【学校臨床研究コース】
 


朝 倉 啓 爾(教 授)【学校臨床研究コース/教育実践リーダーコース】
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部授業科目「学習臨床概論A」においては,「子どもたちの学習過程を重視した授業づくりと評価の工夫」というテーマで社会科の事例を取り上げて授業を行った。まず地球表面上の2地点間の方位の関係に関する質問紙調査を実施し,受講生の素朴概念を捉えた上で,それを科学的概念に変容させるための地球儀を用いた作業的な学習に取り組ませることにより,地理学習に対する関心を高めるとともに,指導と評価の一体化を図る方途について考察させた。同「学習臨床概論A」及び「学習臨床概論B」において今年度から取り入れた総合演習においては,各教科の授業づくりのポイントに関する討議を通して,社会科の場合は事実認識自体が困難なことが多いため,教材研究では広い視野に立った多面的・多角的な考察が重要であることと,子どもたちの認識過程を十分に考慮して授業を構成することが重要であることを指摘した。同「学習場面観察基礎」においては,上越市立東本町小学校の協力を得て,第6学年社会科授業「わたしたちのくらしと日本国憲法」を見学するとともに,それに関する討議を行い,小学校社会科の学習指導法等についての理解を深めさせた。
 大学院授業科目「学習と相互行為特論」においては,平成16年度以来,所属(または希望)する学校種・担当教科の異なる受講生に各人が最も得意とする1単位時間分の模擬授業を行わせ,それらを相互行為の視点から分析して学び合う授業を行ってきている。平成20年度は,受講生が12名だったことから,彼らを4つのグループに編成して各グループ内の相互行為を視野に入れた授業を構成した。同「学習臨床支援特論」においては,中学校社会科地理的分野の事例として「日本の47都道府県の名称と位置」を身に付けさせる学習を取り上げ,子どもたちの誤答分析の結果を踏まえた質的支援の重要性について考察させるとともに,周到な授業準備が最良の学習支援となることを理解させた。
 教職大学院の授業科目「教育課程の編成・実施の実践と課題」においては,平成20年3月に告示された小・中学校学習指導要領「総則」を取り上げ,平成10年度版のそれとを比較対照させ,今次改訂の要点を大観させた。続く総合演習の場面では,各教科等において今次改訂の趣旨を生かした学習指導の在り方について考察させた。
【観点2】教育の達成状況
 いずれの授業についても,常に目標の明確化を心がけ,その実現に必要な内容と方法を時間をかけて準備することができたので,その達成状況については「十分満足できる」または「おおむね満足できる」ものと評価している。なお,各授業については,大学のFD評価とは別に自作の質問紙を作成して履修者に回答してもらい,その成果と課題を明らかにして授業改善に役立てている。
研究指導
【観点1】学部
 学部生に対しては,卒業論文の作成のために,小学校社会科の単元の中から研究課題を選定させた。次に,その単元に関する学習指導要領及び教科書の分析を通して標準的な学習指導を実施した場合の問題点を摘出させた。その上で,それらの問題点を克服するために,身近な地域の調査や工場等の見学を実施させ,それらを組み込んだ単元の構成と授業づくりを行わせて論文にまとめさせた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院生に対しては,修士論文作成のために,各人の興味・関心に基づいて研究課題を設定させた。その上で,1)先行研究の収集・分析,学習指導要領及び教科書の分析,学校教育現場における授業記録の収集・分析を行い,従前の学習指導の問題点を明らかにする。2)その問題点を克服するため,学習内容に関する広範な素材研究を実施しつつ,単元の指導計画及び毎時の学習指導案を作成する。3)可能な場合には,それを学校教育現場等で試行して,その成果と課題を明らかにする。といった手順を踏ませ,それらの成果を論文にまとめさせた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 「教育(5)授業取組」のうち,大学院授業科目「学習と相互行為特論」では,参加型の授業とすることで受講生の学習意欲と実践的な指導力を高めることができた。また,布川教授及び両角准教授とのTTにより受講生の模擬授業に対して相互行為の視点から効果的な指導を行うことができた。同「学習臨床支援特論」では,受講生自身に学習課題を与えることにより,学習者の視点からみた効果的な学習支援の在り方を考察させることができた。また,学習者の実態を踏まえた周到な授業準備が最良の学習支援となることを実感させることができた。学部授業科目「学習臨床概論A」では,日常生活の中で形成される方位に関する素朴概念を科学的概念に変容させる作業的な学習に取り組ませた結果,受講生の地理学習に対する関心を高めるとともに,社会科においても生徒の素朴概念を梃子とすることで効果的な学習が成立することを理解させることができた。同「学習場面観察基礎」では,東本町小学校の授業担当教諭に見学後の学生の感想や質問を送り,それらに関する回答をしてもらうことにより,授業づくりや学級経営に取り組んでいる現場教員の真摯な姿を伝えることができた。
 「教育(6)研究指導」のうち,特に大学院1年生(免P)と学部3年生に対しては,社会科教育に関する既有知識が少ないことを考慮して,本年度もできるだけ幅広いアプローチをするよう心がけた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年11月:『平成20年告示新学習指導要領 中学社会をよりよく理解する。』(共編著)日本文教出版社
業】@平成20年5月:『中学校社会科地理的分野の今次改訂による主な変更点と実施上の課題』(単著)社会科教室,第49巻,pp.8〜11
A平成20年8月:『「公立中学校における生徒の学力向上のための取組に対する臨床的支援プロジェクト」成果報告書』(単著)上越教育大学研究プロジェクト成果報告書,第1号,pp.195〜218
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@「公立中学校における生徒の学力向上のための取組に対する臨床的支援プロジェクト」 代表者:朝倉啓爾(上越教育大学学習臨床講座)上越教育大学研究プロジェクト
A上越市立高士小学校における生活科・総合的な学習『善兵衛学習』の取組に対する臨床的支援 代表者:戸北凱惟(上越教育大学副学長)平成20年度学校支援プロジェクト
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市学校適正配置審議委員会委員,A上越環境科学センター「エコアクション21」地域運営委員会委員長,B上越環境科学センター「エコアクション21」判定委員会委員長,C上越教育大学附属中学校における学校教育研究の全体指導者,D石川県羽咋市立邑知中学校(文部科学省研究指定校)における「全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善の推進に係る実践研究」の指導講師,E石川県羽咋市立粟ノ保小学校(石川県研究推進校)における「児童生徒の『活用力』向上モデル事業」の指導講師,F石川県宝達志水町立押水中学校(石川県研究推進校)における「児童生徒の『活用力』向上モデル事業」の指導講師,G石川県羽咋市立邑知中学校(石川県研究推進校)における「児童生徒の『活用力』向上モデル事業」の指導講師,H新潟県上越市立高士小学校における特色ある教育活動の構築に対する指導講師,I新潟県教育センター主催「平成20年度教職12年経験者研修『学習指導(地歴公民)コース』の指導講師
◎社会への寄与等
 石川県羽咋市立邑知中学校における「学力向上拠点形成事業」に対する指導(平成17年〜19年)により,当該中学校の生徒の学力に顕著な伸びがみられ,併せて生徒会活動等の活性化が図られるとともに,それを安定的に実現するシステムが構築された。その研究の成果は,平成20年度の第24回時事通信社「教育奨励賞努力賞」(「授業の革新」部門)を受賞し,最近では全国的にも注目される存在になりつつある。
 新潟県上越市立高士小学校における「特色ある教育活動の構築」に対する指導(平成19年〜)により,地域素材を生かした「生活科」及び「総合的な学習の時間」の取組が学校と地域社会との連携を強化し,その結果,学校における多様な教育活動が相乗効果的に活性化されるとともに,児童の学力向上にも伸びがみられた。その研究の成果は,平成19年度の新潟日報社等による「特色ある教育実践校・園 優良賞」を受賞し,平成20年度にはNHKの全国放送でも取り上げられた。
 


梅 野 正 信(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 全ての講義で教材資料,授業実践場面等に関するDVDを用いた。
【観点2】教育の達成状況
 ドキュメントや貴重な記録データ等をDVDで視聴することで,受講者の理解が深まり授業開発に具体的なイメージを提供することができた。
研究指導
【観点1】学部
なし。(指導学生がいなかった。)
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 毎週のセミナーでは,共通テキストによる各自の報告をさせ,ディスカッションを行った。後半は各自の修論に関係のある報告等を行い質の高い研究の進展がみられた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 講義にはDVD資料が欠かせないと考えている。1時間ごとの講義内容に即した効果的な映像資料の作成に力をいれていきたい。課題としては,赴任して間もないので,映像編集機器およびと編集作業スペースが十分でないことである。今後作業スペースの確保,機器の充実を期待したい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成21年3月:『必携 学校小六法 2010年度版』(共著)協同出版
A平成21年1月:『学校教育の歴史・現状・課題』(共著)教育開発研究所
B平成21年3月:『初任者研修実務必携』(共著)第一法規
論】@平成20年6月:『「被害集積の視点」を注視し,対応を変える時期を検討・判断するための教員研修資料−』(単著)季刊教育法・第157号
A平成20年9月:『「殴打」「体罰」等の直後の児童生徒に対する衝撃緩和措置を検討するための教員研修資料−』(単著)季刊教育法・第158号
B平成20年12月:『遊びを装った暴力,いやがらせ,屈辱的行為をともなういじめ,傍観者・同調者の問題性を検討するための教員研修資料』(単著)季刊教育法・第159号
C平成21年3月:『生徒間における非難・悪口等による精神的被害の違法性及び教師の対応の在り方を検討するための教員研修資料』(単著)季刊教育法・第160号
業】@平成20年4月:『教師間の「性的侮辱」「言葉の暴力」』(単著)季刊セクシュアリティ第36号
A平成20年7月:『生徒による教師に対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)行為』(単著)季刊セクシュアリティ第37号
B平成20年10月:『環境型セクシュアルハラスメント』(単著)季刊セクシュアリティ第38号
C平成21年1月:『侮辱的言葉の暴力性』(単著)季刊セクシュアリティ第39号
発】@平成20年8月:『地域教育サークルの実践に学ぶ−上越教師の会・江口武正実践の軌跡から−』(単)日本学校教育学会
A平成20年8月:『戦後日本の教育実践(4)−香川地域,上越地域,三河地域の教育研究と実践−』(共)日本教育学会
B平成20年7月:『日韓関係をめぐる歴史教科書内容の課題』(共)韓日歴史教育研究会(韓国)
学会活動への参加状況
@8月29日:日本教育学会第67回研究大会出席,A8月2日:日本学校教育学会第23回研究大会出席
◎特色・強調点等
 研究活動は人権尊重を念頭においた学校関係訴訟に関わる訴訟の研究が中心となり,関係する論文を年間8本掲載した。また,これらの研究をもとに,講演等を行ってきたし,講義等でも生かしている。また,戦後教育実践のうち,上越と熊本の研究に取り組んでいる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@人権教育の指導方法等に関する調査研究会議,A教員養成課程の質的な向上に関する調査研究協力者会議,B上越カリキュラム開発推進委員会,C生徒指導等関連事業審査委員会
◎社会への寄与等
 登録した文科省関係委員会の他,教員中央研修(独立行政法人・教員研修センター)の講師,社会教育主事全国講習(国立教育政策研究所)の講師を各年1回(人権教育)務めている。また,県立糸魚川白嶺高校の人権教育推進事業に校内研修講師として,糸魚川市の中学校生徒指導部会での研修行為等を担当している。
 


