【臨床心理学コース】
 

 
五十嵐 透 子(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 受講生が,自らの体験としてさまざまな心理面および心理臨床面での理解を深める取り組みを継続している。正解のない“こころ”と個別的体験の多様さを理解し,尊重し,評価的態度になりやすさを見つめながら,自他ともに「責める」のではなく,ありのままを受容する重要性と不可欠さを大切に教授している。加えて,バイオ・サイコ・ソーシャルの各側面からの包括的理解と対応,チームでの対応のありかたと実践を深めている。
【観点2】教育の達成状況
 体験を通し,受講生が理解と実践力を高めている。
研究指導
【観点1】学部
 論理的思考を行ない,研究に対する批判的見方と自らの意見をもち,倫理面にも考慮した研究を指導している。
【観点2】大学院
 学部同様,論理的思考を習得し,創造的に研究デザインを計画,実施,結果の分析,ならびに考察という研究法の習得を行っている。
その他の教育活動
・愛知県立大学大学院看護学研究科 ストレス・マネジメント論 非常勤講師
・金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻 臨床心理学特論 非常勤講師
・新潟県立看護大学 リラクセーション 非常勤講師
特色ある点及び今後の検討課題等
・専門看護師あるいは修士号取得を目指す看護職の学生に対し,多角的な人の理解と対応に関し,体験的活動を含め,活用可能となるように講義を行った。大学院内で発生したトラウマティックな体験に関して,グループの力動を活用し,受講学生が体験の共有とカタルシスも行っている。
・教職を目指す学部生には,心理面でのさまざまな理解と実践を自らの体験を通し学習するのを促進している。
・臨床心理士養成の大学院教育では,理論をはじめとする基礎知識と基礎的スキルの習得,ならびに自己を真摯にみつめること,クライエントとの適度の境界を保ちつつ,役に立つ心理臨床家の養成を行っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年12月:『教員養成系大学新入生の23年間にわたるメンタルヘルスの変化−UPI(University Personality Inventory)の調査を通して−』(共著) 学校メンタルヘルス 12(2) pp71-80.
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜3月:高田高等学校 カウンセラー, (2)4月〜3月:新潟県立新井高等学校学外評価委員, (3)4月〜3月:川口中学校外部カウンセラー, (4)4月〜3月:上越国際交流協会コンサルタント, (5)4月〜3月:石川県糖尿病療養指導士研究会 講師, (6)4月〜3月:子どもの虐待防止推進オレンジリボンキャンペーン事業 講師, (7)4月〜3月:新潟県立精神医療センター研修会 講師, (8)4月〜3月:新潟県立精神医療センター 学部コンサルタント, (9)4月〜3月:財団法人 こども未来財団 講師, (10)4月〜3月:メンタルヘルス・サポーター養成講座 講師, (11)4月〜3月:川崎市ナーシング・センター 講師, (12)4月〜3月:県内国立大学中堅管理職研修会 講師
◎社会への寄与等
 地域精神保健福祉領域の複数領域で,コンサルテーション,研修会,心理的支援,ネットワーク作りを行っている。
 

 
内 田 一 成(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 全科目ともスライドの配布資料(2単位科目で約30頁)を配り,スライドショウやVTRを中心に講義している。受講生の成績評価はもちろんであるが,その前提である教育の質,授業の質に注意を払うようにしている。臨床心理士試験の合格者数,質の高さが世間から問われることを認識した責任ある教育を日々心がけている。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価は比較的良好で,大学院1年次生2名,2年次生5名を担当した。2年次生5名中1名が教員派遣生で,1名は学会誌投稿論文を完成させて修了後学校現場へ復帰した。ストレートマスター4名は,それぞれ医療法人の常勤臨床心理職,高等学校の常勤カウンセラー,スクールカウンセラーに採用された。また,連合大学院博士課程学校教育実践学専攻教育臨床連合講座2年次生1名は,博士号(「博士(学術)」)取得に向けて研究中である。
