【生活・健康系教育講座(家庭)】
 
 

 
大 瀧 ミドリ(教 授)
 
 

 
佐 藤 悦 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業  
 学部における被服学関連の授業は,講義と実験・実習等の内容を関連づけて構成し,消費科学的な視野が養えるよう努めている。学部生と共に免P院生の履修があるため、多様な学生に対応できるように授業後のミニレポートを課して理解度を把握するなどを行った。製作実習の基礎となる教材を取り上げた。大学院における授業は、小学校・中学校・高等学校の家庭科の授業内容との対応を意識して取り上げ、専門的な視野からの解説や問題点などを各自指摘するなどの意見交換を行った。
 
研究指導 
 研究テーマを設定する際には、生活に密着した事象から課題を見い出し,研究テーマに発展できるよう指導上において心がけている。本ゼミの共通テーマとして、被服商品の消費性能に関する研究ならびに衣服の着脱動作に関する研究をメインテーマとして位置づけているが、学生が希望するテーマも多様であるため、可能な限り希望に添えるよう指導体制を取りつつ展開している。本年度の学部生は,既製衣料の消費性能としてTシャツを取り上げ、「Tシャツの廃棄要因と消費実態」として成果をまとめた。院生指導は、一つに衣服の着脱動作に関する研究として、着慣れや着装の習慣などから衣生活の実態を把握するための調査内容を検討して課題研究を進展できるようにしたこと、もう一つは被服の消費実態が直面している諸課題を古着などの利用実態調査を通して検討するための研究計画を立てて、今後に展開できる様に指導した。
 研究室の活動として、衣に関連する地域産業や文化への興味・理解を深めることを目的として,施設見学や手作りの機会を設けている。本年度は,手縫いの応用技法としてニードル・ワークを行った。こうした活動が将来教員として授業展開に役立てられることを目差しているが、時間的な制約もあり,ゼミ単位での活動スケジュール調整が今後の課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成19年5月:「男子大学生におけるボタンかけはずしの動作特性 その2―片手でのボタンかけはずし操作と日常動作における使い手の比較―」日本家政学会第59回大会研究発表 
   A平成19年6月:「Tシャツの繰り返し着用・洗濯による形状変化について」日本繊維製品消費科学会2007年年次大会発表
   B平成19年11月:「衣服の死蔵と古着に関する実態調査」日本家庭科教育学会第24回北陸地区大会
 
学会活動への参加状況
@平成19年5月12日〜13日:日本家政学会第59回大会発表,出席
A平成19年6月16日〜17日:日本繊維製品消費科学会2007年年次大会発表,出席
B平成19年8月30日〜31日:日本家政学会被服心理学部会夏季セミナー出席
                 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県教育職員免許法認定講習:講師 (平成19年8月20日〜23日)
A長岡医療福祉カレッジ:非常勤講師(平成19年10月〜)
B日本家政学会被服心理学部会地区委員
C日本繊維製品消費科学会北陸支部幹事
 

 
滝 山 桂 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業  
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部1年次必修科目であるブリッジ科目T「家庭」の担当方法を,これまで教科教育の教員担当であったが平成19年度より家庭分野の教員全員担当に変更した。準備期間として平成18年度1年間かけて,カリキュラム検討会を分野教員全員参加の下に定期的(月1回)に開催した。ここで授業内容と評価方法を検討し,その成果を受けて小学校家庭の免許に必要なミニマムエッセンシャルズを共通理解した上で教材を作成し授業に臨んだ。分野共同の作業により,講義内容と評価に関する検討と実践を可能にしたという上で意義がある。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 院生1名は,教育免許取得プログラムスタート元年に入学した免P3年次生で,2つの県の小学校教員採用試験に合格した。小学校教員として就職することができ,免Pとしての当初の目的を達成することができた。
研究指導  
