【芸術系コース】
 


池 田   操(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院の独唱T,Uでは,音楽分野以外の学生も受講している。教員採用試験も念頭に置き,専門性に偏らず,受講生の広いニーズに答えるよう指導した。成績評価は,達成度を評価した。
【観点2】教育の達成状況
 受講生による授業評価を見る限り,学生は全体的に授業に関して満足していたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 音楽コースには,卒業要件として論文と演奏があり,4年生1名,3年生3名に,声楽指導を行った。個々の持ち味を生かしながら,基礎歌唱技能の育成から始め,より高い表現法を目指し指導した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 2年生が1名,1年生が2名おり,全員に論文指導と演奏研究指導を行った。2年生の1名は,ベルカント・オペラに関する研究を行い,その研究の成果として,神戸国際学生音楽コンクールにて入選となった。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育現場では,音楽の時間の主とした位置に,歌唱指導がある。目前の課題だけにとらわれず,応用力も備わった実践力を目指し,発声法,発音法を基礎として,歌唱指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成21年1月:『プッチーニ作曲 ラ・ボエームより 私の名はミミ 他』 首都オペラ ニューイヤーコンサート
A平成20年9月:『ヴェルディー作曲 ドン・カルロより天の声』 首都オペラ 創立20周年記念公演
B平成20年9月:『柴田南雄作曲 歌曲集 優しき歌』 東京室内歌劇場コンサート
C平成20年10月:『山田耕筰作曲 ばらの花に心をこめて 他』 上越教育大学創立30周年記念演奏会
◎特色・強調点等
 長年にわたり,イタリア・オペラと日本歌曲の演奏法を研究している。今年度は,首都オペラ公演 ドン・カルロ「天の声」と,東京室内歌劇場コンサート「日本歌曲の流れ」にて,柴田南雄の歌曲集「優しき歌」をもって研究成果を発表した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@NHK学校音楽コンクール上越地区大会審査委員 A上越市芸能祭合唱祭講評及び指導 B新潟県音楽コンクール声楽部門審査員予選会審査員 C新潟県音楽コンクール声楽部門審査員本選会審査員
◎社会への寄与等
 コンクール審査員,合唱指導及び講評,演奏会を通して,地域の音楽的文化活動に関与した。
 


後 藤   丹(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業内容に取り残される学生が出ないように配慮した。具体的には,できるだけ前の授業の内容について言及し,思い出させるとともに現在の進行と結びつくように取りはからった。
【観点2】教育の達成状況
 かなり効果を上げることができた。
その他の教育活動
 ゼミの学生の実習授業に立ち会いアドヴァイスをおこなった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年8月:『高野喜久雄の詩による二つの合唱曲』 上越文化会館大ホール
A平成20年8月:『うた(独唱曲)』 上越文化会館大ホール
B平成20年12月:『踏まれた猫の物語』 福井市風の森ホール
C平成20年12月:『さくら』 福井市風の森ホール
D平成21年3月:『オペラ《コシ・ファン・トゥッテ》の指揮』上越リージョンプラザ
E平成20年7月:『全音ピアノピース・セレクション「愛」』全音楽譜出版社
F平成20年7月:『全音ピアノピース・セレクション「癒し」』全音楽譜出版社
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@阿賀中学校の校歌作曲
 


峯 岸   創(教 授)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@伝統文化こども教室選考委員会(伝統文化活性化国民会議),ATBSこども音楽コンクール,B平成20年度新潟県高等学校文化連盟日本音楽演奏発表会,C佐渡市中学校音楽教育研究会,D学習指導要領の改善等に関する調査研究の打合せ,E平成20年度上越教育研究会特別研修会,F上越教育大学附属小学校(音楽科)研究会 指導者・協力者
 


茂手木 潔 子(教 授)
 


阿 部 亮太郎(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 個別の専門性の向上をめざすことはもちろんだが,実践場面での実践力の確認とその向上にかなりの重きをおいた教育を行い,授業内で具体的に評価の観点に言及することで,成績評価が単なる数値的な達成にならないような工夫を行った。
【観点2】教育の達成状況
 個別の授業では,専門的な力,および実践力の向上はかなり達成されたが,実践力については,全学の連携なくして,総合的に達成されるものではなく,その点では,まだかなりの向上の余地がある。
研究指導
【観点1】学部
 指導学生がゼロのため記述なし
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 ひとつの観点からの一面的な考察でない総合的な考察が可能なよう,状況をつくっている。
その他の教育活動
 教育実習では,研究授業に限らず,そこに向かうまでの過程にも立ち会い,そこでの個別の課題の発見と解決に取り組んだ。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 それぞれの専門が重要なのはもちろんだが,いわゆる「研究業績」の範囲だけでの教育ではなく,実践の場面においてどのように力を発揮できているか,また状況を読み取ることができているかに相当の重きを置いて,学生の「受け取る力」「実践する力」の向上に貢献する活動を行っている。
 自分自身の,学生の実践力把握と,表現が成り立つ場面を想定する力をきたえることが,なお課題であるが,実践力の把握は,全学の連携なしには成り立たないので,全学のシステムの改善も喫緊の課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年10月:『≪高空より≫(新作初演・フルートとピアノのための作品)』 上越教育大学開学30周年記念演奏会
A平成20年10月:『阿部亮太郎≪高空より≫初演演奏』 上越教育大学開学30周年記念演奏会
B平成20年5月:『上越バンドフェスティバルでの指揮』 上越文化会館
C平成20年10月:『越路町立(現・長岡市立)越路西小学校校歌』 日本教育大学協会音楽部門北陸地区会
発】@平成20年6月:『松村禎三≪管弦楽のための前奏曲≫について』(単)日本音楽表現学会
A平成20年10月:『校歌の作曲について』(単)日本教育大学協会音楽部門北陸地区会研究協議会
 


