第一章 組織の運営状況に関する自己点検・評価
 
1 年度のハイライト
 
<東日本大震災等への対応>
3月11日14:46三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震が発生し,上越市においては震度4を観測したが,大学施設への被害はなかった。同日,危機管理室会議において,学生への安否メールによる安否確認及び翌12日の一般入試(後期日程)を予定どおり実施することを決定した。
3月12日3:59長野県北部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生し,上越市内において震度5強を観測した。災害対策本部を設置するとともに,上越市からの要請より本学及び附属小学校,附属中学校の体育館に避難所を開設し,本学体育館に避難者2名を受入れた。施設及び学生・教職員に被害はなく,一般入試(後期日程)を予定どおり終了した。なお,地震による特別措置として一般入試(後期日程)の追試験を3月17日に実施した。
また,災害支援室を設置し,NPO法人上越地域学校教育支援センターからの要請により同法人と連携して,被災地から上越市及び糸魚川市に避難した児童生徒の不足している学習時間を補うため,3月27日〜4月5日までの10日間,本学を会場に延べ179人の児童生徒を受入れ,本学の学部生・大学院生のボランティア延べ125人が学習支援等を行った。
 
<ディプロマ・ポリシーの策定>
中央教育審議会の答申に基づき大学の学位授与の方針を示した「ディプロマ・ポリシー」を策定し,学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行(教育研究活動等の状況についての情報の公表)に基づき大学ホームページに公表した。
 
<上越教育大学スタンダードに準拠したカリキュラム改善への取組>
「上越教育大学スタンダードと学部授業科目との関連づけ」調査及び「上越教育大学スタンダードに準拠させて設定した教科のルーブリック及び知識・理解・技能等」の作成等上越教育大学スタンダードに準拠したカリキュラム改善への取組を全学体制で実施した。
 
<教育課程及び教育方法の改善>
大学設置基準の一部改正に伴う学生の社会的・職業的自立に向けた指導等の取組に対応した「学校ボランティアA(学校支援体験)(必修)」及び「学校ボランティアB(学校支援体験)(選択)」の新設,科学リテラシー涵養の観点から新設した「生活の中の科学」の必修化及び「実践セミナー」及び「実践場面分析演習」の改正等教育課程の見直しを行った。
 
<CAP制の導入>
学部学生が,各年度において履修できる単位数を制限することにより,授業科目の学修時間を確保し,単位の実質化を図ることを目的として平成23年度学部学生からCAP制を実施することとした。
 
<大学院の定員充足>
大学院の定員充足は本学の重要課題であるが,学長のリーダーシップの基,積極的に全学的な広報活動を展開することにより平成22年度入学生は302人となり,昨年に引き続き大学院全体としての入学定員を充足するとともに,修士課程,専門職学位課程(教職大学院)の各課程においても入学定員を充足した。
 
<教職大学院認証評価の受審>
学校教育法で定められた,専門職大学院の教育課程,教員組織その他教育研究活動の状況の評価である認証評価について,教員養成評価機構の実施する認証評価を受審した。
この評価に当たっては,教育実践高度化専攻の協力の基,7月初旬に同機構へ自己評価書を提出した。その後,同機構による書面調査及び2日間にわたる訪問調査を経て,平成23年3月に同機構が定める教職大学院評価基準に適合している旨の評価を受けた。
 
<天野教授による日本最古のシンカイヒバリガイ類化石(新種)発見>
自然・生活教育学系の天野和孝教授が,日本最古のシンカイヒバリガイ類化石(新種)を発見した。発見した化石は,約3000万年前(前期漸新世)のものであり,シンカイヒバリガイ類のものとしては日本で最古,世界で2番目に古い化石記録であり,加えて新種であることが判明している。
 
<平成22年度科学研究費補助金新規採択率で全国7位>
文部科学省研究振興局の公式ホームページにて,平成22年度科学研究費補助金採択状況の集計データが公表され,本学が新規採択率で全国第7位となった。
 