 院生2名に,地域に根ざしたエネルギー環境教育に関する実践的な情報収集に基づいた学習プログラム作成用データベース構築の方法を指導した。授業内容の分析方法及び授業内容の特色の把握に仕方について理解してもらった。院生は成果を学会で登壇発表し,情報発信の方策と重要性を認識することができた。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 社会への説明責任という点で教育活動には今後ますます共同的作業が求められてくるが時間も労力もかかり大変かと思われる。しかし,共同のルールが確立すると改善への明確な見通しがもてて,時間や労力の上で軽減可能になるのではないだろうか。上記の授業 観点1で示した平成19年度に実施した家庭分野の方法は,他の分野や授業科目でも取り組まれていると思う。実際に経験することを通して,授業づくりへの共同的作業の必要性を実感した。また,代表をつとめている上越教育大学エネルギー環境教育研究会の拠点大学としての活動が3年目と最終年度であったため,データベースの構築という着地点をめざしながら授業や研究指導にも地域活動の内容を取り入れた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年10月:『中学生の情報収集および情報活用能力の日本・タイ比較』(共)教育情報研究第23巻第2号日本教育情報学会(p3〜p12)
A平成19年12月:『女子大学生の伝統服に関する意識と行動―日本とタイの比較―』(共)日本家政学会誌第58巻第12号日本家政学会(p771〜p780)
B平成19年12月:『実践報告 地域連携に基づくエネルギー環境教育の授業実践の分析―学習プログラム作成用データベースの構築に向けて―』(共)エネルギー環境教育研究 第2巻第1号日本エネルギー環境教育学会(p97〜p105)
C平成19年12月:『特集 教科からみたエネルギー環境リテラシー家庭科におけるエネルギー環境教育実践の実施状況』(単)エネルギー環境教育研究 第2巻第1号日本エネルギー環境教育学会(P23〜P29)
D平成20年2月:『授業実践への衣生活情報に対する重視度の導入―衣生活診断教材の開発と活用―』(共)上越教育大学研究紀要 第27巻上越教育大学(p235〜p244)
発】@平成19年11月:『衣服の死蔵と古着に関する実態調査』(共) 日本家庭科教育学会北陸地区会第24回大会(富山国際会議場)研究発表
他】@平成19年4月〜平成20年3月:『小学校家庭の学習頁,中高家庭の学習頁』(単)月刊誌 教職課程 協同出版(月1回 12回掲載)
A平成20年3月:『小・中学校における地域社会との連携をはかった小・中学生のエネルギー教育・環境教育カリキュラムの作成』(共)平成17-19年度エネルギー教育調査普及事業地域拠点大学最終報告書 研究代表者 滝山桂子 全270p
学会活動への参加状況 
@8月7日〜8日:日本エネルギー環境教育学会大会発表
A11月25日:日本家庭科教育学会北陸地区会発表
◎特色・強調点など
 地域に根ざしたエネルギー環境教育について,収集したデータを分析し共同で学会発表し,さらに詳細な分析を行い学会誌論文としてまとめた。また,教科からみたエネルギー環境リテラシーについて家庭科の特徴を担当し,学会誌に報告した。引き続き今後3年間,全国的な規模でのカリキュラム作成をめざしたテーマ「エネルギー環境リテラシー育成のカリキュラム開発研究」について,科学研究費基盤(B)一般の分担者として,これまでの研究成果を反映・発展させることとなった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況 
@社会経済生産性本部エネルギー教育調査普及事業地域拠点大学代表(経済産業省 資源エネルギー庁)
Aエネルギー環境教育フォーラムの主催(上越教育大学)
B新潟県不当取引行為調査会議構成員(新潟県)
Cにいがた食の安全・安心審議委員(新潟県)
◎社会への寄与等 
(1)地域を中心とした活動を進めている上越教育大学エネルギー環境教育研究会の会長として,地域ネットワークの構築と地域への啓発を積極的に進め,上越・妙高地区のエネルギー環境教育の発展に寄与した。
(2)エネルギー環境教育に関するフォーラムを主催,データベースの構築・発信により,本学学生・大学院生および地域への啓発活動に寄与した。
(3)新潟県の不当取引行為調査会議構成員として,悪質商法対策に参画した。
(4)新潟県の食の安全・安心審議委員として,条例制定およびメールマガジンを通して啓発を行った。
 

 
得 丸 定 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業計画については,シラバス明記は当然のこととして,かつ,講義支援システムに毎回の授業内容具体的に明記掲載した。また,学生への諸連絡は,学内掲示板,講義システムのお知らせと学内メールへの配信等を利用し,伝達漏れのないよう配慮した。レポート提出も講義支援システムによる提出を行った。授業法方法については,大講義室による授業ではパワーポイント,DVD等を用い,資料配付と共に視聴覚機器使用による授業理解への促進を図った。また,全授業を通した「授業出席・質問・感想カード」として,A4両面一枚を作成し,毎回の出席チェック,個別の質問・感想を把握した。質問に関しては集約できるものに関しては次回の授業で回答,個人的な質問については個人別にカードに回答を記入して,毎回学生に返却した。