上 野 正 人(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 声楽の演習の授業では,特に実践力と応用力に主眼を置いて指導を行った。成績は,授業への取り組みの態度とともに本人の熟達度を基準として採点を行った。
【観点2】教育の達成状況
 昨年修了した2名は,1名は千葉県の採用試験に合格したが,辞退し郷里の富山県で臨時採用教員として勤務している。もう1名は上越市内中学校で臨時採用教員として勤務している。卒業した1名は,本学大学院修士課程に進学している。
研究指導
【観点1】学部
 声楽実技では,初学者,すでに学習を進めているものともに基礎技術の涵養と,楽曲分析に基づく表現法構築の方法に主眼を置き指導を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院においては,音楽の論文の書き方について,文章化の方法,楽曲分析の方法,アンケートの分析などに主眼を置き指導を行った。実技においては,基礎に基づく技法の習得と表現法の指導を行った。
その他の教育活動
 新潟大学教育学部音楽科において非常勤講師として指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 これまでの指導で一定の成果を挙げている事は指導学生の卒・修了後の様子から見て取る事ができる。今後は,さらに指導の質を高めるためにも,なおいっそう研究を進める必要があると考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年6月:『久比岐野合唱フェスティバルにおける高田木曜会合唱団の指揮』 頸城希望館
A平成20年6月:『久比岐野合唱フェスティバルにおける合唱団雪ん子の指揮』 頸城希望館
B平成20年6月:『久比岐野合唱フェスティバルにおける妙高ジュニア合唱クラブの指揮』 頸城希望館
C平成20年6月:『長岡アウトリーチコンサート』 長岡市内小・中学校
D平成20年6月:『新潟県音楽コンクール予選審査』 新潟市音楽文化会館
E平成20年6月:『新潟県うたごえ合唱講習会』 ユートピアくびき希望館
F平成20年7月:『「カルメン」エスカミーリョ役演唱』 見附市アルカディアホール
G平成20年7月:『卯の花音楽祭での独唱会』 大潟コミュニティプラザ
H平成20年7月:『新潟県音楽コンクール本選審査』 りゅーとぴあコンサートホール
I平成20年8月:『上越市民オペラおはなしコンサートVol.2』 上越文化会館
J平成20年9月:『新潟県うたごえ合唱発表会での合唱団雪ん子,及び合同合唱団の指揮』 五泉市村松さくらんど会館
K平成20年9月:『妙高市・吹田市合唱祭における「心のままの合唱団」指揮』 妙高市文化ホール
L平成20年10月:『高田木曜会合唱団第55回記念演奏会における指揮』 上越文化会館
M平成20年11月:『「全国のうたごえ」における合唱団雪んこの指揮』 ティアラ江東
N平成20年12月:『歌劇「奴奈川姫」大国主及び八重事代主演唱』 糸魚川市市民会館
O平成21年1月:『ヘンデル「メサイア」バリトン独唱』 富山大学黒田講堂
P平成21年2月:『ベートーヴェン「第九交響曲」バリトン独唱』 燕文化会館
Q平成21年3月:『「コシ・ファン・トゥッテ」ドン・アルフォンゾ演唱,演出,総監督』 リージョンプラザ上越コンサートホール
R平成21年3月:『妙高ジュニア合唱クラブ発表会における指揮』 妙高市文化ホール
◎特色・強調点等
 例年同様,自己の演奏研究発表は独唱のみならず,合唱指導,企画,オペラ演出と多岐にわたる総合的な活動を行った。これらの活動は,日頃の研究成果を地域に還元すると同時に音楽文化での地域活性化に寄与するものであり,今後も継続して行う環境が構築されている点に置いて評価されると考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@高田木曜会合唱団の指導及び指揮,A合唱団雪ん子の指導及び指揮,B上越市民オペラの総監督・指導,C新潟県音楽コンクール 審査員,D上越市民創作音楽劇の総監督,E妙高ジュニア合唱クラブの指導・指揮,F(財)新井文化振興事業団理事
◎社会への寄与等
・(財)新井文化振興事業団の理事として,妙高市文化ホールの事業に寄与した。
・多くの市民合唱団やオペラなどの総合監督として企画・指導を行い,地域の芸術文化発展に大いに寄与した。
 


