【言語系コース】
 

 
有 澤 俊太郎(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 一昨年度の授業評価アンケートの内容を踏まえ,昨年度は特に受講生の希望を可能な限り講義や演習面に取り入れ,より一層の改善を図った。
【観点2】教育の達成状況
 上記の内容により,一定の水準に到達しているものと判断される。
研究指導
【観点1】学部
 学部では,4年生1名,3年生2名の卒業研究を指導した。特に,学部4年生の卒業論文は口述試験においてもその内容が高く評価された。
【観点2】大学院
 修士課程及び博士課程では,直接の指導学生はいなかったものの,間接的に論文執筆や研究進捗のためのアドバイスを行った。
その他の教育活動
教育実習では,4年生1名の中学校実習の参観,3年生2名の小学校実習の参観を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育実習の事前・事中・事後指導を丁寧に行い,指導案の作成等に関するアドバイスを行った。今後も継続して同様の対応に努めたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年5月:『国語科年間指導計画の作成』(単著) 国語科教育実践・研究必携 全国大学国語教育学会 pp.58-66.
(2)平成21年10月:『徳富蘆花「風景画家コロオ」を教室で読む』(単著) 読書科学, Vol.52, No.4, pp.165-169.
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本読書学会常任理事, (2)平成21年度:全国大学国語教育学会常任理事, (3)平成21年度:日本国語教育学会理事, (4)平成21年度:日本国語教育学会新潟県支部長, (5)5月29日〜31日:第116回全国大学国語教育学会秋田大会出席, (6)8月3日〜4日:日本国語教育学会第72回国語教育全国大会出席, (7)8月6日:日本読書学会53回大会出席, (8)10月17日〜18日:第117回全国大学国語教育学会愛媛大会出席
◎特色・強調点等
 継続的に国語科教育に関わる研究と発表を行った。成果の一部は,別項に記載した学術論文として刊行されている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市図書館協議会会長, (2)上越市読書推進委員会会長, (3)小川未明文学館運営委員会会長
◎社会への寄与等
 全国規模の学会等の常任理事を始め,地域においては各種協議会・委員会等の委員長を務めるなど,社会に貢献した。
 

  
小 埜 裕 二(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 担当全授業において具体的なシラバスを作成し,ほぼシラバスどおりに授業を行った。成績評価についても,シラバス及び授業初回時に示した方針に基づき行った。教員養成を目的とする本学の学生に,小・中・高等学校の国語を担当する上での十分な能力・技能を身につけてもらうことを念頭におき,授業を展開した。また,読書に対する興味・関心を抱き,学校現場で児童・生徒に豊かな読書生活の習慣を授けることのできる力を身につけてもらうことにも配慮した。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫し,成果を挙げた。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。授業及び各種セミナーを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注ぎ,一定の成果を挙げたと考える。
研究指導
【観点1】学部
 学部学生には小・中・高等学校における国語の実践的能力を修得させるため,文学作品の解釈を中心とした共同討議を課外活動として毎週(金曜5限)行った。これは,担当の学生が毎回,資料を作成し,それに基づき,話す・聞くの活動を重視して展開したものである。この討議には大学院学生にも参加してもらい,学部学生への指導を通じ,より高度な読みの実践力と指導力を身につけてもらうことを図った。また学部・大学院学生連携の国文学実地踏査研究を2月に行った。行き先は横浜。
【観点2】大学院
 上記の課外活動に大学院生に加わってもらい,その場を通じて,より高度な読みの実践力を身につけてもらうよう指導を行った。さらに大学院学生には,個々の研究テーマに即した個別指導を毎週定期的に行った。修士論文指導を直接行った学生は,M1が2名(うち留学生2名),M2が2名,M3が1名,D1が1名(留学生)である。個別指導は定期的なもの以外に,不定期に多くの時間を費やして行った。
その他の教育活動
 教育実習において学部学生4名,大学院生2名の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫した。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。本年はとくに授業及びゼミを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注いだ。今後の課題としては,読解技能がより身近なものとして教育現場で活用されるよう,より一層の工夫を行いたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年6月:『宮沢賢治と三島由紀夫』(単著) 『日本学與台湾学』国際学術検討会会議論文集, pp.B1.1-16
(2)平成21年11月:『対称の精神−宮沢賢治「土神ときつね」論−』(単著) イミタチオ, vol50, pp.82-94
(3)平成22年2月:『川端康成「化粧」の構造分析』(単著) 上越教育大学研究紀要, vol29, pp.332-340
発】(1)平成21年5月:☆『宮沢賢治と三島由紀夫』(単) 招待講演 『日本学與台湾学』国際学術検討会
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:上越教育大学国語教育学会会長
◎特色・強調点等
 三島由紀夫に関する研究,及び宮沢賢治に関する研究,及び郷土作家である小川未明の研究を3つの柱として進めている。今年度は,対極に位置すると考えられてきた三島由紀夫と宮沢賢治の文学的特質を対比的に研究し,国際学会においてその成果を発表した。また科学研究費に基づく研究として小川未明童話全集未収録作品の収集と研究に取り組んだ。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)「前島密とふれあう」ふれあいハガキコンテスト選考委員, (2)新潟県留学生調査研究事業審査員, (3)上越教育大学国語教育学会会長, (4)上越教育大学公開講座講師, (5)上越看護学校入試委員, (6)小川未明童話研究会主宰, (7)出前講座講師, (8)内灘砂丘フェスティバル2009事前勉強会講師, (9)長野県カルチャーセンター講師(宮沢賢治・童話の世界), (10)教員免許状更新講習講師, (11)小川未明文学館講座講師
◎社会への寄与等
 上越市及びその近隣の市を中心に,いくつかの講座の講師を務めるとともに,研究領域にかかわる審査員等を務めた。また郷土の作家である小川未明に関する研究会を本年度に立ち上げた。月1回の研究会で20名の市民が参加する。隔月毎に専門的知見をもつ外部講師を招き,有意義な会となっている。
 