 成績評価基準についてはシラバスに明記し,出欠席,試験結果,授業中の参加度,レポート・その他の提出等を考慮し成績評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 全ての授業は,卒・修了後,小・中・高等学校教員(専門性としては家庭科)になることを目標においた内容を展開した。授業法や指導法も含め,特に,家庭科の特徴として,「生きる力」の育成を目指す「いのち教育」を基本に置き,授業を展開した。たとえば,学部授業の初等家庭科指導法と中等家庭科指導法では「いのち教育と家庭科」に関与することや教材論と教材開発を行った。大学院では「いのち教育論」について討議や英書講読等,多面的に行った。
 ゼミの卒業生は現役保母試験に合格した。
研究指導
【観点1】学部
 教育の基礎として重要な視点と考えられる「いのち教育」の一展開として,小学生を対象とした「子どものペットロスとその乗り越え方」「ペットについての知識関心と性格傾向について」について研究と授業実践を行った。また,国際的な研究を視野においた指導を行った。
【観点2】大学院
 高齢者福祉教育を「いのち教育」の視点から分析し,教育現場で実践する方策を探った。また,家庭科教育が男女必修に果たした教育的成果の考察について研究を行い,今後の家庭科教育のあり方を探った。両者とも学会発表を行った。さらに,国際的・学際的な研究を視野に置き,他大学の学生や教員と研究交流を行い研究指導を行った。
その他の教育活動
@教職講座の小学校全科の中の「家庭科」を担当した。
A教育実習に際して,八千浦小学校の家庭科・道徳授業で,学生への指導・助言を行った。
B附属小学校における「家庭科」の研究指導・助言を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 一貫して「いのち教育」の視点の立った教育研究指導を行った。「いのち教育」は全ての教育の根底に共通してある重要な内容で,社会的・時代的要請がある。本年度は特に「福祉教育」の視点から新たにアプローチを行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年3月:『いのち教育をひもとく〜日本と世界〜』(編著)現代図書
論】@平成19年7月:得丸定子・鈴木智子,中学生の味覚と食意識・食行動の関係性(第1報)―味覚感受性の現状―,日本家庭科教育学会誌,Vol.50, No.2, 112-120.
A平成19年7月:得丸定子・鈴木智子,中学生の味覚と食意識・食行動の関係性(第2報)―食意識と食行動の視点から−,日本家庭科教育学会誌,Vol.50, No.2, 121-134.
B平成19年7月:得丸定子他62名,「死別体験を持たない子どもたちへの授業」,『AVANCE-HDD家庭科教育実践講座,Vol.1』,ニチブン.
発】@平成19年6月:”Survey on Fear of Death and After Death of the Japanese Students”, International Work Group of Death, Dying & Bereavement. Brazil.
A平成19年7月:「学校教育におけるスピリチュアル教育の可能性」日本家庭科教育学会第50回大会研究発表
B平成19年7月:「ペット葬はペットロス症状を軽減するか?」日本家庭科教育学会第50回大会研究発表
C平成19年8月:「Fear of Death and After Death of Japanese Students」, 14th Biennial International Congress of Asian Regional Association for Home Economics. Malaysia.
D平成19年11月:「いのち教育の視点における福祉教育」日本家庭科教育学会北陸地区会第24回大会
E平成19年11月:「ペット葬と人生観との関連性」日本家庭科教育学会北陸地区会第24回大会
F平成19年11月:「学校教育におけるスピリチュアルな教育とは」第31回日本死の臨床研究会
G平成19年11月:「人生価値観とペットロスおよびペット葬の賛否との関連」第31回日本死の臨床研究会
H平成20年1月:「Japanese Students’ Fear of Death and Afterlife. 2008 Hawaii International Conference on Arts & Humanities.