釜 田   聡(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 「教育実地研究U」では,教育実習ルーブリックの各事項に即して,学生一人一人が具体的な目標を設定できるように努めた。具体的な授業場面においては,基本的な指導案の作成から資料活用の方法などを小集団で行ったり,学生同士の相互評価を行ったりした。「韓国文化論」では,毎時間,学生に対してミニレポートを課し,次時にはそのミニレポートに記載された内容を分類整理した上で,授業を構成して実施した。「教職実践演習」では,上越教育大学スタンダードに基づいた授業構成の在り方と評価方法の開発に努めた。「総合・生活」では,上越地域から生成された総合学習を中心に授業を構成し,学生の興味関心をはぐくむことに尽力した。
【観点2】教育の達成状況
 「教育実地研究U」では,大多数の学生が教育実習ルーブリックの各事項に即して,具体的な目標を設定し,今後の見通しをもつことができた。「韓国文化論」では,授業前と授業後のアンケートを比較した結果,韓国に関する興味・関心,問題意識がはぐくまれたことが確認された。「教職実践演習」では,学生一人一人が自らの教職キャリアを吟味し,問題意識をもちながら授業に参加する姿勢が確認された。「総合・生活」では,授業後の学生レポートの記述から,総合学習の実践が上越地域から生成されたことを知り,上越教育大学で総合学習を学ぶ意義を再認識できたとする学生の姿が確認された。
その他の教育活動
・教育実習における学生指導
 学部1年生(教育実地研究T),学部3年生(教育実地研究V),学部4年生(教育実地研究W)の事前事後指導,巡回指導等に全面的に参画している。
特色ある点及び今後の検討課題等
 上越教育大学スタンダードと教育実習ルーブリックを基盤とした教育活動の推進に努めた。具体的には,次のとおりである。
1 教職実践演習 教職実践演習部会長として,授業の内容構成と評価方法,全体のコーディネートに努めた。
2 教育実習全般の質的充実に務めた。
 教育実習ルーブリックの各事項に即して,学生の自己評価を促し,具体的な取組方法を検討させた。
 今後の検討課題については,次のとおりである。
1 上越教育大学スタンダードと各授業科目の有機的な関連を図る。
2 教育実習の事前事後指導の更なる質的充実。
3 教育実地研究Uの授業の充実と,厳格な単位認定法の開発及び補充指導の在り方。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年7月:『日韓の現代と過去を取り結ぶ教材開発研究−近現代の日本と世界−』(共著)日本社会科教育学会編『社会科授業力の開発 中学校・高等学校編』pp.126-141. 明治図書
論】@平成20年6月:『日韓の相互理解をめざす歴史教育研究の新しい潮流をめざして−日韓の歴史教育担当教師のアンケート調査結果を中心に−』(単著)『歴史教育研究』2008.6,VOL.7,韓国歴史教育学会,pp.188〜213
A平成20年12月:『日本の歴史教師が考える日韓関係史の取扱に関す実践上の課題』(共著)『歴史教育研究』2008.6,VOL.7,韓国歴史教育学会,pp.188〜213
B平成21年3月:『日韓相互理解のための歴史教育実践上の諸課題について−』(共著)『上越教育大学研究紀要』VOL.28,上越教育大学,pp.17-27
C平成21年3月:『日韓の相互理解をめざした歴史教育の総合的基礎的研究』(単著)平成18年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究c)報告書
D平成21年3月:『上越教育大学特色GPプロジェクト報告書』(共著)上越教育大学特色GPプロジェクト報告書
E平成21年3月:『上越教育大学スタンダード』(共著)上越教育大学スタンダード
F平成20年11月:『中学校歴史教育における日韓関係史の取扱について』(単著)韓国国際理解教育学会大会論文集,pp.315-321
発】@平成20年6月:『日韓相互理解のための歴史教育における諸課題について』(共)日本国際理解教育学会(富山大会)
A平成20年6月:『日中韓の共通教材作成をめざして(子どもの生活文化から)』(共)日本国際理解教育学会(富山大会)
B平成20年9月:『上越教育大学における「分離方式」初等教育実習の質的充実』(共)日本教師教育学会
C平成20年11月:『中学校歴史教育実践における日韓関係史の取扱いについて』(共)韓国国際理解教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@社会認識を深める教材開発研究−大学・附属小中・地域との臨床的協働研究による地域教育実践学の構築をめざして− 代表者:釜田聡(上越教育大学)上越教育大学研究プロジェクト(一般研究)
A社会認識を深めるための授業−社会科・総合的な学習− 代表者:釜田聡(上越教育大学)学校教育実践研究センター
国際研究プロジェクトへの参加状況
@科研費基盤研究(C)研究代表者:「臨床的協働研究による日韓相互理解をめざした歴史教育の基礎的研究」 代表者:釜田聡(上越教育大学) 科研費基盤研究(C),A日韓の臨床的協働研究のための基礎的調査−日韓の歴史認識問題に着目して−(韓国) 代表者:釜田聡(上越教育大学) 上越教育大学と韓国教員大学校
学会活動への参加状況
@5月17日(土)〜18日(日)歴史学研究会(早稲田大学)出席,A6月14日(土)〜15日(日)日本国際理解教育学会(富山大学)出席・発表,B8月28日(木)〜29日(金)都留文科大学訪問調査(教職実践演習),C9月5日(金)玉川大学訪問調査(地域連携),D9月15日(月)日本教師教育学会出席・発表,E1月24日(土)日本国際理解教育学会出席(筑波大学),F2月27日(金)特色GPシンポジウム開催・発表(直江津)
在外研究の状況
@9月11日(木)〜14日(日)中国,日本・韓国・中国国際シンポジウム出席発表(北京大学他)
A10月14日(火)〜20日(月)アメリカ,訪問調査(ウイスコンシン大学,バッサー大学)
B11月7日(金)〜12日(水)韓国,訪問調査(太田,ソウル)
C12月26日(金)〜30日(火)韓国,訪問調査(釜山,ソウル)
D3月23日(月)〜28日(土)韓国・中国,訪問調査
◎特色・強調点等
1 教師教育分野
 上越教育大学スタンダードと教育実習ルーブリックの開発及び実証的研究に全力を傾注した。その成果として,平成21年3月,上越教育大学スタンダードと教育実習ルーブリックを公表することができた。
上越教育大学スタンダードについては,今後,各授業科目と有機的な関連を図った教育課程の構築の骨格になることが期待される。また,教育実習ルーブリックについては,大学と地域,学生がその指標を参考にして,更なる教育実習の質的充実が期待される。
2 国際理解教育
 日本と韓国,中国の相互理解を図るための基礎的研究に着手した。とりわけ,三カ国の教育課題を臨床的な視座から迫ろうとするとろこに研究の特徴がある。今後,日本と中学,韓国の地域教材と子どもを取り結ぶ教材開発及び授業実践を通じて,研究を深める予定である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県社会科教育研究会副幹事長,A上越市立谷浜小学校学校評議員,B上越市立潮陵中学校学校評議員,C社団法人上越国際交流協会理事,D上越市多文化共生推進懇談会委員・座長,E新潟県妙高市教育委員会「教育に関する事務点検及び評価の実施に関する協議会委員」,F新潟国際情報大学「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(国際交流インストラクター事業),G新潟市立万代高等学校大学講義体験講師「多文化共生社会における教育について」,H平成20年度上越市立城西中学校社会科実践力向上研修会協議会講師,I新潟県立高田北城高等学校第2学年大学講義体験講師,J2008年度京都地区私立大学教職課程研究連絡協議会研究大会講師「『教職実践演習』の開講に向けて」,K社団法人上越国際交流協会・JOIN市民交流団講師「韓国現代事情」
◎社会への寄与等
1 上越市
 谷浜小学校と潮陵中学校の学校評議員を務め,地域と学校との連携について指導的立場として協力した。
 上越市多文化共生懇談会座長としては,上越市の多文化共生の在り方について,市民の意見を集約し,行政への要望をまとめた。
2 妙高市
 新潟県妙高市教育委員会「教育に関する事務点検及び評価の実施に関する協議会委員」として,妙高市の教育施策全般について,提言を述べた。
3 上越・妙高地域
 上越国際交流協会の理事として,上越・妙高地域の国際交流の在り方について協議を深めた。
 


川 村 知 行(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 地域教育,文化体験,美術史教育など,理論と実践をフィールドワークとしての現場で,指導する必要があると考えているので,極力,現場と実物を教材として使用することを通して,方法としていると同時に,成績評価においても,学生・院生がフィールドワークをどれだけ獲得しているかを見ている。
【観点2】教育の達成状況
 講義・演習で,現地フィールドワークを貸しているが,最初は戸惑うものの,数を重ねている間に,学生・院生にとって自分の出身地における原点をとらえ直すことで,ほぼ目的を達成している。
研究指導
【観点1】学部
 学部生には,大学のある上越地域を中心に,自分の体験できる範囲でフィールドワークを課し,ほぼ成功している。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程では,大学付近でのフィールドワークに加えて,出身地などの現地調査を課し,ほぼ成功している。
その他の教育活動
 ゼミに所属している学生・院生が教育実習に行く場合,事前の授業指導案作成の指導,及び,研究授業の実践がある場合,極力,実習校に出向き指導に当たっている。
特色ある点及び今後の検討課題等
 地域教育の総合学習のプランニングを指導する際に,あまりに多くの教科が関連するのだが,関連する現行教科の学習指導要領を加味することを今後の課題としたい。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市文化財調査審議会委員,A十日町市文化財調査審議会委員,B新潟市文化財調査審議会,C加茂市史編纂委員会,D醍醐寺文化財研究所委員,E会津八一記念館 運営委員,F上越市歴史文化構想策定委員会委員長
◎社会への寄与等
 専門が美術史・文化財なので,文化庁をはじめとする各地の教育委員会の文化財担当者とともに,文化財保護・保存を協議しながら,社会への寄与に勤めている。
 


小 林   恵(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の授業・講義においては学生が基礎的知識の習得ができることを主眼とした。大学院の授業・講義では各の関心を深めることに留意した。どちらも教育学的な思考を育み,広い視野を持つことを目標にした。
 成績評価は客観的な評価とし,テスト,レポート,授業中の発言など総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
 概ね良好。
研究指導
【観点1】学部
 7名の卒業研究を指導し,卒業論文を完成させた。ひとりひとりの興味関心を高めることに主眼をおいた。それぞれ個性豊かな論文を完成することができた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 3名の修士論文を完成させた。それぞれのライフスタイルに沿った個性的な論文を指導することができた。
その他の教育活動
 教職講座で教育課程論を担当した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部・修士課程ともに多くの文献を紹介した。今後は文献講読においてさらに詳細に解説したい。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@8月:新潟県現職教員12年研修講師(新潟県立教育センター)
 


南 部 昌 敏(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部:担当した授業において,教育工学の理論であるID(Instructional Design)の考え方を取り入れ,ワークショップによる演習や講義支援システム・電子メールによるレポート提出などの新しい指導方法による授業改善を行った結果,情報教育及び教育の方法と技術に関する資質能力の向上に貢献することができた。
 大学院:「教育工学特論」,「教育メディア特別演習」では,9年前から継続して実施している通信衛星を用いた大学間ネットワーク「SCS」を用いた大学間遠隔共同講義「教育工学特講1,2」のプログラムの改訂と同期型遠隔教育システムの活用方法の開発と実践に取り組んだ。
【観点2】教育の達成状況
 シラバスに記載した担当したそれぞれの授業の目標を受講生のほとんどが習得した。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 学習臨床講座情報教育分野大学院3年生1名(教育職員免許取得プログラム)を対象に,「小学生のメディア・リテラシーを育成するための学習プログラムの開発と評価」題する研究に関して,情報教育,メディア教育の観点から専門的な研究指導を行った。その成果を,日本教育工学会第24回全国大会(上越教育大学)で発表させた。また,学習臨床講座情報教育分野大学院2年生1名(教育職員免許取得プログラム)を対象に,「デジタルコンテンツの協働的改善を支援するシステムの開発と評価〜中学校数学科「図形領域」に焦点化して」と題する研究に関して,メディア教育,教育工学の観点から専門的な研究指導を行った。また,学習臨床講座情報教育分野大学院1年生1名を対象に,「映像作品の読み解き能力の分析的検討」と題する研究に関して,メディア教育,教育工学の観点から専門的な研究指導を行い,日本教育工学会第24回全国大会(上越教育大学)で発表させた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 衛星通信大学間ネットワークシステム(SCS)を用いて前期8大学,後期9大学が参加して行う,遠隔共同講義・演習,前期,後期ともに2単位(18時から21時,7回)の教育研究実践を継続的に行い,その有効性を検証したことは,大学院における教育方法の改善への取り組みとして評価できる。
 学部における教育方法の改善への取り組みとして,ワークショップ形式を取り入れた,受講者同士の協働(コラボレーション)よる演習とその発表(プレゼンテーション),討論(コミュニケーション)を行わせたことは,協働的学びの場が醸成され,受講者相互に支援しあう学習環境を実現することができた。また,昨年度と同様に,その講義において達成してほしい目標に関するチェックリストによる受講者自身による内省的自己評価(リフレクション)を導入したが,自分自身の到達度と課題の確認をさせることができ,学習への動機付けに有効であるという知見を得たことは評価できる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成20年10月:『映像作品の読み解き能力の分析的検討』(共)日本教育工学会
A平成20年10月:『小学校高学年を対象としたメディア表現能力及びメディアコミュニケーション能力育成プログラムの開発と評価(2)』(共)日本教育工学会
B平成20年10月:『教員のICT活用指導力育成のためのe-Learning研修システムの有効性の検討』(共)日本教育工学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@eラーニングを活用したICT活用指導力育成のための教員研修 代表者:南部昌敏(上越教育大学) 文部科学省委託事業「先導的教育情報化推進プログラム」
A管理職のための戦略的ICT研修カリキュラムの開発 代表者:山西潤一(富山大学) 文部科学省委託事業「先導的教育情報化推進プログラム」
B教員養成のためのモジュール型コア教材開発 代表者:村松泰子(東京学芸大学) 現代GP
◎特色・強調点等
 遠隔教育,情報教育,メディア教育に関する実践的研究,及び,ICT活用に関する教員研修,教員養成を対象とした教材開発に積極的に取り組み,成果をあげ,その成果を学会発表を行うとともに,報告書にまとめて公表した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@長野県指導力不足教員判定委員会,A東京都荒川区教育委員会研究指定研究,B東京都小平市教育委員会指定研究,C東京都荒川区教育研究協議会視聴覚部会
 


