行研究の論文の輪読,修論研究の調査結果の中間報告などを行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題 
 最近5年間の北東アジアへの自主的な観察巡検などで得た実態的成果を,スライド映写・説明の形で授業に生かした。また本年夏季に中国雲南省他へ私費旅行を行い,その際に得た少数民族の観光地・産業・文化,地域の自然に関してパワーポイント等による授業を行った。また従来,授業内容が理論に傾斜する嫌いがあったが,外国や上越地方の地誌的事例など,具体的な事象を通じて説明するよう心がけた。課題としては,具体的事象と理論的視座とのバランスの問題がある。学生の知的レベル・意欲との関係もあり,授業での反応を見ながら進めている。そのため授業では受講学生との対話をなるべく取入れている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
監修・執筆】@平成19年10月:『新潟もの知り地理ブック』新潟日報事業社,P259.
発】@平成19年9月5日:JCV公開講座 中国の今「中国の各地を訪ねて」上越ケーブルビジョン.
A平成20年3月24日:講演会「新潟県上越地方における工業…とくに地場産業について…」上越商工会議所・上越技術研究会・上教大振興協力会 主催, 於:上越市
学会活動への参加状況
@10月20日:上越教育大学社会科教育学会(上越教育大学 学教センター)
A3月28日〜31日:日本地理学会春季学術発表大会(於:独協大学,埼玉県)
◎特色・強調点等
 新潟県の地理学研究者グループによる共同企画『新潟 おもしろ地理ブック』の編集に関わり,小千谷縮・北越雪譜・城下町高田・雁木・フォッサマグナなどの項目を執筆した。当初の計画から見て遅れたが,平成19年11月に出版された。続いての企画,「新潟県の地域変貌を新旧地形図から探る」の準備を進めており,明治以後の約100年間の地域変貌を新旧地形図の比較からその歴史的変化を探ろうという試みである。全国的に旧市町村の大規模広域合併という地域単位の再編の後であり,地理書へのニーズが高まっている。本書は市民向けの出版物で,研究者の地域への貢献としても意義があると思われる。また,前年度に引き続き,中国の地域経済・都市発達史などの文献収集,また留学生と伴に新潟市の環日本海研究所において統計年鑑などの資料収集を行った。また8月に3週間,中国雲南省北部,麗江・香格里拉・徳欽等の少数民族地域等への私費の観察旅行を行い,ゼミで発表し授業にも生かした。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市景観審議会委員
A関川流域委員会委員
B上越市北陸新幹線建設促進期成同盟会顧問
C上越市新幹線新駅地区土地区画整理審議会委員
D新潟地域文化デジタル化研究会代表幹事
E新潟県公共事業再評価委員会委員
F上越市建築紛争調整委員会委員
◎社会への寄与等
 新潟県の公共事業再評価の審議や,建設が進む北陸新幹線に関係する地域振興,新駅周辺整備などの問題に,経済地理学の専門知識を生かして関わった。また,上越地域の河川整備の問題などにも委員として意見を述べた。
 

 
大 嶽 幸 彦(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態,学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 学部の授業では,いわゆる講義だけでなく作業学習や発表形式も加え,実践能力がつくよう心がけた。
 大学院は現地調査を含む発表形式をとり,質疑は全員に当て,参加意欲が出るよう工夫しているので,毎回欠席者が用事のない限り皆無である。
○成績評価法に関する取組状況
 シラバスに明記したことを第1回目に確認し,出席状況,発表状況,小リポート,最終試験をもとに,学生の納得のゆくよう事前・事後に説明している。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 教職を意識した授業内容にしているため,教員になる気のない学生には辛い授業のようである。4年次の教員採用試験の合格者は,真剣に取り組んだものしか合格していない。
研究指導
【観点1】学部
みずから考え,調査項目を決めて取り組みさせている。
【観点2】大学院
専門の研究テーマを院生自らが深めるのを手助けしている。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学生・院生がみずから課題に取り組み,教員はその手助けをして,能力を引き出す役に徹するよう心がけている。
  
<研究活動>
◎特色・強調点等
 1999年以来取り組んできた,世界地理体系(フランス語)の翻訳作業が最終校正までたどり着いた。出版が遅れたために,古くなった内容やデータの大幅な修正など,思わぬ仕事になったが,本学の宣伝になるかと思い,退職後にも継続し,平成20年中に出版される予定である。その他,連合大学院の博士候補の審査(主査)で出張した。
 

 
佐 藤 芳 徳(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
@教育方法
大学院の「自然地理学特論」では,基礎的事項の内容を精選したほか,自然地理学の最新の研究成果を取り入れた。また,授業内容は,資料等の教材化も念頭に入れて構成している。学部の授業では,環境科学的内容を充実させたほか,地理学野外実験などの実験科目を中心に,学生が地理的現象を直接取り扱えるよう授業内容を工夫した。また,IT機器も必要に応じて導入した。
A成績評価
学生の努力が成績に反映されるように工夫した。 
【観点2】教育の達成状況
 年度初めに計画した目標は,概ね達成できた。過年度の学生による授業評価を教育に反映させ,今年度は良い評価を受けた。
研究指導
【観点1】学部
卒業研究においては,地理学関係,特に自然地理学を中心に指導を行った。
【観点2】大学院
修士論文作成においては,自然地理学関連の論文指導を行った。
その他の教育活動
@新潟産業大学で非常勤講師として,年間30時間担当した。 
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年12月:「地域と地理教育」協同出版(分担執筆)
A平成20年1月:「自然地理学概論」朝倉書店(分担執筆)
論】@平成19年11月:湖水の混合と循環.日本水文科学会誌,37,4,201-208.
