【学校臨床研究コース】
 

 
朝 倉 啓 爾(教 授)【学校臨床研究コース及び教育実践リーダーコース/学校運営リーダーコース】
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法の面では,いずれの授業科目においても,担当者自身がかつて中学校で行った社会科の授業実践の一部を事例として取り上げたり,上越市内の小学校における社会科授業を観察させたりするなどして,受講生が具体的な授業場面に即して考察し理解を深めることができるようにするとともに,作業的・体験的な学習場面を取り入れることにより,授業に対する受講生の関心や意欲を高めるよう配慮した。また成績評価の面では,各授業の最終回に自作の質問紙調査を実施し,学習指導のねらいの実現状況等を把握するようにした。
【観点2】教育の達成状況
 自身が担当した授業については,できるだけ目標の明確化を心がけ,その実現に必要な内容と方法を時間をかけて準備することができたので,その達成状況については「十分満足できる」または「おおむね満足できる」ものと評価している。なお,各授業については,上述したように大学のFD評価とは別に自作の質問紙調査を実施し,その成果と課題を明らかにして授業改善に役立てている。
研究指導
【観点1】学部
 学部生に対しては,卒業論文作成のために,小学校社会科の単元の中から興味・関心のもてる研究課題を選定させた。次に,その単元に関する学習指導要領及び教科書等の分析を通して標準的な学習指導を実施した場合の課題を摘出させた。さらに,それらの課題を解決するために,工場等の見学や現地調査を実施させ,その成果を取り入れた単元の構成と授業づくりを行わせて論文にまとめさせた。
【観点2】大学院
 大学院生に対しては,修士論文作成のために,各人の興味・関心に基づいて研究課題を設定させた。その上で,(1)先行研究の収集・分析,学習指導要領及び教科書等の分析,学校教育現場における授業記録の収集・分析を行い,従前の学習指導の問題点を明らかにする。(2)その問題点を克服するため,学習内容に関する広範な素材研究を実施し,単元の指導計画及び毎時の学習指導案を作成する。(3)可能な場合には,それを学校教育現場で試行して,その成果と課題を明らかにする。といった手順を踏ませ,それらの成果を論文にまとめさせた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 「教育(5)授業取組」のうち,学部授業科目「学習臨床入門」では,日常生活の中で形成される方位に関する素朴概念を科学的概念に変容させる作業的な学習に取り組ませた結果,受講生の地理学習に対する関心を高めるとともに,社会科においても生徒の素朴概念を梃子とすることで効果的な学習が成立することを理解させることができた。同「学習場面観察基礎」では,上越市立東本町小学校の授業担当教諭に見学後の学生の感想や質問を送り,それに回答していただくことにより,授業づくりや学級経営に取り組んでいる現場教員の真摯な姿を伝えることができた。一方,大学院授業科目「学習臨床支援特論」では,受講生に日本の都道府県の位置と名称に関する課題を与えることにより,学習者の視点から見た効果的な学習支援のあり方を考察させることができた。特に,学習者の実態を踏まえた周到な授業準備が最良の学習支援となることを実感させることができた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】(1)平成21年6月:『学習意欲の向上を図り,生きる力をはぐくむ学習指導の展開[社会]』(単著) 中等教育資料, 877号, pp.22-27
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)新学習指導要領に対応した公立中学校における生徒の学力向上のための取組に対する臨床的支援プロジェクト 代表者:朝倉啓爾(上越教育大学学校臨床研究コース) 上越教育大学研究プロジェクト
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市学校適正配置審議委員会委員, (2)上越市環境科学センター「エコアクション21」地域運営委員会委員長, (3)上越市環境科学センター「エコアクション21」判定委員会委員長, (4)上越教育大学附属中学校における学校教育研究の指導者, (5)石川県羽咋市立粟ノ保小学校(石川県研究推進校)における「児童生徒の『活用力』向上モデル事業」の指導講師, (6)石川県宝達志水町立押水中学校(石川県研究推進校)における「児童生徒の『活用力』向上モデル事業」の指導講師, (7)石川県羽咋市立邑知中学校(石川県研究推進校)における「児童生徒の『活用力』向上モデル事業」の指導講師, (8)平成21年度新潟県高等学校授業力向上研修(地理歴史科・公民科)指導講師, (9)平成21年度長岡市社会科サークル夏季学習会の指導講師
◎社会への寄与等
 石川県羽咋市立邑知中学校における「学力向上拠点形成事業」(平成17〜19年度)により,当該校の生徒の学力に顕著な伸びがみられた。その学校教育研究の成果は,平成20年度の第24回時事通信社「教育奨励賞努力賞」(「授業の革新」部門)を受賞した。当該校は,その後「児童生徒の『活用力』向上モデル事業」(平成20〜21年度)に継続して取り組み,その研究成果の一部がベネッセコーポレーションの「VIEW21」誌などで紹介されたことが契機となり,最近では全国各地から数多くの視察を受け入れるようになっている。
 

 
石 野 正 彦(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・フレンドシップ事業(ボランティア)
・教育実地研究U・教育実地研究V
・総合インターンシップ
その他の教育活動
・フレンドシップ事業(学びのひろば,体験学習)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】(1)平成22年3月:『今こそ身に付けさせたい「自ら考える力」』(共著) 教育実践研究第20集記念誌「教育実践学研究へのいざない」
(2)平成22年3月:『教育実習の手引き改訂のための基礎的研究』(共著) 学校教育実践研究センター研究報告書(平成21年度版)
(3)平成22年3月:『ICTの日常的活用の中で子どもとともに創造する学びの研究』(共著) 学校教育実践研究センター研究報告書(平成21年度版)
(4)平成22年2月:『つながり,高め合う学校づくり』(共著) 上越市学校評価システムガイド第2集
発】(1)平成21年10月:『[分離方式初等教育実習」を中核とした教育の質保証』(共) 日本教師教育学会
(2)平成21年10月:『上越教育大学スタンダードと有機的な関連を図った教育課程の構築』(共) 日本教師教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)「つながり,高め合う学校づくり」―上越市学校評価システムガイド第2集 代表者:中野敏明(上越市教育委員会) 上越市学校評価システム事業運営委員会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:全日本教育工学協会全国大会上越大会事務局, (2)平成21年度:日本教育工学協会理事,  (3)8月23日:新潟県生活科・総合的学習研究会出席, (4)9月17日:第75回国立大学教育実践研究関連センター協議会出席, (5)9月19日〜9月20日:日本教育工学会第25回全国大会出席, (6)9月26日:日本国語教育学会新潟支部総会出席, (7)10月3日〜4日:日本教師教育学会第19回研究大会出席, (8)10月30日〜31日:全日本教育工学研究協議会全国大会出席, (9)10月30日:北陸地区教育実践研究関連センター協議会出席
◎特色・強調点等
・上越市教育委員会が取り組んでいる上越カリキュラムの開発研究事業について,総括を行う立場で研究を推進した。
・農林水産省「教育ファーム事業」の一環として上越市の4小学校の教育ファームに関わる研究を推進した。
・日本教育工学協会のプロジェクトとして管理職のICT研修プログラムの開発研究に従事した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)宝田小学校学校評議員, (2)名立中学校学校評議員, (3)名立の子どもを守り育む会委員, (4)上越視聴覚協議会パソコン講習会中級講師, (5)宝田小学校学校保健委員会講演会(1回目)講師, (6)柿崎小学校学校保健委員会講演会講師, (7)三条国語の会研修会講演講師, (8)公孫会北魚支部研修会講師, (9)上越視聴覚協議会パソコン講習会(第2回)中級講師, (10)春日新田小学校PTA研修会講師, (11)新潟県養護教育研修会講演会講師, (12)大和川小学校学校保健委員会講演会講師, (13)松代高校講演会講師, (14)「電子黒板による授業改善」セミナー開催, (15)ケータイを賢く使う県民集会シンポ・コーディネーター, (16)宝田小学校学校保健委員会(2回目)講師, (17)名立中学校学校保健委員会講師, (18)公孫会56年次の会講演会講師, (19)八千浦小学校学校保健委員会講演会, (20)北諏訪小学校学校評価研修会(1回目)講師, (21)北諏訪小学校学校評価研修会(2回目)講師, (22)文科省学校評価推進協議会(西日本地区)パネリスト, (23)文科省学校評価推進協議会(東日本地区)パネリスト, (24)末広小学校学校保健員委員会講演会講師, (25)教育フォーラムin上越学校評価研究発表会指導者, (26)教育フォーラムin上越地域青少年育成会議指導者, (27)名立区学校関係者評価委員会委員, (28)ゆきおこし研修会企画運営, (29)上越はつらつ元気塾理事, (30)上越市学校評価事業運営委委員会委員, (31)未就学児サポート事業委員, (32)学校図書館担当教諭研修会講師, (33)文部科学省「学校の第三者評価実地検証」評価委員
 

 
梅 野 正 信(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学生の興味関心・学習動機を高めるために映像資料や,判決書など具体的な事例をとりあげた講義や演習を心がけた。また,受講者の報告や発表を意識的に取り入れた。大学の講義では,上越地区の著名な実践者や研究者を招いて学生の研究意欲を喚起させるよう努力した。
【観点2】教育の達成状況
 教育方法等に工夫をしたことで,学生,院生の講義・演習に対する参加意欲等は向上したと判断している。
研究指導
【観点1】学部
 学部生は後期に二年生の一人が私のゼミを選択した。基礎的研究として学校関係の問題事例や人権課題について演習形式で研究指導を行った。
【観点2】大学院
 大学院生の6名のうち,2名は当該年度修了のため個別に修論記述の指導を行った。また,他の4名については,引き続き,調査や文献研究の指導を演習形式及び個人指導の形で研究指導を行った。
その他の教育活動
 愛知教育大学・社会科教育の講義でゲスト講師として1時間を担当。
特色ある点及び今後の検討課題等
 行政関係の研修講師はできるだけ引き受け,本務扱いとしての手続きをとるよう勤め,本学の講義と行政関係講師に専念する。そのため,他大学の非常勤講師等は極力お断りすることにしている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年10月:『名著解題』(共著) 協同出版
(2)平成22年2月:『必携 学校小六法 2011年度版』(共著) 協同出版
論】(1)平成21年7月:『裁判資料を活用した「いじめ」授業プログラム』(単著) 『ストレスマネジメント研究』Vol.5 No.1 日本ストレスマネジメント学会 pp.9-14
(2)平成21年4月:『高校の寮生活における性的被害侮辱的言葉の暴力性 』(単著) 『季刊セクシュアリティ』第41号 pp.142−147
(3)平成21年6月:『眼に障害を残した園児・児童生徒の事故・事件を検討するための教員研修資料』(単著) 『季刊教育法』第161号 pp.54−59
(4)平成21年7月:『ウェブ上で下品な嘲笑,誹謗中傷にさらされた写真』(単著) 『季刊セクシュアリティ』第42号 pp.148−153
(5)平成21年9月:『体罰の契機・背景を検討するための教員研修資料』(単著) 『季刊教育法』第162号 エイデル研究所 pp.50−55
(6)平成21年10月:『一万回の無言,脅迫・中傷電話』(単著) 『季刊セクシュアリティ』第43号 pp.152−157
(7)平成21年12月:『電子掲示板・チャット上の誹謗中傷(名誉毀損)行為に対する迅速な対処,対処の根拠を検討するための教員研修資料』(単著) 『季刊教育法』第163号 エイデル研究所 pp.68−73
(8)平成22年1月:『ストーカー殺人事件』(単著) 『季刊セクシュアリティ』第44号 pp.116−121
(9)平成21年8月:『地域教育サークルの実践に学ぶ−上越教師の会・江口武正実践の軌跡から』(単著) 『学校教育研究』24 日本学校教育学会 pp.246-252
(10)平成22年2月:『人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]』(単著) 『教職課程』第36巻 2号 pp.12−16
(11)平成21年8月:図書紹介『山崎義夫『公民教育における「生存権」のあり方』(単著) 『学校教育研究』24 日本学校教育学会 pp.291-292
(12)平成21年11月:『学校・地域における人権教育の指導方法について』(単著) 『兵庫教育』705号 兵庫教員県立教員研修所 pp.30-35
発】(1)平成21年6月:『判決書を活用した人権教育としての市民性育成教育に関する日韓の授業研究』(共) 日本国際理解教育学会第19階研究大会・自由研究発表
(2)平成21年11月:『人権教育のための日韓共同の授業研究−電子掲示板上の名誉毀損事件判決書を活用して−』(共) 韓国国際理解教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)判決書を活用した人権教育としての市民性育成教育に関する日韓の授業研究 代表者:梅野正信(上越教育大学) 文科省科学研究費 基盤研究C
学会活動への参加状況
(1)日本学校教育学会 理事, (2)6月13日〜14日 日本国際理解教育学会 第19回大会出席・報告, (3)11月13日〜14日 韓国国際理解教育学会 出席・報告
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市子どもの権利委員会委員長, (2)文部科学省:人権教育の指導方法等に関する調査研究会議, (3)教員研修センター中央研修(人権教育), (4)教員研修センター:人権教育指導者講習会, (5)文部科学省:人権教育開発事業審査委員会委員, (6)上越市立東本町小学校学校評議員, (7)上越教育大学附属小学校研究協力者(総合教科活動), (8)糸魚川市情報公開・個人情報保護審査委員, (9)妙高市情報公開・個人情報保護審査委員会委員, (10)石川県人権教育推進会議, (11)石川県平成21年度初任者研修・講演, (12)平成21年度人権教育行政担当者研究協議会・講演, (13)新潟市教育委員会平成21年度人権教育研修会・講演, (14)糸魚川市教育研究会生徒指導部会研修会・講演, (15)新潟件平成21年度人権教育指導者研修会・講演, (16)埼玉県人権教育ファシリテーター養成講座・講演
◎社会への寄与等
・文部科学省 人権教育の指導方法等に関する調査研究会議にて政策立案にかかわった。
・上越市子どもの権利委員会委員長として市の政策立案に責任者としてかかわった。
 

