【自然系教育講座(理科)】
 
 
 

 
小 林 辰 至(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部3年生対象の必修科目「初等理科指導法」を例に述べる。学生による授業評価アンケートの集計の結果,「授業の方法」に関する質問項目のうち「話し方がわかりやすいか」について肯定的に回答したのは80.4%,「教え方は適切であったか」について肯定的に回答したのは82.6%であった。以上のことから,教育方法については学生から概ね良好な評価を得ている。
 評価については,自然観察・植物栽培観察・実験等のレポートと試験の結果を総合的に判断して評価しており,学生の資質向上に資するものと考えている。 
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケートの「授業の内容」に関する質問項目のうち「授業目標は明確であったか」について肯定的に回答したのは88.1%,「総合的にこの授業に満足しているか」について肯定的に回答したのは82.6%であった。
 以上のことから,教育の目的は概ね達成できていると判断する。
研究指導
【観点1】学部
 学部では以下の2編の卒業研究を指導した。
   「小学校理科における仮説設定指導法改善に関する実践的研究」
   「中学校理科での活用を目的としたミジンコの教材化に関する研究」
【観点2】大学院
 修士課程では以下の3編の修士論文を指導した。
   「小学校新規採用教員の科学的探究能力育成を目的とした研修プログラムの開発」
   「EcoColumnの教材化に関する研究」
   「中学校理科における科学的探究能力育成に関する指導法の研究」 
 論文提出による博士については以下の2編の論文指導を行うとともに主査をつとめた。
   「科学性の芽生えを促進する幼児期自然教育におけるビオトープの実践的研究」
   「中学生の科学的な概念の深化・拡大に関する研究」
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 理科における問題解決的な学習の初発の段階で重要な仮説の設定に関する指導の手だてを開発し,その成果を学部教育に活用して成果を挙げている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年11月:永益泰彦,小林辰至,高校生の仮説設定能力に関する要因の構造−生物T選択者における質問紙調査の分析から−,理科教育学研究,日本理科教育学会,第48巻第2号,pp. 63-70
A平成20年3月:入江薫,尾竹良一,小林辰至,小学校新規採用教員の理科指導に関する実態−理科の有用感・探究的態度・理科学習指導の自信等の観点から−,理科教育学研究,日本理科教育学会,第48巻第3号,pp. 13-23
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@生物教育における生命尊重についての指導観と指導法に関する調査研究,科学研究費補助金基盤研究(B)
A科学的リテラシーの涵養に資する科学系博物館の教育事業の開発・体系化と理論構築,科学研究費補助金基盤研究(A)
BPISA型学力としてのコンピテンシー育成を目的とした統合カリキュラムの理論的研究,科学研究費補助金基盤研究(B)研究代表者
学会活動への参加状況
@日本科学教育学会理事
A日本理科教育学会理事 
B日本理科教育学会誌編集委員
C日本生物教育学会誌編集委員 
◎特色・強調点等
 幼児期から青年期までの発達段階を総合的にとらえ,自然体験や物づくり等を基盤とした体系的な理科教育の在り方を確立するとともに指導法を開発し,教員研修や教員養成大学学部生を対象とした授業においてその成果を還元している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年度理数教育ステップアップ研修講師 新潟県立教育センター 
A平成19年度高大連携・先端工学理科教育研究会(長岡技術科学大学主催)講師
B教職12年経験者研修(高等学校)講師 新潟県立教育センター 
C平成19年度原子力体験セミナー講師(主催:文部科学省,企画・運営:放射線利用振興協会)
D第43回上越市児童生徒科学研究発表会審査委員長 上越市立教育センター
E第46回教職員理科研究発表会講師 上越科学技術研究会
F環境科学セミナー新潟(上越)コース講師(主催:文部科学省,企画・運営:放射線利用振興協会・上越教育大学)
G平成19年度原子力体験セミナー【授業実践コースU】講師(主催:文部科学省,企画・運営:放射線利用振興協会)
 
 

 
高 津 戸  秀(教 授)
 
