【学校臨床研究コース】
 

朝 倉 啓 爾(教 授)
 

石 野 正 彦(教 授)
 
<教育活動>
その他の教育活動
学びの広場 副顧問
 
<研究活動>
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)確かな学力の育成にかかる実践的調査の研究代表 (NTT東日本,NTTコミュニケーションズ,長野市教育委員会)
(2)ESD教材開発研究 代表者:釜田聡(上越教育大学) 学校教育実践研究センター
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:上越情報教育研究会会長, (2)平成22年度:全日本教育工学研究会全国大会上越大会事務局長, (3)平成22年度:日本教育工学協会理事, (4)8月21日:新潟県生活総合学習研究大会 出席, (5)9月17日:第76回国立大学教育実践研究関連センター協議会出席, (6)9月18日:日本教育工学会, (7)9月24日:全日本教育工学協会 ICT教育国際交流会議, (8)9月25日〜26日:日本教師教育学会出席, (9)10月15日〜16日:日本教育大学協会全国教育実習研究部門会議, (10)2月18日:国立大学センター協議会出席
在外研究の状況
(1)12月16日〜18日:韓国,ICT教育ならびにデジタルサイネージの調査研究
(2)3月23日〜30日:アメリカ,米日財団ESD調査研究
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)宝田小学校学校評議員, (2)名立中学校学校評議員, (3)8月〜9月:上越視聴覚協議会パソコン講習会中級講師, (4)名立区学校関係者評価委員会委員, (5)名立の子どもを守り育む会委員, (6)糸魚川市子ども読書推進計画作成指導者, (7)6月:上越市立下黒川小学校講演会講師, (8)6月:上越市立吉川中学校講演会講師, (9)6月:糸魚川市市立根知小学校講演会講師, (10)6月:柏崎市立内郷小学校講演会講師, (11)6月:新潟市東区教頭会講演会講師, (12)6月:上越市立直江津小学校講演会講師, (13)7月:五泉市立巣本小学校講演会講師, (14)7月:上越市立春日新田小学校講演会講師, (15)7月〜9月:清里小・中学校コンサルテーション, (16)7月:上越市立大潟町小学校講演会講師, (17)7月:上越市立国府小学校講演会講師, (18)8月:公孫会三南支部研修会講師, (19)8月:つくば市教育委員会教頭研修会講師, (20)8月:春日小学校研修会講師, (21)9月:吉川小学校講演会講師, (22)9月:三和中学校講演会講師, (23)10月:上越市議会研修会講師, (24)10月:新潟県立教育センター研修講座講師, (25)11月:柏崎高校進学講座講師, (26)11月:柏崎市立大洲小学校講演会講師, (27)11月:長岡市立下川西小学校講演会講師, (28)11月:上越市PTA連合会講演会講師, (29)11月:三郷小学校講演会講師, (30)11月:中里中学校講演会講師, (31)12月:五泉特別支援学校講演会講師, (32)12月:高田西小学校講演会講師, (33)NPO法人「はつらつ元気塾」理事, (34)上越市学校評価システム研究推進部会委員, (35)学校評価支援システム「ハートアイ」オフィス代表
 
◎社会への寄与等
 学校教育実践研究センター教員自主セミナーの運営:年間84講座約2000名の参加があった。
 

梅 野 正 信(教 授)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年6月:「日韓で考える歴史教育」(共著) 明石書店
論】(1)平成22年6月:「教育管理職のための常識講座40事件・事故発覚後における学校側による対応の在り方を検討するための教員研修資料」(単著) 『季刊教育法』第165号エイデル研究所pp.54-59
(2)平成22年9月:「教育管理職のための法常識講座41加害者を特定できない事件に対する学校・教師の対応を検討するための教員研修資料」(単著) 『季刊教育法』第166号エイデル研究所pp.62-67
(3)平成22年12月:「教育管理職のための法常識講座42二年近くいじめ行為を受けた生徒が,卒業後に加害生徒らと学校設置自治体に対して提訴した事例の教員研修資料」(単著) 『季刊教育法』第167号エイデル研究所pp.62-67
(4)平成23年3月:「教育管理職のための法常識講座43児童虐待に直面した学校・教師の対応を検討するための教員研修資料」(単著) 『季刊教育法』第168号エイデル研究所pp.56-61
(5)平成23年2月:「判決にみる『いじめ』行為の態様」(単著) 『教職課程』第37巻2号 協同出版 pp.20−23
(6)平成22年4月:「裁判の中の"性と生"【16】大学におけるセクシュアルハラスメント」(単著) 『季刊セクシュアリティ』第46号pp.148−153
(7)平成22年7月:「裁判の中の"性と生"【17】PTA役員が酒席で受けた性的被害」(単著) 『季刊セクシュアリティ』第47号pp.148−153
(8)平成22年10月:「裁判の中の"性と生"人権侵害から眼をそらさない人間関係の構築」(単著) 『季刊セクシュアリティ』第48号pp.164−169
発】(1)平成22年7月:「判決書を活用した日韓授業開発研究−いじめ事件判決の教材・授業研究−」(単) 日本国際理解教育学会大20回研究大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)判決書を活用した人権教育としての市民性育成教育に関する日韓の授業研究 代表者:梅野正信(上越教育大学) 科学研究費 基盤研究(C)一般
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)平成22年8月「日本の博物館における同時代史展示の課題と可能性」国際シンポジウム(韓国国立博物館・東北亜歴史財団)における招聘報告 代表者:梅野正信(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)7月3日〜4日:日本国際理解教育学会出席, (2)7月3日〜8月1日:日本学校教育学会出席, (3)8月21日〜22日:日本教育学会出席, (4)10月30日〜31日:全国社会科教育学会出席, (5)11月6日〜7日:日本教育実践学会出席, (6)11月13日〜14日:日本社会科教育学会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜3月:人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(文科省), (2)4月〜3月:上越市子どもの権利委員会, (3)4月〜3月:糸魚川市情報公開委員会, (4)4月〜3月:妙高市情報公開・個人情報保護審査委員会, (5)4月〜3月:上越市立東本町小学校学校評議員, (6)5月:(独)教員研修センター第一回中堅教員研修「人権教育」, (7)4月:新潟県・県立学校教員研修, (8)5月:和歌山県・県立学校教員研修, (9)7月:埼玉県・学校におけるファシリテーター養成講座, (10) 8月:石川県人権教育推進会議における講演, (11)8月:石川県人権教育推進会議における講演, (12)8月:校内研修(新潟市立山の下中学校), (13)9月:石川県人権教育推進会議における講演, (14)12月:(独)教員研修センター・中堅教員研修, (15)12月:つくば市学校警察連絡協議会での講演
 

釜 田  聡(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 「教育実地研究U」では,教育実習ルーブリックの各事項に即して,学生一人一人が具体的な目標を設定できるように努めた。具体的な授業場面においては,基本的な指導案の作成から資料活用の方法などを小集団で行ったり,学生同士の相互評価を行ったりした。また,本年度から模擬授業コンテストを実施し,実践的指導力を培い,学生相互が切磋琢磨する場を設定した。「韓国事情」では,毎時間,学生に対してミニレポートを課し,次時にはそのミニレポートに記載された内容を分類整理した上で,授業を構成して実施した。「教職実践演習」では,上越教育大学スタンダードに基づいた授業構成の在り方と評価方法の開発に努めた。「総合・生活指導法」では,上越地域から生成された総合学習を中心に授業を構成し,学生の興味・関心をはぐくむことに努め,実践的指導力の育成を目ざした。
【観点2】教育の達成状況
 「教育実地研究U」では,大多数の学生が教育実習ルーブリックの各事項に即して,具体的な目標を設定し,今後の見通しをもつことができた。また,模擬授業コンクールでは,それぞれの授業技術を高め合う場になった。「韓国事情」では,授業前と授業後のアンケートを比較した結果,韓国に関する興味・関心,問題意識がはぐくまれたことが確認された。「教職実践演習」では,学生人一人が自らの教職キャリアを吟味し,問題意識をもちながら授業に参加する姿勢が確認された。「総合・生活指導法」では,授業後の学生レポートの記述から,総合学習の実践が上越地域から生成されたことを知り,上越教育大学で総合学習を学ぶ意義を再認識できたとする学生の姿が確認された。
研究指導
【観点1】学部
 「発電所を利用した総合学習プログラムに関する基礎的研究−国見岳風力発電所を利用した総合学習プログラムの開発を目指して−」と題しての卒業論文の指導を行った。学生は国見岳の風力発電所への現地調査を行い,その成果を卒業論文に盛り込み,総合学習プログラムとして発表した。
【観点2】大学院
 修士課程M2・2名,M1・2名,計4名の研究指導を行った。基本的には,週一回の合同ゼミとテーマ別ゼミを随時行い,個別の研究指導は学生一人一人の取組状況に応じて,指導を行った。
その他の教育活動
・教育実習における学生指導
 教育実習委員会委員長として,教育実習全体の統括を行った。また,学校教育実践研究センターのスタッフとして,学部の教育実習の事前事後指導と教育実習全体の円滑な運営を行うため,特任准教授の先生方と連携し,教育実習の質的充実に努めた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 「教育実地研究U」では,模擬授業コンクールを行い,本学の学生の実践的指導力の育成に努めた。
 「教職実践演習」では,部会長として,全体のコーディネート及びプログラムの質的充実に努めた。
 今後の検討課題は,次のとおりである。
 「教育実地研究U」:学生の主体的な取組を促すための評価方法の開発。
 「教職実践演習」:平成25年度からの必修に向けた各種連絡調整。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年5月:「日本の学部での教員養成の新しい動向−上越教育大学を事例に」(単著) (pp.125-141), 渡邉満・カールノイマン編著『日本とドイツの教師教育改革』所収, 全333頁, 東信堂
(2)平成22年5月:「歴史教育における通信使」(単著) (pp.120-137), 二谷貞夫・梅野正信・釜田聡他『日韓で考える歴史教育』所収, 全249頁, 明石書店
(3)平成22年6月:「未来志向の日韓関係を築く」(単著) (pp.146-151), 日本国際理解教育学会編著  『グローバル時代の国際理解教育』所収, 全257頁, 明石書店
論】(1)平成23年3月:『「分離方式」初等教育実習の成果と課題−上越教育大学スタンダードと有機的な関連 を図った教育実習ルーブリックの活用』(共著) 『日本教育大学協会年報』第29集, 日本教育大学協会,133〜146頁
(2)平成23年3月:『大学と附属学校園の連携を図った教員養成学部の学士力の質保証に関する研究』(共著) 『日本教育大学協会年報』第29集, 日本教育大学協会, 327〜344頁
業】(1)平成22年4月:『小学社会34上』(共著)小学社会34上,教育出版
(2)平成22年4月:『小学社会34下』(共著)小学校社会34下,教育出版
(3)平成22年4月:『小学校社会5上』(共著)小学校社会5上,教育出版
(4)平成22年4月:『小学校社会5下』(共著)小学校社会5下,教育出版
(5)平成22年4月:『小学校社会6上』(共著)小学校社会6上,教育出版
(6)平成22年4月:『小学校社会6下』(共著)小学校社会6下,教育出版
発】(1)平成22年6月:『日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発』(共) 日本国際理解教育学会
(2)平成22年7月:『上越教育大学における教育の質保証』(共) 日本学校教育学会
(3)平成22年7月:『分離方式初等教育実習の成果と課題』(共) 日本学校教育学会
他】(1)平成23年1月:『糸魚川市教育委員会一貫教育/糸魚川市一貫教育の方針を発表した際に,指導講評した内容が新聞記事及び写真で掲載された。』 上越タイムス
(2)平成23年3月:『新聞記事,JUEN/教育実地研究U模擬授業コンテスト』 上越タイムス
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)教育実習に関すす共同研究 代表者:天野和孝(上越教育大学) 上越教育大学附属中学校
(2)ESD教材開発研究 代表者:釜田聡(上越教育大学) 学校教育実践研究センター
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)「臨床的協働研究による日韓相互理解をめざした歴史教育の基礎的研究」代表者:釜田聡(上越教育大学) 科学研究費(C)
(2)「日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発」代表者:大津和子(北海道教育大学札幌)科学研究費B
(3)「Collaborative Development of ESD Curriculums and Teaching Materials 代表者:釜田聡(上越教育大学) 米日財団助成プログラム
(4)「東アジア三カ国とアメリカの協働による持続可能な開発のための教育(ESD)に関する基礎的研究−大学・附属小中・地域・東アジア三カ国・アメリカの臨床的協働研究を中心に−」代表機関:上越教育大学
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本国際理解教育学会理事, (2)平成22年度:新潟県社会科教育研究会副幹事長, (3)4月22日(土),23日(日)歴史学研究会参加(専修大学), (4)6月3日(土),4日(日)日本国際理解教育学会参加・発表(聖心女子大), (5)7月31日(土),8月1日(日)日本学校教育学会参加・発表(東京学芸大学), (6)9月25日(土),26日(日)日本教師教育学会参加・発表(日本大学), (7)11月6日(土),7日(日)日本教育実践学会参加・発表(上越教育大学), (8)11月13日(土),14日(日)韓国国際理解教育学会参加・発表(韓国・ソウル大学)
在外研究の状況
(1)10月10日(日)〜10月18日(火)アメリカ(NY,ワシントン他) 東アジア三カ国とアメリカの協働による持続可能な開発のための教育(ESD)に関する基礎的研究
(2)12月28日(土)〜12月30日(火)韓国(ソウル他) 臨床的協働研究による日韓相互理解をめざした歴史教育の基礎的研究
(3)3月9日(水)〜3月12日(土)韓国(ソウル他) 臨床的協働研究による日韓相互理解をめざした歴史教育の基礎的研究
(4)3月21日(月)〜3月30日(水)アメリカ(NY,ワシントン,シカゴ) Collaborative Development of ESD Curriculums and Teaching Materials by the U.S. and Japan towards mutual understanding
◎特色・強調点等
・教師教育分野
 教育実習と教職実践演習についての実践的研究に取り組み,その成果を各種学会において公表した。
 教育実習では教育実習ルーブリック,教職実践演習では上越教育大学スタンダードを活用しての教育の質保証が注目を浴びた。
・国際理解教育
 日本と東アジア,日本とアメリカの相互理解のための教材開発研究に取り組んでいる。
 今後,ESDを基軸とした実践的な研究に取り組み予定である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市立潮陵中学校学校評議員, (2)上越国際交流協会理事, (3)妙高市教育委員会評価委員, (4)財団法人国際文化フォーラム文化領域協力者, (5)糸魚川市第一回教育懇談会講師, (6)教職ポートフォーリオ研修会講師(高松大学), (7)糸魚川市子ども一貫教育基本計画策定委員会(第1回), (8)「社会を開く「気づく力」と「つなぐ力」シンポジウム」講師(新潟大学), (9)教育実践研究論文の編集・発行, (10)教育実践研究論文発表会の開催, (11)糸魚川市子ども一貫教育基本計画策定委員会(第2回), (12)糸魚川市子ども一貫教育基本計画策定委員会(第3回), (13)糸魚川市子ども一貫教育基本計画策定委員会(第4回), (14)糸魚川市子ども一貫教育基本計画策定委員会(第5回), (15)糸魚川市第二回教育懇談会講師
◎社会への寄与等
上越市
・潮陵中学校の学校評価委員を務め,教育活動の質的充実に寄与した。
妙高市
・妙高市の教育委員会評価委員として,妙高市の教育活動全般の評価に携わった。
糸魚川市
・子ども一貫教育の全体指導者として,0歳から18歳までの一貫教育の在り方について指導した。
上越地域
・上越国際交流委員会の理事として,上越地域の多文化共生について,大学と地域連携の在り方について提言を行った。
 