研究指導
【観点1】学部
 学部生2名については,「侵入思考への対処としての代替思考の効果」「不登校児童生徒に対するキャンプの有効性に関する研究」のテーマの下,心理臨床活動に関連する研究を完成させ,修士課程に進学している。
【観点2】大学院
 修士課程2年次生5名のうち,3名については,「児童の抑うつのストレス媒介モデルと健康」,「楽観性帰属様式と対処方略が健康に及ぼす影響」,「大学生の無気力傾向に及ぼす関連要因の影響」のタイトルで学術雑誌に掲載された。他の2名については「フロー体験が怒りと不安に及ぼす影響」「高校教師のバーンアウト傾向とコーピング選択傾向との関連」については学会誌へ投稿予定である。
 博士課程2年生1名については,「高校生の自傷行為の成立メカニズムについてのBPSSモデルからの検討」と題し,学会誌に投稿準備中である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年3月:『児童の抑うつのストレス媒介モデルと健康』(共著) 上越教育大学心理教育相談室紀要 第9巻, pp.1-14
(2)平成22年3月:『楽観性帰属様式と対処方略が健康に及ぼす影響』(共著) 上越教育大学心理教育相談室紀要 第9巻, pp.15-26
(3)平成22年3月:『大学生の無気力傾向に及ぼす関連要因の影響』(共著) 上越教育大学心理教育相談室紀要 第9巻, pp.27-39
発】(1)平成21年7月:『福祉心理学の方法論をめぐって−クライエントのよりよき理解と援助に向けての研究法−』(共) 日本福祉心理学会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本福祉心理学会理事
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成21年度教職12年経験者(小・中・特)全体研修T「いじめ問題の基本的認識と学校の説明責任」, (2)高田教区真宗カウンセリング講座「耳を傾ける。ていねいに聞いてみよう」講師
◎社会への寄与等
独立行政法人国立病院機構さいがた病院倫理委員
 

  
加 藤 哲 文(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法については,毎回の授業毎に授業内容や関連資料を印刷した資料を配付し解説した。また,演習においては,小グループでのワークを実施し,グループ内での討論や資料の作成に関する共同作業を通して,学生の積極的な授業への取り組みを促進した。成績評価については,課題に対するレポートの提出を基本とし,授業時の発言やワーク等への積極的な取り組み,討論への参加度を加味して総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
 各授業ともに,学生の授業内容に関する理解度や,授業内容の教育実践等への貢献度については,肯定的な評価を得た。また,演習においては,知識のみではなく,臨床や教育時に,それらの知識やスキルを発揮できるようにするために,演習内容やレポートも工夫することによって,より実用性のある教育内容であったと評価できる。
研究指導
【観点1】学部
 今年度は,学部4年生2名と3年生1名がゼミに所属したが,毎週火曜日の午後3時から5時30分までの,大学院生との合同ゼミで指導を行った。学校現場や心理臨床の現場における課題や問題点について,討論に参加させながら,後期には,学生自身でテーマを決定させ,発表を行った。これらの活動によって,より現実的な研究テーマについて考える機会を提供できたと考えられる。また,4年生2名については,卒業研究の指導として,個別に毎週1回の割合で指導を行った。2名ともに,研究の意義や研究方法を学びながら卒業論文を完成し提出できた。
【観点2】大学院
 4名のM2大学院生と,4名のM1大学院生の研究指導を行った。M2については,修士論文の作成を目標に,毎週1回程度のゼミでの総合的な指導とともに,各個人毎の修士論文指導を2週間に1回程度の割合で行った。また,M1生には,グループでの臨床指導とともに,修士論文作成に向けた,研究方法などに関するサブゼミを実施した。
その他の教育活動
・非常勤講師: 
(1)新潟県立看護大学・看護学部(心理学担当), (2)新潟県立看護大学大学院修士課程(母子関係論担当), (3)横浜国立大学・教育人間科学部(情緒障害の心理担当), (4)富山大学・人間発達科学部(生徒指導論担当), (5)鳴門教育大学大学院(臨床心理学コース)(臨床心理学特別講義担当)