  
野 村 眞木夫(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 主たる担当領域は,国語学の専門(プロパー)だが,常に教員養成としての効果と一定の水準の維持を心がけている。このために学部はもとより,大学院の授業においても,教材の分析,教育に係る主として言語事項に関する項目,授業分析,教室談話のありよう等を具体的にとりあげて,知見や分析方法を提示している。卒業論文においても小学校を希望する場合と幼稚園(保育士含む)を希望する場合とを区分して課題設定と指導を展開している。大学院では,現職かストレートマスターか留学生か等に応じて指導内容を設定している。成績評価は,すべての科目で,小テスト,質問書,レポートのほか,受講の姿勢等を配慮して評価し,特にレポートが一定の水準に到達していないときは,書き直しを指示してグレードアップを図っている。
【観点2】教育の達成状況
 上記の目標は,学生の評価や卒業生と修了生の動向によって保証できると考えている。すなわち,学部卒業生は,多くが公立学校や保育園に正規の採用となっており,一定の学力が保証できたことと考える。また卒業生から学部当時の授業内容が現場において有用であることの評価を得ているので,長期的にも効果が得られていることと判断される。修了生は研究者を目指す者は学術論文の執筆を行い,現職教員は現場で一定の貢献を果たしている。特に,各県の教育センター主事に就いた者が複数みられ,さらに文化庁国語科国語調査官に就いた修了生がいることなどから考えても,一定以上の教育・研究指導の効果は保証されたと判断している。
研究指導
【観点1】学部
 学部の研究指導は,主として文章,談話,テクスト(マルチモーダルテクスト)を対象として展開している。対象は,学生本人の選択にまかせ,これを記述・理解・分析する方法を教授することを指導の中核としている。文章は,小説・童話・説明文等であり,談話は2名による日常談話やロールプレイ談話が中心である。特に平成21年度は,絵本をマルチモーダルの観点から記述・分析する課題を選択した学生がおり,これは2000年代に入ってから開発された方法論を海外の文献から導入して完成させた。この学生は,保育士となることを希望しており,年度末の段階で,受験した第一志望を含む公立・私立3件すべてに合格したことから,教育の効果も十分にえられたものと判断している。
【観点2】大学院
 大学院についても,研究指導は,主として文章,談話,テクスト(マルチモーダルテクスト)を対象として展開している。平成21年度は大学院生が所属しなかったが,授業でこれを展開し,他ゼミナールの学生へのアドバイスを相当程度実行した。また,修了生との研究活動を継続しており,Skypeを利用するなどして論文作成の指導,研究継続の指導を展開している。いずれも,テクスト言語学と談話分析の学会発表レベルの研究課題の解決であり,内外の専門論文を講読しながら実施している。学術論文は平成21年度末に修了生が執筆し,公刊した。
その他の教育活動
 教育実習においては,事前に教材分析の方法を指導し,特に研究授業の対象となる教材について事前に分析方法と教授のポイントについてアドバイスを行っている。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育活動は,主として文章,談話,テクスト(マルチモーダルテクスト)を対象として展開しているので,その側面での内外の研究動向を分かりやすく導入し,卒業論文,修士論文,研究生の研究課題の達成に対し,有効な結果を生むことを目指している。特に,マルチモダリティの観点の導入は,今世紀に入ってから意識的に各国で展開され始めた方法と課題であり,教育現場での応用の余地が少なくない。これは,筆者の専門とするテクスト言語学の領域での新たな展開であり,今後も当分,密度を高めつつ,またメディアの発達と相俟って発展していくものと予測している。この領域は談話のみならず,文章,マルチメディアの使用と併せて研究と教育が展開していくものであり,研究者が徐々に増加してはいるものの,筆者のアプローチは現時点で十分オリジナリティの認められるものと判断している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年8月:『日本語表現学を学ぶ人のために』(共著) 世界思想社
論】(1)平成22年2月:『マルチモーダル・テクストとしての絵本 ―言語テクストと絵画テクストの関係性と類比性―』(単著) 上越教育大学研究紀要, 第29巻, pp.219-230
(2)平成21年4月:『言語空間α 「マルチジャンル談話論 ―間ジャンル性と意味の創造―」泉子・K・メイナード』(単著) 月刊言語, 38(5), p.102
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:表現学会理事, (2)平成21年度:表現学会編集委員, (3)平成21年度:日本語文法学会学会誌委員, (4)平成21年度:北海道大学国語国文学会編集委員, (5)6月6日〜6月7日:第46回表現学会全国大会出席(役員会,学会司会担当), (6)8月8日:表現学会編集委員会,運営委員会出席(編集委員として), (7)10月24日〜25日:第10回日本語文法学会出席
◎特色・強調点等
 現代日本語をテクスト言語学の観点から,記述・分析している。特に近年はマルチモダリティの考え方を導入することで,テクストを複合的な視点から観察することを可能にしている。このことは,談話については,言語表現と非言語行動の複合として記述可能であるが,後者についてジェスチュアのみならず,視線,姿勢,音声的な特性等を対象とする研究を可能とし,さらに書籍体のテクストについても,印刷形態やレイアウト,さし絵等を検討の対象とし,したがって,絵本のようなメディアは,言語表現と絵画表現について統合的に扱うことが可能になっている。以上のことにより,従来のテクスト言語学や文章論,談話論,文体論の枠組みを拡張し,とりあげるメディアやジャンルも多様にカヴァーできることとなった。また,適切なソフトウェアを活用することで,談話の言語・非言語の多様な情報を一括して処理可能な体勢ができあがった。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 全国レベルの学会活動として,表現学会と日本語文法学会で役員,査読委員を分担した。
 両学会とも,国内の文章・談話および,文法に係る学術団体として著名であり,日本学術会議協力学術研究団体である。この運営と学術論文査読に関与しており,貢献度が高いと判断できる。
 

  
押 木 秀 樹(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 国語科書写指導のための基礎力の向上に加え,教師としての一般的な能力としての板書の文字などの基礎力向上にもつとめている。学習者中心型学習過程と学習内容の明確化という点を中心に教育をおこなっている。また,書字動作に関わる学習のため,視聴覚機器の使用やマルチメディア教材の作成により,学習効果を高める工夫を継続している。加えて,書字行為をコミュニケーション的視点で捉える指導を取り入れつつある段階である。
 評価に関して,学習物をポートフォリオ的にまとめることで,自己の学習過程を評価できる工夫を継続中である。
【観点2】教育の達成状況
 国語科書写の指導力として,授業の考え方については一定の学力を達成できていると考える。一方,実技能力と,教師としての一般的な能力としての板書の文字などについては,まだ十分とはいえない。施設的にも人的にも厳しい状況ではあるが,効果的に学力を向上させる工夫をおこないたい。
 授業後の復習や実技を中心とする自習をおこなうための施設設備の不備については,十分な改善が見られたとは言い難い。しかし,月・木曜日の夜に講202教室において自習および指導できるように努めている。
研究指導
【観点1】学部
 書写(書道)教育研究の動向に加え,文字を書く研究領域について,書学等の伝統的領域からGraphonomicsなど現代的領域までを見据えた上で,学生の課題に対する指導をおこなった。ゼミでの専門領域の研究とともに,教育実習前の模擬授業などを継続しておこなっている。文字研究・書道の領域に関しては,実物を直に見る機会を設けるなど,体験的部分についても留意した。本年度は,特に書字動作における冗長性・欠落などの問題や,パラ言語的な視点などに重点をおいた。
【観点2】大学院
 本年度は新学習指導要領などを参照しつつ,文字を書くことの変化を踏まえ,書字目的及び相手意識などについて特に研究指導を行った。特に教師の書字意識と児童の書字意識について,比較することなどが本年度の特徴である。また,研究用機器の開発および運用をすすめ,筆圧・握圧を測定できるようにしたことで,研究指導がより充実したと考える。
その他の教育活動
 信州大学教育学部において非常勤講師として,小学校免許用授業である「国語基礎」の一部(書写)を担当した。また,同学部において,高等学校免許用授業である「書道科指導法」の授業を担当した。
 教育実習では,ゼミ担当学生への通常の指導に加え,書写に関連する授業をおこなう(ゼミ以外の)学生に対するアドバイスをおこなった。
 授業以外で「文字を書く能力」の向上のための指導を希望する学生に対して,硬筆・毛筆の個別指導時間として,長期休業期間を除く月曜日・木曜日の19:00-21:00に講202教室において指導をおこなった。
特色ある点及び今後の検討課題等
 研究活動において,書字行為によるコミュニケーションを考える上でパラ言語的な部分を重視すること,および,書字動作の学習内容化の必要性についての検討の2点において,先導的役割を果たしていると考える。またそれらを教育活動に生かしつつある。ただし,現場での実践という点ではまだ十分ではないことから,課題としていきたいと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年4月:『明解書写教育』(共著) 萱原書房
論】(1)平成22年3月:『手書き文字におけるパラランゲージ的要素による伝達に関する基礎的研究』(共著) 書写書道教育研究, 24号
(2)平成22年3月:『新学習指導要領を考える−小学校国語科書写の改訂内容−』(共著) 書写書道教育研究, 24号
作】(1)平成21年6月:『※匜銘文』 第48回書象展 (国立新美術館) ※は「イ」へんに「朕」
(2)平成21年10月:『忘筌』 上越市展(運営委員として出品)
発】(1)平成21年10月:『手書き文書におけるパラランゲージ要素による伝達に関する基礎的研究』(共) 全国大学書写書道教育学会広島大会
(2)平成21年10月:『パネルディスカッション・新学習指導要領を考える』(共) 全国大学書写書道教育学会広島大会
他】(1)平成21年1月:『上越教育大学押木研究室/国語科書写指導の内容論を中心とする文字を書くことの情報と本学研究室情報』 http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:全国大学書写書道教育学会・常任理事, (2)10月25日:全国大学書写書道教育学会広島大会出席, (3)10月24日:全国大学書道学会広島大会出席, (4)11月13日:全日本書写書道教育研究大会埼玉(川越)大会出席, (5)11月12日:全日本高等学校書道教育研究大会埼玉大会出席, (6)12月2日:石川県書写書道教育研究大会出席
◎特色・強調点等
 研究室で3年ほどかけて検討してきた,手書き文書におけるパラ言語的な要素についての研究方法について,基礎的なまとめをおこない,研究発表および論文とした。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越国語連絡協議会書写実技講習会講師, (2)長野県総合教育センター教職員研修講座講師, (3)石川県書写書道教育連盟顧問, (4)上越市美術展覧会運営委員, (5)文部科学省学習指導要領作成協力者
◎社会への寄与等
 主として,国語科書写指導に関する指導として,全国レベルにおいては学習内容論について担当(学会常任理事・パネルディスカッションパネラー)するとともに,北信越地区から上越地区においては毛筆実技指導を含む書写指導全般について担当(講習会講師等)した。なお,上越地区に限定されるものとして,上越市美術展における書道部門の作品講評なども担当した。
 また,学習指導要領作成協力者として,高等学校芸術科書道に関して,学習指導要領および同解説に協力した。
 

