【臨床心理学コース】
 


内 田 一 成(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 全科目ともスライドの配布資料(2単位科目で約30頁)を配り,スライドショウやVTRを中心に講義している。受講生の成績評価はもちろんであるが,その前提である教育の質,授業の質に注意を払うようにしている。臨床心理士試験の合格者数,質の高さが世間から問われることを認識した責任ある教育を日々心がけている。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価は比較的良好で,大学院1年次生5名,2年次生6名を担当した。2年次生6名中2名が教員派遣生で,1名は修了後学校現場へ復帰し,もう1名は学校現場へ復帰するとともに,連合大学院博士課程に合格し,学校教育実践学専攻教育臨床連合講座1年次生である。ストレートマスター4名は,それぞれ医療法人の常勤臨床心理職,教育センターの常勤カウンセラー,スクールカウンセラー,こども研究所の常勤臨床心理職に採用された。博士課程3年次生は,この3月には博士号(「博士(学術)」)を授与され,現在,大学教員公募に応募している最中である。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程2年次生6名のうち,5名については,「高校教師への受容的応答訓練が面接技術と生徒の信頼感に及ぼす効果」,「抑うつ傾向の随伴性認知に関する臨床研究」,「自閉性障害の感情認知過程についての臨床研究」,「子どもから成人まで適用可能な抑うつ表情認知尺度の開発可能性について」,「過去のいじめ体験が現在のレジリエンス・自動思考・対処行動に及ぼす影響 」 のタイトルで学術雑誌に掲載された。
 博士課程に合格した1名については,「高校生の自傷行為の成立メカニズムについてのBPSSモデルからの検討」と題し,学会誌に投稿予定ある。博士課程3年次生については「心気症と身体化障害の発症過程に関する研究」で博士(学術)が授与され,「身体感覚増幅が心気症傾向と身体症状に及ぼす影響」の論文も学会誌投稿中である。
その他の教育活動
@福岡教育大学教育学部非常勤講師
特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院(修士過程,博士課程) 修士課程の臨床心理学コースにおいては「practitioner-scientist model」並びに「実践即研究」の観点から,基礎研究はもとより,日常の臨床活動を科学的研究に高められる研究指導を行っており,今年度はゼミ生全員が紀要に掲載したが,順次,全員が学会誌掲載(紀要論文のいくつかは学会誌でも十分採択されるレベルのものであるが,在学中に成果をいち早く公表したいという事由を尊重し,紀要投稿を優先したが)を達成できるように努力したい。
 博士課程では,一昨年と昨年度と博士(学術)の学位取得者が出たが,今年度博士課程1年生については,学会誌への投稿論文を大幅に増やした博士号取得へと結実させたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年3月:『高校教師への受容的応答訓練が面接技術と生徒の信頼感に及ぼす効果』(共著)上越教育大学心理教育相談室紀要,8,1-10
A平成21年3月:『抑うつ傾向の随伴性認知に関する臨床研究』(共著)上越教育大学心理教育相談室紀要,8,11-20
B平成21年3月:『自閉性障害の感情認知過程についての臨床研究』(共著)上越教育大学心理教育相談室紀要,8,21-33
C平成21年3月:『子どもから成人まで適用可能な抑うつ表情認知尺度の開発可能性について』(共著)上越教育大学心理教育相談室紀要,8,35-42
D平成21年3月:『過去のいじめ体験が現在のレジリエンス・自動思考・対処行動に及ぼす影響』(共著)上越教育大学心理教育相談室紀要,8,43-53
発】@平成20年7月:『福祉心理学の方法論をめぐって:クライエントのよりよき理解と支援に向けての研究法』(単)日本福祉心理学会
学会活動への参加状況
@日本福祉心理学会理事
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@教職12年経験者研修(小・中・特別支援学校)全体研修,A新潟県カウンセラー学校派遣事業,B都道府県知事レベルでの学校危機介入に関しての特命
 