布 川 和 彦(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 算数科指導法では毎回12ページ前後の資料を独自に作成し,1週間前には講義支援システムからこれを配布するようにして,学生が事前に講義内容を学習できるようにした。また資料は単に学習指導要領の解説とするのではなく,算数の学習内容を近年の数学教育学の理論をもとに再構成することで教材を分析する視点についても併せて育成できるよう工夫した。さらに,身の回りの素材を生かした教具なども自作して提示することで,学生が教師になったときに手軽に算数の授業を改善できる手立てを与えることにも注意を払った。大学院の講義では,具体的な児童の様子をビデオで見せながら議論をしたり,講義を行うことで,学習場面を見る目を養うことに努めた。
【観点2】教育の達成状況
 大学院・算数・数学学習過程特論では受講者が自ら問題を解いたり,その様子を分析し討議するという活動を取り入れたところ,授業の評価の多くの項目において平均で4.5を越える高い評価を得ることができた。受講者の能動性を高める授業が評価されたものと思われる。また,受講者が問題を解いている時の教員からの働きかけ自体が,数学の授業における教師の支援のあり方の参考になったとの声もあり,そうした教授行動を通しても教員の考える支援のあり方を伝えることができた。
研究指導
【観点1】学部
 実践セミナーに相当する時間においては,附属小学校などを中心に,知り合いの先生の授業を見せてもらうようにし,学生たちが実際の授業や子どもたちの姿に触れる機会を増やすことに努めた。研究セミナーにおいては,学生の問題意識にそった書籍や論文を一緒に購読することで,学習に対する基礎的な理論を学んでもらうとともに,卒業研究の中核となる部分では実際の思考過程や学習過程についてのビデオ記録を分析する部分を設け,前述の理論を視野に入れながら,思考や学習を分析する力を付けられることを目指した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 研究セミナーにおいては,各院生が実際の小中学校で行った実験授業と,そこに参加する児童・生徒の様子を記録したビデオデータを分析することを中心に指導を展開していったが,発表者が提示するプロトコルや分析を教員及び他の院生とで吟味,討議することを半年以上に渡って繰り返すことで,院生の学習過程を見る力を一層高めることを目指した。また教員が附属小学校と一緒に行っている研究に院生も参加してもらうことで,学習過程臨床的な研究の実際についても経験してもらえるようにした。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:算数の授業における小学校6年生の問題解決過程についての一考察:初期の意味づけから離れる過程に着目して』(単著)数学教育学論究第90号
A平成21年3月:『比例的推論を利用した割合単元の構想と児童の学習過程』(単著)上越数学教育研究第24号
業】@平成20年8月:『空(から)の数直線と思考の鏡』(単著)新しい算数研究第451号
A平成20年11月:『小学校算数科で思考力をはぐくむ』(単著)上越市立大町小学校「思考力をはぐくむ授業:構想と展開のポイント」日本文教出版
B平成21年1月:『教材研究における慎重さと大胆さ』(単著)算数授業研究第61号
発】@平成20年11月:『比例的推論を利用した割合の導入の試み』(単)日本数学教育学会
A平成20年7月:『Operating on and understanding of problem situations in proving』(単)国際数学教育会議(ICME)
他】@平成20年9月:『朝刊地方欄への掲載/教員免許更新講習の記事』 朝日新聞朝刊新潟県版
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@比例的表象を生かした小学校の割合の授業についての学習過程臨床的研究 代表者:布川和彦(上越教育大学大学院)
学会活動への参加状況
@日本数学教育学会資料部幹事
◎特色・強調点等
 算数の学習において子どもたちのつまずきとなりやすい内容について,数学教育学の先行研究をもとにそのつまずきを解消し,適切な理解が構成しやすい学習活動をデザインするとともに,その活動に取り組む中で児童にどのような学習が生ずるのかを学習過程臨床的な手法により研究を続けている。地域の学校,特に附属小学校算数部の先生方の協力関係より支えられているとともに,他コースの教員や院生にもメンバーに入ってもらうなど,本学の力をつないで研究を行ってきている点も1つの特徴である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県立教育センター12年経験者研修主コース(学習指導)講師,A鹿沼市教育会算数・数学部会研修会講師,B群馬県邑楽町教員研修会講師,C新潟県小学校教育研究会「全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善の推進に係る実践研究」指導者,D上越市立大町小学校国立教育政策研究所教育課程研究研究成果発表会指導者,E宝達志水町立押水中学校研究発表会助言者,F羽咋市立粟ノ保小学校校内研究会助言者,G上越尚数会研究会助言者,H新潟県小学校教育研究会学習指導改善調査スーパーバイザー,IEducational Studies in Mathematics (Springer社) Editorial Board
 


藤 岡 達 也(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法及び成績評価面では,FDのアンケート結果による学生の評価を反映した授業に取り組んだ。学校教育や教員を取り巻く変化が著しい今日,これからの時代のニーズに応える新たな資料の提供や最新のデータに基づいた授業内容や方法を多く取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
 大学院生6名,学部生1名を修了・卒業させた。
研究指導
【観点1】学部
 学生の個別指導については,現在の学校教育でも重視されている食環境問題や自然体験活動の意義と課題など,4年生1名,3年生1名の卒業論文指導を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院生の個別指導については,学校教育における環境教育やESD(持続発展教育)の展開,安全・防災教育の実践方法,地域と学校とのパートナーシップの構築など,様々な今日的な教育課題をテーマとして,M3の3名,M2の7名とM1の8名の修士論文指導を行った。
その他の教育活動
@大阪市立大学理学部・非常勤講師「理科教育法T」(集中)
A奈良教育大学大学院教育学研究科・非常勤講師「理科教材開発特論」(集中)
B神戸大学大学院文学研究科・非常勤講師「自然地理学」(集中)
C国際アウトドア専門学校・非常勤講師「自然環境教育」
D放送大学客員教授として,修士課程の大学院生を指導
E教職講座を担当
特色ある点及び今後の検討課題等
 特に環境教育等を担当する自分のゼミは留学生も含め,大学院生が18名,学部生2名であった。一人の教員が担当する学生数としては,限界を越えている。何らかの対策が必要であると考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年6月:『環境教育と地域観光資源』(編著)学文社
A平成21年3月:『学校教育における環境教育の展開と課題』(共著)教育開発研究所
論】@平成21年1月:『台湾における初等理科教育の現状と課題』(共著)日本化学会「化学と教育」,第57巻,第3号,155-158
A平成20年6月:『これからの高等学校理科教育の展開と課題−時代のニーズに対応した高校理科教育システムの構築に向けて−』(単著)日本理科教育学会「理科の教育」,第57巻,第669号,23-25
B平成21年3月:『自然環境と地域社会との関わりを重視した日本型環境教育の構築と展開』(研究代表者)平成18〜20年度科学研究費補助金(基板研究B),全192頁
C平成21年3月:『W 理科の教科書 台湾』(単著)第3期科学技術基本計画のフォローアップ「理数教育部分」に係る調査研究[理数教科書に関する国際比較調査結果報告],国立教育政策研究所,306-315
D平成21年3月:『現代社会の課題に関した教育内容と評価の観点を取り入れた新しい科学教育展開のための教員研修』,『進化する世界の理科教育3−近年の台湾における理科教育の展開とその評価−』(単著),「21世紀の科学教育における新しい評価規準の構築と,評価を生かす授業の創造」平成18〜20年度科学研究費補助金基盤研究B研究成果報告書(研究代表者 鈴木誠),128-136,153-158
業】@平成21年3月:『地域におけるこれからの魅力ある理科授業づくり−「理科好き」「理科に関する職業希望」の児童・生徒を育成するにあたって−』(単著)新潟県立教育センター「理数教育ステップアップ研修実践記録」,5-6
A平成20年12月:『教員としての基礎・基本の構築−教職教養の学び方』,教職課程,Vol.12,9-12,協同出版
B平成20年7月:『自然災害と関連づける環境体験のポイント』(単著),明治図書『楽しい理科授業』集第9巻,502,21
発】@平成20年8月:『日本海側における環境教育資源開発の意義と展開−新潟県佐渡・中越地域を例に−』,日本環境教育学会第19回大会
A平成20年9月:『地域性を重視したこれからの理科教育の内容と方法』,日本理科教育学会第58回全国大会
B平成20年8月:『国連世界防災戦略(ISDR)の観点からみた平成19年新潟県中越沖地震と学校』,日本地学教育学会第62回全国大会
C平成20年8月:『教育内容と評価の観点からとらえた新しい科学教育発展のための教員研修』,日本科学教育学会第32回年会
他】@平成20年4月〜平成21年3月:『基礎力養成講座「専門教養高校物理」「専門教養高校地学」』,教職課程,2008.4〜2009.3,協同出版
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@自然環境と地域社会との関わりを重視した日本型環境教育の構築と展開 代表者:藤岡達也 科学研究費補助金
A21世紀の科学教育における新しい評価規準の構築と,評価を生かす理科授業の創造 代表者:鈴木誠(北海道大学) 科学研究費補助金
国際研究プロジェクトへの参加状況
@第3期科学技術基本計画のフォローアップ「理数教育部分」に係る調査研究[理数教科書に関する国際比較調査結果報告](国立教育政策研究所)
A上越教育大学「9月入学海外訪問調査報告書」
学会活動への参加状況
@7月30日〜8月1日:日本環境教育学会出席,A9月14日〜9月16日:日本理科教育学会出席,B8月26日〜27日:日本科学教育学会出席,C8月19日〜21日:日本地学教育学会出席,D日本地学教育学会評議員,E日本科学教育学会理事,F日本安全教育学会理事
在外研究の状況
@9月3日〜6月8日:台湾国立嘉義大学訪問,A9月17日〜24日:ベトナム・ハノイ国家大学,タイ・カセサート大学訪問,B11月1日〜7日:国立台湾大学,東海大学,東呉訪問,C1月3日〜6日:台湾国立嘉義大学訪問
◎特色・強調点等
 一昨年度採択された「自然環境と地域社会との関わりを重視した日本型環境教育の構築と展開」(科学研究費(基盤研究B))の研究最終年度であるため,その進捗,まとめに努めた。また,上記のような国際的な教育研究プロジェクトに関わると同時に研究成果を国内だけでなく,海外に発信し,海外の研究・教育機関等との連携も築きつつある。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@文科省安全教育指導資料作成協力者,Aスーパーサイエンスハイスクール事業推進委員会委員,B理数教科書に関する国際比較調査委員会委員,C信濃川火焔街道博学連携協議会顧問
◎社会への寄与等
 文科省の安全教育指導資料作成協力者や独立行政法人教員研修センターで学校安全指導者養成研修の講師を務めるなど,日本の学校教育での安全・防災教育の啓発に深く関わった。他の研修講師としては,新潟県立教育センター,十日町・津南町教育振興会,糸魚川エネルギーサポート協議会などが主催する教員研修等の講演を行った。また,上越市立大手前小学校等出前講座も実施した。
 


増 井 三 夫(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○教育方法 いずれの講義も講義ノート(毎年改正)のプリントを用意 パワーポイント併用○成績評価 レポートとプレゼンテーションで評価
【観点2】教育の達成状況
○シラバスで提示した目標は8割が達成 2割の学生の授業への態度が十分でない
研究指導
【観点1】学部
○全員が大手町小学校の授業分析を行った。
 データは全員で数教科の1単元を記録。
 研究法はGrounded Theory Approachを採用 研究結果について授業担当者とのカンファレンスを行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
○修士課程:全員が実践研究を行った。大手町小学校等の授業分析及びインタビューをデータとして,研究法としてGrounded Theory Approachを採用。研究結果について授業担当者とのカンファレンスを行った。全員が日本教育実践学会で口頭発表した。
○博士課程:DC4年生は博士論文を作成し,博士の学位を得た。DC2年生は博士課程研究発表会で発表。
その他の教育活動
 教職講座「教育史」担当
特色ある点及び今後の検討課題等
○授業参観を実施(時間割の都合で回数は極めて限定される),実践場面にそくした内容を講義
○学級コミュニケーション・学級コミュニケーション特論では指導案の作成を試みさせている。
○授業研究法では,授業などの実践から理論化をはかるGrounded Theory Approachの習得をはかった。
○時間割の過密を工夫しないと,継続した授業参観は他の授業の受講を欠席せざるをえない客観的状況にある。
 これは教務で検討すべき。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成21年3月:『教育実践から捉える教員養成のための教科内容学研究』(共著)風間書房
論】@平成20年4月:『実践研究におけるGrounded Theory Approachの意義と可能性』(単著)教育実践学研究,第9巻 第2号
A平成21年2月:『実践場面におけるGTA(Grounded Theory Approach)の可能性―ミクロ分析とオープン・コーディングの再検討―』(共著)上越教育大学研究紀要 第27巻
B平成21年2月:『GTA(Grounded Theory Approach)におけるフォーマル理論の可能性』(単著)上越教育大学研究紀要 第28巻
業】@平成21年3月:『子どもの思考が創造的に展開する局面の見極めと教師の指導―大手町小学校との共同研究―』(共著)上越教育大学研究プロジェクト研究報告書
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@子どもの思考が創造的に展開する局面の見極めと教師の指導―大手町小学校との共同研究― 代表者:増井三夫(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況
@10月:教育史学会研究大会出席,A11月:日本教育実践学会出席,B11月:社会思想史学会出席,C11月:日本教育心理学会出席
◎特色・強調点等
○教員養成における教科専門の学的構築の理論
○臨床研究の研究法の開発
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市立大手町小学校学校評議委員
 