 
釜 田   聡(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 「教育実地研究U」では,教育実習ルーブリックの各事項に即して,学生一人一人が具体的な目標を設定できるように努めた。具体的な授業場面においては,基本的な指導案の作成から資料活用の方法などを小集団で行ったり,学生同士の相互評価を行ったりした。「韓国事情」では,毎時間,学生に対してミニレポートを課し,次時にはそのミニレポートに記載された内容を分類整理した上で,授業を構成して実施した。「教職実践演習」では,上越教育大学スタンダードに基づいた授業構成の在り方と評価方法の開発に努めた。「総合・生活」では,上越地域から生成された総合学習を中心に授業を構成し,学生の興味・関心をはぐくむことに尽力した。
【観点2】教育の達成状況
 「教育実地研究U」では,大多数の学生が教育実習ルーブリックの各事項に即して,具体的な目標を設定し,今後の見通しをもつことができた。「韓国事情」では,授業前と授業後のアンケートを比較した結果,韓国に関する興味・関心,問題意識がはぐくまれたことが確認された。「教職実践演習」では,学生人一人が自らの教職キャリアを吟味し,問題意識をもちながら授業に参加する姿勢が確認された。「総合・生活」では,授業後の学生レポートの記述から,総合学習の実践が上越地域から生成されたことを知り,上越教育大学で総合学習を学ぶ意義を再認識できたとする学生の姿が確認された。
その他の教育活動
・教育実習における学生指導
 学部1年生(教育実地研究T),学部3年生(教育実地研究V),学部4年生(教育実地研究W)の事前事後指導,巡回指導等に全面的に参画している。
 教育実習副委員長として,本学の教育実習の企画立案の携わり,中学校実習部会長として直接学生指導に当たっている。
特色ある点及び今後の検討課題等
 上越教育大学スタンダードと教育実習ルーブリックを基盤とした教育活動の推進に努めた。具体的には,次のとおりである。
1 教職実践演習 教職実践演習部会長として,授業の内容構成と評価方法,全体のコーディネートに努めた。
2 教育実習全般の質的充実に務めた。
 教育実習ルーブリックの各事項に即して,学生の自己評価を促し,具体的な取組方法を検討させた。
 今後の検討課題については,次のとおりである。
1 上越教育大学スタンダードと各授業科目の有機的な関連を図る。
2 教育実習の事前事後指導の更なる質的充実。
3 教育実地研究Uの授業の充実と,厳格な単位認定法の開発及び補充指導の在り方。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年3月:『日本とドイツの教師教育改革−未来のための教師をどう育てるか 「第8章 日本の学部での教員養成の新しい動向−上越教育大学を事例に」』(分担執筆) 東信堂
(2)平成22年3月:『「ポニョの海」が取り結ぶ日韓の現在・過去・未来−持続可能な開発のための教育(ESD)の視点から−』(単著) 能登印刷株式会社
論】(1)平成22年2月:『持続発展教育(ESD)と日韓相互理解のための教育−日本と韓国の歴史認識にかかわる諸問題を中心に−』(共著) 上越教育大学研究紀要 VOL.29, 上越教育大学, pp.57-66
業】(1)平成22年3月:『「教育実習の手引き」改訂のための基礎的研究』(共著) 学校教育実践研究センター研究報告書(平成21年度版),2頁
(2)平成22年3月:『社会認識を深めるための教材開発研究』(共著) 学校教育実践研究センター研究報告書(平成21年度版)
発】(1)平成21年6月:『持続発展教育(ESD)と日韓相互理解のための教育』(共) 日本国際理解教育学会
(2)平成21年11月:『日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発』(共) 韓国国際理解教育学会
他】(1)平成22年1月:『ホームページ/プロフィール,研究業績,授業担当他』 ホームページ上
(2)平成21年11月:新潟県国際交流協会・上越国際交流協会主催:国際理解教育講座「アジアをもっと知ろう」 上越タイムス新聞紙上(上越市民プラザ)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)上越教育大学研究プロジェクト(一般研究)研究代表者「社会認識を深める教材開発研究 代表者:釜田聡(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
(2)社会認識を深めるための授業−社会科・総合的な学習− 代表者:釜田聡(上越教育大学) 学校教育実践研究センター
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)「臨床的協働研究による日韓相互理解をめざした歴史教育の基礎的研究」代表者:釜田聡(上越教育大学)科研費基盤研究(C)
(2)「日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発」 代表者:大津和子(北海道教育大学)科学研究費(B)
(3)臨床的協働研究による日韓相互理解をめざした歴史教育の基礎的研究代表者:釜田聡(上越教育大学)上越教育大学研究プロジェクト
(4)日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発代表者:大津和子(北海道教育大学)日本国際理解教育学会
学会活動への参加状況
(1)5月9日(土):関私教協・東実協合同研究大会シンポジウム講師「教育実践演習と教育課程の質的向上」, (2)6月13日(土)〜14日(日):日本国際理解教育学会(同志社女子大学)出席・発表, (3)10月3日(土)〜4日(日):日本教師教育学会(弘前大学)出席・発表, (4)10月16日(金)日本教育大学協会(神戸大学)教育実習専門部会出席, (5)11月14日(土):新潟国際情報大学シンポジウム出席・発表
在外研究の状況
(1)12月25日(金)〜29日(火)韓国訪問調査(太田,ソウル)
(2)3月5日(金)〜9日(火)韓国訪問調査(ソウル市他)
◎特色・強調点等
1 教師教育分野
 上越教育大学スタンダードと教育実習ルーブリックの開発及び実証的研究に全力を傾注した。上越教育大学スタンダードについては,今後,各授業科目と有機的な関連を図った教育課程の指針になるように条件整備を進めた。また,教育実習ルーブリックについては,大学と地域,学生がその指標を参考にして,更なる教育実習の質的充実に尽力した。
2 国際理解教育
 日本と韓国,中国の相互理解を図るための基礎的研究を推進した。日本と韓国の協働研究と,日本・韓国・中国の三カ国の協働研究に取り組んだ。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県社会科教育研究会副幹事長, (2)上越市立谷浜小学校学校評議員, (3)潮陵中学校学校評議員, (4)上越国際交流協会理事, (5)上越市多文化共生懇談会・座長, (6)妙高市教育委員会「教育に関する事務点検及び評価の実施」に関する協議会委員, (7)新潟県国際交流協会・上越国際交流協会主催:国際理解教育講座「アジアをもっと知ろう」講師, (8)糸魚川市子ども一貫教育方針策定委員会第2回学校教育部会講師, (9)糸魚川市子ども一貫教育方針策定委員会第3回学校教育部会講師, (10)糸魚川市子ども一貫教育方針策定委員会第4回学校教育部会講師, (11)糸魚川市子ども一貫教育方針策定委員会第5回学校教育部会講師, (12)新潟県立十日町高校大学講義体験講師「多文化共生時代における教育」, (13)新潟県立高田北城高校大学講義体験講師「多文化共生時代における教育」, (14)新潟県立新井高等学校総合学科・大学講義体験講師「社会認識を深める授業について」, (15)教員免許状更新講習講師, (16)教育実践研究論文の編集・発行, (17)教育実践研究論文発表会, (18)教育実践研究論文第20集記念誌の編集発行
◎社会への寄与等
上越市:多文化共生推進懇談会座長や谷浜小学校・潮陵中学校,上越国際交流協会理事として社会貢献を果たした。
妙高市:妙高市教育委員会「教育に関する事務点検及び評価の実施に関する協議会委員」として学校教育の充実に寄与した。
糸魚川市:子ども一貫教育方針策定委員会講師として,0歳児から18歳までの一貫教育の在り方について指導助言した。
 

 
川 村 知 行(教 授)
 

 
小 林   恵(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
*基礎的な文献研究をベースにしつつも,今日的な教育状況を鑑みた授業を行った。
*成績評価は普段の授業における発言,取り組みを重視しながら,レポート,テストを含む総合的な評価をした。
【観点2】教育の達成状況
*学部の卒業生は青森県中学校非常勤講師になった。
研究指導
【観点1】学部
*教職の教養を育むと同時に採用試験の合格に向けての指導を行った。
【観点2】大学院
*修士課程1年生1名には問題意識の明確化に向けて助言を行い,基礎研究の資料収集の方法,文献研究の方法を指導した。
*免除プログラム2年生には,フィールドワークの行い方を指導し,加えて基礎文献の講読を援助した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成21年10月:『転換期の教師教育‐J.デューイの思想からの啓発』(単)日本デューイ学会第53回研究大会
学会活動への参加状況
(1)日本デューイ学会第53回研究大会(平成21年10月3日 椙山女学園大学)シンポジウム「教師教育とデューイ」において「転換期の教師教育‐J.デューイの思想からの啓発」を発表
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成21年度教員免許状更新講習において「教職についての省察」「子どもの変化についての理解」「教育政策の動向についての理解」「学校の内外における連携協力についての理解」に関する講義を行った。
 

 
南 部 昌 敏(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部:担当した授業において,教育工学の理論であるID(Instructional Design)の考え方を取り入れ,ワークショップによる演習やNHKディジタルコンテンツの活用,講義支援システム・電子メールによるレポート提出などの新しい指導方法による授業改善を行った結果,情報教育及び教育の方法と技術に関する資質能力の向上に貢献することができた。
大学院:「教育工学特論」,「教育メディア特別演習」では,ID(Instructional Design)の考え方に関する文献「インストラクショナル・デザインの原理(北大路書房)」を受講の大学院生とともに詳細の輪読し,十分に理解するまで徹底的に討論するとともに,学校での教育実践への適用について議論し,その具体的方法を開発した。
【観点2】教育の達成状況
 シラバスに記載した担当したそれぞれの授業の目標を受講生のほとんどが習得した。
研究指導
【観点2】大学院
 学習臨床講座情報教育分野大学院3年生1名(教育職員免許取得プログラム),同大学院2年生1名を対象に,それぞれ,「空間図形認識を高めるための複合現実感教材に関する研究」と題する研究,「生徒の表現力を高めるための学習プログラムの開発」に関する研究に関して,情報教育,メディア教育の観点から専門的な研究指導を行った。その成果を,それぞれ,日本教育メディア学会第16回全国大会(新潟大学),日本教育工学会第25回全国大会(東京大学)で発表させるとともに,論文誌に投稿させた。また,学習臨床講座情報教育分野大学院1年生2名(現職教員派遣)を対象に「小学校低学年及び高学年における情報教育カリキュラムの開発」と題する研究に関して,メディア教育,教育工学の観点から専門的な研究指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部における教育方法の改善への取り組みとして,昨年度に引き続き,本年度も,ワークショップ形式を取り入れた,受講者同士の協働(コラボレーション)による演習とその発表(プレゼンテーション),討論(コミュニケーション)を行わせたことは,協働的学びの場が醸成され,受講者相互に支援しあう学習環境を実現することができた。また,昨年度と同様に,その講義において達成してほしい目標に関するチェックリストによる受講者自身による内省的自己評価(リフレクション)を導入したが,自分自身の到達度と課題の確認をさせることができ,学習への動機付けに有効であるという知見を得たことは評価できる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年9月:『eラーニングを活用したICT活用指導力育成のための教員研修』(共著) 信息技―教育研究―展2009, 吉林教育出版社, 26-33頁
(2)平成22年3月:『新学習指導要領において必要とされる教員のICT活用指導力の検討』(共著) 上越教育大学研究紀要, 第29巻, 131-140頁
発】(1)平成21年9月:『教員養成のためのモジュール型教材の開発』(共) 日本教育工学会
(2)平成21年9月:『日中教育工学研究交流の経緯の概要』(共) 日本教育工学会
(3)平成21年9月:『小学校高学年を対象としたメディア表現能力及びメディアコミュニケーション能力育成モデルの検討』(共) 日本教育工学会
(4)平成21年9月:『生徒の表現力を高めるための学習プログラムの開発−映像メディア制作活動を通して−』(共) 日本教育工学会
(5)平成21年9月:『ICT活用指導力育成のためのe-Learning教員研修における諸機能の有効性の検討』(共) 日本教育工学会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本教育工学協会副会長, (2)平成21年度:日本教育工学会理事, (3)平成21年度:日本教育メディア学会監事, (4)平成21年度:日本教育情報学会評議委員
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)長野県指導力不足教員判定委員会委員長,  (2)東京都荒川区教育委員会授業力向上プロジェクト指定校研究指導講師, (3)沖縄県島尻教育研究所教職員研修会指導講師, (4)琉球大学主催21世紀おきなわ教育フォーラム講演講師, (5)管理職を対象としたICT活用研修会 柏崎市担当指導講師, (6)管理職を対象としたICT活用研修会 荒川区担当指導講師, (7)東京都荒川区教育研究協議会視聴覚部会指導講師, (8)第3回日中教育工学研究交流フォーラム講演
 

 
布 川 和 彦(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の講義においても大学院の講義においても,免許プログラムの受講者が増えたことに鑑み,学校での指導経験よりも学校での学習者の経験を前提に,数学の学習活動を自覚的にとらえ直すような機会を提供できるよう,題材の選択や講義のすすめ方を工夫した。また最近の学校への電子黒板や個人用コンピュータの導入なども視野に入れ,数学の授業での活動型のコンピュータ利用を体験できるような機会も含めるようにした。
【観点2】教育の達成状況
 学生による授業評価ではおおむね良好な評価を得ることができた。また講義の途中に行った受講者によるプレゼンテーションや討議においても,積極的な取り組みが見られた。
研究指導
【観点1】学部
 附属小学校で学生と一緒に記録させて頂いた授業の様子を分析したものを中心として卒論をまとめさせた。それにより,算数の学習過程を現実に即した形で扱った研究を,教員志望の学生に行わせることができた。
【観点2】大学院
 M2については小学校で記録させて頂いた授業の様子を分析することで,学習の臨床場面に即した研究となるよう努めた。またM1については全員が免P院生で算数・数学教育について基本的な知識を欠く者であったので,基礎文献を一緒に読むことを続けながら,本人達の問題意識を明確化することに努めた。
その他の教育活動
 教員免許講習で算数の講習を担当したが,近年の知見を講義するとともに,それに関わる実際の授業のビデオの考察なども取り入れ,学習臨床的なアプローチを活かすよう努めた。また鳥取大学で学部の講義を担当したが,対象が学部2年生ということもあり,算数で児童に特に難しいとされる題材を取り上げ,それを多面的に扱うことで,1つの題材を軸に,算数教育の多様な視点が学べるように工夫した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 研究指導では,附属学校のご協力により学習臨床的なアプローチがかろうじて可能となっており,その意味で,理論と実践の相互作用という特色を保つことができた。しかし,様々な事情によりこうしたすすめ方が難しい状況になりつつなっており,この特色をどのように保つかがまさに今後の課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年1月:『Explanation and Proof in Mathematics: Philosophical and Educational Perspecitves』(共著) Springer
論】(1)平成22年3月:『数量関係の学習と背後の現象や共変性の意識化』(単著) 上越数学教育研究, 第25号 pp.1-10
(2)平成22年3月:『社会的正義にとっての割合感覚』(単著) 新しい算数研究,  No.470
(3)平成22年3月:『算数学習を通して世界との向き合い方を変える』(単著) 算数授業研究,  No.68
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本数学教育学会資料部幹事, (2)平成21年度:第92回日数教新潟大会研究発表に関する研修会講師, (3)11月7日〜11月8日:日本数学教育学会第42回数学教育論文発表会出席, (4)Educational Studies in Mathematics (Springer社) Editorial Board
◎特色・強調点等
 算数の学習において子どもたちのつまずきとなりやすい内容について,数学教育学の先行研究をもとにそのつまずきを解消し,適切な理解が構成しやすい学習活動をデザインするとともに,その活動に取り組む中で児童にどのような学習が生ずるのかを学習過程臨床的な手法により研究を続けている。地域の学校,特に附属小学校算数部の先生方の協力関係により支えられているとともに,他コースの教員や院生にもメンバーに入ってもらうなど,本学の力をつないで研究を行ってきている点も1つの特徴である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県小学校教育研究会学習指導改善調査スーパーバイザー, (2)糸魚川市立下早川小学校研修会講師, (3)新潟県立教育センター12年経験者研修主コース(学習指導)講師, (4)宝達志水町立押水中学校研究発表会助言者, (5)新潟県小学校教育研究会「全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善の推進に係る実践研究」指導者, (6)羽咋市邑知中学校研究会助言者, (7)館林市立第七小学校研究会指導者, (8)「学習指導改善調査研究事業」実践事例報告会指導者, (9)上越数学教育研究会第53回上越算数・数学研究大会指導者, (10)上越市学校教育研究会算数・数学部会講師, (11)第92回日数教新潟大会研究発表に関する研修会講師, (12)教員免許状更新講習講師
◎社会への寄与等
 毎月開かれる上越数学教育研究会Σ会という小中学校の先生方による算数・数学の勉強会にほぼ毎回出席をし,地元の先生方との交流に努めている。
 