加 藤 哲 文(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法においては,毎回の授業毎に授業の内容や関連資料を印刷した資料を配付し解説した。また,演習においては,小グループでのワークを実施し,グループ内での討論や資料の共同作成作業を通して,学生の積極的な授業への取り組みを促進した。成績評価については,課題に対するレポートの提出を基本とし,授業時の発言やワーク等への積極的な取り組みや,討論への参加度を加味して総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
 各授業ともに,学生からの授業内容の理解度や,教育実践等への貢献度については,肯定的な評価を得た。また,演習においては,知識のみではなく,臨床や教育時に,それらの知識やスキルを発揮できるようにするために,演習内容やレポートも工夫することによって,より実用性のある教育内容であったと評価できる。
研究指導
【観点1】学部
 今年度は,学部3年生2名がゼミに所属したが,毎週火曜日の午後3時から5時30分までの,大学院生との合同ゼミで指導を行った。学校現場や心理臨床の現場における課題や問題点について,討論に参加させながら,後期には,学生自身でテーマを決定させ,発表を行った。これらの活動によって,より現実的な研究テーマについて考える機会を提供できたと考えられる。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 8名のM2大学院生と,4名のM1大学院生の研究指導を行った。M2については,修士論文の作成を目標に,毎週1回程度のゼミでの総合的な指導とともに,各個人毎の修士論文指導を2週間に1回程度の割合で行った。また,M1生には,グループで,臨床指導とともに,研究方法論などに関するサブゼミを実施した。
その他の教育活動
@新潟県立看護大学・看護学部(心理学担当),A横浜国立大学・教育人間科学部(情緒障害の心理担当),B富山大学・人間発達科学部(生徒指導論担当),Cゼミ所属学部生2名(3年生)に対して,小学校教育実習の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校現場や心理臨床の現場において生じる,児童生徒の生徒指導や生活指導上の問題について,ゼミや修士論文の指導時に重点を置いて指導を行った。また,教育現場等に専門職として入っていき,コンサルテーションやコーディネーションを行う際の具体的な方法や技術について,知識のみならず実際の現場での指導を通して教育を進めた点が特色である。今後はこのような教育方法を行うために,その他の本務に要する時間とのバランスをいかに保つかが課題となる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成21年3月:『ビギニング・コミュニケーターのためのAAC活用事例集』(共著)福村出版
論】@平成20年11月:『行動問題への支援に必要なアセスメント』(単著)LD研究,vol.17, no.3, pp.314-322
A平成20年11月:『高機能自閉症児のセルフ・マネージメント手続きによる問題行動低減の試み』(共著)LD研究, vol.17, no.3, pp.332-340
B平成20年7月:『応用行動分析の考え方と方法』(単著)発達, vol.29, no.115, pp.30-37
C平成21年3月:『就学前発達遅滞児の身辺処理技能の形成におけるコンジョイント行動コンサルテーションの効果』(共著)上越教育大学心理教育相談研究, vol.8, no.1, pp.55-69
D平成21年3月:『特別支援教育におけるスクールカウンセラーの役割』(単著)上越教育大学心理教育相談研究, vol.8, no.1, pp.97-111
E平成21年3月:『上越市早期療育システム構築へのコンサルテーションの実践』(共著)上越教育大学心理教育相談研究, vol.8, no.1, 113-129
業】@平成20年11月:『臨床心理士養成指定・専門職大学院プロフィール』(共著)こころの科学別冊, 臨床心理士養成・指定・専門大学院ガイド2009
発】@平成20年9月:『場面緘黙症への支援をめぐって』(共)日本特殊教育学会
A平成20年11月:『学校支援尺度を用いた学校コンサルテーションに関する研究(1)』(共)日本LD学会
B平成20年11月:『学校支援尺度を用いた学校コンサルテーションに関する研究(2)』(共)日本LD学会
C平成20年11月:『行動コンサルテーションを教育現場で活かすために』(共)日本LD学会