<教育活動>
授 業
学部の講義では,昨年度に引き続き,内容の理解を深める工夫を継続して行っている。
研究指導:修論生1名の研究指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@ Roles of Brassinosteroids and Related mRNAs in Pea Seed Growth and Germination, Plant Physiology (American Society of Plant Biologists), (2007) 143, 1680-1688 (共著).
A BEN1, a Gene Encoding a dihydroflavonol 4-reductase (DFR)-like Protein, Regulates the Levels of Brassinosteroids in Arabidopsis thaliana, The Plant Journal (Blackwell Publishing Ltd., The United Kingdom), (2007) 51, 220-233 (共著).
B Brz220 Interacts with DWF4, a Cytochrome P450 Monooxygenase in Brassinosteroid Biosynthesis, and Exerts Biological Activity, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry), (2008) 72, 7-12 (共著).
C 複数の実験を通して生徒自ら問いを見出していく理科学習−中学校における電池の原理を探る授業実践を通して−,理科の教育 (日本理科教育学会), (2007) 56, 276-279 (共著).
D 中学生の金属認識とその変容に関わる実践的研究,理科の教育 (日本理科教育学会), (2007) 56, 562-565 (共著).
E 中学生のエネルギー認識とその変容に関する実践的研究,理科の教育 (日本理科教育学会), (2008) 57, 204-207 (共著).
発】@ 先端科学技術である酸化チタンの価値付けを重視した中学校における環境学習,平成19年度日本理科教育学会北陸支部大会,講演要旨集p. 24, 2007 (共同発表).
A 電動歯ブラシを用いた力学教材の試作とその教材化,平成19年度日本理科教育学会北陸支部大会,講演要旨集p. 25, 2007 (共同発表).
◎特色・強調点等
 「植物生長ホルモン,ブラシノステロイドに関する植物科学的研究」を,国内および海外の研究者との共同研究として継続して行っている。本年度の成果は,グローバルスタンダードの観点からの評価が確立している海外及び国内の学術誌に3編の論文として掲載された。また,「理科教育における授業実践研究」について,学校現場の教員との共同研究を行っており,本年度の成果として3編の論文が国内の学会誌に掲載された。
 
 

