【言語系コース】
 


有 澤 俊太郎(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 昨年度の授業評価を受け,今年度は特に受講生参加の演習形式に力を入れ,そこで得られた内容を基に受講生相互の理解を図るように努めた。また,成績評価もその取り組みに連動するかたちで行った。
【観点2】教育の達成状況
 上記のような理由から,おおむねその内容が達成されたものと考える。
研究指導
【観点1】学部
 卒業論文の指導に当たっては,国語の教科書教材を用いた読者論による授業構築を模索した。成果として,新しい授業展開案を考えることができた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院では,4人の修士論文指導に当たるとともに,博士課程の副指導教員として話し言葉の教育史に関わる指導を行い,博士論文を完成させた。
その他の教育活動
 教育実習では,1名の小学校実習の事前指導と事後指導,1名の中学校実習の事前指導と事後指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育実習では,上記の事前事後指導の他に,実習中の小研や大研の授業研究に参加し,実習校への挨拶を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】@平成21年3月:『国語科実践学の研究』(共著)国語科実践学の研究
他】@平成20年8月:『ゼミの合間に/身の回りに起こった出来事をリスナーが興味を持って聞けるようにアレンジした』 FM上越
学会活動への参加状況
@平成20年4月:日本読書学会(常任理事),A平成20年度:全国大学国語教育学会(常任理事),B平成20年度:日本国語教育学会(理事),C平成20年度:日本国語教育学会(県支部長),D5月30日〜31日:第114回全国大学国語教育学会茨城大会出席,E8月3日:日本読書学会第52回研究大会出席,F8月4日〜5日:日本国語教育学会第71回全国大会出席,G11月22日〜23日:第115回全国大学国語教育学会福岡大会出席
国内外の学術賞の受賞状況
@平成20年8月:読書科学賞受賞読書科学賞(日本読書学会)『学会発展に関する著しい貢献及び国際学会の開催』
◎特色・強調点等
 全国レベルの学会では,司会として参加し,学会の運営に協力した。また,研究活動においても内容が実践的になるよう工夫した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜3月:日本読書学会(常任理事),A全国大学国語教育学会(常任理事),B日本国語教育学会(理事),C日本国語教育学会(県支部長),D上越市市立図書館協議会(委員長),E小川未明文学館運営委員会(委員長),F子ども読書推進会議(会長)
◎社会への寄与等
 国語教育の全国レベルの学会に関する役職を3つ(常任理事・理事等),県レベルの支部に関する役職を1つ(支部長)兼任し,地域においても市関係の役職を3つ担当し,それぞれの発展に寄与した。
 


小 埜 裕 二(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 担当全授業において具体的なシラバスを作成し,ほぼシラバスどおりに授業を行った。成績評価についても,シラバス及び授業初回時に示した方針に基づき行った。教員養成を目的とする本学の学生に,小・中・高等学校の国語を担当する上での十分な能力・技能を身につけてもらうことを念頭におき,授業を展開した。また,読書に対する興味・関心を抱き,学校現場で児童・生徒に豊かな読書生活の習慣を授けることのできる力を身につけてもらうことにも配慮した。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫し,成果を挙げた。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。授業及び各種セミナーを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注ぎ,一定の成果を挙げたと考える。
研究指導
【観点1】学部
 学部学生には小・中・高等学校における国語の実践的能力を修得させるため,文学作品の解釈を中心とした共同討議を課外活動として毎週(金曜5限)行った。これは,担当の学生が毎回,資料を作成し,それに基づき,話す・聞くの活動を重視して展開したものである。この討議には大学院学生にも参加してもらい,学部学生への指導を通じ,より高度な読みの実践力と指導力を身につけてもらうことを図った。また学部・大学院学生連携の国文学実地踏査研究を10月に行った。行き先は金沢。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 上記の課外活動に大学院生に加わってもらい,その場を通じて,より高度な読みの実践力を身につけてもらうよう指導を行った。さらに大学院学生には,個々の研究テーマに即した個別指導を毎週定期的に行った。修士論文指導を直接行った学生は,M1が2名,M2が4名(うち留学生2名)である。個別指導は定期的なもの以外に,不定期に多くの時間を費やして行った。
その他の教育活動
 教育実習において学部学生4名の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫した。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。本年はとくに授業及びゼミを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注いだ。今後の課題としては,読解技能がより身近なものとして教育現場で活用されるよう,より一層の工夫を行いたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年6月:『運命のツチ−山本有三『女の一生』−』(単著)「国文学解釈と鑑賞」,73巻6号,pp119-125
A平成20年12月:『川端康成「化粧」の文化研究』(単著)イミタチオ,vol49,pp.14-25
B平成21年2月:『夢の氾濫 ─三島由紀夫「孔雀」論─ 』(単著)上越教育大学研究紀要,vol28,pp.258-266
C平成21年3月:『作法と野蛮ー宮沢賢治「紫根染について」ー』(単著)金沢大学国語国文,vol34,pp51-60
発】@平成20年10月:『作法と野蛮−宮沢賢治「紫根染について」−』(単)金沢大学国語国文学会
学会活動への参加状況
@上越教育大学国語教育学会会長
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@3月:上越国語同好会第5回例会,A9月:長岡市成人教育活動事業,B9月:三条市成人大学講座,C11月:糸魚川歴史民俗資料館秋季企画展の記念講演,D「前島密とふれあう」ふれあいハガキコンテスト選考委員,E上越看護学校入試委員,F新潟県留学生調査研究事業審査員
◎社会への寄与等
 上越市及びその近隣の市を中心に,いくつかの講座の講師を務めるとともに,研究領域にかかわる審査員等を務めた。新潟県留学生調査研究事業審査会審査委員,絵手紙コンテスト審査委員,三条市成人大学講座講師,長岡市成人教育活動事業講師,等。
 


下 西 善三郎(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 参加型の授業運営を心がけ,受講者には,その旨,講義・演習等の初回ガイダンスにおいて周知をはかった。とくに,人に聴かせてわかる話し方,発表態度等,プレゼンテーションの訓練として毎回の授業に臨むことを要求し,将来的な臨床場面(学校における教室現場,また,諸種の会議等人前で発表すること)へのたしかな対応力,基礎力を培う事をめざした。講義科目では,一つのテーマを通時的に眺めわたす工夫をし,最近の研究成果を盛り込んで内容構成を図った。講読・演習の科目では,各人に事前に発表の指針を与え,レジュメの作成の仕方,読んでおくべき文献等について指示し,個人の事前学習における効果や内容の理解を深める工夫を行った。成績評価については,授業出席,積極的な発言,取り組みの態度,試験・レポート等を総合的に判定して評価することを伝え,各回の授業への積極的参加を促した。
【観点2】教育の達成状況
 受講学生による「授業評価」によれば,単独開講授業に関しては,おおむね90%以上の学生が有益感をもっていることがわかった。所期の目的は,ほぼ達成されているものと考えられるが,なおいっそうの工夫を重ねるべきところがある。
研究指導
【観点1・2】学部・大学院
 学部・大学院の有効的な連携をはかり,教育・研究成果をあげるために,学部・大学院合同ゼミをおこなっている。学部学生および大学院学生自身の興味・関心に基づく分野から,問題・課題の発見と解決の方法を自主的・主体的に身につけさせることを心がけ,日本古典文学領域における,読んでおくべき基礎文献の探索,先行論文の理解,テクスト本文の読解,課題発見・解決の手続き,発表,等を通じて基礎力の涵養につとめ,臨床的応用場面への対応力を育成できるように日本古典文学の領域から基礎研究の指導をおこなった。学部学生と大学院学生の合同ゼミでは,発表の仕方,レジュメの作成の仕方を学部学生が学ぶ場とした。発表についての互いの意見交換があり,相互啓発の有効な場となった。大学院生が指導的立場に立つことによって院生自身の研究への自覚をうながすこととなり,学部学生は,院生の発表を通じて,多くのものを学んだ。本年度の学部ゼミ指導は,2年生2名,3年生2名,4年生3名。大学院ゼミ指導は,院2年生1名,院1年生3名であった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成20年8月:『親子の愛情物語』(共著 勉誠出版)に,「藤原道長と頼通」を執筆した。
学会活動への参加状況
@6月および2月:上越教育大学国語教育学会
 