 
藤 岡 達 也(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法及び成績評価面では,FDのアンケート結果による学生の評価を反映した授業に取り組んだ。受講者の大部分が教員希望者のため,教員採用試験に向けての取り組みからライフワークとしての教職の意義を考える内容を多く取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
 大学院生8名,学部生1名を修了・卒業させた。
研究指導
【観点1】学部
 学生の個別指導については,地域の独自性に注目した教育活動の意義と課題について,4年生1名,3年生1名の卒業論文指導を行った。
【観点2】大学院
 大学院生の個別指導については,学校教育における環境教育やESD(持続発展教育)の展開,多様化する変革期の高等学校,安全・防災教育の実践方法,地域と学校とのパートナーシップの構築など,様々な今日的な教育課題をテーマとして,M3の4名,M2の7名とM1の5名の修士論文指導を行った。また,D3の1名の博士論文作成指導を行った。
その他の教育活動
・奈良教育大学大学院非常勤講師
・大阪市立大学理学部非常勤講師
・新潟産業大学非常勤講師
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 自分のゼミは留学生も含め,大学院生が16名,学部生2名,さらに博士課程の院生が1名であった。特に修士論文8名の指導は非常に厳しい状況であった。一人の教員が担当する学生数としては,限界を越えている。そのため,M1を減らすことを考えたが,それでもこのような人数である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年4月:『理科教育法』(共著) 大学教育出版
(2)平成21年6月:『自然災害に関する防災・減災教育と学校教育』(単著) 平成21年度学校安全指導者養成研修テキスト, pp.82-105
(3)平成21年7月:『保健室は震災救護センター』(共著) 少年写真新聞社
(4)平成21年11月:『ESD(持続発展教育)とこれからの防災・減災教育』(単著) 安全教育東北フォーラムin宮城テキスト,4-8
(5)平成22年3月:『学校安全参考資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育』 (共著) 文部科学省
論】(1)平成21年12月:『世界の理科教科書「台湾」』(単著) 教科書研究センター「世界の理科教科書」 pp.20-21
(2)平成22年1月:『防災教育の趣旨とその取り組み』(単著) こどもと保健, No.70, pp.4-5
業】(1)平成21年6月:『苦手の理数を克服!直前理数講座,物理・地学』(単著) 教職課程6月号,81-96
(2)平成21年11月:『2010年度試験の出題傾向分析・受験対策』(単著) 教職課程臨時増刊号
(3)平成21年12月:『図書紹介「地学のツボ−地球と宇宙の不思議をさぐる−」』(単著) 理科の教育12月号,64
(4)平成22年3月:『新潟県立教育センターにおける理数教育ステップアップ研修の意義と課題』(単著) 新潟県立教育センター理数教育ステップアップ研修実践記録, pp.5-6
(5)平成22年3月:『生徒を事件・事故災害から守るためにできることは』(共著) 文部科学省
(6)平成22年3月:『災害から命を守るために〜防災教育教材(高校生用)』(共著) 文部科学省
発】(1)平成21年7月:『中国・内モンゴルにおける環境教育の展開と課題』(共) 日本環境教育学会
(2)平成21年8月:『理科教育にみる東アジアの学校教育の現状と課題』(単) 日本学校教育学会
(3)平成21年8月:『理数教育充実期における自然災害取り扱いの意義と課題』(共) 日本理科教育学会
(4)平成21年8月:『教育改革期における東アジアの理科教育の共通性と差異について』(共) 日本科学教育学会
(5)平成21年8月:『世界遺産,ジオパークと高校地学』(共) 日本地学教育学会
(6)平成21年9月:『近年の自然災害への対応にみる学校防災の展開と課題』(単) 日本安全教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本地学教育学会シンポジウム司会, (2)日本安全教育学会フォーラム特別講演
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)学校安全教育資料作成等協力者会議協力者, (2)(独)教員研修センター 「学校安全指導者養成研修」講師, (3)スーパーサイエンスハイスクール支援事業推進委員会委員, (4)理数教科書に関する国際比較調査委員会委員, (5)新潟県環境審議会委員, (6)全国学校ビオトープ・コンクール審査委員, (7)平成21年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会審査委員, (8)JICA研修閉鎖性海域の水環境管理コース講師, (9)平成21年度理数教育ステップアップ研修講師, (10)上越市地域省エネルギービジョン策定委員, (11)平成21年度長野県学校安全教育指導者研修会講師, (12)平成21年度金沢市小学校教頭会夏季講演会講師, (13)新潟県立柏崎高等学校SSH運営指導委員会委員, (14)新潟県立高田商業高等学校新入生意識啓発講演会講師, (15)信濃川火焔街道博学連携推進研究会顧問, (16)新潟県環境リーダー育成検討委員会委員長
◎社会への寄与等
 上に記したように文科省関係の国の委員や教員研修の講師から,新潟県,上越市の委員,県・市教育委員会レベルの講師まで,幅広く依頼に応えた。
 

 
増 井 三 夫(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 専門科目について,学部・大学院の全授業科目において,実際の授業場面(ビデオ)を分析できる演習時間を設定し,グループ及び個人でそれぞれの専門科目の観点から分析する力を育成した。
【観点2】教育の達成状況
 観点1について,学生から高い評価を得た。
研究指導
【観点1】学部
○実践研究力の育成を図った。実際の授業場面を事例にして,子どもの学習活動や教師の指導に関わる問題を研究テーマに選び,行為者の視点から分析できる方法の習得を含めて,実践研究を行った。
○4年生の卒業研究の一部を,11月の日本教育実践学会で発表し,評価を得た。
【観点2】大学院
【修士課程】○実践研究力の育成を図った。実際の授業場面を事例にして,子どもの学習活動や教師の指導に関わる問題を研究テーマに選び,行為者の視点から分析できる方法の習得を含めて,実践研究を行った。
○M2,3の修士研究の一部を,11月の日本教育実践学会で発表し,高い評価を得た。
【博士課程】○2名の院生の課程博士の論文を作成し,博士の学位を取得させた。
○DS3年の院生については,研究方法の修得を含め,学術論文の作成を行った。
その他の教育活動
○富山大学非常勤講師「教育の思想と歴史」
 文系と理系について上記科目の授業を実施。学生が自己の教育観・授業観を,歴史の成果に基づいて,点検する講義を行う。
 そのために,実際の高等学校及び中学校の授業ビデオをデータにして,その教育観・授業観の分析を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
○常に,実際の授業場面を,ビデオと参観によって,データにして,教師と子どもの活動を理論的に分析する方法を採った。
 この点については,非常勤講師での授業を含めて,高い評価を得た。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年10月:『名著解題』(共著) 協同出版
論】(1)平成22年2月:『自己調整による思考の変容可能性―大手町小学校「学びのノート」の分析―』(共著) 上越教育大学研究紀要 第29巻 
(2)平成22年3月:『教員養成のための教科内容学(教科専門)研究の視点と方法』(共著) 日本教育大学協会研究年報 第28集
発】(1)平成21年11月:『児童が他者の考えを受け入れるまでの過程についての事例研究』(共) 日本教育実践学会
(2)平成21年11月:『問題解決における自己限界の認知の手続き』(共) 日本教育実践学会
(3)平成21年11月:『他者認知が思考形成力に及ぼす影響』(共) 日本教育実践学会
(4)平成21年11月:『概念形成の多様性におけるメタ認知の役割―個人差に着目して―』(共) 日本教育実践学会
(5)平成21年11月:『授業場面における自発的会話場面生起の局面とその過程―言語的課題調整の視点から―』(共) 日本教育実践学会
(6)平成21年11月:『生徒が「ひきつけられる」授業における教師の指導力―生徒の意識構造分析を通じて―』(共) 日本教育実践学会
(7)平成21年11月:『物語文における登場人物のイメージのひろがり―身体表現に着目して―』(共) 日本教育実践学会
(8)平成21年11月:『子どもがつまずく局面と克服するきっかけ―授業中の子どもの思考過程に着目した事例研究―』(共) 日本教育実践学会
(9)平成21年12月:『教員養成における教科内容学(教科専門)研究の方法』(共) 奈良教育大学での講演
(10)平成22年3月:『評価からみたモデルカリキュラムの検討』(単) 鳴門教育大学先端的大学改革事業に関わる第2回研究会
(11)平成22年3月:『教育学からみた評価』(単) 鳴門教育大学 先端的大学改革事業 シンポジウムのパネリスト
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成22年10月:大学評価・学位授与機構評価専門員, (2)上越市立大手町小学校学校評議員
 

 
五 百 川  裕(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の「体験学習」及び「野外体験演習」では,野外での自然体験が不足している学生の実態を踏まえ,小学校教員になった場合に生活科や総合的な学習の時間,特別活動や環境学習の野外授業で必要となる基礎知識を,興味を持ちやすい素材を厳選し,実際に野外での観察,体験を通して習得できるように工夫した。大学院の「地域環境学習演習」及び「地域環境学習特論」では,地域環境として里山,河川,海岸などを取り上げ,演習においては先ず実際に野外での自然環境学習体験をした上で,各人が校種,学年を意識した学習指導案を作成し検討会を行うことで,興味を持ち主体的に取り組めるように工夫し,特論においては学習素材を見つけるための着眼点を,画像を豊富に使用して具体例を挙げながら解説し,一般論,方法論に留まらないように工夫した。
【観点2】教育の達成状況
 大学院修了生(2名)は1名は現職派遣学生であったので復帰して中学校教員として務めており,1名は地区理科教育センターの嘱託職員として務めている。
研究指導
【観点2】大学院
 総合的な学習の時間の単元開発の素材研究を指導した。地域を特徴づけたり絶滅のおそれのある自生植物,それらと関係する昆虫などの動物も含めた里山の自然環境など,学生の興味・関心に応じてテーマ設定を行い,野外での1年間の季節を通しての観察体験を基礎として,自然環境を正確に見る力,それを伝える力を身に付け高めるため,同伴しての野外個別指導,セミナーでのグループ指導を積み重ね,修士論文の完成,中間発表会での報告に結びつけた。小中高等学校での学習内容との結びつけを大切にし,自然観察の面白さを実感を持って理解させることを意識して指導している。
その他の教育活動
 教育実習委員会委員として,実習校を担当して授業日に巡回指導を行った。また,研究室所属学生の授業教材研究の支援,研究授業の参観,指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 自身の高校教員経験及び植物学研究の専門性を生かし,これまで学習し習得しているはずの知識の復習を意識させながら,発展的な知的好奇心を高めることが可能な素材を選び,机上に留まらない実際の野外活動を伴った授業を行って,問題意識,興味,体感を高められるようにしている。学習指導案の作成演習等において,現職院生と学部進学院生との経験や興味の違いを配慮しながら双方に有用感を持たせる授業を組み立てることに課題を感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年2月:『Flora of China, vol.10.』(共著) Science Press & Missouri Botanical Garden Press
発】(1)平成22年3月:『新潟県上越市におけるレッドリスト登載植物の現状』(共) 日本植物分類学会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本植物分類学会評議員, (2)9月17日〜9月20日:日本植物学会第73回大会出席, (3)3月26日〜3月27日:日本植物分類学会大会出席
◎特色・強調点等
 著書は,アジアの植物多様性の実態と起源を解明するために欠かせない,中国の維管束植物相を記載するプロジェクトの成果の一部である。分担執筆したのは,特に中国南西部において種分化が顕著なアジア温帯域固有のマメ科ハナハギ属と,東南アジアに種分化の中心があり中国を含む世界の熱帯,亜熱帯域に分布が広がっているマメ科フジボグサ属である。これら2属の分類学的取り扱いを明確にし,その多様性の実態と起源を解明する基盤を固めた成果である。学会発表は,上越市の絶滅危惧植物の実態を調査した研究であり,修士論文の研究成果を共同発表したもので,地域の自然環境学習の素材研究ともなるものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市児童生徒科学研究発表会審査委員長, (2)県下児童生徒生物標本・自然科学写真展示会審査委員, (3)理友会研修会講師, (4)新潟県立燕中等教育学校進大学講義体験講師, (5)長岡市立与板中学校総合学習授業講師, (6)理数教育ステップアップ研修指導者, (7)上越市版レッドデータブック作成検討委員会委員, (8)上越市歴史文化基本構想策定事業委員会委員, (9)新潟県環境影響評価審査会委員, (10)妙高市環境審議会会長, (11)新潟県立高田農業高等学校目指せスペシャリスト事業運営指導委員会委員, (12)関川圏域流域協議会委員, (13)姫川有識者会議委員 (14)河川水辺の国勢調査アドバイザー, (15)新潟県野生生物保護対策検討会委員
◎社会への寄与等
 児童生徒の自然環境への興味関心を高め科学的視点を育む催しに審査委員として実施協力をし,また,中学校教員が自然観察指導力向上を図る催しである理友会研修会,および新潟県立教育センターの理数教育指導力向上のための教員研修会の講師として,研修に協力した。本学の出前講座の講師として,専門の植物研究の成果を社会還元することに努めると共に,上越市の自然環境保全や文化財保存に関わる委員会委員や新潟県の環境審議会委員として専門性を地域貢献に生かしている。
 

 
五十嵐 素 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 どの講義においても,多様化する学生のニーズに合わせて教育内容を工夫するようにしている。例えば具体的な教育実践のイメージが持ててない学生には,ビデオデータなどを活用して現場の実践のあり方を観察させたり,具体例を出しながら教えている。また,学習への動機付けを高めるために,学生からの質問や感想とその回答を毎時間の冒頭に配布するようにしている。また学生間の理解の差が大きいので,学生からのレポートにはコメントをつけて返却することで個別の学生をフォローするように心がけている。
【観点2】教育の達成状況
 赴任して初年度のため,直接担当した学生が卒業しているケースはないが,講義やセミナーなどで教育実践の研究方法を教えたり,現職教員と議論してもらうなかで,個別の学生が教員としての力量を身につけつつあることを実感している。
研究指導
【観点1】学部
 学部生の講義では,具体的な教育実践の事例を取り上げ,授業において教師がどのような言葉を用いて働きかけているのか,そのことによって子ども反応をどのように引き出しているのか,その教育効果について観察させている。このことは,教育実践を観察し評価する力を育てるという意味で,臨床的な実践力を身につけることにつながると考えられる。
【観点2】大学院
 大学院の研究指導では,社会学の相互行為論の理論的知見に基づき,授業のビデオデータを用いて教師と子どもの相互行為のあり方を分析させている。授業における活動は多様であり,そうした分析を行うことによって,活動それぞれの教育上の特色や効果について明らかにさせ,活動における教師の役割について学術的な見地から検討をしている。こうした訓練は,教育実践研究としての基礎的な知見を積み重ねる力量を形成する点において重要である。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 院生の学問的バックグラウンドや経験が多様であるため,講義で基礎から応用まで広く教えることができる教科書や教材を開発していく必要があると考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成21年8月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(1)―抑うつの変動に関する分析』(共) 日本教育心理学会第52回総会
(2)平成21年8月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(2)―親しい友人からのソーシャルサポート・就職へのイメージや希望進路への実現可能性・精神的健康の関連』(共) 日本教育心理学会第52回総会
(3)平成21年8月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(3) : 性格特性と抑うつおよび学業成績の関連』(共) 日本教育心理学会
(4)平成21年10月:『「達成としての学習」の社会的性格―概念分析の視点から』(単) 第82回日本社会学会大会
(5)平成21年11月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(4)―青年期における親への愛着が友人関係を媒介して就職イメージに及ぼす影響―』(共) 日本子育て学会第1回大会
(6)平成22年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(5)―パーソナリティの安定性と変化の検討―』(共) 日本発達心理学会第21回大会
(7)平成22年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(6)―学業成績と精神的健康度の関係についての検討―』(共) 日本発達心理学会第21回大会
(8)平成22年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(7)―親への愛着が就職イメージ変化に及ぼす影響―』(共) 日本発達心理学会第21回大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)科学研究費補助金・基盤研究(B)「臨床教育のビデオエスノグラフィー:高等教育における臨床教育場面の経験的比較研究」 代表者:樫田美雄(徳島大学・大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部) 徳島大学樫田科研プロジェクト
(2)科学研究費補助金・基盤研究(A)「ヒューマンケアにおける相互行為の社会学的分析に基づく支援システムの研究」 代表者:山崎敬一(埼玉大学教養学部) 埼玉大学山崎科研プロジェクト
(3)航空管制塔におけるOJT調査 代表者:北村憲典(東海大学法学部) 航空管制OJT研究会
(4)学習経験の基盤となる相互行為のあり方の解明 代表者:五十嵐素子(上越教育大学) 大学研究プロジェクト
 