D平成20年11月:『就学前の発達障害児の社会的相互作用の促進に及ぼす仲間媒介法の効果』(共)日本行動療法学会
E平成20年11月:『通常学級における集団随伴性適用への教師の介入受容性』(共)日本行動療法学会
F平成20年9月:『教員・臨床心理士とスクール・カウンセラーの対話』(共)日本心理臨床学会
学会活動への参加状況
@平成20年5月23日-27日:国際行動分析学会第34回大会出席(アメリカ・シカゴ市),A平成20年10月:日本教育心理学会出席(東京学芸大学),B日本行動療法学会理事,C日本行動療法学会編集委員,D日本発達障害学会評議員,E日本行動科学学会理事
◎特色・強調点等
 発達障害や行動・情緒障害のある児童生徒への応用行動分析による支援方法を研究してきた。特に,学校場面での適応支援のために,学校の教師への行動コンサルテーションを実施し,その効果を行動科学的な手法を用いて検証してきている。それらの成果は,論文や学会の大会発表,シンポジウムで発表しており,今後,学校現場への普及を目指した組織介入アプローチを実施する予定である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県教育委員会・定時制・通信制チャレンジ協議会委員,A上越市就学支援委員会委員,B上越市巡回相談事業調査研究委員会委員長,C新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会委員長,D文部科学省指定「高等学校における発達障害支援モデル事業」研究委員会委員,E公開講座(応用行動分析で特別支援教育が変わる),F新潟県臨床心理士会理事
◎社会への寄与等
 特別支援教育,生徒指導,教育相談,障害者福祉領域における,文部科学省,新潟県,上越市の各種委員会に委員として貢献した。特に新潟県と上越市の2つの委員会においては,委員長を歴任し,委員会の推進のためのリーダーシップをとってきた。これらの諸活動は,地域社会に対して多くの寄与をしたといえる。
 


五十嵐 透 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・学生が主体的に取り組み,探索的,創造的,建設的に現象を理解し対応を考え行動することを軸に取り組んできた。特に人を対象とする臨床活動においては,自分自身を見つめ,理解することなしには援助になりにくい点をありのままに見つめることに取り組んできた。
・大規模講義における,精神・心理面での理解に関し,真摯に向き合い考えること,自らの体験と結びつけて理解することを促進することに取り組んだ。
【観点2】教育の達成状況
・自らを見つめることに対する自己防衛の高さに対し,ありのままに見つめることを時間をかけて達成している。
・250名以上の大規模講義中も,私語も少なく,それぞれが考えたことや感じたことに対し講義中にフィードバックを含めた学習になり,効果的な取り組みになったと思われる。
研究指導
【観点1】学部
・論理的に思考すること,わからないことにチャレンジし,明らかにしていくプロセスを大切にすること,これらが卒後の社会人としても共通していることを学ぶことをサポートした。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
・自らの関心領域を論理的に考え,現象に対する論理的思考の基礎および研究の基礎となる知識と取り組み方,および態度を習得していくことを共に学んだ。
・加えて,自らの研究を論理的に表現することも,体験を通し学ぶことを促進した。
その他の教育活動
・金沢大学大学院医学研究科保健学専攻:臨床心理学特別論(集中)15時間
・金沢大学大学院医学研究科保健学専攻:臨床心理学特別論(集中)30時間
・愛知県立大学 大学院:ストレス・マネジメント特論(集中) 30時間
・新潟県立看護大学:ストレス・マネジメントの基礎(演習・集中)4時間
◎特色のある点及び今後の検討課題等
 学外でも臨床心理士の活動の場である医療機関における臨床心理士養成の実習において,事前指導から反省会までの約6ヵ月の流れのなかで,現象を論理的にとらえ他者と共有すること,担当クライエントの立場で考えること,アサーティブかつ積極的に行動をとること,そして自己理解の促進を図っている。これは実習受け入れ先の臨床指導者との信頼感および協働関係に基づき実施されている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年6月:『看護・介護・福祉の百科事典』(共著)朝倉書店