野 村 眞木夫(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部教育において「質問書方式」を導入しショートテストと併せて講義科目を実施している。講義終了時約15分で当日の講義内容に係る質問をB5版1枚程度に記入させ,これを次週に紹介しコメントを加える。このことにより学生の理解が深まり,講義の理解の欠損を最小限に抑制することが可能である。成績評価は質問書とショートテストの結果のみで行う。学部および大学院の演習科目では,ビデオ録画・音声録音をデータとして,談話分析を実施している。これは,学校現場での教室談話の分析または授業分析の方法論または技術的な基盤を構築するものであり,プロパーの領域と教科教育領域との双方を橋渡しする役割をなす。いずれも成績評価の基準は明示的に学生に開示している。
【観点2】教育の達成状況
 学部教育においては,講義科目の学生による評価は比較的高く,質問書方式についても一定の理解は得られている。また,教員側においては,学生の理解度を毎時間に知ることができるので,翌週における補充や次年度の講義内容の改善に有効に用いることができる。演習科目の談話分析は技術的な習得の側面が中核を占めるので,学部生や新卒学生のみならず,現職派遣大学院学生にあっても有用性が高いとの感想が得られている。したがって,講義科目・演習科目ともに所期の目的は達せられていると考えている。また,現職院生で,終了後その技術を活用している事実があるため,今後もこの方針を継続する予定である。
研究指導
【観点1】学部
 談話分析を中心に研究指導を実施している。ロールプレイによって談話データを構築し,感謝・謝罪などのカテゴリに関連する談話の部分を抽出して,その分析を実施させた。従来の発話行為論や語用論的な分析ではなく,談話分析における発話の機能的範疇による記述を適用することで,談話の部分的なパターンをとりだすことが可能となった。このことにより,標記のカテゴリにどのような表現類型があり,談話がどのように展開されているのかの知見を得ることができた。教室談話への応用を内包する研究である。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 談話分析に関する研究により,2名の修士課程学生を修了させた。1名は接続詞または「指示詞+格助詞」として認定される「それが」の発話連鎖における位置づけを実例にそくして分析した。単なる品詞性の検討ではなく,談話のパターンと「それが」がどのように関連するのかを検討し,パターンの典型例と周辺例とを認定した。これは現在,学術論文として投稿予定である。他の1名は,談話に出現する「けど」の機能を中核とする逆接の接続表現の分析を実施し,これまでの研究史を参照しつつ新たな分類基準を提案することができた。いずれも研究水準は極めて高度であると判断する。
その他の教育活動
 学部学生の教育実習については,3年次学生・4年次学生の研究授業に参加することを中核として,事前・事後の指導を行った。教材分析は,日本語学の観点からであるが,一定の助言を行っている。大学院学生は,留学生と教職以外の職種の学生であるので,この限りではない。
特色ある点及び今後の検討課題等
 講義・演習は,学習材開発と分析,談話(プロトコル)分析の基礎研究,方法的実践としての機能をはたすように方向付けている。専門領域は日本語学だが,応用言語学である言語教育学への展開を指向している。受講生の言語直観と内省的な疑問を学習材やデータとする方法により,参与の度合いを高めている。また,現実の自然談話をデータとする理論的な研究は,同時に実践的・臨床的な色合いが濃厚であり,現職教員から高い評価を得ている。学部・大学院ともに,演習科目において,筆者のウェブページ(HP)上にパスワードによってアクセス可能なページと掲示板を作成し,ここにデータ等を置くことで,情報の即時性と共有化を図っている。簡便な方法ではあるが,eラーニングの試行と言い得よう。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:『テクストから見た日本語の人称 ―日本語の小説における人称表現とその階層性―』(単著)上越教育大学研究紀要,28,pp.145-156.
A平成21年3月:『石黒圭『日本語の文章理解過程における予測の型と機能』』(単著)表現研究,89,p.21.
他】@平成20年4月:『オンライン・テクスト言語学(HP)/研究概略,研究テーマ,研究業績(一部PDFで公開),文献,リンク等』 http://www.juen.ac.jp/lab/nomura/index.html
学会活動への参加状況
@表現学会理事,A表現学会編集委員,B日本語文法学会学会誌委員,C北海道大学国語国文学会評議員,D北海道大学国語国文学会編集委員,E平成20年6月7日(土)〜6月8日(日) 表現学会全国大会第45回大会(愛知学院大学日進キャンパス)に出席(理事会出席,司会担当),F平成20年6月21日(土)上越教育大学国語教育学会例会に出席,G平成21年2月28日(土)上越教育大学国語教育学会例会に出席
◎特色・強調点等
 今年度の研究活動は,日本語の人称体系を言語普遍性の観点から類型化しながら,これがテクストにおいてどのように作動しているのかについて階層性を仮定して調査し,帰納的に整理したものである。従来は文法論の観点から研究されてきたのであるが,ここにテクスト言語学の観点を導入することでより普遍性の高い規則を想定することができた。これまでの発表論文やシンポジウム等での発言が日本語学のみならず他の領域の研究者の著書・論文でしばしば言及され,筆者の主張に対する賛否両論が展開されている。今後さらに主張を明確なものにする必要がある。
 また,個人のホームページと日本学術会議協力学術研究団体である表現学会のホームページの運営に関与し,研究情報を発信している。両ホームページともに他のホームページからリンクが設定され,徐々に増加している。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 社会貢献は主として学会活動において行っている。主たるものとして,表現学会では,理事・編集委員に任命され,学会の運営,学会誌の論文査読と編集にかかわっている。また理事の立場で同学会のホームページの作成と維持を行っている。表現学会は日本学術会議協力学術研究団体であり,言語学・文学・言語教育の交差する領域において学術への貢献度が高い。日本語文法学会では,学会誌委員として学会誌の論文査読にかかわっている。同学会は日本学術会議協力学術研究団体であり,日本で唯一の文法学の専門学会として学術への貢献度が高い。
 


押 木 秀 樹(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 国語科書写指導のための基礎力の向上に加え,教師としての一般的な能力としての板書の文字などの向上にもつとめている。学習者中心型学習過程と学習内容の明確化という点を中心に教育をおこなっている。また,書字動作に関わる学習のため,視聴覚機器の使用やマルチメディア教材の作成により,学習効果を高める工夫を継続している。加えて,書字行為をコミュニケーション的視点で捉える指導を検討中である。
 評価に関して,学習物をポートフォリオ的にまとめることで,自己の学習過程を評価できる工夫を継続中である。
【観点2】教育の達成状況
 国語科書写の指導力として,授業の考え方については一定の学力を身につけていると考える。一方,実技能力と,教師としての一般的な能力としての板書の文字などについては,まだ十分といえる状況ではない。施設的にも人的にも厳しい状況ではあるが,効果的に学力を向上させる工夫をおこないたい。
 授業後の復習や実技を中心とする自習をおこなうための施設設備の不備については,十分な改善が見られたとは言い難い。しかし,月・木曜日の夜に特定の教室(講202)において自習および指導できる体制を整えつつある。
研究指導
【観点1】学部
 書写(書道)教育研究の動向に加え,文字を書く研究領域について,書学等の伝統的領域からGraphonomicsなど現代的領域までを見据えた上で,学生の課題に対する指導をおこなった。ゼミでの専門領域の研究とともに,教育実習前の模擬授業などを継続しておこなっている。書道の領域に関しては,実物を直に見る機会を設けるなど,体験的部分についても留意した。本年度は,特にパラランゲージの視点および一般の文字における感性的な側面について重点をおく結果となった。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 本年度は新学習指導要領などを参照しつつ,文字を書くことの変化を踏まえ,書字における動作の問題や書字目的及び相手意識などについて特に指導を行った。また,研究用機器の開発および充実により,筆圧に加え握圧を測定できるようにしたことことで,研究指導がより充実したと考える。また国語科書写と道徳の時間の関連など多角的な指導をおこなったことも特徴である。
その他の教育活動
・信州大学教育学部において非常勤講師として,小学校免許用授業である「国語基礎」の一部(書写)を担当した。
・教育実習では,ゼミ担当学生への通常の指導に加え,書写に関連する授業をおこなう(ゼミ以外の)学生に対するアドバイスをおこなった。
・授業以外で「文字を書く能力」の向上のための指導を希望する学生に対して,硬筆・毛筆の個別指導時間として,長期休業期間を除く月曜日・木曜日の19:00-21:00に講202教室において指導をおこなった。
特色ある点及び今後の検討課題等
 書写教育研究のうち学習内容論の指導において,他大学の先導的役割を果たしていると自己評価している。ここ数年の「書字動作」に関する内容に加え,書字行為を相手意識・目的意識・コミュニケーション的視点等で見ていくことなどについては,特に先端的であらねばならないと考えている。レベルとしては決して低くないと考えるものの,内容をわかりやすく学生に指導していくという点で不十分であり,よりわかりやすい授業としていくことが課題としてあげられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年3月:『書字における機能とその意識化による国語科書写指導-書字目的や文化的・社会的コードを中心として-』(共著)書写書道教育研究,23,pp.69-79
作】@平成20年6月:『寒山詩・廓然神自清』 第47回書象展(国立新美術館)
A平成20年8月:『寒山詩・白雲高嵯峨』 第23回読売書法展(国立新美術館他)
B平成20年10月:『変則通(変ずれば則ち通ず)』 第39回上越市美術展(上越市雁木通り美術館)
発】@平成20年9月:『書字における機能とその意識化による国語科書写指導』(共)全国大学書写書道教育学会佐賀大会
他】@平成21年1月:『上越教育大学押木研究室/webページ(書写の内容理論と本学研究室の紹介)』 http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/
学会活動への参加状況
@9月18日:全国大学書写書道教育学会 佐賀大会 出席,A9月19日:全国大学書道学会 佐賀大会 出席,B9月17日:日本教育大学協会全国書道教育部門会 佐賀大会 出席,C11月21日:全日本書写書道教育研究大会 東京大会 出席,D12月12日:石川県書写書道教育研究大会 出席,E全国大学書写書道教育学会・常任理事,
◎特色・強調点等
 3年ほど続いた,中学校書写に関わる附属中学校教諭との共同研究について,特に目的意識・相手意識を持って書くことについてのまとめをおこない,研究発表および論文とするまとめの年となった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越国語連絡協議会 書写実技講習会 講師,A10月:上越市学校教育研究会書写教育部会研修会 講師,B11月:長野県総合教育センター教職員研修講座 講師,C新潟県書写書道教育研究会 副会長,D石川県書写書道教育連盟 顧問,E上越市美術展覧会 運営委員,F8月:出前講座:書写で知っておくと良いこと!
◎社会への寄与等
 主として,国語科書写指導に関する指導として,全国レベルにおいては学習内容論について担当するとともに,北信越地区から上越地区においては毛筆実技指導を含む書写指導全般について担当した。なお,上越地区に限定されるものとして,上越市美術展における書道部門の作品講評なども担当した。
 また国語科書写指導における学習内容論を中心としたwebページを継続して公開しており,月平均4万ヒット程度のアクセスがあった。
 


