あ と が き


 上越教育大学では,組織,運営,教育研究活動等全般にわたる年次報告書を昭和61年度(昭和60年度版)から作成・発行してきており,この平成20年度版で第24集を刊行するに至った。なお,平成16年4月から本学も国立大学法人となったため,平成16年度版以降は,国立大学法人としての活動をまとめたものとなっている。
 本学は,これまで国立大学法人評価委員会による中期目標・中期計画に対する年次評価や認証評価機関による大学評価を経験し,今後は,中期目標期間評価などを受けることとなることから,より一層明確な説明責任と活動全般が捕捉できる分かりやすい自己点検・評価報告書が求められている。そのため,平成17年度に,今後の外部評価,特に,認証評価機関による大学評価にも対応できるような,自己点検・評価に関する新しい基準・方法や観点等について検討を行い,平成18年度までに全ての基準項目について点検・評価を行い,その結果については,各年度の年次報告書に掲載してきた。これらの結果については,平成19年度に大学評価・学位授与機構の機関別認証評価を受審する際に,自己評価書作成の基にしたところである。また,現在,同基準項目による2回目の点検・評価について,平成21年度からの3年計画で実施しているところである。
 一方,前述のような大学評価への要求が社会的に高まってきた背景には,単に評価そのもののみが求められているわけではなく,それを「どう生かすか」まで問われていることを忘れてはならない。特に自己点検・評価は単に点検・評価を行うことが目的ではなく,それらをもとに問題点を把握して,改善に結びつけることができて初めて大きな意味を持つ。すなわち,大学評価に対する社会的な要求は,「特に問題点や課題がない」という評価結果で自己満足してほしいということではなく,常に変化している教育環境を背景に,取り組むべき課題を自ら積極的に掘り起こし,その課題を克服するために大学全体で努力してほしいというメッセージと捉えるべきである。そのため,問題点や改善すべき箇所を全構成員が大学全体の課題として共通認識できるような,「何のための評価か」が明確に理解できるような,自己点検・評価が常に望まれている。
 今後も,本学はさまざまな外部評価を受けることになる。特に,中期目標・中期計画に基づいた国立大学法人評価は成果についての評価が重視されており,それがひいては将来の本学全体の屋台骨に大きく関わってくることは容易に予想できる。そのため,その柱となる自己点検・評価の重要性を大学構成員全体が認識し,積極的に関わって行く姿勢が必要であると考えている。
 最後に,本報告書の作成に当たりご協力いただいた本学教職員各位に対して謝意を表すとともに,学内外の関係各位からのご意見・ご助言をいただきたく,この場を借りてお願い申し上げる次第である。

平成 21 年 11 月
上越教育大学副学長
大学評価委員会委員長
川 崎 直 哉