発】@平成19年5月:高田平野における被圧地下水の水質と安定同位体組成.日本地球惑星科学連合2007年大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@独立行政法人産業技術総合研究所 客員研究員 「広域地下水流動系の研究」
国際研究プロジェクトへの参加状況
@平成19年9月 アメリカ合衆国地質研究所及び独立行政法人産業技術研究所の共同研究「グアム島の地下水研究」へ参加 
学会活動への参加状況
@日本水文科学会評議員
在外研究の状況
上記の通り
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県環境影響評価審査会委員(新潟県)
A新潟県環境審議会委員(新潟県)
B上越市水道水源保護審議会委員(上越市, 委員長)
Cダム水源保全・涵養検討委員会(上越地域水道用水供給企業団,副委員長)
D上越市環境審議会委員(上越市)
E長岡市地下水対策協議会委員(長岡市)
F上越水資源開発利用協議会顧問(上越市,妙高市)
G上越市大規模開発行為審議会委員(上越市) 
◎社会への寄与等
(1)上越地域水道用水供給企業団 ダム水源保全かん養活動
(2)平成19年8月 ロータリークラブ上越支部で講演
 

 
鈴 木 敏 紀(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
@経済理論の数式化,グラフ化の基本的能力を身に付けさせ,統計資料から表及び図の作成能力を身に付けさせた。
A新聞の経済欄から現在の経済問題を理解させ,同時にその理論を学習した。
Bレポートと試験問題を組み合わせ,理解度を確認し,成績評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
@社会人として最低限必要な経済学的素養を身に付けさせた。
研究指導
【観点1】学部
@公民教材開発論において資源循環型社会の構築に向けて必要な理論的素養を身に付けさせた。
A実践セミナーT「社会」において,中学校公民分野の教材開発を基に授業内容及び授業方法を指導した。
【観点2】大学院
@修士論文「北海道酪農業の経営革新に関する調査・研究」及び「若年層の労働観に関する調査・研究」の作成に当たり,文献,資料,調査,研究等に関し指導を行った。
A実践場面分析演習T「社会」において,中学校公民分野の教材開発を基に授業内容及び授業方法を指導した。
その他の教育活動
@長岡工業高等専門学校において「経済学」及び「社会学」を教授した。 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
(1)公民教材開発論における資源循環型社会形成推進に向けた理論の授業成果を冊子にまとめ,授業研究に寄与した。
(2)実践セミナーT「社会」・実践場面分析演習T「社会」における公民分野の授業成果を冊子にまとめ,授業研究に寄与した。
(3)経済学専門書の読解力を身につけさせるため,さらなるレポートの数を増やす必要がある。 
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年11月:「利子率の平均利潤率均等化法則」(大嶽幸彦先生退職記念事業会編『地理と地理教育』共同出版所収)
◎特色・強調点等
 論文「利子率の平均利子率均等化法則」はマルクス経済学理論における利子論に初めて数理的論証を与え,新利子論を構築したものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県立中央病院倫理委員会副委員長
A上越市地球温暖化対策地域環境リーダー
B公開講座:「おもしろ柔道教室」,出前講座:「地域づくり」「初等中等教育のための経済教育」
C上越市柔道クラブ顧問 
D学習支援教室主宰 
◎社会への寄与等
(1)新潟県立中央病院倫理委員会副委員長として医療倫理に関して提言し,問題解決に寄与した。
(2)上越市地球温暖化対策地域環境リーダーとして地域住民に向けて資源循環型社会の形成推進の啓発活動を行った。
(3)公開講座「おもしろ柔道教室」で,上越地域の子どもたちに柔道の「おもしろさ」を指導し,保護者より好評を得た。
(4)出前講座「地域づくり」で,直江津地区の町内会活動による地域活性化について指導した。
(5)上越市柔道クラブ顧問として,上越地域の小・中・高の児童生徒の柔道指導に当たり,柔道の普及と向上に寄与した。
(6)週二回,学習支援教室を主宰し,大和小学校区の児童の学力向上に寄与した。
 

 
藤 澤 郁 夫(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部授業では,「倫理学概説」において,社会科の教科専門科目としての内実を確保るよう努力した。この授業では,毎回小テストを行ない,毎回のミニマム知識の理解度を測り,成績評価に細かく反映させたのが新機軸だったといえる。たしかに手間はかかるが,学生の記憶に残っているうちに,それを論理展開させることによって,印象を強化させる効果を狙った。また「倫理学文献購読」においてはM.I.フィンリー『民主主義 古代と現代』を購読した。ただ古代史に必ずしも通じていない学生諸君には少々難解であったかもしれず,テキスト選択には一層の注意を払っていきたい。また,大学院の授業「倫理学特論」においては,アリストテレスの正義論と友愛論を論じた。正義論と友愛論は相補的な関係にあり,西洋思想史の話題として重要であることを訴えた。院生諸兄も熱心に聴講してくれたし,課題のレポートも水準が高かったことは嬉しいかぎりである。
【観点2】教育の達成状況
 おおむね所期の目標は達成されたものと思う。ただし,学部科目「倫理学文献講読」のテキスト選択については,学生の理解は十分とは判定できず,この点で課題を残したといえる。
研究指導
【観点1】学部
 4年生のゼミ指導および卒論指導をおこない,「新渡戸稲造著『BUSHIDO』考察」を提出させた。テキストが英文であり,内容は高度であったが学生はよく努力したと思う。また,3年生1名のゼミ指導を行ない,卒論準備のために哲学史を講読し,基礎知識の獲得と卒論テーマの設定の準備をした。その結果,ロックの自然法思想を卒論課題として今後の勉強を進めていくと思われる。
【観点2】大学院
 M1院生2名の指導をおこなった。一人は現職の高校教員であり,現代の高校の教育現場における倫理教育の可能性を追求している。ゼミ指導では和辻哲郎の『倫理学』を講読するなか,関連の話題で討論を深めた。高校現場で進行している諸問題に対処するためには,倫理理論の学術的理解の深化はむろん欠かせないが,現場の要求や問題にどう応えていくかは,まさに理論と実践の有機的な連携が求められるのであり,改めて教育実践の厳しさを痛感している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年3月:「「礼」について」(単著)上越教育大学研究紀要 第27巻pp.151-158.