・ゼミ所属学部生3名(4年生2名,3年生1名)に対して,小学校・中学校教育実習の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校現場や心理臨床の現場において生じる,児童生徒の生徒指導や生活指導上の問題について,ゼミや修士論文の指導時に重点を置いて指導を行った。また,教育現場等に専門職として入っていき,コンサルテーションやコーディネーションを行う際の具体的な方法や技術について,知識のみならず実際の現場での指導を通して教育を進めた点が特色である。今後はこのような教育方法を行うために,その他の本務に要する時間とのバランスをいかに保つかが課題となる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年9月:『特別支援教育Q&A支援の視点と実際』(共著) ジアース教育新社
(2)平成22年3月:『はじめての特別支援教育』(共著) 有斐閣
論】(1)平成21年4月:『通常学級における集団随伴性適用への介入受容性』(共著) 行動科学, 第48巻第1号, pp.47-55
(2)平成21年9月:『知的障害児の家庭での食事場面における要求言語行動の機能化』(共著) 発達障害研究, 第31巻第4号, pp.58-71
(3)平成22年3月:『教師における機能的行動アセスメントを用いた問題解決方法を普及させるための要因の検討』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究,第9巻, pp.41-50
発】(1)平成21年10月:『高等学校における発達障害のある生徒への教育的対応の現状と課題』(単) 日本LD学会
(2)平成21年10月:『学習のユニバーサルデザイン化と行動コンサルテーション』(共) 日本LD学会
(3)平成21年10月:『発達障害のある高校生への集団随伴性の適用』(共) 日本行動療法学会
学会活動への参加状況
(1)2009年8月6日〜13日:国際行動分析学会インターナショナル・カンファランス出席(ノルウエー・オスロ市)
(2)日本行動療法学会理事
(3)日本発達障害学会評議員
(4)新潟県臨床心理士会理事
◎特色・強調点等
 発達障害や行動・情緒障害のある児童生徒への応用行動分析による支援方法を研究してきた。特に,学校場面での適応支援のために,学校の教師への行動コンサルテーションを実施し,その効果を行動科学的な手法を用いて検証してきている。それらの成果は,論文や学会の大会発表,シンポジウムで発表しており,現在は他の共同研究者とともに,学校現場への普及を目指した組織介入アプローチを実施している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)文部科学省特別支援教育推進事業「自閉症に対応した教育課程の編成等についての実践研究」研究運営協議会委員, (2)新潟県特別支援教育推進事業研究運営協議会委員長, (3)新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会委員長, (4)上越市就学支援委員会委員, (5)上越市特別支援教育巡回相談事業調査研究委員会委員長
◎社会への寄与等
 文部科学省や新潟県教育委員会,新潟県保健福祉部にある,発達障害や特別支援教育に関する各種委員会の委員長を務めている。これは,新潟県の特別支援教育や発達障害者福祉に関する施策を策定したり,研究協力を行う中枢の委員会であり,この組織の委員長を務めていることは,社会貢献度としてはきわめて高いものと言える。今後も,自らの専門性を,地域社会に還元するためにこのような組織での貢献活動を進めていきたい。
 

 
佐 藤 淳 一(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 毎回の講義の最後に,質問コメント用紙を各自に配布・回収し,次回の授業のなかで取り上げることで,各自の理解の補足や疑問に答えるようにし,あわせて学生の意見を参考に講義内容を調整あるいは改善するようにした。
 学部「教育相談・カウンセリング論」(分担):心理アセスメントを担当し,知能検査や人格検査を中心に,心理査定の実際や倫理的配慮などをパワーポイント等用いて説明するとともに,演習形式を取り入れた。