 
石 川   真(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法においては,すべての担当授業において指定のテキストがないため,毎回資料を作成した。基本的に,パワーポイントによるスライドで作成し,学生にpdfの形式,もしくは紙媒体で配布した。また,そのスライドを用いて授業を行った。また,講義支援システムの特徴を活かし,掲示板を用いて特定のテーマについて意見や感想を述べさせるなど,授業時間外においても学習活動が持続できるような工夫をした。人間教育学セミナーにおいては,新入生ということを考慮し,提出されたレポートはすべて添削し,一人一人が今後レポート作成するにあたっての注意事項を個別指導した。
 成績評価については,1回目の授業時に評価の説明を行い,基本的にその基準で実施したが,レポートの提出回数が異なるなどした場合は,適宜その都度説明し,受講者と共通理解を図った上で評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 すべての授業において,シラバスに記載された目標は達成できたと考えられる。特に,レベルの高いものについては,個別指導をすることによって,受講者の理解が高められることから,少人数での授業においては,比較的レベルの高い内容が達成できたと考えられる。教育情報科学概論については,他の授業と異なり大人数のため,きめ細かな教育を行うことはできなかった。しかし,実践場面をビデオで紹介するなど,1年生(前期科目)の内容として具体的でわかりやすいものとしたことで,一定の目標は達成されたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 学部におけるゼミ生は所属なし。
 ただし,学部1年生のクラス担任として,人間教育学セミナーなどで提出されたレポートに対してきめ細かくコメントをし,レポートの書き方や意見のまとめ方などの指導を行った。
【観点2】大学院
 次年度(2010年度)に実践を行うということを念頭に,授業実践に関わる検討,および評価のための質問紙作成を中心に指導した。現職で実践の取り組みの工夫を検討している一方で,複数の学校での質問紙による調査も実施する予定であることから,内容だけにとどまらず,実施予定先の学校長や担当教員と密な連絡を取るように指示し,十分な説明責任を果たすような指導を行った。
その他の教育活動
・厚生労働省看護研修研究センター看護教員養成課程講師
特色ある点及び今後の検討課題等
 情報に関わる内容を授業のテーマで扱った。看護教員向けであり,「教師」という立場から現在の情報社会や情報技術に対してどのように向き合っていくべきかという点については,本学で行う授業と本質的に一致しており,その意味においては,非常に有意義な授業内容となった。また,多様な受講者とレポートを通して意見交換することにより,本学で得られなかった情報を収集することができ,今後の本学での授業においてきわめて有用なものとなった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】(1)平成22年2月:『テキストコミュニケーションを円滑にする感性情報に関する基礎的研究』(単著) 平成19-21年度科学研究費補助金(若手研究(B))研究成果報告書
発】(1)平成21年8月:『送り手と受け手のテキストメッセージに関する認知の特徴』(共) 日本心理学会
(2)平成21年8月:『学習環境条件による唾液中α-アミラーゼ活性の変化』(共) 日本心理学会
(3)平成21年9月:『有害情報に対する情報モラル教育を支援するWebサイトの構築』(単) 日本教育工学会
(4)平成21年10月:『社会的スキルの違いが感情を伝えるテキストメッセージの理解に及ぼす影響』(共) 日本社会心理学会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本教育工学会大会企画委員会委員, (2)平成21年度:日本教育工学会大会企画委員会幹事, (3)8月26日〜8月28日:日本心理学会第73回大会出席, (4)9月1日〜9月4日:ヒューマンインタフェースシンポジウム2009出席, (5)9月19日〜21日:日本教育工学会第25回全国大会出席, (6)10月10日〜12日:日本社会心理学会第50回大会出席
◎特色・強調点等
 科学研究費補助金若手研究Bで「テキストコミュニケーションを円滑にする感性情報に関する基礎的研究」を行っている。文字のみでのコミュニケーションにおけるさまざまな問題を解決するために,そもそも,このような形態のコミュニケーションではどのような情報を認知しているのかという側面に焦点を当てて研究を行っている。従来の対面と比較することによる文字でのコミュニケーションの良い点,悪い点という観点ではなく,むしろ,見えない中でも,人間の巧みな情報の認知を明らかにしようとする点が特色である。また,こうした点を明らかにしていくことで,円滑なコミュニケーションの方法(指導)や,支援システムの開発などが可能となり,基礎的な研究として非常に重要といえる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)日本心理学会認定心理士資格認定委員会
 

 
井 上 久 祥(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
講義支援システムの利用
研究指導
【観点1】学部
指導学生なし
【観点2】大学院
 学内の限られた研究者からの研究指導で完結することなく,広く世間一般に向けて研究の意義や成果を問うことをねらいとして,学会での研究発表発表を行っている。具体的には,日本教育工学会,日本教育実践学会で発表。
その他の教育活動
・電気通信大学にて教職科目「総合演習」の非常勤講師を担当
・富山大学にて教職科目「教育工学」の非常勤講師を担当
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校に基礎を置くカリキュラム開発の考え方にもとづいた情報教育のための授業改善のモデルを構想し,実際に地域の学校と連携して,情報教育の授業づくりや学校の情報化についての支援を行っている。これら一連の活動が地域貢献に留まらず,大学講義の改善にも効果のあることを示し,具体的には,学校−大学間の連携で得られた実践知のエッセンスを教職理解のためのケースメソッド教材にし,大学の講義において伝達することを試みている。
 

 
古 閑 晶 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 初日に見通し場面,最終日に振り返り場面を設定し,授業観の変容を認識させるようにした。また,授業づくりの要素を獲得できるよう,授業開始10分間を活用した「ことばタイム」の演習,少人数による演習形式での教材づくりや授業デザイン案の作成・模擬授業を実施した。さらに,学校現場との連携により,授業観察場面を設け,授業実践場面における子どもと授業者の姿から,学びとその要因を意味づける視点を獲得できるようにした。
【観点2】教育の達成状況
 演習時の学生・院生の姿や授業評価結果から,おおむね授業デザインの要素や学習者の姿の省察の意味を理解したととらえられる。
研究指導
【観点2】大学院
 毎週の研究発表・協議と,定期の構想・中間発表場面を設定し,研究課題に対する吟味・省察・修正改善を促すようにした。実践場面分析演習では,附属小学校と公立校と連携し,授業観察する中で,学習者の思考過程を分析・考察し,思考表現過程の有り様を考究した。また,先行研究の吟味による理論構築づくり,実践との整合性に着眼した。研究テーマの違いによる多面的な見方や,各自の考え方の差異を効果的に活用している姿が伺える。研究目的の明確化,因果関係・一貫性,実践への整合性を課題としたい。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学校現場との連携による授業観察場面の設定,授業開始10分間を活用した小・中学校現場で行われている「ショートことばタイム」の演習,少人数による演習形式の授業デザイン案作成・模擬授業の実施など,教職キャリアの形成を志向した実践的な場面を意図的につくるようにした。子どもの学ぶ姿から授業の有り様や各自の研究課題を問い,改善意識をもつといった,省察・改善の姿を授業科目・セミナー指導において具現していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年5月:『思考の三階層に基づく対話の授業デザイン』(共著) 臨床教科教育学会学会誌第9巻第1号 pp.9-15
(2)平成22年3月:『言語活動を核とした国語科授業デザイン』 「教育実践研究第20集記念誌教育実践学研究へのいざない」(単著) 上越教育大学学校教育実践研究センター
業】(1)平成21年6月:『再考と納得の共創過程をつくる』(単著) 上越教育大学附属小学校「人間社会を生きる子どもが育つ学校VOL.1」 p29
(2)平成21年6月:『ことばがつくる共創過程を可視化する』(単著) 上越教育大学附属小学校「人間社会を生きる子どもが育つ学校vol.1」 p43
発】(1)平成21年10月:『言語活動を核とした国語科授業デザイン−ブックレビューにおける思考表現過程の省察をもとに−』(単) 全国大学国語教育学会愛媛大会
(2)平成21年10月:『「分離方式初等教育実習」を中核とした教育の質保証−上越教育大学スタンダードと有機的な関連を図った教育実習ルーブリックの活用−』(共) 日本教師教育学会
(3)平成21年10月:『上越教育大学スタンダードと有機的な関連を図った教育課程の構築−「教職実践演習」の試行3年目と今後の展望について−』(共) 日本教師教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)国語科における「人間社会を生きる子ども」の姿及び国語科言語活動づくりの視点 代表者:林泰成(上越教育大学附属小学校) 2009年研究
(2)言語活動を核として思考を促す国語科学習過程臨床研究−ブックレビューをつくる− 代表者:松岡博志(上越教育大学附属小学校) 平成21年度上越教育大学研究プロジェクト
(3)言語活動を核として思考を促す国語科学習過程臨床研究−冒険物語をつくる− 代表者:田中枝利子(上越市立大町小学校) 平成21年度上越教育大学研究プロジェクト
(4)思いや考えを伝え合う授業の創造 代表者:中島秀治(上越市立諏訪小学校) 上越市立諏訪小学校平成21年度研究
(5)言語力の向上を目指した指導の工夫 代表者:穂苅敬子(糸魚川市立今井小学校) 糸魚川市立今井小学校平成21年度研究
(6)自分の思いを生き生きと伝え合う子どもを目指して−「かく」活動に焦点を当てて− 代表者:小川文雄(上越市立宝田小学校) 上越市立宝田小学校平成21年度研究
(7)言語活動を核として思考を促す国語科学習過程臨床研究−論理的思考力をはぐくみ考えを深め合う話合いをつくる− 代表者:武井由香(上越市立春日小学校) 平成21年度上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況
(1)5月30日〜5月31日:全国大学国語教育学会秋田大会出席, (2)9月5日:日本学校図書館学会研究発表大会出席, (3)9月26日:日本国語教育学会新潟県支部研修会出席, (4)10月4日:日本教師教育学会第19回研究大会発表, (5)10月17日〜18日:全国大学国語教育学会愛媛大会発表
◎特色・強調点等
 研究プロジェクトを中核とした国語過程臨床研究と,「上越教育大学スタンダード」を核とした教職キャリア教育研究において,現時点で見えてきた成果を,学会発表や論文,著書等により発表した。また,数校の学校現場と連携し,今日的教育課題である「言語活動の充実」を図る校内研究課題に正対することにより,言語活動を核とした国語科授業デザインの要素が整理されてきているので今後も継続していく。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)出前講座講師「思考力を培う授業づくり」, (2)上越市教育センター小学校国語科研修会講師, (3)出前講座講師「学習指導要領改訂と小中一貫教育〜国語科伝統的な言語文化に着眼して」, (4)上越国語連絡協議会三者打合せ「4校の実践発表の検討」, (5)上越国語同好会「附属中学校における2つの実践の検討」, (6)教職12年経験者研修学習指導コース講師, (7)出前講座講師「対話を核として思考力を育む授業デザイン」, (8)上越国語連絡協議会夏季研修講師「小学校上学年実践の指導」, (9)上越市立諏訪小学校校内研修講師, (10)糸魚川市教職員研修講師, (11)出前講座講師「言語活動を核として思考表現を促す対話型授業デザイン」, (12)出前講座講師「新学習指導要領の意図と小中一貫乗り入れ授業の可能性」, (13)糸魚川市立今井小学校校内研修講師, (14)五泉市小学校教育研究会国語部講師, (15)上越国語同好会実践及び構想発表会, (16)糸魚川市教育研究会国語部会, (17)出前講座講師「言語感覚を核とした国語科授業デザイン」, (18)上越市立宝田小学校校内研修講師, (19)上越国語同好会「春日小実践・雄志中実践検討」, (20)児童生徒の「活用力」向上モデル事業に係わる校内研修会講師, (21)「大学との連携による学校活性化フォーラム〜校内授業研究を元気にする〜」講師(宇都宮大学), (22)上越国語同好会「年間実施内容の振り返りと講演参加」
◎社会への寄与等
 出前講座では,事前に各校の「平成21年度研究の概要」を読み,ニーズに応じた実践的な講座内容になるよう学校ごとに再構成して臨んだので,コンサルテーション中核の出前講座になった。また,地域の学校や教育研究団体,県・市教育委員会主催の研修において,学習指導要領改訂にかかわる今日的課題をもとに国語科教育再考の視点を実践レベルで伝えることができた。
 

 
佐久間 亜 紀(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院の講義では,現職教員とこれから教員になる院生の,ニーズや予備知識の差に対応するために,40名の受講生のそれぞれとの双方向型の講義を心がけた。具体的には,毎回きちんと予習課題をだしその提出物を採点し返却したり,講義後にはリアクション・ペーパーを提出してもらいコメントをつけて返却するなどの,対応をおこなった。FDの一環としても授業公開をおこなった。
 学部の講義でも,受講者数が230名ときわめて多いが,毎回講義修了時に提出してもらうリアクション・ペーパーにできるだけコメントをつけて,毎回返却し,各自のポートフォリオを作成して評価をおこなった。
【観点2】教育の達成状況
 大学院および学部のいずれの講義についても,学生からの授業評価は平均値が4.8ときわめて高く,院生からは「大学院のなかで受けた講義のなかで最も充実した講義のひとつ」との評価をえた。また,FDの一環としても講義を公開し,参加してくださった他の大学教員からも,充実した講義だった,参考になったとの評価を得た。
研究指導
【観点1】学部
 学部生については,教員志望であるにもかかわらず,勉学への意欲がわかない状況であったため,懇切丁寧に指導にあたった。丁寧に話をきき,生活が安定するような働きかけをおこなった。後期からは勉学や教職への意欲をとりもどし,卒論に取り組みはじめる姿がみられるようになった。
【観点2】大学院
 2009年度の院生はすべて免P生であったため,研究の進め方から健康的な大学院生活の送り方も含め,研究の進め方や本の読み方,論文の書き方など,基礎の基礎から丁寧におこなった。
 また,教育現場の実際をみてもらうために,私が定期的に指導にいっている近隣の小中学校を共に訪問し,授業をみせていただくと共に,校内研究会などにも同行してもらい,教員たちの実際の議論もみてもらった。
 さらに,課外活動として,学生どうしで模擬授業をおこない,指導案の書き方や授業の進め方について実践的な指導もおこなった。
その他の教育活動
 教育実習における学生指導については,各学生の実習先の学校に実際におもむき,研究授業をおこなうための指導や,実際に研究授業をおこなってみての反省点についての指導などを,他の実習生もまじえておこない,好評をえた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 佐久間の教育活動の特色としては,大学院レベルでの学術的な指導と,教職に即した実践的な指導とのバランスが,適切にとれていることだと自負している。つまり,きちんとした学術的な教育研究をおこなうためのスキルを,基礎から習得させられるように指導するアカデミックな側面と,実際に学校現場を訪問し,子どもや教師の具体的な事実を観察しながら教員としての力量を高める実践的な側面との,双方を大切にしている。
 具体的には,上述したように,私自身がアメリカで習得してきた研究指導方法によって論文作成の指導をわかりやすくおこなうとともに,共に学校を訪問し授業を観察しながら授業力を高めることとを同時におこなっている点に,特色がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年7月:『教員免許更新制の意図せざる結果』(単著) 教育と医学, 第57巻8号
(2)平成21年8月:『校内研修を問い直す−省察が深まる場をどう作るか』(単著) 信濃教育, 第1473号
(3)平成21年12月:『六年制教員養成の可能性と問題点』(単著) 季刊教育法163
(4)平成22年2月:『母として保育者の専門性を考える(1)』(単著) 幼児の教育, 第109巻第2号
(5)平成22年3月:『母として保育者の専門性を考える(2)』(単著) 幼児の教育, 第109巻第3号
(6)平成22年3月:『六年制教員養成の問題点』(単著) 現代思想 第38巻5号
他】(1)10月:『朝日新聞/全国統一学力テストに関する有識者としてのコメントの掲載』 朝日新聞
(2)平成21年11月:『朝日新聞首都圏版(夕刊)/教員養成六年制に関する有識者としてのコメント』 朝日新聞
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本教育学会教員養成のあり方に関する特別委員会, (2)平成21年度:日本教育学会特別課題研究委員会「現職教師教育カリキュラムの教育学的検討」委員, (3)平成21年度:日本教師教育学会理事
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)信濃教育会第123回定期総集会パネルディスカッション講師, (2)信濃教育会教育研究所講師, (3)済生会新潟第二病院プリセプター研修講師, (4)上越教育大学授業研究会の主催,  (5)日本大学教育労働問題研究会講師, (6)群馬県川場村教育委員会講師, (7)上越市男女共同参画審議会委員, (8)上越市総合計画審議会委員
 

 
角 谷 詩 織(准教授)
 