時 得 紀 子(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 新入生の全学部1年と免Pの受講生を対象とした講義(於:体育館)および,初等音楽科指導法などでは,実践的な課題について具体的な表現を実践体験する教育方法も取り入れ,重視した。また,評価においては,パフォーマンス評価も積極的に活用し,学部生,院生の表現教育にかかわる探究の姿勢をそのプロセスからも読み取るよう努めた。大学院における講義では,多岐に及ぶ専門の受講生を迎えたことを生かし,「総合的な学習」や「表現教育」を幅広い視野から捉え展開することを探究した。評価においても受講生への発言を促し,授業への参加度も考慮した。
【観点2】教育の達成状況
 観点1の教育方法を生かし,特に院生を対象とした講義では互いに異なる分野の視点からの見解をブレーンストーミング的に交換し合う討論の場を生かすことができた。科研研究の一環での(2008年7月)イタリアにおける子どもたちの表現活動の映像や,米国の授業の映像を含む資料を活用することができ,我が国と欧米の表現活動の違い,それぞれの教育目標などについても,学ぶことにつながった。また,科研の成果をまとめた書籍の出版に向けた執筆原稿を講義に活用したことも,教育内容を理路整然と再構築し,受講生に対して豊富な資料とともにわかりやすく展開することにおいて大いに役立ったと受け止めている。
研究指導
【観点1】学部
 学部生の卒業論文指導においては,3年次生が保育領域における手遊び歌の実践場面での生かされ方について探究するもので,地域の保育現場への訪問を促すとともに,本学の豊富な資料を図書館で収集することを支援した。また,新たに日本保育学会にも所属し,5月には口頭発表を行うとともに,学部ゼミ生の研究に活用できる情報を積極的に入手した。
 コンテンポラリーアカペラについての研究〜ゴスペルとの関わりを通して〜について執筆を行った4年次生は,顧問を務める「アカペラ・サークル」に所属する学生でもあった。アカペラの多様な表現様式についての資料収集を科研研究のため米国に赴いた際などにおいても収集し,卒論研究材料の提供などに務めた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 院生は免プロの4名を指導した。初等教育段階におけるリトミックを活用した身体表現活動の研究では,地元の小・中学校を院生たちと共に参観訪問し,データを生かした修士論文の作成を支援した。音楽教育実践学会,日本音楽教育学会などにおいて口頭発表した際,関連資料を収集することにも務め,中1ギャップを研究する院生などに提供した。幼児教育の歌唱に関する研究を継続する院生に対しては,全国の関連幼稚園への大規模なアンケート調査を促し,データ分析を深めることにかかわった。4名いずれのゼミ生においても臨床的な研究を生かすことを推進した。
その他の教育活動
・私立玉川学園大学における夏期スクーリングの指導講師「音楽」を担当した。(8月の計5日間に及ぶ集中的な音楽科指導法を担当した。受講生は約150名の大規模な講義室での講義であったが,身体表現活動を取り入れた実践的な教育方法に極力務めた。
・小学校全科における「音楽」を対象とした講義を担当した。過去問を多く取り上げ,近年の傾向と対策を重視した講義を展開した。
・小学校においても音楽の授業のみならず,総合的な学習や他教科とかかわる授業についても参観訪問や,指導を行うことに務めた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 年度末の上越教育大学出版助成を受けての出版に向けて,総合表現活動の理論と実践に関した執筆の集大成を行っていたことを存分に生かした。全国の特色ある総合表現活動の実践事例を活動内容別に分類し,今日の小,中学校における実践を整然とまとめ,わかりやすく講義することができた。このことは,学部・大学院の講義いずれにおいても達成できたものと受け止める。今後の課題としては,こうした豊富な臨床的な資料をもとに,学部生であってもグループ毎にそれぞれの実践の成果や課題について探求させるなど,学生が主体的に授業分析を行える場を講義の中でも提供し,導入して行きたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】@平成21年3月:『総合表現活動の理論と実践』(共著)教育芸術社
A平成21年3月:『子どもと表現』(共著)日本文教出版
論】@平成20年7月:『Effectiveness of Integrated Arts Curriculum for Japanese Students and Plans for the Future Model in Japanese Schools』(単著)28th ISME World Conference Proceedings pp.297-303, ISBN:9780980456028
A平成21年2月:『総合表現活動のもたらすもの―上越教育大学附属中学校「表現創造科」の実践から―』(共著)上越教育大学研究紀要 第28巻 pp.243-256.
B平成21年3月:『クロスカリキュラムを通した表現の可能性―英語の歌を教材とした創作活動を通じて―』(共著)教育実践研究第19集(上越教育大学学校教育実践研究センター)pp.9-18.
作】@平成20年4月:『ミュージカル発表会に向けた実践的指導』 学内(本学附属中学校)
A平成20年11月:『クロスカリキュラムを通した表現の可能性―英語の歌を教材とした創作活動を通じて―』 学内(附属中学校2年生対象)
B平成20年5月:『12月のミュージカル発表会に向けて(附属中学校3年生への授業)』 学内
業】@平成21年3月:『即興表現活動を視野とした授業実践の国際比較研究』(単著)日本学校音楽教育実践学会紀要『学校音楽教育研究Vol.13』pp.192-193.
A平成21年3月:『教育研究発表「音楽」における実践報告の動向から』(単著)『新潟県の教育』第58次県教育研究集会報告
発】@平成20年5月:『幼少連携を視座とした表現教育の一考察―日米実践事例の現状を通して―』(共)日本保育学会第61回大会 
A平成20年11月:『インプロヴィゼーションを取り入れた表現教育に関する一考察米国公立・私立小学校・教員養成大学等への参与観察を通して―』(単)日本音楽教育学会第39回全国大会
B平成20年8月:『即興表現活動を視野とした授業実践の国際比較研究』(単)日本学校音楽教育実践学会第13回全国大会
C平成20年7月:『Effectiveness of Integrated Arts Curriculum for Japanese Students and Plans for the Future Model in』(単)ISME(International Society for Music Education)国際音楽教育学会
国際研究プロジェクトへの参加状況
@小・中学校の総合表現型カリキュラムの開発と評価 代表者:時得紀子(上越教育大学)日本学術振興会科学研究補助金基盤研究(C),A主題:国際化に対応する教員養成プログラムの開発 代表者:時得紀子(上越教育大学) 平成21年度「海外進出・ネットワーク形成支援事業」学内申請
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜3月:上越市文化・スポーツ振興常任委員,A10月〜11月:第58次県教育研究集会,B12月:ジュニア・リリックコンサート2008(支援事業)
◎社会への寄与等
上越市立大手町小学校音楽発表会および創作組曲発表にむけた実践的指導
・2009年2月「大手学びのステージ」3月「卒業創作組曲」の上演。および,2008年度公開研究発表会協議会における助言指導。
・院生とともに,創作組曲の制作過程を参観訪問した。過去5年間の継続した参与観察を研究成果をまとめるため,近有紀子教諭の協力を得て『ふれあい「なかま」みんなで創ろう「創作組曲」〜組曲づくりを通し,仲間のよさに気づき,認め合う子ども〜』と題した実践報告をまとめ,「総合表現活動の理論と実践」(教育芸術社 時得紀子編著)に執筆した。2009年度以降の継続研究を目指し,現在本学学内プロジェクトに申請中である。
 