  
 本 條 治(准教授)
 

  
中 里 理 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義科目では,一方的な知識の伝達にならないようにするため,適宜学生の意見を聞き,学生同士に話し合わせ,学生が主体的に学習できるように工夫している。成績は主に期末試験で評価するが,知識の暗記ではなく知識を人に伝達できるという観点で試験を実施している。演習科目では,学生が課題を選び,問題意識に基づいて発表資料をまとめ,グループ内で発表し話し合いをする,という学生主導の授業になるように工夫している。成績は各自の発表資料とグループでの話し合いを総合評価しているが,話し合い後に再度資料を作成させ,話し合いが反映されるようにしている。
【観点2】教育の達成状況
 学部の講義では,国語に関する基礎知識と専門知識をあわせて学習させているが,特に言葉の学習や文学史など基礎知識の学習では学生の好反応を得ている。院の講義では,出来る限り教育の現場に応用できる内容にしている点で,院生の好反応を得ている。学部の演習では,資料をまとめる力や話し合いの能力育成に役立っている。院の演習では,文章力を実践的に養うとともに,文章表現の授業に役立つ観点を紹介し,さらに文章鑑賞力を養う内容にしている。
研究指導
【観点1】学部
 3年次からゼミを行い,国語学に関する専門的な知識を広く身につけ,先行研究を読み解く力を養っている。各自の問題意識を尊重し,3年次の終わりまでにそれぞれのテーマを決定できるよう,先行研究を集めて整理し,自分の論を組み立てられるようなデータ収集の方法を指導している。4年次の卒論執筆に当たっては,論文構成や根拠の示し方を提示し,各自が書き進めた内容について,毎回のゼミで添削を加えながら具体的に指導している。
【観点2】大学院
 今年度はゼミ生がいなかったが,修士1年の構想発表会,2年の中間発表会では,何人かの院生に質問や意見を述べ,発表会後に個別指導を行った。ゼミの指導教員の指示の範囲で,院生がどういう問題意識を持てばよいのか,現時点で足りない点は何か,何をどのように調査したらよいか等,具体的に指導,助言した。
その他の教育活動
 教育実習後に,研究授業についてどの点が良かったか,授業のやり方としてどの点が足りなかったかについて具体的に助言した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 講義でも演習でも,学生・院生が主体的に取り組めるように,発言の機会を与えたり話し合いの時間を設けたりしている。学生・院生が相互に刺激を与え合うことで,授業が活発に展開していくように授業を組み立てている。また,教育大学であることを念頭に,小中学校の授業で生かせるような知識を扱うように心がけている。現時点で,学生・院生は興味を持って取り組んでいるが,さらに基礎知識の定着を図ることが課題である。また,専門知識への興味を高めること,これらの知識を授業でどのように生かしていくかをわかりやすい形で示すことも今後の課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年2月:『狂言台本山本東本に見るオノマトペ−浄瑠璃・歌舞伎脚本との比較とともに−』(単著) 「上越教育大学研究紀要」第29巻 pp.207-218
(2)平成22年2月:『大蔵集狂言台本における擬音語・擬態語の特徴−虎明本と山本東本との比較から−』(単著) 「上越教育大学国語研究」第24号 pp.1-13
◎特色・強調点等
 オノマトペ(擬音語・擬態語)研究の対象を古典作品にも広げ,研究を推進している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)5月:上越市男女共同参画推進センター講座講師, (2)8月:教員免許状更新講習講師
 