川 村 知 行(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 総合学習分野の大学院の講義・演習では,「地域教育演習」「地域教育特論」などで,学外の実地研究指導によって,座学では理解できない体験学習を身近な地域素材を開発しながら,理解を深める努力をはらった。また,学部では総合学習の他,学芸員養成のための博物館学を担当した。
 つねに現場フィ−ルドを対象とするので,学部・院のいずれも,教室ではスライド,パワーポイントを多用し,学外では大学近郊の地域素材を活用している。たとえば,大学にもっとも至近な地域素材は春日山城跡(史跡名勝)である。通常なら自動車道で駐車場まで行って,歩く所を,手前の上越市埋蔵文化財センターから,旧道である大手道を発見させ,本来の進入路から旧道にある施設に気づきながら学習するスタイルを採ることで,学習効果が多角的に向上させることができた。ただし,野外活動は天候に左右されやすいため,時期をシラバス上で特定できず,また,時間を要するため,土・日を使うこともあったので,学生の負担を用したことは否めないので,今後の改善に努めたい。
 さらに,レポート提出による成績評価を採っているが,学内外の実践指導の成果を生かすことを目標にしているので,理解されやすい説明が必要だったことを痛感した。
【観点2】教育の達成状況
 学部生2人のうち1人は教育委員会の文化財関係の仕事をめざして,上越市に就職することができた。もう1人4年生は出身地で臨時採用の小学校教員になった。大学院生3人のうち,1人は千葉県小学校に本採用,残り現職派遣教員2人は新潟県本務校に戻って,総合学習等の指導的な役割を担っている。その他,学部生2人と免P院生が2人残ったので,なお一層の進路指導の達成に努めたい。
研究指導
【観点1】学部
 今年度は卒業研究の4年生が2人いたが,いずれも出身地域をフィールドにした総合学習の開発だったので,地域の素材研究と,地元学校の実践を調査させ,その成果を逐次ゼミで報告を受けた。現職教員を含めたゼミ生全員で先行実践例をあげながら,教材開発に当たった。出身地域が新潟県だったので,ともに出向いてフィールドワークに当たった。遠隔地の学生でも,幸い近隣だったので,現地に行くことができた。
【観点2】大学院
 今年度は総合学習分野3人の修士論文指導に当たった。フィールドとして選択した地域に同行して,地域の素材研究の現場と学校を調査し,地域密着型の総合学習を臨床的に開発する努力を試みた。
その他の教育活動
 非常勤講師は本務校の多忙を理由に辞退したので記載はない。
 教育実習における学生指導について,ゼミ生の実習にはゼミ生全員でサポートし,研究授業へ参加し,ゼミ室に戻って評価に当たった。
特色ある点及び今後の検討課題等
 今年度の研究成果は1本しか出せなかった。長年,調査に従事している醍醐寺の所蔵絵画目録である。この文化財調査は100年続いており,現在のスタッフは5世代目に当たる。醍醐寺は文化財の無尽蔵の宝庫であるが,100年調査しても,まだ未調査があり,初めて目に触れ,世に出すことが調査員の責務である。展覧会に出品され,教科書に掲載されるまでには時間がかかるが,重大な発見は記者会見して,新聞・テレビで全国に報道される。研究者として,きわめて幸福な現場で仕事ができることを教育に活かすことが目標である。シナリオがないのが,総合学習の学習過程であるが,読んで考えるのではなく,見てから,問題に気づき,調べて考えることの重要さを,身をもって示している。
 たとえば,学外演習として実地研究を担当しているが,奈良なら東大寺に宿泊,京都なら醍醐寺三宝院そのものに宿泊し,単に美術品として扱うのではなく,本来の安置状態から原形態を復元し,本当の意味を自然に気づき,考えることができるようなプログラムを用意している。
 その他,新潟日報本社とともにNIE(教育に新聞を)を実践開発しているが,今年度も学生たちの作成した特集記事が紙面に掲載された。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年12月:『論集 東大寺二月堂−修二会の伝統とその思想』(共著)法蔵館
学会活動への参加状況
(1)5月28〜30日美術史学会全国大会出席(京都大学), (2)12月6日密教図像学会出席(大正大学)
在外研究の状況
(1)交流協定校であるチャナッカレ・オンセキュズマルト大学(トルコ共和国)との研究交流として滞在,講義・演習・講演を行った。
◎特色・強調点等
 醍醐寺の美術工芸調査,上越市の文化財調査や世界各地の美術館・博物館の活用など,つねに目に見える実態を把握することによって,本質に迫ろうと努力していることは,美術史研究はもとより,総合学習のプログラム開発としても有効である。大学の隣接学校区にある小学校が春日山城をフィールドとした総合学習を実践しているが,修了生がその成果を生かしながら活躍しているなど,成果をあげつつあるので,さらに全国各地に広げるべく努力している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市文化財調査審議委員(上越市教育委員会), (2)會津八一記念館評議会委員(新潟市會津八一記念館), (3)加茂市史編集委員(新潟県加茂市教育委員会), (4)醍醐寺文化財研究所研究員(京都市伏見区 総本山醍醐寺)
◎社会への寄与等
 文化財の調査・保護について,新潟県内外の審議会委員等として文化政策にかかわった。とりわけ教育委員会からの依頼については,単に学識経験者としての政策形成だけではなく,成果を教育現場で活用してもらえるように働きかけている。その結果,新潟市の小学校が會津八一記念館を総合学習の一貫として利用し,学芸員と学校教諭の間に博学連携が一部ながら実現できた。
 今年度は新幹線新駅前で発見された釜蓋遺跡をめぐり,「文化財は楽しい?!」というテーマで連続パネル・ディスカッションを3回実施した。
 

小 林   恵(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 文献の講読法から実践のフィールドワークまで詳細に指導し,適切な評価をした。
【観点2】教育の達成状況
 十分に達成できた。
研究指導
【観点1】学部
 週数回のゼミ等で学生の意欲を喚起した。文献の選び方,講読方法を詳細に指導することから始めた。研究は社会事象との関連も説明した。総合的な知識の習得に力点を置いた。
【観点2】大学院
 週数回のゼミ等で学生の意欲を喚起した。文献の選び方,講読方法を詳細に指導することから始めた。研究は社会事象との関連も説明した。総合的な知識の習得に力点を置いた。
特色ある点及び今後の検討課題等
 前期にサバティカルでイギリス滞在をしたので,イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国の教育事情,思想にも力点を置きながら研究,指導をした。今後は日本およびアメリカの現状にも視野を広げたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年10月:『現代アメリカ教育ハンドブック』(共著) 東信堂
在外研究の状況
(1)4月1日〜9月30日:サセックス大学にてイギリスの社会・教育事情の調査研究
◎特色・強調点等
 サセックス大学にて現代イギリスの大学教育を実地に体験した。イギリス人はもとより中国,韓国,マリ共和国,リビアなどの学生と接して,現在の世界の社会・教育状況に見聞を深め,理解を広げることができた。また階級社会であるイギリスの大学教授など大学スタッフと接することでイギリスのアッパークラスに造詣を深めることができた。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 サセックス大学にて邦人留学生への助言・指導を行った。
 

南 部 昌 敏(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義支援システムを用いて,出席管理,講義資料の配布,毎回のレポート提出を行うことで,学習者の管理と適切なきめ細かな指導を行うことができた。成績評価も,そこで得られた,受講生の取り組み状況に関する実際の資料をエビデンスとして用いて,絶対評価をおこなうことができた。
【観点2】教育の達成状況
 受講生からの評価では,シラバスに記した達成目標の観点から,達成した,おおむね達成したとの回答がほとんどであり,目標達成を実現することができた。また,授業者としての指導法に関しては,指導において用いたプレゼン資料(これは全て学習者に電子データで配布済み)の分析,学生に関したレポート課題とその結果の分析から,目標達成にむけて有効な指導ができたと評価した。
研究指導
【観点1】学部
 本年度は学部学生の卒業研究指導は行わなかった。
【観点2】大学院
 本年度は,新潟県内の小学校から現職で派遣された2名の大学院生の修士論文指導に当たった。
 1名には,小学校高学年を対象とした教科の学習指導を行う中での情報活用能力の育成に焦点を当て,その目標規準とルーブリックを作成し,それを用いて,6年生2学級80名の実態を明らかにするとともに,国語科を中心とした情報活用能力育成プログラム(第1版)を開発し,上越市内の小学校6年生を対象に6−7月に実践し,その授業記録と作品の質的分析,質問紙による自己評価結果の統計分析をすることで,開発したプログラムの有効性を検討するとともに,第1版を改善した第2版を用いて9−11月に授業実践を行い,その有効性をさらに検討した。その結果を修士論文にまとめさせた。その成果は,下記の学会発表をさせた。
・平成22年9月:『教科学習における情報活用の実践力育成プログラムの開発〜小学校高学年を対象とした実践を通して〜』(共) 第26回日本教育工学会全国大会
 もう1名は,小学校低学年を対象とした国語科,生活科,特別活動における学習指導を行う中での情報活用能力の育成に焦点を当て,その目標規準とルーブリック,情報教育カリキュラムを作成し,また,それぞれの単元毎に指導案も添付した教員支援環境を構築し,それを用いて,5月から11月にわたって,国語科,生活科,特別活動の学習指導において,学級担任が授業実践を行うことを支援する場合と,院生自身が授業実践を行う場合の両方を実践し,その実践経過記録を基にして質的に分析するとともに,担任教師へのインタビュー調査結果の質的分析を加えて,総合的に開発したカリキュラムの有効性を検討した。その結果を修士論文にまとめさせた。その成果は,下記の学会発表をさせた。
・平成22年9月:『小学校低学年における情報活用の実践力を育成するため情報教育カリキュラムの開発』(共) 第26回日本教育工学会全国大会
 なお,上記2つの修士論文の成果を,平成23年度発行の日本教育工学会論文誌(増刊号)に投稿した。(未採択)
その他の教育活動
 新潟大学教育学部の非常勤講師として,「教育メディア論2」(受講生117名)を集中講義形式で担当し,講義と演習指導を行った。また,北陸学園の非常勤講師として,後期の毎週火曜日13:20から14:50に,1年生を対象に,「情報機器の操作」(2単位0)を担当し,25名に受講生に対して,講師と演習指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 情報教育に関する学習指導プログラムの開発,及び情報教育カリキュラムの開発に関する実践的研究に関して,IDの考え方を基盤として,それに基づく理論的基盤を踏まえた開発研究に関する指導を行った点,それに,教育実践過程での詳細な記録とその質的分析の手法,さらに,目標規準とルーブリックの作成とそれを用いた児童の変容を,変容をとらえるために事前と事後に収集したデータの統計的分析の両面から,有効性を検討するという研究手法を取り入れた点が特色である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年2月:『協働と省察を取り入れたワークショップ型校内教員研修システムの開発〜東京都荒川区立尾久第六小学校における校内教員研修の実践を通して〜』(共) 上越教育大学研究紀要,第30巻
発】(1)平成22年7月:『協働と省察による校内教員研修が教師の授業力の向上に及ぼす影響』(共) 日本教育メディア学会
(2)平成22年7月:『Analytical View Points of an Educational TV Program and the Development of Research Methods』(共) International Conference for Media in Education(Organized by JAEMS & KAEIMI)
(3)平成22年8月:『管理職を対象としたICT活用研修プログラムとその評価』(共) 日本教育情報学会
(4)平成22年9月:『協働と省察による校内教員研修が教師の授業力の向上に及ぼす影響〜沖縄県島尻地区におけるワークショップ型校内教員研修の実践を通して〜』(共) 第26回日本教育工学会全国大会
(5)平成22年9月:『教科学習における情報活用の実践力育成プログラムの開発〜小学校高学年を対象とした実践を通して〜』(共) 日本教育工学会
(6)平成22年9月:『小学校低学年における情報活用の実践力を育成するため情報教育カリキュラムの開発』(共) 第26回日本教育工学会全国大会
(7)平成22年9月:『日中教育工学研究交流の経緯と展望』(共) 第26回日本教育工学会全国大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)「協働と省察による校内教員研修が教師の授業力と学習者の学力向上に及ぼす影響」 研究代表者:南部昌敏(上越教育大学教授) 平成22−24年度科学研究費補助金基盤研究(B)(課題番号22300283)
(2)「メディア活用による授業実践力を形成する臨床型「校内授業研究方法」の開発」 研究代表者:浦野弘(秋田大学教授) 平成22−24年度科学研究費補助金基盤研究(C)(課題番号22500907)
◎特色・強調点等
・平成22−24年度科学研究費補助金基盤研究(B)(課題番号22300283)の研究代表者として,琉球大学,秋田大学,北海道教育大学の研究分担者と協働して,協働と省察の継続によるワークショップ型校内教員研修について,実践協力校のニーズと実情を踏まえて実践し,教師の授業力向上に及ぼす影響の解明に取り組んだ。
・平成22−24年度科学研究費補助金基盤研究(C)(課題番号22500907)の研究分担者として,メディア活用による授業実践力を育成するための臨床型校内授業研究として,東京都荒川区および沖縄県南條市の小学校においてその方法の開発に実践的に取り組んだ。
・映像思考能力・映像制作表現能力を育成するためのプログラム開発に関するこれまでの研究成果を,熊本で開催された「International Conference for Media in Education(Organized by JAEMS & KAEIMI)」の国際会議で研究発表した。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
・大阪府枚方市教育センター,同茨木市教育センター,東京都大田区教育委員会,それぞれの主催する「管理職のためのICT活用研修講座」の講師として,講演とワークショップ演習の指導助言を行い,参加全員から有意義な講座であったとの評価を得た。
・東京都荒川区教育委員会研究指定校である荒川区立尾久第六小学校における「学校パワーアップ事業」の全体指導講師として,学力向上マニフェストとして掲げた「主体的な学習に取り組む子の育成をはかるための取り組みと教師一人一人の授業力の向上」を目指し,授業づくりと授業実践に関する助言指導を行うとともに,毎回の授業実践研究会において,ワークショップ型校内研修を取り入れた授業評価に関する助言指導を行い,教師の授業力の向上に有効に寄与したことがアンケート調査と実際の授業分析の結果から確かめられた。
・荒川区学校教育研究会視聴覚教育研究部の取り組みに関して,区内の小中学校のすべての学級に設置された電子情報ボードの活用方法に関する授業実践を通して,その効果的な活用のあり方について助言指導を行い,視聴覚部の教員がまずその活用方法を身につけ,各所属の学校において伝達研修を行うことで,広く区内全域に普及を図ることが確かめられた。
・沖縄県島尻教育研究所主催の集合型教員研修において,ワークショップ型校内教員研修のあり方と題して講演するとともに,学校単位でのグループに分かれてのワークショップ演習を指導助言した。さらに,その研修会に参加した,光洋小学校における校内教員研修において,道徳の授業実践に関する授業づくりと授業実践・評価の考え方について講演をするとともに,授業参観後のワークショップ演習において助言指導をしたさらに,座安小学校における校内教員研修において,特別活動の授業実践に関する授業づくりと授業実践・評価の考え方について講演をするとともに,授業参観後のワークショップ演習において助言指導をした。
 

布 川 和 彦(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学習過程臨床の中の算数・数学教育の側面について,この分野での研究成果などを学生・院生に分かりやすく,かつ授業実践との接点が見えやすい形での提示を行ってきた。特に,算数科指導法においては,毎回10ページ以上の資料を事前に講義支援システムに掲載する形をとることで,受講者の予復習の便宜をはかるとともに,身のまわりの算数に関わる素材をパワーポイントで提示したり,授業場面のビデオを提示して,その後の展開を受講者に予想させる活動を取り入れるなど,授業実践とのつながりを大事にした。
【観点2】教育の達成状況
 授業アンケートを見ると概ね目指すところが達成できたと思われるし,学期末の試験における得点の分布を見ても,ほとんどの学生が一定の理解を達成してくれたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 休みがちであった学生が他の教員のゼミから移動してきたので,その学生については,ゼミの頻度を確保して大学に来る習慣をつけるよう配慮するとともに,一緒に決めたテキストを読み進めながら参考となる学会誌の論文を調べさせたり,附属小での調査に同行させるなど,知的好奇心に訴えるような指導を心がけた。
【観点2】大学院
 修士論文を作成する年度に当たっていた大学院生については,附属小にお願いをして授業を参観させて頂き,そこで記録をしたビデオのデータを一緒に分析・考察する中で,修士論文としての知見を構築するとともに,本人が小学校の教壇に立ったときに児童の思考を捉える力量の形成にもつながるように努めた。またそれ以外の大学院生は,修士論文を視野に教育実践の土台となる動機づけや理解,数学的モデル化に関わる教育学,心理学の論文を一緒に読み進めるとともに,ゼミの中での大学院生どうしの議論も促すことで,教職としての専門性を高めると同時に,教育研究を推進する上で必要となる批判的思考力の育成にも配慮した。
その他の教育活動
(1)上越教育大学附属小学校研究協力者(算数)
(2)上越教育大学附属中学校研究協力者(数学)
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:雑誌Educational Studies in Mathematics (Springer社) 編集委員, (2)平成22年度:日本数学教育学会資料部幹事
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県小学校教育研究会アドバイザー(算数), (2)6月:新潟県立教育センター授業力向上研修(算数・数学)講師, (3)6月:長岡市教育センター研修講座講師, (4)7月:日本数学教育学会講習会講師, (5)8月:日本数学教育学会全国大会小学校部会助言者, (6)7月〜11月:長岡市立希望が丘小学校実践事例報告会指導者, (7)7月〜11月:群馬県館林市学力向上研修会指導者, (8)8月:新潟県立教育センター教科指導ステップアップ研修(算数)講師, (9)9月:長岡算数教育を語る会・算数フォーラム講師, (10)10月:上越数学教育研究会大潟大会助言者, (11)10月:小千谷市立片貝小学校研究会講師, (12)11月:日本数学教育学会問題解決分科会招待提案者, (13)12月:長岡市立越路小学校研究会講師, (14)尚数会(上越地区中学校数学研究会)助言者
 