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜3月:新潟県立高田高等学校 スクール・カウンセラー,A4月〜3月:新潟県立新井高等学校 外部評議員,B4月〜3月:川室記念病院 臨床心理士,C4月〜3月:上越市国際交流協会 外部コンサルタント,D新潟県立精神医療センター 外部講師,E4月〜3月:新潟県病院局 研修会講師,F4月〜3月:第39回日本看護学会シンポジスト,G4月〜3月:川崎社会保険病院 外部講師,H4月〜3月:川崎市ナーシングセンター研修会講師,I4月〜3月:長岡赤十字病院 研修会講師,J4月〜3月:子育てひろば研修セミナー<上越>シンポジスト,K4月〜3月:新潟市地域包括支援センター研修会外部講師,L 4月〜3月:川口町立川口中学校 カウンセラー(中越地震関連)
◎社会への寄与等
・医療,精神保健福祉,教育領域でのメンタルヘルスの維持向上に関するコンサルテーション
・地域における,虐待(小児・高齢者)対応へのコンサルテーション
 


佐 藤 淳 一(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部
 「人間教育学セミナー(教職の意義)」:現職教員の院生を講師として招き,学生たちが教育現場の声を聞いたり,学生生活をおくるための助言を得ることができる機会とした。
 「教育相談・カウンセリング論」(分担):心理アセスメントを担当し,知能検査や人格検査,心理査定の実際や倫理的配慮など,パワーポイント等を用いて説明した。
大学院
 「臨床心理基礎実習T」(分担):臨床心理面接の基本的態度と技術を習得するため,セラピストとクライエントのロールプレイ演習を実施するとともに,逐語録等のレポートの提出を求めて添削指導を行った。
 「臨床心理基礎実習U」「臨床心理実習A」(分担):院生が心理教育相談室において担当するケースに関して臨床指導を行った。インテーク・カンファレンス,ケース・カンファレンス,集団スーパービジョン,個人スーパービジョンなどを通して,院生が臨床的理解を深め,適切な関わりや対応ができるよう心掛けた。
 「臨床心理実習B」(分担):医療機関などの学外実習に関して臨床指導を行った。
 「学校臨床心理学特論」:学校現場における心理的問題を持つ児童生徒やその保護者への理解と援助,教職員との連携などを概説するとともに,関連文献や事例論文の発表を求めた。
 「臨床実践援助法」(分担):授業全体の取りまとめを行うとともに,被虐待児への心理臨床的援助を担当し,パワーポイントを用いて概説した。
 「臨床心理学研究法特論」(分担):調査法を担当し,質問紙法と描画法を用いた調査研究について概説した。
 「臨床心理マネジメント特論」(分担):教育,医療,福祉における心理職のアイデンティティと他職種との連携について説明した。
 「実践場面分析演習」(分担):不登校と保護者の問題を担当した。
 毎回講義の最後に,質問コメント用紙を配布回収し,次回の講義で学生の疑問に答えたり,学生の意見を参考に講義内容を調整・改善するように努めた。なお,個々の学生に学習への動機づけを与え,学習及び研究目標を自主的に確立するための指導を行ったり,レポートの提出などについて十分な指示を与えて授業を自覚的に計画したりしている。
【観点2】教育の達成状況
 学生による授業評価では,おおむね良好な評価を得た。修了したゼミ生たち(ストレート・マスター)は,教育,医療,福祉,開業などの心理職で活躍中である。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 「小学生の学校ストレスと遊びの違いがストレス反応に及ぼす影響」,「完全主義及び強迫傾向が精神的健康に及ぼす影響」,「ストレス状況におけるユーモアの感知が認知的評価およびストレス反応に与える影響」,「青年期における友人への自己開示と開示抵抗感が適応感に及ぼす影響−対面および携帯メールによる検討」,「スクールカウンセラーへの相談行動生起プロセス」をテーマとする修士論文の作成を指導した。
その他の教育活動
特になし
特色ある点及び今後の検討課題等
 着任初年度であったため,自己評価するのは難しい。学生や先生方のご意見ご感想を生かして,今後の課題としたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年3月:「Kretchmerの気質タイプとJungの心理学的タイプ」(単著)パーソナリティ研究,17(2),223-225.
A平成21年3月:「強迫傾向と完全主義の関連」(共著)上越教育大学心理教育相談室紀要,8,81-89.