  
迎   勝 彦(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部においては一斉授業の形態をとった。この授業形態の問題点を解消するため,受講者の発表の場や話し合いの場を随時設けるとともに,教材の工夫(配布資料・ワークシート・メディア教材の工夫)を中軸とした指導法の見直しを随時行った。また,授業内容は教育実習を含め,教育実践場面に適用できるものとなるよう配慮した。なお,後期授業科目(中等国語科指導法)では,毎回15分程度の時間を使い,教員採用試験(中学国語問題)と関わった課題の検討を行った。これには国語科教員としての資質と能力を高めるとともに,教員採用試験対策としての意味も持たせている。受講生の反応は良好であった。大学院においては一斉授業だけではなく,適宜討論を交えるなどして,講義及び演習が,受講者相互の情報交換,意見交流の場となるようにも配慮した。また授業分析・研究を扱う実習として「インタビュー活動」(受講者相互の教育観・教育理念をインタビューし合う)を構成し,受講生のニーズに即応した授業構成に留意した。ストレートマスターにとっても現職派遣院生との交流の場を設けたことにより,彼らの教育観や教育理念を学び,感じることのできるよい機会となった。成績評価については,学部,大学院ともに成績評価基準を明示して厳格な成績の評価に努めた。
【観点2】教育の達成状況
 良好。学部学生,大学院生ともに,社会に貢献する人材育成を図るという点からみて,高い付加価値を身につけさせることができたと考える。これは,授業後のアンケートやレポート,感想などから読み取ることができる。学部学生については特に,国語科教材の検討と開発を行う能力と資質を重点的に高めることができた。大学を卒業し,実際に授業を行う場合,この教材を読み取る能力や開発する能力は即戦力として必要とされるものである。大学院生については特に,「小・中学校授業の観察,分析,評価,改善」という点において臨床的な実践力を習得させることができた。インタビュー実習を通して「学習者の考えを知る」ことの方法,知見をある程度修得させることができたと考える。
研究指導
【観点1】学部
 学部4年生の指導においては,伝統的な言語文化に関する指導,話し合い学習に関する指導,読書指導,入門期指導について,それぞれ国語科教育に関わる臨床的な実践力を習得させることを目的とした研究指導を行った。学部3年生の指導においては,1)国語科教育研究の在り方,2)国語科における諸領域の歴史的検討と臨床的研究の在り方,3)国語科指導に関する現状把握と文献研究の在り方に関わる専門性を高める研究指導を行った。
【観点2】大学院
 大学院の指導においては,現職派遣教員のニーズに応えるよう,より高度な教育実践力を修得させることをねらいとした。また,教育実践場面を対象とする「研究法」「分析法」を中軸とした専門的知識の教授を行うとともに,具体的実践的な作業・実習を重視した。修士論文制作に関わる研究指導では,M1生には,小学校における話し合い活動の組織化,学習指導に際する方法論の検討・指導を行い,M2生には,小学校における文学指導の在り方について,「説明をする」という学習活動を組織することの有効性について探究するための文献的研究と指導構想・実施に向けた具体的な指導及びその分析と考察を進めるための研究指導を行った。
その他の教育活動
・他の国立大学法人,公立・私立大学での非常勤講師
 独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校における非常勤講師(後期):「人間関係論」という講座を担当し,コミュニケーションの在り方や接遇,国語的な知識の習得に関する授業を実施した。
・教育実習における学生指導
 学部学生の指導にあたっては,教育実習対策と教員採用試験対策の二点を重視した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部学生の指導にあたっては,担当する授業(初等国語科指導法や中等国語科指導法),ゼミ等の研究指導において,自身の専門領域でもある国語科教育の内容を活かし,教育実習対策と教員採用試験対策も重点的に行った。前者については,国語科における教材研究の方法,学習指導のあり方を中軸として基礎的な点から指導,助言を行っている。後者については,国語科の教科内容に関する情報提供を基本としながら,面接・討議討論に関わる指導,小論文執筆に関わる指導,模擬授業対策を適宜行った。これらは,教育実習対策及び受験対策としてのみ機能するものではなく,学生自身が実際に教職に就き,実践的,臨床的に教育活動を行っていく上で重視されるべき点であると考える。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年3月:『教員の資質能力追跡調査中間報告書』(共著) 上越教育大学(平成21年度文部科学省委託事業)
学会活動への参加状況
(1)6月6日:NEW EDUCATION EXPO2009公開授業(国語)セミナー参加, (2)6月13日:上越教育大学国語教育学会第27回総会及び第57回例会出席, (3)6月26日・27日:上越教育大学附属小学校2009年研究会出席, (4)8月21日:平成21年度「教師のためのエネルギー環境教育実践セミナーin東京」参加, (5)10月15日:上越国語教育連絡協議会秋季研修会出席, (6)2月20日:上越教育大学国語教育学会第58回例会出席, (7)2月26日:第20回東京都小学校国語教育研究大会参加
◎特色・強調点等
 今年度は,今後における教育研究の推進を図るための準備として,学校現場の教員との連携を図ること,及び学校教育の現状を把握することを主として活動を行った。その一貫として小中学校教員を対象とした講演を行い,自身のこれまでの研究成果の還元とその妥当性の確認を随時行った(教育研究が,研究のための研究で終始しないように,講演会を通して現場の教師の反応を得ることは意義があると考える)。これまでの研究,理論の内容の修正を図りつつ,改めて研究課題を設定し直すことができた。また,エネルギー環境教育に関する研究活動の継続も図ることもできた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越国語教育連絡協議会・夏季研修会講演会講師, (2)中越国語教育懇話会講演会講師, (3)教員免許状更新講習(上越)講師, (4)教員免許状更新講習(長岡)講師, (5)加茂・見附・南蒲学校図書館協議会小中合同研修会(講演会)講師, (6)地域貢献事業「上越地域のエネルギー環境教育の推進とそれに関わる地域ネットワークづくり」, (7)上越国語教育連絡協議会・夏季研修会分科会指導者, (8)独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校平成22年度入学試験委員, (9)8月:独立行政法人国立病院機構新潟病院における院内研修会(1)講師, (10)9月:独立行政法人国立病院機構新潟病院における院内研修会(2)講師, (11)10月:独立行政法人国立病院機構新潟病院における院内研修会(3)講師, (12)11月:独立行政法人国立病院機構新潟病院における院内研修会(4)講師
◎社会への寄与等
 独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校及び独立行政法人国立病院機構新潟病院での「聞く,話す」をテーマとした講義や講演を行い,研究成果を実践場面に活用し,社会貢献に役立てることができた。また,上越・妙高地区を中心としたエネルギー環境教育に関するネットワーク作り,情報収集を継続して行うことで社会貢献に役立てることができたと考える。
 

  
渡 部 洋一郎(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法では,特に学部の場合,臨床的且つ実践的な学習内容になるよう心がけた。具体的には,教科書掲載の教材文を用いた教材解釈の方法やそれを組み入れた授業構成のあり方等について工夫し,実践力を高めるような工夫をした。また,修士課程においては,研究上有益となるような先行研究の調査方法と課題設定の仕方について具体的な示唆を与えると共に,研究論文の執筆方法や研究上得られた知見を臨床的に応用する方法などについて詳細な解説を行った。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケートなどの結果を見ると,上記の取り組みについてはほぼ満足できる結果を得られたものと考えられる。また,成果としてそれらを反映した学術論文を発表することもできた。
研究指導
【観点1】学部
 学部では3名の卒業論文の研究指導を行った。研究テーマは,それぞれ「小学校国語科における効果的な話し合い活動の研究−グループの交流活動を中心として−」,「小学校低学年の文学教材の読解をめぐる授業展開のあり方−『スイミー』『お手紙』の音読指導を中心として−」,「国語科教育における戦争児童文学の研究」である。いずれも実際の授業展開や指導法を念頭に置いた内容で,口述試験においてもその内容が高く評価された。
【観点2】大学院
 修士課程では専門セミナー所属の院生がいなかったため,主として修士論文における授業分析の領域で,分析の手法と考察に関する助言指導を行った。
その他の教育活動
 教育実習では,3名のゼミ生の中学校実習と2名のゼミ生の小学校実習に関して,教材解釈に関する助言指導および指導案の作成に関する助言を行った。また,それぞれの学生の小学校実習および中学校実習に関して研究授業の参観と事後指導を行った。また,保育実習に関しても,実習の参観および園長との懇談,事後指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 臨床的な授業展開における効果的な教材研究のあり方について,昨年度は特に説明的な文章を中心とした考察をおこなったので,今後は,それを文学的な文章教材と言語事項にも広げて,より広い範囲をカバーできるような態勢を整えたいと思う。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年2月:『新しい時代のリテラシー教育』(共著) 東洋館出版社
論】(1)平成21年5月:『授業記録の記述と分析』(単著) 国語科教育実践・研究必携 全国大学国語教育学会 pp.222-230.
発】(1)平成21年5月:『刺激回想法による事例分析と内省法の性質』(単) 第116回 全国大学国語教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)小学校低学年における文学教材の読解に関する方略 代表者:渡部洋一郎,高橋栄介(上越教育大学,上越教育大学附属小学校)
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本読書学会常任編集委員, (2)平成21年度:早稲田大学国語教育学会役員, (3)平成21年度:日本教育実践学会論文査読委員, (4)5月29日〜31日:第116回全国大学国語教育学会秋田大会 出席及び発表, (5)8月3日〜4日:日本国語教育学会第72回国語教育全国大会 出席, (6)8月6日:日本読書学会53回大会 出席及び司会, (7)10月17日〜18日:第117回全国大学国語教育学会愛媛大会 出席
◎特色・強調点等
 昨年度は,第116回全国大学国語教育学会において,授業分析に関する発表を行った。また,その成果は当学会より特にリーフレットの形で刊行される予定であり,質的な分析をめぐって提案性のある発表にすることができた。引き続き,授業分析に関わる研究の成果を今年度の学会でも発表する予定である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)10月:上越国語教育連絡協議会秋季大会講師, (2)上越教育大学附属小学校研究協議会, (3)上越教育大学附属中学校研究協議会, (4)7月:学校図書館司書教諭講習会, (5)7月〜8月:新潟県教員免許状更新講習会
◎社会への寄与等
 昨年度は,全国規模の学術学会の役員・編集委員・査読委員を3つ務めると共に,附属小学校・附属中学校の両方の研究協議会に研究協力者として参画した。また,対外的には,地域の上国連秋季大会で講演を行い,学校図書館司書教諭および免許更新講習会(長岡会場・上越会場で4日間)の講師を務めるなど,活動が多岐にわたった。
 