平 野 俊 介(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 本年度も,音楽実技関連の授業には昨年度と同様,音楽分野の学生に加え,他コース学生の履修も多かった。履修目的は,音楽の免許状取得や実技技能の向上のためなど様々だが,一人一人の学生に対応した指導内容の工夫が求められている。音楽分野の学生に対しては,これまでと同様に音楽科の教員として備えておくべき実技力の養成に重点を置いている。授業を通して,学生が持っている能力を一層発展させることができるように,常に指導内容と方法の改善には取り組んでいる。評価に際しては,日頃の課題に対する取り組む姿勢とその達成度を何より重視している。
【観点2】教育の達成状況
 音楽実技の授業では,興味と意欲を持っている学生が受講しているため,学習目標の達成度はほぼ満足いく状況にある。勿論達成度には個人差があるが,受講生と教員の双方にとり,納得できる達成感に到達できるように,指導法には検討を加えていかなければいけないと認識している。
研究指導
【観点1】学部
 2名(うち1名4年)の演奏実技を担当。ゼミの中での実技指導の方法や内容が,学校現場の音楽授業に生かすことができる実践力や応用力の育成にもなるように工夫した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院1名のゼミ担当と博士課程1名(途中で退学)のゼミの副担当。大学院生の演奏実技と論文指導を行い,研究テーマに関して専門的な視点からのアドヴァイスを心がけた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年6月:『平野俊介ピアノコンサート』 大潟コミュニティプラザホール
A平成20年10月:『教員コンサート』でピアノ独奏,上越教育大学講堂
B平成20年10月:『高田木曜会合唱団第55回記念演奏会』でピアノを担当,上越文化会館
C平成20年11月:『第5回子どものためのアドヴァイスコンサート』でのチェロ独奏のピアノ伴奏,上越教育大学講堂
D平成20年12月:『ピアノコンサート』 上越文化会館
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜6月:公開講座「ピアノ入門」,A6月:久比岐野合唱フェスティバルでの合唱のピアノ伴奏,B6月:第43回新潟県音楽コンクールピアノ部門審査,C7月:第38回上越市市民芸能祭での合唱のピアノ伴奏,D12月:第1回新潟県ヤマハピアノコンクール予選審査,E2009年3月:第1回新潟県ヤマハピアノコンクール本選審査
 