学会活動への参加状況
@ギリシャセミナー参加:平成19年9月8〜9日,東京大学教養学部
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年4月〜9月:国立療養所新潟病院附属看護学校非常勤講師として「論理学」を担当した。
A平成19年10月〜平成20年3月:新潟県立看護大学非常勤講師として「哲学」を担当した。なお,内容としては生命倫理学を講じている。
 

 
山 本 友 和(教 授)
 
<教育活動>
授 業 
 学部では,各講義・演習内容の連続性と関連性に留意した指導を行うとともに,教材開発にかかわる成果等については『社会科教育法研究・2007年度』という冊子にまとめた。大学院では,社会科・公民教育の基本概念について習得させた上で,比較社会科教育学研究の成果を踏まえた授業分析も行った。成績評価に関してはオリエンテーション時に説明を行うとともに,期末試験前には質問時間も設定した。
研究指導
 学部では2名(3年生が1名,4年生が1名)の学生に対する卒業研究指導を行い,大学院では3名(M1が1名,M2が2名)の院生に対する修士論文指導を行った。ゼミの初年次は各自の研究テーマとかかわる文献・先行研究の講読と分析を中心に行い,研究課題を明確化させた。ゼミの2年次では各自の論文構成に沿った個別指導を中心とし,教材化やカリキュラム開発といった臨床的なあり方を意識しながら助言を行った。
その他の教育活動
 群馬大学非常勤講師として「中学校社会科指導法C」及び「公民科指導法」の集中講義を担当した。新潟産業大学非常勤講師として「社会科・公民科指導法T」及び「社会科・公民科指導法U」の集中講義を担当した。また,本学では,教職講座の講師も務めた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 講義においても課題研究と発表活動を取り入れ,能動的な学習となるように工夫した。演習では受講生の問題意識や研究テーマに沿った内容を設定し,各自の問題意識の深化と専門性の追究を実現できるように工夫した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年6月:『「上越教師の会」の研究』(共著・分担) 学文社
論】@平成20年3月:『中学校社会科における金融・経済教育の単元開発に関する実証的研究−株式の模擬売買を取り入れた授業を通して−』(共著) 教育実践研究(上越教育大学学校教育総合研究センター) 第18集 pp.9-18
発】@平成19年6月『社会科・公民教育における多文化教育カリキュラムの構想−日英公民教科書の分析を踏まえて−』(共) 日本公民教育学会第18回全国研究大会研究発表
他】@平成20年3月:『義務教育教科書に関する教師の意識及び保護者の要望についての調査・調査報告書〔中間報告〕 』(共著) 教科書研究センター 全384頁
学会活動への参加状況
@5月25日〜27日:日本環境教育学会第18回大会出席
A6月15日〜16日:日本公民教育学会第18回全国研究大会出席
B10月6日〜8日:日本社会科教育学会第57回全国研究大会出席
C10月26日〜28日:全国社会科教育学会第56回全国研究大会出席
D平成19年度日本公民教育学会理事
E平成19年度日本社会科教育学会評議員
F平成19年度全国社会科教育学会理事
◎特色・強調点等
 社会科教育史上において著名な初期社会科実践の分析,中等公民教育の単元開発,社会科教科書の調査研究等を通して,教育実践現場における臨床研究のあり方に多少なりとも寄与したと考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@教科書研究センター特別研究員
A教科書に関する意識調査委員会委員(教科書研究センター)
B新潟県上越市公民館運営審議会委員
C新潟県教育委員会教職12年研修会講師(「今求められる学力と学習指導の改善」を講演)
D新潟県加茂市立若宮中学校(加茂市市教研社会科部会)において出前講座「社会科の学力をどう捉え,どのように育成するか」を実施。
◎社会への寄与等
 公民館活動,教科書の改善,教育現場の問題解決等に多少なりとも貢献したと考える。 
 

 
浅 倉 有 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
 学部・大学院とも, 各授業の第1時間目に, 授業のおおよその進め方, 評価方法について説明を行っている。また中学校社会歴史的分野・高校日本史の記述の学説による変化などに言及しつつ, 絵画資料などを含む基本的な資料の扱い方や, 教科書学校現場における応用について理解を高める工夫を行っている。
研究指導
 3名の修士論文の指導と3名の卒業論文の指導, 及び1名の研究生の指導を行った。学部では3・4年生を一緒に,大学院では1・2年生を一緒にしてゼミを行い, 研究に取り組む姿勢, 資料の分析方法をはじめとする研究の手法等が共有されるよう配慮している。また議論する能力の育成に努めている。そのほかに4年生と修士2年生については,資料読解など論文を完成させるためのゼミを個別に行い, かつ卒論・修論作成のための合同合宿を実施した。修了生の内1名・卒業生の内1名の修士論文・卒業論文は, 現在学会誌に投稿中である。修了生のうちもう1名も投稿論文を準備中である。なお修了生の内1名と卒業生の内1名は石川県と長野県の小学校教員試験に合格, 卒業生1名は本学大学院修士課程に進学, 修了生2名と卒業生1名はそれぞれ小学校(新潟県・長野県)と高校(福島県)で臨時採用された。
◎特色のある点等
 授業では, 単調な講義にならないようAV教材を用いるなど, 教材や授業方法に配慮している。研究指導については,学生の能力を引き出すように努めながら, 懇切で厳しい指導を行っていると考える。
   