 
田 島 弘 司(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 前後期すべての授業において講義支援システムの電子掲示板を使用し,個々の学生が授業の感想や課題を電子掲示板に書き込むことにより,授業の振り返り,授業間の継続性の確保や意見交換,情報の共有化が促進された。成績評価の方法は,シラバスで明示するとともに授業でも説明した。出席,電子掲示板への書き込み,レポート等による総合的な評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 「学生による授業評価アンケート」の結果は,ほとんどの授業について前年度より評価が高かった。授業改善への取組の成果が出たと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 4年生になった時点で教員採用試験の準備に集中できるよう配慮し,授業プログラムの開発,学校でのプログラムの実践,アンケート調査及び質的調査の実施等を年度内に終えた。このことにより,臨床的な実践力を修得させることができたと考える。
【観点2】大学院
 高度な臨床的な実践力を修得させるために,研究課題への取組を文献調査にとどまらせず,理論を実践に生かすためのプログラムを開発し,それを小学校で実践し,そのデータを量的及び質的調査を通じて分析し評価することを行わせた。
特色ある点及び今後の検討課題等
特色ある点:前年度の検討課題への対策として有用なコミュニケーション・スキルについて調査するとともに,そのコミュニケーション・スキルをトレーニングするために活用できるビデオ映像を収集することによって,コミュニケーション・トレーニングの有効性を高めるよう努めた。
今後の検討課題等:改善されたコミュニケーション・トレーニングの有効性についての検証
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年2月:『脳科学研究とリンクしたコミュニケーション能力研究の可能性』(単著) 上越教育大学研究紀要,第29巻,113-119
業】(1)平成21年6月:『コミュニケーション能力を高める国際理解教育カリキュラム研究』(単著) 科学研究費補助金研究成果報告書,課題番号18601003
発】(1)平成21年6月:『質的分析用PCソフトを活用した国際理解教育の授業の分析の試み』(単) 日本国際理解教育学会
(2)平成22年3月:『コミュニケーション・トレーニングとしての笑いヨガの可能性』(単) 日本コミュニケーション学会東北支部定例研究会
学会活動への参加状況
(1)平成21年4月:日本コミュニケーション学会東北支部参加, (2)平成21年5月:日本国際理解教育学会全国大会での研究発表, (3)6月27〜28日:第39回日本コミュニケーション学会年次大会参加, (4)10月31日:第10回日本コミュニケーション学会東北支部大会参加
在外研究の状況
(1)3月24日〜3月31日:インドデリーにて,ガンディーの平和思想に関する文献収集及びフィールドワークを実施。インドムンバイにて,笑いヨガの創始者へのインタビュー及びフィールドワークを実施。
◎特色・強調点等
 今年度は,学会に4回出席し研究発表を2回行った。また,研究紀要に論文を投稿した。そして,今後の研究のためにインドへ行き調査を実施した。まだまだ,研究が質量ともに少ないが,徐々に増やしていきたい。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜3月:学習スキル研究会講演・参加, (2)NPO法人「フリースクール夢想舎」講師, (3)6月〜8月:韓国教育大学校短期留学ブログラム委員会委員, (4)11月〜12月:「平成21年度 海外との研究交流」(招へい担当), (5)出前講座「さあ,はじめましょう!国際交流(入門編)」の開設, (6)出前講座「みんなで一緒に考えましょう!総合的な学習の時間の使い方」の開設
◎社会への寄与等
 今年度は,負担の大きい貢献が二つあった。それは,「韓国教育大学校短期留学プログラム」による学生の受入れと北京師範大学副教授の牛志奎氏の招へい,である。社会貢献の数はそれほど多くはないが,負担としてはかなり大きかったので貢献度は比較的高いと考えられる。
 

 
松 本 健 義(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学びの過程への臨床的理解をはかり実践的資質を深化向上するため,(1)子どもの学びや生活場面の参与観察(学習場面観察基礎,学習場面臨床学,学習場面臨床学特論),(2)協同制作演習(表現・相互行為教育演習,美術表現学習過程論,学習臨床支援特別論,学習臨床学),(3)ビデオカンファレンスと記述分析(学習場面臨床学,学習臨床学特論,学習場面臨床学特論),(4)学びの過程に基づく教材と授業の臨床開発(市内小学校との協同研究:意味生成表現と教材作成)を行い,具体的活動と場面を通して専門的知識技能を高め,学習過程,教材開発,指導方法等への理解を深めた。
【観点2】教育の達成状況
 各授業内演習での受講者の行為の変容過程,事例の分析演習,発表と討議,授業レポート,課題レポートにより評価を行った。観察場面,ビデオカンファレンス,実践場面の各場面において,履修者の行為の質的変化が早期からみられ,学びの過程への臨床的把握と実践力の形成に効果的であった。
研究指導
【観点1】学部
 初等教育実習を核にして卒業研究を連携させ,事前指導,教材開発,実習授業学習活動分析,事後継続観察による臨床的研究指導を行った。実践場面事例ゼミと文献ゼミを単位とした研究指導が実践力向上に有効であった。富山,長野での事例調査演習を実施し,収集事例のビデオカンファレンスと事例分析を行い,卒業研究へと発展させた。また,附属学校での継続的な観察調査と事例収集を指導した。
【観点2】大学院
 東京,埼玉,奈良,富山,石川,新潟の各県小・中・特別支援学校での校内研究と連携した観察調査や実践開発研究を行い,子どもの行為と知の社会文化的生成過程について現象学的視点から臨床的研究法を指導した。参与観察事例のビデオカンファレンスと事例分析による「事例ゼミ」と,基本文献のレポートと討議による「文献ゼミ」を単位とした研究指導が,臨床的実践力向上にたいへん有効であった。現職派遣大学院生による実践開発研究の成果は日本質的心理学会第7回大会において発表した。
その他の教育活動
・桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部非常勤講師(図画工作概論・9月1日〜3日集中講義)
・初等教育実習実習生引率(黒田小学校・6月・9月),初等教育実習研究授業指導(宝田小学校・中郷小学校・清里小学校・9月・3名)
特色ある点及び今後の検討課題等
 子どもの学びの過程とその成り立ちを,ものや人に媒介された行為による社会文化的意味生成過程として位置づけ,子どもの行為ともの,こと,人とのつながりが生み出していく関係とその過程で捉えること,そうした子どもの学びの活動過程をデザインすること,実際に生起した子どもの活動を相互行為や画像分析を通して言語化して共有していくこと,を特徴としている。こうした視点によりフィールド調査,事例分析,表現演習,教材開発を進めている。今後の検討課題は,活動過程を媒介するもの(教材,道具,場)の働きについて教育活動を開発することである。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
作】(1)平成21年11月:『第45回新潟県中越教育美術展の作品審査』 長岡市立上組小学校
(2)平成21年11月:『新潟県ジュニア美術展覧会審査員』 新潟県民会館3階県民ギャラリー
(3)平成21年12月:『第6回新潟教育アート展審査会審査員』 新潟市立金津中学校
(4)平成22年2月:『第50回新潟県児童生徒絵画版画コンクール審査員』 上越市福祉交流プラザ
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本質的心理学会研究交流委員,(2)平成21年度:大学美術教育学会学会誌委員
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県立高田商業高等学校学校評議委員, (2)東京都立八王子盲学校校内研究会幼稚部講師, (3)新潟県中学校教育研究会美術部門中越地区指導者, (4)6月:宮代市立笠原小学校校内研究会講師, (5)日本質的心理学会研究交流委員, (6)10月:須坂市保育園連盟講習会講師, (7)11月:糸魚川市公私幼保学校職員研修会講師「子どもの絵の見取り」, (8)新潟県中教研美術部研究会指導者, (9)11月:上越市美術研究会講習会講師, (10)1月:描画の評価について
 

 
両 角 達 男(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の授業「学習臨床開発論」などでは,具体例に基づいて考えたり,算数授業の中で生じることがらについて,授業をとらえる視点を変えて議論を重ねたりする活動を行った。例えば,算数的活動を育むための教材開発について授業者の立場から検討したり,算数的活動の効果について学習者の立場から想定したりすることである。
 大学院の授業「算数・数学学習過程特論」などでは,数学学習に関わる大規模学力調査の分析結果や傾向をもとに議論を行ったり,テクノロジーを活用した数学の学習過程について,具体例をふまえた議論を行った。
【観点2】教育の達成状況
 「学習臨床開発論」などの授業評価では,授業方法と授業内容の双方で好意的な評価を得ることができている。具体例に基づいて考えたり,授業の中で生じることがらについて,授業をとらえる視点を意識し,視点を変えて議論を重ねることなどが,受講者のニーズにあったと思われる。
研究指導
【観点1】学部
 平成21年度は,学部3年生4名の学生を指導した。
【観点2】大学院
 大学院生については,平成21年度の担当指導学生はいなかった。
その他の教育活動
 横浜国立大学大学院教育学研究科にて,「科学教育論講義U」の授業を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 具体例に基づいて考えること,授業をとらえる視点を移動して考え,議論を重ねること,テクノロジーや教具を積極的に活用した学習活動をとりいれることが,講義を進める上で重視している点である。一方,今後の課題としては,複数教員担当での授業展開のあり方についてさらに工夫を図ることである。教科教育の視点をより前に出した授業展開にしたいと感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年6月:『中点連結定理に焦点を当てた図形学習−合同から相似への学習の拡がりへの触媒を意図した授業の試み−』(単著) 教育科学数学教育, No.620, pp.91-96
(2)平成21年9月:『式変形の根拠を確認する活動を重視した一次方程式の学習活動』(単著) 教育科学数学教育, No.623, pp.91-96
(3)平成21年11月:『例で考えることによる代数学習の質的深化 −単元「平方根」における数学的活動に着目して−』(共著) 日本数学教育学会, 第42回数学教育論文発表会論文集, pp.253-258
(4)平成21年11月:『単元「平方根」における数学的活動とその特性』(共著) 日本数学教育学会, 第42回数学教育論文発表会論文集, pp.241-247
(5)平成21年12月:『図形の面積に着目して,図形の性質を探究する』(単著) 教育科学数学教育, No.629, pp.91-96
(6)平成22年3月:『物語性とリズム感を大切にした数学授業を創る −授業は予定調和には進まない−』(単著) 教育科学数学教育, No.629, pp.91-96
発】(1)平成21年8月:『分母に平方数を含む数と有理数との類似と相違に着目した学習活動』(共) 日本科学教育学会 第33回年会
(2)平成21年8月:『有理数から√50に接近する学習活動』(共) 日本科学教育学会 第33回年会
(3)平成21年11月:『例で考えることによる代数学習の質的深化 −単元「平方根」における数学的活動に着目して−』(共) 第42回数学教育論文発表会, 日本数学教育学会
(4)平成21年11月:『単元「平方根」における数学的活動とその特性』(共) 第42回数学教育論文発表会, 日本数学教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)「式をよむ」ことを重視した小学校算数の授業についての学習過程臨床的研究 代表者:両角達男(上越教育大学) 学内プロジェクト
(2)子どもの「問い」を軸とした算数授業に関する実証的研究 代表者:岡本光司(常葉学園大学)
(3)代数学習の質的深化を促す数学的活動に関する共同研究 代表者:両角達男(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本数学教育学会第91回全国大会中学校部会助言者, (2)平成21年度:日本数学教育学会編集部幹事,  (3)平成21年8月4日〜5日:日本数学教育学会第91回全国算数・数学教育研究大会参加, (4)平成21年8月25日〜26日:日本科学教育学会第33回年会参加, (5)平成21年11月7日〜8日:日本数学教育学会第42回数学教育論文発表会参加
◎特色・強調点等
 「数学を育む数学的活動」について,数学的活動論,数学教材開発論,小中高連携の視点など,複数の視点から共同研究者との議論を進め,その成果を教育科学数学教育などで示してきている。
 代数学習の質的深化を促す数学的活動については,佐久長聖中学校数学科との共同研究を継続的に行い,代数領域における単元を開発するとともに,その単元での学習状況に関するデータの分析を行っているところである。平成21年度は数の拡張に焦点をあてている。
 学内プロジェクトについては,小学3年における「式をよむ」ことを重視した単元を開発し,その単元での授業データを収集した。2年間の学内プロジェクトにおける研究の概要を20頁ほどの報告書にまとめるとともに,「式をよむ」ことを重視した単元における子どもたちの学習過程の分析を進めているところである。なお,さらなる分析は共著論文として示す予定である。
 子どもの「問い」を軸とした算数授業に関する実証的研究では,静岡市立安東小学校における算数授業を継続的に参観し,データを収集しながら,その分析を行っているところである。算数学習における子どもの「問い」の機能や役割,授業論に於ける「問い」の位置づけなどの議論も,共同研究者とともに進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)長野県総合教育センター中学校数学科教員研修講師, (2)長野県上田高等学校進路指導講師,  (3)更埴算数数学教育研究会講師, (4)鳥取県数学教育研究会講師(話題提供), (5)長野県算数数学教育研究大会中信ブロック大会講師,  (6)横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校研究発表会パネリスト
 

 
 野 浩 志(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業の目標を明確にし,わかる授業に取り組んでいる。
 講義支援システムを活用し,むだのない授業に取り組んでいる。
 目標と評価を連携させて,各授業回数ごとに評価をおこなっている。
【観点2】教育の達成状況
 おおむね,達成されている。
研究指導
【観点2】大学院
 免P1人を指導している。週2コマは,研究上の指導,その他,教員採用試験の勉強も指導している。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学生ひとりひとりにあわせたきめ細かい指導を行っている。
 学生の教員採用試験対策に関しての指導が検討事項である。
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
(1)2009年10月26日:新潟・山形素粒子理論研究会
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)2010年2月26日:「理科好きな子供を育てる,伸ばすには」シンポジウム
 

 
林   泰 成(教 授)【学校臨床研究コース及び教育実践リーダーコース/学校運営リーダーコース】
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 演習の授業では,グループワークや模擬体験を導入してワークショップ形式で行い,学生院生の興味を惹くように工夫した。講義の授業では,小中学校の授業の様子をビデオで見せるなどして,教育現場の実際の様子がわかるような工夫をした。また,多くの授業で,毎回,授業の最後に感想を書いてもらい,その内容に関して次の時間に学生にフィードバックする工夫をした。
【観点2】教育の達成状況
 学部生に対しては,道徳教育の理論から実践までひととおり教示できた。学生もおおむね理解したと思われる。大学院に関しては,道徳性の発達に関して集中的に教示した。院生もおおむね理解したものと思われる。
研究指導
【観点1】学部
 3名の卒論の指導を行った。2名は,すばらしい卒論を書き上げ卒業した。1名については書き上げることができなかった。不登校傾向の学生なので,指導に工夫が必要であったと反省している。
【観点2】大学院
 修士課程の5名の修論を指導した。それぞれがすばらしい修論を書き上げた。専門職学位課程の院生については,授業のみを担当したが,道徳に興味関心のある学生が修士課程のゼミにも参加していたので,必要に応じて指導した。
その他の教育活動
(1)国立大学法人富山大学で,非常勤講師として「道徳教育論」を2クラス開講した。
(2)放送大学において客員教授として「道徳教育論」を担当した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 より実践的な効果が出るように,講義では,できるだけ学校現場の話を織り込むようにしている。また,実際の授業の様子を理解させるためにビデオ視聴を取り入れている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年1月:『人間としての在り方生き方をどう教えるか』(共著) 教育出版
他】(1)平成21年12月:SMAP×SMAP(フジテレビ)の特番「道徳×SMAP」に出演。
学会活動への参加状況
(1)5月22日〜25日 アジア太平洋道徳教育ネットワーク出席(ソウル大学), (2)6月13日,14日 日本道徳教育方法学会出席, (3)6月28日 日本道徳教育学会出席, (4)7月1日,2日 道徳性発達実践学会出席, (5)10月17日,18日 教育哲学会出席
◎特色・強調点等
 学校現場と連携して実践的な研究を行っている。国内の学会だけでなく,アジア太平洋道徳教育ネットワークに参加し,文化的背景が類似しているアジア圏の道徳教育研究者と交流しつつ研究を進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県同和教育推進協議会副委員長, (2)新潟県「豊かな体験活動」「道徳教育実践研究」推進協議会委員, (3)千葉県流山市教育委員会「心の教育推進研修会」講師, (4)糸魚川市立糸魚川東中学校研修会講師, (5)富山県立高岡南高校ディベート指導講師, (6)県中研究大会道徳研究発表会講師(上越市立潮陵中学校), (7)石川県立金沢西高等学校人権教育講話講師, (8)独立行政法人教員研修センター道徳教育指導者養成研修(ブロック別指導者研修)講師, (9)岩手県立総合教育センター授業力向上研修講師, (10)茨城県教育研修センター高校道徳研修会講師, (11)柏崎市立比角小学校研修会講師, (12)新潟市教育相談センター教育相談研究会講師, (13)福井県坂井市道徳教育研修会講師, (14)長岡市立栃尾南小学校校内研修会講師, (15)東京学芸大学「総合的道徳教育プログラム」全学フォーラム発表者
◎社会への寄与等
 県の委員会の委員として積極的に政策決定にかかわった。また市内,県内の学校で各種研修会を開催し,地域貢献に努めた。
 