長谷川 正 規(講 師)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成21年1月:『BRASS COLLECTION 3』 富山県・高岡市生涯学習センターホール,新川文化ホール小ホール
A平成21年3月:『第20回西日本医科学生オーケストラフェスティバル』高知市文化プラザかるポート大ホール
B平成20年12月:『第1回下町の美しい心づくりコンサート』浅草公会堂
 


阿 部 靖 子(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 本年度は,大学院共通授業科目「人間科学と教材開発」が新しく開講され,体育分野の教員と一緒に「教師のからだ」に着目した4回の授業を行った。学部授業の「表現・<子ども>の活動」では,音楽,美術,体育の基礎となるような表現するからだを育てるための授業を行っているが,それを大学院の授業でも発展させて行ってみたものである。教師のからだに着目することは,子どもの学びにいかに「教師のからだ」がかかわっているかを考えるきっかけとなり,現職派遣の院生がそれらを再認識してくれたことは意義のあることであった。
【観点2】教育の達成状況
 本年度の学生の授業評価を見る限り,いくつかの改善点はあるものの,概ね授業を通したこちらの意図は伝わっていたようである。
研究指導
【観点1】学部
 学部4年生の卒業論文指導においては,日本の伝統色を子どもたちに伝えるという目的の研究を指導した。実際に市内の小学校において授業実践をさせていただき,その成果を卒業論文としてまとめることができた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 4名の院生の学位論文を指導した。主に美術教育にかかわる論文2編と美術理論にかかわるもの2編であったが,それぞれの問題意識に基づき,研究の成果をまとめさせることができた。
その他の教育活動
 教職講座担当,教育実習の研究授業参観と協議会参加
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 美術という教科の特性である非言語による表現と,論文という言語による表現の両方を指導しながら,研究をまとめさせている。今後は,さらに,美術以外の人にもわかるような表現方法を自らも高めながら,指導に当たりたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年6月:『丸い風景』 第7回日本美術家連盟新潟県会員展
A平成20年7月:『球形の視線』 第9回桜の森彫刻コンクール
学会活動への参加状況
@8月6日〜8日:第32回InSEA国際美術教育学会日本大会(大阪)出席
◎特色・強調点等
 本年度は,自身の作品制作を通して,その作品を見る子どもたちへの働きかけを中心に研究を進めた。その結果,実際の屋外空間に作品を設置することができた。今後は,その作品の鑑賞活動をもとに教育への発展を考えていくつもりである。また,科学研究費によりスウェーデンでのものづくりに関する調査も行い,活発な研究活動を行うことができたと考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県森林審議会委員,A上越市建築審査会,B上越市発明工夫・模型工作展実行委員会委員,C上越市発明工夫・模型工作展審査委員,D上越市少年少女発明クラブ指導員,E上越市景観審議会委員,F上越市建築紛争調整委員会委員,G教員免許認定講習講師,H附属中学校研究協力者,INPO法人里やま学校講師,J妙高夏の芸術学校講師,K上越市環境情報センター講習会講師
◎社会への寄与等
 本年度は,教育に直接かかわるということより,むしろ地域の環境,文化にかかわる内容の社会貢献が多く求められたと考える。また,美術的活動の講師として,子どもたちとの活動も多くの場で行うことができた。
 


風 巻 孝 男(教 授)
 


