【幼児教育コース】
 


大 山 美和子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業は学部・大学院共にシラバスに明記した内容に沿って概ね進めることができた。学部では保育の基礎知識に関わる講義を行った後に,教育実践力を高めるために教材を作成し,教材を通して実践現場で幼児の実態について各自が記録し,レポートにまとめて発表した。発表ごとに解説を行うことで学生の学習意欲を高めた。
 また音楽の基礎技能の習得は教材作成を通して課題を出し,個別的な指導と合わせながらその力量を高めさせた。
 大学院では,まずは音楽の基礎的な知識を音で確認しながら説明をすることで院生の理解を図った。最近の研究成果から得られた幼児の音楽的活動に関する情報を紹介し,これを拠り所としながら実践現場での観察を行った。各自が課題を決定し,資料収集・分析・検討を行うことを通して課題解決に向けてレポートにまとめて発表し討論を行った。幼児を音楽の側面から観察する能力が高まったと考えられる。
 提出したレポート,幼児に対する観察力,音楽の技術や知識理解などを評価基準として総合的に評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業では,作成した教材を使ってグループごとに幼児の前で指導するという授業計画の部分で,特に学生が意欲的に取り組んだ。幼児の前で実際に行った経験や,後日そのVTR記録を見て確かめる機会を設けた。学生にとっては客観的に子どもの実態やクラスの担任教師と現在の自分自身の状況を比較することによって,各学生が自信と次への課題を明確にすることができたと考えられる。
 大学院の授業では,最初に多様な保育の営みに関するの内容について複数の保育実践現場で観察を行い,レポートにまとめ発表し討論することで全体の保育理解を深めることができたと考える。さらにこれを土台として,音楽理論を拠り所とした幼児の音楽活動の実態についての観察力を高めることができたと考える。
その他の教育活動
@観察参加2年次(幼稚園),保育実習1・V(保育園)事前指導及び引率担当
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 今年度は授業・研究指導ともに附属幼稚園をはじめ他の幼稚園の保育者の協力を得ながら進めることができた。実践現場で行った記録をもとに分析・討論をする場では観察園の保育者も交えて授業を進めることができ,より保育実践の具体的な内容に近づくことができた。例年になく学生の学習への興味・関心は強く保育理解の質も高まったと考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成21年2月:『幼稚園教員養成用 最新幼稚園教育法』(共著)音楽教育研究協会
A平成21年3月:『たのしく遊べるこどものうた−改訂版−』(第14版)(共著)すずき出版
作】@平成20年12月:『基礎リズム運動作品集』(共)東芝EMI pcdz-1127
A平成20年12月:『子どもの身体表現運動作品集』(共)東芝EMI pcdz-1128
学会活動への参加状況
@5月24日〜26日:日本保育学会第61回大会出席
A平成20年度ペース・メソッド研究会 日本支部参与
B11月8日〜9日:ペース・メソッド研究会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@埼玉県新規採用教員研修園外研修講師(埼玉県立総合教育研究センター)
◎社会への寄与等
 地元の和太鼓集団「謙信流陣太鼓」に対して作品の提供と指導及び助言を行っている。10代〜60代まで幅広い年齢層の市民が一緒に和太鼓の演奏を経験することを通して,日本音楽への興味・関心をもつことに寄与している。長年に渡り,毎年8月に行われる謙信公祭での演奏を初め,ボランテイア活動で上越市の紹介,小・中学校での音楽鑑賞教室,地域のさまざまな施設での演奏活動も行い,高い評価を得ている。 
 


鈴 木 情 一(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 各担当授業について授業内容のバージョンアップと教材の精選、関係テキスト等の紹介を継続して行った。
 成績評価面では、学部では出席と試験を基本的に採用し、評価の厳正化に努めた。
 ゼミでは、学部、大学院共に、教員等に就職後に有効なスキルアップを意図し、臨床的な基礎研究を重視する指導を心がけた。
【観点2】教育の達成状況
 卒論については、内容、レベル共に高い水準を維持している。
 講義・演習については学生の学びへの意欲をいかに引き出すかという課題が残った。
その他の教育活動
@非常勤講師 信州大学教育学部 「言語教育論」 受講生92人 平成20年8月19日〜22日
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成21年1月:『学習指導用語事典(第三版)』(共著)教育出版
学会活動への参加状況
@平成21年3月23日〜25日:日本発達心理学会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@9月:出前講座「コミュニケーション能力の発達と子ども理解」,A 12月:出前講座「コミュニケーションと発達」,B1月:出前講座「コミュニケーション能力の発達と子ども理解」,C8月:図書館司書教諭講習会「読書と豊かな人間性」
 