五 百 川  裕(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の「体験学習」及び「野外体験演習」では,野外での自然体験が不足している学生の実態を踏まえ,小学校教員になった場合に野外での特別活動や環境教育の指導で必要となる基礎知識を,興味を持ちやすい素材を厳選し野外での観察,体験を通して習得できるように工夫した。大学院の「地域環境学習演習」及び「地域環境学習特論」では,地域環境として里山,河川,海岸などを取り上げ,演習においては先ず実際に野外での自然環境学習体験をした上で,各人が校種,学年を意識した学習指導案を作成し検討会を行うことで,興味を持ち主体的に取り組めるように工夫し,特論においては学習素材を見つけるための着眼点を,画像を豊富に使用して具体例を挙げながら解説し,一般論,方法論に留まらないように工夫した。
【観点2】教育の達成状況
 大学院修了生(1名)は現職派遣学生であったので復帰して小学校教員として務めている。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 総合的な学習の時間の単元開発の基礎研究として,主に生物に注目した素材研究を指導した。栽培農作物,地域を特徴づけたり絶滅のおそれのある自生植物,それらと関係する昆虫などの動物なども含めた里山の自然など,学生の興味・関心に応じてテーマ設定を行い,野外での1年間の季節を通しての観察体験を基礎として,自然環境を正確に見る力,それを伝える力を身に付け高めるため,同伴しての野外個別指導,セミナーでのグループ指導を積み重ね,修士論文の完成,中間発表会での報告に結びつけた。小中高等学校での学習内容との結びつけを大切にし,自然観察の面白さを実感を持って理解させることを意識して指導している。
その他の教育活動
 教育実習時に研究室所属学生の授業教材研究の支援,研究授業の参観,指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 自身の高校教員経験及び植物学研究の専門性を生かし,これまで学習し習得しているはずの知識の復習を意識させながら,発展的な知的好奇心を高めることが可能な素材を選び,机上に留まらない実際の野外活動を伴った授業を行って,問題意識,興味,体感を高められるようにしている。学習指導案の作成演習等において,非現職院生と現職院生の既得能力の違いを,生かしながら双方に有用感を持たせる授業を組み立てることに課題を感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成21年3月:『ケハギ(マメ科)の形態・生態の特徴と生育環境』(共)日本植物分類学会
A平成20年11月:『火打山の植生』(単)ライチョウ会議
他】@平成20年9月:『縄文人が作った頸城の「自然」』(単著)直江の津31号 pp.4-10
国際研究プロジェクトへの参加状況
@ヒマラヤ高山植物相の分子遺伝・地理・分類学的研究 代表者:池田博(東京大学総合研究博物館) 日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)海外学術調査
学会活動への参加状況
@9月25日〜9月27日:第72回日本植物学会大会出席,A3月13日〜3月15日:第8回日本植物分類学会大会発表,B平成20年度日本植物分類学会庶務幹事
◎特色・強調点等
 出版物は,自身の上越における10年間の植物調査と先行研究を踏まえて,現在の上越の植生と,その過去からの変遷を人間生活との関連づけて概観したものであり,地域の自然環境学習の資料となる。学会発表は,日本海側多雪地の植物に注目した地域の特徴を生かした研究であり,修士論文の研究成果を共同発表したもので,地域の自然環境学習の素材研究ともなるものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@9月:上越市児童生徒科学研究発表会審査委員長,A10月:県下児童生徒生物標本・自然科学写真展示会審査委員,B理友会研修会秋の植物観察講師,C5月:糸魚川市立中能生小学校出前講座講師,D11月:新潟県立六日町高等学校出前講座講師,E5月:新潟県立柏崎高等学校スーパーサイエンスハイスクール事業講座講師,F理数教育ステップアップ研修講師,G上越市版レッドデータブック作成検討委員会委員,H春日山城跡保存管理計画策定委員会委員,I新潟県環境影響評価審査会委員,J河川水辺の国勢調査アドバイザー,K上越市歴史文化基本構想策定事業委員会委員,L新潟県立高田農業高等学校目指せスペシャリスト事業運営指導委員会委員
◎社会への寄与等
 児童生徒の自然環境への興味関心を高め科学的視点を育む催しに審査委員として実施協力をし,また,中学校教員が自然観察指導力向上を図る催しである理友会研修会,および新潟県立教育センターの理数教育指導力向上のための教員研修会の講師として,研修に協力した。本学の出前講座の講師として,専門の植物研究の成果を社会還元することに努めると共に,上越市の自然環境保全や文化財保存に関わる委員会委員や新潟県の環境審議会委員として専門性を地域貢献に生かしている。
 


石 川   真(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 すべての授業において,現場での実践を意識させ,具体的事例などを交えながら講義を行った。また,各種メディア機器を最大限に活用して,受講者が理解しやすい環境を整えた。さらに,講義支援システムを各講義で積極的に活用し,掲示板などで授業内容に関する質問や意見などを記載させ,それに対して回答するなどの対応を行った。なお,比較的少人数の授業においては,グループ活動を取り入れ,ディスカッションなどを行わせた。
 成績評価については,主としてレポート課題を複数回課し,問題に対して論理的に意見が述べられるかなど,思考的な側面に特に注意を払いながら評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 シラバスに記載された目標がおおむね達成されていると考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 卒業論文「有害情報に関する学習支援サイトの開発」の指導を行った。4月より計画的に指導を行った。学習支援サイトの構築に時間がかかり,支援サイトの評価調査の実施が,当初よりは遅れたものの,統計的な分析を行い,客観的な指標を基にした学術的論文として意義のある,卒業論文として一定レベルの基準と判断できるものが作成されたと考えられる。
 過年度生であり,学習態度,生活態度を含めて,研究指導以上にさまざまな指導が必要であったものの,最後まで本人が投げ出すことなく卒論作成に取り組めるように適切な指導を1年通して行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 論文指導の院生を持っていなかったが,特に,修論作成者に対して,統計的分析方法について指導を行った。また,定期的に行われる修論中間発表会に出席し,研究の進め方や工夫などについての助言を行った。
その他の教育活動
厚生労働省看護研修研究センター看護教員養成課程講師
特色ある点及び今後の検討課題等
 実践,現場での活動と,授業で取り上げている内容がどのように関係しているのかを説明し,実践場面で意義のあるものと理解できるように取り組んでいることが特色である。また,講義支援システムや,各種メディアを積極的に活用し,学習内容の理解を深めさせたりする工夫をしている。
 授業評価などでは必ずしもすべての項目において良好ではない点もあり,今後,より一層わかりやすい授業とする取り組みを検討していく必要があると考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:『情報端末の文章提示に関する実験的研究』(単著)上越教育大学研究紀要,第28巻 p.9-p.16
発】@平成20年11月:『携帯電話を利用したテキストメッセージによるコミュニケーションに関する研究』(共)日本社会心理学会
A平成20年10月:『問題解決能力を育成するための学習プログラムの評価』(共)日本教育工学会
学会活動への参加状況
@日本教育工学会第24回全国大会実行委員会,A1月:日本教育工学会大会企画委員会委員,B1月〜6月:日本教育工学会大会企画委員会幹事,C10月11〜13日:日本教育工学会第24回全国大会,D11月2〜3日:日本社会心理学会第49回大会
◎特色・強調点等
 科学研究費補助金若手研究Bで「テキストコミュニケーションを円滑にする感性情報に関する基礎的研究」を行っている。文字のみでのコミュニケーションにおけるさまざまな問題を解決するために,そもそも,このような形態のコミュニケーションではどのような情報を認知しているのかという側面に焦点を当てて研究を行っている。従来の対面と比較することによる文字でのコミュニケーションの良い点,悪い点という観点ではなく,むしろ,見えない中でも,人間の巧みな情報の認知を明らかにしようとする点が特色である。また,こうした点を明らかにしていくことで,円滑なコミュニケーションの方法(指導)や,支援システムの開発などが可能となり,基礎的な研究として非常に重要といえる。
 


井 上 久 祥(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義支援システムの利用
【観点2】教育の達成状況
 おおむね達成
研究指導
【観点1】学部
 指導学生なし
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 学内の限られた研究者からの研究指導で完結することなく,広く世間一般に向けて研究の意義や成果を問うことをねらいとして,学会での研究発表発表を行っている。具体的には,日本教育工学会,日本教育実践学会で発表。
その他の教育活動
 電気通信大学にて教職科目「総合演習」の非常勤講師を担当
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校に基礎を置くカリキュラム開発の考え方にもとづいた情報教育のための授業改善のモデルを構想し,実際に地域の学校と連携して,情報教育の授業づくりや学校の情報化についての支援を行っている。これら一連の活動が地域貢献に留まらず,大学講義の改善にも効果のあることを示し,具体的には,学校-大学間の連携で得られた実践知のエッセンスを教職理解のためのケースメソッド教材にし,大学の講義において伝達することを試みている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:『学部教職科目における推測活動を重視した実践事例の教材化』(共)日本教育工学会論文誌, Vol.32, Suppl.
発】@平成20年10月:『教科「情報」における個別学習支援のためのコミュニケーションシート「通知表」を用いた教師の働きかけ』(共)日本教育工学会
A平成20年10月:『社会科における情報活用能力に着目した体験型学習システムの開発』(共)日本教育工学会
B平成20年11月:『教科「情報」における個別学習支援のためのコミュニケーションシート「通知表」を用いた教師の働きかけ』(共)日本教育実践学会
C平成20年11月:『社会科における情報活用能力に着目した体験型学習システム』(共)日本教育実践学会
D平成20年6月:『Learning Management System for Project Based Learning via The Internet in Teacher Training and Teacher Education』(共)IEICE The23rd International Conference on Circuits/Systems, Computers and Communications
学会活動への参加状況
@平成20年度:日本教育工学会 企画委員会 委員,A平成20年度:日本教育工学会 第24回全国大会実行員会 委員
 


角 谷 詩 織(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義では,今日の最新の教育情勢を考慮した上で,最新の情報をとり入れながら講義を行った。また,授業後に受講生から感想や質問の記入を求め,それらに対する回答を次回の講義の中で反映させた。パワーポイントやビデオ等を用いて視覚的な情報提供も行った。郊外講師を招き,最新の教授法について講義をした。
 演習では,受講生の創造性,主体性を重視し,現地調査や課題追求型の課題を課した。さらに,発表や討論の場を設け,テーマにかかわる理論の教授も行った。
 評価は,課題遂行,発表,出席等を総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
 各講義・演習の目標をほぼ達成した。
研究指導
【観点1】学部
 毎週1回ゼミを行い,研究論文の紹介を求めた。夏休み課題として,20本の論文を用いてのレビュー論文の執筆を課し,研究の方向性を定めた。さらに,学校や幼稚園へ実際に赴いての研究を推奨し,現場とのかかわりを重視した。約1年間の現場との継続的な関わりを求めた。現場との関係形成のために,角谷も現場に数回赴いた。研究法についての指導も行った。対象学生は,観察法を用いていたため,観察法についての指導を重点的に行った。論文執筆に当たり,必要に応じて個別指導を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 毎週1回ゼミを行い,研究論文の紹介を求めた。夏休み課題として,20本の論文を用いてのレビュー論文の執筆を課し,研究の方向性を定めた。さらに,学校や幼稚園へ実際に赴いての研究を推奨し,現場とのかかわりを重視した。約1年間の現場との継続的な関わりを求めた。現場との関係形成のために,角谷も現場に数回赴いた。研究法についての指導も行った。対象学生は,観察法を用いていたため,観察法についての指導を重点的に行った。論文執筆に当たり,必要に応じて個別指導を行った。
 さらに,修士2年生には,学会での発表を求めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年1月:『小学校高学年における学校外での生活習慣の実態:性別・学年別の比較から』(単著)上越教育大学紀要,28,41-53.
A平成20年9月:『論理的説明力育成を通した学習理解・人間理解の促進』(単著)第2回博報「ことばと文化・教育」研究助成研究成果論文集,7-30
発】@平成21年3月:『中学校部活動キャプテンのリーダーシップと中学生の学校生活における行動との関連』(共)日本発達心理学会第20回大会
A平成20年12月:『the longitudinal influence of television programs on social and psychological maladjustment in puberty』(共)the First International Conference on Popular Culture and Education in Asia
学会活動への参加状況
@12月11日〜13日:the First International Conference on Popular Culture and Education in Asia出席,A3月23日〜25日:日本発達心理学会第20回大会出席
国内外の学術賞の受賞状況
@平成20年7月:第二回博報「ことばと文化・教育」研究助成 優秀賞受賞(財団法人博報児童教育振興会)『論理的説明力育成を通した学習理解・人間理解の促進』
◎特色・強調点等
 子どもの適応的発達に影響を与える環境要因について,主に,放課後活動やメディアを中心として検討した。また,子どもの論理的説明力と学力や人間関係形成能力との関係について検討した。
研究活動は,学校現場への還元が可能なものとした。さらに,研究活動の過程で,教育実践の場と定期的に関係をもちながら,実践に即した研究を目指した。
 また,研究成果は,研究協力校へのフィードバックだけでなく,論文や学会発表等で還元した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市国際教育推進協議会 委員,A上越教育大学附属小学校研究協力者,B新潟県立柏崎高等学校平成20年度スーパーサイエンスハイスクール研究協力,C「日本民間放送連盟賞」番組部門中央審査員
◎社会への寄与等
 上越市国際教育プロジェクト,新潟県スーパーサイエンスハイスクールプロジェクト等,県内の教育推進にかかわる委員の役割を担った。また,発達心理学や教育心理学を専門とする者の立場から,テレビ番組審査委員の役割を担った。
 