 
中 村 雅 彦(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院講義では,内容構成を精選し,現職院生の要望と現在の研究成果を取り込むことで,学習効果や内容の理解を深める工夫を行なった。学部授業では,最近の研究成果を取り込むとともに,野外に出て身近な生物を対象とすることで動機付けを与え,内容の理解を高める工夫を行なった。全ての授業の初回に,目標・日程を含めた授業計画を配布することで,授業計画・学習目標を周知徹底した。出席及びレポートを重視し,個人の具体的な達成度を評価基準とした。 
【観点2】教育の達成状況
 大学院8名,学部3名の指導教官となった。学部4年生1名は教育関係の職業についた。修了した院生4名(現職を除く)のうち2名が教職関係の職業についた。
研究指導
【観点1】学部
 学部4年生1名,学部3年生2名の指導教官となった。研究テーマは学生の希望を尊重した。具体的な素材を提供し,科学的問題解決能力の育成をはかる指導を行なった。
【観点2】大学院
 大学院2・3年生6名,大学院1年生2名(8名中4名が免P)の指導教官となった。研究テーマは学生の希望を尊重し,8名のうち5名は修士論文の作成を通して科学的問題解決能力の育成をはかる指導を,3名は理科教育に関わる臨床的な実践力を習得させるため身近な生物を対象とする研究の指導を行なった。
その他の教育活動
 平成18年4月〜9月:上越保険医療福祉専門学校非常勤講師として「生物学」を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 上越教育大学は,自然豊かな立地環境にある。学部・大学院の授業では,上越教育大学構内に生息する身近な生物を対象とすることによって,受講者が学校現場で児童・生徒に即戦的な指導ができるよう配慮した講義及び指導を行なった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年5月:『カラスのペリットの教材化に関する基礎的研究』(共著)生物教育 第46巻第3号 pp.118-125.
A平成19年6月:『小・中・高校生の「解剖して調べる意欲」の低下原因に関する研究』(共著)日本教科教育学会誌 第30巻第1号 pp.49-58.
発】@平成19年9月:『ツバメの羽毛の退色過程』(共)日本鳥学会2007年度大会
A平成19年9月:『ツバメは,前年のつがい相手を待たない』(共)日本鳥学会2007年度大会
B平成19年9月:『ニホンライチョウのロイコチトゾーン感染個体における血液検査値』(共)日本鳥学会2007年度大会
C平成20年3月:『コーカサスオオカブトムシが日本産カブトムシに及ぼす影響』(共)第55回日本生態学会大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@捕食,被食,競争,そして情報盗用:マダガスカルにおける爬虫類と鳥類の相互作用 研究代表者:森 哲(京都大学准教授)日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(B)(海外).
国際研究プロジェクトへの参加状況
@平成19年10月〜平成19年12月 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(B)(海外)(研究代表者 森 哲京都大学准教授)の研究分担者としてマダガスカル民主共和国において計62日間,オオハシモズ類の生態調査に従事した。
学会活動への参加状況
@平成19年9月21日〜24日:日本鳥学会出席 
A日本鳥学会評議員及び英文誌編集委員長 
B平成20年3月14日〜17日:日本生態学会出席 
C日本生態学会生態学教育専門委員会
◎特色・強調点等
 マダガスカル島において約2ヶ月間鳥類の生態調査に従事した。研究対象とした鳥類は,マダガスカル固有種であり,世界的にみても研究例が極めて少ない。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県文化財保護審議会委員(新潟県) 
A長野県文化財保護審議会委員(長野県) 
B農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー(農林水産省) 
C新潟県トキ野生復帰推進本部トキ野生復帰支援アドバイザー(新潟県) 
D希少猛禽類保全検討委員(中部電力)
E上越教育大学公開講座講師(理科野外観察指導実習A〜C)
F上越鳥の会代表(上越市)
◎社会への寄与等
 上記各種委員・アドバイザーとして生物,特に鳥類の保護・保全施策に関わった。また,新潟県上越市立春日小学校4年生対象の探鳥会事前学習会の講師(5/23),新潟県上越市立春日小学校4年生対象の親子探鳥会の講師(6/2),平成19年度第2回農作物鳥獣害対策研修会講師(愛知県農林水産部,1/10),新潟県上越市立春日小学校第4学年総合的な学習の時間の講師(3/6),FM-J「ゼミの合間に」でカラスの話題を提供(4/10),NHKダーウインが来た!「人が大好き!ツバメ」の取材協力(11/18放送)を通して社会の教育・研究に関するニーズへ寄与した。