  
加 藤 雅 啓(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部:英語運用能力の育成を重点目標とし,積極的にコミュニケーションを図る態度の養成に工夫を凝らした。「英語学概論」では談話文法理論,機能文法理論の観点により「覚える文法」から「考える文法」,「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを行った。「英文法」の授業では英字新聞等の生きた英語教材を活用し「母語話者の言語直感に迫る文法」の構築を目指した。
大学院:教育現場における英文法指導について従来の記憶中心の学校英文法を脱却し,コミュニケーションを重視した実践的な英文法指導への取り組み方を工夫した。「英語学演習」では関連性理論における最新の言語理論を取り込み,認知とコミュニケーションの観点から橋渡し指示に関する理解を高める工夫を行い,指示詞に関する実践的な教材開発を行った。
【観点2】教育の達成状況
学部:積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が身についた。「英語学概論」では,「覚える文法」から「考える文法」へ意識の転換が顕著に見られ,学校現場における「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを達成することができた。「英文法」の授業では,全員が600頁を超える文法書を精読し,「母語話者の言語直感に迫る文法」を構築することができた。
大学院:「談話文法特論」の授業では,「話し手・聞き手・場面」で構成される「談話」を想定した「新しい文法」観,及び「母語話者の言語直感に迫る文法」観を身につけることができた。さらに,実践的な英文法指導能力を身につけ,パワーポイントによる教材を開発した。「英語学演習」の授業では談話における結束性に関する実践的な教材開発を行うことができた。
研究指導
【観点1】学部
 学部では従来の記憶中心の英文法指導の不備を指摘しながら,「英語ではなぜ同じ意味内容を伝えるのに複数の言い方が存在するのか(第3文型と第4文型,能動文と受動文)」などの「生徒のなぜに答えることができるような英文法指導」を実践し,大量の生きた英文データを与えて臨床的実践力の養成を行った。
【観点2】大学院
 修士課程では,教育現場において最新の言語理論がどのように応用できるかという観点により,「関連性理論の枠組みによる実践的コミュニケーション能力の育成」,「認知言語学による未来表現の分析と応用」等のテーマで実践研究を指導し,中学校・高校の英語教育現場におけるより高度な臨床的実践力の養成を行った。
その他の教育活動
 平成21年5月−6月,9月,初等教育実習,及び中等教育実習において学部生6名の学生指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 講義支援システムを活用し,「振り返りシート」を提出してもらい,これに対して「振り返りシートの振り返り」を作成したうえで講義支援システムにアップすることにより,学生と教員による双方向通信による授業のフォローアップを行った。さらに,教師による「振り返りシートの振り返り」を次の授業の冒頭で振り返ることにより,学習項目を一層深く理解することが可能となった。「コミュニケーション英語CU」では「英語」をツールとして用い,情報の収集・発信を行い,グループワークを通じてコラボレーション能力を伸ばし,プレゼンテーション能力を伸ばすという目標達成のため「Virtual Travel 2009」を企画し,英文ホームページを利用して仮想旅行を計画・実施し,パワーポイントを用いて発表することにより,教科書訳読式の授業からの脱却を試みた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年2月:『分裂文の総記的含意』(単著) 上越教育大学研究紀要 第29巻, pp.199−205
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:日本英語学会(評議員), (2)平成21年度:日本プラグマティックス学会(理事,評議員,編集委員), (3)平成21年度:上越英語教育学会(会長), (4)平成21年7月 上越英語教育学会の企画・運営, (5)平成21年11月 日本プラグマティックス学会出席, (6)平成21年11月 日本英語学会出席, (7)平成21年12月 日本語用論学会出席, (8)学会誌International Journal of Pragmaticsの編集
◎特色・強調点等
 平成21〜23年 科学研究費補助金 基盤研究(C)の支援を受け,分裂文の総記的含意について研究を進めている。これまで意味論,あるいは語用論の枠組みで個別に論じられてきた分裂文の総記的含意に関して,これを関連性理論,及び認知言語学から分析を試みるもので,これまでに例を見ない新しい取り組みであると言える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市教育センター運営委員会委員長, (2)上越市教育センター運営委員会, (3)社会福祉法人御幸会理事会, (4)出前講座(新潟県立柏崎高等学校)
◎社会への寄与等
 社会福祉法人「御幸会」が運営する第一種社会福祉事業「特別養護老人ホームしばた」「ケアハウスベルセゾン新発田」,第2種社会福祉事業「デイサービスセンターしばた」「ベルセゾン新発田デイサービスセンター」における役員の業務執行状況,及び法人財産の監査を行い,理事会,評議会において意見表明を行った。さらに,ボランティア活動としてこれらの事業所において異文化理解に関する講話を行った。
 

  
平 野 絹 枝(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 最近の研究成果を取り込んだ形で,効果的な英文読解方略を指導し,異なった読解問題形式にふれさせて学生の多様な読解能力を引き出すことを心がけた。音読,黙読を練習させ,英文の読解力向上のほかに,コミュニケーション能力の育成に努めた。動機付けにビデオ,CDを使用した。大学院では,ESL/EFL及び応用言語学の理論と指導,多角的な視点にもとづいた教材分析の理論研究と実際に焦点をあてた。理解の確認のチェックのため,小テストを行い,グループやペア・ワークで,問題点を討議させ,諸理論をわかりやすく解説することに腐心した。
 成績評価に関しては,出席,日常点,課題,試験結果にもとづいて総合的に評価した。
 学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
【観点2】教育の達成状況
学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
研究指導
【観点1】学部
 第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
【観点2】大学院
 第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,国内外の文献を通して日本語と英語の丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
その他の教育活動
・平成21年4月〜22年3月:新潟大学(学部)非常勤講師として「共通英語」を担当した。
・教育実習の研究授業など,授業のコメント・改善点を指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 最近の英語教育学の理論を取り入れ,英語の理解と産出のバランスを様々な,一斉指導,ペア,グループワーク活動のなかで考慮し,学生が自主的に,また相互的に,英語力の向上や専門知識の獲得をめざせるように腐心した。今後,限られた授業時間内で個に対応した指導をどのようにしたらよいかが検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年3月:『中学校英語科教科用図書のリスニングタスクと全国高等学校入学試験のリスニング問題の費各区分析』(共著) 教育実践研究,第20集
発】(1)平成21年8月:『小学6年生の英語語彙認識における音声情報の役割』(共) 全国英語教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)英語語彙認識の音声情報の役割 代表者:掘田誠(山梨大学附属小学校)
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:大学英語教育学会役員, (2)平成21年度:大学英語教育学会紀要査読委員, (3)平成21年度:中部地区英語教育学会運営委員, (4)平成21年度:中部地区英語教育学会編集委員長, (5)平成21年度:全国英語教育学会紀要副編集委員長, (6)平成21年度:全国英語教育学会紀要(ARELE)査読委員, (7)平成21年度:小学校英語教育学会理事, (8)6月27日〜28日:第39回中部地区英語教育学会静岡大会出席, (9)8月7日〜9日:第35回全国英語教育学会鳥取研究大会出席, (10)9月5日〜7日大学英語教育学会第48回全国大会出席
◎特色・強調点等
 読解テストの妥当性の検証があまりなされていないリコールテストに関する研究で,目標言語学習経験年数,性差,読解力,学力,の諸要因がリコールテストのパフォーマンスとその妥当性に及ぼす影響や方略との関係について継続的な研究を行っているが,これまでの先行研究では例が極めて少なく,テスト作成,評価,読解教材開発,読解指導の改善,に貢献する点で,興味深い示唆があり,独創的であるといえる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)ジュニア英語スピーチコンテスト審査員
◎社会への寄与等
 学会の運営・論文査読・紀要編集を通して英語教育学研究発展・運営の社会貢献,日本人学習者の英語スピーチ向上に努めた。
 

  
北 條 } 子(教 授)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年3月:『文字指導を中心とした小学校英語活動の試み』(共著) 教育実践研究, 第20集, 19-26頁 
(2)平成21年12月:『学級集団ソーシャルスキル訓練(CSST)を取り入れた小学校英語活動の学習プログラムの開発研究』(共著) 上越英語研究, 第10号, 13-24頁
 