藤 岡 達 也(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法及び成績評価面では,昨年度同様,教育界の最新の動向を取り入れながらも,FDのアンケート結果による学生の評価を反映した授業に取り組んだ。「指導法」など教員希望者が多く受講することを踏まえ,教員採用試験に向けての取り組みからライフワークとしての教職の意義を考える内容を多く取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
 自分の担当する授業科目では,受講生からの高い評価を得た。しかし,シラバスを検討して科目を選択したり,授業のねらいを理解して受講したりする学生・院生が全員ではないのが課題である。
研究指導
【観点1】学部
 学生の個別指導については,地域の独自性に注目した教育活動の意義と課題について,4年生1名の卒業論文指導を行った。昨年に引き続き,研究の取り組みが採用試験受験の自信ともなり,合格に結びついた。
【観点2】大学院
 大学院生の個別指導については,地域を主題とした学校教育における環境教育やESD(持続発展教育)の展開,東アジアにおける環境教育,安全・防災教育の実践方法,地域と学校とのパートナーシップの構築など,様々な今日的な教育課題をテーマとして,M3の3名,M2の5名とM1の3名の修士論文指導を行った。また,自分が主指導教員となっているD1の1名及び副指導教員となっているD2の博士論文作成指導を行った。
その他の教育活動
・大阪市立大学理学部非常勤講師「理科教育法」担当
・奈良教育大学大学院非常勤講師「理科教材開発特論」担当
・教職入門講座担当
特色ある点及び今後の検討課題等
 自分のゼミは留学生も含め,大学院生が11名,学部生1名,さらに博士課程の院生が1名であった。前年度の修士論文8名の指導の非常に厳しかった状況を踏まえ,院生数は徐々に減らしつつある。それでも依然として修士論文指導に多くの指導時間を要するのが課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年5月:『先生になりたいあなたへ−教員採用試験の突破からライフワークとしての教職を考える』 (単著) 協同出版
(2)平成22年9月:『実験で実践する魅力ある理科教育』(共著) オーム社
(3)平成23年3月:『環境教育と総合的な学習の時間』(編著) 協同出版
論】(1)平成22年9月:『理科教育と自然災害に関する防災・減災教育について−持続発展教育の観点から自然の二面性をどう捉えるか−』(単著) 理科の教育,563巻,6-9.
(2)平成22年12月:『台湾における近年の大学入試改革の理念と展開』(共著) 化学と教育,58巻,12号,598-601.
(3)平成23年3月:『持続可能な社会構築に向けての学校における科学教育への期待−国際化,IT化時代に参画可能な放射線・原子力教育を推進するための人材育成の観点から−』,(単著) 放射線と産業,129巻,35-40.
業】(1)平成22年6月:『学校におけるESD(持続発展教育)と自然災害に関する防災・減災教育』(単著) 教員研修センター・文科省,61-87.
(2)平成22年6月:『短期集中シリーズ,直前理数講座Part.2物理・地学』(単著) 教職課程6月号,65-80.
(3)平成22年12月:『2011年度出題傾向分析・専門教養高校物理・地学』(単著) 教職課程臨時増刊号,118-119,124-125.
(4)平成22年10月:『理数教科書に関する国際比較調査シンポジウム<理科の部>』(共著) 教科書研究センター,全96ページ
(5)平成22年11月:『安全教育フォーラムin上越 学校安全・危機管理と天地人 報告書』(共著) 日本安全教育学会,全50ページ
(6)平成23年3月:『文科省委託事業 教員の資質能力の向上に係る基礎的調査 中間報告書』(共著) 上越教育大学,全57ページ
(7)平成22年4月〜平成23年3月:『実力養成講座,専門教養』(単著) 教職課程,12ヶ月毎月連載
発】(1)平成22年5月:『地域活性化の観点から捉えた近代産業遺産としての佐渡金山活用の意義と課題』(単) 第53回歴史地理学会大会研究発表
(2)平成22年5月:『ESDの観点からみた地域観光資源の開発−島の海岸景観美の構成と形成の考察から−』(単) 日本環境教育学会第21回大会研究発表
(3)平成22年5月:日本科学教育学会甲信越支部会・第4回研究会でシンポジウム「地域のパートナーシップによる科学教育の推進と教師の指導力」 オーガナイザー
(4)平成22年8月:『中学生での活用を堆積相に着目した堆積環境推定の方策』(共) 日本地学教育学会第64回全国大会研究発表
(5)平成22年9月:『持続可能な社会の構築とSTS教育への期待』(単) 日本科学教育学会第34回年会研究発表
(6)平成22年9月:『中国における水害に関する防災教育の現状と課題−江西省九江市を中心として−』(共) 日本安全教育学会第11回大会研究発表
(7)平成22年10月:『地域の河川と人間活動とのかかわりを重視した環境教育の教材化の視点−新潟県燕市周辺の河川を事例として−』(共) 日本理科教育学会北陸支部大会研究発表
(8)平成22年10月:『地域活性化を目指した環境教育資源の開発−石川県羽咋市邑知潟を例として−』(共) 日本理科教育学会北陸支部大会研究発表
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)東アジア等の自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性 代表者:藤岡達也 科学研究費補助金基盤研究(B)
(2)持続可能な地域社会の構築に貢献する二面性を重視した河川環境教育プログラムの開発 代表者:藤岡達也 河川整備基金助成事業
(3)火焔街道博学連携プロジェクト 代表者:藤岡達也 花王コミュニティ・ミュージアム2010
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)理数教科書に関する国際比較調査 代表者:伊勢呂裕史(教科書研究センター研究部長)
(2)東アジア等の自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性 代表者:藤岡達也 (共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況(1)再掲)
学会活動への参加状況
(1)前掲「研究成果の発表状況」発】(1)〜(8)についての学会出席, (2)日本科学教育学会理事, (3)日本地学教育学会評議員, (4)日本安全教育学会理事
在外研究の状況
(1)9月23日〜29日:ベトナム 東南アジアの自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性についての研究
(2)12月6日〜10日:台湾 東アジアの自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性の研究
◎特色・強調点等
 自然災害に関する防災・減災教育についての日本の先行的な取り組みを世界の自然災害による犠牲者が90%を越えると言われるアジアで展開するという先進的な研究によって,科学研究費基盤研究(B)に採択された。
 また,文科省が,全国の学校に刊行物を配布し,文科省のWebページに掲載する予定であった「生きる力をはぐくむ防災教育」のワーキンググループ長を務め,印刷間近な時に,東日本大震災が発生し,これの公刊が見合わせることとなったのが,惜しまれる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)文部科学省学校安全教育資料作成等協力者会議協力者, (2)(独)教員研修センター「学校安全指導者養成研修」講師, (3)文部科学省スーパーサイエンスハイスクール支援事業推進委員会委員, (4)国立教育政策研究所・財団法人教科書研究センター理数教科書に関する国際比較調査委員会委員, (5)新潟県環境審議会委員, (6)新潟県環境リーダー育成検討委員会委員長, (7)文部科学省平成22年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会審査委員, (8)埼玉県高等学校安全教育研究会研修講師, (9)新潟県立教育センター「平成22年度環境教育講座」研修講師, (10)上越市地域省エネルギービジョン策定委員, (11)平成22年度京都府学校安全教育指導者研修会講師, (12)平成22年度富山県防災教育指導者講習会講師, (13)新潟県立柏崎高等学校SSH運営指導委員会委員, (14)新発田市・聖籠町環境学習発表会講師, (15)信濃川火焔街道博学連携推進研究会顧問, (16)新潟県魚沼地域振興局・新潟県義務教育課環境学習プログラム講師, (17)新潟大学農学部附属フィールド科学教育センター教育関係共同利用運営委員会委員
◎社会への寄与等
 上に記したように文科省関係の国の委員や教員研修センターの講師から,地元の新潟県はじめ,京都府,埼玉県,富山県や,上越市の委員,県・市教育委員会レベルの講師まで,幅広く依頼に応えた。
 

増 井 三 夫(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 専門科目について,学部・大学院の全授業科目において,実際の授業場面(ビデオ)を分析できる演習時間を設定し,グループ及び個人でそれぞれの専門科目の観点から分析する力を育成した
【観点2】教育の達成状況
 観点1について,学生から高い評価を得た。
研究指導
【観点1】学部
○実践研究力の育成を図った。実際の授業場面を事例にして,子どもの学習活動や教師の指導に関わる問題を研究テーマに選び,行為者の視点から分析できる方法の習得を含めて,実践研究を行った。
【観点2】大学院
【修士課程】
○実践研究力の育成を図った。実際の授業場面を事例にして,子どもの学習活動や教師の指導に関わる問題を研究テーマに選び,行為者の視点から分析できる方法の習得を含めて,実践研究を行った。
○M2,3の修士研究の一部を,11月の日本教育実践学会で発表し,高い評価を得た。
【博士課程】
○DS3年の院生については,研究方法の修得を含め,学術論文の作成を行った。
その他の教育活動
○富山大学非常勤講師「教育の思想と歴史」
 文系と理系について上記科目の授業を実施。学生が自己の教育観・授業観を,歴史の成果に基づいて,点検する講義を行う。
 そのために,実際の高等学校及び中学校の授業ビデオをデータにして,その教育観・授業観の分析を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 常に,実際の授業場面を,ビデオと参観によって,データにして,教師と子どもの活動を理論的に分析する方法を採った。
 この点については,非常勤講師での授業を含めて,高い評価を得た。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年3月:『文章構成におけるメタ認知活動の質的研究―大手町小学校1年生の事例研究−』(共著)上越教育大学研究紀要第30巻
発】(1)平成22年9月:『教員養成に関するモデルキュラムの作成に関する調査研究』パネリスト,鳴門教育大学先端的大学改革事業に関わる第2回研究会
(2)平成23年1月:『教員養成に関するモデルキュラムの作成に関する調査研究』パネリスト,鳴門教育大学先端的大学改革事業に関わる第3回研究会
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市立大手町小学校学校評議員
 

松 本 健 義(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 意味生成表現と教材開発では,協力校を変更し卒業生の協力を得て,実技演習,事前参観,模擬授業,授業実践と研究協議,成果報告の手順を明確に構成した。附属幼稚園,附属小学校,市内協力校の協力により,観察,事例収集,現職教員による授業実践解説と質疑,協力校及び大学での事例分析と研究協議,報告書作成の,科目による重点構造化を図った。受講生が実際に表現演習を行うことで,学習活動の実際を経験しその意味や構造を捉えて自ら協力して構想するよう焦点化した。
【観点2】教育の達成状況
 特に,大学院共通科目では,学習臨床研究以外の英語や保健体育等の大学院生の受講者による授業内容の理解の深度が得られたことより,今年度の改善点は特に有効であったといえる。平成23年度の受講生も増加している。学習活動や学習場面の臨床研究の視座と方法が,受講生により深く理解され,具体的資質や能力としての成果が得られた。また,学習活動,学習場面の臨床研究へのアプローチが,入門,概論,観察,場面分析,構想実践の各層での成果が得られた。
研究指導
【観点1】学部
学部セミナー学生はおりません。
【観点2】大学院
 伊那小,奈良女子大附属小,堀川小など全国の研究学校での事例調査。研究協力校の校内研究会での観察調査。研究テーマにもとづく観察調査。研究開発授業実践と事例収集の指導を行う。また,収集事例のビデオカンファレンスと事例分析指導を行い,事例の活動特性と構造にもとづく記述法の開発を進めた。特に,これまでの研究成果をもとに音楽の合唱場面,総合学習活動場面における行為の同時進行場面の微視発生過程の記述法の開発を進め,その成果を得た。こうした学習臨床研究の成果により,ゼミ生6名(新潟3,埼玉1,富山1,東京1)が教員採用選考で正規採用となり,1名が企業就職を果たした。
その他の教育活動
・桐蔭横浜大学スポーツ政策学部非常勤講師(図画工作概論,教科教育法図画工作)
・初等教育実習巡回指導(6名),中等教育実習(糸魚川中学校),教育実習委員
特色ある点及び今後の検討課題等
 子どもの学習活動における意味生成過程に着目し,現象学,社会文化的アプローチ,状況的学習論の視点と方法を用いて,観察,表現,カンファレンス,記述分析,研究開発等の多様な演習を伴う形式で,学部及び大学院の授業構成し展開している。対象とする学習活動の特性や質を看取し,記述し,分析考察できるよう,多様な現場での学習活動の観察と事例収集方法,ビデオでのカンファレンス,記述分析演習を厚みをもって展開しており,子どもの学びの行為の実際の過程と関係をとらえる資質や能力の養成に大きな成果を得ている。今後は,方法及び手順の共有化がより図られるように,演習内容の精選と記述分析手順の精緻化と対応可能性を高めていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年5月:『表現芸術の世界 (幼児教育知の探究)』(共) 萌文書林
論】(1)平成23年3月:『造形表現活動における〈かたり〉と意味生成過程』(共) 大学美術教育学会誌第,43号
(2)平成22年12月:『社会の学としての霊長類学:『他者としての他個体』と『社会的複雑さ』標的論文及び趣旨説明に対するコメント』(共) 霊長類研究,Vol. 26 (2010) , No. 2 ,183-187
発】(1)平成22年9月:『造形表現活動における〈かたり〉と意味生成過程』(共) 第49回 大学美術教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)学び合う授業づくり−4観点に着目した学習活動のデザイン− 代表者:矢後源治(石川県珠洲市立みさき小学校長)
学会活動への参加状況
(1)9月18-19日:第49回大学美術教育学会東京大会出席, (2)11月6-7日:第13回日本教育実践学会出席, (3)11月6日:第12回美術教育実践学会出席, (4)11月27-28日:第7回日本質的心理学会出席, (5)3月26-27日:第33回美術科教育学会富山大会出席, (6)美術教育実践学会副代表理事, (7)日本質的心理学会研究交流委員, (8)11月:第7回日本質的心理学会研究交流委員会企画シンポジウム, (9)11月:第12回美術教育実践学会シンポジウム
◎特色・強調点等
 幼児の造形表現や生活科における子どもの表現行為について,「できごとをとおして表現的生を生きる子ども」を分担執筆し『幼児教育 知の探求11 表現芸術の世界』(共著)をまとめ出版した。共著学会誌論文1篇のほか,『霊長類研究』にこれまでの子どもの造形表現の発生論的研究の視点から,「社会の学としての霊長類学」の投稿論文に対してコメントを寄せた。これまで交流のなかった民俗学や霊長類学との協同の成果が得られた。学校研究に参加し評価の観点に着目し学習活動のデザインを試みた。いずれもこれまでの学習臨床研究の成果を背景とした新しい試みとして評価できるものである。日本質的心理学会では,日本を代表するアーティスト川俣正氏のスライドレクチャーとシンポジウムを行い,美術教育実践学会では特別支援教育と美術教育の接点を模索するシンポジウムも企画実施した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県立近代美術館運営委員, (2)珠洲市指定研究指導者(珠洲市立みさき小学校), (3)東京都立八王子盲学校校内研究会幼稚部研究指導, (4)新潟市立山の下小学校校内研究会研究協力者, (5)上越市立春日新田小学校教職12年研修指導者, (6)珠洲市図工美術教育研究会指導者, (7)岡崎市立矢作北中学校校内研究会指導者, (8)第41回新潟県ジュニア美術展覧会審査員, (9)第51回新潟県児童生徒絵画・版画コンクール審査員, (10)糸魚川市教育委員会こども課絵画評価・生活リズム改善事業絵画評価講師
◎社会への寄与等
 市教育研究校内研究会指導者3件,市図工美術研究会指導者1件,児童生徒美術展審査委員2件,県立美術館運営協議会委員1件,学会役員2件,学会シンポジウム企画2件,幼児の描画鑑定1件を行った。幼児の生活リズムに関する絵画鑑定から,アーティストとの学会でのシンポジウムまで,本学での教育研究成果に基づき,広汎な社会貢献を行った。今年度は中学校道徳授業研究への学習場面分析の知見からの講師,市指定研究開発校の学校研究指導,修了生の教職12年研修指導,県立美術館運営協議会委員も新たな依頼により行った。学習臨床研究での学習場面分析と学習活動の研究開発に関する知見や研究成果を学校教育に還元することができた。
 

五 百 川  裕(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の「体験学習」及び「野外体験演習」では,野外での自然体験が不足している学生の実態を踏まえ,小学校教員になった場合に生活科や総合的な学習の時間,特別活動や環境学習の野外授業で必要となる基礎知識を,興味を持ちやすい素材を厳選し,実際に野外での観察,体験を通して習得できるように工夫した。大学院の「地域環境学習演習」及び「地域環境学習特論」では,地域環境として里山,河川,海岸などを取り上げ,演習においては先ず実際に野外での自然環境学習体験をした上で,各人が校種,学年を意識した学習指導案を作成し検討会を行うことで,興味を持ち主体的に取り組めるように工夫し,特論においては学習素材を見つけるための着眼点を,画像を豊富に使用して具体例を挙げながら解説し,一般論,方法論に留まらないように工夫した。
【観点2】教育の達成状況
 大学院修了生(2名)は1名は小学校教員に採用され,1名は留学生であり母国に戻り働いている。
研究指導
【観点2】大学院
 総合的な学習の時間の単元開発の素材研究を指導した。里山を主なフィールドとして,植物や動物とその生育環境など,学生の興味・関心に応じてテーマ設定を行い,野外での1年間の季節を通しての観察体験を基礎として,自然環境を正確に見る力,それを伝える力を身に付け高めるため,同伴しての野外個別指導,セミナーでのグループ指導を積み重ね,修士論文の完成,中間発表会での報告に結びつけた。小中高等学校での学習内容との結びつけを大切にし,自然観察の面白さを実感を持って理解させることを意識して指導している。
その他の教育活動
 研究室所属学生の教育実習における授業教材研究の支援,研究授業の参観,指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 自身の高校教員経験及び植物学研究の専門性を生かし,これまで学習し習得しているはずの知識の復習を意識させながら,発展的な知的好奇心を高めることが可能な素材を選び,机上に留まらない実際の野外活動を伴った授業を行って,問題意識,興味,体感を高められるようにしている。学習指導案の作成演習等において,現職院生と学部進学院生との経験や興味の違いを配慮しながら双方に有用感を持たせる授業を組み立てることに課題を感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年12月:『生物学辞典』(共著) 東京化学同人
論】(1)平成22年8月:『Phylogeny of Lespedeza (Leguminosae) Based on Chloroplast trnL-trnF Sequences』(共著)J.Jpn.Bot. 85: 213-229
(2)平成22年10月:『Eleiotis sororia (L.)DC. (Leguminosae), New to Myanmar』(共著) J.Jpn.Bot. 85: 303-312
(3)平成22年11月:『アズマツメクサ(ベンケイソウ科)を新潟県から記録する』(共著) 水草研究会誌 94: 41-43
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本植物分類学会評議員, (2)平成22年度:植物地理・分類学会庶務幹事, (3)6月5日,6日:植物地理・分類学会2010年度大会出席, (4)9月9日:日本植物学会第74回大会出席
◎特色・強調点等
 著書は,研究者から大学生,中高生までの利用を想定した生物学,関連諸領域を網羅した辞典である。分担執筆したのは,カエデ科,ミカン科,ウコギ科などの科および属,主な種の解説である。これまで蓄積した植物分類学の知識を生かし,最新の研究内容も踏まえて,興味を持って読んでもらえるよう執筆した。論文は,専門のマメ科植物に関するもの2つと新潟県の植物相に関するもの1つであり,野外調査,DNA解析,文献検索などを分担した成果を共著で発表したものである。研究テーマとしているアジアの植物相の解明に資するものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市児童生徒科学研究発表会審査委員長, (2)県下児童生徒生物標本・自然科学写真展示会審査委員, (3)理友会研修会講師, (4)新潟県高等学校授業力向上研修講師, (5)上越市版レッドデータブック作成検討委員会委員, (6)上越市歴史文化基本構想策定事業委員会委員, (7)上越市文化財調査審議会委員, (8)新潟県環境影響評価審査会委員, (9)妙高市環境審議会会長, (10)糸魚川市文化財保存活用計画策定委員会委員, (11)新潟県立高田農業高等学校目指せスペシャリスト事業運営指導委員会委員, (12)関川圏域流域協議会委員, (13)姫川有識者会議委員, (14)河川水辺の国勢調査アドバイザー, (15)新潟県野生生物保護対策検討会委員, (16)環境省レッドリスト見直し主任調査員, (17)エコアクション21地域運営委員会委員長, (18)日本山岳協会自然保護委員総会講師, (19)新潟県自然観察指導員の会講師, (20)国営越後丘陵公園里山案内人講座講師
◎社会への寄与等
 児童生徒の自然環境への興味関心を高め科学的視点を育む催しに審査委員として実施協力をし,また,中学校教員が自然観察指導力向上を図る催しである理友会研修会,および新潟県立教育センターの理科教育指導力向上のための教員研修会の講師として,研修に協力した。自然環境保全や文化財保存に関わる委員会委員等として植物分類学研究の専門性を地域貢献に生かしている。
 