 
西 山 保 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業科目の性質・目標を重視するとともに受講生の理解力に応じられるよう授業方法を改善し,成績評価は習熟度を指標とし公平であるように心がけた。特に,学部の授業では,学生が積極的に参加できることおよび内容の理解を深めることを目標に,身近な話題や演習問題を多く取入れるなど,授業内容を工夫した。大学院の授業では,専門の授業においても学校現場における活用例を示す等,学生の要望に応じるよう心がけた。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業への免許プログラム学生の参加により,受講生間の理解力の差が大きくなり個別指導の必要な受講生が増えたため,達成状況は目標の8割程度である。
研究指導
【観点1】学部
 学部3年生2人。基礎学力向上と卒論課題の絞り込みのため,輪講や基礎実験の指導を行った。
【観点2】大学院
 修士学生1人。研究課題に相応した指導を行うための個別指導のほか,研究室の共通ゼミでは,教科内容の再認識や指導上の免P学生に対しては,教育に対する考え方や基礎学力の育成に配慮している。問題点等についての議論を行っている。
その他の教育活動
  学びクラブ「集まれ!サイエンスアミーゴクラブ」の顧問として,その活動を支援するほか,学生の自然科学への興味・関心や内容の理解を高めることを目標に,学生が自然科学の事物・現象などを体験できる機会を提供している。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部生は高等学校での物理履修者が1割未満であること,履修者も事物や現象についての体験が不足していることなどを考慮し,演習や体験を多くして,自然科学の基礎的な考え方や実践力が身につくよう配慮している。また,学部の体験学習では,エネルギーと地球環境問題を考えさせる内容を取り入れている。
 本学が初等教員養成課程であること,入学者が文系であることを考え,理系科目の理解力・指導力を高める必要性を感じて努力はしているが,全学部生が卒業までに履修する理系の科目があまりにも少ない。授業内容の工夫だけでは達成されない問題であり,全学的なカリキュラムの検討が必要であると痛感する。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年3月:東京都立高等学校の理科教師による数学的内容の指導とその意識−測定値の取扱いに関する指導を中心に−(共著)理科教育学研究(日本理科教育学会) Vol.48 No.3 pp.67-74.
発】@平成19年11月:理科におけるグラフ作成能力に関する研究(共著)日本理科教育学会北陸支部大会
学会活動への参加状況
@日本物理教育学会誌に支部活動の一部を公表(6月)
A日本物理教育学会年会および教育研究大会に出席(8月)
B日本理科教育学会北陸支部大会で発表(11月)
C日本物理教育学会新潟支部主催クリスマス講演会を運営(12月) 
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県環境審議会委員(新潟県)  
A上越市環境審議会委員(上越市) 
B上越市企業振興審議会委員(上越市) 
C上越市新エネルギー導入推進検討委員会委員(上越市)
Dリージョンプラザ上越運営協議会委員(上越市)
E上越科学館主催「青少年のための科学の祭典」実験演示講師(上越市,12月)
◎社会への寄与等
 環境審議会委員や新エネルギー導入推進検討委員会委員として新潟県および上越市の環境政策の形成・推進に積極的にかかわった。また,企業振興審議会委員として上越市の企業振興に寄与した。リージョンプラザ上越運営協議会委員として上越科学博物館を含む施設の運営に貢献したほか,サイエンス関連のイベントに学生を参加させることにより,理科が大好きな子どもや学生の育成に寄与した。
 
 

 
室 谷 利 夫(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の「力学」の授業では,運動方程式と,この微分方程式を解くことが基本になるが,この場合,数学的に難しい内容となり,学生にはなかなか受け入れられない難点がある。これを Excel を使って,差分を使った直観的に分かりやすい内容にし,動くグラフを作ること等により,イメージがわくよう工夫した。また,学部の「理科研究法」では,個人個人の特性,能力を把握し,それぞれに応じた教育を行うため,講義支援システム(LMS)により,小テスト,レポートなどでそれらを把握するとともに,必要に応じて個人レベルでの学力不足を補う補習教育も実施した。LMSにより,学生が事前に行う準備学習のための課題を示し,次の授業時間で取り扱う内容を説明し,自らの力で演習問題を解くことの重要性を説明し,演習問題を複数回レポート提出させ,学力の定着に務めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年12月:「発光ダイオードを用いたプランク定数の実験」(共著) 応用物理教育 Vol.31 No.2pp.3−6
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越教育大学エネルギー環境教育研究会の組織の中で,地域連携と地域の特色を生かしたエネルギー教育に関する実践的研究を行った。
Aエネルギー環境教育に関して,地域の小学校で出前・出張授業を行った。
 
 

 
森 川 鐵 朗(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 受講生の「科学する力」は年ごとに落ちてきているようだ。そこで,授業中における講師側と受講者側との双方向性が大切にし,受講生側からの反応に応えた。化学の授業においては,「科学の考え方(思考法)」や「発展の歴史」などの科学の基礎から出発し,現代化学の動向にまですすめた。
【観点2】教育の達成状況
 「科学する力」は,知識を記憶することだけでは身に付かない。担当するどの授業でも,受講生がしだいに科学的思考法に迫れるように心がけた。この「科学する力」こそ,初等中等教育教員にもっとも重要であると思われるからである。教育現場に出ていったかつての受講生が「科学する力」を発揮するように,期待している。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 科学教育にかかわる論文・資料を HTML 化し,ネット上からアクセスできるようにしている。全国の初等中等科学教育(現職院生など)に資するためである。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成19年5月:I(h) C60 および D(5h) C70 フラーレンと Li(+) の相互作用についての研究,講演番号 2P18 日本コンピュータ化学会 2007 春季年会
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@電子雑誌『化学教育ジャーナル(CEJ)』編集長(日本コンピュータ化学会)
 