共同研究の実施状況
@「いのち教育の視点からおこなう福祉教育」に関する研究 代表者:得丸定子 上越教育大学研究プロジェクト(一般研究)
A家庭科の授業実践に関する研究 代表者:荒井紀子(福井大学) 北陸地区家庭科授業実践研究会
国際研究プロジェクトへの参加状況
@死と死別に関する研究 代表者 Elizabeth Betty Davies, (University of California, San Francisco), International Work Group on Death, Dying and Bereavement.
学会活動への参加状況
@9月1〜2日:21世紀高野山医療フォーラム in KOYASAN,8月25〜26日:仏教看護・ビハーラ学会参加,5月11〜13日:日本家政学会第49回大会参加 
A日本家庭科教育学会評議員,日本死の臨床研究会全国世話人・企画委員,仏教看護・ビハーラ学会理事,日本家庭科教育学会北陸地区会会長,日本死の臨床研究会関東支部役員
B第3回仏教看護・ビハーラ学会年次大会の企画
◎特色・強調点等
 「いのち教育」の一環として「ペット葬の賛否と人生観」に関する研究や「いのち教育」とスピリチュアリティの関係性の探求,「いのち教育」の視点における福祉教育,また,それらの学校教育への実践の試みを行った。それらは他に例の見られない我が国では先駆的な取り組みである。また,学校教育と組み合わせた「死と死別・悲嘆に関する」国際的な共同研究・国内の学際的研究についても,我が国では先駆的な取り組みである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市情報公開・個人情報保護審査会(上越市),上越市住宅基本台帳・苦情処理委員会(上越市),上越市年計画審議会(上越市),まちづくり交付金評価委員会委員(上越市)
A8月2日:八王子市 中学校パワーアップ研修会講師,12月3日:柏崎市立北条中学校 「食といのちについて考える」講師,平成20年2月5日:平成19年度豊かな体験活動推進事業中部ブロック交流会 助言者 
B7月7日:本学主催地域貢献フォーラム「いのちのかようコミュニケーション」を企画運営,平成20年2月10〜24日:本学海外研究者招聘事業:米国National Center for Death Education (Mount Ida College)所長のDr. Carol Wogrin氏招聘を企画し,講演会を企画運営した。
◎社会への寄与等
(1)上越市の委員会に複数参画,また地域等の小・中学校への研修会講師として市民への奉仕に積極的にかかわった。
(2)毎年開催している本学地域貢献フォーラムを企画運営し,教育について地域・全国市民や教育研究者等と交流を行い,人間教育について啓発に寄与した。参加者のアンケートでも,ほとんどの人の反応は大好評で,次年度の開催を強く要望された。
(3)本学にて国際セミナー「大切な人を亡くした人へのケア:先入観とケアの方法」を企画運営し,本学や看護大学の学生を対象に,心のケアに関する国際的視野の形成に貢献した。懇談会でも多数の人が集い,新しい視点から「悲嘆」をとらえることができたと大好評で,再度の開催を要望された。
 

 
藤 木 一 浩(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部1年生対象の授業科目「体験学習」において,高分子材料のリサイクルに関する講義と簡単な実験を担当した。この授業においては,経済及び技術の発展による我々の豊かな日常生活と,それに伴う環境に与える負荷との関連性について,常に問題意識を持てるように学習内容を配慮した。学部2年生対象の授業科目「被服学」では,次年度に実施する「被服学実験」の実験項目と関連付けて内容を構成し,理論と実践とが有機的に結びつくように配慮した。しかしながら,事後の復習等を行うまでには学生の興味・関心を掘り起こせなかったようで,この点が課題として残ったように思われる。3年生対象の授業科目「被服学実験B」においては,昨年度に引き続いて,界面活性剤の性質を理解する上で重要な「乳化の型の判別」及び「乳化力」の実験項目について,望ましい結果が得られるように実験操作を改善し,学習効果や内容の理解を高める工夫を行った。授業に際しては,実験の前に事前準備のレポートを課し,コメントを付して返却することで,学生自身が実験の目的を正確に把握するとともに内容の理解度を高められるように工夫した。4年生対象の授業科目「家庭電気・機械・情報」では,電気機器等が動作するしくみを,基本原理に立ち返って解説することで理解させるように努めた。日常何気なく使用している電気製品のモーターの回転原理や特徴を理解できたと,履修者には概ね好評であった。情報領域では,コンピュータによるネットワーク社会が抱える問題点と,それに対する各自の対処の仕方について力点を置いて解説した。