 
安 藤 知 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法に関しては,グループ学習,ワークシートを活用する演習,個々人のワークシートへのコメントのフィードバックなどを取り入れ,また,そうした演習での学習活動の発表機会を設定するなどして,受講者の積極的参加,主体的思考活動を支援した。成績評価に関しては,単位認定テストの当日,テスト終了後に回答例,採点基準等の一覧を配布し,試験の結果を自ら自省できるよう工夫した。
【観点2】教育の達成状況
 上記指導方法の工夫の結果,学生の主体的参加状況はおおむね良好であったと判断できる。グループ学習等でもすべての学生が何らかの形で発言をできており,ワークシートでの課題の達成状況は十分な水準にあると判断した。単位認定テスト等授業全体での課題達成状況も大きな問題は無いと考えているが,目標の難易度において,やや易しく設定しているので,その点が課題である。
研究指導
【観点1】学部
 学部における教育指導では,特に教職志望学生には不可欠な基礎的知識の確実な修得とともに,主体的に現代日本の教師の在り方に関心を持ち,自らの考えを明確にできるよう工夫した。具体的には授業中に多くグループ学習を取り入れ,意見交換や意見発表の機会を保障した。また,毎回授業記録を記述させ,それに対するフィードバックを行った。
【観点2】大学院
 大学院での教育指導は,研究指導もあわせて学生本人の問題関心を明確にし,それに関わる先行研究の到達点・課題を見極め,そこから今日の教育課題,研究課題を理解できるよう工夫した。授業でも論文読解と討議を中心とし,適宜講義を行う形式としたため,学生の積極的な参加が促された。しかし,受講者数によっては全学生の積極的な参加を保障するという点で限界があったので,その点での工夫が今後の課題である。
その他の教育活動
・新潟産業大学非常勤講師「教師論」 2単位(15回)
・教員免許状更新講習「教育の最新事情C」(於:長岡技術科学大学)
・新潟県立六日町高等学校 大学教育体験「教育学」講師
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育活動については,学部,大学院いずれも共通して「自律的思考力」を鍛えることを主眼においてシラバス,指導方法等を工夫した。各担当授業科目に必須の内容をしっかり修得させることはもちろん重要であり,この点で基礎知識を身につけられるような講義の仕方,ワークシートの工夫,ワークシートへのコメントの記入とフィードバックなどを行った。同時に,基礎知識から発展的に興味関心を持って,学生自身が多様に思考することを尊重する進め方とした。今後の課題は,特に学部講義科目での板書の工夫である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年8月:『教育の最新事情』(共著) ミネルヴァ書房
論】(1)平成21年4月:『(特集:大学院におけるスクールリーダー教育)上越教育大学の新構想としての経験から』(単著) 学校経営研究(大塚学校経営研究会) 第34巻
(2)平成22年2月:『学校組織における「教育改革」への意味付与の様相―志木市立A中学校における03〜05年度の事例分析―』(単著) 上越教育大学研究紀要 第29巻
業】(1)平成21年12月:『学校評価』(単著) キーワード137, 時事通信社, 38-39頁
(2)平成21年12月:『だれもがリーダー・提案の大切さ』(単著) 新・学校経営相談12ヶ月(2)組織活性化を目指すマネジメント, 教育開発研究所, 108-109頁
(3)平成21年12月:『主任層の役割』(単著) 新・学校経営相談12ヶ月(2)組織活性化を目指すマネジメント,教育開発研究所, 100-101頁
(4)平成22年2月:『学力向上のPDCA』(単著) 新・学校経営相談12ヶ月(3)学力向上を目指す授業と評価,教育開発研究所, 20-21頁
(5)平成22年3月:『中学校における学級経営をテーマとする教員研修システムの構築に関する実践的研究』(共著) 平成20・21年度上越教育大学研究プロジェクト研究報告書(研究代表者:安藤 知子)
発】(1)平成21年10月:『学級生活に関する生徒の意識変容と担任教師の課題意識の関連:A中学校における学級経営研修を事例として』(単) 日本教師教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)中学校における学級経営をテーマとする教員研修システムの構築に関する実践的研究 代表者:安藤 知子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
(2)教員の質の向上に関する調査研究(学校管理職養成プログラムに関する総合的研究) 代表者:葉養正明(国立教育政策研究所) 教員の質の向上に関する調査研究(学校管理職養成プログラムに関する総合的研究)
(3)教育・研究組織における評価に関する総合的研究 代表者:葉養正明(国立教育政策研究所) 教育・研究組織における評価に関する総合的研究
学会活動への参加状況
(1)平成21年8月:新潟県公立小・中・養護学校事務職員研究会第27回研究研修大会, (2)6月5日〜7日:日本教育経営学会第49回大会, (3)8月1日〜2日:日本学校教育学会第24回大会, (4)10月3日〜4日:日本教師教育学会第19回大会
◎特色・強調点等
 上越市立中学校との共同研究について,考察を進め報告書を作成した。この研究は,学校現場との共同による実践的研究であり,アクションリサーチ研究の試みでもある点に特色がある。並行して学校評価や民間出身校長などの改革動向を背景とする学校組織の在り方に関する今日的状況と,それに伴う教員の専門性の変容を継続して模索した。変化の激しい社会的状況の中で,今後の教員の専門性の有り様を探る視点は,新たな教員養成カリキュラムを構想する際にも不可欠となる着眼である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)5月:長野県教職10年経験者研修講師, (2)1月:新潟県教職12年研修講師, (3)8月:新潟県公立小・中・養護学校事務職員研究会第27回研究研修大会講師, (4)5月:上越市立高志小学校学校評議員
◎社会への寄与等
 主に,中堅教員の役割を学校組織の現状や課題と関連づけて解説する内容の教員研修での講師等を担当した。その他,高等学校での大学教育体験や小学校での学校評議員など,教育学研究者としての知見を活かしつつ,地域社会の活動の活性化に貢献するなどの寄与を行った。
 

 
稲 垣 応 顕(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義と演習,また毎時間の発表を課した授業を行っている。教員と学生,学生相互に「対話のある授業」が出来ていると考えている。また,グループ活動と自分の考えを発表できる場を設定していることで,学生にとっても自己存在感が感じられていると思われる。
【観点2】教育の達成状況
 おおむね達成できていると自己評価する。すなわち,受講学生は教育相談の考え方や基本的な方法を実践的に身に付けられていると考えている。
研究指導
【観点1】学部
 内容としては,自分の研究上の関心に基づいた論文の要約・発表・ディスカッションを行っている。毎週180分(2コマ)のゼミに加え,大学院ゼミにも参加することで研究分野における基本的知識と研究の動向を理解できているものと考えている。
【観点2】大学院
 研究分野における文献購読に加え,修士論文作成に向けたデータ収集の手続きと分析方法の検討を行っている。学生たちには,研究のオリジナリティを形成しつつあることを感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年4月:『集団を育むピア・サポート―教育カウンセリングからの提案―』(共著) 文化書房博文社
(2)平成21年11月:『DVDで見る教育相談の実際』(共著) 東洋館出版社
論】(1)平成21年11月:『知的障害児へのストレスマネジメント教育の効果―リラクゼーション訓練に焦点を当てて―』(共著) 富山大学人間発達科学部紀要 第4巻第1号
(2)平成22年2月:『「思いやり」と「感謝の心」を育む宿泊体験学習に関する検討―小学生を対象としたプログラムの試みとその結果―』(共著) 上越教育大学研究紀要 第29巻
(3)平成22年2月:『転校を伴う外国人(ブラジル人)児童の学校適応に関する事例研究―教師とのラポール形成に焦点を当てて―』(共著) 上越教育大学研究紀要 第29巻
(4)平成22年3月:『不登校経験者の自己省察に関する研究(1)―自己の変容と周囲への意識に着目して―』(共著) スクールカウンセリング越佐 日本学校教育相談学会新潟県支部 Vol.10
(5)平成22年3月:『中学生における友人意識についてのアンケート調査』(共著) 富山大学スクラムプランー学校バリアフリーへの挑戦―2007
(6)平成22年3月:『附属中学校におけるピアサポーター養成プログラム実施についての事例研究』(共著) 富山大学スクラムプラン―学校バリアフリーへの挑戦―2006
(7)平成22年3月:『不登校経験者の自己省察に関する研究(2)』(共著) 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 教育実践研究 第2号
(8)平成22年3月:『軽度知的障害児へのソーシャルスキル・トレーニングの効果(2)―動的学校画(KSD)からの考察―』(共著) 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 教育実践研究 第2号
(9)平成22年3月:『軽度発達障害児へのソーシャルスキル・トレーニングの効果(2)―動的学校画(KSD)からの考察―』(共著) 富山大学 教育実践研究第2巻 pp.87-94
業】(1)平成21年4月:『問題行動を防ぐエクササイズの提案―中学校の発達段階を踏まえたオススメのアイデア―』(単著) エンカウンター実践テキスト 明治図書 3号
(2)平成21年9月:『ピア・サポートの理論とサポーター養成プログラム』(共著) 富山県立泊高等学校・富山大学人間発達科学部稲垣研究室共同研究プロジェクト 報告書
(3)平成21年10月:『「生命尊重」の心を育てるエクササイズの提案―中学校の発達段階を踏まえたおススメのアイデア―』(単著) エンカウンター実践テキスト 明治図書 2号
(4)平成21年11月:『行動理論のアプリケーション』(共著) カウンセリング心理学事典 誠信書房
(5)平成22年3月:『学校教育相談のこれからに思う』(単著) 教育創造 高田教育研究会 Vol.164
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
・上越教育大学附属中学校スクールカウンセラー
・富山県高岡市適応指導教室推進委員
・富山県新採用教員研修会講師(教育相談)
・石川県新任教員研修会講師(生徒指導)
 

 
大 前 敦 巳(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育社会学特論(大学院)では,学校・家庭・地域・職場にわたる社会生活環境の変化への対応をふまえ,フランス社会との比較を念頭に置きながら,社会の中の人間発達と子ども支援について議論した。15回中2回を中間・最終ディスカッションの時間にあて,双方向型の授業になるよう配慮を試みた。授業終了時にリアクション用紙を配布し,質問,意見,感想などを記入してもらい,授業改善とディスカッションの参考資料に使用した。成績評価は,討論への積極的参加を重視した平常点と,『教育社会学研究』第84集の諸論考にかかわるレポートによるものとし,授業内容が受講生の教育実践につながるよう工夫を試みた。
 教育実地調査分析演習T(大学院)では,修士論文の作成に向けて,質問紙調査,観察,インタビュー,プログラム開発,授業参画などによる現地調査の基本的な技法について概説した。後期の同演習Uにおいて,質問紙調査の過程を実習形式で体験的に学習する授業を行った。調査データの分析においては,エクセルを用いた演習により単純集計から多変量解析にいたる分析技法を習得させた。評価は,毎回の作業や分析の小レポートを提出することを通じて,平常点によるものとした。
 比較教育学(学部)では,幼少時から成人へと発達していくあり方に着目して日仏の教育を比較した。フランスの教育について概説した後,日本との差異や類似点について無作為に学生に質問し,ワークシートに課題の記述を求めた。最終回にフランス式の論述試験を行い,授業の理解度と教育実践への展開にかかわる思考力を問い,ワークシートの提出による授業への積極的参加度と合わせて評価した。
 生涯学習概論A(学部)では,現代社会の変化に柔軟に対応することのできる生涯学習の施策および支援体制作りについて,レジュメ・プリント・パソコン・プロジェクタ等の複数のメディア教材を利用して講義した。比較教育学と同じく,ワークシートへの記述と論述試験による評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケート結果から,大学院の授業において講義方式による知識伝達に問題があることが判明したが,パソコンを用いた演習形式の授業や,ワークシートの記述を用いた学部講義授業では,授業の理解度や満足度も良好であり,今日の教育にかかわる理解を深め,社会変化に柔軟に対応できる力量を高めることに貢献できたと考える。
研究指導
【観点1】学部
 今年度は,学部4年生5名,学部3年生2名を指導し,週1回の大学院との合同ゼミを通じて研究指導を行ったほか,学部4年生5名に対しては卒業論文作成に向けてサブゼミを実施し,個別指導を通じて研究への興味関心を喚起し,卒論執筆作業を円滑化することに努めた。
【観点2】大学院
 今年度は,大学院修士課程で5名の修士論文提出に向けた指導を行い,修士論文を提出しないM2生3名,M1生3名を指導した。週1回のゼミで,修士論文作成に向けた研究レポート報告とディスカッションを行ったほか,非行逸脱に関する社会学テキストを講読した。また,免P・ストレート学生に対しては,全体ゼミとは別個に週1回のサブゼミを実施し,文献の読み方・まとめ方,文章の書き方,レジュメ作成の仕方などの指導を行うとともに,学生同士の相互交流を図り,日常生活の様々な相談に応じた。
その他の教育活動
 今年度は,大学院学生1名が特別支援教育実習を行い,専門部会委員に参加したほか,教育実習の研究授業および事後研修会に同席した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部の講義においては,ワークシートの記述を通した理解チェックを毎回行うことにより,着実な知識伝達を図ることができたが,大学院では従来通り講義とリアクションペーパーによる方式で十分な理解が得られなかったと考えるので,次年度は大学院の講義においてもワークシートの記述を採用することにした。論文指導に関しては,今年度は学部・大学院とも人数が多かったので通常のゼミだけでは対応が難しく,サブゼミや個別指導を多く取り入れてできる限りきめ細かい対応を図った。しかし,モチベーションのあまり高くない学生に対しては,より個別の事情を配慮した柔軟な対応が必要と思われ,今後の検討課題とすることにした。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年2月:『上越教育大学卒業生における文化習得の付加効果』(単著) 上越教育大学研究紀要, 第29巻, 45-54頁
(2)平成22年3月:『サルコジ政権下における学力向上策と職業専門化の接合論理』(単著) 日仏教育学会年報, 第16号
業】(1)平成21年5月:『学力向上策の比較社会学的研究(フランス調査担当)』(単著) 平成20年度科学研究費補助金基盤研究(A)報告書 研究代表者:志水宏吉(大阪大学大学院) 63-72頁
(2)平成22年3月:『フランス教育事情:学力向上をめぐる教育現場の現状と課題−パリとサルト地域の訪問調査から−』(単著) 日仏教育学会年報 第16号
発】(1)平成21年10月:『サルコジ政権下の学力向上策と職業専門化』(単) 日仏教育学会2009年度研究大会
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)学力向上策の比較社会学的研究―公正と卓越性の確保の視点から― 代表者:志水宏吉(大阪大学大学院) 科学研究費補助金 基盤研究(A)
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日仏教育学会事務局, (2)日仏教育学会事務局, (3)アレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会
在外研究の状況
(1)11月15日〜11月25日:フランス,学力向上策に関する学校訪問による現地調査
◎特色・強調点等
 フランスの学力向上策に関して,サルコジ政権下の新自由主義教育改革との結びつきから,いかなる改革が実施され,どのような成果が導かれているのかを,パリとルマン近郊の小中学校を継続調査することによって明らかにすることを目的にしている。また,他の共同研究者とともに,他国および日本の学力向上策との比較研究を行っている。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 日仏教育学会とアレゼール日本の活動を通じて,日仏の教育研究交流を図ることに貢献した。
 

