4 教育・研究活動
 
(4)学校教育学部
C フレンドシップ事業
ア フレンドシップ事業実行委員会設置の趣旨(目的)及び組織
1) 設置の趣旨(目的)及び組織
委員会は,教員養成学部における教職を志す学生の教員としての実践的指導力育成に資するため,学生が種々の体験活動を通じて,子ども達とふれあい,子どもの気持ちや行動を理解できる機会を設けることを目的に教務委員会の専門部会として設置されている。なお,平成23年度からはフレンドシップ事業実行委員会の業務を,体験学習,学校ボランティア及び学びのひろばの各専門部会に分割することとなった。
2) 組織の構成及び構成員等
平成22年度は,体験学習担当教員,学びクラブ顧問教員及び附属小学校副校長の計18人で構成した。なお,委員長は教務委員会委員長が指名した。
また,ボランティア体験活動を円滑に実施を図るため,以下の連絡会を設置している。
・ フレンドシップ事業企画運営協議会
学外委員として新潟県教育庁上越教育事務所社会教育課副参事,国立妙高青少年自然の家次長,同主任企画指導専門職,上越市教育委員会生涯学習推進課長,わくわくランドあらい運営委員会事務局長,国立乗鞍青少年交流の家事業推進室長,同企画指導専門職及び国立信州高遠青少年自然の家次長の8人並びに学内委員としてフレンドシップ事業実行委員会委員10人の計18人で構成されている。
イ 運営・活動の状況
1) 委員会等の開催状況




 
平成22年 4月7日(水) フレンドシップ事業ガイダンス
4月28日(水) 第1回フレンドシップ事業企画運営協議会
平成23年 1月18日(火) 第1回フレンドシップ事業実行委員会
2月16日(水) 第2回フレンドシップ事業実行委員会
2月22日(火) 第2回フレンドシップ事業企画運営協議会
2) 審議された主な事項
委員会,企画運営協議会における主な審議事項は,以下のとおりである。
・ 体験学習の実施
・ 次年度の体験学習実施計画の策定
・ ボランテイア体験の実施
・ 次年度のボランティア体験履修計画の策定
・ 学びのひろばの実施
・ 次年度の学びのひろば実施計画の策定
3) 重点的に取り組んだ課題や改善事項及び前年度の検討課題への取組状況等
a) 体験学習
・ 体験学習は,勤労・生産・自然・物づくり体験の乏しい1年生に対して,教職を目指す上で意義のある基礎的体験を必修として位置付けている。今年度より,小学校教員にとって基礎的技能の一つである栽培活動の指導力の習得を目的とした共通体験(ミニトマト栽培)を新たに設け,ミニトマトを一人一株,責任を持って栽培をすることとした。
・ また,従来どおり教育活動創造のベースとなる選択体験9コースを設定し,経験の不足を補完するとともに,個性の伸長,得意分野の育成という意味から履修させている。教員29名が共同で展開し,履修記録簿からは「体で学ぶことの大切さと自らの経験の乏しさ,教職を目指すために大学生活の中で求めて学ぶ必要性」等が記述され,アンケート調査でも約80%の学生から充実した授業として高い評価を得ている。学習を通して,学習素材研究,教材化の手法も学んできている。(平成22年度履修者174名,うち単位取得者173名)
b) ボランティア体験
・ ボランティア体験は,企画運営協議会に参加している関係機関との連携の上に,年間不定期で社会・学校教育活動に学生がボランティアとして参加しているものである。子ども達の指導補助に当たりながら,触れ合いと子ども理解を深めると共に,地域に根ざした大学の礎として定着してきた。何よりも素顔の子ども達と触れ合うことで,その後の教育実習に積極性が出てきた,子ども達との接し方が変容してきたなど,多くの成果が報告されている。
・ また,子ども達向けの多様な活動を習得できること,時間を守る,子どもに親しみながらも注意すべき所はきちんと注意する,あいさつや言葉かけは大きい声でなど,社会性も培われ,学社連携の成果は極めて大きいものがある。(平成22年度履修者171人,単位修得者130人,参加者延べ人数1,373人)
・ 今年度は,「上越教育大学(上越・妙高地域連携)スタンダード」の到達目標に「地域社会の一員として,地域や学校の各種行事やボランティア等に参加し,その責務を果たすことができる」という事項が明記されたため,3年次終了までに履修しておくことが望ましいと広く呼びかけた結果,履修者・参加者共に昨年度に引き続き大幅に増加した。