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年11月:「地域と地理教育」 (共著) 協同出版
A平成19年12月:「場所請負制下における漆器の流通と生産地」(単著)『中世考古学文献研究 会報』第9号
B平成19年12月:「日本女性史大事典」(共著) 吉川弘文館
C平成20年3月:「近世における武家女性と儀礼」(単著) 科学研究費補助金基盤研究(B)『近世日本における女性のライフサイクルと地域社会 報告書』(代表 藪田貫)
D平成20年3月:「近代における上杉家墓所の変容」(単著) 『史跡米沢藩主上杉家墓所保存修理工事報告書』下巻 上杉家
発】@平成20年11月:「場所請負制下における漆器の流通と生産地」 中世考古学文献研究会
共同研究の実施状況
@中世考古学のための日本中世・近世初期の文献研究 代表者: 矢田俊文(新潟大学教授) 科学研究費補助金特別研究促進費
A近世日本における女性のライフサイクルと地域社会 代表者: 薮田貫(関西大学教授) 科学研究費補助金基盤研究(B)
学会活動への参加状況
@歴史学研究会
A北海道・東北史研究会
B日本史学会
C新潟史学会
D地方史研究協議会
E弘前大学国史研究会
F上越教育大学社会科研究学会, 他。
◎特色・強調点等
 アイヌ文化を特色づける漆器と和人社会に関する研究を継続するとともに, 従来研究の蓄積の乏しかった, 武家女性が儀礼を通して果たした社会的役割と, 旧大名家の近代に関する研究に着手した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市文化財調査審議会委員
A上越市大規模開発行為審議会委員
B長野県文化財審議会委員
C史跡春日山城跡保存管理計画策定委員
Dユートピアくびき振興財団理事
E上越市総合計画審議会委員
F史跡米沢藩主上杉家墓所保存整備委員会委員
G榊原家資料調査会委員
H上越市指定管理者選定委員
I上越ゆきみち会議座長
◎社会への寄与等
 地域の文化や歴史の掘り起こしと, それらによる人々の歴史認識の形成について, また地域に存在する貴重な文化財や歴史資料の保持と活用等について, 一定の寄与を果たしていると考える。
 

 
茨 木 智 志(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部学生対象の授業では,教育現場での教材開発能力の育成に留意した。そのため,学生の学習状況及び教育実習の学校種と時期を考慮した上で,教科内容の基礎的な知識や探究能力の充実,教材開発に関わる技能の向上及び教育実践場面における表現能力の向上に努めた。一方で,昨年度同様に,学生自身による学習成果の確認を促すために,成果の一部を,公民教育の山本友和教授,地理教育の志村喬准教授と共同で社会科教育学研究室紀要『社会科教育法研究2007年度』として発行した。
 大学院学生対象の授業では,学生各自の理論構築に向けた研究能力の育成を目指した。そのため,各国・各時代及び特定の研究者の社会科教育・歴史教育の理論や教育内容を紹介及び検討すること,あるいは学生の要望による個別的な事項を取り上げることを進めた。各自の目標達成の参考とするために,学生の探求の成果をレポート集にまとめた。
 成績評価については,シラバス記載とともに授業時での確認を継続した上で,厳格な成績評価の実施に努めた。
【観点2】教育の達成状況
 教科教育という担当授業の性格上,教育現場での実践を念頭に置き,その一方で,教員採用試験をも意識した授業内容を考慮している。学生による授業評価では概ね好意的な評価を得ている。 
研究指導
【観点1】学部
 歴史教育をテーマとする学部学生(4年生2名,3年生3名)に対して,論文作成あるいは各自の課題への具体的な研究方法について,ゼミ等を通じて指導を行った。 
【観点2】大学院
 歴史教育をテーマとする大学院学生(2年生3名,1年生1名)に対して,論文作成あるいは各自の課題への具体的な研究方法について,ゼミ等を通じて指導を行った。また,一部の学生には特別に勉強会を継続実施した。
その他の教育活動
@本学教職講座「社会科」を担当した。 
A本学附属中学校2007年度教育研究指導者として指導助言を行った。 
B新潟産業大学で「社会科・地理歴史科指導法U」の集中講義を行った。 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 社会科教師としての授業開発能力の育成とともに研究能力の基盤の育成に心掛けている。そのため,学生が自己の向上した能力を自覚し,また自己の取り組みの意義を認識できる授業や研究指導のあり方を工夫してきた。さらに,実践場面分析演習U・実践セミナーU「社会」において,学部学生と大学院生との連携及び大学と附属学校・公立学校との連携についての模索を継続した。 
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年5月:『東アジア諸国の世界史教科書−中国・韓国・モンゴルを中心に−』(単著) 歴史と地理(世界史の研究) 第604(211)号 pp.1-15
A平成19年8月:『モンゴル国における社会科教育の現状と課題』(単著) 社会科教育研究 第101号 pp.82-92
B平成19年11月:『地域調査から探るモンゴルの歴史教育の課題』(単著) 大嶽幸彦先生退職記念事業会編『地域と地理教育』協同出版 pp.365-380
C平成19年12月:『1951年版世界史学習指導要領の作成過程に関する考察−関連資料の整理を中心として−』(単著) 歴史教育史研究 第5号 pp.56-68