学会活動への参加状況
@平成20年9月 日本心理臨床学会第27回大会出席
A平成20年10月 日本箱庭療法学会第22回大会出席
B平成20年11月 日本パーソナリティ心理学会第17回大会出席
C日本パーソナリティ心理学会編集委員(平成20年11月から)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越教育大学心理教育相談室相談員
A独立行政法人国立病院機構さいがた病院「倫理会議」「外部評価会議」委員
B平成20年8月 教職12年経験者研修(小・中・特)コース別研修(生徒指導コース)講師
C平成20年10月 高田別院カウンセリング講座(上手な聞き方講座)講師
 


宮 下 敏 恵(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 臨床心理査定演習Tの授業では,実践場面で身についていないことを自覚したという意見がみられたことから,何回か課題を提出して,チェックして学生に返却し,より実践力が身につくように授業内容を変更した。また,教育相談・カウンセリング論の授業では,多人数の教員が授業を担当することで授業内容が重複し,目標が不明確になりやすいという意見がみられたため,担当教員数を減らし,授業内容の整合性を保つようにした。
【観点2】教育の達成状況
 具体的な課題を出すことで,より理解が深まったと考えられる。また,複数担当の授業において,授業内容の精選,整合性については改善されたといえるが,大人数の授業ゆえに,より理解が深まる授業形態などをさらに改善する必要があると思われる。
研究指導
【観点1】学部
 学部3年生については,青年期における恥や羞恥心,また対人関係の問題など臨床心理学の基礎研究の文献講読について指導を行った。学部4年生については,大学生における友人と親友の違いに関する卒業研究の指導を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士1年生については,小学生における動的学校画の特徴,青年期の完璧主義と主観的幸福感との関係,自尊心の不安定性,時間的展望と抑うつなどに関する研究の文献講読指導を行った。修士2年においては,大学生における感動体験に関する研究,大学生における心配の研究,小学生の抑うつと信頼感の関係についての修論指導を行った。また,心理教育相談室において,事例の見立て,面接の進め方,事例の理解と介入方法について指導を行った。
その他の教育活動
@放送大学さいたま学習センター非常勤講師
A放送大学長野学習センター非常勤講師
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部生には教育相談を中心とした実践力を習得させるために,授業,研究指導等をおこなった。学校現場で役立つ知識,技術の指導をおこない,児童,生徒への関わり方について実習を中心に指導を行った。大学院生については,学校現場はもちろん臨床心理の現場における実践力を習得させるため,心理教育相談室でのケース指導をはじめ,個々に応じた具体的な指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:『小・中学校教師におけるバーンアウト軽減方法の探索』(単著)上越教育大学研究紀要,28
A平成21年3月:『語彙分析の方法を用いた面接プロセスの検討 −不登校傾向を示した中学生の事例を通して−』(共著)上越教育大学心理教育相談研究,8
発】@平成20年10月:『教師のバーンアウト傾向に関連する要因の検討』(単)日本教育心理学会
A平成20年10月:『教師のメンタルヘルスの悪化を防ぐために何ができるか』(共)日本教育心理学会
B平成20年10月:『中学校教師特有のビリーフに関する研究(2)』(共)日本教育心理学会
C平成20年9月:『語彙分析を用いた質的研究(12)』(共)日本心理臨床学会
D平成20年9月:『語彙分析を用いた質的研究(13)』(共)日本心理臨床学会
E平成20年9月:『語彙分析を用いた質的研究(14)』(共)日本心理臨床学会
F平成20年9月:『語彙分析を用いた質的研究(15)』(共)日本心理臨床学会
G平成20年9月:『語彙分析を用いた質的研究(16)』(共)日本心理臨床学会
学会活動への参加状況
@日本パーソナリティ心理学会編集委員,A日本催眠医学心理学会編集委員
◎特色・強調点等
 小・中学校教師のメンタルヘルス研究について,科学研究費を獲得したことから,小・中学校教師のバーンアウト傾向に関する調査を行い,分析を勧めている。教師のバーンアウトについての実態,介入,予防について研究を進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県臨床心理士会スクールカウンセラーコーディネーター,A新潟県学校派遣カウンセラー,B上越教育大学附属心理教育相談室相談員,C新潟県スクールカウンセラー,D中越・中越沖大震災の心のケアに関するカウンセラー,E新潟県育児相談研修会講師,F上越市教育センター研修会講師,G新潟県教職員12年研修:いじめ問題講師,H新潟県教職員12年研修:生徒指導コース講師,I免許状更新講習,J新潟県教職員初任者研修:メンタルヘルス講座,K新潟県保育士研修会,L新潟県小学校校長会研修講師,M上越市校長会メンタルヘルス研修講師,N新潟県こころの緊急支援活動支援員