田 島 弘 司(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法及び成績評価面での取組:前後期すべての授業において講義支援システムの電子掲示板を使用し,個々の学生が授業の感想や課題を電子掲示板に書き込むことにより,授業の振り返り,授業間の継続性の確保や意見交換,情報の共有化が促進された。成績評価の方法は,シラバスで明示するとともに授業でも説明した。出席,電子掲示板への書き込み,レポート等による総合的な評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 「学生による授業評価アンケート」の結果は,ほとんどの授業について前年度より評価が高かった。また,その平均は非常に高く,FDで評価され,研修会において紹介することとなった。授業改善への取組の成果が出たと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 4年生には,卒業論文のための指導を継続的に行った。授業プログラムの開発,学校でのプログラムの実践,アンケート調査及び質的調査の実施などから得た結果を分析・考察させ論文を完成させた。また,3年生は,研究の基礎を修得するため,研究に関する本や論文を多数読ませ,それについてのレポートを書かせた。これにより4年生になって卒業論文を完成させるための準備はできたと考える。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 高度で臨床的な実践力を修得させるために,研究課題への取組を文献調査にとどまらせず,理論を実践に生かすためのプログラムを開発し,それを小学校で実践し,そのデータを量的及び質的調査を通じて分析し評価することを行わせた。現職1名,免P3年,免P2年の修士論文を指導し完成させた。また,免P2年2名,免P1年3名の研究指導を行い,それぞれ中間発表,構想発表を行わせた。
その他の教育活動
 教育実習においては,ゼミ生で該当する学生に対して教案の個別指導を行い,全体のゼミにおいても検討を行った。また,実習期間中の研究授業を参観し指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 特色ある点:前年度に引き続き,コミュニケーション・スキルをトレーニングするために活用できるビデオ映像を収集することによって,コミュニケーション・トレーニングの有効性を高めるよう努めた。
 今後の検討課題:脳科学研究の分野でもコミュニケーションについての研究が進んでいるので,その成果を取り入れたコミュニケーション・トレーニングを考案していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年9月:『国際理解教育実践事例集 中学校・高等学校編』(共著)教育出版
業】@平成21年3月:『上越市における国際教育カリキュラムと学習指導』(共著)平成20年度国際教育推進プラン報告書
A平成21年3月:『タイ・ベトナムへの訪問調査』(共著)2008年度9月入学海外訪問調査報告書
B平成21年3月:『台湾への訪問調査』(共著)2008年度入学海外訪問調査報告書
発】@平成20年6月:『コミュニケーション能力の再考』(単)日本国際理解教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@上越市国際教育推進プラン(文部科学省指定) 代表者:北條礼子(上越教育大学) 上越市教育委員会
A国際理解教育実践事例集編纂 代表者:多田孝志(目白大学) 国際理解教育実践事例集編纂委員会(文部科学省)
国際研究プロジェクトへの参加状況
@日本語教員養成のための遠隔教育システムの構築に関する研究のためのパイロット調査 代表者:田島弘司(上越教育大学) 「日本学術振興会ベトナムとの共同研究」申請のための準備調査会
学会活動への参加状況
@6月5〜6日:日本コミュニケーション学会第38回年次大会出席,A10月11〜12日:日本教育工学会第24回全国大会
◎特色・強調点等
・主に国際理解教育,コミュニケーション,日本語教育にかかわる研究活動を単独あるいは共同で実施した。その一部を学会で報告した。
・科学研究費の最終年度となっていたため,研究の総括を行った。
・文部科学省の委員として国際理解教育実践事例集を編纂し出版した。
・文部科学省の指定研究事業を受けた上越市教育委員会の委員として研究及び報告書執筆への協力を行った。
・上越教育大学が外部資金を受けて実施した「9月入学海外訪問調査」の調査と報告書執筆への協力を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@板倉中学校の公開授業での研究指導,A国際教育推進フォーラム(文部科学省主催)への参加,B出前講座「みんなで一緒に考えましょう!総合的な学習の時間の使い方」の開設,C出前講座「さあ,はじめましょう!国際交流(入門編)」の開設
◎社会への寄与等
 今年度も様々な社会への貢献を行ったが,教育に関する委員会活動が多かったためほとんどが「研究」に記述することになった。よって,「社会貢献」における記述は少ないが,社会貢献を疎かにした訳ではない。
 


松 本 健 義(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部:学びの過程への臨床的理解をはかり実践的資質を深化向上するため,@子どもの学びや生活場面の参与観察(学習場面観察基礎,学習場面臨床学,学習場面臨床学特論),A協同制作演習(表現・相互行為教育演習,美術表現学習過程論,学習臨床支援特論,学習臨床学),Bビデオカンファレンスと記述分析(学習場面臨床学,学習臨床学特論,学習場面臨床学特論),C学びの過程に基づく教材と授業の臨床開発(市内小学校との協同研究:意味生成表現と教材作成)を行い,具体的活動と場面を通して専門的知識技能を高め,学習過程,教材開発,指導方法等への理解を深めた。
【観点2】教育の達成状況
 各授業内演習での受講者の行為の変容過程,事例の分析演習,発表と討議,授業レポート,課題レポートにより評価を行った。観察場面,ビデオカンファレンス,実践場面の各場面において行為の質的変化が早期からみられ,学びの過程への臨床的把握と実践力の形成に効果的であった。
研究指導
【観点1】学部
 初等教育実習を核にして卒業研究を連携させ,事前指導,教材開発,実習授業学習活動分析,事後継続観察による臨床的研究指導を行った。実践場面事例ゼミと文献ゼミを単位とした研究指導が実践力向上に有効であった。富山,長野での事例調査演習を実施し,収集事例のビデオカンファレンスと事例分析を行い,卒業研究へと発展させた。また,附属学校での継続的な観察調査と事例収集を指導した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 東京都中央区,奈良,富山,石川,新潟の各県小学校での校内研究と連携した観察調査や実践開発研究を行い,子どもの行為と知の社会文化的生成過程について現象学的視点から臨床的研究法を指導した。参与観察事例のビデオカンファレンスと事例分析による「事例ゼミ」と,基本文献のレポートと討議による「文献ゼミ」を単位とした研究指導が,臨床的実践力向上にたいへん有効であった。現職派遣大学院生による実践開発研究の成果は日本質的心理学会第5回大会,大学美術教育学会第47回大会において報告し,大学美術教育学会誌に論文掲載した。
その他の教育活動
中学校教育実習実習生引率(潮陵中学校・5月),中学校教育実習研究授業指導(新井中学校・5月・1名),初等教育実習研究授業指導(附属小学校・9月・1名)
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部,大学院の授業を通じ,子どもの相互行為による意味生成過程である学びの過程を,@臨床的にとらえる(観察・分析),A臨床的過程をつくること(学習過程の開発・デザイン),支援すること(学習過程の臨床的支援・評価)により,個別の事例に通底する教師の臨床的資質の開発と育成を図っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年3月:『子どもの造形的表現活動における学びの活動単位』(単著)大学美術教育学会誌,第41号,pp.317-324.
A平成21年3月:『造形表現活動における学 びの生成過程と成りたちに関する研究−学習研究開発「つなげてのばしてかえてみて」を通して−』(共著)大学美術教育学会誌,第41号,pp.119-126
業】@平成21年3月:『学力向上と学習活動のデザイン』(単著) 平成18〜20年度文部科学省委嘱事業学力向上拠点形成事業−確かな学力育成のための実践研究−,18頁,21〜23頁
A平成21年3月:『子どもたちが生きている世界と表現がともに成りたつこと』(単著)『44新潟県中越教育美術展作品集』,第18集,30〜31,34〜36頁
発】@平成20年11月:『子どもが生きる出来事世界として〈学び〉の生成過程と成り立ちに関する研究』(共)日本質的心理学会
A平成20年11月:『造形表現活動における子どもの学びの生成過程と成りたちに関する研究−学習研究開発「つなげて のばして かえてみて」を通して−』(共)大学美術教育学会
B平成20年11月:『教育フィールドにおける観察者の省察−観察者の実践経験の投影としてのフィールド理解−』(共)日本質的心理学会
C平成20年6月:『ワークショップ1:子どもの協同活動のビデオ観察と解釈』(共)日本子ども社会学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@平成18〜20年度文部科学省委嘱事業学力向上拠点形成事業−確かな学力育成のための実践研究− 代表者:佐藤謙一(新潟県立高田商業高等学校) 新潟県教育委員会
A生活とのかかわりの中で主題設定をすることで主体的な表現・鑑賞活動を展開する生徒の育成 代表者:田村晃夫(南魚沼郡湯沢中学校) 新潟県中学校教育研究会指定美術教育研究会美術部会中越地区
B平成18-20年度文部科学省研究開発学校研究開発事業「幼・小・中等15年間にわたり事物認識とその表現形成の徹底化を通して,独創的でねばり強い思考能力を育成する教育過程の開発」 代表者:中島道男(奈良女子大学附属学校部長) 国立大学法人奈良女子大学附属学校園
学会活動への参加状況
@大学美術教育学会学会誌委員会,A日本質的心理学会研究交流委員,B美術教育実践学会副代表理事,C日本芸術教授学研究会運営委員,D6月28日〜29日:日本子ども社会学会第15回大会出席,E9月20日〜21日:日本教育社会学会第60回大会出席,F11月2日〜3日:大学美術教育学会第47回大会出席,G11月29日〜30日:日本質的心理学会第6回大会出席,H12月6日:美術教育実践学会第12回大会出席
◎特色・強調点等
 平成16年度より取り組んできた社会文化的アプローチによる学びの活動単位に関する研究のまとめを行った。出来事の生成過程における学びの成り立ちの研究成果より奈良女子大学附属学校園研究会で活動や事例分析の指導助言を行った。現職院生派遣校の協力により「子どもの学びの過程の研究開発」を福島県,新潟県,石川県で推進しその分析成果より,学びの臨床的過程を創発的に構成する人称性と記述の可能性について新たな知見を得た。その成果を第47回大学美術教育学会,第6回日本質的心理学会で報告した。ビデオ機器をもちいた子どもの協同的活動のフィールドワークについて,第15回日本子ども社会学会大会ワークショップ1,第6回日本質的心理学会自主シンポジウムで話題提供を行った。幼児の造形行為研究の成果より,生活リズムと児童画の変化について19年度に引き続き画像分析と助言を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@高田商業高等学校学校評議委員,A三条市小学校研究協議会図工部実技研修講師,B東京都中央区教育会図画工作部講師,C柏崎市立荒浜小学校校内研究会学習過程のビデオカンファレンスによる学習カウンセリング的支援,D大学講義体験「教育学入門」,E糸魚川市立中能生小学校児童への描画指導,F珠洲市立みさき小学校校内授業研究会,G第5回新潟教育アート展審査員平面作品部門(幼稚園・保育園),H第44回新潟県中越教育美術展審査員,I第49回新潟県児童生徒絵画・版画コンクール審査員,J糸魚川市親子保健計画を推進する会親子いきいき会「保育園・幼稚園での愛着形成と生活リズム改善事業」における幼児の描画判定と描画の見方,K新潟県中学校教育研究会美術部門中越地区指導者,L平成18-20年度文部科学省研究開発学校研究開発事業「幼・小・中等15年間にわたり事物認識とその表現形成の徹底化を通して,独創的でねばり強い思考能力を育成する教育過程の開発」公開研究会指導助言者
◎社会への寄与等
 学会活動は学会誌編集委員,研究交流委員,副代表理事を務めた。高田商業高等学校学校評議委員。同校文部科学省指定学力向上拠点事業委員,奈良女子大学附属学校園文部科学省指定研究学校研究開発事業公開研究会指導助言者を務めた。また,東京都中央区小学校教育研究会,三条市小学校教育研究会,新潟県中学校教育研究会中越地区の,図工・美術の研究指導や実技講習をした。第5回新潟教育アート展,第44回中越教育美術展,第49回新潟県児童生徒絵画・版画コンクールの審査員を務め解説をした。出前講座は,子どもの学習カウンセリング的支援,児童への造形活動,高校生への大学体験授業をした。昨年に引き続き糸魚川市の依頼により市内全幼保小学校の幼児・児童の描画の評価を行った。
 