 大学院「臨床心理基礎実習T」(分担):臨床心理面接の基本的態度と技術を習得するため,クライエント中心療法を中心とする講義と,セラピスト役とクライエント役を通したロールプレイ形式による臨床心理面接の演習を行った。また,臨床心理面接の逐語録レポートの提出を求めて,個別に添削指導を行った。
 「臨床心理基礎実習U」「臨床心理実習A」(分担):心理教育相談室においてケースを担当するゼミ生(M1:2名,M2:4名)に対して臨床指導を行った。具体的には,集団スーパービジョンおよび個人スーパービジョンを通して,ゼミ生自らが,クライエント理解を深め,適切な関わりや対応をできるような指導を心がけた。他に,インテーク・カンファレンス,ケース・カンファレンスに参加し,ケース担当の院生にはクライエントの理解につながるようなコメントを行うことを心がけた。
 「臨床心理実習B」(分担):外部医療機関の実習生に対して臨床指導を行った。
 「学校臨床心理学特論」:学校教育において心理的問題を持つ児童生徒やその保護者への理解と援助,教職員との連携などを概説するとともに,関連文献や事例論文の発表を求めた。
 「臨床実践援助法」(分担):授業全体のとりまとめを担当するとともに,被虐待児への心理臨床的援助についてパワーポイントを用いて概説した。
 「臨床心理学研究法特論」(分担):調査法2回分を担当し,質問紙法と描画法を用いた調査研究について概説した。
 「臨床心理マネジメント特論」(分担):教育,医療,福祉における心理職の実際と他職種との連携について説明した。
 「実践場面分析演習T・U」(分担):学部生の教育実習の事例にコメントした。
【観点2】教育の達成状況
 学生による授業評価では,おおむね良好な評価を得た。学部と大学院では,受講生の興味や参加態度が大きく異なるため,それぞれに応じた講義の工夫や改善が求められる。
研究指導
【観点1】学部
 「臨床心理学セミナーT」:臨床心理学に関する研究について紹介・説明し,自らテーマを見出すことができるよう指導した。また,筆者が研究代表者を務める本学研究プロジェクトの研究協力者を担当した。
【観点2】大学院
 「臨床心理研究セミナーT・U」:修士論文作成のための指導を行った。M1(2名)には,臨床心理学に関する研究について紹介・説明し,自らテーマを見出すことができるよう指導した。M2(4名)には,研究の具体的な構想,調査の実施,結果の分析,論文の執筆について,各ニーズに合わせて支援ならびに指導を行った。また,筆者が研究代表者を務める本学研究プロジェクトの研究協力者を担当した。
その他の教育活動
 小学校教育実習の指導を行った(ゼミ生:1名)。
特色ある点及び今後の検討課題等
 心理教育相談室においてケースを担当するゼミ生(M1:2名,M2:4名)に対して臨床指導を行った。具体的には,毎週開かれる集団スーパービジョンおよび個人スーパービジョンを通して,ゼミ生自らが,来談者に対する理解を深め,適切な関わりや対応をできるような指導を心がけた。遊戯面接,臨床心理面接,保護者面接といった臨床実践を行いながら,心理臨床の基礎を身につけるとともに,来談者に対しても有効な心理的援助を提供できることを目指した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年2月:『共感性と感情機能−Jungのタイプ論による検討』(単著) 上越教育大学研究紀要, 第29巻, pp.159-167
(2)平成22年3月:『バウム・テストとJungの心理学的タイプ』(単著) 上越教育大学心理教育相談研究, 第9巻, pp.73-82
業】(1)平成22年3月:『不登校にある児童生徒への臨床心理的援助に関する基礎的研究』(共著) 平成21年度上越教育大学研究プロジェクト終了報告書
発】(1)平成21年8月:『共感性と感情機能について−Jungのタイプ論による検討』(単) 日本心理学会第73回大会
(2)平成21年9月:『Jungの心理学的タイプとTAT反応について』(共) 日本心理臨床学会第28回秋季大会
(3)平成21年9月:『強迫傾向と完全主義の関連−自尊感情・楽観主義による弁別』(共) 日本心理臨床学会第28回秋季大会
 
学会活動への参加状況
(1)平成21年4月〜平成22年3月:日本パーソナリティ心理学会「パーソナリティ研究」編集委員, (2)平成21年8月:日本心理学会第73回大会参加発表, (3)平成21年9月:日本心理臨床学会第28回秋季大会参加発表, (4)平成21年11月:日本ロールシャッハ学会第13回大会参加, (5)平成21年11月:日本精神分析学会第55回大会参加