五十嵐 素 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 どの授業でも多様化する学生のニーズに合わせて教育内容を工夫するようにしている。例えば具体的な教育実践のイメージが持ててない学生には,ビデオデータなどを活用して現場の実践のあり方を観察させたり,具体例を出しながら教えている。また,学習への動機付けを高めるために,学生からの質問や感想とその回答を毎時間の冒頭に配布するようにしている。また学生間の理解の差が大きいので,学生からのレポートにはコメントをつけて返却することで個別の学生をフォローするように心がけている。
【観点2】教育の達成状況
 講義やセミナーなどで教育実践の研究方法を教えたり,現職教員と議論してもらうなかで,個別の学生が教員としての力量を身につけつつあることを実感している。その成果としては,セミナーの学生が教員採用試験に合格し,教育実践のあり方を考察した修士論文を書き上げることができた。
研究指導
【観点1】学部
 学部生の講義では,具体的な教育実践の事例を取り上げ,授業において教師がどのような言葉を用いて働きかけているのか,そのことによって子ども反応をどのように引き出しているのか,その教育効果について観察させている。このことは,教育実践を観察し評価する力を育てるという意味で,臨床的な実践力を身につけることにつながると考えられる。
【観点2】大学院
 大学院の研究指導では,社会学の相互行為論の理論的知見に基き,授業のビデオデータを用いて教師と子どもの相互行為のあり方を分析させている。授業における活動は多様であり,そうした分析を行うことによって,活動それぞれの教育上の特色や効果について明らかにさせ,活動における教師の役割について学術的な見地から検討をしている。こうした訓練は,教育実践研究としての基礎的な知見を積み重ねる力量を形成する点において重要である。
その他の教育活動
 免許講習における必修科目の講義を担当した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 院生の学問的バックグラウンドや経験が多様であるため,講義で基礎から応用まで広く教えることができる教科書や教材を開発していく必要があると考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年11月:『図説 教育の論点』(共著) 旬報社
(2)平成23年3月:『環境教育と総合的な学習の時間』(共著) 協同出版
論】(1)平成23年3月:『女子学生の学業成績に抑うつと睡眠‐覚醒パターンが与える影響』(共著) 精神医学,53(3)
(2)平成23年3月:『法科大学院の法曹養成課程からキャリア開発まで−鹿児島大学法科大学院の取組み−』(共著) 臨床法学セミナー, No.9, pp.83-95
業】(1)平成23年3月:『教員の資質能力の向上に係る基礎的調査中間報告書』(共著) 教員の資質能力の向上に係る基礎的調査中間報告書,pp.19-26
発】(1)平成22年8月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(8)―学業・就職活動への取り組みと内定状況の関連』(共) 日本教育心理学会第52回総会
(2)平成22年8月:『「女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(9)―恋人の有無と抑うつの変動の関連』(共) 日本教育心理学会第52回総会
(3)平成22年8月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(10)女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(10))―入学3ヶ月後の女子短期大学性が所属するグループについての検討』(共) 日本教育心理学会第52回総会
(4)平成22年8月:『高等教育におけるメンタルヘルス・学業・進路選択の早期支援を考える−短期大学におけるFD研究の結果を通して−』(共) 日本教育心理学会第52回総会自主シンポジウム
(5)平成22年7月:『医学部5年生に対するロールプレー授業のビデオエスノグラフィー』(共) 第42回日本医学教育学会
(6)平成22年11月:『臨床教育のビデオエスノグラフィー−医学部のロールプレーにおけるクラインフェルター症候群告知のビデオを用いた分析−』(共) 日本社会学会大会第83回名古屋大学 11月6日
(7)平成22年11月:『法律相談において「われわれ」であることと「われわれ」になること−ビデオを用いたエスノグラフィーによってアイデンティティを分析する−』(共) 日本社会学会大会第83回名古屋大学 11月6日
(8)平成23年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(11)―性格特性の5 因子と時間的展望の関連―」』(共) 日本発達心理学会第22回大会,東京学芸大学
(9)平成23年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(12)―短期大学2年間の自尊感情の変化―」』(共) 日本発達心理学会第22回大会,東京学芸大学
(10)平成23年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(13)―仮想的有能感と時間的展望との関連─」』(共) 日本発達心理学会第22回大会,東京学芸大学
(11)平成23年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(14))―学業成績の変化の検討ー』(共) 日本発達心理学会第22回大会,東京学芸大学
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)「他者をまえにした対人支援の問題の社会学的分析に基づく支援システムのデザイン」 代表者:山崎敬一(埼玉大学教授) 科学研究費補助金
(2)「東アジア等の自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性」 代表者:藤岡達也(上越教育大学教授) 科学研究費補助金
(3)「臨床教育のビデオエスノグラフィー:高等教育における臨床教育場面の経験的比較研究」 代表者:樫田美雄(徳島大学教授) 科学研究費補助金
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)7月:教員免許更新講習
 

石 川   真(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法においては,すべての担当授業において指定のテキストがないため,毎回資料を作成した。基本的に,パワーポイントによるスライドで作成し,学生にpdfの形式,もしくは紙媒体で配布した。また,そのスライドを用いて授業を行った。また,講義支援システムの特徴を活かし,掲示板を用いて特定のテーマについて意見や感想を述べさせるなど,授業時間外においても学習活動が持続できるような工夫をした。また,すべての授業において,現場での実践を意識させ,具体的事例などを交えながら講義を行った。
 成績評価については,1回目の授業時に評価の説明を行い,基本的にその基準で実施したが,レポートの提出回数が異なるなどした場合は,適宜その都度説明し,受講者と共通理解を図った。レポートは,問題に対して論理的に意見が述べられるかなど,思考的な側面に特に注意を払いながら評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 すべての授業において,シラバスに記載された目標は達成できたと考えられる。特に,レベルの高いものについては,個別指導をすることによって,受講者の理解が高められることから,少人数での授業においては,比較的レベルの高い内容が達成できたと考えられる。教育情報科学概論については,他の授業と異なり大人数のため,きめ細かな教育を行うことはできなかった。しかし,実践場面をビデオで紹介するなど,1年生(前期科目)の内容として具体的でわかりやすいものとしたことで,一定の目標は達成されたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 学部におけるゼミ生は所属なし。
【観点2】大学院
M2(所属院生)授業実践に関わる検討,および評価のための質問紙作成,論文作成の指導を行った。その他,日本教育実践学会(2010年11月開催)での発表原稿,発表の指導を行った。
M1(所属院生)免P生であることから,基礎基本を徹底的に身につけさせるために,関連の専門書,論文等を読ませ,それについてまとめることを中心に進めた。その上で,修士論文のテーマを絞り,次年度の実践に向けてきめ細かな指導を行った。
M2(他研究室所属)前期サバティカルであった小林先生の研究室に所属していた院生の指導を行った。調査研究の結果の分析方法について,統計的手法を用いる点において重点的に指導,助言を行った。その結果の一部については,日本教育実践学会(2010年11月開催)で発表されており,原稿作成においても助言した。
その他の教育活動
・平成22年4月:『情報セキュリティ講習会』講師 上越教育大学講堂
特色ある点及び今後の検討課題等
 実践,現場での活動と,授業で取り上げている内容がどのように関係しているのかを説明し,実践場面で意義のあるものと理解できるように取り組んでいることが特色である。また,講義支援システムや,各種メディアを積極的に活用し,学習内容の理解を深めさせたりする工夫をしている。
 授業評価などでは必ずしもすべての項目において良好ではない点もある。できる限り,問題点を明らかにすると同時に,より一層わかりやす授業とする取り組みを検討していく必要があると考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年3月:『学びと教えで育つ心理学』(共著) 保育出版社
論】(1)平成23年2月:『受け手と送り手に着目したテキストメッセージの伝達情報に関する研究』(単著) 上越教育大学研究紀要,第30巻 p.1-p.9
発】(1)平成22年11月:『工業高校生の英語読解学習意欲を高めるための読解方略教授の実践的研究』(共) 日本教育実践学会
(2)平成23年3月:『他者の存在が学習活動に及ぼす影響』(共) ヒューマンインタフェース学会
(3)平成22年9月:『感情や気持ちを伝えるテキストメッセージの理解と特徴』(共) 日本社会心理学会
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本教育工学会大会企画委員会委員, (2)日本教育工学会大会企画委員会幹事, (3)日本教育工学会 日本教育工学会論文誌投稿論文査読, (4) 日本感性工学会 日本感性工学会論文誌投稿論文査読, (5)9月17日〜18日:日本社会心理学会第51回大会, (6)9月19日〜20日:日本教育工学会第26回全国大会, (7)3月7日〜8日:第71回ヒューマンインタフェース学会研究会, (8)9月20日:日本教育工学会第26回全国大会 セッション「高等教育・FDにおける教育工学の役割」コーディネーター・司会 担当
◎特色・強調点等
 前年度まで助成を受けた科学研究費補助金若手研究Bによる「テキストコミュニケーションを円滑にする感性情報に関する基礎的研究」の研究成果を行った。さらに,次年度の科研費助成に向けて,予備調査等を行うため,学会に参加し,情報収集等を行った。
 さらに,連携研究者として携わっている科学研究費補助金基盤研究C「協同・協調的な学習活動場面におけるこどもの認知とストレスの関連(研究代表者:平田乃美,白鴎大学)」の研究成果を発表した。
 こうした研究活動は,2011年度の科研費採択「青少年のネットワーク環境における社会的なつながりの認識に関する基礎的研究」につながり,非常に有用なものと言える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)日本心理学会認定心理士資格認定委員会
 

井 上 久 祥(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義支援システムの活用,ICTの活用
研究指導
【観点1】学部
指導学生なし
【観点2】大学院
 学内の限られた研究者からの研究指導で完結することなく,広く世間一般に向けて研究の意義や成果を問うことをねらいとして,学会での研究発表を行っている。具体的には,日本教育工学会,日本教育実践学会で発表。
その他の教育活動
・電気通信大学にて教職科目「総合演習」の非常勤講師を担当
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校に基礎を置くカリキュラム開発の考え方にもとづいた情報教育のための授業改善のモデルを構想し,実際に地域の学校と連携して,情報教育の授業づくりや学校の情報化についての支援を行っている。これら一連の活動が地域貢献に留まらず,大学講義の改善にも効果のあることを示し,具体的には,学校−大学間の連携で得られた実践知のエッセンスを教職理解のためのケースメソッド教材にし,大学の講義において伝達することを試みている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年3月:『協働と省察を取り入れたワークショップ型校内教員研修システムの開発―東京都荒川区立尾久第六小学校における校内教員研修の実践を通して―』(共著) 上越教育大学研究紀要,30
発】(1)平成22年11月:『役割の内省を取り入れたプロジェクトベース学習』(共) 日本教育実践学会
(2)平成22年11月:『資料活用能力を育成するための学習プログラムの開発』(共) 日本教育実践学会
(3)平成22年11月:『算数において情報の科学的な理解を横断的に学習するための系統的なカリキュラム』(共) 日本教育実践学会
(4)平成22年6月:『協働と省察による校内教員研修が教師の授業力の向上に及ぼす影響 ―沖縄県島尻地区におけるワークショップ型校内教員研修の実践を通して―』(共) 日本教育メディア学会
(5)平成22年11月:『校務情報化実現のためのキーポイント−先進事例から学ぶ成功への秘訣−』(共) 日本教育工学研究協議会
 

古 閑 晶 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 シラバスをもとに見通し,振り返る自己評価場面を初日と最終日に設定し,学習観・授業観の更新を認識できるようにした。また,授業デザインを構築できるよう,授業開始10分間を活用した「ことばタイム」の演習,少人数による演習形式での教材づくりや授業デザイン案の作成・模擬授業を実施した。さらに,学校現場との連携で授業観察場面を設け,実践場面における学習過程の姿から学びとその要因を意味づけ,授業デザインや支援の在り方につなぐようにした。
【観点2】教育の達成状況
 自己評価レポートや演習時の学生・院生の姿,授業評価結果から,おおむねシラバスに明記した到達目標(授業デザインの構築や学習過程の姿と要因の省察など)は達成されたと捉えられる。
研究指導
【観点1】学部
 毎週の大学院生との合同セミナーにおいて研究発表・協議を行うことで,多面的な視点から自身の研究テーマの追究・省察を促した。また,各自の研究テーマに関する実践理論の構築と同時に,研究授業の構想・展開を促すために,指導案検討や模擬授業等を実施した。実践セミナーでは,附属小学校・公立学校と連携し,授業観察する中で,学習者の思考過程を分析・考察し,思考表現過程の有り様を大学院生と共に考究することができた。
【観点2】大学院
 毎週の研究発表・協議と,定期の構想・中間発表場面を設定し,研究テーマの追究・省察を促すようにした。また,先行研究の吟味による理論構築づくりや検証授業との整合性,分析考察の在り方に着眼した。協議で顕わになる研究テーマの違いによる多面性や相互の考え方の差異を各自が効果的に活用している姿が伺える。実践場面分析演習では,附属小学校・公立学校と連携し,授業観察する中で,学習者の思考過程を分析・考察し,思考表現過程の有り様を考究することができた。
その他の教育活動
・上越教育大学附属小学校研究協力者
特色ある点及び今後の検討課題等
 授業及び研究指導を貫く核として,学校現場における国語学習場面の観察や学習データの考察など臨床的場面を意図的につくるようにした。教職キャリアの形成と,国語の学習過程に関する専門的な研究の両者を志向している。臨床的場面から,学習過程の有り様や各自の研究課題を問い,省察・追究し続ける姿を授業科目やセミナー指導において具現していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年10月:『「伝統的な言語文化」の学習を創る−「古典」の本来の姿をめざして−』(共著) 学校図書
(2)平成23年3月:『言語の文化に親しもう』(単著) 学校図書
(3)平成23年3月:『言葉のリズムやひびきを楽しもう』(単著) 学校図書
論】(1)平成22年5月:『言語活動を核とした国語科授業デザインの要素−思考表現の階層化過程とメタ認知−』(単) 全国大学国語教育学会鳴門大会研究発表要旨集 pp.114-117
(2)平成22年11月:『言語活動が成り立つ国語科授業デザインの要素−対話の階層と小学校古典学習−』(単) 全国大学国語教育学会京都大会研究発表要旨集 pp.287-290
業】(1)平成23年3月:『言語活動を核として思考を促す国語科学習過程臨床研究』(共著) 平成21・22年度上越教育大学研究プロジェクト研究報告書
(2)平成23年3月:『学習臨床研究における学部・大学院セミナーのプログラム開発』(共著) 平成22年度学士力向上プロジェクト報告書
発】(1)平成22年5月:『言語活動を核とした国語科授業デザインの要素−思考表現の階層化過程とメタ認知−』(単) 全国大学国語教育学会
(2)平成22年11月:『言語活動が成り立つ国語科授業デザインの要素−対話の階層と小学校古典学習−』(単) 全国大学国語教育学会鳴門大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)言語活動を核として思考を促す国語科学習過程臨床研究−附属小学校:歌舞伎づくり− 代表者:古閑晶子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
(2)言語活動を核として思考を促す国語科学習過程臨床研究−春日小学校:調査報告文作成− 代表者:古閑晶子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
(3)言語活動を核として思考を促す国語科学習過程臨床研究−大町小学校:紙芝居創作− 代表者:古閑晶子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況
(1)5月29〜30日:全国大学国語教育学会東京大会自由研究発表, (2)8月9〜10日:日本国語教育学会国語教育全国大会出席, (3)9月11日:日本国語教育学会新潟県支部出席, (4)11月30〜31日:全国大学国語教育学会鳴門大会自由研究発表
◎特色・強調点等
 研究プロジェクトを中核として国語をベースとした学習過程臨床研究に取り組み,その成果を学会,著書,研究報告書等で発表した。また,数校の学校現場と連携し,今日的課題である「言語活動の充実」を図る授業づくりに正対することにより,言語活動を核とした国語科学習過程のデザインの構築・検証を行うことができた。今後も学校現場と一層連携し,学習の展開過程における各要素の詳細な分析検討を試み,その成果を学会発表及び論文にまとめていくよう努める。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)5月:上越市立教育センター授業力向上研修講師「国語科研修」, (2)6月:公孫会柿崎支部教育課題研修会講師「言語活動の充実を図る授業づくり」, (3)6月:柏崎市立教育センター教職員研修講座講師「教育実践研究論文の書き方」, (4)7月:糸魚川市立今井小学校校内研修会講師「言語力の向上を目指した指導の工夫」, (5)上越国語同好会委員, (6)7月:公孫会妙高支部実践教育論文研修会講師, (7)8月:教職12年経験者研修コース別研修(学習指導コース)講師, (8)上越国語教育連絡協議会研修顧問, (9)8月:糸魚川市教職員研修講師, (10)8月:上越市立春日新田小学校校内研修講師, (11)8月:上越市立柿崎小学校校内研修講師, (12)10月:糸魚川市立糸魚川小学校校内研修講師「学びを深める力を育てる」, (13)11月:入広瀬小学校研修会講師, (14)11月:南魚沼市国語研修会講師, (15)11月:柏崎市国語研究部研修会講師, (16)12月:広神中学校研修会講師, (17)12月〜1月:上越市立大町小学校授業研修会講師, (18)2月:上越教育大学学校教育実践研究センター 国語教育セミナー講師「詩の授業」, (19)2月:上越教育大学学校教育実践研究センター 国語教育セミナー2講師「思考表現を促す言語活動を核とした国語科授業づくり」, (20)上越教育大学 研究プロジェクト成果発表会発表者
◎社会への寄与等
 内容がデザインされている出前講座ではあるが,「出前講座申込書」の「目的及び内容」の項目や担当者の要望を重視し,ニーズに応じた講座内容となるよう実施箇所ごとに再構成して臨むようにした。また,学校や教育研究団体,県・市教育委員会等が掲げる教育研究課題の追究・解決に資するよう,学習者の姿をもとに国語科授業再考の視点を臨床的・実践的レベルで伝えるように努めた。
 

