【実技教育研究指導センター】
 
 

 
平 野 七 濤(教 授)
 
 
 
 
押 木 秀 樹(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
 国語科書写指導のための基礎力の向上に加え,教師としての一般的な能力としての板書の文字などの向上にもつとめている。学習者中心型学習過程と学習内容の明確化という点を中心に教育をおこなっている。また,書字動作に関わる学習のため,視聴覚機器の使用やマルチメディア教材の作成により,学習効果を高める工夫を継続している。
 評価に関して,学習物をポートフォリオ的にまとめることで,自己の学習過程を評価できる工夫を継続中である。
【観点2】教育の達成状況
 国語科書写の指導力として,授業の考え方については一定の学力を身につけていると考える。一方,実技能力と,教師としての一般的な能力としての板書の文字などについては,まだ十分といえる状況ではない。施設的にも人的にも厳しい状況ではあるが,効果的に学力を向上させる工夫をおこないたい。
 授業後の復習や実技を中心とする自習をおこなうための施設設備の不備については,十分な改善が見られたとは言い難い。しかし,月・木曜日の夜に特定の教室(講202)において自習および指導できる体制を整えつつある。
研究指導
【観点1】学部
 書写(書道)教育研究の動向に加え,文字を書く研究領域について,書学等の伝統的領域からGraphonomicsなど現代的領域までを見据えた上で,学生の課題に対する指導をおこなった。ゼミでの専門領域の研究とともに,教育実習前の模擬授業などを継続しておこなっている。書道の領域に関しては,実物を直に見る機会を設けるなど,体験的部分についても留意した。
【観点2】大学院
 本年度は,中央教育審議会の審議のまとめや答申などを参照しつつ,文字を書くことの変化を踏まえ,書字における動作の問題や書字目的及び相手意識などについて特に指導を行った。
その他の教育活動
 信州大学教育学部において非常勤講師として,小学校免許用授業である国語基礎の一部(書写)を担当した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 書写教育研究のうち学習内容論の指導については,他大学の先導的役割を果たしていると自己評価している。特に,研究活動の特色に示す書字動作に関する内容は,先端的であると考えられる。しかし,その内容をわかりやすく学生に指導していくという点で不十分であり,よりわかりやすい授業としていくことが課題としてあげられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年2月:「書字における冗長と欠落とに関する試論」(単著)上越教育大学国語研究 第22号
A平成20年2月:「中学生を対象とした学年別漢字配当表所収全字種の筆順調査結果のパターン別分析」(共著)実技教育研究 平成19年度版 
B平成20年3月:「中学生を対象とした書きやすく速く書く力を育成する実践的研究〜動的学習要素のレベル化およびマルチメディア教材等の効果〜」(共著) 書写書道教育研究 第22号
作】@平成19年7月:『寒山詩より』第46回書象展
A平成19年8月:『寒山詩より』第23回読売書法展
学会活動への参加状況
@全国大学書写書道教育学会常任理事
◎特色・強調点
 昨年度に引き続き,中学校書写と関わる書字動作に関する研究を中心に進めた。附属中学校教諭との共同研究も含め,研究発表をおこない成果を得た。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越国語連絡協議会書写実技講習会講師
A上越市学校教育研究会書写教育部会研修会講師
B長野県総合教育センター教職員研修講座講師
C新潟県書写書道教育研究会副会長
D石川県書写書道教育連盟顧問
 