 

 
天 野 和 孝(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業前に日程を含めた授業計画表を作成し,学部生,大学院生に配付した。また,大学院の地学教材の授業では「地学教育」誌に掲載された論文を用いている。成績評価についてはレポートを中心に評価し,評価後に返却すると共にその解説を行なった。
【観点2】教育の達成状況
 授業計画通り,授業を行った。目標は達成できたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 3年生1名の卒業研究指導を行った。その結果,3月までにほぼ,研究の8割ほどは完成している。
【観点2】大学院
 修士2年生1名,教育職員免許取得プログラム3年生1名の修士論文の指導を行い,論文を完成させた。また,教育職員免許取得プログラム2年生2名の研究指導を行った。
その他の教育活動
@公開講座理科野外指導実習Fを実施した。
A出前講座2件(雄志中学校,浦田小学校)を行った。 
B佐久市教育委員会地学部会教員研修の指導を行った。 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 野外学習指導を中心に教育を行った。研修地の状況が悪化しており,新たな開発が必要である。
 
<研究活動>                      
研究成果の発表状況
論】@平成19年4月:A new Miocene whale-fall community from Japan. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, vol. 247, p.236-242. (共著)
A平成19年7月:A new gigantic Nucinella (Bivalvia: Solemyoida) from the Cretaceous cold-seep deposit in Hokkaido, northern Japan. The Veliger (California Malacozoological Society), vol. 49, no.2, p.84-90.(共著)
B平成19年10月:大桑・万願寺動物群とその変遷過程.  化石(日本古生物学会), no. 82, p.6-12.(単著)
C平成19年11月:地域の地質素材を活かした総合的な学習の時間の教材 −新潟県上越地域を例として−. 地学教育, vol.60, no.6, p.191-199.(共著)
D平成19年12月: Drill holes in bathymodiolin mussels from a Miocene whale-fall community in Hokkaido, Japan. The Veliger (California Malacozoological Society), vol. 49, no.4, p.265-269. (共著)
E平成19年12月: Fossil vesicomyid bivalves from the North Pacific Region. The Veliger (California Malacozoological Society), vol. 49, no.4, p.270-293. (共著)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@小中学校教員と共同し学内プロジェクト研究「地域の地質素材を活かした総合学習教材の開発」を行った。
学会活動への参加状況
@平成19年4月21日〜22日:日本貝類学会平成19年度大会(豊橋自然史博物館)に参加.講演1件
A平成19年6月29日〜7月1日:日本古生物学会2007年年会(大阪市立大学)に参加.講演1件
B平成19年7月15日〜20日:World Congress of Malacological(Antwerp)に参加.講演1件
C平成19年10月1日〜3日:IX International Congress on Pacific Neogene Stratigraphy(筑波大学)に参加.講演1件
D平成20年2月1日〜3日:日本古生物学会第157回例会(宇都宮大学)に参加.講演2件 
E日本古生物学会評議員
F日本地学教育学会編集委員
◎特色・強調点等
 日本海の生物の進化に関する特集号を編集した。また,国内外の研究者と共同して,北西太平洋の化学合成群集の進化についての研究を進めている。その成果を5編の論文と6件の学会講演で公表した。さらに,教育の研究について地元の小中学校の教員と総合的な学習の時間における地域地質教材の活かし方について共同研究を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@フォッサマグナ・ミュージアム運営協議会委員
A上越市環境影響評価会議委員
B北陸新幹線飯山トンネル等特別委員会委員・幹事
◎社会への寄与等
 学会の評議員および編集委員を務めることにより寄与した。また,環境影響評価や文化施設,新幹線のトンネル建設委員会などで地元に寄与している。
 