両 角 達 男(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の授業「数学教材開発論」などでは,具体例に基づき,授業者の立場にたって考え,議論することを重視した授業を行った。例えば,中学校数学の図形の論証の導入について,どのような導入場面を設定するかを議論したり,実際に行われた図形の論証の学習場面を分析することを通して,具体に基づく議論を行った。
 大学院の授業「算数・数学学習過程特論」などでは,最近の大規模学力調査に基づく算数・数学の学習に関するデータをもとに議論を行ったり,テクノロジーや教具を活用した数学学習における生徒の学習過程について実践を通した議論を行った。
【観点2】教育の達成状況
 「数学教材開発論」などの授業評価では,授業方法と授業内容双方の面で好意的な評価が得られている。具体例に基づいて考えたり,授業者の立場にたって議論をすることが,受講者のニーズにあったと思われる。
研究指導
【観点1】学部 【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 平成20年度においては担当指導学生はいなかった。
 数学教育に関わる研究をしている大学院生と,必要に応じて議論を行っていた。
その他の教育活動
 信州大学教育学部において,「算数科指導法基礎」の授業を夏期と冬期にそれぞれ行っている。いずれも120名ほどの学部生対象の授業である。
特色ある点及び今後の検討課題等
 具体例に基づくこと,授業者の立場で考えること,テクノロジーや教具を積極的に活用することなどが,授業における特色ある点である。平成19年度までの静岡大学での授業では,中高の数学教員免許取得を前提とした学生を対象としたり,1つの授業を1人で担当することが基本となっていた。本学の場合には,複数教員担当の授業が基本となり,戸惑いを感じる面がいくつかある。複数教員担当の授業のよさが実感できるように,授業展開などを工夫したい。
 一方で,算数・数学教育に関わる研究を希望する学生たちに,学生のニーズに応じる形で,「弾力的に」指導できるシステムになってもらえればありがたいと感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年8月:『子どもの「問い」を軸とした算数学習』,岡本光司,両角達男編著,「算数学習における子どもの「問い」」担当,pp.69-98(全200頁)
論】@平成20年11月:『因数分解に関する生徒の認識のゆらぎと深化 −CASを活用した代数的活動を通して−』,両角達男,横田川文浩著,日本数学教育学会,第41回数学教育論文発表会論文集,pp.363-368
A平成21年3月:『x−1の因数分解の学習へのいくつかの所見』,宮田由雅,両角達男著,静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要,No.15,pp.1-6
B平成20年6月:『問い続ける姿勢を高めながら,その行為をふりかえる』,両角達男著,教育科学数学教育,No.607,pp.86-91,明治図書
C平成20年9月:『問い続ける姿勢を高めながら,その行為をふりかえる』,両角達男著,教育科学数学教育,No.611,pp.84-89,明治図書
D平成20年12月:『既に学んだことがらと関連づけながら,数学的な事象に対して新たな意味形成をする』,両角達男著,教育科学数学教育,No.614,pp.91-96,明治図書
E平成21年3月:『帰納的に正しいと認めた数の性質や視覚的なイメージに関連づけながら,正の数・負の数の計算やその意味を考える』,両角達男著,教育科学数学教育,No.617,pp.91-96,明治図書
発】@平成20年11月:『因数分解に関する生徒の認識のゆらぎと深化』(共著),第41回数学教育論文発表会,日本数学教育学会
A平成21年1月:『子どもの「問い」の連鎖が生み出す算数学習の質的深化 −子どもの「問い」を軸とした算数学習をもとにして−』,全国数学教育学会第29回研究発表会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@CASを活用した中学校の代数カリキュラムと教授単元の開発に関する研究,代表者:両角達男,科学研究費補助金
A 代数学習の質的深化を促す数学的活動の連鎖と質的深化を実感させる内省の役割,代表者:宮田由雅(静岡大学),科学研究費補助金
B「式をよむ」ことを重視した小学校算数の授業についての学習過程臨床的研究,代表者:両角達男,学内プロジェクト
C子どもの「問い」を軸とした算数学習に関する実証的研究,代表者:岡本光司
学会活動への参加状況
@平成20年8月4日〜5日:日本数学教育学会第90回全国算数・数学教育研究大会出席
A平成20年8月9日〜10日:T^3 Japan第12回年会出席
B平成20年11月1日〜2日:日本数学教育学会第41回数学教育論文発表会出席
C平成21年1月24日〜25日:全国数学教育学会第29回研究発表会参加
D平成20年度:日本数学教育学会「数学教育」編集部幹事
◎特色・強調点等
 CASを活用した代数の教授単元と代数学習の質的深化を促す数学的活動の開発については,静岡大学教育学部附属静岡中学校数学科と佐久長聖中学校数学科との共同研究の形で行い,授業実践,データ収集とその分析を行った。開発した教授単元,および授業実践を通して得られた知見については,日本数学教育学会にて論文発表等を行っている。また,これらの研究では代数学者との連携も図っている。
 学内プロジェクトについては,附属小学校教諭と布川和彦教授との共同で研究を行い,今年度は算数の2つの単元について授業を構成し,実施をした。授業実践を通して得られた知見については,今後論文発表等の形で行う予定である。
 子どもの「問い」を軸とした算数学習に関する実証的研究については,岡本光司教授(常葉学園大学)を中心とした共同研究であり,静岡県内の小学校の先生方との継続研究である。この共同研究の成果については,静岡県内の小学校の先生方の実践研究や,学会や研究会での発表などに活きている。また,書籍「子どもの「問い」を軸とした算数学習」や,全国数学教育学会での研究発表でその成果の一部を発表している。子どもの「問い」を軸とした算数学習については,静岡県内での先導的な試みとして脚光をあびており,裾野が広がってきている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@天竜川・浜名湖地区総合教育センター(浜松)算数・数学科研修講師
A長野県総合教育センター中学校数学科教員研修講師
B長野県野尻湖小学校算数授業研究会講師
C長野県算数数学教育研究大会北信ブロック大会講師
D長野県千曲市立治田小学校算数授業研究会講師
◎社会への寄与等
 上記の社会的活動状況に加え,静岡県内の小中学校の先生方,静岡県総合教育センター,静岡市教育センター,天竜川・浜名湖地区総合教育センターの指導主事の先生方と,小中連携のあり方やその運用,算数・数学に関わるカリキュラム,子どもの「問い」を軸とした算数・数学学習に関する協議を行ったり,最近の数学教育に関わる動向をふまえた助言を行った。
 


 野 浩 志(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業の目標を明確にし,わかる授業に取り組んでいる。
 講義支援システムを活用し,むだのない授業に取り組んでいる。
 目標と評価を連携させて,各授業回数ごとに評価をおこなっている。
【観点2】教育の達成状況
 おおむね,達成されている。
研究指導
【観点1】学部
 最低,一人週1コマを割り当て,計2人を指導している。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 最低,一人週1コマを割り当て,計3人を指導している。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学生ひとりひとりにあわせたきめ細かい指導を行っている。
 学生の教員採用試験対策に関しての指導が検討事項である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】@平成20年10月:「教員養成系大学における「プログラミング入門」学習プログラムの開発」,「工業高校におけるマインドストームを活用した情報教育学習プログラムの開発と評価」,「社会科における情報活用能力に着目した体験型学習システムの開発」日本教育工学会 第24回全国大会
A平成20年11月:新潟・山形大学素粒子論研究会「ラトルバックについて」
学会活動への参加状況
@学会出席 10月11日〜13日 日本教育工学会 第24回全国大会
◎特色・強調点等
 「アマチュアの人にもわかる」をモットーに研究を行っている。
 


阿 部   勲(教 授)
 
<教育活動>
授 業
 受講者が,講議した内容の一つひとつをただ単に暗記したり,理解するだけでなく,その内容をめぐって,自分なりに考え,問題を発見するよう努力してきた。
研究指導
 学部,大学院ともに自分で問題意識をもち,自分で研究課題を設定し,自分でその解明に努力するよう,こちらからの指示を極力さけて,学習支援に努めた。
その他の教育活動
@上越保健医療福祉専門学校「発達心理学」
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟労災病院倫理委員会委員
 


荻 原 克 男(教 授)
 


中 山 勘次郎(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院「学習心理学特論」では,動機づけに関する最新の研究成果をとり入れ,教育実践への適用と関連づけながら講義した。また,過去のレポートの例とコメントをWeb上に掲載し,発展学習やレポート作成の参考にできるよう配慮した。
 学部「学習心理学」では,学習領域に限らず教育心理学全般にわたる基礎概念について講義を行い,さらに,最新の研究成果を体験しながら授業のありかたを考える「授業の心理学」を開講して,体系的な学習を支援している。
【観点2】教育の達成状況
 学部「学習心理学」において,学校教育に直接関係するテーマとともに,教員採用試験を見通したテーマ・教材等を多く取り入れることで,受講生の意識づけを高めている。
研究指導
【観点1】学部
 4年生1人・3年生1人を指導した。実践的な問題意識や発想を取り入れた研究指導を行い,本年度は「部活動でのリーダーシップ」に関する卒業研究に取り組んだが,残念ながら論文提出に至らなかったため,引き続き論文作成に向けて指導している。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程2年生2人の修論研究と,免許プログラム2年生2人・1年生3人を指導した。学校現場の実践的な問題意識を,心理学の視点から理論的に裏づけ,解決方法を探るという方針で指導にあたっており,本年度は生徒指導場面での教師の言葉かけと,学校ストレス対処プロセスに関する修士論文が生み出された。
その他の教育活動
・連合大学院GP学生参加プロジェクト・コーディネーター
・附属中学校教育相談体制に基づく相談員
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校現場での実践という視点を常に意識しながら,内容を構成している。また,受講生の質問を積極的に汲み上げ,フォローしたり授業改善に役立てるよう努力している。
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
@8月11日:日本学校心理士会2008年度大会出席,A10月11〜13日:日本教育心理学会第50回総会出席,B日本教育心理学会理事
◎特色・強調点等
 児童の学習への動機づけの予測因としての「目標」の影響性を中心に,個々の学習意欲の特徴をとらえようとする研究を継続して進めている。また,学習指導に関する教育的カウンセリングやコンサルテーションに対して,動機づけ理論にもとづいて提言を試みている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@教育講演会「子どもの心を育む親子関係」,A教員のための教育講演会「子どもの学習意欲の見方・育て方」,Bカウンセラー学校派遣事業に基づく派遣カウンセラー,C日本学校心理士会新潟支部長
◎社会への寄与等
 子どもの学習意欲を中心に,小学生の心理に対する見方・対応のしかたについて,親・教員それぞれの観点から講演を行ったほか,前年度に引き続き,派遣カウンセラーとして臨床的な面での地域への支援を行うとともに,カウンセリング活動の学習指導への拡大についても,積極的な提言を行った。
 


林   泰 成(教 授)【学校臨床研究コース/教育実践リーダーコース】
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 いくつかの科目において,学生に摸擬授業を行わせるなど,参加体験型の学習を取り入れている。すべての講義演習においてリアクションペーパー(感想・質問カード)に記入させ,次回の授業の冒頭で,フィードバックしている。成績評価は,大人数の「道徳の指導法」を除いて,点数による評価だけでなく,日頃の取り組みの様子などを考慮して総合的に評価している。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業では,道徳の指導案を作成できるように指導している。また,教員になろうとする意欲づけに力を入れており,ある程度の効果はあがっていると判断している。
研究指導
【観点1】学部
 基礎的なことがらを中心に指導した。人数が少ないぶん,丁寧な指導を心がけた。現職派遣の院生たちと交流できるような機会を設定した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程では,とくに現職派遣院生が多いので,学校現場からの要望に配慮しつつ,実践的な研究になるような指導に取り組んだ。
 専門職学位課程では,道徳教育の担当者が私以外にいないということもあって,さまざまな相談を受けたが,授業とは別に研究会などを開いて,その指導助言にあたった。
 博士課程では,副指導教員として指導にあたっているが,院生が遠方(沖縄)に住んでいるということもあって,メール等で指導助言を行い,沖縄県の研修会に参加したおりを利用して,指導助言を行った。
その他の教育活動
・放送大学において,客員教授として「道徳教育論」を担当した。
・富山大学において,年2回「道徳教育論」の集中講義を担当した。
・毎年,教職講座で,「道徳教育,同和教育」を担当している。
特色ある点及び今後の検討課題等
 参加体験型の授業を行っている点が特色ある点である。
 今後の検討課題としては,授業数や登録学生数が多いので,そうした状況の中でいかに丁寧な指導を行うかが課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年4月:『小学校 道徳授業で仲間づくり・クラスづくり モラルスキルトレーニングプログラム』(共著)明治図書
A平成20年7月:『道徳教育入門:その授業を中心として』(共著)教育開発研究所
B平成20年11月:『NHK道徳ドキュメントモデル授業』(共著)図書文化
C平成21年3月:『現代哲学の真理論』(共著)世界思想社
D平成21年3月:『新訂道徳教育論』(単著)放送大学教育振興会
E平成21年3月:『学校での「自殺予防教育」を探る』(共著)現代図書
論】@平成21年1月:『ウィトゲンシュタインの論理的原子論の哲学』(単著)『文化学年報』同志社大学,第58号
A平成21年3月:『新学習指導要領と新しい道徳教育の展開を考える−「徳育」教科化の前に考えるべきこと−』(単著)『道徳性発達研究』日本道徳性発達実践学会,第4巻第1号
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
@新潟県の学校派遣カウンセラーとして,市内小学校においてカウンセリング業務を行った。
A新潟県教育委員会の設置する同和教育推進協議会の副会長を務めた。
B新潟県教育委員会の設置する道徳教育体験活動に関する2つの委員会の委員を務めた。
C春日小学校,大手町小学校,大町小学校,附属小学校,附属中学校,大長谷小学校,高岡南高校など,複数の学校で,研究協力者として活動した。
 