◎社会への寄与等
 主に学校現場において,児童−生徒−保護者へのカウンセリングをはじめ,教務員へのコンサルテーションを行い,さらには教務員のメンタルヘルス維持向上に向けて研修を行うなどの活動を行った。また,中越・中越沖地震の心のケアをはじめ,こころの緊急支援員となるなど,地域の心のケアについて積極的に支援を行った。
 


井 沢 功一朗(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・授業形態,学習(研究),指導方法の教育方法に関する取り組み状況
 本学の学部学生の特徴としては,受講態度および研究計画立案などにおいて比較的受動的な点があげられると考える。
 そのため,授業においては,従来の板書と口頭説明中心の方法を全面的に改善し,パワーポイントにより図や写真などの視覚的材料をできるだけ多く用いるように心がけた。また,手書きでノートを取ることが習慣づけられていない学生が多いため,授業内容の要点をまとめた配布プリントを全授業で毎回配布し,穴埋め式でキーワードや重要な説明などをプリントに自己記入していくように促した。
 また,大学院生については,現職教員とストレートマスターのいづれにおいても教育実践に応用可能な最新の知見を求めていると考える。そのため,心理学という専門性にこだわらず,関連してくる様々な知識(例えば人間行動遺伝学など)についても,できる限りわかりやすい形で紹介することを心がけた。学部生対象の授業と同様に,視覚教材の使用と穴埋め式の配布プリントを使用し,授業の要点については自発的にメモをとり受講者自身の知識として消化してもらうよう促した。
 また,学部生の卒論指導では,まず論文や図書を精読する態度を重視して取り組んだ。その中から学生が自らの実習体験などと重ね合わせてテーマを選ぶことができるように促した。卒論指導の重点は,テーマもさることながら,そのテーマについて調査研究をする際のマナー,データ分析技法,結果のまとめ方ならびに得られた結果を調査協力者にフィードバックする義務など,研究者として必要とされるモラルと態度を最重要視した指導を行った。
・成績評価に関する取り組み状況
 レポートの課題は基本的に授業で解説したキーワードをもとに論述を構成するという形をとった。このような形態をとることで,普段の授業でのプリントへの自己記入や補足説明のメモ,およびその理解度がはっきりと把握することができる。
 成績評価で着目する第一の観点はこうした基本的知識の理解度についてである。さらに,そうした理解をもとに展開された論述の論理的な構成にも着目した。ただメモをとっただけでは論旨の通った論述を展開することはできないし,逆に講義内容を理解していればそれだけ論述の幅も広がる。このように,普段の受講態度が論述に反映されるように課題を設定し,それに基づいて上記2つの点に着目しながら成績評価をした。課題の提示に際しては,ただ単にキーワードを提示するだけではなく,それに関連する様々な論争や研究者ごとに出されているさまざまに異なる知見について言及したうえで,それらを受講者の観点から総合し,さらに受講者本人の見解を論述するような課題設定を試みた。
【観点2】教育の達成状況
 受講生のモチベーションは科目ごとで異なっていたが,授業方法や授業内容については学部・院ともに肯定的な学生評価を受けた。
 また,提出されたレポートについても水準の高いものが多く,このことからH19年度の授業と成績評価の方針はおおむね妥当であったと判断する。
研究指導
【観点1】学部
 まず,卒業論文1本の指導については,教員になることのモチベーションをより高めることに努めた。また,当該学生が様々な実習によって得た体験的知識を卒論のテーマと結びつけて考えるように促した。さらに今後,教育実務につくにあたって引き続き考えていくことができるようなものへと展開していくよう指導した。学部3年生については,心理学の基礎用語についての補足説明を加えながら,学術論文を精読する習慣を身につけるよう促した。わからない部分をわからないまま読み飛ばすのではなく,時間をかけて,一つ一つわからないことを可能なレベルで理解していくよう説明を加えた。
【観点2】大学院
 臨床心理学コースは相談室実習の指導を行わない場合は研究指導も担当できないため,指導担当学生は在籍していない。
特色ある点及び今後の検討課題等
 特色としては,授業のための材料や配布資料などを十分に時間をかけて準備し学生に提示することで,学生のモチベーションを高めようとした点があげられる。単に出席状況や臨時レポートなどを課すことで学生の単位取得や成績評価に対する不安を動機付けとするような方法を極力避けた点である。今後の検討課題としては,シラバスでの講義内容の記述にさらに工夫を加える必要があると考える。学術的・専門的な用語が多すぎると,授業の内容と一部合致していない印象を学生に与えてしまうことがわかった。今後はシラバスの記述について,より日常語に近い言葉を用いながら要点を提示する必要があると考える。さらに,他の選択必修科目と開講時間がかさならないように更なる時間調整が必要であることも来年度の課題である。
 