D平成19年12月:『東アジア諸国の歴史教育に見る「国家」の枠組み−中国・韓国・モンゴルを事例として−』(単著) 中等社会科教育研究 第26号 pp.27-43
業】@平成20年1月:『詳説世界史研究改訂版』(共著) 山川出版社
発】@平成19年10月:『戦後教育改革期における外国史教育の確立』(単) 第56回全国社会科教育学会発表
他】@平成20年3月:『東アジア各国における世界史教育の教育理念に関する研究 2006〜2007年度科学研究費補助金(萌芽研究)研究成果報告書』(単著)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@大正大学綜合佛教研究所モンゴル佛典研究会に参加
国際研究プロジェクトへの参加状況
@歴史教育者協議会日韓歴史教育者交流委員会に参加
学会活動への参加状況
@5月19日:日本モンゴル学会2007年度春季大会出席
A10月6日:歴史教育史研究会例会出席
B10月7日〜8日:日本社会科教育学会第57回全国研究大会出席
C10月20日:上越教育大学社会科教育学会第22回研究大会出席
D10月27日〜28日:全国社会科教育学会第56回全国大会出席
E12月18日:総合歴史教育研究会第43回研究大会出席
F日本社会科教育学会役員(幹事:学会誌編集委員,メディア・リテラシー推進委員)
G中等社会科教育学会役員(評議員)
H総合歴史教育研究会役員(委員)
I上越教育大学社会科教育学会役員(幹事)
在外研究の状況
@9月19日〜9月24日:中華人民共和国「中国の世界史・自国史教育に関する情報及び資料の収集」(科学研究費補助金)
◎特色・強調点等
 社会科教育・歴史教育の向上のために,歴史的研究及び比較研究の観点からの基盤整備への努力を継続した。特に科学研究費補助金を得た東アジア各国における世界史教育に関する研究による成果の発表に努めた。また,歴史教育史研究に関する研究雑誌の刊行を継続した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@現職教員支援のための「学校コンサルテーション事業」に参加した。
 

 
志 村   喬(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部ではフィールドワークを組み込みながら社会科授業づくりのプロセスを実体験させ,成果の一部は『社会科教育法研究』(山本友和教授,茨木智志准教授と共編)にまとめた。大学院では,各自の研究テーマを広領域で位置づけるべくワークショップ的な場を数多く設けた。評価方法は,どの授業でも初回に説明し,形成的評価を重視した。
【観点2】教育の達成状況
 専門セミナー卒業生は公立小学校教員(正規)として採用された(大学院修了生は今年度なし)。
研究指導
【観点1】学部
 卒業論文作成と教員採用試験合格に至る4年生の研究過程を,3年生が実感できるような条件作りに配慮した。
【観点2】大学院
 現職教員・先輩や他大学教員・学生との研修エクスカーション(愛知県・タイ王国)への参加機会を設定し,臨床的・国際的視野から研究内容を考察できるよう努めた。
その他の教育活動
@筑波大学大学院教育研究科非常勤講師(「人文地理学特論」)
A新潟産業大学非常勤講師(「社会科・地理歴史科指導法T」)
B新潟県立柏崎高等学校「人文探究特論」講師(出前講座)
C本学附属小学校研究協力者(「社会」) 
D本学教職講座「社会」講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 実践セミナーU・実践場面分析演習Uでは,附属学校に加えコース修了生勤務校での授業観察・分析を行うことで,学生のみならず修了生の一層の実践力向上に努め,成果は社会系コース編『「実践セミナーU「社会」」・「実践場面分析演習U「社会」」実践報告書』にまとめた。また,院生指導では,学外の教育関係者と協働する場を複数設けた。学外の教育活動と学内の教育活動をより有機的に結合し,教育効果を一層高めることが検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年11月:『新潟もの知り地理ブック』(分担),新潟日報事業社.
A平成20年1月:『地理教育カリキュラムの創造−小・中・高一貫カリキュラム』(分担),古今書院.
論】@平成19年11月:「新潟県上越地方の「郷土・身近な地域」学習にみる地図活用」(単著),地図情報,27巻3号,pp.11-14.
A平成19年11月:「地理学習における事例地域概念に関する一考察−サンプル・スタディとケース・スタディの異同−」(単著),大嶽幸彦先生退職記念事業会編『地域と地理教育』協同出版,pp.81-99.
B平成20年2月:「イギリスにおける初等地理授業実践の実態−現地調査からの知見−」(単著),上越教育大学研究紀要,27巻,pp.195-204.
C平成20年3月:「「伝統・文化」学習における普遍性と固有性」(単著),教育創造,158巻,pp.6-11.
業】@平成19年6月:「次世代へ伝える地理教育」((記念座談会,共),地理月報,第500号,pp.1-19.
A平成19年6月:「地理教育公開講座」(単著),地理,52巻7号,pp.20-21.
B平成19年6月:「田代博監修ほか『地図から生まれたパノラマ塗り絵 日本の絶景』『地図から生まれたパノラマ塗り絵 日本百名山』」(書評,単著),地図,45巻2号,pp.35-36.
C平成19年7月:『平成17年度 教育課程実施状況調査(高等学校)Vol.1 結果の概要及び教科科目別分析』(分担),国立教育政策研究所教育課程研究センター.
D平成19年10月:「寺本潔『犯罪・事故から子どもを守る学区と学校の防犯アクション41』(書評,単著),上越社会研究,20号,pp.101-103.