 本 條 治(准教授)
 


中 里 理 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義科目では,わかりやすい説明と興味を惹く内容を心がけ,一方的な講義にならないよう,適宜質疑応答やワークシートを取り入れて,受講者自らが考え,理解できるように工夫した。成績評価は,学部の試験では個人の理解度,到達度が意識できるような内容にし,院のレポートでは,個人の興味に沿った内容に取り組ませた。演習科目では,各自が選んだテーマの調査目的を明確にさせ,わかりやすくまとめた資料の作成とそれに基づく討議を行わせた。受講者が主体となって積極的に問題を見出し,解決に向けて話し合いができるような方法を取り入れた。成績評価は,個人の目標達成度に応じる観点で評価した。
【観点2】教育の達成状況
 講義科目では,学部においては,国語科教員として必要な基礎的知識のうち,国語学に関する内容を身につけさせることができた。院においては,現場に生きるような国語学の専門的知識を伝達できた。演習科目では,学部においては,文献を読みそれを基に考える力,構成に留意して資料にまとめる力,自分の考えを発表して話し合う力を養うことができた。院においては,文章表現に関わる専門的知識と,実践力を身につけ,話し合いを通して新しい発見をさせることができた。
研究指導
【観点1】学部
 3年次では卒業論文作成の基礎的な事柄についてゼミを行っている。学生に関心を持っているテーマを選択させ,文献を読み合い,国語学の基礎概念を学ばせるとともに,卒業論文のテーマを絞らせている。4年次では卒業論文作成の個別ゼミを行っている。週1回,調査した内容を報告させ,論文の方向性を定めて自主的に取り組めるように指導している。中間発表時には発表資料の作成から発表のしかたまで指導し,文章指導と併せてプレゼンテーションのしかたも指導している。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 今年度はゼミ生がいなかったため,他ゼミの院生の修論指導を適宜行った。修士2年の中間発表会,修士1年の構想発表会で院生と質疑応答し,そののち,各院生が個別に研究室に来て,具体的な指導を行った。また,博士課程受験の留学生(研究生)に,博士課程口述試験用の指導を行った。
その他の教育活動
 4年生には,中学校教育実習後に,指導案をもとに研究授業の改善点を個別に話し合った。3年生には,小学校教育実習後に,ゼミ単位で実習の反省事項を話し合い,指導の改善点を考えた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 講義科目・演習科目においては,受講者が主体的に考える力を養い,基礎的な学力が確実に身につくよう,授業のあり方を工夫している。研究指導においては,学生が各自の論文に興味を持って取り組めるよう導くとともに,明解な文章表現の力,語彙の力が身につくよう指導している。また,学生の教員採用試験受験に際しては,模擬授業の指導と面接の指導を数回実施し,支援をしている。今後も,授業,論文,教育実習,教員採用試験(あるいは他の就職試験)など,幅広く学生を支援していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年10月:「漢語系オノマトペをどう考えるか」(単著)『國文學 解釈と教材の研究』第53巻14号 pp98-106
A平成21年2月:「徳田秋声作品に見るオノマトペ−『足迹』『黴』を中心に−」(単著)『上越教育大学研究紀要』第28巻pp.131-143
業】@平成20年12月:「読書案内「ここからはじまる文章・談話」」(単著)『月刊国語教育』28巻10号
発】@平成20年11月:「若者向けファッション雑誌の文章表現−文末表現と語彙の特徴から−」(単)日本文体論学会第94回大会
学会活動への参加状況
@6月7日:表現学会出席(於・愛知学院大学),A6月14日:文体論学会出席(於・立正大学)
◎特色・強調点等
 従来の研究内容である日本語オノマトペの研究を,文学作品の解釈と絡めて行い,論文にまとめることができた。また,「国文学解釈と教材の研究」という学術雑誌に論文を載せることで,和語系オノマトペ・漢語系オノマトペのありかたという主張を広く訴えることができた。研究発表では,「文章表現事典」の原稿として担当した「雑誌の文体」の内容の一部を発表し,研究成果を問うことができた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@ 10月:上越市立城東中学校生徒への講話,A幼稚園教員資格認定試験委員(上越教育大学)
◎社会への寄与等
 FM上越の番組「ゼミの合間に」のコーディネイトの一員となり,10名あまりの先生に出演交渉をし,若井先生以下7名の先生の聞き手を務めた。大学の広報・宣伝活動の一環であり,上越近辺の市民に大学のことを知ってもらう良い機会であった。
 


迎   勝 彦(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部においては一斉授業の形態をとった。この授業形態の問題点を解消するため,受講者の発表の場や話し合いの場を随時設けるとともに,教材の工夫(配布資料・ワークシート・音声教材の工夫)を中軸とした指導法の見直しを随時行った。また,授業内容は教育実習を含め,教育実践場面に適用できるものとなるよう配慮した。なお,中等国語科指導法では,毎回15分程度の時間を使い,教員採用試験と関わった課題の検討を行った。大学院においては一斉授業だけではなく,適宜討論を交えるなどして,講義及び演習が,受講者相互の情報交換,意見交流の場となるようにも配慮した。評価については,学部,大学院ともに成績評価基準を明示して厳格な成績の評価に努めた。
【観点2】教育の達成状況
 良好。学部学生,大学院生ともに,社会に貢献する人材育成を図るという点からみて,高い付加価値を身につけさせることができたと考える。これは,授業後のアンケートやレポート,感想などから読み取ることができる。学部学生については特に,国語科教材の検討と開発を行う能力と資質を重点的に高めることができた。大学院生については特に,「小・中学校授業の観察,分析,評価」という点において臨床的な実践力を習得させることができた。インタビュー実習を通して「学習者の考えを知る」ことの方法,知見をある程度修得させることができたと考える。
研究指導
【観点1】学部
 学部4年生の指導においては,国語科教育に関わる臨床的な実践力を習得させるために,主として,国語科における情報教育の育成という観点から,メディアリテラシー育成の方法とその課題について論をまとめることができるように努めた。学部3年生に対しては,1)国語科教育研究のあ,2)国語科における諸領域の歴史的検討と臨床的研究のあり方,3)国語科指導に関する現状把握と文献研究のあり方,に関わる専門性を高める研究指導を行った。4年生,3年生ともに,定期的に指導時間を設けるとともに,随時,質問や相談に乗ることのできるような体制作りを念頭におき,学生のケアにも努めた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院の指導においては,現職派遣教員のニーズに応えるよう,より高度な教育実践力を修得させることをねらいとした。また,教育実践場面を対象とする「研究法」と「分析法」を中軸とした専門的知識の教授を行うとともに,具体的実践的な作業・実習を重視した。修士論文制作に関わる研究指導では,ワークショップの中学校現場への適用に関する授業の構想,学習指導に際する方法論の検討と具体的な実証授業の実施・分析について教授した。論文執筆についても定期的に指導・助言を行った。また,M1生に対しては,小学校における文学指導の在り方について,ペアトークを組織した上で「説明をする」という活動を組織することに有効性について,文献的研究と指導構想に向けた具体的な検討を行った。2月には第一次検証授業を実施し,そのための指導も充実させた。
その他の教育活動
・他の国立大学法人,公立・私立大学での非常勤講師
 独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校及び独立行政法人国立病院機構新潟病院での「聞く,話す」をテーマとした講義や講演を行い,研究成果を実践場面に活用した。
・教育実習における学生指導
 学部学生の指導にあたっては,教育実習対策と教員採用試験対策の二点を重視した。前者については,国語科における教材研究の方法,学習指導のあり方を中軸として基礎的な点から指導,助言を行っている。後者については,国語科の教科内容に関する情報提供を基本としながら,面接・討議討論に関わる指導,小論文執筆に関わる指導,模擬授業対策を適宜行った。これらは,教育実習対策及び受験対策としてのみ機能するものではなく,学生自身が実際に教職に就き,実践的,臨床的に教育活動を行っていく上で重視されるべき点であると考える。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部学生に対しては,国語科における教材研究の方法,学習指導のあり方を中軸として基礎的な点から指導,助言を行うとともに,国語科の教科内容に関する情報提供を基本としながら,面接・討議討論に関わる指導,小論文執筆に関わる指導,模擬授業対策を適宜行うようにする。学生個々において,その重要度や有効性に異なりを見せるため,今後は個々の学生のニーズにあった情報提供,各種能力の育成を念頭においた指導を行っていくようにしたい。
 大学院生の指導にあたっては,基本的に「授業研究」「授業分析」の基本的考え方(理念や理論)の教授と臨床場面を想定した具体的実際的な研究の方法,分析の方法に関する意見の交流,情報の交換を重視していくようにする。これは,大前提として修士論文研究の基盤を与えることをねらいとしたものであるが,現職派遣教員が,これまでの教育実践を振り返り,今後の教育実践のあり方を考えていく上での指針を与える上で意義があると考える。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成21年1月:『学習指導用語事典(第三版)』(共著) 教育出版
論】@平成21年2月:『各教科で取り組むエネルギー環境教育データベースの構築−教育コンテンツの検討に基づく各教科のかかわり−』(共著) 上越教育大学研究紀要,28巻,pp.199-209.
他】@平成21年1月:『進学サイトワードアプローチシステム「夢ナビweb」/「夢ナビweb」における高校生を対象とした研究室紹介』 進学サイトワードアプローチシステム「夢ナビweb」
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@9月:独立行政法人国立病院機構新潟病院院内研修会講師(人間関係論),A独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校平成20年度入学試験委員,B地域貢献事業「上越地域のエネルギー環境教育の推進とそれに係わる地域ネットワークづくり」,C独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校特別講義,D地元中学校の校外学習への協力(上越市立城東中学校「総合的な学習」に係わる訪問への対応),E教員免許状更新講習講師,F名古屋市教育研究員の研究指導,G上越教育大学エネルギー環境教育研究会運営委員としての地域連携活動,H10月:独立行政法人国立病院機構新潟病院院内研修会講師(人間関係論),I11月:独立行政法人国立病院機構新潟病院院内研修会講師(人間関係論)
◎社会への寄与等
 独立行政法人国立病院機構新潟病院における院内講演会講師,独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校における特別講義講師を努めることで,コミュニケーション能力の育成,対話能力の育成という観点から,私自身の研究成果を地域・社会にフィードバックすることができたと考える。相手側からの評価は良好で,今年度(平成21年度)も同様の院内講師の依頼を受けている。また,看護学校では,本格的に非常勤講師の委嘱があった(今年度の後期の授業を担当。授業名は「人間関係論」)。
 上越教育大学エネルギー環境教育研究会においては,上越地区を中心としたエネルギー環境教育に関するネットワークづくり,情報収集,実践活動を行った。また,地域の小学校及び中学校との当該教育研究に関する連携を図った。上越・妙高地域の小・中学校教員,NPO団体らと協同で地域社会へ向けたエネルギー環境問題に関する啓発と研究成果の還元を図ることができたと考える。また,エネルギー環境教育に関するネットワークづくり(ホームページ等の作成,フォーラム・総会の実施を行った)を実現させていくことにより,地域への当該教育についての関心や意識改革を図ることができたと考える。
 