 
市 川 真 澄(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の体育実技授業においては,本授業において実施する実技授業の内容と学習目標をシラバスおよび初回の授業ガイダンスにおいて明確に示した。特に,本授業の内容が,将来の教育実践内容とどのように関係するかを理解することに重点をおいて指導を行った。授業の評価については,示された実技の個々の能力および示範能力についてあらかじめ設定した基準によって評価した。大学院修士課程においては,各授業科目について,講義内容について事前にシラバス等で示し,講義ばかりでなく,実践的内容も含んで授業を進めた。評価については,レポートを中心にして,講義内容をよく考察するように指導し,その考察の内容で評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 学部においては,専門科目に関する知識及び専門的実技に関する充分な示範能力を備えて卒業させることができた。また,大学院修士課程においては,より高度な専門的知識を修得させると同時に,日常的に生じる事象を注意深く観察し,研究心を持って接することによりよりオリジナリティが高い授業実践ができるような能力を育成できたものと考えられる。 
研究指導
【観点1】学部
 学部においては,3名の4年次学生と5名の3年次学生の指導を行った。4年次学生については,卒業研究において,バイオメカニス的手法を用いて以下のテーマで体育実技に関する実践的研究を指導した。
@増渕貴子:ウインドミル投法動作におけるバイオメカニクス的研究
A阿部義弘:体育実技指導における視覚教材活用に関する実践的研究
B金子嘉樹:ビジュアルトレーニングがサッカーの状況判断能力に与える影響
また,3年次学生においては,体育実技指導時における要点に関するいくつかの事例を根拠にして,実験および実習を通して実践的な研究指導を行った。
【観点2】大学院
 大学院修士課程においては,体育実技指導時におけるいくつかの課題について,バイオメカニクス的手法を用いて,以下のようなより高度な研究課題について研究指導を行った。  
@三浦雅季:バランストレーニングがヒトの静的および動的平衡機能に与える影響
A神澤江里加:小学校期における加速度刺激経験量が成人後の姿勢調節機能に与える影響
B岩本千佳:ヒトの歩行動作における二軸運動感覚の影響
C金子秀史:SAQトレーニングが小学生の疾走能力に及ぼす影響
これらの研究課題を検討する段階において,特に,実践と関連付けて考察するような指導を個々の研究課題に応じて行った。
 その他の教育活動
@名古屋リゾート&スポーツ専門学校アスレティックトレーナー養成コースの非常勤講師としてスポーツ生理学及びスポーツバイオメカニクスの授業を行った。
A教職講座の直前実技指導講座(陸上競技)において学生の指導を行った。
B小学校および中学校教育実習において,担当ゼミ学生の研究授業を参観し,個別指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 保健体育においては,自己の専門とする実技種目について充分な実技能力および示範能力が必要とされるが,その能力を充分に養成することに重点をおいた指導を行っていると同時に,各運動中の身体の変化やトレーニング効果に関する理論的背景の充分な理解に重点をおいた指導を行っいるところにその特色がある。さらに,学会において,課題研究に関して得られた新知見を発表させるなどして,プレゼンテーション能力の向上に重点を置いている。今後の課題として,プレゼンテーション内容の質の向上に努力することが挙げられる。そのために,日常のゼミ活動を通して,プレゼンテーション能力向上のトレーニングをより多く行う取り組みが必要であると考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況  
論】@平成20年2月:『走幅跳と走高跳選手における競技記録と形態及び筋力・パワー特性に関する研究』(共著)上越教育大学実技教育研究 第2巻 pp.1-9
作】@平成20年1月:『全日本スキー連盟スノーボード指導員検定会』スノーボード指導員合格
A平成20年3月:『全日本スキー連盟スノーボードバッジテスト』検定員
発】@平成19年10月:『バランストレーニングが立位姿勢の安定性に及ぼす影響』(共)東海体育学会第55回大会研究発表
A平成19年11月:『バランス機能に与えるトレーニング効果と効果保持性の検討』(共)第20回日本トレーニング科学会大会研究発表
学会活動への参加状況
@9月5日〜7日:日本体育学会第58回大会(神戸大学)出席
A10月20日:東海体育学会第55回大会(東海学園大学)出席
B11月16日〜18日:第20回日本トレーニング科学会大会(東京大学)出席
◎特色・強調点等
 本年度も,ヒトのバランス機能に関する研究を中心に行った。平衡機能(バランス)は,小学校期において顕著に発達する身体機能のひとつであり,運動時においても重要な身体的能力となる。特に,本年度は,バランス機能が完成した年代の被験者を対象にしてバランストレーニングを行い,平衡機能系に対するバランストレーニングの効果について検討を行った。また,静的なバランス機能ばかりでなく,運動時のバランス保持能力にも関係すると考えられる動的バランスの研究にも着手した。今後は,成人ばかりでなく,発育期の被験者や高齢者の被験者も対象にしてヒトのバランス機能の研究を進めていく予定である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@全日本スキー連盟教育本部ブロック技術員
A東海北陸ブロックスノーボード委員会委員
B愛知県スキー連盟教育部専門委員
C日本陸上競技連盟A級審判員
◎社会への寄与等
 日本陸上競技連盟A 級公認審判員として各種公認陸上競技大会の審判を行い,地域の陸上競技振興に寄与した。
 また,全日本スキー連盟教育本部ブロック技術員として,全日本スキー連盟スキー指導者研修会の理論および実技講師を担当し,スキー指導員および準指導員を指導してスノースポーツ界に寄与し,高い評価を受けた。
 