 
白 木 みどり(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 実践と理論の視点を重視した教育の在り方に言及し,現場に通用する教師育成のため資質向上を目指した授業内容を構築している。
【観点2】教育の達成状況
 演習等を通して,実践の為の留意点や子どもに対する支援のあり方,教師としての職業観形成等,意識が高まってきた。
研究指導
【観点1】学部
 教育に対する価値観形成を支援し,輪読,指導案検討等を通し,研究の課題,仮説設定を支援している。
【観点2】大学院
 修士論文執筆に向けてのゼミ及び個人指導,検討に当たっている。また,協力校との連携を密にしている。
その他の教育活動
・金沢大学非常勤講師
・新潟工科大学非常勤講師
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年1月:『人間としての在り方生き方をどう教えるか』(共著) 教育出版
(2)平成21年4月:『改訂中学校教育課程講座道徳』(共著) ぎょうせい
(3)平成21年7月:『各教科で行う道徳的指導』(共著) 教育開発研究所
(4)平成21年11月:『学力向上の基盤となる生徒指導』(共著) 教育開発研究所
(5)平成21年9月:『教職研修総合特集Q&A道徳的実践力を高める道徳授業の改善ポイント』(共著) 教育開発研究所
論】(1)平成22年2月:『キャリア教育に関わる価値観形成についての一考察』(単著) 上越教育大学研究紀要第29巻
発】(1)平成21年11月:『勤労観・職業観に関わる価値観形成についての一考察』(単) 日本キャリア教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本道徳教育学会シンポジスト, (2)日本道徳教育学会新潟支部第13回大会シンポジスト
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)文部科学省小学校及び中学校の魅力的な道徳教材の作成に関する協力者会議委員, (2)キャリア教育研修講座講師(中央研修), (3)道徳教育推進教師研修会講師, (4)全国中学校進路指導研究協議会九州ブロック鹿児島大会講師, (5)文部科学省実践事業指定研究校石川県立七尾東雲高等学校指導, (6)文部科学省実践事業指定研究校石川県金沢市立浅野川中学校指導, (7)キャリア教育指導者養成研修講師, (8)文部科学省教育研究開発学校研究協議会委員, (9)学習指導要領の改善協力者, (10)大阪府貝塚市校長園長研修会講師『新学習指導要領に向けた教育課程の編成について』を講演, (11)妙高市教員研修会講師『小中学校におけるキャリア教育』講演, (12)国際ロータリークラブ2610地区キャリア教育支援事業アドバイザー, (13)福井県勝山市教員夏期研修会講師『キャリア教育の理論と実践』を講演, (14)道徳教育研修会講師, (15)生徒指導総合連携推進事業研究発表会講師, (16)埼玉県25地区進路指導・キャリア教育研究協議会講師『キャリア教育と道徳教育』を講演, (17)石川県教育センターキャリア教育研修講座講師『キャリア教育の理論と実践』を講演, (18)文部科学省道徳教育実践研究事業講師, (19)文部科学省実践事業指定研究校富山県富山市立呉羽中学校指導, (20)道徳教育推進事業道徳教育連携・推進講座講師, (21)新潟県キャリア教育研修会『進路指導とキャリア教育』を講演, (22)教育フォーラムin上越キャリア教育研究会研修会講師, (23)石川県珠洲市非行防止保護者研修講座講師, (24)富山県氷見市西條中学校国立教育政策研究所指定研究発表会講師『積極的生徒指導とこれからの教育』を講演, (25)石川県道徳教育推進事業発表会講師七尾市和倉小学校『これからの道徳教育』ワークショップ型講演, (26)埼玉県入間地区道徳教育研修会講師『これからの道徳教育・学習指導要領改訂を受けて』を講演
◎社会への寄与等
 上越市内のキャリア教育研究会と連携し,小・中学校のキャリア教育推進に努めてきた。また,院生(研究室)に市内中学校の体験活動の支援活動への参加を勧め成果を上げている。さらに,ロータリー2610地区のキャリア教育支援事業により,データベースの作成を通して,職場体験受入事業所CDを県下(石川・富山)の全中学校に配布するシステムづくりを提案し,成果を上げた。
 上越市役所地域振興課からの相談を受け,地域活性化の為の人材育成の為の提案に当たっている。
 

 
橋 本 定 男(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○演習では実際に指導者としてかかわった授業の指導案とビデオ撮影映像を教材として活用した。また,議論の形を生かし,自身の考えと他者の考えを練り上げる場面をつくるようにした。
○講義では自身の考えをまとめ,書き,発表するという活動を取り上げた。その際,様々な意見や体験を聞き,自身を相対化すること,重要な経験知や一般理論の知見を学ぶことなどができるよう工夫した。
○終了間際に「ミニレポート」を毎回記述,提出させ,時々レポートを課し,成績評価に生かすようにした。
○学部新入生の「人間教育学セミナー」を担当。
【観点2】教育の達成状況
○試験や総括レポートなどから,概ね到達目標を達成することができたと思う。
○自分が現場の教育実践者あがりなので,内容にリアリティーをもたせ,教師の喜びや感動を伝えるようにと,具体的なエピソードを話すように心掛けた。教師になる意欲を高めたという声を多く聞くことができた。
研究指導
【観点1】学部
○自身の問題意識を明確にする際に,教職に就こうとする動機や体験の「物語」と,目指す教育観,教師像と重ねるように指導した。これで揺るがない基点が生まれる。
○問題にかかわる基礎的な「勉強」と深く追求する「研究」を区別し,両者を大切にするよう指導した。
○筋道の通った研究の構成や文章作成について,議論しながら気付いていくよう工夫した。
【観点2】大学院
○自身の問題意識を掘り下げることと「教育の現場が解決を求めている問題」を見付けることを重ねるようにし,さらに解決に繋がる先行研究を広く探る活動に時間をかけさせた。
○研究の問題や目的に繋がる「理論」を探し,そこから解決する仮説や研究方法を構想するように指導した。
○一方で,量的研究や質的研究の枠に留まらず,教育実践に結びつく創意のある研究になるよう,研究方法自体を創ることも視野に入れるよう励ました。
その他の教育活動
○高崎経済大学で「特別活動」「生徒指導・教育相談」の非常勤講師を務める。
○教育実習中の研究授業を参観し,終了後に個別に,授業をめぐる議論をし,自身の体験(担任,指導主事,校長)を踏まえて具体的に指導した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
○自分が現場あがりであることから,本学における自身のミッションを「教育をすること,教師として生きること,の様々なステージにおける喜び」を体験を踏まえて伝え,「教師になりたい意欲」を高めることだと考えている。大学のカリキュラムの中にあるようでない,重要な内容であると自負している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年10月:『生きる意欲と学ぶ意欲の関連』(単著) 「道徳と特別活動」vol26 bW 文溪堂, 2頁
(2)平成21年10月:『つらいときを乗り越える忍耐力を』(単著) 「児童心理」902, 金子書房, 5頁
発】(1)平成21年8月:『いじめ問題対策として特別活動を「活用」に位置付ける』(単) 日本特別活動学会第18回大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)いじめ未然防止にかかわる社会性育成事業 代表者:東山泰生(水原市立水原小学校) 新潟県教育委員会・水原市立水原小学校
(2)いじめ未然防止にかかわる社会性育成事業 代表者:佐藤敦(妙高市立新井中学校) 新潟県教育委員会・妙高市立新井中学校
(3)小学校から中学校まで9年間を見通した児童生徒の社会性の育成 代表者:栗林操(新潟県教育委員会) (運営主体)上・中・下越教育事務所
(4)新潟県小学校教育研究会事業「生き生きとかかわり合い,互いに認め合う子どもを育てる教育課程の編成と実施」 代表者:小林民弥(魚沼市立井口小学校) 新潟県小学校教育研究会
学会活動への参加状況
(1)8月23日:日本特別活動学会第18回大会参加,自由研究発表, (2)2010年1月25日:上越教育大学プロジェクト「人間性育成,人間関係づくりに関する教育実践学研究」開始:杉田教科調査官を招いて「人間性育成。人間関係づくりシンポジューム」開催
◎特色・強調点等
○いじめ問題対策,社会性育成にかかわる特別活動を軸とした教育活動の在り方を追究している。安全・平和な環境での活動か ら生活現実に立ち,緊張や痛みから逃げないリアリティーある環境で進める活動の有効性や指導方法を提案している。
○話合いを通して,違いを乗り越え合意形成するプロセスと指導方法を追究している。これまでほとんどない研究である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)国立妙高少年自然の家「小学校自然体験プログラム開発委員」, (2)見附市教育委員会「第三者評価委員会」委員, (3)新潟青陵大学「メンタルフレンド活動による地域福祉展開」外部評価委員
◎社会への寄与等
○特別活動の専門家としての立場から声がかかれば積極的に貢献できるように努めた。
○県内外の小・中学校の校内研修会や各種研究大会に指導助言者として動き回った。
 

 
生 澤 繁 樹(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業では,オリジナルの教材を作成・配布し,必要に応じてパワーポイント,映像,図版,ワークショップ型の授業などの様々なメディアを効果的に取り入れ,分かりやすさと発見をともなう授業展開をめざした。授業内・外において小レポートや課題を数多くだした。また授業では,受講者の授業内・外でのリアクションやレポートを教材としてまとめ,授業内容のなかに積極的に還元していくことを心がけた。また成績評価に関しても,成績評価の基準を事前に提示し,公正かつ適切な成績評価を心がけた。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価結果を見る限りでは,授業への興味,満足度,授業内容,教授法や教材の適切さの評価は概して高く,結果として難易の適切さに対しても良い評価を得ることができた。全体として教育のねらい,目的,意図は,受講者に概ね伝わったのではないかと考える。しかし,授業の興味深さや満足度,教材や教授法の適切さなどについては高い評価が得られたものの,授業中以外の時間の努力ポイントに結果が直結しなかった。課題の内容と提示の仕方,授業外での学習促進方策の再考を,次年度の課題として挙げておきたい。
研究指導
【観点1】学部
 2009年8月まで名古屋産業大学(前任校)に勤務し,そこで学部学生4年生5名,3年生2名の卒業研究指導にあたった。毎週ゼミを実施し,論文の構想の検討,関連文献の精読をおこなった。
【観点2】大学院
 2009年度該当せず。
その他の教育活動
【非常勤講師】
・愛知県立大学非常勤講師:「道徳教育論」,2009年度前期集中,学部4年
・名古屋産業大学環境情報ビジネス学部非常勤講師:「社会科教育法U」,2009年度後期集中,学部3年
特色ある点及び今後の検討課題等
 2009年度の教育活動の特色としては,まず学外非常勤講師として正規の勤務時間外に3つの教職科目を担当し,研究課題についての資料収集や意見交換をおこなった。前任校の職務として,教育実習関連科目(事前・事後指導を含む)を担当し,主に中学校社会科を中心に実習指導に携わった。また,中学校社会科教員免許取得予定者を対象とした平成21年度介護等体験(愛知県尾張旭市内,ひまわり作業所)のための教材として実習ノートを作成し,介護等体験の事前指導を,受入施設との連携のもとに作業所内にて実施した。本学着任の2009年9月以降は,実習関連科目の直接の担当者ではないが,今後は指導学生等をとおして積極的に実習指導の機会や場面に携わり,学生指導に従事したいと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年8月:『共同体による自己形成─テイラー道徳存在論と共同体主義の課題』(単著) イギリス理想主義研究年報, 第5号, 21-28頁
(2)平成21年9月:『「共同体による自己形成」の再検討─現代の社会・政治哲学における共同体論的転回と教育学上の諸帰結』(単著) 博士学位論文
業】(1)平成22年3月:『図書紹介:ヴォルフガング・ブレツィンカ著 小笠原道雄・坂越正樹監訳「教育目標・教育手段・教育成果─教育科学のシステム化」』(単著) 教育学研究, 第77巻第1号, 108-110頁
発】(1)平成21年9月:『世俗の時代とプラグマティズム─自己形成をめぐる近代,宗教,超越』(単) 教育思想史学会第19回大会, 於:大阪大学
(2)平成21年9月:『民主的な子どもの性向を育てる─デューイにおける家庭・学校・共同体のアポリア』(単) 日本デューイ学会第53回研究大会, 於:椙山女学園大学
(3)平成21年10月:『コミュニタリアニズムの教育哲学─共同体に基礎をおく公共哲学と人間形成論の帰結』(単) 教育哲学会第52回大会, 於:名古屋大学
(4)平成21年10月:『デューイと社会正義─デューイ的思索の過去・現在・未来』(単) 教育哲学会第52回大会, 於:名古屋大学
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)公教育の「正当性」論のための基礎研究─近・現代の倫理学・政治哲学諸理論の比較検討代表者:高宮正貴(上智大学大学院) 2010年度教育哲学会特定課題研究助成
(2)〈近代=世俗化〉の物語を再考する─Ch.Taylor,A Secular Age(2007)をめぐって代表者:室井麗子(岩手大学)Ch.Taylor,A Secular Age検討会
(3)公教育の「正当性」論のための基礎研究─近・現代の倫理学・政治哲学諸理論の比較検討代表者:高宮正貴(上智大学大学院)教育哲学会特定課題研究助成「公教育の『正当性』論のための基礎研究―近・現代の倫理学・政治哲学諸理論の比較検討」研究会
学会活動への参加状況
(1)平成21年4月:名古屋産業大学環境情報ビジネス学会会務委員, (2)9月12日〜13日:教育思想史学会第19回大会出席, (3)10月3日〜4日:日本デューイ学会第53回研究大会出席(課題研究「デューイ民主主義論の再考」), (4)10月17日〜18日:教育哲学会第52回大会出席(研究討議「公共哲学と教育哲学との接点を求めて」)
◎特色・強調点等
 2009年度は,これまでの研究成果を博士論文として集大成させ,学位を取得するとともに,関連の各専門学会においても研究発表を4件おこなった。そのうち2件は全国レベルの学会(教育哲学会,日本デューイ学会)のシンポジウムにパネリストとして招かれ,研究成果を報告するという機会を得た。また教育哲学会では2010年度の特定課題研究助成(2009.10〜)の申請に研究分担者として加わり,採択された。この研究会は現在も継続中である。さらに2009年度の研究成果を発展的に進めるため,2009年11月には平成22年度科学研究費補助金・若手研究Bの申請に積極的に応募した。これも申請が採択され,現在(2010.4〜)は,その研究を着々と遂行している段階である。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 2009年度の社会への寄与等についての特色は,教育哲学会,日本デューイ学会のシンポジウム(公開)にパネリストとして参画し,学内外および会員外に向けて研究成果を広く発信する機会を得た点である。また学外の委員としては2009年8月まで,名古屋産業大学環境情報ビジネス学会の会務委員として,会務運営,また記念出版事業の推進に携わった。
 

 
末 松 裕 基(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業者の授業コンセプトやねらいについて,どの程度達成されたかは,授業者による振り返りシートも実施した。それら結果と,授業評価アンケートの両方を授業に活かせるようにした。授業方法では,演習を多く取り入れつつ,受講者の理解に応じて講義を増やす等の個別配慮を行った。また初学者でも関心を持ちやすい資料収集を行うと共に,授業で該当テーマにさらに関心を持った学生に向けて,授業外でも補修を行うなどの措置を取った。
【観点2】教育の達成状況
 授業者の授業コンセプトやねらいについて,どの程度達成されたかは,授業者による振り返りシートも実施したが,それらの内容を見る限り概ね良好な結果が得られた。今後も,授業方法では,演習を多く取り入れつつ,受講者の理解に応じて講義を増やす等の個別配慮を行いたい。また,授業外の時間帯においても,受講者から,今後の発展的な学習のために参考図書・参考資料・研究文献や研修会に関する情報を得たいとの申し出もあったことから,関係領域に関する理解・関心の幅を広げられたと思う。
研究指導
【観点1】学部
 教育をめぐる広い社会現象に関して,関心を抱いていた学生に対して,その理解のための文献収集の方法,理論研究のレビュー,該当する研究テーマに関する助言等を行った。具体的には,各自の問題意識の明確化並びに研究方法・調査方法に関する助言を行い,執筆時に際しては,論文構成・展開に関する分析の指導を行った。その他,関係する難解な理論的図書に関しては,学生個人による解読が難しいと考えたため,授業外に置いても読書会を実施するなど柔軟な対応を行った。
【観点2】大学院
 学校教育への寄与が大きいと考える批判的思考力が,起源とされるデューイの考えと現在とで,どういった違いがあるかを解明することを研究目的したもの。また中学生の希望獲得構成要素と構造を実証的に解明することを研究目的としたもの。これらの研究内容に関して,理論研究並びに実証研究の側面から研究指導を行った。具体的には,各自の問題意識の明確化並びに研究方法・調査方法に関する助言を行い,執筆時に際しては,論文構成・展開に関する分析の指導を行った。
その他の教育活動
・富山大学非常勤講師「学校の制度と経営」
特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院の授業内容に関して,学校経営研修の視点から次の物をまとめた。「大学院における学校経営研修プログラムの試行―学校経営認識の生成モデルを視点として―」安藤知子研究代表『中学校における学級経営をテーマとする教員研修システムの構築に関する実践的研究』平成20・21年度上越教育大学研究プロジェクト(一般研究)研究報告書,2010年,52-63頁。具体的には,学校経営に関する受講者の認識がどのようなメカニズムで生成・変化するかに関して仮説的なモデルを用いることでその理解を試みた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年5月:『イギリスにおける教育課程経営に関する研究―教科主任の役割に着目して―』(単著) 教育経営研究, 第15号, 118-126頁
業】(1)平成21年7月:『外国のスクールミドル(1)』(単著) 月刊高校教育, 第42巻第7号, 102-105頁
(2)平成21年8月:『外国のスクールミドル(2)』(単著) 月刊高校教育, 第42巻第8号, 82-85頁
(3)平成21年10月:『学校市場への教育関連企業参入の条件―学校市場参入に関する企業調査(4)―』(単著)教職研修 第446号, 58-61頁
(4)平成22年3月:『大学院における学校経営研修プログラムの試行―学校経営認識の生成モデルを視点として―」』(単著) 安藤知子研究代表『中学校における学級経営をテーマとする教員研修システムの構築に関する実践的研究』平成20・21年度上越教育大学研究プロジェクト(一般研究)研究報告書, 52-63頁
(5)平成22年3月:『イギリスにおける学校の民営化(2)―民間セクターの学校市場参入動機と評価―』(単著) 教職研修, 第451号, 82-86頁
 