渡 部 洋一郎(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法では,学部の「中等国語科指導法(課程論)」において,中学校の国語教材を新たに開拓し授業の中に取り入れるとともに,その効果的な指導法を開発することができた。また,成績評価では,教材解釈とその指導法の説明が終わるごとに,受講生に小レポートを提出してもらい,理解度の把握と内容評価につとめ,成績に反映させた。
【観点2】教育の達成状況
 全15回の授業終了後に行われた受講生の授業評価によると,上記の取り組みによる当該授業の目的はほぼ達成されたものと思われる。
研究指導
【観点1】学部
 学部の研究指導では,2名の卒業論文を担当した。1名は論説文を用いた論理的な指導法の開拓がテーマであり,もう1名は国語科における効果的なグループ活動のあり方がテーマである。いずれも,現場での実践的な取り組みを念頭においており,極めて臨床的な内容で執筆することができた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程の研究指導では,2名の修士論文を担当した。1名は説明文を用いた複眼的思考の育成を目指すものであり,もう1名は文芸研の作文指導をテーマにしたものである。両名共に学術的なレベルに達しており,特に,説明文を用いた研究は,その内容を高く評価された結果,学会で発表された。
その他の教育活動
 教育実習では,ゼミ担当の学生のすべてについて授業(小研)前に,教材研究の実際と指導案検討を行い授業を参観した。学部3年生については3名,学部4年生については2名の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育活動の特色としては,実際の教科書に採録されている教材をどのように解釈すれば授業に役立つのかを中心に据えた点が挙げられる。教育実習の授業等でもそれを生かした授業展開をゼミ生が試みるなど,一定の成果を挙げたものと思われる。一方,課題については,それらの効果を実証的に明らかにすることなどが挙げられよう。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年1月:『文章の種類』(単著)小学校国語科教育研究(全国大学国語教育学会)pp.74-78
A平成21年2月:『授業記録における状況描写と内省報告−記録者の視点と回想行為の二面性−』(単著)上越教育大学国語研究 第23号 pp.1-13
他】@平成20年10月:『ゼミの合間に/FM上越の大学広報番組に出演した』 FM上越内
学会活動への参加状況
@4月〜3月:早稲田大学国語教育学会役員,A4月〜3月:日本読書学会編集委員,B5月30日〜31日:第114回全国大学国語教育学会茨城大会出席,C8月3日:日本読書学会第52回研究大会出席,D8月4日〜5日:日本国語教育学会第71回全国大会出席,E11月22日〜23日:第115回全国大学国語教育学会福岡大会出席
◎特色・強調点等
 昨年度は専門領域の一つである作文教育に関して,全国レベルの学会(全国大学国語教育学会)発行の刊行物に原稿を掲載することができた点と,もう一つの専門領域である授業分析について,国内の学会に投稿・掲載されたことがきっかけで,全国大学国語教育学会より次年度の秋田大会での発表オファーがあったことが最大の特色である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@8月:上越国語連絡協議会夏季大会,A11月:上越国語連絡協議会秋季大会,B4月〜10月:上越教育大学附属中学校研究協議会,C7月:新潟県コンソーシアム,D4月〜3月:学内コンサルテーション事業
◎社会への寄与等
 全国レベルの学会の役員として,2つの学会(早稲田大学国語教育学会,日本読書学会)の学会誌査読や学会運営に携わった他,地域における研究会での講師・指導者,また附属学校における研究協力者等を含め,地域貢献や社会貢献にある程度寄与したと思われる。
 