 
阿 部 亮太郎(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
@実践場面の中で課題を発見する力の養成に重点を置くことを継続して行っている。模擬授業も取り入れているが,知識や技術を「出す」「伝える」だけでなく,場面から何を見取るかの能力の向上をはかっている。
A大学院生のために,ソルフェージュの授業を新たに開講した。これは,学部を出たあと,なかなか総合的な読譜や音感の訓練ができなかったものを,毎年受講できるようにしたものである。
B表現科目も含め,単なる関係性の整合だけでない,意味や体験への関心を重要視する一方,ブリッジ科目「音楽」内の「楽器のはなし」で,楽器の構造と倍音との関連に言及するなど,理系的な関心の契機になりうる話題を盛ることにもつとめた。
【観点2】教育の達成状況
 ブリッジ科目「音楽」のピアノ指導で,さらに「覚え方」「練習のしかた」に重点を置いた指導を行った。これはピアノ指導の時間だけではなく,楽典の授業(阿部担当)でも連携して徹底した。この授業は多数の教員による指導であるため原因は複合的なものであると思われるが,グレード試験で,不合格→再グレード試験となる学生が目に見えて減少するなどの変化があった。 
研究指導
【観点1】学部
事物の関係性のみの整合でなく,実際に体験的に確認できるかどうかも重視した。 
【観点2】大学院
今年度のケースでは,前任者の指導との継続性も重視しながら,思考力の向上を目指した。 
◎特色ある点及び今後の検討課題等
(1)意味の生成のプロセスを重視した教育を行っているが,「言語化」を客観的な考察にだけとどめるのでなく,受講者自身の「批評」の性格を帯びた活動にまで範囲を拡げている。そのことによって「人間とは,このように音楽を言語化するのだ」ということが経験的に理解でき,また,仮に正反対の感想にも関わらず実は近い体験をしていることなどの分析にもつなげることができる。たとえば,授業での子どもの言葉の理解は,このような「言語化」自体の理解があってはじめて可能だと言える。
(2)検討課題は(これは全学的な問題であるが)やはり依然として,教員が実際の実践場面の問題を把握する態勢になっていないことである。そのため教育の最終的な達成度や教育的課題が共有化されず,場合によってはそれらが全く明らかになっていない可能性もある。昨年度書いたように,実践場面の把握に力を入れた半面,自らの専門に多くの労力を割けない状況であったことから,今年度労力の配分を見直した結果,自分の作曲や研究は量的には充実したが,例年,院生学生とともに授業以外に行っていた附属学校に於ける参観と検討会を行う余裕が全くなかった。現状でもすでに明らかに個人の労力の限界を超えており,早急に全学的に一歩でもシステムを改善する必要がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成19年8月:《四尺玉打揚之図》(吹奏楽のための作品)練馬文化センター大ホール
A平成19年9月:《声と風》(マリンバのための作品)日本作曲家協議会第12回アンデパンダン
B平成19年10月:《コラールと弔鐘》(吹奏楽のための作品)「山本茂夫先生とのお別れの会」上越教育大学講堂
C平成20年2月:《五月雨を聴く・辿り書き》(クラリネット・アンサンブル)大泉学園ゆめりあホール
D平成19年5月:昨年度末に東京芸術劇場で演奏・収録された旧作《吹奏楽のためのバラード》のCDが発売された。
発】@平成19年6月:『三善晃の'60年代末の作品の性格とその和声的特徴について』第5回日本音楽表現学会研究発表
◎特色・強調点等
(1)昨年度より,量的には,はるかに充実した。
(2)新たな呼吸の測り方や,和声の充実はある程度達成したが,より力のある構造化された表現を探求したい。
(3)数年来中断している管弦楽作品が進捗しない点は猛省し,来年度にのぞみたい。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成19年7月:全日本吹奏楽連盟吹奏楽コンクール秋田県南地区大会審査員
A平成19年11月:第4回子供のためのアドヴァイスコンサート(上越教育大学講堂)審査員
 