佐久間 亜 紀(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院の講義にもかかわらず,40名前後の受講生を受け入れている。単位認定の公正化,厳格化をめざして,毎回予習復習の課題を出すと共に,提出された課題には毎回,丁寧に赤を入れ,返却をしているため,院生から好評を得ている。
【観点2】教育の達成状況
 指導した学部生,免P生ともに,教員採用試験に一発で合格し,いまは教壇にたっている。また,3月の卒業式のときに,私の講義を受講しただけのおつきあいしかなかった他コースの現職教員数名が,わざわざ研究室を訪ねてくれて,「大学院で受けた講義のなかで,一番役にたったし,教師として励まされた」と言ってくれたときは嬉しかった。
研究指導
【観点1】学部
 3年生のときから,丁寧に卒業論文指導にとりくんでいる。教師として成長していくためには,卒業論文をとおして,自分なりの教育に関する思想や哲学をもてるようになれ,現場に何度もいって足で学べ,と伝えてきた。その甲斐あって,2010年度の学生は,充実したフィールドワークをおこない,しっかりした卒論を仕上げたと自負している。
【観点2】大学院
 研究とはなにか,論文をどのように書くか,アブストラクトの書き方や文献調査の方法まで,懇切丁寧に一から説明し,まがいなりにも学術論文としてはずかしくない論文を執筆させている。2010年度の院生は,近隣の小学校に数ヶ月間フィールドワークにはいり,学級経営がどのようにしてなりたっているのかを分析し,調査を受け入れてくれた教師から,逆に参考になったと感謝された。
その他の教育活動
 長野県の現職教員がつくる全国でも珍しい専門職能団体である,信濃教育会教育研究所の兼任所員として,毎月指導に行っている。同研究所は,大学院ではないが,県教育委員会から毎年8名の現職教員が派遣され,教職大学院と同じかそれ以上の質の高さで,各自の実践を振り返り,省察している。教師としての彼らの成長を支援するのは,いまの私の仕事のなかでも特にやり甲斐のある仕事となっている。
特色ある点及び今後の検討課題等
 論文執筆に際しては,懇切丁寧な指導をおこない,修士号を授与するにふさわしい内容をそなえた修士論文を執筆させていると自負している。
 また,学術的な指導のみならず,私が訪問し指導する学校現場には,必ず院生有志を誘い,実際に授業を観察し,現場で活躍する授業者とともに反省協議会をもつことで,学生院生と学校現場の教員と私が共に学ぶ場を設けている。
 特に,現職教員については,教師として成長するためには,アイデンテティの編み直しが必要とされ,それは時には苦しいプロセスであることから,インフォーマルなかかわりを多く確保し,教師としての自分の歩みのふりかえりを支援している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年6月:『1990年代以降の教員養成カリキュラムの変容』(単著) 教育社会学研究 第86集 pp.97-112.
(2)平成22年5月:『更新講習/養成制度のゆくえと現場の課題』(単著) 高校教育 5月号 学事出版 pp.22−27.
(3)平成22年11月:『教員養成改革の課題』(単著) 読売クォータリー
業】(1)平成22年6月:『教員養成制度改革案の問題点と教員の資質向上策の基本的課題』(共著) 文部科学省『教員の資質向上に関する意見把握』 pp.634−654.
(2)平成22年10月:『子どもをもたない保育者の専門性とは』(単著) 幼児の教育 フレーベル館 第109巻 第10号
(3)平成22年11月:『子どもを持たない保育者の専門性とは(2)』(単著) 幼児の教育 フレーベル館 第11号
他】(1)平成22年8月:『雑誌『遥プラス』/「時代を担う研究者の眼」インタビュー』 雑誌『遥プラス』
(2)平成22年5月:『読売新聞東京本社教育研究会講師/読売新聞東京本社社長以下,幹部に対し,教員養成改革に関する私見を講義した』 読売クォータリー
(3)平成23年1月:『教育新聞元旦特別号/養成・採用・研修の課題を問う「養成段階の課題」』 教育新聞第7面
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜3月:長野県長野市立中条中学校校内研修講師, (2)信濃教育会定期総集会パネルディスカッションパネラー, (3)9月:群馬県総合教育センター職員研修講師, (4)10月:信濃教育会主催教員体験工房ワークショップ講師, (5)11月:国立大学協会主催シンポジウム「大学院での教員養成をどうとらえるか」パネリスト, (6)日本生活教育連盟教育研究集会共同研究者, (7)1月〜3月:長野県長野市立七二会中学校校内研修講師, (8)5月〜10月:新潟県済生会第二病院プリセプター研修講師, (9)10月:信濃教育会教育研究所公開研究会講師「教師の現在」, (10)9月:上越教育大学実践センター主催連続ワークショップ講師, (11)4月〜3月:上越市男女共同参画審議会副会長
 

角 谷 詩 織(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 最先端の研究的知見をとりいれつつ,教育実践の場に求められる理論や情報を提供した。パワーポイントを利用するだけでなく,配布資料,グループワーク等も取り入れ,積極的な授業参加の姿勢を求めるものに工夫した。成績評価では,出席を重視したが,課題等で参考文献を取り入れたり,研究成果を取り入れる等の工夫がみられたものには,さらなる加点をした。
【観点2】教育の達成状況
 目標をおおむね達成できた。
研究指導
【観点1】学部
指導学生なし。
【観点2】大学院
 毎週1本の論文紹介を行い,夏季休業明けには,20本のレビュー論文執筆ができるよう指導した。さらに,1年目の後期からは,教育実践の場にかかわりながら研究を進めることができるよう,環境面でも整えた。統計分析や観察分析の技術も指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 最先端の研究理論をとりいれつつ,教育実践の場に求められる知見を提供することに重点を置いた。
 今後は,学生や大学院生のレベル(漢字が読めない学生がいるなど)を考慮した教授方法を考えていく必要があると感じた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】(1)「生徒指導提要」の現行案の執筆協力者T(文部科学省)
発】(1)平成22年8月:『小学校高学年の論理的思考努力に与える学校生活での積極性の影響』(単) 教育心理学会第52回総会
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)学力の把握に関する研究指定校事業「小学校総合的な学習の時間」企画委員T(文部科学省), (2)生徒指導提要の作成に関する協力者会議協力者T(文部科学省), (3)上越市環境審議委員会委員T, (4)文部科学省「楽しい子育て全国キャンペーン」〜親子で話そう!家族のきずな・我が家のルール三行詩選考委員 
 

田 島 弘 司(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 前後期すべての授業において講義支援システムの電子掲示板を使用し,個々の学生が授業の感想や課題を電子掲示板に書き込むことにより,授業の振り返り,授業間の継続性の確保や意見交換,情報の共有化が促進された。成績評価の方法は,シラバスで明示するとともに授業でも説明した。出席,電子掲示板への書き込み,レポート等による総合的な評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
 「学生による授業評価アンケート」の結果は,ほとんどの授業について評価が前年度と同等か高かった。教育の質は確保されていると考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 4年生になった時点で教員採用試験の準備に集中できるよう配慮し,先行研究の収集と分析及び基本的な文献の収集と分析を3年次にほぼ終わらせた。このことにより,文献に基づく研究の手法を修得し卒業論文としての一定の水準を確保できたと考える。
【観点2】大学院
 高度で臨床的な実践力を修得させるために,研究課題への取組を文献調査にとどまらせず,理論を実践に生かすためのプログラムを開発し,それを小中学校で実践し,そのデータを量的及び質的調査を通じて分析し評価することを行わせるなどした。免P3年4名の修士論文を指導し完成させた。また,免P2年3名,免P1年1名の研究指導を行い,それぞれ中間発表,構想発表を行わせた。
特色ある点及び今後の検討課題等
(特色ある点)授業においてグループディスカッションを多く取り入れることで,学生間のコミュニケーションを多くし学び合いが促進されるように工夫している。グループの構成員を変えたり,人数を変えたりすることによって,コミュニケーションの質を確保するようにしている。
(今後の検討課題)多忙のためストレスを抱えている免Pの学生が多くなってきている。よって,ゼミでの研究指導において,できるだけ学生にストレスを感じさせないようにすることが今後の検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成22年7月:『ガンディーの共生観と平和観に関する一考察』(単) 日本国際理解教育学会
(2)平成22年10月:『笑いヨガの学校用プログラム開発の課題と展望』(単) 日本コミュニケーション学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)コミュニケーション能力の育成を促すアルパカの飼育活動 代表者:田島弘司(上越教育大学) 大手町小学校1年2組の茂木淳子教諭との共同研究
(2)東アジア等の自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性 代表者:藤岡達也(上越教育大学) 科学研究費補助金基盤研究(B)
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本コミュニケーション学会東北支部
◎特色・強調点等
 2010年度は,大手町小学校の教諭との共同研究を始めた。また,科研費研究の研究分担者としてベトナムのハノイ国家大学と台湾の嘉義大学において調査研究を2回実施した。それらの成果を次年度に,口頭発表,論文投稿等の形でまとめる予定である。まだまだ研究の量が少ないが徐々に増やしていきたい。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)学習スキル研究会講師, (2)NPO法人「フリースクール夢想舎」講師, (3)大手町小学校の生活科「アルパカ飼育」の研究協力, (4)4月〜3月:出前講座「さあ,はじめましょう!国際交流(入門編)」の開設, (5)4月〜3月:出前講座「みんなで一緒に考えましょう!総合的な学習の時間の使い方」の開設, (6)上越ヨガフェスタ(チャリティ)講師, (7)第12回城下町高田 花ロード実演者(笑いヨガ), (8)笑いヨガ研修会の実施
◎社会への寄与等
 2010年度は,笑いヨガのティーチャー養成講座を受講し笑いヨガティーチャーの認定を受けたことによって,それに関する社会貢献が多くなった。笑いヨガに関する研究も行っているので,その成果を教育や社会貢献のために今後生かしたい。まだ数としては少ないが,昨年度に比べると少し増えているので,改善が見られたと考える。
 

両 角 達 男(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部の授業「算数科指導法」や「学習臨床開発論」などでは,具体例に基づきながら算数の学習指導で大切にしたいことを考察したり,算数的活動を促すための教材開発について検討したりした。例えば,算数科指導法では,数と計算領域や図形領域の学習において,スパイラルを重視した学習指導の必要性を具体的に論じた。また,「学習場面観察基礎」では,授業者の視点と学習者の視点を行き来させながら算数の授業設計や授業分析のあり方について考察を深めた。
 大学院の授業「算数・数学学習過程特論」などでは,数学学習に関わる大規模学力調査の分析結果や傾向をもとに議論を行ったり,テクノロジーや教具を活用した数学の学習過程について,具体例をふまえた議論を行った。
【観点2】教育の達成状況
 算数や数学の学習場面の具体例に基づいて考えたり,授業をとらえる視点を変えて授業に関する議論を重ねることは,受講者のニーズにあっていると思われる。
研究指導
【観点1】学部
 平成22年度は,学部4年生4名,学部3年生1名の学生を指導した。
【観点2】大学院
 平成22年度は,修士課程の大学院1年生1名の学生を指導した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 算数・数学の学習について具体例に基づいて考察すること,授業をとらえる視点を意識して議論を重ねること,テクノロジーや教具を用いた活動とそのふりかえりを大切にすることが,講義の中で重視していることである。
 今後の課題としては,複数教員担当での授業展開のあり方について,先生方との連携をさらに図りながら工夫をすることである。また,評価に関わるレポート課題の内容や頻度,試験の有無についても,単位の実質化と受講生のニーズ等を勘案し,徐々に改善を図る必要を感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年11月:『単元「式と証明」における式を読むことを重視した活動と学習の深化』 両角達男,荻原文弘著 日本数学教育学会,第43回数学教育論文発表会論文集 pp.573-578
(2)平成22年11月:『単元「式と証明」におけるふりかえり新たな意味生成をする数学的活動』 荻原文弘,両角達男著 日本数学教育学会 第43回数学教育論文発表会論文集 pp.151-156
(3)平成22年11月:『探究的活動としての証明の学習指導の充実に向けて−学習のリズム感と証明の必要感を重視した単元をつくる−』 両角達男著 日本数学教育学会 第43回数学教育論文発表会課題別分科会論文集 pp.45-50
発】(1)平成22年8月:『有理数から平方根に接近する数学的活動における学習者の動き』(共) 日本科学教育学会第34回年会
(2)平成22年11月:『単元「式と証明」における式を読むことを重視した活動と学習の深化』(共) 第43回数学教育論文発表会 日本数学教育学会
(3)平成22年11月:『単元「式と証明」におけるふりかえり新たな意味生成をする数学的活動』(共) 第43回数学教育論文発表会 日本数学教育学会
(4)平成22年11月:『探究的活動としての証明の学習指導の充実に向けて−学習のリズム感と証明の必要感を重視した単元をつくる−』 第43回数学教育論文発表会課題別分科会 日本数学教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)スパイラルを重視した数学的活動による代数学習の深化を促す単元と学習方法の開発 科学教育研究費による共同研究 代表者:両角達男
(2)子どもの「問い」を軸とした算数授業に関する実証的研究 代表者:岡本光司
学会活動への参加状況
(1)平成22年8月2日〜3日:日本数学教育学会第92回全国算数・数学教育研究大会参加, (2)平成22年9月11日〜12日:日本科学教育学会第34回年会参加, (3)平成22年11月13日〜14日:日本数学教育学会第43回数学教育論文発表会参加
◎特色・強調点等
 「スパイラルを重視した数学的活動による代数学習の深化を促す単元と学習方法の開発」については,高校数学における単元「式と証明」を設計し,授業実践とその分析を通して考察を進めた。特に,同一生徒に対して実施した単元「平方根」とのつながりを重視し,生徒が学習したことがらの意味を新たに形成する過程や,問題解決過程における式を読む活動の様子の質的な分析を行った。
 「数学を育む数学的活動の開発と効果」については,数学的モデリングを含む数学的活動論と小中高連携などの視点から共同研究者との議論を進めている。
 子どもの「問い」を軸とした算数授業に関する実証的研究では,静岡県内の公立小学校での算数授業を継続的に参観し,データを収集しながら,その分析を行っている。その分析の中で,子どもの算数学習を進めるための「問い」の機能や数学をつくるための「問い」の役割などを考察している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)魚沼市学習指導センター,数学科授業づくり研修講師, (2)長野県総合教育センター,中学校数学科教員研修講師, (3)上越カリキュラム開発研究推進委員, (4)上越教育大学附属小学校研究発表会,算数共同研究者, (5)長野県上田高等学校進路指導講師, (6)静岡県総合教育センター,算数・数学科授業づくり研修講師, (7)静岡県東部総合庁舎,算数・数学科授業づくり研修講師, (8)神奈川県相模原市,中学校数学科教員研修講師, (9)長野県算数数学教育研究大会北信地区大会講師, (10)上越市立大町小学校授業研修会,算数共同研究者, (11)長野県上田市算数・数学教育研究会講師
 