西 村 俊 夫(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教科に関する科目の講義(工芸科指導法他)の授業では,毎回講義資料を配付すると共に,講義内容の理解を深めるためビデオ等の映像資料を使用している。実技・演習の授業(造形基礎B/D,木工芸研究他)では,特に何をつくるかを考えるプロセスを大切にしている。具体的には,一人ひとりのテーマに則した資料の収集と整理,アイデアスケッチ・模型の作成,ディスカッションなどを行っている。制作活動では,道具の使い方や部品の組み立て方などに一人ひとりの工夫がみられるように支援を行っている。実習・演習の授業では,制作プロセスでの様々な工夫や発見の状況などを評価項目に加え,総合的に評価している。
【観点2】教育の達成状況
 ゼミ卒業・修了生の進路は以下の通りである。学部卒業生は2名で,1名が本学大学院に進学し,1名は民間会社に就職した。修士課程修了生2名で,1名は中国内モンゴルからの留学生である。1名は非常勤講師を行っている。
研究指導
【観点1】学部
 3年のセミナーでは,木材を使用した作品(椅子)の制作を通して,木という素材の特性を生かした工芸表現の基礎を理解する学習に重点を置いた。4年のセミナーでは,2人の学生それぞれの卒業研究テーマにそった指導を行った。卒業論文を選択した学生に対しては,教育実習での経験を生かして論文を作成することを指導した。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 修士課程のセミナーでは,それぞれの研究テーマにそった個人発表及びディスカッションを行い,特に2年生の大学院生に対しては修士論文作成の指導を行った。博士課程においては,3名のゼミ生それぞれの研究テーマにそった学会口頭発表・投稿論文作成の指導と博士論文作成の指導を行った。内1名が博士学位論文を提出して審査に合格し「学校教育学」の学位を取得した。
その他の教育活動
 学部3年生・4年生のゼミ生が行った教育実習における研究授業に参加した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 美術授業の他に学部全学必修の相互コミュニケーション科目,大学院共通科目(教材開発と評価に関する科目)など多様な授業を行っている。大学院大学院共通科目では,地域の小学校の協力を得て受講生が十分な論議の上で計画した研究授業を行うという実験的授業を行っている。研究室には,博士課程,修士課程,学部それぞれの学生がおり,常に熱心な教育・研究に関する交流が行われている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年9月:『意味の椅子08A』 第72回新制作展 新国立美術館
学会活動への参加状況
@9月4日〜9月12日:中国,9月入学海外訪問調査(内蒙古民族大学),A11月1日〜11月3日:大学美術教育学会高知大会出席,B3月13日:大学美術教育学会拡大理事会出席,C大学美術教育学会副理事長
◎特色・強調点等
 新制作協会スペース・デザイン部会員として,第72回新制作展において一般出品作品の審査を行った。また,大学美術教育学会で副理事長,学会誌編集委員長を務めたことなど学会及び美術教育の発展に努力した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市美術展覧会運営委員,A第49回新潟県児童生徒絵画・版画コンクール審査,B第9回「未来に残そう青い海」図画コンクール審査
 


福 岡 奉 彦(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 油彩画及び版画の実技指導では,ビデオにおける実技の指導を加えた上に,オリジナル作品を見せることにより,表現によるイメージの拡大を目指した。成績評価面では,指導者のみで評価するのではなく,絵画にかかわる他の教員も参加し,学生たちの作品説明及び成り立ちの発表をもとに,評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 受講生による授業評価を見る限りでは,新しい表現方法を獲得したことへの満足感が伺われた。
研究指導
【観点1】学部
 セミナーでは,授業で獲得した技法をもとにして,イメージを拡大させ,大学=社会=美術館の観点から,作品を発表する機会を与えている。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 セミナーでは,授業で獲得した技法をもとにして,イメージを拡大させ,大学=社会=美術館の観点から,作品を発表する機会を与えている。また,各自の目的によっての資料収集に努め,新しい観点からの学位論文に至るように指導をした。
その他の教育活動
 学部3年生の教育実習及び4年生の教育実習において,研究授業の参観と指導を行なった。
特色ある点及び今後の検討課題等
 大学と美術館の関係が薄い中,全国の大学生との交流を行なうことで,幅広く表現の領域を知るように努めている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年10月:『残光』F200号 第76回独立美術協会展 新国立美術館及び地方巡回
A平成21年1月:『窓』F100号他2点 EVOLUSION16展 日本橋高島屋
B平成20年8月:『アマリリス』F30号ドローイング わくわくランド(福島)
C平成20年5月:『セーヌ残光』F100号他2点 ギャラリーユニコン
D平成20年7月:『日記』F20号他2点 ギャラリーヒルゲート
◎特色・強調点等
 独立美術協会(新国立美術館)の会員としての発表とともに,全国の画廊の企画展に参画している。ギャラリートークなどを通して,教育的活動も行なっている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県立近代美術館及び万代美術館の収集委員会委員,A独立美術協会全国公募の審査委員,B新潟ジュニア展審査委員
◎社会への寄与等
 新潟県における美術館への作品収集に関わる事により,文化的貢献を行なっている。また,全国公募の審査にかかわり,日本の絵画の向上に貢献している。さらに,ジュニア展の審査で新潟県の子どもたちの絵画教育に貢献している。
 