加 藤 雅 啓(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部:「コミュニケーション英語」では,18年度から新たに導入されたマルチメディア教室を活用し,リスニングとスピーキング能力の育成を重点目標とし,英語によるスピーチと質疑応答,及びペアワークやグループワークを通して積極的にコミュニケーションを図る態度の養成に工夫を凝らした。また,英語によるコミュニケーションが得意でない学生に対しては,本人の能力と興味に応じた補助教材を準備して学習への動機を高めると同時に,基礎的な英語の知識の習得,及び理解力の向上に意を尽くした。「英語学概論」では英語学の全体像を概説した上で,談話文法理論,機能文法理論の観点から英語を理解するための基本的な知識の体系である英文法をとらえなおし,「覚える文法」から「考える文法」,「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを行った。「英文法」の授業では英字新聞や洋画などの生きた英語教材を活用しながら「母語話者の言語直感に迫る文法」の構築を目指した。いずれの授業においても,本学講義支援システムを活用し,学生にはレポート,及び振り返りシート」を提出してもらい,これに対してコメント,及び「振り返りシートの振り返り」を作成して講義支援システムにアップすることにより,学生と教員による双方向のフォローアップを行い,学習項目に関する理解を深めた。
 大学院修士課程:「談話文法特論」の授業では,教育現場における英文法指導について,談話文法理論における最近の研究成果を織り込んで内容を構成した。従来の記憶中心の学校英文法を脱却し,生徒にとって身近な話題を英字新聞やWWWの中に求め,コミュニケーションを重視した実践的な英文法指導への取り組み方を工夫した。「英語学演習」の授業では,語用論,特に関連性理論における最新の言語理論を取り込み,認知とコミュニケーションの観点から発話の理解,とくに橋渡し指示に関する理解を高める工夫を行った。これらの知見を応用し,談話における指示詞に関する実践的な教材開発を行った。
 学部生の成績評価については,積極的にコミュニケーションを図る態度という観点からスピーチ内容・プレゼンテーション,質疑応答,およびレポートを重点的に評価した。大学院生については,教室で実践できる内容を盛り込んでいるかという観点から期末レポートを評価した。
【観点2】教育の達成状況
 学部:「コミュニケーション英語」では,基礎的なリスニング能力の向上が顕著に見られ,同時に積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が身についた。「英語学概論」では,「覚える文法」から「考える文法」へ意識の転換が顕著に見られ,学校現場における「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを達成することができた。「英文法」の授業では,全員が600頁を超える文法書を精読し,各自が自らのうちに「母語話者の言語直感に迫る文法」を構築することができた。
 大学院:「談話文法特論」の授業では,「話し手・聞き手・場面」で構成される「談話」を想定した「新しい文法」観,及び「母語話者の言語直感に迫る文法」観を身につけることができた。さらに,実践的な英文法指導能力を身につけることができ,パワーポイントによる教材を開発した。「英語学演習」の授業では,最新の言語理論である「関連性理論」を咀嚼した上で,談話における結束性に関する実践的な教材開発を行うことができた。
研究指導
【観点1】学部
 学部では従来の記憶中心の英文法指導の不備を指摘しながら,「英語ではなぜ同じ意味内容を伝えるのに複数の言い方が存在するのか(第3文型と第4文型,能動文と受動文)」などの「生徒のなぜに答えることができるような英文法指導」を実践し,大量の生きた英文データを与えて臨床的実践力の養成を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程では,教育現場において最新の言語理論がどのように応用できるかという観点により,「関連性理論の枠組みによる実践的コミュニケーション能力の育成」,「認知言語学による未来表現の分析と応用」等のテーマで実践研究を指導し,中学校・高校の英語教育現場におけるより高度な臨床的実践力の養成を行った。
その他の教育活動
@平成20年5月-6月,9月,教育実習における学生指導を行った。
◎特色のある点及び今後の検討課題等
 本学講義支援システムを活用し,学生には毎週レポート,及び振り返りシート」を提出してもらい,これに対してコメント,及び「振り返りシートの振り返り」を作成したうえで講義支援システムにアップすることにより,学生と教員による双方向通信による授業のフォローアップを行った。学生は振り返りシートを作成するにあたり,授業を振り返ることにより学習内容を確認することができ,教師は学生の振り返りシートを読むことにより,学生の理解度を把握することが可能となった。さらに,教師による「振り返りシートの振り返り」を次の授業の冒頭で振り返ることにより,他学生の疑問点を自らの問題としてとらえ直すことが可能となり,学習項目を一層深く理解することが可能となった。また,英語によるスピーチ,ペアワークやグループワークを通して,積極的にコミュニケーションを図る態度の養成に工夫を凝らした。さらに,「覚える文法」から「考える文法」,「コミュニケーションに役立つ英文法」,「体にしみ込ませる英文法」への橋渡しを行い,英字新聞や洋画などの生きた英語教材を活用しながら「母語話者の言語直感に迫る文法」の構築を目指した。
 「コミュニケーション英語CII」では,「英語」をツールとして用い,情報収集,及び情報発信を行い,同時にグループワークを通じてコラボレーション能力を伸ばし,プレゼンテーション能力を伸ばす,という目標達成のため,「Virtual Travel 2008」を企画し,インターネットの英文ホームページを利用して仮想旅行を計画・実施し,パワーポイントを用いて発表することにより,教科書訳読式の授業からの脱却を試みた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年12月:『It-cleft Sentences and Modality Expressions.』(単著)International Journal of Pragmatics, XVII, 1-19
A平成21年2月:『ガ分裂文の談話機能』(単著)上越教育大学研究紀要 28巻 119-130
業】@平成21年3月:『談話における指定文に関する総合的研究−関連性理論,認知言語学による考察』(単著)平成19-20年度科学研究費補助金 基盤研究(C)研究成果報告書
学会活動への参加状況
@平成20年7月:上越英語教育学会の企画・運営(会長),A平成20年11月:日本プラグマティックス学会出席(理事,評議員,編集委員),B平成20年11月日本英語学会出席(評議員),C平成20年12月日本語用論学会出席,D学会誌International Journal of Pragmaticsの編集
◎特色・強調点等
 最新の言語理論である関連性理論を取り上げ,この理論が学校教育における英語学習にどのような形で応用できるかという観点から,いわゆる強調構文(It-cleft sentence)における推論メカニズムについて考察し,日本語のガ分裂文の解釈とも関連づけて分析を行い,中学校,及び高等学校英語教材の開発に対して,生きた言語材料と理論的裏付けを提供している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@出前講座,A日本英語検定協会面接委員,B社会福祉法人「御幸会」,C海外協定校訪問(研究者交流,及び留学生派遣依頼),D海外協定校訪問(特色GP),
社会的活動状況
@新潟県立柏崎高等学校において出前講座「ハートで感じる現在完了」,「情報構造の話:英語の冠詞は難しいの?」を行った。(平成20年10月27日),A日本英語検定協会面接委員として地域における中学校・高等学校・大学の生徒・学生の英語コミュニケーション能力向上に寄与した。(平成20年7月13日,11月16日,平成21年2月22日),B社会福祉法人御幸会理事会・評議会に出席した。(平成21年2月21日)
 


平 野 絹 枝(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 最近の研究成果を取り込んだ形で,効果的な英文読解方略を指導し,異なった読解問題形式にふれさせて学生の多様な読解能力を引き出すことを心がけた。音読,黙読を練習させ,英文の読解力向上のほかに,コミュニケーション能力の育成に努めた。動機付けにビデオ,CDを使用した。大学院では,ESL/EFL及び応用言語学の理論と指導,多角的な視点にもとづいた教材分析の理論研究と実際に焦点をあてた。理解の確認のチェックのため,小テストを行い,グループやペア・ワークで,問題点を討議させ,諸理論をわかりやすく解説することに腐心した。
 成績評価に関しては,出席,日常点,課題,試験結果にもとづいて総合的に評価した。
 学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
【観点2】教育の達成状況
 学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
研究指導
【観点1】学部
 第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,国内外の文献を通して日本語と英語の丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
その他の教育活動
 平成20年4月〜21年3月:新潟大学(学部)非常勤講師として「共通英語」を担当した。
 教育実習の研究授業など,授業のコメント・改善点を指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 最近の英語教育学の理論を取り入れ,英語の理解と産出のバランスを様々な,一斉指導,ペア,グループワーク活動のなかで考慮し,学生が自主的に,また相互的に,英語力の向上や専門知識の獲得をめざせるように腐心した。今後,限られた授業時間内で個に対応した指導をどのようにしたらよいかが検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:『Reserch on test-taking strategtgies in L2 reading』(単著)上越教育大学研究紀要第28巻,pp.157-165
業】@平成21年3月:『連合プロジェクトG「初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発―連合大学院の特性を生かした学校教育実践学構築のモデルとしてー」』(共著)連合研究科共同研究プロジェクトG最終報告書
発】@平成20年8月:『pre-reading instructionがリコールテストに及ぼす影響について』(単)全国英語教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@)連合プロジェクトG「初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発−連合大学院の特性を生かした学校教育実践学構築のモデルとして−」 代表者:勝野眞吾(兵庫教育大学大学院) 連合研究科共同研究プロジェクトG
A連合プロジェクトG「初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発―連合大学院の特性を生かした学校教育実践学構築」 代表者:勝野眞吾(兵庫教育大学) 兵庫教育大学連合研究科共同研究プロジェクトG
学会活動への参加状況
@平成20年度:大学英語教育学会評議員,A平成20年度:大学英語教育学会紀要査読委員,B平成20年度:中部地区英語教育学会運営委員,C平成20年度:中部地区英語教育学会編集委員長,D平成20年度:全国英語教育学会紀要編集委員,E平成20年度:全国英語教育学会紀要(ARELE)査読委員,F平成20年度:小学校英語教育学会理事,G6月28日〜29日:第38回中部地区英語教育学会長野大会出席,H8月8日〜10日:第34回全国英語教育学会東京研究大会出席,I9月6日〜7日大学英語教育学会第47回全国大会出席
◎特色・強調点等
 読解テストの妥当性の検証があまりなされていないリコールテストに関する研究で,目標言語学習経験年数,性差,読解力,学力,の諸要因がリコールテストのパフォーマンスとその妥当性に及ぼす影響や方略との関係について継続的な研究を行っているが,これまでの先行研究では例が極めて少なく,テスト作成,評価,読解教材開発,読解指導の改善,に貢献する点で,興味深い示唆があり,独創的であるといえる。
 