E平成20年3月:「山本有三『路傍の石』・田山花袋『温泉めぐり』にみる地理に関する覚え書き」(単著),新潟地理フォーラム,4号,pp.75-78.
F平成20年3月:『アジア理解を深めるための社会科授業プログラム開発−タイへのスタディ・ツアーを通して−』(共編),新潟大学教育人間科学部.
発】@平成19年10月:「1970年代イギリス地理教育における「サンプル・スタディ」から「ケース・スタディ」への転換−事例学習の再考−」(単),日本地理学会秋季学術大会.
A平成19年10月:☆「学習材における主題図を探る−教科書・地図帳・参考書での扱い−」(単,シンポジウム「主題図を読み解く・楽しむ」),日本国際地図学会第41回地方例会.
B平成19年10月:「イングランドの初等学校における地理教育カリキュラムと授業の実態」(単),全国社会科教育学会・社会系教科教育学会合同大会.
C平成19年11月:☆「イギリス地理教育におけるシティズンシップの位置づけとその実践」(単),中等社会科教育学会大会(シンポジウム:社会科・地理教育における市民的資質(シティズンシップ).
他】@平成20年1月〜3月:月刊誌「地理」(古今書院)書架委員として毎月1p.執筆.
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@子どものための安全マップ作成カリキュラムと防犯教育教材の開発に関する地理学的研究 代表者:大西宏治(富山大学准教授)科学研究費補助金
A大学&NGOと連携した国際協力ユース育成に関する研究 代表者:宮薗衛(新潟大学教授)(財)新潟県国際交流協会委託事業
学会活動への参加状況
@日本地理教育学会:評議員・学会誌編集委員
A日本国際地図学会:評議員
B日本地理学会:地理教育公開講座委員
C地理科学学会:学会誌編集委員
D東北地理学会:東北地理教育研究会世話人
E国際地理学会地理教育委員会2009年日本大会実行委員会副実行委員長
在外研究の状況
@11月9日〜11月14日:タイ国 タイ国理解のための社会科授業開発研究
A3月26日〜3月31日:英国 英国地理学協会年次大会参加及び現地研究者との研究打ち合わせ
◎特色・強調点等
 研究活動は,@これまで進めてきたイギリス地理教育研究の集大成とそれを踏まえた現地研究者との交流,A同研究成果の日本の地理教育界への理論的還元,B実践者・学生への啓蒙活動,に大別される。学会誌以外の複数の全国媒体(教師向け一般誌)への執筆並びに海外での授業開発研究に代表されるBの比重が高まったことが,前年度に比べた本年度の特色である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成17年度教育課程実施状況調査(高等学校地理)結果分析協力者(国立教育政策研究所)
A上越市みんなで防犯安全安心まちづくり推進会議会長
B上越市総合計画審議会委員
C高田ロータリークラブ例会講師「上越という「場所」−地理教育での扱いから−」
D新潟県社会科教育研究会副幹事長及び現地研修会(第55次巡検・愛知県)講師
E新潟県教職員組合教育研究会共同研究者(社会科)
F第1回日本地理オリンピック選手権大会新潟県大会実行委員長
◎社会への寄与等
 本年度も,全国・新潟県内外・上越市といった多段階のスケールで活動したが,従来の教育・公的組織に加え民間組織での講演も行いマルチスケールの視点で地元理解が深まったとの評価を得た(上記B)。また,実行委員として国際地理オリンピックへの選抜大会を初めて日本で開催したが,本学附属施設を会場に地方予選会を実践(上記F)したことは関係者から高く評価され,地域の教育力を高める効果が期待される。
 

 
下 里 俊 行(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
@「ロシア語コミュニケーション」では,毎回宿題(書き取り)を課し,次回に添削した宿題を返却することで授業時間外での学習を促進するとともに授業内容の誤解や不正確な理解を是正した。また対話的場面を重視するためアニメキャラクターのぬいぐるみ(チェブラーシカ)を用いて対話練習を行い臨場感を高め,映画やPVを活用して聞き取り能力を高めた。成績評価は毎回の宿題と期末筆記試験にもとづいて客観的に行った。
A「ユーラシア史認識論」では,時事的なニュースを素材にしてその歴史的背景を遡及的に解説するかたちで授業を構成し,興味関心を高めることに努め,映像を活用して歴史的事項の視覚的イメージの形成を促した。毎回ワーク作業を課し,次回にコメントを付すかたちで履修者の関心を授業に取り入れ,最後にワークの取り組みを返却し,筆記試験を行った。
B「世界史研究入門」では,世界の宗教史・文化史・環境史を重視する構成をとり,映像教材を活用して歴史的概念の背後にある個別具体的なクオリアへの想像力の育成に努めた。毎回ワーク作業を課し,次回にコメントを付すかたちで履修者の関心を授業に取り入れ,最後にワークの取り組みを返却し,筆記試験として授業内容の自己総括と小論文試験を行った。
C「外国史システム専門セミナー」では,履修者の問題意識に即した指導を行った。
D大学院「外国史システム特論」では,演習形式で履修者同士の相互学習の機会を重視した。
E大学院「外国史システム研究セミナー」では,履修者の専門性を高めるための指導を重視した。
F「実践場面分析演習「社会」I」歴史分野では,実地調査に基づく地域史に関するパワーポイントによる教材作成を指導し,DVDに収録し履修者に提供した。
【観点2】教育の達成状況
@「ロシア語コミュニケーション」ではほぼ全ての履修者が筆記試験で高得点の成績をあげた。
A「ユーラシア史認識論」では,筆記試験でほとんどの履修者が優秀な成績をあげた。
B「世界史研究入門」では,筆記試験でほとんどの履修者が高い成績をあげた。
C「外国史システム専門セミナー」では,卒論に向けての各履修者の課題意識を整理することができた。
D大学院「外国史システム特論」では,修士論文に向けての各履修者の視野と知見の広がりを促すことができた。
E大学院「外国史システム研究セミナー」では,専門的な観点から修士論文に向けての論点整理を促すことができた。