 石 次 郎(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 作品を作り出来上がりを評価するようなあり方に対する疑問から,作品化することや技術レベルの上達に重点を置くことからしばらく遠ざかっていた。しかし,ここ数年技術レベルの上達を目に見える学びのかたちとして捉えて,そこに生じる出来事を大切にする授業を始めた。具体的には,ろくろで茶碗を作ったり,磁器素焼皿に染付をしたりすることを教材として扱い始めた。
【観点2】教育の達成状況
 観点1で述べた取り組みが,今日的な学生に美術や工芸の学びを理解するために有効であることが実証されてきている。
研究指導
【観点1】学部
 美術や工芸の教育に携わることとは何か。そして,そのことから自分自身がどう影響を受けるかについて研究を行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 自分自身が何故,美術や工芸と関わるようになったか。そして,何を経験し何を考えたかをひも解くことをまず始めに行った。その後,自身の体験を相対化し,美術や工芸と人間の関係について研究し,今後の美術・工芸教育の可能性について考察した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 観点1,2で記述したことをさらに研究していくこと。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年6月:『棘のあるポット』 ギャラリーVOICE
A平成20年12月:『取っ手のついたティーカップ』 ギャラリーVOICE
B平成20年12月:『新潟の陶芸展』 新潟大和
業】@平成20年8月:『本学必修科目「表現状況的教育方法演習」(学部1年/後期)のカリキュラム開発−学外の実践者と本学教員のコラボレーションによる授業の構築と実践−』(共著)研究プロジェクト成果報告書 第1号
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
@研究授業「青がいっぱい,新聞紙いっぱい」 代表者:高石次郎 上越市立春日小学校
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@新潟県展 講評,A第49回新潟県絵画・版画コンクール審査委員,B金沢芸術村 レクチュアー,C上越総合技術高校 陶芸講師
◎社会への寄与等
 美術・工芸に対する一般市民の認識を,教育という視点から考察することによって,美術・工芸の存在意義が明確になる。
 


洞 谷 亜里佐(准教授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 「ものを見ることは対象と対話することである」という写生描写に重点を置き,写生による発見の楽しさや表現することの真髄に迫ることで,自分らしさとは何かという主体的表現方法を模索していく。
【観点2】教育の達成状況
 学内外での展覧会などで発表させた。(上越市展,妙高市展)
研究指導
【観点1】学部
 日本画,東洋絵画を精神性,表現技法,素材などの多方面からの分析を文献や作品を通して行った。また作品の模写をすることで古典絵画を読み取ることを行った。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 日本画の素材研究と表現の可能性について展開していった。
その他の教育活動
@富山大学非常勤講師
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年10月:『タイ古典絵画における表現方法について−ワット・プラケーオでの現地模写をとおして−』(共著)大学美術教育学会第41号
作】@平成21年1月:『夜明け』 高島屋美術画廊
A平成20年9月:『明日へ(尼瀬)』 東京都美術館
B平成21年2月:『和田のの森』 三越画廊
C平成21年3月:『夜明け』 名東美術館
D平成20年5月:『夢』 松坂屋画廊
E平成20年10月:『30周年記念行事造形ワークショップ』 学内
発】@平成20年12月:『タイ画の表現方法・技術について』(共)日本図学会
A平成20年12月:『タイの古典絵画−タイ画における描き方のパターンについて−』(共)日本図学会
国際研究プロジェクトへの参加状況
@タイ王宮寺院回廊壁画の研究 文部科学省研究助成金,Aタイ壁画の研究 トヨタ財団アジア隣人ネットワーク・プログラム
学会活動への参加状況
@12月1日:日本図学会2007年度本部例会出席
◎特色・強調点等
 アジアにおける壁画研究。特にタイ国を中心に研究を広げていく。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@謙信KIDSスクールプロジェクト,A小林古径記念美術館友の会講演会,B上越市美術展覧会運営委員,C妙高夏の芸術学校講師(妙高市),D2月:新潟県児童生徒絵画コンクール絵画部門審査員
 


安 部   泰(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 主として実技系の授業なので,学生には具体的な制作を進める中で様々なことを学べるよう配慮している。
また,専門であるデザインの特性上「考えてつくる」ことと「確かめて考える」を交互に意識させるよう授業をおこなっている。
【観点2】教育の達成状況
 授業で紹介した技法等を教育実習でアレンジしておこなうなど,学生には役立つ内容となっているようである。
本来的に身につけさせたい「観察力」と「分析力」については全員が達成できたとはいいがたいが,概ね理解しているようである。
研究指導
【観点1】学部
 基本的に学生本人の興味や希望を確認しながらおこなっている。
 デザインは生活のあらゆるところに存在するため,初期の指導内容は広い範囲で扱うが,徐々に教育に関わる部分で絞り込めるように,適宜資料等の紹介をおこない,マンツーマンで指導している。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 基本的に学生本人の興味や希望を確認しながらおこなっている。
 大学院では既に本人の研究テーマが絞られた状態であるはずなので,それぞれの内容に即しマンツーマンで対応している。
 途中で研究内容に変更が必要な場合もあるが,既におこなっているものとの関連を確かめつつ指導をしている。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 専門であるデザインの特性でもあるが,日常生活の中での問題発見〜問題解決までの流れを意識した授業をおこなっている。
 専門的な技術や知識とは,本人が必要性を強く意識した上で学ぶことでより身に付くと考えている。今後については,前述の事をより明確に打ち出して授業や指導に反映させていく。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年10月:『大学院芸術系「美術」コース案内パンフレット』 上越教育大学大学院学校教育研究科芸術系美術コース
A平成20年4月:『緑の小道リーフレット』上越教育大学「緑の小道」整備ワーキンググループ
B平成20年10月:『しおりデザイン』上越教育大学附属図書館 小林古径美術館 小川未明文学館 高田図書館
C平成20年9月:『緑の小道パンフレット』上越教育大学「緑の小道」整備ワーキンググループ
学会活動への参加状況
@12月6日:第12回美術教育実践学会研究大会出席
◎特色・強調点等
 イラストレーションを主体とする視覚デザインの研究について,広くフィールドワークを重視している。
 また,制作や媒体についての研究も兼ねており,このことについては愛知県立芸術大学大学院博士後期課程に於ける研究とも連動しており,合わせて日本デザイン学会での発表に向けて進めているところである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市美術展覧会運営委員(平面デザイン・コンピューターグラフィック),A7月:「妙高夏の芸術学校」講師,B10月:妙高四季彩ジュニア芸術展審査員
◎社会への寄与等
 地域社会に対し,自身の専門性を活かした貢献ができたと思う。
 今後も,貢献出来るものについてこれまで以上に積極的に関わっていきたいと考える。
 