 野 浩 志(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業の目標を明確にし,わかる授業に取り組んでいる。
 講義支援システムを活用し,むだのない授業に取り組んでいる。
 目標と評価を連携させて,各授業回数ごとに評価をおこなっている。
【観点2】教育の達成状況
 おおむね,達成されている。
研究指導
【観点2】大学院
 免P1人と研究生1人を指導している。週2コマは,研究上の指導,その他,教員採用試験の勉強も指導している。
その他の教育活動
・課外活動(卓球部)顧問
特色ある点及び今後の検討課題等
 学生ひとりひとりにあわせたきめ細かい指導を行っている。
 学生の教員採用試験対策に関しての指導が検討事項である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成22年11月:「すべり摩擦によるラトルバックの解析」(単) 新潟・山形大学合同素粒子理論研究会
学会活動への参加状況
(1)11月20日 新潟・山形大学合同素粒子理論研究会
◎特色・強調点等
 本年度は論文作成における主要な結果を得ることができた。
 

林   泰 成(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 演習の授業では,グループワークや模擬体験を導入してワークショップ形式で行い,学生院生の興味を惹くように工夫した。講義の授業では,小中学校の授業の様子をビデオで見せるなどして,教育現場の実際の様子がわかるような工夫をした。また,すべての授業で,毎回,授業の最後に感想を書いてもらい,その内容に関して次の時間に学生にフィードバックする工夫をした。
【観点2】教育の達成状況
 学部生に対しては,道徳教育の理論から実践までひととおり教示できた。学生もおおむね理解したと思われる。大学院に関しては,さまざまな道徳教育研究のスタイルを取り上げ,検討した。院生もおおむね理解したものと思われる。
研究指導
【観点1】学部
 2名の卒論の指導を行った。それぞれがすばらしい卒論を書き上げ卒業した。
【観点2】大学院
 修士課程の4名の修論を指導した。全員が現職派遣教員であったため,4名ともに,実践に即したすばらしい修論を書き上げた。
その他の教育活動
(1)国立大学法人富山大学で,非常勤講師として「道徳教育論」を2クラス開講した。
(2)放送大学において客員教授として「道徳教育論」を担当した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 より実践的な効果が出るように,講義では,できるだけ学校現場の話を織り込むようにしている。また,実際の授業の様子を理解させるためにビデオ視聴を取り入れている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年3月:『中学校道徳授業で仲間づくり・クラスづくり モラルスキルトレーニングプログラム』(編著) 明治図書
◎特色・強調点等
 学校現場と連携して実践的な研究を行っている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県同和教育推進協議会(副委員長), (2)新潟県「豊かな体験活動」「道徳教育実践研究」推進協議会委員, (3)新潟市青年会議所研修会講師, (4)長岡市教育センター「研修講座」講師, (5)岩手県立総合教育センター「授業力向上研修講座」講師, (6)新潟県同和教育研究協議会「生きるV」改訂委員会委員(委員長), (7)村上市立三面小学校研究会講師, (8)長岡市立栃尾南小学校研修会講師, (9)糸魚川市立糸魚川中学校研究会講師, (10)糸魚川市立糸魚川東中学校研究会講師, (11)福井県越前市万葉中学校研究会講師, (12)富山県立水橋高等学校講師, (13)上越市校長会講演会講師, (14)上越市立教育センターカウンセリング研修会講師, (15)上越市立大手町小学校研究発表会講師, (16)上越市立南本町小学校学校評議員, (17)上越市立城北中学校学校評議員, (18)教員免許状更新講習「道徳の指導法」(於:上越教育大学および長岡技術科学大学), (19)教員免許状更新講習「必修領域」(於:岩手県立総合教育センター)
◎社会への寄与等
 新潟県教育委員会の設置する各種委員会の委員として積極的に教育政策の審議にかかわった。また県内外の学校で各種研修会を開催し,地域貢献に努めた。
 

安 藤 知 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院授業では,ディスカッションを多く取り入れているが,免許プログラム生やストレート学生,現職院生など多様な受講者が対等に議論に参加できるように,平成22年度は適宜授業者による講義をはさみ,議論の際の手がかりとなる基本情報の共有を図った上で議論の質が深まるよう配慮した。また学部授業では,ワークシートやグループ討議,ディベートなど多様な方法を活用し,毎回必ず受講者自身が発信する機会を取り入れた。成績評価については,出席やレポート提出等の他,毎回の議論への積極的参加や,様々な作業での発言の内容等も全て加味して得点化した。学生からの問い合わせにすぐに説明可能な成績評価のためのチェックシートを作成し,活用した。
【観点2】教育の達成状況
 各講義の目標はほぼ達成できた。学部必修科目,選択必修科目等受講者の多い科目でも,おしゃべりや居眠りがほとんど気にならなかったので,受講者の積極的,主体的な学習活動もほぼ問題無く促すことができたと考える。
 ただ,大学院授業については,受講者人数が多すぎるため,全体での議論が難しくグループ討議を多用せざるをえなかった。そのため,授業中の議論の深まりにはグループによる格差がある時もあり,授業記録用紙でのリフレクションとフィードバックを活用してもなお,各個人の学習達成として個別に見ると課題が残る受講生も若干いたと思われる。
研究指導
【観点1】学部
 まず前期には卒業論文,卒業研究のイメージを明確にするために先輩の卒業論文,修士論文の読解から始め,問題関心を研究課題へと焦点化し,その研究に取り組み考察する過程についての学習に重点をおいた。また,漠然とした各自の問題関心を焦点化するために,後期には学校教育に関する今日的課題の理解と先行研究論文の読解に重点をおいて指導を行った。
【観点2】大学院
 経験的で素朴な問題関心を,理論的に捉え,そこでの関心に答えを導き出すための分析方法の学習と思考訓練に重点をおいて指導を行った。特に,先行研究を丁寧に読解しつつ自らの主張を組み立てる作業について,多様な関心を持つ院生間での議論が活かされるよう配慮した。また,他コース院生,教職大学院院生等からの相談にも広く応じ,研究活動への支援を行った。
その他の教育活動
・新潟産業大学非常勤講師『教師論』
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部,大学院ともに,授業の内容にあわせて多様な学習手法を活用し,受講者の主体的学習を促す工夫を継続して行っている。特に成績評価に対する説明資料の作成については,より丁寧に行い,学生からの問い合わせに対応できるようにしている。
 今後は,受講者が多い授業でのディスカッションの活用方法や進め方の工夫等が検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年5月:『教職研修総合特集・「新たな職」を活かす校長の学校経営』(共著) 教育開発研究所
論】(1)平成22年5月:『教員評価の実態と1年を通じた主な流れ・留意点』(単著) 教職研修,第38巻第9号,教育開発研究所
(2)平成22年5月:『環境変動社会におけるミドル・リーダーの役割―見取り図を描き,文脈をつなぐミドル・リーダーへ』(単著) 教育展望,第56巻第4号,教育調査研究所
(3)平成22年11月:『公平性や客観性に留意した評価の在り方をどう考えるか』(単著) (実践ガイドブックシリーズ5)「人事考課」で教師・学校のパワーアップ戦略
(4)平成23年3月:『魅力ある授業を想像する学校の在り方』(単著) 学校教育,広島大学附属小学校学校教育研究会,第1124号
発】(1)平成22年5月:『学校経営改革と教職アイデンティティの変容』(単) 日本学校教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)地域課題に基づくスクールリーダー研修プログラムに関する開発的研究 代表者:末松 裕基(学校教育学系) 上越教育大学研究プロジェクト
(2)東京学芸大学カリキュラム開発センター,プロジェクト研究(代表者:前原 健二) 学外研究員
(3)国立教育改革研究所「教員の質の向上に関する調査研究(学校管理職養成プログラムに関する総合的研究)」(代表者:葉養 正明) 研究委員
学会活動への参加状況
(1)5月15日 日本学校教育学会公開シンポジウム「教育改革下の学校と教師」出席, (2)6月4日〜6日 日本教育経営学会第51回研究大会出席, (3)7月31日〜8月1日 日本学校教育学会第25回研究大会出席, (4)8月21日 日本教育学会研究大会出席, (5)10月1日〜3日 日本教育行政学会研究大会出席
◎特色・強調点等
 学内研究プロジェクトにおいて,上越市内の学校長との研究協議の場を設定し,学校経営に関する実践と研究の連携や,スクールリーダー研修の在り方について実践的に探求した。この研究は,本学の地域貢献事業である「戦略的学校改善支援WG」の取り組みとも関連する実践的なものであり,今後さらに継続発展させるべきものである。また,並行して学校経営改革の動向,特に学校組織の在り方に対する教育行政関係者や地域住民,保護者等の認識の変容について研究を進め,これらの社会変化に伴う教師のアイデンティティ問題を探求した。これは,今後の学校経営の方向性を模索し,それを担う教員養成の在り方を検討する上で意義深いものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)5月:長野県教職10年経験者研修講師, (2)1月:新潟県教職12年経験者研修講師, (3)4月:山形県教職10年経験者研修講師, (4)11月:新潟県立六日町高等学校 大学教育体験「教育学」講師, (5)上越市立高志小学校評議員
◎社会への寄与等
 学校組織のマネジメント,ミドルリーダーの役割,学校評価等,学校経営学に関する専門知識を活用して,10年経験者研修の講師や学校評議員としての活動を行った。
 

稲 垣 応 顕(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業を講義形式だけでなく,スモールグループワーク(SGE,SSTなど)を適宜導入した。それにより,受講学生の教育実践力の基礎に寄与できたと考えている。
 また,評価については最終試験だけでなく,毎回の授業におけるディスカッションと成果発表,小レポートを加え総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業では,生徒指導・学校教育相談の基礎理論とともに,子どもへのカウンセリング的関わりの基礎を伝えられたと考えている。
 大学院の授業では,教育相談の理論と手法の習得に加え,事例検討を通して学校教育現場の変化とリアリティに即した展開力について習得を促せたと考えている。
研究指導
【観点1】学部
 3年生1名,4年生3名のゼミ学生に対して,各自の研究課題に即したレポート報告とディスカッション,適応指導教室などへの見学による指導を行った。実際に,卒業研究で子供と関わっている学生に対しては,その都度カンファレンスを行った。
【観点2】大学院
 M1学生3人,M2学生5人(研究生1人)に対して,各自の研究課題に即したレポート報告とディスカッション,適応指導教室また複数の学会・研究会などへの同行によによる指導を行った。また,実践研究をしている院生については,子どもとの係わりの都度,カンファレンスを行った。
その他の教育活動
・富山県立保育専門学院 非常勤講師(臨床心理学)担当 通年
・富山赤十字看護専門学校 非常勤講師(発達心理学)担当 集中講義
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年2月:『小学校入学時における発達障害児をもつ母親の適応に関する研究−連絡帳の分析を通して−』(共著)上越教育大学研究紀要第30巻pp.11-17
(2)平成23年3月:『特別支援学級の友達に対する健常児の対人的関わり−小学校1年生を対象として−』(共著)上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要第17巻pp.19-23
発】(1)平成22年9月:『適応指導教室における集団心理教育の試み(1)−ショート・エクササイズによる対人関係ゲーム−』(共)  第43回日本カウンセリング学会教育学会発表論文集.187
(2)平成22年9月:『適応指導教室における集団心理教育の試み(2)−ショート・エクササイズによるSGE−』(共)  第43回日本カウンセリング学会教育学会発表論文集.188
他】(1)報告書 平成21・22年度上越教育大学研究プロジェクト『教育実践研究の議論−人間性形成・人間関係づくりの教育実践学を目指して−』計112頁 共同研究者:橋本定男・林泰成・白木みどり・稲垣応顕
学会活動への参加状況
(1)毎月第3月曜日:日本カウンセリング学会常任理事会出席, (2)平成23年度:日本カウンセリング学会第44回大会準備委員会 事務局長
◎特色・強調点等
 生徒指導提要が掲げる「新たな荒れ」に関する予防・対応の研修会で,県内外の小・中・高等学校,教育センター,適応指導教室で,演習を含む実践的な研修会を行ってきた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)日本学校心理士会新潟県支部 事務局長, (2)新潟県教育委員会委嘱 派遣カウンセラー, (3)石川県初任教員研修会講師(生徒指導・教育相談), (4)富山市教育センター主催カウンセリング指導員研修および教員7年次研修講師, (5)富山県高岡市教育センター適応指導教室推進委員
 

大 前 敦 巳(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 今年度より,学部だけでなく大学院の授業においても,リアクションペーパーを廃止して各回にワークシートを配付し,そこに授業内容について考えたことを記入し提出してもらう方式に改めた。ワークシートの記入時間中には,机間指導を行って集中力を欠く学生に注意を促した。また,記入したワークシートを小グループで読み合ってディスカッションを行い,受講生の様々な考えを聞き,自身の考えを発表する機会を設けた。成績評価も,ワークシートの提出を加味した方式に改めた。他方で,すべての授業でパソコン等の視聴覚機器を使用し,言語だけでなく,画像,音声,イメージを通じた授業内容の理解を図るよう努めた。
【観点2】教育の達成状況
 学部生・ストレート大学院生とも,ゆとり教育世代に移行したことも関係して,一方的に教員が話すだけでは,話す内容が通じない学生が増えてきているため,話した内容をもとに,学生に自分の考えを書かせ,それを発表するとともに他の学生の考えを聞くという作業を通じて,授業内容の理解が定着できるようになったと考える。実際,授業評価アンケートでも,前年度より良好な評価が得られており,今後も上記の方式を続けていきたいと考える。
研究指導
【観点1】学部
 当該年度は,学部4年生2名,3年生1名の研究指導を行い,ゼミを通じて従来通り卒業論文の指導を行った。卒業論文では,大学生の読書習慣,学級経営に活かす野外活動実践について,先行研究を調べた上で,当事者にインタビュー調査を行うことによって,教育現場の臨床的側面にそったデータを収集し,それを分析・考察する作業を行い,将来の実践力を高める指導の工夫を行った。また,生徒指導総合科目群において,卒業論文の中間・最終発表会を開催し,そこで全体的な指導を行った。
【観点2】大学院
 当該年度は,修士論文提出者3名,M2の免P学生2名,M1生2名の研究指導を行い,ゼミを通じて従来通り卒業論文の指導を行った。修士論文では,中学校の逸脱抑止,父親の教育参加,AO入試と進路形成との関係について,先行研究を詳細に検討した上で調査計画を立て,質問紙調査,インタビュー・観察調査等を通じて教育現場に入り,臨床的側面にそったデータを収集し,それを分析・考察する作業を行い,研究の質および教員としての実践力を高める指導の工夫を行った。また,生徒指導総合・学校心理科目群において,修士論文の構想・中間・最終発表会を開催し,そこで全体的な指導を行った。
その他の教育活動
 当該年度は,愛知県立大学大学院人間発達研究科において,教育社会学特講の非常勤講師を務め,通年30単位の講義を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 講義においては,学部・大学院ともワークシートへの記述を求めることにより,授業内容の理解を高める効果が上がっていると考える。また,ワークシート記述中の机間指導,ワークシートをもとにしたディスカッション,視聴覚教材の使用などにより,双方向的コミュニケーションを図る工夫を行っている。研究指導においては,学生自身が関心を持つテーマを選択させ,それについての先行研究を調べて,教育現場に調査に入ってデータ収集を行う作業をさせることにより,各学生の将来に役立つ実践力を高める指導を行っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年10月:『サルコジ政権下における学力向上策と職業専門化の接合論理』(単著) 日仏教育学会年報 第16号 112-121頁
(2)平成23年2月:『日仏の文科系大学学部における職業専門化』(単著) 上越教育大学研究紀要 第30巻 29-39頁
業】(1)平成22年10月:『学力向上をめぐる教育現場の現状と課題―パリとサルト地域の訪問調査から―』(単著) 日仏教育学会年報 第16号 154-159頁
(2)平成22年4月:『フランス調査』(単著) 平成21年度科学研究費補助金報告書 学力向上策の比較社会学―公正と卓越性の確保の視点から― 平成21年度各国現地調査のまとめ
発】(1)平成22年11月:『P.ブルデューの文化変動論―文科系大学学部の職業専門化を事例として―』(単) 日仏社会学会
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)学力向上策の比較社会学的研究―公正と卓越性の確保の視点から― 代表者:志水宏吉(大阪大学) 科学研究費補助金 基盤研究(A)
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日仏教育学会理事・事務局長
在外研究の状況
(1)11月14日〜11月25日:フランス,高等教育の職業専門化を通じた機会均等政策の最新動向に関する聞き取り調査と情報資料収集
◎特色・強調点等
 科学研究費補助金基盤研究(C)の研究計画に基づき,日本とフランスの高等教育における職業専門化の過程について,文献調査および現地調査を行い,日仏社会学会で研究発表を行うとともに,論文を執筆した。また,研究分担者として参加している科学研究費補助金基盤研究(A)のプロジェクトにおいては,フランスの学力向上策に関する調査を行い,報告書を執筆した。いずれの研究テーマにおいても,日本とフランスの教育が共通して変容している問題に着目し,その変容過程を国際比較の観点から調査・分析している点に特色がある。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)アレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会)事務局会員, (2)出前講座「新潟県立北城高等学校進路説明会」講師, (3)出前講座「新潟県立三条高等学校進路説明会」講師, (4)国立妙高青少年自然の家調査研究事業「少年期におけるリーダーシップの評価方法に関する調査研究」の助言
◎社会への寄与等
 当該年度は,国立妙高青少年自然の家調査研究事業では「少年期(高学年)リーダーシップ測定尺度」の開発に協力した。日仏教育学会事務局では,11月16日に十文字学園女子大学で開催された研究大会の企画運営等に携わった。出前授業においては,新潟県高田北城高校と三条高校で,教育系大学に進学希望の生徒を対象とする進路説明会の講師として参加し,フランスの教育システム・教育事情について講演しながら,教育学分野における教育研究の特色について説明を行った。
 

白 木 みどり(准教授)
 