丸 山 良 平(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 幼稚園と保育所における実践の映像資料を提供し,乳幼児の生活の実態と保育者の指導法の具体的な理解を図った。教材作成と実践計画の立案,そして実践という一連の作業の実行を通して実践力の育成を図った。各授業において核となる課題と試験の評価基準を明示することで達成目標を明らかにして評価した。
【観点2】教育の達成状況
 学部卒業生のほとんどが,公立保育士採用試験に合格した状況から,幼児教育における専門的知識と技能,そして高い実践力を習得し,同時に指導者となる意欲も高まったと判断する。
研究指導
【観点1】学部
 教育実践を観察して収集した資料を事例にまとめて分析,考察し,研究推進能力の向上を図った。パネルシアターの作成と実演などを行って保育実践スキルの習得を図り,教育実践力の向上をめざした。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 最新の研究成果を取り上げて文献研究を行い,その成果を口頭発表と討論によって思考力とコミュニケーション力の増進,および研究推進能力の向上を図った。研究計画の立案と観察資料の処理,論文作成を指導した。
その他の教育活動
・教育実習における学生指導
 学部2年生の幼稚園実習,学部4年生の幼稚園専修実習園,学部2年生の保育実習T及びU,学部4年生の保育実習Vにおける実習先である幼稚園,保育所,児童福祉施設に伺って,実習指導教員と面談を行った後,学生に対して指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育実践を意識し内容を精選している。多様な実践場面を映像資料で示して学習と研究の動機を高かめ,資料の内容を理論的に裏付けて解説している。あらゆる場面で学生と教員は対等に率直に意見を交わせるので学生の学習と研究に対する意欲は非常に高い。今後は,附属幼稚園の教諭との連携を図り,より多面的な視点からの考察を試みたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:『保育園3歳クラス女児ミホの幼児と保育者とのかかわり』(単著)上越教育大学研究紀要 第28巻 pp.65-74
学会活動への参加状況
@10月11日〜13日:日本教育心理学会第50回総会,A5月17日〜18日:日本保育学会第61回大会
◎特色・強調点等
 乳幼児の遊びと仲間関係に関する研究をさらに発展させ,乳幼児の遊びの指導法の実践研究として推進できた。幼稚園と保育所における教育・保育実践を観察によって捉えて分析し,実践的な研究成果をあげた。それにより筆者と観察園の教員,保育者との協力,信頼関係の構築が促進され,筆者の所属する本学の評価も高めるのにも貢献している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜3月:上越市少子社会を考える市民懇談会委員長,A11月:糸魚川市青海小学校区幼小中連携推進部研修会講師,B6月:平成20年度上越市子どもの体力つくり指導者養成講習会講師
◎社会への寄与等
 上越市市民生活部が組織した市民懇談会の委員長を務め,市民への質問紙の作成,実施,分析と集計を統括した。上越市及び糸魚川市が実施したそれぞれの研修会において講師をつとめ,講演を行った。
 


杉 浦 英 樹(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・全ての授業でレジュメを準備し臨んでいる。
・題材に適合した視覚に訴える教材を編集し適切な頻度で使用している。
・小規模の授業は相互的なやり取りを重視しながら行っている。
・一定の到達度を確保するため一部の授業で小試験・本試験を導入した。
・プロジェクタ等,デジタル教材・教具への移行が課題である。
【観点2】教育の達成状況
・ほぼ達成したとみている。ただし試験を課しても知識の定着という点でまだ課題を残している。
研究指導
【観点1】学部
 卒業論文の指導・「『しつけ行為』に対する保護者の認識」・「幼稚園における保護者同士の交流−実態の検討と考察−」
 平成21年度は学部生5名の指導なので早めの指導を進めている。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 学位論文の指導本年度提出者はいなかったが院生2名について指導を進めている。
その他の教育活動
教育実習における学生指導
・教育実地研究TA(観察・参加)における巡回指導
・教育実地研究V(初等教育実習)における巡回指導
・幼稚園専修教育実習における事前・事後指導と巡回指導
・保育実習Tの事前・事後指導と保育実習T・U・Vにおける巡回指導
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年7月:『小学校新教育課程の解説と授業づくりのアイデア』(共著)学事出版
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@幼児の生活と仲間関係─連続した個の育ちをみつめる─ 代表者:後藤丹(上越教育大学附属幼稚園園長) 上越教育大学附属幼稚園
学会活動への参加状況
@5月17〜18日:日本保育学会第61回大会出席,A7月6日:日本カリキュラム学会第19回大会出席,B8月2〜3日:日本学校教育学会第23回大会出席,C10月11〜12日:日本教育方法学会第44回大会出席
◎特色・強調点等
1 プロジェクト学習論史研究:これまで合衆国におけるプロジェクト学習論の史的ルーツを解明する作業やレッジョ・エミリア等における現代の幼年期におけるプロジェクト学習論の検討を進めてきた。ただし暫く扱う余裕を得ていない。
2 幼小関連・連携の問題史的研究:1の初期理論の我が国への紹介及び展開という視点から戦前の女子師範学校附属校園における連携の実態をめぐる調査,戦後における幼稚園の普及に伴う幼小連携の具体化に向けた各地の取組み(連絡協議,合同研究等)の内容を明らかにする作業を行っている。2007年度に元幼稚園教諭の協力を得て旧高田市における取組みの一端を報告し,2008年度は我が国で最初に幼小共同でプロジェクト学習を実施していたとみられる明石女子師範学校附属校園史料の調査を8月18日から21日の間に実施した。ただし他機関の史料を含む再調査が必要なため,報告は2009年度以降を予定している。
3 幼小連携の視点からみた幼児教育課程研究:2008年度は学習指導要領(生活科)・幼稚園教育要領改訂の背景・経緯及び新課程の内容を検討し,幼児・児童のプロジェクト学習(協同的な学び)をベースとした接続期におけるカリキュラム創造に向けた取組みの在り方について考察している。
 1,2は3に示唆を提供する独自の研究活動として位置づけている。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
・上越市学校教育研究会講演(11月25日,兼業)