F「実践場面分析演習「社会」I」歴史分野では,履修者全員が優れたパワーポイント教材を作成することができた。
研究指導
【観点1】学部
 履修者の問題意識を発展させる形での指導に努め,先行研究の整理,一次史料の読解とともに海外(グアム)での実地調査を支援した。とくに海外での聞き取り調査や一次史料の読解により高い水準の卒業論文の作成を促すことができた。ゼミ生2名とも教職に就いた。
【観点2】大学院
 海外(ドイツ,中国)での現地調査や一次史料の読解を重視した専門性の著しく高い修士論文の作成を指導した。修了生1名が教職(高校世界史)に就いた。M1生1名が進路変更により平成20年度より休学となった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 全体として履修者と教員との対話的関係の構築に資するmultimedia教材の活用を行った。今後,教員自身の専門性を一層高めるとともに履修者の多様なニーズに応えることのできるさらに幅広い知見を蓄積することが課題である。 
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年3月:「1850年代ロシアにおける正教的プラトン理解」,『プラトンとロシアIII』,北海道大学スラブ研究センター
発】@平成19年9月:「1850年代ロシアの神学的プラトン解釈」,ロシア思想史研究会・夏季合宿大会,甲府市
A平成19年3月:「1850年代のロシアにおけうプラトン理解」,21世紀COEプロジェクト研究「スラブ・ユーラシア学の構築」「プラトンとロシア」研究会,北海道大学
B平成20年3月:「ワシーリイ・カールポフのキリスト教的プラトニズムの構造と位相」,21世紀COEプロジェクト研究「スラブ・ユーラシア学の構築」「プラトンとロシア」研究会,北海道大学
他】@平成19年9月:「書評:稲子恒夫編著『ロシアの20世紀』」,『図書新聞』No.2836.
学会活動への参加状況
@平成19年9月4-6日 ロシア思想史研究会・夏季合宿大会,甲府市
A平成19年11月10-11日 ロシア史研究会2007年度大会,早稲田大学
◎特色・強調点等
 古代ギリシャ哲学と近代ロシア宗教哲学との関係という長期的視点から従来の思想史研究を再検討する視点を構築し,そのことにより世界史的過程において教育という人類の営為が果たした役割と意義を再定義し,世界史教育の実践を再検討する視座を模索した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越国際観光振興研究所(代表:小川善次)と連携しロシア人観光客受け入れについて必要な知見を提供した。
◎社会への寄与等
専門性を活かした地域社会への情報提供に努めた。
 

 
松 田 愼 也(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 すべての授業において,各回のテキスト該当個所をシラバスに明示することにより,予習・復習の実践を促した。次に,概説科目においては,基礎知識の定着を図るため,入念に準備した板書のノート取りをさせ,さらに試験もテキスト及びノートの復習を必要とする問題を工夫した。その他の講義科目では,限られた時間内で広範な知識に触れ思考力を高めていけるよう,毎回講義概要を配布し,成績評価においては,講義内容に関する課題について論じさせることにより,知識を自己のものとして体系的に捉えさせるよう工夫した。 
【観点2】教育の達成状況
 指導学部卒業生は2人,一人は地元県公立中学校臨時採用教員,もう一人は地元県公立保育園非常勤保育士(私立幼稚園教諭にも合格したが本人希望により辞退)に採用となった。指導大学院修了生は2人,一人は出身高等学校非常勤講師に採用となり,もう一人は更正保護関係での就職を目指している。 
研究指導
【観点1】学部
 卒論の指導を通じて,資料調査の方法(文献検索,実地調査など)の基礎を学ばせるとともに,資料を整理して自らの観点からそれをまとめ,他人に解りやすい文章で表現したり口頭発表する指導を行った。 
【観点2】大学院
 修論の指導を通じて,資料を積み重ねることによって一つの論を組み立て,それを他人を納得させうる文章として表現し,また口頭で発表できるような指導を行った。 
その他の教育活動
@新潟県立看護大学非常勤講師(「宗教学」,前期のみ) 
Aゼミ生等の教育実習における指導(3年次生普通教育実習,4年次生中等教育実習,教育職員免許プログラム受講生観察・参加実習) 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 テキストを補完しまた整理する意味で作成している講義概要であるが,卒業後,修了後に教育現場で役立つことも考慮に入れて作られていることが特色である。内容の一層の充実や取り扱う範囲のさらなる拡大に努めていきたい。評価方法についてはなお一層の工夫が必要と考えている。 
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年3月:「瞑想修行法としての「死の受容」−念死について−(得丸定子編著『「いのち教育」をひもとく−日本と世界−』所収)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市文化財調査審議会委員 
A上越観光コンベンション協会主催「越後・上越の寺宝展」実行委員会委員(総合監修) 
B上越教育大学公開講座において「はじめての短歌−実作短歌入門−」及び「宗教って何?−世界の諸文化の文化的特徴を探る−」を実施
 

 
山 縣 耕太郎(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部では,地域環境研究および地理学に関わる講義,実験,演習,調査法を担当した。授業,実習においては,ビジュアル素材を多く提示することを心がけ,コンピュータを活用したGIS教材を用いた。また,エネルギー問題や環境問題など現在の社会的な課題についてとりあげ,自ら考える機会をつくるように努めた.巡検などの実習授業では,実地の観察や経験を通して,基礎的な知識を身につけるとともに,地理的な見方に興味関心を持てるよう配慮した。大学院では,地域環境学特論を担当し,画像資料を多用して,理解と関心を高めるよう工夫した。また,初歩的なGISソフトを活用した作業を取り入れた。評価にあたっては,課題を設定して,その成果と取り組みへの態度を評価に取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