◎特色・強調点等
・Jungのタイプ論に関する調査結果を発表・公刊した。
・平成21年度上越教育大学プロジェクト研究(若手)に採択された。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越教育大学心理教育相談室相談員, (2)新潟県スクールカウンセラー, (3)上越教育大学教員免許状更新講習講師(最新の教育事情D), (4)独立行政法人国立病院機構さいがた病院「倫理会議」「外部評価会議」委員, (5)教職12年経験者研修(小・中・特)コース別研修(生徒指導コース)講師, (6)9月:真宗大谷派高田別院カウンセリング講座(上手な聞き方講座)講師
◎社会への寄与等
 心理教育相談室の相談員として,院生の担当ケースの臨床指導を行うとともに,ケースの性質に応じて,自らも担当している。
 

  
宮 下 敏 恵(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の授業である「教育相談・カウンセリング論」では,免許プログラムの学生も多く受講するようになってきていることから,学んできている段階が異なるため,学部3年生と免許プログラム学生とを分けて2回ずつ授業を行った。不登校,いじめなど児童・生徒の様々な不適応問題,教員にとって必要な精神病理の問題,発達障害の知識及び対応,外部機関との連携,危機対応など学校現場における教育相談についての内容を実際の事例をもとにわかりやすく解説した。大学院の授業では,心理検査の報告書を書き,チェックしてフィードバックしたり,相談室でのケース指導など,現場に出てすぐに実践に役立つ内容とした。成績についてもシラバスなどに明示し,わかりやすい評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 学部に関しては,具体的な事例を中心に学校現場における教育相談の必要性について述べ,いじめや不登校の問題など,教師となったときにどのように自分が実践するかを考えさせることにより,子ども達の心の問題についてどう取り組むかの手がかりになったのではないかと考えられる。大学院においても,事例を中心に実践的な演習,実習を多く行い,修了後にすぐ実践できる力が身についたと思われる。
研究指導
【観点1】学部
 学部3年生については,青年期の友人関係や自尊心の特徴など臨床心理学の基礎研究の文献講読を行った。学部4年生については,青年期におけるユーモアと友人関係,青年期における羞恥心の特徴に関する卒業研究の指導を行った。
【観点2】大学院
 修士1年生については,教師のバーンアウトの特徴,青年期における怒りの表出の特徴に関する文献講読を行った。修士2年生については,小学生における動的学校画の特徴,完璧主義と精神的傾向,青年期の自尊心,青年期における時間的展望と抑うつに関する修論研究指導を行った。また,心理教育相談室において,事例の見立て,面接の進め方,事例の理解と介入方法について指導を行い,実践指導を行った。
その他の教育活動
・放送大学長野学習センター面接授業担当
特色ある点及び今後の検討課題等
 卒業後,修了後において,すぐに実践できる力を身につけさせること,また自分自身でどう対応していくか考える力をつけさせることを目標にしてきた。教師となったとき,臨床心理士となったときに,自分で考え,周りと協調しながらやっていく力をどう身につけさせるかを今後も検討していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年9月:『小学校教師におけるバーンアウトの因子構造の検討』(共著) 学校メンタルヘルス 12(1) pp.77-84
(2)平成21年12月:『教員養成系大学新入生の23年間にわたるメンタルヘルスの変化』(共著) 学校メンタルヘルス 12(2) pp.71-80
(3)平成22年2月:『保育士におけるバーンアウト傾向に及ぼす要因の検討』(単著) 上越教育大学研究紀要 第29巻, pp.177-186
(4)平成22年3月:『語彙分析の方法を用いた面接プロセスの検討(2)』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究 9(1), pp.51-59
発】(1)平成21年8月:『中学校教師のバーンアウトプロセスに関する縦断的研究』(共) 日本心理学会第73回大会