安 藤 知 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法においては,いずれの授業でも学生の主体的な学びを重視したワークシートやグループ・ディスカッションを取り入れた進行を考えている。また,毎回授業の終わりに各自が授業記録を記述し,授業者との個人的なやりとりも可能になるように工夫している。授業記録に現れた疑問や内容理解上の間違いなどは,適宜個人に対して回答するとともに,全体に再度周知する必要のある問題は,次の授業の際にフォローするなど,理解の深まりに活用している。
 成績評価の際にも,授業中の発言や試験,レポートの結果の他に,以上のような授業記録での各人の理解の程度や思考の深化などを勘案して,総合的に評価を行っている。受講者の多い必修科目では,採点評価の公平性の観点から筆記試験を実施しているが,試験問題の採点基準を明確にし,なおかつ受験者が復習をできるように,試験当日に回答例と採点基準の一覧表を希望者に配布するように工夫している。
【観点2】教育の達成状況
 講義目標の達成状況については,各授業によってばらつきがあるものと思われる。学部必修科目である「生徒指導論」では,最低限の基礎知識の獲得を確認する筆記試験で,約5割の受講生がAまたはS評価(80点以上),3割の受講生がB評価(70点台)といった結果になっている。どうしても5%程度の基準に満たない学生が生じてしまうことが課題である。
 とはいえ,その他の講義では,おおむねシラバスで設定した授業目標に照らして主体的に思考できるようになる学生が多く,十分に目標を達成できているものと考える。上記のような授業方法の工夫が効果的に働いていると考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 まだ漠然とした問題関心を焦点化するために,学校教育に関する今日的課題の理解と,先行研究論文の読解に重点をおいて指導を行った。
【観点2】大学院
 先行研究を丁寧に読解しつつ自らの主張を組み立てる作業について,多様な関心を持つ院生間の議論が生かされるよう配慮した。また,ゼミ生以外の学生,他コース院生からの相談にも応じ,広く論文作成への支援を行った。
その他の教育活動
@筑波大学非常勤講師『教育基礎学』(集中講義2日間)受講者80名
A富山大学非常勤講師『学校の制度と経営』(集中講義3日間)×2回,受講者合計で約120名
B新潟産業大学非常勤講師『教師論』受講者10名
特色ある点及び今後の検討課題等
 個々の院生・学生の学習への主体的・積極的思考が活性化するように課題の提示や作業方法,発表機会などを工夫した点は特色ある点である。一方,プロジェクタを使用しての板書について,「わかりにくい」との声も聞かれるようになってきたので,視覚的な情報提示の方法を検討課題としたい。
 
<研究活動>
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@直江津東中学校との共同研究(「中学校における学級経営をテーマとする教員研修システムの構築に関する実践的研究」代表者:安藤知子 上越教育大学研究プロジェクト)
学会活動への参加状況
@8月4日〜5日:日本学校教育学会第23回研究大会出席,A日本学校教育学会理事・機関誌編集委員会副委員長 B9月19日〜21日:日本教育社会学会第60回大会出席,大会実行委員会委員
◎特色・強調点等
 学校支援プロジェクトの継続で上越市立中学校に関わり,校内研修の際の資料となる生徒アンケートの集計や分析を共同で行った。この研究は,学校での実践的研究であり,昨年度開発したツールの有効性を検証する研修プログラム開発研究でもある点に特色がある。並行して学校関係者評価の在り方を探究する研究にも携わった。学校評価や教員評価,地域運営学校など,多様な形で第三者が学校の教育活動に関与し,評価を行うようになった今日の学校での,教員の専門性の実態を模索した。変化の激しい社会的状況の中で,今後の教員の専門性の有り様を探る視点は,新たな教員養成カリキュラムを構想する際にも不可欠となる着眼である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市立高志小学校学校評議員,A教員免許状更新講習(試行)講師,B新潟県12年経験者研修(学校経営に参画する中堅教員の在り方),C長野県教職10年経験者研修(学校組織における中堅教員の位置と役割),D青森県学年主任研修(これからの学年・学級経営の在り方)
 


稲 垣 応 顕(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法について,グループ学習及び演習を可能な限り取り入れている。
 成積の評価について,1回の試験のみでなく@毎回のショートレポートを重視している。
【観点2】教育の達成状況
 グループ学習については,自己評価「B」程度。
 成積の評価については,自己評価「A」。
研究指導
【観点1】学部
 定められた週1回のセミナー(ゼミ)の他に,週1回3時間程度の大学院のゼミ生との合同ゼミを行っている。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 定められた週1回のセミナー(ゼミ)の他に,週1回3時間程度の学部のゼミ生との合同ゼミを行っている。
その他の教育活動
@富山県立保育専門学院 非常勤講師 臨床心理学 担当 2008.4-2009.3
A富山赤十字看護専門学校 非常勤講師 心理学 担当 (集中講義)
特色ある点及び今後の検討課題等
 講義と演習(構成的グループエンカウンター)により授業を構成した。
 また,演習の視点を受講生の「自己受容」,「他者受容」,「グループコンセンサス」の各資質向上においた。
 今後,演習のバリエーションを増やすことが課題としてあげられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年11月:『行動理論のアプリケーション/國分康孝監修 カウンセリング心理学事典』(共著)誠信書房
論】@平成20年12月:『構成的グループ・エンカウンターによる児童相互の人間関係づくり−体育科「体ほぐしの運動」を通して−』(共著)富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 教育実践研究.3.19−24.
A平成20年12月:『知的障害を有する非行少女への「箱書き込みイメージ法」の適用に関する事例研究』(共著)富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要.3.39−50.
B平成20年12月:『不登校経験者の自己省察に関する研究(3)−時間的展望の変化に着目して−』(共著) 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 教育実践研究.3.93−102
業】@平成21年3月:『よりよい授業の促進要因と阻害要因−KJ法を用いた授業カンファレンス−』(単著)富山大学教員養成GP成果報告書〜授業カンファレンスによる学級指導力育成〜.21−24
発】@平成20年11月:『対人不安め抜毛を示す児童に対する遊戯療法的援助に関する一研究−感情の表出に着目して−』(共)日本カウンセリング学会
A平成20年11月:『不登校経験者の過去への振り返りに関する研究(3)−人生曲線と私へのお手紙を通して−』(共)日本カウンセリング学会
B平成20年11月:『不登校経験者の過去への振り返りに関する研究(4)−5事例の考察を通して−』(共)日本カウンセリング学会
C平成20年11月:『構成的グループ・エンカウンター(ショートエクササイズ)が学級集団に及ぼす効果の検討−小学校での実践を通して−』(共)日本カウンセリング学会
学会活動への参加状況
@2008.4〜現在:日本カウンセリング学会 理事,A2008.1〜9:学校心理士会中部支部 支部長,B2008.10〜現在:学校心理士会中部支部 顧問,C2008.1〜現在:日本教育カウンセラー協会富山県支部 顧問
◎特色・強調点等
・日本カウンセリング学会理事職については,月1回開かれる理事会(資格検討委員会)で学会認定カウンセラーの資格審査を行うとともに,カウンセラーの国家資格化を目指した「カウンセラー養成カリキュラム」の作成を行っている。
・学校心理士会・教育カウンセラー協会の役職については,年2回の理事会に出席し,会の運営などについて助言を行っている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@富山県富山市カウンセリング講座指導者研修会 座長/富山県富山市カウンセリング講座 講師,A富山県立富山高等学校「生徒支援研究会」講師,B「人間関係づくり」に関する研修会(教師・児童) 講師,C石川県新任教員研修会 講師,D富山県新任教員研修会 講師,E富山県国公立幼稚園長研修会 講師,F利賀学校教育研究会生徒指導研修会 講師,G高岡地区高等学校養護教諭夏季研修会 講師,H生徒指導セミナー,I第2回子育てサポーター研修会 講師,J富山市適応指導教室推進会議 座長,K高岡市適応指導教室推進会議 委員,L富山県戸出東部小学校校内研修会 講師
 


大 前 敦 巳(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育社会学特論では,リアクションペーパーを通じた振り返りとディスカッションを行った。教育実地調査分析演習では,エクセルを用いたデータ分析演習を行った。学部の比較教育学と生涯学習概論Aでは,パソコンを用いた視聴覚授業を行い,毎回ワークシートの記入と提出を課し,平常点評価に用いた。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケート結果から,すべての授業において学生からおおむね良好な評価をいただいた。また,試験またはレポート,および学部の場合はワークシートを通じた成績評価を行うことにより,単位認定として求められる教育水準には十分達していると考える。
研究指導
【観点1】学部
 週1回のゼミと年2回の合宿を通じて卒業論文指導を行った。生徒指導総合分野では,学部4年生は6月に構想発表会,2月に卒論発表会を行うことにより,卒業論文の水準管理を行った。学部3年生は,ブックレポートおよび他学生の研究発表を聞いて学習することにより,各自の論文テーマを明確にする指導を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 週1回のゼミと年2回の合宿,およびストレート・免P学生に対しては週1回のサブゼミを行うことにより,修士論文の水準向上を図る指導を行った。発達臨床コースでは,M2生は5月と10月に中間発表会,2月に修論発表会を行い,M1生は11月に構想発表会を行うことで,修士論文の水準管理を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院では,通常のゼミに加えてストレート・免P生を対象にサブゼミを実施することにより,学生の学習力と連帯性の向上を図る工夫を行った。学部では,大人数授業でワークシートの記述(5分×2回)を課し,授業内容理解のチェックを行うとともに,記述中に机間指導を行い,寝ている学生を起こすなど授業態度面での指導も合わせて行った。今後の検討課題としては,困難な学生の底上げを図るとともに,全体の教育水準も向上させる教育対応をさらに強化していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年5月:『大学進学者の文化資本形成』(単著)高等教育研究 第11集 25-43頁
A平成21年3月:『学校教育におけるキャリア形成施策にみる日仏の特色』(単著)日仏交流150周年記念日仏関連諸学会総合シンポジウム報告論文集 72-80頁
業】@平成21年3月:『新刊紹介 白石嘉治・大野英士編『ネオリベ現代生活批判序説』,上垣豊編『市場化する大学と教養教育の危機』』(単著)日仏教育学会年報 第15号
発】@平成20年5月:『大学教育における文化習得効果(5)―上越教育大学における在学時と卒業後の調査から―』(単)日本高等教育学会第11会大会(東北大学)
A平成20年9月:『学校教育におけるキャリア形成施策にみる日仏の特色』(単)財団法人日仏会館 日仏交流150周年記念日仏関連学会総合シンポジウム「日仏学術交流のルネッサンス」
B平成20年度:日仏教育学会2008年度研究大会シンポジウム司会 志學館大学
国際研究プロジェクトへの参加状況
@学力向上策の比較社会学的研究―公正と卓越性の確保の視点から 代表者:志水宏吉(大阪大学) 科学研究費基盤研究(A) PS研究会
学会活動への参加状況
@平成20年度:日本教育社会学会第60回大会実行委員会,A平成20年度:日仏教育学会事務局長,B5月24日〜25日:日本高等教育学会第11回大会出席(東北大学),C9月19日〜21日:日本教育社会学会第60回大会出席(上越教育大学 大会実行委員として),D9月26日〜28日:財団法人日仏会館 日仏交流150周年記念シンポジウム日仏関連諸学会総合シンポジウム「日仏学術交流のルネッサンス」出席(日仏会館),E10月18日〜19日:日仏教育学会2008年度研究大会出席(志學館大学)
在外研究の状況
@11月27日〜12月7日:フランス,学力向上策の比較社会学に関する調査研究
◎特色・強調点等
 科研共同研究「学力向上策の比較社会学研究」に基づき,フランス調査を責任担当し,現地調査も実施した。また,日仏のキャリア形成施策に関して,日仏交流150周年記念シンポジウムで発表した。上越教育大学で開催された日本教育社会学会においては,大会実行委員として準備と実施に携わった。科研個人研究に関しては,今年度は残念ながら不採択であったが,次年度に向けて計画を見直し申請を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@幼稚園教員資格認定試験実施委員会,A平成20年度教員免許更新講習
◎社会への寄与等
 本学に委嘱された幼稚園教員資格認定試験,教員免許更新講習に参加した。また,日仏教育学会事務局長,日本教育学会第60回大会実行委委員として,学会活動に参加・協力した。
 


越   良 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部では,基本事項の理解を自らの言葉で再概念化できることに留意した。大学院では,受講者の既修得レベルが多様であるため,適切な水準であることに留意した。
【観点2】教育の達成状況
 受講生個人の能力と意欲によるばらつきがあるが,概ね目標水準に達することができた。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 各自の関心を重視し,かつ,比較的高い水準の修論研究を実施させることができた。研究の楽しさと辛さを伝えることができたと思う。
特色ある点及び今後の検討課題等
 各自の関心を重視し,かつ,比較的高い水準の修論研究を実施させることができた。研究の楽しさと辛さを伝えることができたと思う。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年8月:『教師間の協働関係における相互作用と教師の教育観との関連−ソーシャル・サポートの観点からの検討−』(共著)学校教育研究,第23巻,144〜158頁
A平成21年2月:『自己開示における被開示者の特徴の検討−開示者の開示動機との関連から−』(共著) 上越教育大学紀要,第28巻,29-39頁
学会活動への参加状況
@日本教育心理学会城戸賞選考委員
◎特色・強調点等
 集団内でのソーシャル・サポートの授受を測定することによって,相互作用を具体的に数量化して検討することが可能になった。また,自己開示も同様に,集団内成員の相互作用のあり方に関わる変数である。一貫して,集団内相互作用と個人の適応の問題を追及している。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 日本教育心理学会城戸賞選考委員として,学会誌に掲載された論文の審査を行い,審議に参加した。
 