 学部授業,地域環境研究では,環境に関する基礎的な概念を習得することができたと考える。また,地図に関する学習や,実際の野外観察,地図作成の作業を通して,地理的な見方,考え方を経験し,習得することができたものと考える。地域環境学については,実際の社会的な課題について考えることを通して,問題意識と関心を持つことができたと思われる。大学院授業,地域環境学特論では,地域,環境に関わる解説や,実際にGISソフトを使用して環境地図を作成し,それをプレゼンする作業を通して,地理的な視点で環境を分析するプロセスを体験し習得したものと考える。
研究指導
【観点1】学部
 1名の卒業研究指導を行った。妙高山,火打山の植生分布と環境条件との関係について検討をおこなった。多雪地域の高山帯にみられる特有の植生について新知見を得ることができた。学生もさらに研究を深めるため,大学院へ進学することになった。
【観点2】大学院
 1名の修士2年生の修士論文を指導した。GISを活用して西頚城山地の地すべり地形の特徴を分析した。既存の研究の少ない新しい分野の研究に挑戦し,成果を得た。GISについては,教育分野を含めて,広い範囲で将来の発展が期待されており,この分野での研究を進展させていく手がかりを得た。
その他の教育活動
@新潟県立看護大学非常勤講師「環境生態学」担当
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 教育においては,基本的な概念の理解と,基礎的な知識の習得,およびスキルの習得の3点を考慮し,授業を構成した。特にスキルの習得においては,野外での観察や実際の作業を取り入れることに留意した。野外活動や作業はどうしても時間をとってしまうが,今後もより効果的な作業を取り入れていきたいと考える。大学院の授業では,GISソフトの作業を取り入れ,好評であった。GISについては,研究指導においても活用に取り組んだ。GISは,今後の発展が期待される分野であるので,積極的に取り入れていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年3月:小・中学校における地域社会との連携をはかったエネルギー教育・環境教育カリキュラムの作成最終報告書(共著)上越教育大学エネルギー環境教育研究会,272p
論】@平成19年12月:地理的な視点から見た火山災害教育の意義.地域と地理教育,協同出版,100-117
A平成20年3月: Relationships between Permafrost Distribution and Surface Organic Layers near Esso, Central Kamchatka, Russian Far East. PERMAFROST AND PERIGLACIAL PROCESSES, 19: 85-92
発】@平成19年5月:ナミビア,カオコランドにおける植生衰退と地形・地質条件.日本アフリカ学会
A平成19年8月:アルミ缶リサイクル体験学習 ―アルミ鋳造実験における砂型利用の試み―.日本エネルギー環境教育学会
B平成19年8月:学習プログラム 作成用エネルギー環境教育データベースの構築〜地域連 携に基づく授業実践の分析を中心に〜.日本エネルギー環境教育学会
C平成19年9月:噴火堆積物の層序からみた北海道南西部カルデラ火山のカルデラ形成過程.日本地質学会
D平成19年10月:ナミビア,カオコランドにおける植生衰退と地形・地質条件.上越教育大学社会科教育学会
E平成20年3月:ナミビア,カオコランドにおける植生衰退と地形・地質条件.日本地理学会
F平成20年3月:「小・中学校における地域社会と連携をはかったエネルギー教育 ・環境教育カリキュラムの作成 」エネルギーフェスタ2008地域拠点大学・エネルギー教育実践校発表会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@氷河コア解析による北太平洋の気候・大気輸送物質変動の復元 代表者:白岩孝之(北海道大学准教授)科学研究費補助金
Aトキの野生復帰に向けた,佐渡島における中山間地環境問題の研究と地域環境保全の実践 代表者:本間航介(新潟大学准教授)新潟大学地域貢献プロジェクト計画書
B小・中学校における地域社会との連携をはかったエネルギー教育・環境教育カリキュラムの作成.エネルギー環境教育情報センターエネルギー教育調査普及授業 代表者:滝山桂子(上越教育大学教授) 
国際研究プロジェクトへの参加状況
@アフリカの半乾燥地域における環境変動と人間活動に関する研究 代表者:水野一晴(京都大学)科学研究費補助金
A北東アジアの人間活動が北太平洋の生物生産に与える影響評価 代表者:白岩孝之(北海道大学低温科学研究所助教授)総合地球環境学研究所研究プロジェクト
学会活動への参加状況
@日本第四紀学会PAGES-PEPU対応委員会委員
A日本地理教育学会編集委員
B日本地理学会災害対応委員会地域拠点担当委員
◎特色・強調点等
 従来の研究が少ない東アジア寒冷地域と南部アフリカ乾燥地域における古環境変動に関する研究を行っている。また,新潟,北海道およびアムール川流域における人為作用の自然環境への影響について調査した。これらの研究は,現在行われている国際的なプロジェクト(IGBP.PAGES)による汎地球的な規模での古環境変動の復元に寄与するものと考えられる。学内有志のグループで経済企画庁のエネルギー環境教育拠点大学授業に採択され,地域の実践校をはじめとする学校やNPOなどと連携して活動を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市環境フェア企画委員
A妙高市立姫川原小学校出前授業