 大学院生対象の講義科目「暮らしの新素材と資源循環型社会」では,これからのライフスタイルである“環境負荷の低減”という課題にスポットを当て,燃料電池等の最新のトピックも織り交ぜながら,学生の興味・関心を喚起するように配慮した。「被服学特別実験U」では,実験操作の目的を事前レポートとして調べさせ,コメントを付して返却することにより,実験結果と対比させて内容を正確に理解できるように工夫した。
 実験関係の授業では,学部・大学院のいずれにおいても,試薬や実験器具の取り扱い方,及び実験操作の仕方については詳細に説明し,安全確保に対する認識を各自が十分に身につけるように配慮した。また,次年度以降の授業内容や方法の改善に反映させるべく,授業に対する感想や意見・要望等を自由に記述させた。
 成績評価法に関する取組としては,レポートの書き方等に関する指導を十分に行い,特に提出の締切期日を厳格にして,評価対象の重要項目とした。
研究指導
【観点1】学部
 各自の卒業論文テーマに関連する学術論文を提示し,その報告を行わせるとともに内容に関する議論を深め,研究の内容を論文にまとめる一連のレトリックをマスターできるよう指導した。
【観点2】大学院
 大学院生に対しては,各自の修士論文テーマに関連する学術論文をこちらが提示するだけでなく,学生自身に積極的に参考論文を調査するよう指導し,疑問点を自ら解決しようと試みる探究心を向上させることに努めた。また,論文の内容について報告を行わせるとともに議論を深め,研究の内容を論文にまとめる一連のレトリックをマスターできるよう指導した。 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 実験関係の授業では,実施前に,実験目的や操作を予習させる目的で事前レポートを課し,誤っている部分等は添削するとともに注意事項等のコメントを付して,必ず実験前に学生に返却している。これは,学生が実験操作を正確に把握し,安全に実験を行うことが出来るように配慮しているとともに,返却したレポートが,そのまま実験中の記録ノートとしても使用できるようにすることで,理解を高められるように意図しているからである。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年4月:「Grafting of polymers onto carbon microcoil by use of carboxyl groups on the surface and electric properties of conductive composite prepared from silicone rubber with the polymer-grafted carbon microcoil」(共著) Polymer Journal Vol.39 pp.404-410  
発】@平成19年4月:「溶媒を用いない乾式系におけるシリカナノ粒子表面へのビニルポリマーのグラフト反応」(共) 第15回複合材料界面シンポジウム研究発表
A平成19年5月:「多層カーボンナノチューブへのポリマーのグラフト反応」(共) 第56回高分子学会年次大会研究発表
B平成19年9月:「気相生長炭素繊維表面への分岐ポリマーのグラフト化と分散性」(共) 第56回高分子討論会研究発表(他1件)
C平成19年11月:「多層カーボンナノチューブ表面へのポリマーのグラフト化」(共) 第56回高分子学会北陸支部研究発表会研究発表
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特殊教育諸学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@グラフト重合による高分子機能材料の合成に関する研究 共同研究者:坪川紀夫(新潟大学工学部・超域研究機構教授)
学会活動への参加状況
 上記『研究成果の発表状況』の「学会等における口頭発表」の項に記した各学会に出席した。(全4学会) 
◎特色・強調点等
 次世代を担う基幹技術の一つとされるナノテクノロジーにおいて,非常に重要な材料として注目を集めているカーボンナノチューブの機能化に関する研究に対して,科学研究費補助金(2年間)が採択され,平成19年度はその最終年度にあたることから,研究のまとめに精力的に取り組んだ。これまで困難とされてきた,カーボンナノチューブ表面のπ電子系を損なうことなくナノチューブの表面を改質する新規な方法について更に研究を発展させ,新機能を有する複合材料を開拓する際の実用・応用面で,いくつかの重要な成果が得られている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜6月:第15回複合材料界面シンポジウム実行委員
◎社会への寄与等
 第15回複合材料界面シンポジウムの運営に実行委員として携わり,特に産官学連携の特別セッションの開催に貢献した。
 

 