北 條 } 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部,大学院ともシラバスならびに授業開始時のオリエンテーションにおいて,評価の基準を学生に明示した。学部の小学校英語教育概論,大学院の国際理解教育演習,小学校英語評価・研究法演習では,学生の自律学習態度の養成も目指し,可能な限り学生が一人またはグループで課題に取り組むように配慮し,さらに仲間同士によるピア評価活動も実施した。大学院の小学校英語教育原論においても,講義終了時に仲間同士で評価をしあうなどの工夫を行った。最終的に,学生に予め明示した基準に基づき厳正に成績の評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 本学は教員養成大学であることから,教員を目指す学部生,大学院生が可能な限り,本学附属小学校を中心としながら教育現場での授業参観ならびに授業実践が経験できるように配慮した。また,小学校英語の出張授業においてもDVDによる過去の授業記録の視聴ができるようにし,さらに自らの授業フィードバックができるよう工夫した。さらに,ポートフォリオ活用学習を取り入れ,自律学習が進むように努めた。
研究指導
【観点1】学部
 指導に当たった4年次学生2名の卒業論文のテーマは小学校英語教育であった。1名は学級ソーシャルスキル訓練を小学校英語活動に取り入れた英語活動プログラムの作成,もう一名はリズム教材を中心とした英語活動プログラムの作成を扱ったが,両名がそれぞれ活動プログラムを作成できるように,上越市立小学校に授業実践を依頼した。また両名の学生は小学校英語活動についても実施希望があったため,本学附属小学校,附属幼稚園において,出張授業のメンバーの一人として経験が積めるように配慮した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士論文担当大学院生であるが,学習臨床講座総合学習分野4名と言語系英語コース4名の計8名の指導を行った。このうち,開発研究をテーマとした学生については,上越市立小学校や本学附属小学校に授業実践を依頼した。また,調査研究をテーマとした学生については,主に修了生をとおして複数の対象校を推薦し調査が実施できるよう配慮した。さらに,小学校英語活動についても実施希望がある学生については,本学附属小学校,附属幼稚園において,出張授業のメンバーの一人として経験が積めるように配慮した。
その他の教育活動
@新潟病院附属看護学校非常勤講師
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部,大学院の担当科目において,学生の自律学習態度の養成を目指し,学生が受動的に学ぶのではなく,自ら学習に取り組めるような配慮を行っていることが特色となる。ポートフォリオを活用し,仲間同士のピア評価を積極的に取り入れてみたが,学生はそこから学ぶことが多いとの感想を述べているため,さらに効果的な適応を検討する。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年3月:『現職小学校教員の小学校英語活動の研修希望内容に関する調査研究』(単著)上越教育大学研究紀要 第28巻
A平成20年1月:『幼稚園児・小学生の知的好奇心を刺激する英語教育の学習プログラムの構築』(共著)教育実践研究 第19集 19-26
発】@平成20年7月:『小学校3年生対象の文字指導の効果に関する事例研究』(共)小学校英語教育学会全国大会第8回福島大会
A平成20年7月:『小学校英語活動実習に関するポートフォリオの設計−学部生のゲスト・ティーチャー活動を事例として−』(共)小学校英語教育学会全国大会第8回福島大会
B平成20年10月:『小学校英語教員養成を目指す出張授業への大学生の希望に関する意識調査』(単)2008年日本教育工学会第24回全国大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@学部・大学院における先導的な教員養成・研修プログラムの構築−小学校英語教育の導入を想定した幼稚園からの英語教育− 代表者:北條礼子(上越教育大学) 特殊要因経費(政策課題対応経費)事業
A幼稚園児・小学生の知的好奇心を刺激する英語教育の学習プログラムの構築 代表者:北條礼子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
B公立中学校における生徒の学力向上のための取組に対する臨床的支援プロジェクト  代表者:朝倉啓爾(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
Cポートフォリオ活用による反省的実践家としての小学校英語教員養成 代表者:北條礼子(上越教育大学)科研費基盤研究(C)(平成20年度〜平成22年度)
学会活動への参加状況
@平成20年度小学校英語教育学会理事,A平成20年度日本教育メディア学会編集委員,B平成20年7月20日〜21日:小学校英語教育学会全国大会第9回福島大会,C平成20年10月11日〜13日:日本教育工学会第24回全国大会
◎特色・強調点等
 研究テーマとしている小学校英語教育とポートフォリオ活用の研究分野でそれぞれ継続して行った。当該年度は,特に小学校英語活動について前年度より継続して,本学附属小学校,附属幼稚園と協同で大学生,大学院生による英語の出張授業を実施した。また,特殊要因経費(政策課題対応経費)事業をとおして,ポートフォリオを活用した小学校外国語活動を担当する教員養成プログラムの試作と,自律学習を支援するデジタルコンテンツを作成した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@平成20年度上越市国際教育推進協議会,A上越市立大手町小学校文部科学省指定研究開発学校3年次研究発表会,B上越教育大学出前講座
 


前 川 利 広(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部一年次コミュニケーション英語では英字新聞記事を使い,現在の社会状況を反映した出来事について英語で読む技術の導入を目指した。学部アメリカ現代小説では読みやすい英文だが味わい深い短編を選び,表面的英文読解力だけでなく言葉が持つ奥深さを感じとってもらうことを目指した。修士では英語圏の文化の実相を原語で学ぶ喜びと深さを知ってもらうことを目指した。成績評価は私の場合,SとAは本当に学んだことの証となる評価であり,その他も掛け値なしの評価である。
【観点2】教育の達成状況
 初めて英字新聞を読むことは難しく思われるようである。しかし易しいものを読んでゆくうちに少しは慣れてきて,徐々に抵抗がなくなっていっている。英文で小説を読むと表面的な意味だけでなく行間に深い意味があることに気づき,人間の言語活動の奥深さに気づくようである。これに気づいた時の学生の喜びは大きく,単に情報伝達のための味のない文章よりさらに奥を求め,文章の読み書きが深くなっていっている。
研究指導
【観点1】学部
 ゼミ生は4年生が4人在籍したが,一年間かけて読了した一冊の英文の小説について,それぞれが独自の観点から論文を書き上げた。特に原作の中の教育の様子を読んでアメリカの家庭での教育,ホームスクールの歴史を調べ上げたものは,学部とはいえよく調べてまとめていた。その他にも小説中のアメリカの伝統料理を調べ,歴史を経て未だにアメリカに伝わっているものの根源に触れたものも,よく調べていた。3年生は長編小説を英文で必死に読み進め,読解力をつけていた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程の学生はこれまで日本ではほとんど研究がなされていない人物に的を絞り,その人生観の形成を論じた。日本語での研究書がなく,英文の大部の本を10冊程度読み込んで調べ上げた論文となり,学外の研究者,一般からも関心を持たれるであろう稀有の著作物となった。
その他の教育活動
 教育実習はほとんど必ず見に行き,弱点を指摘して改善している。大学に戻ってから,教師をしている知人・教え子を通して中学校,高校に実際の授業見学に連れ出し,そのあと協議会を開いて教え方のコツを伝授している。さらにゼミ生が教員採用および他の就職試験を受けるとき,かなり綿密に補助的指導をしている。例えば学部生がPPにて小論文の指導を受ける際,担当の先生は多人数を指導しているため,個々の学生の特徴に合った指導ができていない時がある。私のあるゼミ生はPPの先生から受ける指導が呑み込めず,パニックになり放棄した。私は後を引き受け,練習した小論文を持ってこさせ,経験のなかから具体例を引き出させ,それを織り込むことを教えて長崎の十数倍の倍率を合格した。また毎年,面接の練習,模擬授業の練習を施してやり,ゼミ生の合格率を高く維持している。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学生のほとんどが教師志望であるにも関わらず,新聞を購読していない,本をあまり読まない。英語教師志望であるにも関わらず,英語力そのものが決定的に不足している,そして異文化理解であるにも関わらず,文化そのものを知ろうとする欲が薄い。小学校教師になるならなによりも国語を教える力が大切であるのに,日本語自体が貧弱である。私の授業はそれらを改善すべく言葉の授業と文化理解の授業を最優先として様々に指導している。ここに具体的方法を書くスペースはないから割愛する。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年2月:『Raymond Carver’s minimalistic Technique at Its Best and Worst』(単著)上越教育大学研究紀要Vol.28
学会活動への参加状況
@5月17〜18日:日本英文学会全国大会出席,A10月11〜12日:日本アメリカ文学会全国大会出席
◎特色・強調点等
 レイモンド・カーヴァー研究を継続している。作品論のほかに創作法の特色,創作方法の変遷,編集者による過剰編集の実態,他の作家からの影響関係等,柱となるトピックが7〜8項目立っており,それぞれについてこれまでに集めた資料のリスト作りと論考を作成しつつある。論文は年一本の割で書いてきたが,これまでのトピックと今後の論考を合わせて「レイモンド・カーヴァーの創作法」という題名の本になるまでには,もうしばらく時間がかかりそうである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@9月:講演,A10月:出前講座,B日本ヘミングウェイ協会運営委員
◎社会への寄与等
 商業高校での講演は高校側の進路指導の一環として要請があった。2学年全員が対象であったが,工業高校出身で畑違いの英米文学に進んだ私の来し方は,彼らにとって大いに参考になったようである。あとで取ったアンケート結果には,それがよく表れている。
 出前講座では進学に熱心な高校において,アメリカ文化の特色を歴史的エピソードをまじえて語った。彼らには非常に新鮮に聞こえたらしく,好評であった。
 