  
前 川 利 広(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法では難易度が適度の英文を読ませて読解力をつけるということと,さらに異文化理解の程度を深めるためにアメリカの主たるトピック(建国の歴史・独立戦争・多民族国家・銃規制・公民権運動等)について写真・DVDを多く準備し用いた。修士では現職教師と中高英語教師志望者との間の橋渡しに意識し,教材作成・学生とのインターアクションに応用した。成績評価は学部ではSとAが多数にならないよう配分し,修士では絶対評価も加味した。
【観点2】教育の達成状況
 写真・DVDの使用は学生の関心を強く惹くように思う。修士の授業では現職教師に積極的な役割を果たしてもらい,志望学生の目標となるよう意識したことが,彼らの意欲を増したようである。
研究指導
【観点1】学部
 ゼミ生が比較的多いので個別指導に時間を割き,それぞれのテーマが他の学生と重複しないよう配慮させ,オリジナルな論文を作成させた。と同時に,現場で役立つよう口頭での発表会のために分かりやすく,要領よく伝える指導にも時間を使った。
【観点2】大学院
 修士課程では3名の論文指導があり,そのうち高校教師と中学校教師に採用が決まった学生については,特に成長が著しかった。そのうち一つの論文は上等の英文による執筆に仕上がった。
その他の教育活動
 私のゼミ生に関しては,学部・修士学生ともに,教育実習はすべて参観した。英語力があるのに板書が右上がりになる癖や,わかりずらい発話,学生とのアイコンタクトが不十分などを発見したため,教員採用試験二次試験前に数回ずつ模擬授業をさせ,他の学生にコメントさせたり直接感想を述べたりする機会を設けた。他のゼミ生についても参加希望があれば受け入れた。さらに,教員採用試験の面接練習も行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 外国語専門の大学・学科と違って,教育大学の英語教育ではやはり学生に多くの英語を読ませ,聞かせ,話させ,書かせるという機会が少なくなりがちである。とくに読む英文の分量が極めて少なく,これで教師になってもらっては困るというのが本音である。私のゼミ生はそれでも多くの英文を読ませるが,他のゼミ生の場合,英文に触れることが少ないことが気がかりである。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年2月:『レイモンド・カーヴァーの小説作法−"What We Talk About When We Talk About Love"まで』(共) 上越教育大学研究紀要 第29号
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 出前講座を二件開設している。いくつかの高校から毎年のように依頼があるが,昨年度は授業とぶつかり,出かけることができなかった。大学の授業が毎日設けられているので,なかなか出前講座に出ずらい。
 

  
石 M 博 之(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部のコミュニケーションの授業では,新しいオーバーラッピングやシャドウイングの技法を取り入れた。また,時事英語で教育関係の記事を提示した。大学院では,できる限り理論ばかりでなく具体的な授業実践の場面を取り入れた。
 学部では,授業で実施した内容を評価に取り入れていった。できる限り,英語で表現できるような評価を実施した。大学院では,実際の模擬授業を実施し,よいポイントや改善点を具体的に提示した指導を試みた。
【観点2】教育の達成状況
 学生は,基本的な英語学習の方法を修得したと思う。
研究指導
【観点1】学部
 学部生の研究指導では,研究のテーマを決定させて,個人ゼミのための時間を設定して丁寧に指導した。データ収集に関しては,近隣の小学校等にその調査の内容を理解していただくために,直接ゼミ生と依頼にいった。データ収集から統計ソフトに至る方法を指導した。個人が関心ある論文を仕上げて行くように努めた。学部3年の指導では,小学校英語教育に関する基本的な文献読みをさせ,テーマに興味を持たせた。
【観点2】大学院
 大学院免許プログラム3年生に関しては,決定したテーマに沿いながら修士論文作成に指導した。調査に関しては,公立小学校に依頼して,データの収集をさせた。直接,データ収集のためにゼミ生の授業を観察しながら,その後,指導も行った。1人であったために,個人できめ細かな研究指導ができたと自負している。大学院免許プログラム2年生の学生には,基本的な文献読みに力点を置き,テーマを決定させた。そして,実際の小学校英語の授業も観察をさせて,関心を持たせるように努めた。基本的な小学校英語教育の理論と実践に関する知識の習得に努めさせた。
その他の教育活動
 ゼミ生の教育実習については,教育実習の研究授業を観察した後に,指導技術等で成長している点を具体的に述べながら,更によくなるために改善点を具体的に示した。教職を使命とする学生に育てようとした。
特色ある点及び今後の検討課題等
 ゼミ生が教育実習の際,あらかじめ指導案を提示してくれると,前もって改善点を提示できたと思う。教育実習で,ゼミ生が満足できるような指導の在り方を示すことが今後の検討事項である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成21年7月:『小学校「外国語活動」ってどんな内容がさだめられたの?』(共著) 教育開発研究所
論】(1)平成22年1月:『小学校における35時間の「英語活動」が中学校2年生の聴解力に及ぼす効果』(単著) 中部地区英語教育学会紀要 第39号 pp.119-126
業】(1)平成21年9月:『児童の意識と聴解力の結果からどのような授業を組み立てるか』(共著) 日本教育心理学会発表論文集 S12
(2)平成22年3月:『外国語活動(英語活動)の「授業づくり」−授業の指導体系の固定化を目指して−』(共著) 愛知県立大学平成21年度教育・研究活性化推進費研究成果報告書 pp.51-84
(3)平成22年3月:『外国語活動学習指導案(1)(2)』(共著) 平成21年度文部科学省指定「外国語活動における教材の効果的な活用及び評価の在り方等に関する実践研究事業 「平成21年度研究のまとめ」 pp.59-66
発】(1)平成21年6月:『小学校における35時間の「英語活動」が中学校2年生の聴解力に及ぼす影響』 第39回中部地区英語教育学会静岡大会
(2)平成21年9月:『小学校外国語活動において留意すべき児童の心理的側面』(共) 日本教育心理学会第51回総会
他】(1)平成21年9月:『愛知淑徳大学英文学会/2009年8月21日の講演の様子とその感想が写真と共に示されている』 愛知淑徳大学
(2)平成21年10月:『教育センター所報/小学校での実践の様子とその感想が記述されている』 柏崎市立教育センター所報
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:愛知淑徳大学文学部学会講演会 講師
(2)7月18日小学校英語教育学会出席・司会者:7月20日小学校英語教育学会東京大会
(3)日本教育心理学会全国大会シンポジュウム(準備委員会企画シンポジュウム2)出席
◎特色・強調点等
・小学校英語を経験した学習者の聴解力の側面から,英語活動が中学校の英語教育に影響を与えているという横断的・縦断的な研究で,効果があるとした点である。
・新潟県における複数の小規模小学校と関わり,外国語活動(英語活動)の指導方法から評価まで検討している。
・外国語活動の必修化されるに伴い,小学校教員の教員研修のあり方を検討している。短期的な教員研修の内容について検討している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)出前講座「柏崎市立石地小学校小学校英語の授業展開と教員研修会」, (2)出前講座「柏崎市立荒浜小学校小学校英語の授業展開と教員研修会」, (3)出前講座「柏崎市立二田小学校小学校英語の授業展開と教員研修会」, (4)出前講座「三条市立旭小学校小学校外国語活動における教員の指導力向上研修会」, (5)出前講座「見附市立新潟小学校小学校英語に関する教員の指導力向上研修会」, (6)出前講座「十日町市立川治小学校小学校英語の教員指導力研修会」, (7)出前講座「柏崎市立北鯖石小学校小学校英語の授業展開と教員研修会」, (8)出前講座「十日町市立馬場小学校小学校英語の授業展開と教員研修会」, (9)出前講座「柏崎市立二田小学校小学校英語の授業展開と教員研修会」, (10)出前講座「見附市立新潟小学校小学校英語の授業実践と教員研修会」, (11)出前講座「小学校の外国語活動研修会」, (12)出前講座「上越市立南川小学校小学校英語の教員研修会」, (13)6月〜2月:出前講座「糸魚川市立今井小学校授業の指導助言と教員研修会」, (14)日進市立相野山小学校小学校外国語活動の教員研修会講師, (15)4月〜3月:糸魚川市立上早川小学校英語活動授業実践講師, (16)7月〜10月:糸魚川市立西海小学校の教員研修会講師, (17)6月〜2月:上越市立宝田小学校授業実践と教員研修会講師, (18)9月:糸魚川市立東小学校授業観察と助言, (19)6月〜3月:文部科学省指定「糸魚川市立大野小学校研究指定校の指導助言」, (20)11月〜2月:文部科学省指定「柏崎市立二田小学校外国語活動の評価の在り方に関する実践研究事業」講師, (21)糸魚川東中学校支援訪問における英語活動の公開授業の協議会講師, (22)糸魚川市教育研究会英語・外国語部会における指導・助言, (23)糸魚川中学校区英語部会における公開授業とカリキュラム検討会講師, (24)愛知県立大学「小学校外国語活動連続セミナー」外国語活動の授業づくりの講演会講師, (25)公開講座「小学校英語の進め方入門」
◎社会への寄与等
 新潟県の市町村で,具体的に学級担任とのティームティーチングで授業実演をしながら,その授業の背景となる理論を講義した。またワークショップ形式で課題を体験する活動を実施した。現場教員や校長先生,指導主事,教育委員会等から,教育現場に近い形で講義等が実施されているので,わかりやすいと評価が高い。実際に授業の実演は,具体的で,教員には実際にやってみようとする気持ちにさせている。「だれでもできる」「楽しい」「役立つ」というキーワードが示されている講義では,実践に基づく理論であり,その理論を各の小学校で汎化できると言われている。口コミで,理論と実践が賛同していただける小学校単位で広がりつつある。
 