細 江 容 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態,学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 上越教育大学は教員を目指す学部生・院生が入学してくるが,その目的大学においても学生・院生の多様化が進んでいる。したがって,大学教員にはこれまで以上に個々の学生・院生に対して学習への動機付けを与え,学生が学習及び研究目標を確立すると同時に,将来の目標や夢に向かって学習するための指導を行うことが求められている。ゆえに,授業においては,シラバスに講義の内容や目的を明記する等の方法により,受講者が事前に準備学習を行うことができると同時に,授業によって理解できなかった点を確認し,次の授業において十分な説明を行った。さらに,授業後の復習,毎回のレポートの提出などにより学習内容の十分な理解が図れる様に授業の設計を行った。
○成績評価法に関する取組状況
 大学の社会的責任として,学生の卒業時における質の確保を図る事は,特に目的大学である上越教育大学においては重要であるといえる。したがって,学生・院生に対してあらかじめ各授業における学習目標や目的達成のための授業の方法及び計画と,成績の評価基準を示す事によって,厳格な成績評価を実施し,学生の質の確保を図る努力を行った。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 上越教育大学は,公共的な教員養成機関として,社会に貢献できる人材としての教員養成を目指す役割を担っている。学生・院生に高い付加価値を身に付けさせ卒業生として送り出すことは大学の社会的責任であると同時に教員一人一人の責務である。したがって,教育実習等で教員志望をさらに強くした学生に対しては,教育現場が抱える今日的問題を自身の研究・教育領域から十分に学習させると同時に,教員には不向きであると考える学生に対しては早い時期での進路変更も含めたキャリア教育的視点で教育に当たる努力を行った。
研究指導
【観点1】学部
 現場での教育に関わる臨床的な実践力を修得させるために,学生の理解を図るために理論だけでなく,事例等の内容を含んだ専門的な教育・研究指導を行った。
【観点2】大学院
 現場での教育に関わる臨床的な実践力を修得させるために,院生の理解を図るために十分な理論と,実践力を培うための事例等の内容を含んだ専門的な教育・研究指導を行った。
 そのために,教員自身も多くの学会,研究会活動で研鑽を積み,それを教育・研究に役立てた。
◎その他の教育活動,特色ある点及び今後の検討課題等
 アメリカテキサス大学サンアントニオ校における「学校教育におけるジェロントロジー教育」の教育・研究の取り組みを行った。本研究は,今日日本社会が抱える少子高齢社会の問題解決に手がかりを与えると確信する。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】@平成19年4月:大修館『新家庭基礎 明日を拓く』(検定決定 平成18年3月3日) 受理番号:16−130 教科書番号:家庭038
A平成19年4月:大修館 『新家庭基礎 生活の創造をめざして』(検定決定 平成18年3月17日)受理番号:17―63 教科書番号:家庭046
B平成19年4月:『高校家庭基礎 明日を拓く』(検定決定 平成18年3月17日)受理番号:17−69 教科書番号:家庭047
C平成19年4月:大修館『明日を拓く 高校家庭総合』 教師用参考資料 家庭038
D平成19年4月:『明日を拓く 高校家庭基礎』 教師用参考資料 家庭047
発】@平成19年7月:アジア地区家政学会ポスタープレゼンテーション『Children’s Connections to School, Friends and Well-being 』
A平成20年1月:韓国 Hallym大学大学院研究科社会福祉学ワークショップでの基調講演『The Gerontology ・Education Mutual Understanding and Integration Among Generation』
他】@平成20年1月:韓国 Hallym大学大学院研究科社会福祉学ワークショップ報告書『The Gerontology ・Education Mutual Understanding and Integration Among Generation』P25〜28 Hallym大学大学院研究科
A平成20年2月:ジェロントロジー国際総合会議報告書,『新たなる学術体系におけるジエロントロジー教育』P160〜61,日本ケアフィットサービス協会
B平成20年3月:家庭科通信35,『ジェロントロジー教育と家庭科』P3〜7 大修館
国際研究プロジェクトへの参加状況
@学校教育におけるジェロントロジー教育(東アジアでの共同研究)
A日本・台湾・韓国・中国の家族と高齢者扶養(国際共同研究)
在外研究の状況
@6月1日〜10月30日:アメリカテキサス大学サンアントニオ校ヘルスサイエンスセンター「学校教育におけるジェロントロジー教育」