<教育活動>
研究指導
【観点1】学部
 学部セミナーの時間の一部を院生と合同で行い,現職派遣教員からの講話や指導案検討会などを取り入れ,研究に活かしている。また,卒業論文執筆のための能力向上を図り,共通図書の輪読とレポート提出,発表を取り入れた指導を実践している。さらに,夏と春に合宿を行い論文指導のためのまとまった時間を確保している。
【観点2】大学院
 地域の学校との連携を重視し,希望する院生が,体験活動支援に参加できるシステムを構築し研究に活かしている。また,週1回のゼミ以外に構想発表,中間発表の事前に合宿を実施し,論文指導に当たっている。
その他の教育活動
・金沢大学非常勤講師
・新潟工科大学非常勤講師
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年4月:『図説キャリア教育』(共著) 社団法人
(2)平成22年4月:『新学校経営相談12カ月生きる力を育てる生徒指導・進路指導』(共著) 教育開発研究所
(3)平成23年3月:『中学校道徳授業で仲間づくり・クラスづくりモラルスキルトレーニングプログラム』(共著) 明治図書
業】(1)平成23年3月:『上越教育大学研究プロジェクト』(共著) 教育実践研究の議論 人間性形成・人間関係づくりの教育実践学を目指して
発】(1)平成22年6月:『道徳における「いのちの学び」を考える』(共) 日本道徳教育方法学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)豊かな心をはぐくみ,夢や理想の実現に向けてよりよい生き方を考える生徒の育成 代表者:木本秀樹(富山市立呉羽中学校校長) 富山市立呉羽中学校
(2)認め合い,高め会い,より良く生きようとする生徒の育成 代表者:普照 豊(金沢市立浅野川中学校校長) 金沢市立浅野川中学校
(3)ボランティア活動やインターンシップなどの実践活動や体験学習を通した人間力の育成 代表者:塩谷 優(石川県立七尾東雲高等学校校長) 石川県立七尾東雲高等学校
(4)人間社会を生きる子どもが育つ学校 代表者:林泰成(上越教育大学 附属小学校校長) 上越教育大学附属小学校
(5)温かな人間関係に満ちた集団づくり 代表者:笠井 孝(長岡市立宮内中学校校長) 長岡市立宮内中学校
(6)人間教育の基軸となる道徳教育に掛かる指導法の開発と展開 代表者:村上吉春(石川県立金沢西高等学校校長) 石川県立金沢西高等学校
(7)豊かな心をもち,たくましく生きる蛸島っ子の育成 代表者:中谷定盛(石川県珠洲市立蛸島小学校校長) 珠洲市立蛸島小学校
(8)思いを伝え合い,豊かな人間関係を築く子を目指して 代表者:近藤和彦(石川県鳳珠郡穴水町立向洋小学校校長) 鳳珠郡穴水町立向洋小学校
学会活動への参加状況
(1)11月13,14日:日本キャリア教育学会 新潟大学において実行委員として出席, (2)日本道徳教育方法学会理事, (3)日本キャリア教育学会中部地区理事
在外研究の状況
(1)10月10日〜22日:教育課題研修海外派遣ドイツのキャリア教育調査
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)国際ロータリークラブ職場体験支援事業アドバイザー, (2)国際ロータリークラブINtrecity meetingシンポジスト, (3)2月〜3月:国際ロータリークラブIntercity Meeting講演講師, (4)独立法人教員研修センター 教育課題研修指導者海外派遣プログラムシニア・アドバイザー, (5)6月〜8月:独立行政法人教員研修センター キャリア教育指導者養成研修講座講師, (6)6月〜8月:キャリア教育研修会講師, (7)11月:上越教育フォーラム講演講師, (8)11月:金融教育研究グループ研修会講演講師, (9)8月:活用力推進モデル校研修会協力者, (10)文部科学省小学校及び中学校の魅力的な道徳教材の作成に関する協力者会議委員, (11)新潟県立新井高等学校評議委員会委員, (12)6月:大阪府道徳教育推進教師連絡協議会講演講師, (13)11月:石川教育ウィーク豊かな心をはぐくむタウンミーティングin志賀講演講師, (14)7月〜8月:キャリア教育研修講座講師, (15)8月:道徳教育推進教師資質向上研修講座講師, (16)6月:教育課題研修会講演講師, (17)8月:キャリアカウンセラー活用事業講師, (18)生徒指導・進路指導総合推進事業審査委員会委員, (19)道徳教育研修会講師, (20)3月:上越市雇用対策プロジェクト保護者対象講演, (21)6月:小・中学校及び県立学校キャリア教育推進のための研修講座講師, (22)4月〜3月:中学校キャリア教育の手引き作成に関する協力者会議委員, (23)8月:10年経験キャリア教育研修会講師, (24)8月:熊本県キャリア教育研究会講師
 

橋 本 定 男(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
(1)教育方法について学部の授業においては,@現職教師の体験を生かし,講義内容に結びつけて教師の喜びや教育実践の楽しさなどを伝えるよう工夫した(本大学はこの側面が重要)。A教育活動の映像やリアルタイムの学習指導案などを使い,現場の実際の動きや課題を実感できるよう工夫した。B質問への答えを話題に議論したり,ミニレポートを提出させ討論したりするなど,自分で考えることと他と議論することの両方から理解の深まりを図った。
 大学院の授業では,@実践現場でのリアルな課題や問題点,学会や研究者間の問題意識・議論テーマ等を取り上げ,講義内容に関連させ,理解や追究の深まりを図った。A私の研究テーマ(学級集団における合意形成)について成果を伝え,それを議論し合いながら,特別活動及び生徒指導における実践方法と研究方法の統合について追究意欲を高めることを図った。これらの結果,学生・院生の授業評価はほとんどにおいて,概ね4.3くらいの評価を得ることができた。授業でも手応えを実感できた。今後も工夫を継続していきたい。
 議論や作業に主体性を発揮できず他に追従する者がいるなど課題もあり,新たな工夫も求められている。教師になる意欲が高まった,現場で実践研究したいという声の多いことが一番の励ましである。
(2)成績評価について  課題を課してミニレポートを,ほぼ毎時間提出させるようにした。この内容と質問への答えや議論のときの発言を評価素材として活用した。また学部では主として試験問題を,大学院では課題レポートを最終判断に活用した。ただ,「特別活動論」は受講者が300人なので,ミニレポートや試験問題の点検に時間がかかり,ひどく苦労しているところである。しかし,ノートや本の文章を写すだけで終わらず「で,自分は〜」と自身の考え方や主張も必ず出すということに今後もこだわっていきたい。
【観点2】教育の達成状況
(1)学部卒業生教師と子どもの人間的なかかわり方,その重要さや喜びを繰り返し強調した。そこを採用試験で前面に出し,合格したゼミ卒業生がいる。
 自身の現場体験から危機状況のある事例や解決した体験などを折にふれ語るようにした。また,本大学の特色である現職教員が共に学ぶ場面が多いことを生かし,いじめ問題等リアルな実践について全体で議論する工夫も試みた。レポートに問題状況に正面から向かう姿勢を述べる学生が増えている。
(2)大学院修了生1回目の修了生を送り出したところだが,実際の授業の研究的参観を繰り返し,各自の研究に生かす態勢をつくったこと。また,学会や研究大会,学校の研究発表会等にできるだけ参加するようにしたこと,等々が効果をあげていると思う。1名は現場復帰後も授業の研究的実践を続け,平成23年度の学会で発表している。1名は大学(玉川大)研究者として活躍を開始した。院のときからのネットワークを生かし,多くの研究者と交流している。
研究指導
【観点1】学部
 個別に述べる。5名の卒業研究を指導し,卒業させた。A:集団規範について,先行研究から客観的な集団規範測定と教師の指導タイプ理論を見つけ,学校に入って調査し,自身の力で分析することに関する指導。B:アレルギーをもつ子について,子どもの思いと教師の思いのズレをどうやって科学的な手法で証明するかの方法に関する指導。C:集団宿泊行事について,参与観察しながら子どもの事実を集積し,データ化し,意識調査と関連させながら分析することに関する指導。D:特別な支援の必要な児童について,学級の子どもとのかかわり方を客観的にとらえる方法と結果を自分で分析することに関する指導。E:小学校での命の授業について,多様な授業実践を集積,データ化し,分類し,仮説検証する考察方法に関する指導。
【観点2】大学院
 6名の修士論文を指導し,修了させた。A:部活動指導について,挫折後再入部した生徒への指導を参与観察しデータ化し,レジリエンスの理論から分析する研究の指導。B:社会性育成について,学校(3学年)の組織的な取組みを学級活動内容(1)(2)の関連から調査,分析し,よりよい関連のさせ方を考察,提言する研究の指導。C:小学校委員会指導について,意欲を高めるための自由所属制の取組みを取り上げ,その取組みが生まれ衰退していく経過の分析を通して,指導の問題の本質的な課題を探る研究の指導。D:教師の統率力について,騒々しい場面のビデオ映像視聴後のアンケート調査から新人教師とベテラン教師を比較,検討する研究の指導。E:学級活動・話合いについて,合意形成に至る複雑な過程を「組織論」に立って可視化し,よりよい話合いの在り方を探る研究の指導。F:これまでの学級活動指導の歴史から現在に至る指導上の根本的な課題を概観し,「対話」や「ファシリテーション」の理論から考察し,これからの指導の在り方を提言する文献研究の指導。
その他の教育活動
(1)新潟県立大学で非常勤講師として「特別活動論」を開講
(2)教員免許状更新講習・必修科目「教育の最新事情」を担当(於:長岡造形大学,佐渡いこいの森)
特色ある点及び今後の検討課題等
 県立大学の授業については集中講義であることから,授業構成を工夫し興味関心が持続するように,また教職に関する授業が少ない大学の事情を踏まえて教育の実際や現場の様子を伝え教職への意欲が高まるように,等々の工夫をした。これらの工夫は本大学での授業に直結するので,双方に役立っだたと思う。
 免許更新講習については,自分の専門科目外だが,教育課程担当指導主事や学校経営の経験を生かし,具体的・実際的な内容を提供することができ,理解しやすかったとの評価を得た。教育改革の進展や背景について情報収集に努めたことが講義や研究に役立ち,いい勉強になった。現職への講義は懐かしく,やりやすかった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年2月:『指導の改善に生かす新しい学習評価』(共著)学校図書
(2)平成22年6月:『新学校経営相談12ヵ月:発達に応じた学年・学級経営』(共著)教育開発研究所
(3)平成22年4月:『新学校経営相談12ヵ月:生きる力を育てる生徒指導・進路指導』(共著)教育開発研究所
(4)平成22年4月:『特別活動と人間形成(改訂新版)』(共著)学文社
論】(1)平成23年3月: 特集論文『特別活動を通した学校の特色づくり』(単著)日本特別活動学会紀要第19号pp.17-21
(2)平成22年4月:『居場所,こだわり,ここ一番』(単著)教師のチカラ創刊号 日本標準pp.8-9
発】(1)平成22年8月:『学級活動(1)における「2者択一型(AorB)」の話合い活動の有効性とあり方』(共)  第19回日本特別活動学会研究発表
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)上越教育大学研究プロジェクト「人間性形成,人間関係づくりの教育実践学」研究代表,平成23年1月教育実践学フォーラム実施(於;妙高青少年自然の家)
(2)富山県小学校教育研究会・特別活動部会,東部・西部地区「2者択一型(AorB)」の話合い活動の研究(共)平成22年10月東部・西部各地区研究発表会 
(3)新潟県小学校教育研究会指定特別活動研究校,新潟市立関屋小学校における「2者択一型(AorB)」の話合い活動の研究(共)
学会活動への参加状況
(1)8月21日〜22日:第19回日本特別活動学会出席,課題研究発表会司会, (2)10月2日:日本特別活動学会第2回研究会出席, (3)平成22年度日本特別活動学会理事, (4)平成22年度日本特別活動学会・研究開発委員会に委員として出席
◎特色・強調点等
 学級活動の話合い活動における合意形成について,特に「2者択一型(AorB)」議題という合意形成が最も困難な状況での話合いについて研究してきた。
 その実践研究を富山県小学校教育研究会,新潟県小学校教育研究会の特別活動部会,研究指定校と協働連携で進め,その成果を研究発表会及び日本特別活動学会等で,発表してきた。人間関係形成やコミュニケーション力形成の上で,話合いによる合意形成の意義や方法について,教育現場に理解を広める事に寄与できたと思っている。実践現場と結びつけた合意形成の研究をさらに進めて行きたい。
 また,話合い授業を他に公開できる人材が上越地区に乏しい現状があるので,地区の小学校教育研究会や校内研修会を通して,方法原理や指導方法についての共同研究を進め,人材育成にも奔走しているところである(各連携学校との研究については省略した)。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)国立妙高青少年自然の家施設業務運営委員, (2)見附市教育委員会第三者評価委員,学校評価アドバイザー, (3)上越市立教育センター研修講師, (4)佐渡市教育講演会講師, (5)新潟県教育委員会・社会性育成教員リーダー研修会・指導助言者(上越会場,中越会場,佐渡会場), (6)新潟県教育委員会・社会性育成パイロット事業指定校・指導助言(三条市立大崎小学校), (7)新潟県特別活動研究会顧問, (8)全国特別活動研究会参与, (9)新潟県小学校教育研究会指定教育課程研究校・指導者(魚沼市立井口小学校,研究発表会講演)
◎社会への寄与等
 自己の専門性を生かして学校現場にかかわっていく機会を多くもつことができ,やりがいを感じた年度だった。
 

生 澤 繁 樹(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院の授業では,取り扱うテーマやトピックスを毎年度刷新し,授業内容をたえずデザインしなおすことを試みている。また学部の授業では,オリジナルの授業教材を作成・配付し,必要に応じてパワーポイント,映像,ワークショップ型の授業など,様々な教育メディアを効果的に取り入れ,分かりやすさと発見をともなう授業をめざしている。今年度は,前年度の授業評価の意見を反省的に受けとめながら,入門的知識と専門的知識の間のバランスや授業難易度の設定など,受講者の構成を考えながら授業方法の改善を施した。また受講者のリアクションを教材としてまとめ,受講者の意見や発言を授業のなかに積極的に還元していくことも引き続き行った。成績評価面では,受講者の各回の提出課題の評価に加え,試験の採点基準,評価のポイントを明確にし,より厳密かつ公正な成績評価に努めた。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価の結果から判断する限り,授業における教育活動のねらいは概ね達成されたと考えている。受講者の前向きな学習姿勢が大きく関係すると推察するが,学習者自身の取り組み,授業者の授業内容,授業方法ともに,大学院・学部の授業科目において全体的に高い授業評価が得られた。とりわけ学部の多人数授業においても,総じて高い評価を得ることができた。教育の理念や歴史に関する講義であるにもかかわらず,授業評価では「毎回授業内容が多様であきることがなかった」「内容や説明が分かり易かった」「難しい内容(問題の解決には)もありましたが,それを真剣に考え向きあえることができました」「どうすれば,興味深い内容になるか,熱のある授業になるかの手立てや準備が十分になされており,非常に意義のある講義であった」「この大学で最も満足できる授業のうちの1つと言えます」など,たくさんのコメントも得られた。だが一方では,授業への意欲的取り組みや意識ついて良い評価が得られたものの,授業中以外の努力や学習時間の上昇にはあまり直結しなかったようにみえる。課題の内容と提示の仕方,授業外での学習促進方策の再考が,教育の達成という観点から見て,今後の大きな課題であると考えている。
研究指導
【観点1】学部
2010年度該当せず。
【観点2】大学院
 修士課程1年生計2名(免許プログラム生)の指導を担当した。修士論文の作成に向けて,関連する文献や資料の収集,先行研究の検討を行ったほか,毎週のゼミ内での研究報告,ディスカッション等の諸活動をとおして研究の基礎をかためつつ,研究課題に関する考察・分析を加えていった。また,ゼミの課外研修の一環として,岐阜県白川町教育委員会等が主催する「ユースカレッジ」のプロジェクト,および静岡大学教育学部における「道徳教育の授業開発──郷土資料づくりからはじめる道徳授業」のプロジェクトにも参画した。他大学教員・学生と指導学生との研究交流を積極的に図り,修士論文構想の報告・検討を学外合同ゼミとして実施するなど,研究指導上のネットワークづくりも重視した。
その他の教育活動
・愛知県立大学非常勤講師「道徳教育論」(2010年度前期集中)
特色ある点及び今後の検討課題等
 2010年度の教育活動の特色としては,学外非常勤講師として道徳教育に関する科目を担当し,研究課題についての資料収集や意見交換を図った。また,静岡大学の道徳授業実践のプロジェクトに参画した合同討議の内容が,プロジェクト報告書『道徳教育の授業開発──郷土資料づくりからはじめる道徳授業』(藤井基貴編,静岡大学教育学部,2011年3月,pp.72-78)のなかにまとめられ,収録された。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年10月:『日本のデューイ研究と21世紀の課題──日本デューイ学会設立50周年記念論集』(共著) 世界思想社
論】(1)平成22年5月:『コミュニタリアニズムの教育哲学──共同体に基礎をおく公共哲学と人間形成論の帰結』(単著) 教育哲学研究,第101号,7-14頁
(2)平成22年9月:『〈近代=世俗化〉の物語を再考する──Ch. Taylor, A Secular Age (2007) をめぐって』(共著) 近代教育フォーラム,第19号,147-158頁
(3)平成22年10月:『民主的な子どもの性向を育てる──デューイにおける家庭・学校・共同体のアポリア』(単著) 日本デューイ学会紀要,第51号,147-161頁
業】(1)平成22年5月:『デューイとの対話──デューイ的思索の過去・現在・未来』(共著) 教育哲学研究,第101号,202-206頁
(2)平成22年7月:『書評:井上弘貴著「ジョン・デューイとアメリカの責任」』(単著) イギリス理想主義研究年報,第6号,49-53頁
(3)平成22年11月:『書評:上野正道著「学校の公共性と民主主義──デューイの美的経験論へ」』(単著) 教育哲学研究,第102号,141-149頁
(4)平成23年3月:『郷土資料から道徳授業をデザインする──読み物資料とシティズンシップ教育の課題』(単著) 道徳教育の授業開発──郷土資料づくりからはじめる道徳授業,80-83頁
発】(1)平成22年6月:『教育的関係の政治学──「自然=本性」論の再考のために』(単) 上越教育経営研究会
(2)平成22年6月:『学校選択と価値多元社会──公教育の正当性の再構成のために』(単)教育哲学会特定課題研究助成プロジェクト公開検討会
(3)平成22年10月:『John Dewey’s Democracy and Education: The Acceptance and Influence in Japan』(単) 33rd Annual Global Studies Conference
(4)平成22年10月:『学校選択と価値多元社会──公教育の正当性の再構成』(単) 教育哲学会
(5)平成23年3月:『The Role of Teaching Philosophy in the Teacher Training Education』(単) 静岡大学就業力育成支援事業「哲学教育の役割」
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)公教育の「正当性」論のための基礎研究──近・現代の倫理学・政治哲学諸理論の比較検討 代表者:高宮正貴(上智大学大学院) 2010年度教育哲学会特定課題研究助成
学会活動への参加状況
(1)平成22年10月:教育哲学会第54回大会準備委員会事務局, (2)7月31日〜8月1日:日本学校教育学会第25回大会出席, (3)8月21日〜22日:日本教育学会第69回大会出席, (4)9月19日〜20日:日本デューイ学会第54回研究大会出席, (5)9月19日〜20日:教育思想史学会第20回大会出席, (6)10月7日〜9日:33rd Annual Global Studies Conference出席, (7)10月16日〜17日:教育哲学会第53回大会出席
在外研究の状況
(1)10月3日〜11日:アメリカ,ネブラスカ州オマハのマグネットスクール等に関する調査研究
◎特色・強調点等
 2010年度は,昨年度教育哲学会から助成を受けた2010年度特定課題研究のプロジェクトに引き続き従事するとともに,新規に採択された平成22年度科学研究費補助金・若手研究(B)「デューイ教育思想の政治哲学的検討─共同体論的再解釈の可能性と課題の解明─」の研究にも着手した。前者は単年度の研究助成であるが,後者は3年間計画の研究であり,現在(平成23年度)は研究計画2年目の年度に入り,研究課題のさらなる解明に向けて,研究を進めているところである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:岐阜県白川町模擬大学「ユースカレッジ」(白川町教育委員会)運営および授業「絵本から考える教育学─教える,学ぶとはどういうことか?─」担当
 