  
大 場 浩 正(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の「コミュニケーション英語」(1・2年生)においては,リスニング,リーディング,ライティング,スピーキングの4技能と語彙に焦点をあてた授業を展開した。第1回目の授業において,受講学生の英語学習に関する意識等をアンケートにより調査すると同時に,授業全体の目的・目標,学習内容(計画),成績評価方法を詳細に説明した。また,毎回の授業では個人の活動をもとにペアやグループの活動へと発展させ,協同学習により動機付けを促し,学生に全ての活動への自己評価(振り返り)を行わせることにより活動成果を確認させた。学習の成果のみならずその過程を評価することを通して受講学生の学習意欲を高めるようにした。「中等英語科指導法(授業論)」でも同様に,個人の活動やグループの活動を中心に展開した。授業全体を3期に分け,1期では英語の授業展開や指導案の作成の方法を解説し,2期では1期の内容を踏まえ,受講学生達が実際に1時間の授業を組み立て,模擬授業を行った。模擬授業後のディスカッションによって授業を観察する目が養えたのではないかと思う。3期には中学校現場の教員による講義を組み込み,学生の教職への動機付けを行った。教育実習や現場に出てから役に立つ英語の授業の基礎技術を獲得させることに焦点をあてた。大学院の「英語科教育学習方法演習」と「英語科教育コミュニケーション特論」では,目的・目標,学習内容,成績評価方法を明確にし,より高度な,そして,専門的な知識を獲得できるように,学生によるプレゼンテーションとグループによるディスカッションを通して指導を行った(特に前者の授業)。また,英語指導の際に,直接的・間接的に役に立つ背景知識の獲得と自己の英語教育に対する考え方を形成させることに焦点をあてた(特に後者の授業)。
【観点2】教育の達成状況
 学部の「コミュニケーション英語」(1・2年生)においては,大学入学以前に英語に対する得意・不得意がはっきりしており,それに応じて,英語への学習意欲が,ある程度,決定しているように思われる。しかしながら,大学の英語の授業では,受験を意識することもなく,オーセンティックな英語の自作教材(歌や映画等)を用いることによって,学生の英語に対する意識が変わってきたようである。活動毎の自己評価(振り返り)では,「難しいが,楽しく出来た」「仲間と協力し合って解答にたどり着くことができて嬉しかった」というような,英語学習を肯定的にとらえているコメントが多かった。「中等英語科指導法(授業論)」でも,教育実習に向けて英語の授業をどのように組み立てていくか,どのように中学生と接していくかなど,学生たちは具体的な手法や心構えを学んだ。大学院の授業では,学生は授業の展開や教材の開発などの基になる理論的背景を学んだ。特に,一つ一つの活動にどのような意味があり,何を目指した活動であり,どのような考え方に基づいているのかを考え,学ばせた。従って,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実証研究の成果を正確に理解させることに勤めた。このように,指導の目的は十分に達成されたと思われる。
研究指導
【観点1】学部
 3年次学生においては,英語教育や第二言語習得に関する国内外の専門誌に掲載された論文や専門書の講読を通した専門的知識の獲得(文献研究)を目指した指導を行った。後半においては大学院生のゼミにも参加させ,より高度な知識と思考する能力の獲得を目指した。4年次学生には,3年次に身につけた知識に基づく実証的な研究(調査や実験)を通して英語教育に関する洞察力や臨床的な実践力を深めさせ,卒業論文を完成させるための指導を行った。
【観点2】大学院
 1年次学生においては,英語教育や第二言語習得に関するより高度な専門的な知識,および臨床的な実践力を獲得させるために,国内外の専門誌に掲載された(英語による)論文および専門書の内容を報告させ(文献研究),それに基づいて議論等を行い,設定した研究課題への取り組みを通して修士論文の方向をより確実なものにするための指導を行なった。2年次学生においては,調査・実験の方法,データの分析方法,結果のまとめ方と考察の方法を指導することにより,修士論文の完成を目指した指導を行った。
 博士課程の学生には,博士論文の理論的背景と実験方法に関して,より深いディスカッションを通して指導を行った。
その他の教育活動
 教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。また,実習期間中にも指導案や教材に関する指導を行った。研究授業の参観の後には,指導教諭とともに授業の振り返りなどを行った。
 上越教育大学附属中学校の研究における指導・助言に関しても年間を通して継続的に行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 学部では,英語を専攻していない学生の指導において,将来,(主に)小学校の教員として子供たちに英語を教える機会もあることを踏まえ,英語に対して肯定的な態度が育つように心がけた。また,英語教育に関する専門の授業では,最低限,教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。卒業論文の指導においては,理論的な側面にのみならず,理論に基づく提案等を通して実践力の獲得に焦点をあてた。大学院においては,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実証研究の成果を正確に理解させることに勤めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年8月:「L2 acquisition of unaccusative verbs by Japanese and Korean learners of English」(共著) 『Proceedings of the 14th Pan-Pacific Association of Applied Linguistics』 pp.9-14
(2)平成21年8月:「The acquisition of restrictive relative clauses by Japanese and Korean learners of English」(共著) 『Proceedings of the 14th Pan-Pacific Association of Applied Linguistics』 pp.467-470
業】(1)平成22年3月:「ペアワークやグループワークを効果的にする協同学習」(単著) 『STEP英語情報』2010年3・4月号, pp.44-45
発】(1)平成21年6月:「日本人英語学習者の後置修飾構文の理解における難易度とその指導」(単) 第39回中部地区英語教育学会静岡大会
(2)平成21年7月:「L2 acquisition of unaccusative verbs by Japanese and Korean learners of English」(共) The 14th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics(PAAL)
(3)平成21年8月:「The acquisition of restrictive relative clauses by Japanese and Korean learners of English」(共) The 14th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics(PAAL)
(4)平成21年10月:「大学生の英語スピーキング能力の伸長を目指した協同学習の活用」(単) 日本協同教育学会第6回大会
(5)平成22年3月:「The possibility of the application of neural test theory to SLA research」(共) The American Association of Applied Linguistics (AAAL) 2010 Annual Conference
学会活動への参加状況
(1)6月27日〜28日:第39回中部地区英語教育学会静岡大会, (2)7月31日〜8月2日:The 14th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics(PAAL), (3)10月17日〜18日:日本協同教育学会第6回大会, (4)3月7日〜9日:The American Association of Applied Linguistics (AAAL) 2010 Annual Conference 
◎特色・強調点等
 日本人英語学習者の英語能力を伸ばすために協同学習の手法を取り入れた指導方法の開発およびその実証的な研究を行っている。日本において本格的に英語の指導に協同学習の手法を取り入れた例は少なく,先駆的な研究として成果を出している(学会においてその成果の一部を発表した)。また,共同研究の第二言語の文法能力の発達における新しいテスト方法やデータ分析方法の開発(科学研究費補助金による)に関しても,その研究成果を国際学会で発表し,論文の形でまとめた。これまでにない分析方法による包括的な研究という点で大変優れたものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜12月:上越市英語教員授業力向上研修会推進部副部長及びアドバイザー(講師), (2) 11月:上越市学校教育研究会外国語部講師, (3)4月〜3月:上越教育大学附属中学校研究協議会(英語)指導・助言
◎社会への寄与等
 平成20年度より上越市教育委員会は中学校英語教員全員に英語教員授業力向上研修を義務づけ,アクションリサーチを展開することになった。平成21年度も引き続き,推進部副部長及びアドバイザー(講師)として参加し,参加英語教員の相談等を受けたり,講演をしたり,授業参観や指導を行った。また,上越市学校教育研究会外国語部(中学校)では講師となり,「英語コミュニケーション能力を伸ばすための協同学習」と題して理論や実践に関する講演を行った。上越教育大学附属中学校の研究においては指導・助言者として年間を通して,指導案や実践の指導を行った。また,中部地区英語教育学会と北海道英語教育学会では学会紀要編集委員(論文査読を含む)を務めた。これらの活動により,特に,上越市内の全英語教員の資質向上に大きな貢献をすることができたと思われる。又,学会の紀要編集や論文の査読を通して,日本の英語教育界の発展に寄与できたと思われる。
 