 

 
大 場 孝 信(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 地球物質科学実験や地学実験では,小学校・中学校の授業でおこなわれている実験などをとりいれ,基本的な実験ををおこなっている。例えば,大学院生や学生を大学構内や大学の周りの岩石観察をおこなったりしている。 大学院の授業「地学教材研究」では,現場で役に立つ教材作りをおこなった。
 また,大学でできる実験も大切であり,蛍光X線分析装置や走査電子顕微鏡の使用をとおして,科学の面白さを学生に示した。
 シラバスを見ないで,授業を受けている学生が半分ほどいる。このため初めに授業についての説明を行っている。成績評価は去年と同じで,実験終了後はレポートの提出,取得しているか観察をふまえた1人1人の認定テストをおこなっている。地学,地球物質科学,地球物質科学特論,教材研究では試験をおこない,再試をおこなっている。
【観点2】教育の達成状況
 過去5年の卒業生は7名,修了生は4名であった。卒業生1名は民間に,2名は教員となり,1名は大学院に進学した。残り4名は教員志望で今年の採用試験に向け,頑張っている。
 修了生1名は現職で,1名は修了後,教員となり,2名は非常勤で今年の採用試験に向け,頑張っている。卒業論文,修士論文をとおして,自分でテーマを設定し,問題を浮き彫りにし,問題解決をはかっていくように指導している。
研究指導
【観点1】学部
 学部4年生2名の研究指導を行った。
 論文紹介と研究のデータ発表を交互におこない,卒業研究の合格レベルに到達できるようにしている。
【観点2】大学院
 修士1年生が1名はいり,2年生現職で小学校の現場の様子がよくわかり,学部生の相談にのってくれ大変助かった。
 現場にもどるとそのまま使える研究テーマとし,大地の生い立ちを明らかにするということで,野外指導をおこなった。
 最近,地学の指導できる教員がほとんどいないため専門性を生かすことにより先生達の指導的立場にもなれると思う。
その他の教育活動 
@教職講座(直前実技指導)石川県教員採用試験対策として簡単な理科実験の指導をおこなった。
A学生の小学校と中学校の教育実習を見に行き,授業方法について事後の相談や指導などをおこなった。
B早稲田大学と合同ゼミをおこない。他分野での研究交流をおこなっている。
C韓国教員大学との短期研修の対応
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年5月:『Radial cordierite-bearing orbicular granite formed from the melting of pelitic hornfels in granitic magma, Tsukuba Mountains, Japan 』(共)Jour.Min.Pet.Sci
A平成19年10月:『群馬県嬬恋村石津産アラバンド鉱およびウルツ鉱』(共) 群馬大学教育学部紀要
発】@平成19年9月:『北部フォッサマグナ地域に分布する鮮新世火山岩類の岩石化学および鉱物化学的研究』(共) 日本鉱物科学会.
A平成19年9月:『長野県伊那地方領家帯高遠花崗岩の岩石学的研究』(共) 日本鉱物科学会.
学会活動への参加状況
@平成19年9月22日〜24日:日本鉱物科学会に出席
◎特色・強調点等
 去年にひき続き北部フォッサマグナに位置する鉾ヶ岳,高妻山,火打山などの西頚城半深成岩のK-Ar年代測定SrとNdの同位体を測定し,上越地域の火成活動が明らかとした。フィリピン海プレートと太平洋プレートの時代変化にともない,岩石化学組成変化が違うことがわかった。
 今後,上越地域の生い立ちについて出前講座をとおして地元の人に還元している。これまでの研究が地域貢献に生かされる結果となっている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@いきいきわくわく科学賞審査委員(新潟県教育センター)
A「わくわく大学デー」講師
B公開講座 理科野外観察指導実習G(火山とマグマ)
C租税教育推進協議会総会の記念講演
D上越地区理科教育センター研究会「合同野外研修会」講師
E十日町高校で出前講座
F糸魚川市理科教育センター講演会 講師
◎社会への寄与等
研究結果は出前講座,公開講座や講演をとおして地元の人に還元し,地域に貢献している。
 