<理数系教員(コア・サイエンス・ティーチャー)養成拠点構築事業に採択>
独立行政法人科学技術振興機構(JST)の「平成22年度理数系教員(コア・サイエンス・ティーチャー)養成拠点構築事業」に提案した「科学リテラシーと観察・実験指導能力に優れたCST養成プロジェクト」が平成22年7月15日に採択され,本学と新潟県及び新潟市の教育委員会等と共同しCSTの養成を行うこととなった。
本プロジェクトでは,CST養成の場として本学の施設だけでなく,新潟県が持つ全国的にもユニークな施設で,理科教育支援拠点としての実績を持つ「地区理科教育センター」等を整備・活用する。県内全域を分担する12地区理科教育センター等へCSTを配置し,そこでの実践的な実習(CST支援実習)を必須とする養成プログラムを実施することにより,科学リテラシーと観察・実験指導能力に優れたCSTの養成を図るものである。
 
<大学生の就業力育成支援事業に採択>
文部科学省が募集した「大学生の就業力育成支援事業」に応募し,全国の教員養成系大学の中で,唯一本学が採択された。
 
<国立大学法人上越教育大学と新潟県立看護大学との包括的な連携・協力に関する協定の締結>
7月2日(金),新潟県立看護大学と包括的な連携・協力に関する協定を締結した。この協定は,両大学の教育研究等の充実を図り,もって地域社会に貢献することを目的としている。
10月29日(金)には,本学と新潟県立看護大学との連携推進協議会を開催し,地域貢献,学術情報・施設・設備の相互利用,単位互換,学生・教職員交流等について様々な協議が行われた。
 
<上越市校長会,上越市教育委員会,国立大学法人上越教育大学及び特定非営利活動法人上越地域学校教育支援センターとの上越市学校教育支援協議会の設置
9月27日(月),本学と上越市校長会,上越市教育委員会及び特定非営利活動法人上越地域学校教育支援センターの4者において,上越市学校教育支援協議会設置に関する覚書を取り交わした。
この覚書は,4者が連携協力し,上越市の小学校及び中学校を支援することにより,学校の教育活動等の発展に寄与することを目的としている。
11月26日(金)には「上越市学校教育支援協議会」を開催し,学校及び学校組織間における情報の共有化を推進すると共に,学校の課題解決及び教育活動への支援を推進していくことを目指した様々な協議が行われた。
 
<国立大学法人上越教育大学と社団法人上越国際交流協会との連携連絡会の設置に関する覚書の締結>
7月16日(金)に本学と社団法人上越国際交流協会との間で連携連絡会設置に関する覚書を取り交わした。国際的視野で教育研究活動等を推進する本学と上越市民が主体となって産業・文化・スポーツ・教育・学術等幅広い分野で国際交流等を積極的に推進する同協会との一層の連携・協力を推進するため,連携連絡会を設置することを目的とするものである。
10月7日(木)には連携連絡会を開催し,一層の連携・協力を推進するため,様々な協議を行った。
 
<キャンパス情報システムの更新>
本学では,近年のコンピュータ機器やネットワーク技術の進展を取り入れた教育の情報化への更なる対応及びセキュリティの強化を図るためキャンパス情報システムを更新,平成23年3月から新システムでの運用を開始した。
 
<施設有効活用に係るチャージスペース制度スタート>
施設有効活用の取り組みの一環として,教員等からの貸付希望を受け,課金した上で一定期間貸付を行う「チャージスペース制度」がスタートし,初の貸付として6室の貸付を行った。
 
<附属3校園が文部科学省研究開発学校に指定>
附属幼稚園と附属中学校が平成22年度から3年間の文部科学省研究開発学校に指定されたことにより,平成21年度に指定を受けた附属小学校と合わせ,本年度は全附属学校が文部科学省研究開発学校となった。
研究開発課題
附属幼稚園: 幼稚園教育と小学校教育の接続期におけるリテラシーの基盤形成に向けた学習者の学び合い,支え合う協同体の育成を目指すプログラムと指導方法等の研究開発
附属小学校: 総合的な教育活動(総合単元活動,総合教科活動,心の活動)を中核とした教育活動の充実及び「人間社会を生きる子ども」の育成を図る教育課程の研究開発
附属中学校: 「自立して学ぶ生徒」を育てる教育課程の研究開発