石 M 博 之(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部のコミュニケーションの授業では,オーバーラッピングやシャドウイングの技法を新たに取り入れた。また,時事英語で教育関係の記事を提示した。大学院では,できる限り理論ばかりでなく具体的な授業実践の場面を取り入れた授業内容とした。。
 学部では,授業で実施した内容を評価に取り入れていった。できる限り,英語で表現できるような評価を実施した。
 大学院では,実際の模擬授業を実施し,よいポイントや改善点を具体的に提示した評価を試みた。
【観点2】教育の達成状況
 学部では,各個人が易しい英語を使って,自己表現できるように試みたが,その手法を理解して取り入れた学生は達成されたと思う。
 大学院では,基本的な小学校英語に関する知識(理論)ばかりでなく,基本的な手法が身についたであろう。
研究指導
【観点1】学部
 学部生の研究指導では,研究のテーマを決定したら,それに沿った時間をそれぞれ設けて,丁寧に指導した。データの収集では,近隣の小学校等に依頼して,データの収集を努めさせた。その際,統計ソフトによる方法も提示した。個人が興味のある論文を仕上げていった。学部3年の指導では,小学校英語教育に関する基本的な文献読みをさせ,テーマに興味を持たせようとさせた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院2年生に関しては,テーマに沿って,修士論文作成に丁寧に指導した。調査に関しては,公立小学校に依頼して,データの収集をさせた。1人であったために,個人できめ細かな研究指導ができたと自負している。大学院1年生,免許プログラムの学生には,必ずしも小学校英語教育を専門にしていない学生なので,基本的な文献読みを実施した。小学校英語教育に関する知識の習得に努めさせた。ただし,小学校英語の授業を観察させたいために,小学校にも同行させた。
その他の教育活動
 自分のゼミ生の教育実習については,教育実習の研究授業を観察した。その後,ほめながら改善点を具体的に示していった。教職を使命とする学生に育てようとした。
特色ある点及び今後の検討課題等
 改善点を具体的に示すことは大切である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】@平成20年9月:『「だれでもできる」「役立つ」「楽しい」英語活動−学級担任主体の英語活動指導の取り組み−』(共著)上越教育大学・糸魚川市立西海小学校報告書
A平成20年9月:『複式3学級における楽しい全校英語活動の取り組み』(単著)上越教育大学・糸魚川市立上早川小学校報告書
B平成21年3月:『課題3:初等教育段階での英語教育プログラム(英語活動)の概観−年間カリキュラムに焦点をあてて−』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,15頁
C平成21年3月:『開発原理の事例(1):言語的側面(単数形)の事例』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,2頁
D平成21年3月:『開発原理の事例(2):言語的側面(複数形)の事例』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,2頁
E平成21年3月:『開発原理の事例(3):言語的側面(数えられない名詞)の事例』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,2頁
F平成21年3月:『開発原理の事例(4):方略的側面(コミュニケーション方略)の事例』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,2頁
G平成21年3月:『開発原理の事例(5):言語的側面(「三人称単数現在形」を気づかせること)の事例』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,2頁
H平成21年3月:『開発原理の事例(6):異文化理解を指向した場面・状況を類推させることの事例』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,2頁
I平成21年3月:『拠点校7:富山県入善町立上青小学校』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,1頁
J平成21年3月:『地域サポート事業:石川県かほく市 かほく市教育センター』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,1頁
K平成21年3月:『地域協力校1:新潟県糸魚川市立西海小学校』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,2頁
L平成21年3月:『地域協力校1:新潟県糸魚川市立上早川小学校』(共著)初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発最終報告書,1頁
発】@平成20年6月:『小規模校(複式学級)の特性を活かした英語活動の実践事例』(単)第38回中部地区英語教育学会長野大会
他】@平成20年4月:『合言葉は「英語大好き,100%」の記事/記事を通して,石浜の理論が紹介されている。』 内外教育 第5816号 15頁
A平成20年5月:『講演記事/上早川小学校の講演会「小規模校の長所生かす」』 糸西タイムス第2091号(2)
B平成20年6月:『新聞記事/元気にイエス・アイ・キャン』 上越タイムス第8962号(11)
C平成20年6月:『所報記事/小中連携英語』 柏崎市立教育センター・育成センター所報6月号
D平成20年10月:『志賀町HP/講演の紹介』 石川県志賀町のホームページ
E平成21年1月:『新聞記事/宝田小学校で英語活動公開教職員20人が授業見学』 上越タイムス第9166号(14)
F平成21年2月:『新聞記事/児童の英語必修で研修会授業見学に教員真剣』 新潟日報第23775号(16)
G平成20年10月:『上越市立山部小学校HP/英語活動って!楽っしい!』 上越市立山部小学校HP
国際研究プロジェクトへの参加状況
@初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの共同開発 代表者:勝野眞吾(兵庫教育大学) 連合研究科共同研究プロジェクトG(平成18−20年度)
学会活動への参加状況
@7月19日〜7月21日:小学校英語教育学会福島大会出席,A8月9日〜8月10日:全国英語教育学会東京大会出席
◎特色・強調点等
・公立小学校と協力しながら,小学校英語教育,外国語活動の効率的な指導方法を検討している。データを基に効果的な指導方法まで提示している。
・小学校英語を経験した学習者の聴解力の側面から,英語活動が中学校の英語教育に影響を与えているかについて検討している。英語活動の継続的な側面からの効果は,小学校の外国語活動を考える上で必要な課題である。
・新潟県における複式学級の外国語活動(英語活動)の指導方法を,学校教育現場と協力しながら,指導方法から評価まで検討している。
・外国語活動の必修化されるに伴い,小学校教員の教員研修のあり方を検討している。特に,実際に,模範授業をしたあとに,どうしてこのような授業をしたかについて具体的に提示するやり方は,小学校サイドから評価を受けている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@5月〜3月:糸魚川市立上早川小学校英語活動授業実践,A6月〜12月:糸魚川市立西海小学校英語活動の教員研修(授業の指導助言),B4月〜2月:上越市立宝田小学校の授業実践と教員研究会,C2月:糸魚川市立今井小学校授業実践活動,D5月〜12月:上越市立宮嶋小学校「小学校英語教育の進め方」授業実践,E9月〜12月:上越市立山部小学校「小学校英授業展開と教員の指導力向上」(教員研修),F5月:柏崎教育センター専門研修「小中連携英語教育」,G8月:柏崎市立荒浜小学校「小学校英語の授業展開と教員の指導力向上」,H9月:三条市立森町小学校「小学校英語の授業展開と教員の指導力向上」,I2月:上越市立国府小学校の教員研修,J9月:十日町市立馬場小学校「授業展開と教員研修」,K6月:地域拠点校「入善町立上青小学校」の英語活動教員研修会,L6月:地域拠点校「朝日町立さみさと小学校」平成20年度英語活動研修会,M10月:下甘田小学校英語活動等国際理解活動推進事業講演会,N8月:地域拠点校「入善町立上青小学校」の英語活動シラバス検討会,O10月:地域拠点校「入善町立上青小学校」の英語活動教員研修会(2),P11月:十日町市立馬場小学校英語活動等国際理解活動推進事業発表会,Q11月:地域拠点校入善町立上青小学校英語活動研究発表会講演,R9月〜10月:石川県かほく市立小学校校内研修会,S4月:糸魚川市立上早川小学校「保護者学習会」,(21)1月:糸魚川東中学校区支援訪問による英語活動研修会,(22)8月:十日町市教育委員会主催「小学校英語活動の進め方」研修会,(23)8月:糸魚川市教育委員会主催「小学校英語活動研修会(第1回)」,(24) 8月:上越市教育センター主催「授業力向上研修小学校外国語活動研修会」,(25)8月:平成20年度朝日町英語活動研修会,(26)8月:入善町教育センター主催「小学校英語活動実技研修会」,(27)10月:糸魚川教育委員会主催糸魚川市立東小学校公開授業,(28)9月〜11月:公開講座「小学校英語」の入門
◎社会への寄与等
 各の地域で,授業実演をしながら,それに基づく講義やワークショップを実施した。教員や校長先生,指導主事,教員委員会等から,具体的でわかりやすいと評価が高い。特に,実際に授業の実演は,「こうすれば,児童が主体的に活動すること」が示されていると言われた。講義に関しても,実践に基づく理論であり,その理論を各の小学校で応用可能であると言われている。また,講演会の資料が,講演会に参加した教諭(金沢市の教諭)が引用して,報告書にまとめている。「実践」と「理論」が融合していると言われた。
 


大 場 浩 正(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 受講学生の授業科目に関する意識等をアンケートにより調査すると同時に,授業全体の目的・目標,学習内容(計画),成績評価方法を詳細に解説した。また,毎回の授業では個々の活動に関して何のために行なうのか(何に役立つのか),どのように行うのかを明確にし,学習への動機付けを促し,自己評価やプリント等のチェックなどを通して(形成的評価として)その日の活動成果を確認した。学習の成果のみならずその過程を評価することを通して受講学生の学習意欲を高めるようにした。
【観点2】教育の達成状況
 毎時間の自己評価や形成的に行う小テスト,および14回目の授業後に集めた全てのプリント等を総合的に判断すると,学生の英語学習に関する達成度は非常に高いと思われる。高等学校までではあまり扱われることがないオーセンティックな英語教材など高度なものもあったが,学生たちは努力し,協力し,その成果を上げた。毎回の授業後には自己評価やレポートを提出してもらいコメントをつけて返却したことで,学生たちの学習意欲は高まった。
研究指導
【観点1】学部
 国内外の専門誌に掲載された論文や専門書の講読を通した専門的知識の獲得(文献研究)とその知識に基づく実証的な研究(実験研究)を通して英語教育に関する洞察力や臨床的な実践力を深めさせ,卒業論文を完成させるための指導を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 より高度な専門的な知識,および臨床的な実践力を修得させるために,国内外の専門誌に掲載された論文および専門書の内容を報告させ(文献研究),それに基づいて議論等を行い,設定した研究課題への取り組みを通して修士論文を完成させるための指導を行なった。
その他の教育活動
 教育実習における研究授業を参観し,その後,授業内容や授業方法について,(時には指導の教員を含めて)検討した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部では,英語を専攻していない学生の指導において,将来,(主に)小学校の教員として子供たちに英語を教える機会もあることを踏まえ,英語に対して肯定的な態度が育つように心がけた。また,英語教育に関する専門の授業では,最低限,教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。大学院においては,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実験研究の成果を正確に理解させることに勤めた。卒業論文や修士論文の指導においては,理論的な側面のみならず,理論に基づく提案等を通して実践力の獲得に焦点をあてた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年6月:『Acquisition of English features by adult EFL learners: The application of Item Response Theory in SLA research』(共著)Electronic Journal of Foreign Language Teaching, 5
業】@平成21年3月:『初等教育段階における系統的英語教育に関わる教師教育プログラムの協働開発−連合大学院の特性を生かした学校教育実践学構築のモデルとして−』(共著)科学研究費補助金報告書
発】@平成20年12月:『The Acquisition of Article by Japanese Learners of English』(共)The Third CLS International Conference (CLaSIC 2008)
学会活動への参加状況
@6月28日:第38回中部地区英語教育学会,A7月19日〜20日:アジアにおける初等英語教育の今後の展開,B8月9日:第34回全国英語教育学会,C12月3日〜5日:The Third CLS International Conference (CLaSIC 2008),D1月24日:日本協同教育学会セミナー,E2月11日:北海道英語教育学会論文発表会
◎特色・強調点等
 日本人英語学習者の関係節構文とwh疑問構文の習得について,オンライン処理における文解析の視点からの研究を行った。また,共同研究の第二言語の文法能力の発達における新しいテスト方法やデータ分析方法の開発(科学研究費補助金による)に関しても,その研究成果を国際学会で発表した。これまでにない分析方法による包括的な研究という点で優れたものである。さらに,英語授業における新しい可能性として協同学習の形態を取り入れた指導の効果に関する実証研究も開始した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市中学校英語科教員指導力向上研修会推進部副部長,A上越教育大学附属中学校研究協議会研究協力者,BECHO会(上越地区中学校英語教師の会)講師,C柿崎中学校NIE研究会指導者
◎社会への寄与等
 平成20年度より上越市教育委員会は中学校英語教員全員に英語教員授業力向上研修を義務ずけ,アクションリサーチを展開することになった。その推進部副部長及びアドバイザーとして参加し,参加英語教員の相談等を受けたり,授業参観や指導を行った。また,上越地区中学校英語教師の会では講習会講師となり,理論や実践に関する講演を行った。また,第二言語習得学会と北海道英語教育学会では運営委員と学会紀要編集委員を務めた。
 