 
洞 谷 亜里佐(准教授)
 
<教育活動> 
授 業
 「ものを見ること,対象と対話することからの写生描写」に重点をおき,写生による発見の楽しさや表現することへの神髄に迫ることで「自分らしさとは何か」という主観的な表現方法を模索していく授業の展開に心がけた。ブリッジ科目「図画工作」では,自然を観ることから,感じることから自分を探ることを試み,描く行為から絵画表現の可能性についての作品作りを行ってみた。「表現・<子ども>の活動」は80人授業という大人数のためグループに分かれた指導を行い,学生同志での研究チェックを行うと共に,ティーチングアシスタントの協力により,個々の表現への助言に気を配ることができた。ここでは言葉以外のコミュニケーションの授業として様々な角度から身体を開放して自分を表現する活動を行った。「絵画表現」「伝統絵画と鑑賞」では,日本画,東洋絵画を精神性,表現技法,素材などの多方面からの分析を文献や作品を通して研究し,模写などで追体験をすることで,古典絵画を読み取ることを試みた。
 「日本画研究」では,日本画の素材研究と表現の可能性について自由制作の上で展開していった。
研究指導
 授業以外の積極的な研究活動の成果として,平成19年10月妙高市展入選(1名・佳作賞)
その他の教育活動
 課外クラブ茶道部いのちの電話チャリティー茶会参加
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成19年5月:『椿』(6号)他2点 第3回ハナノキ会 上越大和ギャラリー
A平成19年5月:『港町ブラーノ』(F20号)第6回雄雄会 銀座松坂屋(名古屋)
B平成19年9月:『あゆの風』(変150号)再興第92回院展 東京都美術館 各地巡回
C平成19年9月:『アレーナ』(F15号)他10点DOYA展ノリタケギャラリー(名古屋)
D平成20年1月:『刻』(M50号) 2008長湫会 日本橋高島屋 名古屋巡回
E平成20年2月:『アユタヤ』(F30号)うづら会 日本橋三越 名古屋巡回
論】@平成19年12月:『タイ壁画の表現方法・技術について』(共)日本図学会本部例会学術講演論文集,pp25-28 
発】@平成19年12月:『タイ壁画の表現方法・技術について』(共)日本図学会発表
学会活動への参加状況
@6月16日〜17日:第29回文化財保存修復学会出席
A12月1日〜2日:日本図学会本部例会出席
在外研究の状況
@6月24日〜7月1日,8月31日〜9月8日:タイ タイ王宮寺院壁画の保存修復技法の研究〜修復作業の指導をとおして(平成19年度科学研究費補助金基盤B)
 
<社会との関連>
社会的活動状況
@平成19年9月「古径の楽校」5回の日程で小中学生に日本画を指導した(上越市主催)
A平成20年2月第48回新潟県児童生徒絵画コンクール審査員
B上越市美術展覧会運営副委員長
C小林古径記念美術館運営委員