 

 
小 川   茂(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業では,実際の生物を提示したり,簡単な実験と観察をまじえながら講義を行った。特に,大学院の「生物教材実験」では,本学に設置されている走査型電子顕微鏡を用いて「学校現場で活用できる画像教材の開発」をテーマとして実際に教材の作製を受講生に行わせた。学部の一部の授業では適宜小テストを行い,知識の定着をみるとともに,その結果を授業の改善にむすびつけた。
【観点2】教育の達成状況
 研究室に配属された学部4年生(1名)は長野県の私立幼稚園教諭として正式採用された。これが授業の効果によるものかどうかは判断できない。 
研究指導
【観点1】学部
 学部4年(1名),3年(1名)の研究指導を行った。理科の教員として必要な実験器具の使用法,試薬の取り扱い方,生物の採集・飼育・培養法,顕微鏡操作法などを習得するよう指導した。 
【観点2】大学院
 大学院M3(1名)の研究指導を行った。地球環境の変化や生物の進化と深い関わりのあるラン藻を高等学校の授業でどのように取り上げるか,教材開発を目指したテーマを与えて指導し,修士論文としてまとめさせた。
その他の教育活動
@「わくわく大学ウイーク」講師 
A上越教育大学附属中学校における教育実習学生の指導 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部の「生物学実験」では,本学周辺で見られる生物を実際に採集し,室内実験と関連づける授業を試みた。 大学院の「生物教材実験」では,教育現場で活用できる教材の作製を指導した。実践力をいかにつけるかまでは指導していない。今後の課題である。 
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
@平成19年9月:日本植物学会第71回大会(野田) 
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年8月:公開講座「上越教育大学理科野外観察指導実習D(ミクロの世界)」講師 
◎社会への寄与等
 公開講座をとおして,淡水プランクトンを対象とした自然観察において指導的役割を果たす人材の養成に寄与できたのではないかと考える。
 
 

 
定 本 嘉 郎(准教授)
 
<教育活動>
授 業
学部
 昨年好評であったので,今年度もエジソンが日本の竹をフィラメント材料にして電球作りをしたことを題材とした体験授業を行った。今年度,竹フィラメントを10分程度の短時間で製作して,アルゴン雰囲気下で発光させる簡易電球を作った。この実験では,忍耐が必要であったが,学生は「達成感を十分満足させた。」や「教員になったとき,是非やりたい。」と評していた。学生に興味・関心を持たせたり科学の楽しさを抱かせるのに有効な授業であった。
大学院
 地球環境に関するモデル教材の制作を行った。学生は教材作成の大変さと充実感を体験した。
研究指導
学部
 力に関する教材を提示し,その開発を行った。学生もその教材に強い興味を抱いている。
大学院
 @抵抗を直列・並列に接続した場合の電流学習用粒子水流モデル教材を使った教育実践を中学校で行った。
 A新規RFプラズマ源の設計と予備実験を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】@平成19年12月:「粒子水流模型を用いて電流概念を構築する授業」(共著),教育創造, 157 (2007) 36-37.
発】@平成20年3月:「トルネード磁場中プラズマからイオンの引き出し」(共),スペース・プラズマ研究会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@外部ポロイダル磁場による球状プラズマの研究, 代表者:定本嘉郎(上越教育大学准教授)宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部共同研究
A新潟県の小・中学校の教員と物理教材の開発・実践に関する共同研究
 