◎特色・強調点等
 研究活動全般を通しての特色は,今後日本において予想されている超少子高齢化社会に備えて,人々が地域社会の中で共同・協同を通じていかにして住み良い地域社会を創造するかをジェロントロジ―教育を通じて考えていこうというものであり,これまで学校教育のレベルではそのような試みはなされてこなかった。その点で独創性と発展性があり,教育実践への寄与,地域の貢献が可能であると考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@学外委員:新潟県労働政策審議会委員
A研究活動委員:「家庭科の中で生活経営をいかに教えるか」研究活動委員
 

 
光 永 伸一郎(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部・大学院(修士課程)において,食物に関する講義と実験を担当した。いずれの担当科目についてもシラバスの記載内容を十分に検討し,学習への動機付けとなりうるよう配慮した。また,各科目の1限目のオリエンテーションにおいては,その目標や予習・復習についての具体的な指示を与え,学生が学習方法を確立するための補助を行った。また,パーソナルコンピューターのプレゼンテーション機能を最大限に活用し,円滑な講義進行を心がけた。
【観点2】教育の達成状況
 本年度に指導した学部学生(1名)が,幼稚園教員採用試験に合格し,正採用となった。同じく,本年度指導した大学院生2名のうち1名が,小学校教員採用試験に合格し,正採用となった。
研究指導
【観点1】学部
 近年,学校教育現場における食育の推進が求められている。そこで,本学の学部学生・大学院生の食育に対する意識調査を行った。食育についてアンケート調査を行い,データを収集するとともに,その分析方法についての指導を行った。
【観点2】大学院
 発芽野菜に含まれる栄養素の分析を行った。発芽野菜は,近年,その高い栄養価が注目されている。各種栄養素についての分析方法を教授し,データの分析方法や得られた結果に対する考察の仕方についての指導を行った。
その他の教育活動
@新潟県立看護大学において,臨床栄養学の非常勤講師を務めた(平成19年4月1日〜平成20年3月31日)。
A指導生(学部学生及び大学院生)が担当した教育実習(小・中学校)の研究授業を参観した。また,指導内容についての補助や助言を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 食の安全性が大きな話題になった1年であったため,食品全般に対する学生の認識が誤った方向に進まないよう,講義内容については十分配慮した。本年度は食育に対する意識調査を実施し,本学の学部学生・大学院生の食に対する考えの一端を明らかにすることができた。得られた結果については,今後の食育研究に有効活用したい考えである。大学院の研究指導においては実験が中心であったが,特殊な実験系を用いるのではなく,汎用性の高い基本的な実験操作により,学術的に有意義なデータを導き出すことに重点を置いた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年12月:『a-Amylase production is induced by sulfuric acid in rice aleurone cells』(共著)Plant Physiology and Biochemistry,第45巻,pp. 922-925
学会活動への参加状況
@8月17日〜18日:第21回日本教育大学協会,全国家庭科部門大会出席
◎特色・強調点等
 『a-Amylase production is induced by sulfuric acid in rice aleurone cells』においては,硫酸がイネ種子のアリューロン細胞において,デンプン分解酵素a−アミラーゼを合成誘導することを明らかにした。本来, a−アミラーゼ合成誘導には,植物ホルモン・ジベレリンが必要不可欠であるが,本実験は硫酸がジベレリンに代わる効果をもつことを証明した画期的な論文である。イネのa−アミラーゼ合成誘導については,依然として不明な点が多いため,本研究の進展には大きな期待がかかる。
 
<社会との連携>
社会活動状況
@7月26日:平成19年度『附属中学校わくわく大学ウイーク』
A11月15日〜16日:『第46回関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会(新潟大会)』
◎社会への寄与等
 本学主催の『附属中学校わくわく大学ウイーク』において特別授業を実施した。テーマは『遺伝子の正体・DNAを見てみよう』。また,『第46回関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会(新潟大会)』の第6分科会(生活の自立と衣食住U)に研究指導者として参加した。