  
野 地 美 幸(准教授)
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
(1)平成21年度:上越英語教育学会事務局
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)免許状更新講習
 

  
ブラウン・アイヴァン・バーナード(特任講師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部新入生の大部分は,中・高等学校で学習した英語の知識を実際のコミュニケーションに使う機会が不足しており,自発的な会話ができない。
 まず基本フレーズを復習,活用方法を練習し,学生が自分の経験や意見をペア及びグループ内で発表した。そして学生は,成績評価の対象となる発表に向け,好きな話題を選びプレゼンテーションの準備をした。
 将来,中学校で英語を教えたいと考えている学部2年生以上の学生の中で,まだ自分の英会話力に自信のない学生向けに,英語コミュニケーション(会話)の選択科目で,集中的な会話活動を行った。まず,学生が毎回同じ友達グループで同じ様な会話にならないよう,学生同士の会話グループ・メンバーを3週間ごとに変えたり,更に,会話を録音し,分析し,感想文や上達目標についてレポートを書かせたりした。
 大学院の現代英語特論では,院生は英語で学校教育,社会言語学及び世界英語の多様性といった話題について私が書いた英語の文章を読み,ペアー及びグループ・ディスカションを通してその話題に関する知識を増やした。後半では,ディベート・プロジェクトを行った。学理的な英語を練習する機会が多く,非常に活発で刺激的な授業になった。
 現代英語演習では,大学院生がアカデミック・ライティング力の上達を目標とし,授業活動,自習や小論を積極的に,一所懸命に取り組んだため,非常に活発で刺激的な授業になった。プロセス・ライティング・アプローチを通し,院生は内容深く正式な小論を書くことが出来た。最後に学生の達成感のために,院生が書いた英語小論文を集め,雑誌を作って学級で配った。
【観点2】教育の達成状況
学部生:多数の学生が英語コミュニケーション力に深く役に立つ英会話活動及び英語プレゼンテーション活動の経験をし,英語コミュニケーションというプロセスの意味をより深く理解し,どうやって実際の英語コミュニケーションの力を強化するかを効果的に考えるようになった。
大学院生:英語ライティング,プレゼンテーション及びディスカションの過程で学生の英作文の質が全体的に上達し,質の高い論理的な英語で,興味深い見解を伝えられるようになった。
研究指導
【観点1】学部
 4年生の卒業論文に関する研究資料(英語版のアンケートなど)と卒業論文の英語要約文を指導した。
【観点2】大学院
 研究資料及び教育実習資料,卒業論文の英語の内容を確認し,適切な英文表現を細かく指導した。
その他の教育活動
 海外教育(特別)研究(米国・アイオワ州)での教育交流会・教育実習の参加学生を対象に,クラスルーム・イングリッシュ及びホームステイ・イングリッシュの授業を行った。学生の教育実習のための授業内容を指導し,学生が準備した授業内容の英語を校正し,学生の発音参考のためにモデルスピーチを録音し与えた。その教育実習の授業のリハーサルに参加し,英語での説明及び資料にフィードバックをした。その教育実習は非常に効果的であった。
特色ある点及び今後の検討課題等
 日本の学生は人前で自分の意見を発表したり他の人の意見に対して自分の意見を述べるという経験が乏しいため,これから教員になろうという学生の将来を踏まえ,なるべく発表の機会を与えた。今後は,学部生もより積極的に英会話できるよう,クラスルーム・イングリッシュ及び会話ストラテジーをさらに細かく指導する予定である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成21年9月:『World Englishes, Student Projects and Attitudes』(単著) JALT2008 Conference Proceedings,715-726頁
発】(1)平成21年5月:『The Influence of Cultural Content on Affective Variables: Explorations with University EFL Classes in Japan』(単) 北東アジア言語教育学会(NEAR) 2009
◎特色・強調点等
論文:(1) ある調査では,世界諸英語への接触が,大学の英語コミュニケーションコースで学生によるコミュニケーション研究プロジェクトとうまく合致したと報告する。コースの始めと終わりに態度調査を行った。調査結果は,学生の信条と特定種類の英語に関する個人的な好みと本物の英語コミュニケーション能力がつくことの方向付けを含むものだった。
発表:(1) 大学1年生のコミュニケーション科目の授業での文化に関する内容と学生の学習動機や語学に関する感情についての調査。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜7月:附属小学校の外国語活動におけるティーム・ティーチングの開発プロジェクト:共同研究者,(2)附属中学校研究会:助言者
◎社会への寄与等
 附属小学校研究会の外国語活動に向け,同研究会の前に4回程,6年生の学級担任と一緒に,モデルALTとして授業を行った。その過程の中で,定期的に学級担任と連携し,授業の内容の工夫に関して相談し,授業内容を事前に校正,各授業の後に感想の話し合いを行った。
 附属研究会でも,内容を校正,モデルALTをやり,協議会で学級担任とともに教師・協力者として参加し,感想を発表した。研究会後,再度,学級担任と一緒にモデルALTとして授業を行った。
 以上の活動とともに,同研究会で行った1年生の外国語活動の事前準備に協力した。
 それについて,2回程学級担任と連携し,授業内容の工夫を相談し,授業内容を事前に校正,モデルALTとして授業を行い,感想の話し合いを行った。
 附属中学校研究会において,英語授業を見学し,協議会に参加,感想を発表した。
 以上の活動を行った結果,各関係教員の英語能力,授業の工夫能力,及びティーム・ティーチングに関する教育能力の発達に寄与したと考えられる。