 
庭 野 義 英(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 自分の意見を持って,物事を多角的に分析・考察できるような学生の育成を目指して授業を行った。
 考える力と表現する力を育成することを目的とした。
 自然観,科学観,自然科学の教育的価値・倫理的側面の研究,「理工系離れ,環境問題,学校の多くの問題」の解決に寄与する理科教育の研究,およびその指導をそれぞれ行った。
研究指導
【観点1】学部
 櫻井和幸「環境教育における里山学習の有用性についての研究」
 袖山 崇「雪エネルギーの活用に関する小・中学生の意識についての考察」
【観点2】大学院
 滝口晃嗣「学校知を生かす,学習プログラムに関する研究」
 森田雅弘「中学生の科学概念の形成に関する研究-中学校3年「力と物体の運動」の事例から-」
その他の教育活動
@教員養成に関して,アメリカのelementary schoolとmiddle schoolを訪問し,実情を調査した。
A上越・妙高地域の小・中学校や市教育委員会を訪問した。
B教員採用試験対策を行った。
C教育実習校を訪問して,指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成19年6月:「学習環境の整備」理科の教育,6月号
A平成19年7月:「理科教育から見た総合学習−木下竹次の理科教育観−」教育学論説資料,CD-ROM
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@平成20年3月,「小・中学校における地域社会との連携をはかったエネルギー教育・環境教育カリキュラムの作成」,平成17-19年度社会経済生産性本部エネルギー環境教育調査普及事業・報告書 
国際研究プロジェクトへの参加状況
@Collaboration in Science Education Research 2008(代表者:Dr. Robert E. Yager, The Science Education Center, The University of lowa)
学会活動への参加状況
@日本理科教育学会北陸支部大会参加(信州大学教育学部,平成19年11月)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@教育実践研究第18集 査読者
◎社会への寄与等
(1)先生のたまご倶楽部の学生を指導して次の活動を行った。
第9回サマースクール(参加児童約200人,8月21日〜31日)を計画し実施した。
(2)出前授業(理科教育,エネルギー・環境教育)を上越市・妙高市内の小・中学校で合計5回行った。
 

 
下 村 博 志(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 「分析化学演習」は本年度が初めての実施であり,重点的に準備に取り組んだ。
 授業で配布したプリントはA4で113枚以上。解答例はほぼ全て下村のオリジナル原稿となった。統計処理の原理を説明すると共に,パソコンでワークシートを作成し,実際の測定データを処理することで,理解をより深めることができたと考えられる。評価方法については授業の最初に説明し,そのとおり実施した。
【観点2】教育の達成状況
 本研究室においてゼミを受講した4年生1名が卒業し,新潟県小学校教諭として正規採用された。
 この1名は理科(学部)で唯一の教員採用試験合格者。なお,本ゼミの学生が理科(学部)唯一の教員採用試験合格者となったのは最近10年間で2度目。
研究指導
【観点1】学部
 河川の水質に関する分析データを得るとともに,簡易測定が望まれる項目について分析法の検討を行い,卒業論文作成を指導した。内容の一部は学会において発表した。
【観点2】大学院
 簡易分析装置の開発について実験的検討を継続した。
その他の教育活動
 3年生クラス担任として,合宿研修での教育実習の振り返り活動に参加した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 本研究室の学生が理科(学部)で唯一,あるいは二人だけ合格者の一人,となることが最近10年間で合計3回となった(小,中,高校の教諭で)。このような点が本研究室の特徴といえるかもしれない。
 しかし本研究室の学生数は少ないのが課題である。学部学生のゼミの所属について,本研究室では理科の正規の説明会以外の勧誘活動を行っていない。他の一部の研究室が行っている(いた)学生の勧誘方法を真似ようかとも思う時があるが,良心との葛藤に苦しんでいる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成19年9月:「環境教育のための河川の水質調査 上越市正善寺川を例に」(共) 第21回日本分析化学会新潟地区部会研究発表会
学会活動への参加状況
@平成19年度日本分析化学会新潟地区部会幹事(ニュース編集副担当)(会議2回,地区部会ニュース編集,発行)
A平成19年9月:日本分析化学会新潟地区部会研究発表会座長
◎特色・強調点等
 専門知識や実験技術を教育にどう活かすかを常に考慮しながら進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年12月:講演「金属イオンがつくる化合部のいろいろ」 上越科学技術教育研究会第25回理科を語る会
A上越物理・化学同好会(上越地域の中学校教諭を中心とする小規模な勉強会)に参加(3回)
◎社会への寄与等
 小中の先生方の声にできるだけ耳を傾けるよう心がけながら進めている。