 
平成21年度履修者 106人 ,単位修得者 59人 ,参加者延べ人数 1,062人  
  平成20年度履修者 14人 ,単位修得者 11人 ,参加者延べ人数 802人
c) 学びのひろば
・ 学びのひろばは,上記2つの経験を土台に,学生達自身が企画・準備・運営する触れ合い活動である。平成14年度より年2回のイベント型活動から,年間を通した活動を視野に入れた継続型の活動に展開した。
・ 今年度は,大学でのクラブ活動を6回及び国立妙高青少年自然の家での2泊3日の活動(8/24〜26)を計画・実施した。
・ 近年,地元児童の申し込みは定員を大幅に上回り,地域の期待は年々高まっている。学生達の企画力と実践力は,教員の指導の下,事業計画,細部計画,案内状の作成,名簿づくり,参加への通知など諸活動をとおして,目を見張るほどに培われてきている。
・ 「シンポジウム」は3回開催し,学生が各分科会に分かれて討論を行った。今年度はそれぞれ,次の内容となった。
(第1回) 8月活動や妙高活動に向けて,子どもとの関わりの中で困ったことを発表し合い,解決策について話し合った。
(第2回) 5つのテーマ(子どものやる気の出し方等)の中から希望をとり,そのテーマについて話し合った。
(第3回) 学びのひろばの活動を通して何を得たのか,今後どのように生かしていくかについて,今年度の活動を振り返りながら発表した。
活動後の振り返りを重視しているため,学生達は,子どもとの年間を通してのふれあいの中で,確かな子どもの変容,成長を確認し,その感動を具体的な事例に基づき意見交流が行われた。
・ 開催日程















 
      参加児童数
平成22年 6月12日(土) 第1回学びのひろば 258人
7月10日(土) 第2回学びのひろば 172人
7月14日(水) 第1回シンポジウム  
8月6日(金) 第3回学びのひろば 93人

 

 
 ※オープンキャンパスと同時開催(キッズクラブのみ参加)
 

 
8月24日(火) 第4回学びのひろば 164人

 
〜26日(木)
 
 ※妙高活動(キッズクラブ除く6クラブ参加)
 

 
10月9日(土) 第5回学びのひろば 240人
11月17日(水) 第2回シンポジウム  
12月4日(土) 第6回学びのひろば 241人
12月11日(土) 第7回学びのひろば 189人
12月15日(水) 第3回シンポジウム  
    延べ参加児童数 1,404人
ウ 優れた点及び今後の検討課題等
1) 教員養成課程に子ども達と触れ合える場と機会が位置付けられることは,素晴らしいことであり,教職への確かな決意が生まれると共に,自己の課題が浮き彫りになる。今年度も,年間を通して,同じ子ども達との触れ合いが展開でき,より深い子ども理解につながった。子ども達と関わった学生達がそれを単なる経験に終わらせずに,経験と学問の統合を何処まで図っていけるかに今後の課題がある。
2) ボランティア体験は,「上越教育大学(上越・妙高地区連携)スタンダード」が昨年度より活用され,到達目標の一つとして,ボランティアに参加して地域社会の一員として責務を果たすことを広く呼びかけた結果,履修者が昨年度に引き続き大幅に増加した。一方,履修者の増加に伴って,受入機関から一部の学生のマナーの悪さが指摘されたことから,今年度はボランティア認定講習会の時間数を増加し内容を充実させ,ボランティアに対する学生の指導を徹底させた。
3) 履修者数の増加に伴い,当初の受入機関の事業のみでは不足することとなり,今年度は新たなボランティア先を追加で設定した。次年度は新規の受入機関との提携を検討しており,提携にあたっては次の5つの条件を考慮する。
・ 行政が行っている事業である。
・ NPO法人が行っている事業であり,かつボランティアの内容が,「子ども」や「福祉施設」にかかわる事業である。
・ 大学に関連する事業である。
・ 上越地区の事業である。
・ 学生支援課が把握しているボランティアとして今までの実績がある。
4) 「平成22年度大学生の就業力育成支援事業」に本学の取組「人的交流を基軸とする活力ある教員養成」が採択され,同取組の一環として,これまで学内から要望のあったフレンドシップ事業の見直し及び教育課程の一部変更(平成23年度入学生から対象)を以下のとおり実施した。
・ フレンドシップ事業の組織を体験学習,学校ボランティア,学びのひろばの部会に変更
・ ボランティア体験の授業をP1(学部1〜3年)からL0.5,P0.5(学部1年)の授業に改正し,ボランティア認定講習の単位実質化を推進
・ 学校ボランティアA(学校支援体験)と学校ボランティアB(学校支援体験)(それぞれL0.5,P0.5)の授業を新設
・ 学校ボランティア支援室を設置し,ボランティアコーディネーターを配置。学外組織と学内組織との連携を強化
5) 体験学習は,昨年同様まとまった時間が必要で,週のコマ内で展開することは容易でなく,土曜・日曜・夏休み等の集中で展開せざるを得ないのが現状であり,開講するコース数の確保も課題となる。
6) 学びのひろばは,例年,年間を通じて子ども達と関わるクラブ活動を行っている。今後は活動内容の更なる充実と改善及び保護者とのより深い関わりを持つ活動に取り組むと共に,平成21年度問題になったインフルエンザを始めとする危機管理について,対応する力を向上させていくことが課題である。