 
辻 村 貴 洋(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業の全体テーマに沿って,受講者各自に,それぞれの問題関心・課題意識に基づいたテーマを設定してもらい,卒業論文・修士論文の執筆に向けて前進できるように工夫した。具体的には,授業開始時に各自の研究関心を発表してもらい,講義計画を適宜修正しながら,できるだけ討議を取り入れた授業を行った。
 成績評価の際には,授業での討議への参加状況と,授業での討議をふまえた各自の研究テーマに基づいたレポート提出とその内容を総合的に判断して,評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 担当している授業は,主に,教育政策や教育改革について扱うことになっている。こうしたテーマは,とくに教科教育コースの学生・院生には,授業開始当初は,各自の研究関心と結びつけることが困難な様子であった。しかし,教科教育の変遷の過程などと,その社会背景を結びつけて教育政策・教育改革を討議しながら考えていくことで,教師として,教育政策や改革にどのように向き合っていくか,理解が深まっている様子が見受けられた。
研究指導
【観点1】学部
 2009年度は,学部生の研究指導は担当してはいなかったが,コース内において,適宜,質問を受け付けたり,資料の提供を行ったりしながら,研究指導にあたった。また,卒業論文の中間発表会などの機会を通じて,私自身の専門領域の観点から,各自の研究テーマについて別の観点からみた問題の捉え方などを提示しながら研究指導を行ってきた。
【観点2】大学院
 2009年度は,大学院生の研究指導は担当してはいなかったが,コース内の院生はもちろん,授業等を通じて,適宜,質問を受け付けたり,資料の提供を行ったりしながら,研究指導にあたった。また,修士論文の構想発表会や中間発表会などの機会を通じて,私自身の専門領域の観点から,各自の研究テーマについて別の観点からみた問題の捉え方などを提示しながら研究指導を行ってきた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 討議の時間を多く取り入れることができ,受講者相互の交流も進んだようである。ただし,大学院の授業では,ストレートマスターと現職派遣の院生のの理解度,興味・関心の差が大きかった。今後は,両者を近づけて,教職に関する見識を深められるように工夫していきたい。具体的には,討議の時間を多く確保することを考えている。
 また,できうる限り,一人一人の興味・関心にもとづいた授業を展開していきたい。
 

 
内 藤 美 加(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院の講義では自閉症など発達障害の特徴や社会性の発達に関する最近の認知発達心理学的な知見に基づく研究成果を紹介し,子どもの発達に関する心理学的な理解を促した。成績評価は基礎的事項に関する理解度を調べるために論述試験によった。大学院および学部の実験では,レポートの添削及びその解説を行い,心理学的データの分析方法や研究計画法,研究報告書の作成方法を習得させた。基準点に達しないレポートは再提出を課し,修士・卒業論文につながる心理学の報告書として最低限の形式と内容を備えたものを評価対象とした。
 学部の概論では,心理学入門としての位置づけを明確に説明した上で,心理学の面白さを体験させることを目標として学生が内容を理解することに重点を置いた。講義3回終了ごとに1回の割合で学生に質問表を提出させ,質問の解説を行った。講義内容の定着度を期末試験によって評価した。
【観点2】教育の達成状況
 学部2名の卒業生のうち,1名は栃木県教員採用試験に合格し,同県内の小学校に採用された。もう1名は,新潟県教員採用試験に不合格となり,平成22年現在同県の採用試験を再受験している。大学院3名の修了生のうち,新潟県現職派遣の1名は,新潟県上越市内の小学校に復職し,学校心理士資格取得の申請を行った。さらに1名は東京都ならびに京都府の教員採用試験を受験し,東京都の試験には合格したものの出身地との距離の関係から辞退し,平成22年現在京都市内の中学校に臨時職員として勤務するとともに,京都府の採用試験を再受験している。最後の1名は,新潟県新発田市内の中学校長を経験した退職者であり,同市内の幼稚園に心理・保育相談員として勤務している。
研究指導
【観点1】学部
 学部生には最低週1回のゼミを設けた。学部4年生2名に対して,年間を通じて卒論研究のための文献講読と実験準備ならびに実験を行わせ,卒業論文を執筆させた。特に実験材料の準備,データの収集と分析,結果の解釈について助言を与え,原稿に丁寧に朱を入れて論文の向上を図った。学生にとって高額な材料呈示装置は個人研究費から購入した。
【観点2】大学院
 2年生3名に対して,学部と同時開催の週1回の定期ゼミに加えて不定期にゼミを行い,修士論文のための文献講読,調査項目作成,小学校,幼稚園での実験準備,および論文執筆などについて指導を行った。特に実験および調査データの収集と分析,結果の解釈についてはきめ細かく助言を与え,原稿に丁寧に朱を入れて論文の向上を図った。特に高齢(72歳)の1名については,体調管理に留意しつつ,指導内容の理解を促した。さらに1年生1名に対しては,1月中旬まで定期的に国内外の心理学雑誌論文を講読させ,本人の精神的健康がすぐれないことから,1月〜3月にかけて体調と生活ベースに留意しつつ,修士論文の研究計画策定および修了後の進路について助言を与えた。
その他の教育活動
(1)平成21年4月1日〜平成22年3月31日 放送大学講師「感情の心理学」
特色ある点及び今後の検討課題等
 以上の教育活動における特色の第1は,講義への模擬実験の導入である。こうした模擬実験を頻繁に行うことにより,心理現象の面白さを実感させ,その心理学的な捉え方を身近な実体験から理解するよう努めた。第2に研究指導上の特色として,各学生の問題意識を具体的な研究に結びつけ,実証的に検証するための方法を考えさせ,問題意識を客観的に調査分析する態度を養った。学部と修士の論文執筆者計5名には実際に自ら子どもや大学生に実験を行うことにより,各自のテーマに関する心理学的な捉え方とその面白さを体験させ,あわせて,対象を客観的,理論的に分析する能力の涵養を図った。とりわけ大学院生は,学部卒業直後の若年者から70歳を超える高齢者まで全く異なる年齢層の学生であり,それぞれの関心や能力に合わせた指導を行った。学部と大学院ともに,今後はさらに講義への積極的な聴講を促す方策を検討することが課題である。
 放送大学では最新の知見を取り入れた感情理解の発達を分かりやすく解説し,心理学の普及を図った。
 
<研究活動>
◎特色・強調点等
科学研究費取得状況
・2009-2011 平成21年度科学研究費補助金基盤研究C「日本語話者の素朴心理学:心的動詞の意味構造とテクスト内語使用」
 

 
中 山 勘次郎(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院「学習心理学特論」では,動機づけに関する最新の研究成果をとり入れ,教育実践への適用と関連づけながら講義した。
 学部「授業の心理学」では,授業に関係する最新の研究成果を,使われている教材等をできるだけ実際に体験しながら理解できるよう,全体の半分程度を入れ替え,またより基礎的な知識を扱う「学習心理学」と連動させながら,体系的な学習を支援している。
【観点2】教育の達成状況
 学部「学習心理学」において,学校教育に直接関係するテーマとともに,教員採用試験を見通したテーマ・教材等を多く取り入れることで,受講生の意識づけを高めている。
研究指導
【観点1】学部
 4年生2人(うち1人は後期休学)・3年生2人を指導した。実践的な問題意識や発想を取り入れた研究指導を行い,本年度は「運動競技中の言葉かけの動機づけ効果」に関する卒業研究が生み出された。
【観点2】大学院
 免許プログラム3年生2人,修士課程2年生2人の修論研究と,1年生2人を指導した。学校現場の実践的な問題意識を,心理学の視点から理論的に裏づけ,解決方法を探るという方針で指導にあたっており,本年度は,教師の自己開示・リラクセーションの伝染効果・対人印象形成・理科仮説設定過程に関する修士論文が生み出された。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校現場での実践という視点を常に意識しながら,内容を構成している。また,受講生の質問を積極的に汲み上げ,フォローしたり授業改善に役立てるよう努力している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年3月:『しっかり学べる発達心理学[改訂版]』(共著) 福村出版
論】(1)平成22年2月:『学力低下と学習環境の変化に対する中学校教員の意識』(共著) 上越教育大学研究紀要,29, pp.121-130.
(2)平成22年3月:『学力問題を考える』(共著) 組織的な大学院教育改革推進プログラム「学校教育実践学研究者・指導者の育成」取組報告書(兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科),  pp.35-47.
他】(1)平成21年4月:『研究室HPの公開/動機づけと学習心理学に関する各種情報の提供』 http://www.juen.ac.jp/psych/nakayama/
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)自尊感情の育成 代表者:西山康春校長(上越市立南本町小学校) 上越市立南本町小学校校内研究
学会活動への参加状況
(1)8月10日:日本学校心理士会2009年度大会出席, (2)9月20〜22日:日本教育心理学会第51回総会出席, (3)1月〜9月:日本教育心理学会理事, (4)日本学校心理士会新潟支部長
◎特色・強調点等
 児童の学習への動機づけの予測因としての「目標」の影響性を中心に,個々の学習意欲の特徴をとらえようとする研究を継続して進めている。また,学習指導に関する教育的カウンセリングやコンサルテーションに対して,動機づけ理論にもとづいて提言を試みている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)カウンセラー学校派遣事業に基づく派遣カウンセラー, (2)教員免許状更新講習講師
◎社会への寄与等
 派遣カウンセラーとして臨床的な面で地域への支援を行うとともに,日本学校心理士会新潟支部長として,県内の学校心理士の活動を支援した。
 

 
越   良 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学んだ概念や理論,知見を受講生自身の言葉で再概念化できることと,それによって彼らの経験知を揺さぶることを狙いとして,随時レポート作成を求め,指導した。
【観点2】教育の達成状況
 経験知にまで踏み込めたかは不明だが,自身の言葉による再概念化は,概ね目標水準を達成できたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 学部3年生対象であるため,先行研究の正確な読み取りと,自身の考えや感想を表現できることを目標として指導を行った。
【観点2】大学院
 今年度は,先行知見の論理的な整理と,そのうえでの自身のオリジナルな考えの主張ができることを重視して論文指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 授業あるいはゼミという限られた時間の中で,学生・院生の思考と議論をより深めさせるための方策を検討したい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年10月:『中学生の部活動適応感における部活動内ソーシャル・サポートの機能』(共著) 心理学研究, Vol.80(4), pp.345-351
(2)平成21年12月:『なぜ人はユーモアを感じさせる言動をとるのか?−ユーモア表出動機の検討−』(共著) 心理学研究, Vol.80(5), pp.397-404
(3)平成22年2月:『中学校文化系部活動におけるソーシャル・サポートと適応感との関連』(共著) 上越教育大学研究紀要, 第29巻, pp.67-73
学会活動への参加状況
(1)日本教育心理学会優秀論文賞選考委員
◎特色・強調点等
 一貫して対人相互作用および個人の適応の問題を追究している。特に,集団内でのソーシャル・サポートの交換について,一般的なソーシャル・サポートとは異なる機能をもつことを明らかにすることができた。
 学会優秀論文を選考し表彰する活動を通して,学会および学会員の院生たちの研究活動の向上に寄与した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:教員免許状更新講習講師「教育の最新事情関係」
 

 
奥 村 太 一(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・文系学生に敬遠されがちな統計学について,わかりやすさに配慮しながら,本質的な理解を深められるよう説明や教材の工夫を行った。
・教職科目である学力診断論においては,国際的な学力調査についてそこで用いられている測定・分析手法や我が国の結果など最新の知見を盛り込んで解説を行った。
【観点2】教育の達成状況
・改善すべき点はいくつか見つかったが,おおむね良好な達成状況であったと判断している。
研究指導
【観点2】大学院
 計数の認知的システムについて,海外の専門雑誌の文献を講読しながら修士論文の執筆,実験の実施に関する計画などについて指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年6月:『小論文課題の評価における熟達者に対する非熟達者の評価特性の検出』(単著)日本テスト学会誌,  Vol.5,  no.1,  pp.137−143
 

 
森 口 佑 介(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義においては,主にパワーポイントを使用して,視覚的に理解しやすい授業を試みた。また,そのスライドの資料を配布し,学生がノートをとることに時間を費やさず,講義の内容を理解できるように努めた。また,発達心理学講義などにおいては,乳幼児の心の発達についてのリアリティを感じさせるため,乳幼児の映像を多用して,彼らが発達する様子を視覚的に提示した。成績評価においては,テストやレポートの成績だけではなく,授業中における発言や取り組む姿勢,また,不定期に求める提出物などを加味して,多角的に評価した
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケートを見ると,こちらが伝えようとしている内容は十分に伝わったと思われる。特に乳幼児の映像の使用は好評で,発達心理学という学問に興味を向けさせることに成功したと考えられる。ただ,2009年度は本学における初めての講義であったため,問題がないわけではない。授業のスピードが早い,現場に活かせる知識をもっと増やしてほしいなどの不満が寄せられたため,次年度にそれらの意見を活かしていきたいと考える。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年5月:『現代心理学入門―進化と文化のクロスロード』(共著) 川島書店
論】(1)平成21年4月:『Neural origin of cognitive shifting in young children』(共著) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America106,pp.6017-6021
(2)平成21年12月:『内省能力と二次的信念の理解との発達的関連:再帰的な思考の役割から』(共著)  発達心理学研究第20巻, pp.419-427
(3)平成22年1月:『Children perseverate to a humans actions, but not to a robots actions』(共著) Developmental Science13,pp.62-68
(4)平成22年3月:『Japanese children's difficulty with false belief understanding: Is it real or apparent?』(共著) Psychologia53,pp.36-43
発】(1)平成21年8月:『幼児の認知的シフティングの神経学的基盤:NIRSを用いた検討』(共) 日本心理学会第73回大会
(2)平成21年8月:『日本の子どもにおける誤信念理解の難しさ−非言語課題を用いた検討−』(共) 日本心理学会第73回大会
(3)平成21年7月:『就学前児における認知的制御の神経基盤:課題通過時と不通過時の脳活動の差異の検討』(共) 日本光脳機能イメージング研究会第11回大会
(4)平成21年5月:『心の理論研究に対する非言語課題の有効性−日本と中国の子どもの比較から−』(共) 日本赤ちゃん学会第9回学術集会
(5)平成21年8月:『Japanese children's difficulty with false belief understanding. Is it real or apparent?』(共) The 14th European Conference on Developmental Psychology
(6)平成21年6月:『Advantage of a nonverbal task for theory of mind research』(共) The 8th Hawaii International Conference on Social Sciences
(7)平成21年8月:『Do children learn words from a non-human agent?』(共) The 14th European Conference on Developmental Psychology
国内外の学術賞の受賞状況
(1)平成21年8月:平成21年度「発達科学研究教育奨励賞」受賞(財団法人 発達科学研究教育センター)『幼児はヒト以外のエージェントから言葉を学習することができるか』