野 地 美 幸(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 マルチメディアを活用して授業が単調にならないよう工夫した。また評価面では初回の授業で説明を行うことにしているが,その説明通り,ノート提出,テスト,授業参加状況など1つの授業でも多面的に評価を加えるようにした。
【観点2】教育の達成状況
 概ね達成できたと思う。
研究指導
【観点1】学部
 学部生に関しては第2言語獲得に関する先行研究を読むことにより英語の読解力,批判的思考能力の養成を図ることをねらいとしているが,目標に合致したデータ収集・整理・分析等ついて初歩的指導を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院生に関しては第2言語獲得に関する先行研究をトピックにしたがって一通り読むことにより英語の読解力,批判的思考能力の更なる養成を図ることをねらいとしているが,目標設定・データ収集・整理・分析等ついて指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 今後の課題としては引き続き学部生,院生が自ら前向きに教育,研究活動に取り組めるよう支援してゆきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年3月:『英語によるコミュニケーションを支える文法指導:英語教育実践例の分析を通して』(共著)教育実践研究,第19集,pp.1-7
発】@平成20年6月:『「だけ」が含まれる否定文の解釈:子供は統語的情報を用いるのか?』(単)日本言語学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@学部・大学院における先導的な教員養成・研修プログラムの構築−小学校英語教育の導入を想定した幼稚園からの英語教育− 代表者:北條礼子(上越教育大学) 特別教育研究経費(政策課題対応経費)
A上越市国際理解教育推進事業 代表者:小林毅夫(上越市教育委員会) 上越市教育委員会
学会活動への参加状況
@6月21日:日本言語学会出席,A7月12日:上越英語教育学会大会運営,B11月1日〜2日:ボストン大学言語発達カンファレンス出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市国際理解教育推進協議会委員
 


ブラウン・アイヴァン・バーナード(外国人教師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部新入生の大部分は,中・高等学校で学習した英語の知識を実際のコミュニケーションに使う機会が不足しており,自発的な会話ができない。
 まず基本フレーズを復習,活用方法を練習し,学生が自分の経験や意見をペア及びグループ内で発表した。そして学生は,成績評価の対象となる発表に向け,好きな話題を選びプレゼンテーションの準備をした。
 将来,中学校で英語を教えたいと考えている学部二年生以上の学生の中で,まだ自分の英会話力に自信のない学生向けに,英語コミュニケーション(会話)の選択科目で,集中的な会話活動を行った。まず,学生が毎回同じ友達グループで同じ様な会話にならないよう,学生同士の会話グループ・メンバーを3週間ごとに変えたり,更に,会話を録音し,分析し,感想文や上達目標についてレポートを書かせたりした。
 大学院の現代英語特論では,院生は英語で学校教育,社会言語学及び世界英語の多様性といった話題について私が書いた英語の文章を読み,ペアー及びグループ・ディスカションを通してその話題に関する知識を増やした。後半では,ディベート・プロジェクトを行った。学理的な英語を練習する機会が多く,非常に活発で刺激的な授業になった。
 現代英語演習では,大学院生がアカデミック・ライティング力の上達を目標とし,授業活動,自習や小論を積極的に,一所懸命に取り組んだため,非常に活発で刺激的な授業になった。プロセス・ライティング・アプローチを通し,院生は内容深く正式な小論を書くことが出来た。最後に学生の達成感のために,院生が書いた英語小論文を集め,雑誌を作って学級で配った。
【観点2】教育の達成状況
 学部生:多数の学生が英語コミュニケーション力に深く役に立つ英会話活動及び英語プレゼンテーション活動の経験をし,英語コミュニケーションというプロセスの意味より深く理解し,どうやって実際の英語コミュニケーションの力を強化するかを効果的に考えるようになった。
 大学院生:英語ライティング,プレゼンテーション及ぶディスカションの過程で学生の英作文の質が全体的に上達し,質の高い論理的な英語で,興味深い見解を伝えられるようになった。
研究指導
【観点1】学部
 4年生の卒業論文に関する研究資料(英語版のアンケートなど)と卒業論文の英語要約文を指導した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 研究資料及び教育実習資料,卒業論文の英語の内容を確認し,適切な英文表現を細かく指導した。
その他の教育活動
 海外教育(特別)研究A(オストラーリア)での教育交流会・教育実習の参加学生を対象に,クラスルーム・イングリッシュ及びホームステイ・イングリッシュの授業を行った。学生の教育実習のための授業内容を指導し,学生が準備した授業内容の英語を校正し,学生の発音参考のためにモデルスピーチを録音し与えた。その教育実習の授業のリハーサルに参加し,英語での説明及び資料にフィードバックをした。その教育実習は非常に効果的であった。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 日本の学生は人前で自分の意見を発表したり他の人の意見に対して自分の意見を述べるという経験が乏しいため,これから教員になろうという学生の将来を踏まえ,なるべく発表の機会を与えた。今後は,学部生もより積極的に英会話できるよう,クラスルーム・イングリッシュ及び会話ストラテジーをさらに細かく指導する予定である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成21年3月:『Bilingual Behaviour, Attitudes, Identity and Vitality: Some Data from Japanese Speakers in London, UK』(共著)Journal of Multilingual and Multicultural Development, 30(4), 1-17 (iFirst article - インターネット)
A平成21年2月:『On the Integration of Lexical Information into the P&P Model of Syntax』(単著)『上越教育大学研究紀要』第28巻(105-117頁)
B平成21年2月:『The English Pronunciation of a Japanese: Theoretical Linguistic and Sociolinguistic Perspectives』(単著)『上越英語研究』(上越教育大学の上越英語教育学会)第9号(3-15頁)
発】@平成20年6月:『Cyclical Syllabus Design, Autonomous Learning and Awareness-Raising in an English Conversation Course』(単)東大阪,近畿大学,JALT (全国語学教育学会)
A平成20年11月:『Projects, Cultures, Identities and World Englishes』(単)東京都,国立オリンピック記念青少年総合センター,JALT (全国語学教育学会) 第34回国際年次大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@学部・大学院における先導的な教員養成・研修プログラムの構築−小学校英語教育の導入を想定した幼稚園からの英語教育− 代表者:北條礼子(上越教育大学) 特殊要因経費(政策課題対応経費)事業
A「小・中連携を意識した小学校英語の実戦的研究−カリキュラム編成に焦点をあてて−」代表者:石濱博之(上越教育大学) 科学研究費
◎特色・強調点等
 平成20年4月−現在:上越教育大学の北條礼子先生担当の文部科学省の特殊要因(政策課題対応経費)事業で行っている小学校英語教育の研究活動に研究者として参加。小学校英語授業を担当する先生を対象とした「クラスルーム・イングリッシュ」のDVDを作成した。
 11月29日−12月1日:上述の文部科学省特殊要因(政策課題対応経費)事業のために沖縄県の研究会に参加し,情報集めた。
 平成19年度から20年度まで,本学の石濱博之先生が担当している科学研究費で行う「小・中連携を意識した小学校英語の実戦的研究−カリキュラム編成に焦点をあてて−」に研究分担者として参加,DVDで録音した小学生の英会話を評価した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@M-PEC(Myoko Powerful English Club),A妙高市新井小学校の英語カリキュラム開発プロジェクト,B附属小学校研究会,C附属中学校研究会