下 司   晶(准教授)
 


内 藤 美 加(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育心理学概論(学部)では,各回の授業内容をプリントにして配布し,板書は補助的情報にとどめた。これにより,板書の写し書きを軽減して聴講に集中できるようにした。同様に3回に1回の割合で行っている質問解説時の質問とその解説もプリントにして配布し,内容把握の促進を図った。本講義ならびに教育心理学特論(大学院)の評価は授業内容に即した試験を実施して,実質的に授業に出席していると解答が容易となり成績とその評価が授業出席や授業の復習を反映するようにした。認知心理学(学部)は,授業への取り組みを重視し合わせてレポートの内容で総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価は5点満点で概ね3以上の評価であり,学生からは一定の評価が得られていることが確認された。しかしながら特に教育心理学概論の試験成績はあまり高いものではなく,BとC評価が多かった。学生に試験前にきちんと復習をしないとB以上の評価がつかないことを周知する必要がある。
研究指導
【観点1】学部
 学部の卒論は,教員採用試験前から本人の関心で論文を講読させた。採用試験後,本格的に英語文献を含めて先行研究を検討させ,研究計画をたてて実験を実施させ論文執筆させた。学生自身も実験や論文執筆を楽しみ,苦労ではあるが満足した様子であった。3年生には,心理学の研究方法や認知発達の知見を,書籍を講読,レポートすることによって学習させた。レジュメの作り方,レポートの仕方,論文や書籍の読み方など,論文講読の基本的な方法について学ばせた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士論文は,4,5月までに研究計画を立てさせ,実験協力校への協力依頼をした。教員採用試験前までに実験材料の準備と実験を,さらに採用試験後もう1つ実験を行わせ,論文執筆させた。学生自身の興味が反映されるような教育心理学的な研究を行い論文執筆できたことで,今後も実践現場で研究を発展させたいという感想を得た。修士1年生は,それぞれの関心に関連ある文献の検索と文献講読を進めた。その中で,文献検索の方法,論文の読み方,レジュメの作り方,レポートの仕方,および研究方法とデータ分析の方法など,研究を進めるための基本的な方法について学ばせた。
その他の教育活動
・京都大学文学部で「心理学特殊講義」(学部と大学院共通科目,集中講義)を非常勤講師として担当した。
・教職講座で「教育心理」を担当した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 授業には,心理学的な知見を学生自身に体験してもらうよう,模擬実験を実施したり課題を解いてもらったりしている。こうした活動により,これまで知らなかった自らの心の働きを実感してもらい,心理学への興味を持たせている。授業内ではこれらの配慮を行えるものの,講義内容の定着を見る期末試験の準備をしない学生が多い。授業後の復習を行わせ,知識を定着させることが今後の検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年7月:『自己心理学4 認知心理学へのアプローチ』(共著)金子書房
論】@平成20年12月:『間接的圧力による中学生の同調:規範的および情報的影響と課題重要性の効果』(共著)発達心理学研究, 19(4), 364-374.
A平成21年1月:『The relationship between second-order false belief and display rules reasoning: The integration of cognitive and affective social understanding.』(共著)Developmental Science, 12(1), 150-164.
発】@平成20年1月:『こころの制御機能研究の新展開』(共)日本心理学会
◎特色・強調点等
 著書では自伝的記憶や自己想起意識の発達にかかわる最新の知見を展望し,著者の研究室で行った研究成果にも言及して今後の方向性を示した。発達心理学研究掲載論文では,中学生の同調に関する2004年度修了生の研究成果を発表した。従来ほとんど実証研究がない中学生の同調しやすさを証明し,結果を成人の同調研究での理論的枠組みから解釈した。Dev. Science誌掲載論文は,児童の対人理解のうち認知と感情の理解能力間の関連に関する2001年度修了生の研究成果である。幼児期に両能力の一部が関連するという従来の脆弱な知見に対し,8歳頃両能力が全体として統合するという頑健な証拠を提出した。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 本年度は大学外部からの協力要請はなく,実質的な社会貢献はできなかった。しかし要請があれば可能な限りいつでも要請に応える所存である。
 


橋 本 定 男(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 自身が教師,指導主事,管理職として実践・経験してきたことを土台に,@生きた事例を豊富に活用する,A実践を踏まえた方法論を具体的に呈示する,B実際の授業を映したビデオを教材にする,C目下,学校現場で課題になっている事項や最先端の動きや実践方法などを呈示する等々の工夫をしながら,できるだけリアリティーの濃い,実践現場に生きて働く知見を示すよう心掛けた。
 成績評価については,毎回授業ごとに「ミニレポート」を提出させ(出欠席の確認も兼ねる),最後の試験と併せて評価するようにした。人数が約300人と非常に多いため,作業が大変だった。
【観点2】教育の達成状況
 ミニレポートに,いくつか基本的な学習・活動について教師として構想することを求めたが,授業後半になるほど基本的・原則的な事項を踏まえながら,適切な案を打ち立てることができるようになっていったと思う。試験までの段階で,概ね8割程度の受講生が自分なりの構想を示すことができた。そのうち,自身の個性・持ち味を生かした,かつ児童生徒が意欲を持ってのぞみそうな構想を立てたものは,約3割ぐらいである。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程2年2名の修士論文研究を中心に,1年生3名と共にゼミにおいて,自由闊達な議論することを通して,教育研究と論文の在り方を追究し合うように工夫してきた。また,学校教育の動向や前線教師の意識について情報提供した。特に研究の進め方として,文献研究・先行研究の充実だけでなく,学校現場に出向いて調査するなど実際に教師や子どもにかかわることを重視した点に特色がある。教育実践に寄与する研究を目指すという姿勢を求めた。結果,2名の修士論文は適度な質的水準を保って完成し,無事に卒業させることができた。
その他の教育活動
 非常勤講師:高崎経済大学経済学部「特別活動」(前期),「教育相談」(後期)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】@平成20年7月:『志をもつ子を育てる』(単著)児童心理,880(2008年7月号),金子書房
A平成20年11月:『三つの修業でほめる・叱るの腕をあげる』(単著)教育研究,1281(2008年11月号),初等教育研究会(筑波大附小)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@人間性を育てる特別活動の研究 代表者:小林広紀校長(胎内市立大長谷小学校) 新潟県特別活動研究会
A人間関係づくりを高める,これからの特別活動の在り方 代表者:佐藤文雄(新潟市立東青山小学校) 新潟市小学校教育研究協議会特別活動部会
B考えや思いを伝え,かかわり合う子どもの育成 代表者:西山義則校長(上越市立春日小学校) 上越市立春日小学校(文部科学省指定プロジェクト)
学会活動への参加状況
@10月17日〜18日:第52回全国特別活動研究協議大会北海道大会:特別活動と人間関係づくり分科会指導助言者
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@見附市第三者評価委員,A新潟教育研究所(財団法人:新潟教育会)
 


末 松 裕 基(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 各授業において,概説を行うに留まらず,文献購読に基づく積極的な議論,意見交換,調べ学習などを取り入れた。また教師並びに教育者としての役割開発を目指して,自らの役割と今度の学校経営改革の課題についてそれぞれレポートを課した。多くが現職教員である大学院生と,教員を目指す学部生をともに対象に「考えるとはどのようなことか」,「調べるとはどうすることか」について講義を行った。その後,講義で学んだことを実習によって身につけるために,教育をめぐる問題を論題としてディベートを行った。
【観点2】教育の達成状況
 たとえば,「学校経営と学校図書館」の学生による授業アンケート調査(回答者数52名)で,5点満点中平均4点を超え受講生から高い評価を受けた。「授業での話し方は,わかりやすいものになっていましたか」4.3点,「この授業の教え方は,適切でしたか」4.3点,「この授業は,興味深い授業内容でしたか」4.4点,「あなたは,総合的にこの授業に満足していますか」4.3点(大学評価委員会学部及び大学院修士課程ファカルティ・ディベロップメント専門部会実施・一部抜粋)。
研究指導
【観点1】学部
 児童や生徒の意識に比較的近い学部生に対して,現職教員の院生も時に交えて,立場や世代の違いを越えて相互に意見交換を行う機会を設けた。これらの特色をもった研究指導を行うことで,学校現場で直面する諸問題に対する様々な意見の存在に気付くとともに,自らの考えを論理的に組み立て,コミュニケーションを図る力を育成することを狙った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 児童や生徒の意識に比較的近い学部生に対して,現職教員の院生も時に交えて,立場や世代の違いを越えて相互に意見交換を行う機会を設けた。これらの研究指導を行うことで,学校現場で直面する諸問題に対する様々な意見の存在に気付くとともに,自らの考えを論理的に組み立て,コミュニケーションを図る力を育成することを狙った。また卒業論文作成過程において,研究の方法,枠組み,先行研究の分析方法,調査設計に関して,指導を行った。
その他の教育活動
 東京学芸大学教育学部非常勤講師として「学校経営学特講」ならびに「学校経営学演習」を担当した。具体的には,現代の学校経営課題に関する文献購読を中心に行った。その過程においては,概説に留まらず,受講者が自らの学校経営者としての役割開発ができるように,討議を行った。また学校経営改革に関する概念的理解に留まらず,今後の学校経営者としての力量とリーダーシップを発揮できるように,自らの思想と行動力の向上を目指して演習方式での討論を用いた。また学校経営における課題探索を具体的事例をもとに分析を行った。
色ある点及び今後の検討課題等
 東京学芸大学教育学部非常勤講師として担当した「学校経営学演習」の学生による授業アンケート調査(回答者数6名)で,5点満点中平均4点を超え受講生から高い評価を受けた。「授業内容が充実していた」5.00点,「教員の熱意が感じられた」5.00点,「教員の説明は分かりやすかった」4.83点,「授業方法に工夫がなされていた」4.67点,「全体としてこの授業を受けてよかった」5.00点。いずれも全学平均よりも数値が高かった(東京学芸大学FD・SD推進本部実施・一部抜粋)。これらの評価をもとに,今後,事例分析に関する教材の充実についても行っていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年12月:『主幹教諭―その機能・役割と学校の組織運営体制の改善』(共著) 教育開発研究所
A平成20年5月:『学校のための法学〔第2版〕』(共著) ミネルヴァ書房
論】@平成21年3月:『大学院におけるスクールリーダー教育方法の実態と課題』(共著) 小島弘道研究代表『スクールリーダー大学院における教育方法に関する開発的研究』平成18〜20年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)研究課題番号18330162研究成果報告書
A平成21年3月:『実験講座「スクールリーダーシップ フロンティア講座」の開発過程―スクールリーダー教育方法の開発視点の検討―』(単著) 小島弘道研究代表『スクールリーダー大学院における教育方法に関する開発的研究』平成18〜20年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)研究課題番号18330162研究成果報告書
業】@平成21年3月:『「意育」の可能性と理念型学校の軌跡』(単著) 研究記録
A平成21年3月:『免許状更新講習モデルカリキュラム(最終報告)』(単著) 免許状更新講習モデルカリキュラム(最終報告)
発】@平成20年6月:『イギリス中等学校における教育課程経営構造の変容―1960〜1980年代教科主任の役割変容の分析を通して―』(単)日本教育経営学会
A平成20年6月:『スクールリーダー教育方法の実態と課題』(共)日本教育経営学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@スクールリーダー大学院における教育方法に関する開発的研究 代表者:小島弘道(龍谷大学) 平成18〜20年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)研究課題番号18330162
A学校の民営化における「効率性」と「公平性」に関する総合的研究 代表者:榊達雄(名古屋芸術大学) 平成18〜20年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)研究課題番号18330173
学会活動への参加状況
@平成20年6月7日〜6月8日:日本教育経営学会第48回大会出席,A平成20年10月11日〜10月12日:日本教育行政学会第43回大会出席,B平成21年3月23日〜3月29日:イギリス(ロンドン),学校の民営化の調査研究
◎特色・強調点等
 日英の学校ミドルの役割を実証的に解明し,比較検討することを目的とし,その役割の課題性と可能性を検証することに意義がある。従来,政策論争として,その問題性が論じられることはあっても,その制度設計や現象を相対的に実証分析した研究はほとんどなかった。そのため,日英における役割規定や学校経営実践に対するインパクトと課題性の分析が必要とされている。校長などトップの役割との違いを検証し,ミドル独自の役割像を描き出す試みを行っている。そのための質問紙調査枠組みやミドルが位置付く各国,自治体独自の文脈を明らかにすることが,研究目的達成のために大きな課題となり,その取り組みを進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成20年6月〜平成21年3月:日本教育大学協会免許状更新講習に関するプロジェクトにおけるモデルプログラム形成のための協力委員
◎社会への寄与等
 日本教育大学協会免許状更新講習に関するプロジェクトにおけるモデルプログラム形成のための協力委員として,必修領域:学校の内外での連携協力についての理解(各種課題に対する組織的対応の在り方)に関して,モデルプログラムを作成した。具体的には,各種課題に対する組織的対応の在り方について,教育課程経営,学校評価に関する事項について,シラバス作成を行った。その際,受講者の実践的課題に沿って,近年の動向並びに原理的内容が理解できるような構成を意識した。