<研究活動>
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@川口町被災児童メンタルヘルスケアのガイドライン立案研究(共同研究者:五十嵐透子・宮下敏恵)
 


高 橋 靖 子(助 教)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・カウンセリング基礎演習や臨床心理学演習においては,簡単なグループワークやエクササイズ,ロール・プレイや心理テスト体験を取り入れながら,カウンセリング的な関わりについて段階的に理解が深まるように工夫した。
・臨床心理学では,臨床心理学的アセスメントや各心理療法について自験例を通して分かりやすい言葉に置き換えて講義を行った。
・臨床実践援助法および教育相談・カウンセリング論の一部を担当し,乳幼児期から青年期までの親子関係・友人関係の発達について講義した。
・臨床心理学基礎演習T・U(インテークカンファレンスおよびケースカンファレンス)においては,心理教育相談室において院生の担当するケースについて討論・指導を行った。
・臨床心理実習Bにおいては,各職場における臨床心理士の役割やクライエントに対するアプローチについて学生が学ぶことができるように学内や実習先での指導を精力的に行った。
【観点2】教育の達成状況
 学部においてはカウンセリングへの興味・関心を持ち大学院進学を希望する学生が多い。また,大学院を修了した学生は,医療や福祉の領域で心理士として働き,あるいは教員として臨床心理的な視点から児童生徒と関わっていることがうかがえる。
研究指導
【観点1】学部
 セミナーは担当していないが,卒業論文の研究計画や質問紙の構成について助言を行い,学部生1名の学位論文副査としての審査を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 学生の研究計画やデータのまとめ方に関して助言を行い,大学院生10名について学位論文副査としての審査を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 病院・福祉,学校領域における心理臨床経験を生かし,臨床心理学的理解・関与を深められるような講義や臨床的指導を積極的に進めていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年11月:『母親の抑うつと母親から子どもへの愛着に関する縦断研究』(共著)児童青年精神医学とその近接領域,第49巻第5号,497-506
A平成21年3月:『教職員連携による教育実習生への心理的援助−学部兼スクールカウンセラーとしての活動より−』(単著)学生相談研究,第29巻第2号,207-217
発】@平成20年9月:『アタッチメントとライフイベント』(単)日本心理学会第72回大会
A平成21年3月:『母親の未解決の喪失・外傷体験と子どもへの態度との関連−Adult Attachment Interviewによる「未解決の心的状態」の検討より−.』(共)日本発達心理学会第20回大会
B平成21年3月:『Adult Attachment Interviewにおける語りについて−Dismissing型の語りの特徴と変容−.』(共)日本発達心理学会第20回大会
C平成20年8月:『Depression and maternal attachment in Japanese women during pregnancy and postpartum: A longitudinal study.』(共)11th World Congress of World association for infant mental health (Yokohama, Japan)
学会活動への参加状況
@平成20年8月:11th World Congress of World association for infant mental health 出席・発表
A平成20年9月:日本心理学会 出席・発表
B平成21年3月:日本発達心理学会 出席・発表
◎特色・強調点等
 大学病院産科における縦断研究のデータを分析し,いくつかの学会で発表を行った。今後は精力的に論文にまとめていく予定である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@県立国際情報高等学校スクールカウンセラー
A新潟県カウンセラー学校派遣事業カウンセラー(妙高市立新井小学校,上越市立豊原小学校)
B平成20年度高田教区真宗カウンセリング講座講師(タイトル「大切な人との喪の作業」)
C平成20年上越地区家庭児童連絡協議会研修講師(タイトル「愛着障害」)