(2)平成21年8月:『小学校教師のバーンアウトプロセスに関する縦断的研究』(共) 日本心理学会第73回大会
(3)平成21年9月:『中学生の友人関係における感じやすさとストレス過程との関係』(共) 日本心理臨床学会第28回秋期大会
(4)平成21年9月:『語彙分析を用いた質的研究(21)』(共) 日本心理臨床学会第28回秋期大会
(5)平成21年9月:『語彙分析を用いた質的研究(22)』(共) 日本心理臨床学会第28回秋期大会
(6)平成21年9月:『語彙分析を用いた質的研究(23)』(共) 日本心理臨床学会第28回秋期大会
学会活動への参加状況
(1)日本催眠医学心理学会 編集委員
◎特色・強調点等
 小・中学校教師のメンタルヘルスに関する研究として,バーンアウトに焦点をあてた研究を行った。バーンアウトに陥らないための予防策としてどのようなことが重要であるかを検討し,予防プログラムを検討している。
 さらには臨床事例の言語記録を語彙分析という手法を用いて分析し,クライエントの面接過程を分析している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越教育大学附属心理教育相談室相談員, (2)教職免許状更新講習必修科目担当, (3)新潟県派遣スクールカウンセラー, (4)新潟県学校派遣カウンセラー, (5)新潟県中越震災心のケア事業, (6)新潟県中越沖震災心のケア事業, (7)新潟県教職員12年研修講師「いじめ問題の対応と説明責任」, (8)新潟県教職員12年研修講師「生徒指導」, (9)上越市立教育センター研修会講師, (10)新潟県小学校新任教頭メンタルヘルス研修講師, (11)新潟県教職員福利厚生職員研修講師, (12)長岡市立教育センター研修会講師, (13)妙高市教員研修会講師, (14)上越市中学校校長会メンタルヘルス研修講師, (15)秋田大学附属教育センター研修会シンポジスト, (16)新潟県CRT(Crisis Response Team)派遣要員, (17)新潟県臨床心理士会スクールカウンセラーコーディネーター
◎社会への寄与等
 上越教育大学附属心理教育相談室での相談活動を始め,スクールカウンセラーや震災の心のケアなど,学校現場を中心とした相談活動を行い,地域貢献を行っている。
 

  
井 沢 功一朗(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 古典的方法だが,穴埋め・書込み式の配布プリントの使用によって受講生の受講態度が維持されることは,今年度の授業評価にも反映されていると考える。
 また,パワーポイントのみではなく,重要な観点についてはフローチャートや観念図として板書することも多くした。文言による要約よりも図表による要約の方が学生の理解度が高まることが推測された。
 受講生からは,このような図表類についてもパワーポイントで映写し,なおかつそのコピーを印刷して配布してほしいとの要望が少数あったが,複数の概念を図式にまとめる訓練は的確に物事の関係を理解するために不可欠であると考える。
 よって,図表類については引き続き配布プリントとしない。
 さらに,授業内で学生に対し,文言として要約されている課題を図表の形にまとめ視覚的イメージとして提示する練習を組み込もうとも考えている。
【観点2】教育の達成状況
 学生からの授業評価は各項目軒並み5点満点中4点以上であり,肯定的評価を得られたと考えている。
 また,課題に対して学生から提出されたレポートの水準も期待していた水準を十分満たすものであり,各授業の達成目標はクリアできたと考えている。
研究指導
【観点1】学部
 4年生2名の卒業論文と3年生1名の論文作成指導を行った。
 4年生2名に対しては,社会調査の基本的技術やデータ解析技法のみならず,
 調査依頼をする際の態度や協力者に対する配慮の必要性,および,採集したデータ保存責任の重要性を特に強調した。その結果,調査に対して学生や学内各部署からも協力を得ることができ,このことは4年生2名にとって,研究活動が多くの人の好意的協力によって初めて成り立つことを知る良い機会になったと考える。
 卒業者2名の提出した卒業論文はいずれも水準が高く,本学の学生生活の実態を知り,応用につなげることができる水準となった。
 本人たちにとっても忘れがたい体験となったようであった。
その他の教育活動
(1)学生委員としての大学院生からの苦情の聞き取りと学生支援課・ならびに執行部への報告など
特色ある点及び今後の検討課題等