松 尾 大 介(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業の導入では,各学生の動機を持たせたうえで実習等に取り組めるようレクチャーしている。造形表現における立体と平面との特質の違いに着目させながら,立体的に形象化する際の素材に向けた行為と,心的活動との結びつきについて理解させるよう配慮している。授業の内容が彫刻分野だけにとどまらず,様々な表現の場で生かされるよう留意している。
 成績評価面では,制作過程における試行錯誤を重視している。また最終日には作品を展示し,合評会を開くことで教員と学生の多様な考えに触れながら,客観的な評価が得られるよう留意している。
【観点2】教育の達成状況
 学部卒業生1名は教員採用試験に合格した。修士課程修了生2名のうち,現職派遣1名は学校現場に復帰し,もう1名は研究生として自身の研究を進めている。
研究指導
【観点1】学部
 1名の学部生は,地域固有の素材である千草石の石彫を,公共の野外に展示するべく卒業制作に取り組んだ。卒業論文では,地域の特徴的な素材を用いた造形表現活動等の実践と自身の教育実習での経験とを結びつけながら,教育・社会における美術を媒介としたコミュニケーションについて研究をまとめた。
【観点2】大学院(修士課程,博士課程)
 大学院2年2名のうち1名は,美術と身近に触れあえる場である「長岡石彫の道」に着目し,妙高市特産の千草石を教材として用いた授業実践等の事例と比較・検証しながら,地域の特徴的な素材を用いた教材の可能性について修士論文をまとめた。もう1名は,自身の制作体験に基づき,モチーフの内部構造の把握と具象表現におけるリアリティとの結びつきについて実証的な修了論文をまとめた。
 また,教材開発の延長として学生の実技能力を向上させるよう配慮し,全国的な展覧会への出品を支援した。1名は二紀展(全国公募,国立新美術館)出品し優賞を受賞した。もう1名は,国展(全国公募,国立新美術館)へ入選した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 信州大学との研究協力として学生による合同展覧会を毎年開催している。単なる作品発表の場ではなく造形表現活動を通じて地域の人々や学生自身が,美術の果たす役割や生活との結びつきを考える場となるよう配慮している。今年度は須坂市動物園等を会場とした展覧会や造形ワークショップを支援した。地域の特色を生かしながら,学生に対して美術による教育的意義への意識を高めることができた。今後も学生同士の相互作用による協同研究を続け,学生の主体性を導き出せる活動になるよう心がけていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】@平成20年4月:『焼却炉』 第83回国展 国立新美術館
A平成20年12月:『ポケットいっぱい』 第32回国画会彫刻部の試み展 東京都美術館
学会活動への参加状況
@11月2日〜3日:第47回大学美術教育学会出席,A12月6日:第12回美術教育実践学会出席
◎特色・強調点等
 第32回国画会彫刻部の試み展で実施された国画会彫刻部トークイン(東京都美術館)では,団体の枠を超えた表現の交流・美術運動となるよう配慮されている。他団体の作家等を招待し,交流作品展及びギャラリートークが開催された。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市美術資料収集委員,A第82回国展の審査及び運営委員,B「妙高夏の芸術学校」における小学生を対象とした造形表現活動の講師,C妙高市文化ホール「夏」文化体験プログラム企画及び指導
◎社会への寄与等
 妙高市文化ホール「夏」文化体験プログラムでは,音楽分野上野准教授とともに企画・運営に従事した。「自然の素材を使って音楽を奏でる」をテーマに近隣の小中学生対象の造形表現活動および演奏会を行い,地域の文化的関心の向上に寄与した。