・学部生ならびに大学院生の学生生活上の困難に関して相談を受けることが多かった。
 特に当コースでの修士論文指導に対する学生からの苦情の対応に多大の時間を費やしたことを付記しておく。
 

  
高 橋 靖 子(助 教)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 「カウンセリング基礎演習」において,簡単なグループワークやエクササイズ,ロール・プレイや心理テスト体験を取り入れながら,カウンセリング的な関わりについて段階的に理解が深まるように工夫した。「臨床心理学」では,発達段階ごとの心理的課題,臨床心理学的アセスメントや各種の心理療法について身近で分かりやすい言葉に置き換えながら講義を行った。臨床実践援助法および教育相談・カウンセリング論の一部を担当し,乳幼児期から青年期までの親子関係・友人関係の発達について講義した。臨床心理学基礎演習T・U(インテークカンファレンスおよびケースカンファレンス)においては,心理教育相談室において院生の担当するケースについて実践と理論が結びつくような討論・指導を心がけた。臨床心理実習Bにおいては,医療現場における臨床心理士の役割やクライエントに対する心理援助アプローチについて十分学ぶことができるように,学内や実習先での指導を精力的に行った。
【観点2】教育の達成状況
 昨年度初めて様々な講義・演習を担当したが,今年度はその反省や学生からのフィードバックをもとに,新たな教材研究や資料の見直しを行い,魅力ある授業を心がけた。その結果,「カウンセリング基礎演習」および「臨床心理学」等の授業評価については全般的に向上した。
研究指導
【観点1】学部
 セミナーは担当していないが,卒業論文の研究計画や分析方法,質問紙の構成について助言を行い,学部生2名の学位論文副査として審査を行った。
【観点2】大学院
 学生の研究計画やデータのまとめ方に関して助言を行い,大学院生10名について学位論文副査としての審査を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 病院・福祉,学校領域における今までの心理臨床経験を生かし,医療領域および学校領域のどちらを志向する学生であっても臨床心理学的理解・関与を深められるような講義・演習や臨床指導を積極的に進めていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年9月:『よくわかる子どもの精神保健』(共著) ミネルヴァ書房
(2)平成21年12月:『子どもの発達と情緒の障害』(共著) 岩崎学術出版社
論】(1)平成22年3月:『子どもの登校しぶりで来談した母親の内省機能アセスメントの試み−AAIと夫婦同席面接による検討−』(共著) 上越教育大学心理教育相談研究, 第9巻1号, pp.51-61
業】(1)平成22年3月:『平成21年度文部科学省委託事業 教員の資質能力追跡調査 中間報告書』(共著) 上越教育大学
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)母親の内的ワーキングモデルと抑うつ傾向が子どもの気質認知に与える影響について 代表者:高橋靖子(上越教育大学助教) 科学研究費補助金
(2)特別支援教育支援員を活用した通常学級支援プログラムの開発 代表者:加藤哲文(上越教育大学教授) 科学研究費補助金
(3)小・中学校における発達障害児の支援方法に関する情報共有システムの構築 代表者:加藤哲文(上越教育大学教授) 上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況
(1)平成21年5月:日本心理臨床学会春季大会出席, (2)平成21年10月:日本児童青年精神医学会出席, (3)平成22年3月:日本発達心理学会出席, (4)上越心理臨床研究会発表
◎特色・強調点等
 現在,大学病院産科における縦断研究について論文投稿中である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)県立国際情報高等学校スクールカウンセラー, (2)新潟県学校派遣事業カウンセラー, (3)平成21年度高田教区真宗カウンセリング講座講師, (4)平成21年度新潟県教職12年経験者研修(小・中・特)コース別研修講師(生徒指導コース・中越地区), (5)本学主催「特別支援教育シンポジウム」コーディネーター, (6)新潟県立直江津高校同和教育研修会講師「エゴグラム体験と事例検討」