井 本 佳 宏(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業の内容,受講生の人数,学部・大学院の別等に応じて,適切な教育方法となるよう,講義形式,演習形式を使い分けた。
 成績評価についても,同様にレポート,試験を授業に応じて使い分けたほか,特に大人数の授業に関しては,小課題を適宜課すことで,日常的な学習成果の把握に努めた。
【観点2】教育の達成状況
 大人数の授業に関しては,途中で履修を取り消したり,試験を受験しないものが少なくなかった。また,最終的に学習成果が不十分なものも残念ながらいた。出席管理を厳格には行わなかった上に,1時間目の授業が多く,冬季に欠席を重ねてそのまま学習が不十分となっていったものが多かったように思う。今後は,出席管理の方法を工夫する必要がある。また,毎回しっかりと受講していたものについては,概ね満足のいく成績を示していることから,授業そのものは教育目標の達成にとって妥当なものであったと考えている。
研究指導
【観点1】学部
 特定の指導学生を受け持つことはなかったが,卒業論文の構想発表会,中間発表会,審査会等への参加や,日常的に研究に関する相談に応じるなど,コース所属の学生を中心に研究指導を行った。
【観点2】大学院
 特定の指導学生を受け持つことはなかったが,修士論文の構想発表会,中間発表会,審査会等への参加や,他の教員のゼミへの参加,日常的に研究に関する相談に応じるなど,コース所属の院生を中心に研究指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 大学院の授業および学部でも少人数の授業に関しては,なるべく一方的な授業にならないよう,演習形式をとっている。また,大人数の授業に関しては講義形式をとらざるを得ないものの,小課題を何回か課すなど,教員の講義を聴くだけの授業にならないよう,また,日常的な学習状況をなるべく把握するよう工夫している。今後の課題としては,演習形式での学生の能動的な活動をさらに高めてゆくことと,講義形式での教員自身の授業力を高めてゆくことが挙げられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年2月:『看護師養成の大学化の進展とその課題』(単著) 上越教育大学研究紀要,第30号,19-28頁
(2)平成23年3月:『看護師養成の大学化の進展とその課題』(単著) 日本的な専門職コンピテンシー抽出と質保証システム構築のための横断的分析(2009年度〜2010年度科学研究費補助金・挑戦的萌芽研究中間成果報告書),32-41頁  ※ 論】(1)の再掲
発】(1)平成22年11月:『システム論的アプローチによる学校体系論』(単) 日本教育制度学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)地域課題に基づくスクールリーダー研修プログラムに関する開発的研究 代表者:末松裕基(上越教育大学)
(2)日本的な専門職コンピテンシー抽出と質保証システム構築のための横断的分析 代表者:橋本鉱市(東京大学大学院)
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本学校教育学会機関誌編集委員会編集幹事, (2)6月19日:上越教育経営研究会2010年度研究発表会出席, (3)7月31日〜8月1日:日本学校教育学会第25回大会出席, (4)8月21日〜22日:日本教育学会第69回大会出席, (5)11月13日〜14日:日本教育制度学会第18回大会出席
◎特色・強調点等
 昨年度は,共同研究への参画など,新しい研究領域への足掛かりをつくることに力を入れた。特に,教員養成を担う本学に着任したことから,上越教育経営研究会や,日本学校教育学会などの実践的研究を掲げている学会に入会するなど,より実践的領域に近い研究へも目を向けて活動した。また,教育制度へのシステム論的アプローチという,これまでからの研究も継続しており,日本教育制度学会での発表に結び付いた。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
 本学教員および上越周辺の校長の有志をメンバーとした上越学校経営サロンを昨年度より組織するなど,地域の教育への貢献につながる活動を行っている。
 

末 松 裕 基(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○ 授業形態,学習(研究)指導法等の教育方法に関する取組状況
 授業での講義に留まらず,ワークシートにもとづく課題提示や授業中におけるフィードバックを通じて,教育内容の理解度が深まるように努めた。
○ 成績評価法に関する取組状況
 最終レポートの評価に加えて,授業時のディスカッションへの参加度や発言の回数,またはワークシートへの取り組み状況なども丁寧に評価した。
【観点2】教育の達成状況
 教育をめぐる状況や学校に関する理解を深める取り組みについて,概説にとどまらず学生の主体性の育成に重点を置いて指導した。
研究指導
【観点1】学部
 卒業論文執筆の指導や学生の研究関心にとどまらず,幅広く社会や教育をめぐる状況の理解を深めるために書籍の輪読や実践的視点を培うために学校訪問などを充実させた。
【観点2】大学院
 修士論文執筆の指導にとどまらず,研究方法や研究視点の精緻化を図るために学会発表やフィールドワークの機会を充実させた。
その他の教育活動
・富山大学で非常勤講師として「学校の制度と経営」を2クラス開講
特色ある点及び今後の検討課題等
 これまでにも教育をめぐる幅広い視野の育成に重点を置いてきたが,今後は,日本に留まらず国際的な視野からも理解が深められるように資料等の充実を図っていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年5月:『「新たな職」をいかす校長の学校経営』(分担執筆)教育開発研究所,28−31頁
論】(1)平成23年2月:「イギリス学校自律化政策の展開と課題」(単著)『上越教育大学研究紀要』第30巻,49−61頁
(2)平成23年3月:「学校設置・管理運営への教育関連企業の参入意識に関する調査研究」(共著)『教育実践学論集』(兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科)第12号,43−54頁
他】(1)平成22年9月:「イギリス教育経営学会(BELMAS)研究大会への参加を終えて」(単著)日本教育行政学会国際交流委員会『2009国際シンポジウム「教育行政研究の現状と課題」報告書』75−76頁
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)研究代表者:『地域課題に基づくスクールリーダー研修プログラムに関する開発的研究』平成22年〜23年度上越教育大学研究プロジェクト一般研究
(2)研究分担者:水本徳明代表『分権改革下における公立小,中学校組織の変容と教職員の意識及び職務実態に関する研究』平成22〜24年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)研究課題番号22330211
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)日本教育行政学会・若手研究者派遣:イギリス教育経営学会(BELMAS: British Educational Leadership, Management & Administration Society)研究大会,Wokefield Park, England,,2010年7月8日〜7月15日
学会活動への参加状況
(1)6月4日〜6日:日本教育経営学会大会出席, (2)7月2日〜4日:イギリス教育経営学会大会出席, (3)10月2日〜3日:日本教育行政学会大会出席, (4)平成22年度:日本教育経営学会研究推進委員会委員
◎特色・強調点等
 イギリスの学校経営改革の分析を重視し,成果を論文にまとめると共に,イギリス教育経営学会大会に参加することで研究交流を図った。また学校経営研修の開発を試み,現職校長等と上越学校経営サロンを実施した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)文部科学省委託事業・学校図書館司書教諭講習講師「学校経営と学校図書館」, (2)9月:学校経営研修会企画:畑康裕氏(株式会社立ウィッツ青山学園高等学校・校長)「『意育』と株式会社立学校のその後」上越教育大学, (3)9月:学校経営研修会企画「生き方講演会」上越市立春日中学校, (4)同,「ゼロからの学校づくり―その挑戦と苦闘―」上越教育大学学校教育実践研究センター, (5)9月:学校経営研修会企画「新時代の教師と学校への期待―『意育』の可能性と理念型学校の軌跡―」上越教育大学, (6)12月:学校経営研修会企画:上越学校経営サロン外部講師企画・小島弘道氏(龍谷大学・教授,京都教育大学大学院連合教職実践研究科・教授)「いま,スクールリーダーに求められるもの―大学院知としてのスクールリーダーシップ―」上越教育大学, (7)12月:「学校経営のこれまでとこれから―スクールリーダーシップという視野―」上越教育大学学校教育実践研究センター
◎社会への寄与等
 学校経営研修の開発を試み,現職校長等と上越学校経営サロンを実施した。また関連して学校経営に関わる研修会を企画・実施して外部講師の招聘企画,中学校における講演会を実施した。
 

辻 村 貴 洋(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義の時間のほか,授業内にて,受講者の発表(レジュメによる報告)を取り入れ,授業以外の時間を使って学習してもらえるよう,工夫した。
 また,発表資料等について,メール等による事前の指導を充実させたり,授業内で取り上げるテーマを,各自の研究テーマ(修士論文)とリンクさせられるように努めた。どの授業でも,学校と地域社会とのかかわりを取り上げた。これらは,学校教育のみならず,社会教育の領域までも含めた大きな課題であり,教職員として,どのように各種の活動に取り組んでいくかは,非常に重要となってくる。
【観点2】教育の達成状況
 おおむね,関心をもって取り組んでもらえたようであり,授業のねらいは達成できたものと考える。
研究指導
【観点1】学部
担当なし。
【観点2】大学院
 年度当初の研究計画にとらわれず,院生との話し合いをもとに,その後の関心の深まりから,研究の意義・目的・方法をさらに発展させられるように努めた。論文の講読や,学校現場の調査・ヒアリング等の活動を行いながら,研究指導にあたってきており,院生本人の研究テーマも深めてこられたように思う。
その他の教育活動
・独立行政法人 国立病院機構 新潟病院附属看護学校にて,「教育学」の授業を担当した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 看護学校での「教育学」の授業ということで,人間の成長・発達に関わる分野はもちろん,一般的な教育学(学校)の話題と,医療・看護・福祉の領域を結びつけて考えてもらえるように,授業内容を工夫した。およそ50名程度の受講者を対象に,授業以外にもメール等を通じて,時間外の質問等の受付も行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年11月:『教育委員会制度改革と地方教育行政』(単著) 教育制度学研究 第17号
(2)平成22年7月:『政府・文部科学省・中央諸団体の教育政策動向』(単著) 日本教育政策学会年報 第17号
(3)平成22年5月:『教育委員会制度創設期における地域教育計画と教育指導行政』(単著) 教育経営研究 第16号
学会活動への参加状況
(1)5月29〜30日:日本教育法学会 第40回定期総会出席, (2)7月10〜11日:日本教育政策学会 第17回大会出席, (3)7月18日:日本教育行政学会 公開研究会出席, (4)7月31〜8月1日:日本学校教育学会 第25回研究大会出席, (5)8月9日:新潟県学校事務研究協議会 第28回研究大会出席, (6)10月2〜3日:日本教育行政学会 第45回大会出席, (7)11月13〜14日:日本教育制度学会 第18回大会出席, (8)2月26〜27日:日本の教師教育改革のための福井会議2011および学校改革実践研究福井ラウンドテーブル2011出席
◎特色・強調点等
 学会への出席のうち,日本学校教育学会では,事務局幹事として参加し,また,課題研究にて司会を務めた。
 その他,学会に限らず,事務職員の研究協議会等にも参加し,県内の学校現場の最新動向の情報収集を行った。
 

越   良 子(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業においては随時レポートを課し,その内容を匿名で紹介することで,そのテーマについての理解・考察の深化と意欲の喚起を図った。
【観点2】教育の達成状況
 授業でのレポート内容から,心理学的観点からの子ども・教師・教育事象の理解が深まったことが示唆された。
研究指導
【観点1】学部
 卒論指導では,心理学の基礎的な方法論の習得と論理的思考の深化を重視した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学生・院生自身の指導経験について教育社会心理学的観点から考察させることで,専門的知識・知見を修得させるのみならず,彼らの教師としての力量の育成を図っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年8月:『教師間の協働的関係構築における日常的コミュニケーションの有用性』(共著) 学校教育研究,25巻,82-94
(2)平成22年8月:『中学生における個性の類似性・異質性認知と学級集団凝集性認知との関連』(共著) 北海道教育大学紀要(教育科学編),61(1),63-74
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本教育心理学会常任編集委員
◎特色・強調点等
 教職員あるいは学級の子どもたちの関係性の特徴とその集団の状況や動きとの関連を明らかにできた。集団の変容過程を何らかの形で捉えようとしているところに特色がある。
 

内 藤 美 加(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院の講義では子どもの発達と学習に関する最近の認知発達心理学的な知見に基づく研究成果や修士論文を紹介し,講義内容について討論や意見交換をすることにより学校教育心理学的な理解を促した。成績評価は学生個人の疑問点を文献で調べ報告するレポートによった。大学院および学部の実験では,レポートの添削及びその解説を行い,心理学的データの分析方法や研究計画法,研究報告書の作成方法を習得させた。
 学部の概論では,心理学入門としての位置づけを明確に説明した上で,心理学の面白さを体験させることを目標として学生が内容を理解することに重点を置いた。講義3回終了ごとに1回の割合で学生に質問表を提出させ,質問の解説を行った。講義内容の定着度を期末試験によって評価した。
【観点2】教育の達成状況
 大学院1名の修了生は,長野県の非常勤職員採用試験に応募している。
研究指導
【観点1】学部
 指導学部生がおらず,該当なし。
【観点2】大学院
 2年生1名に対して,週1回の定期ゼミに加えて不定期にゼミを行い,修士論文のための文献講読,実験材料ならびに調査項目作成,実験準備,および論文執筆などについて指導を行った。特に実験および調査データの収集と分析,結果の解釈についてはきめ細かく助言を与え,原稿に丁寧に朱を入れて論文の向上を図った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 以上の教育活動における特色の第1は,講義への模擬実験と討論の導入である。模擬実験を行うことにより,心理現象の面白さとその心理学的な捉え方を身近な実体験から理解したり,討論を通して疑問点を受講生同士が互いに補足し合うことにより,講義への学生自身の積極的な参加を促すよう努めた。第2に研究指導上の特色は,学生の日常的な直感をきちんと研究の俎上に載せることの難しさを自覚させた点である。自分の体験から発する素朴な問題意識は研究上どのように位置づくのかを考える態度や,問題を相対化し客観的,理論的に分析する態度の涵養を図った。学部と大学院ともに,講義に対しさらに積極的な聴講を促す方策を検討することが課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年12月:『自閉症スペクトラムの症候:その発達心理学的基盤』(単著) 精神科治療学,25(12), 1597-1603
業】(1)平成22年12月:『広汎性発達障害にみられる社会性障害とその基盤』(単著) 教育創造,(166), 48-53
発】(1)平成22年12月:『エピソード的未来思考と記憶の発達的関連』(単) 第6回犬山比較社会認知シンポジウム
◎特色・強調点等
 論文は,自閉症スペクトラムの一見多様な症候の発現基盤を発達心理学から概観した。定型発達児の乳幼児期発達を対人的刺激の選好性と相互主体性を基軸とする社会性の発達に焦点化して概説し,自閉症スペクトラムが示す共同注意や直感的心理化に関する特異性について,定型発達との相違と脳機能研究の知見から論評した。霊長類研究所主催のシンポジウム発表は,就学前児の自己体験的な記憶能力とエピソード的未来思考との関連について行った実験結果を報告した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)特定非営利活動法人発達障害研究推進機構(代表:京都大学医学部十一元三)が主催する研究会ならびに啓蒙・相談活動の一環として,大学院生やスクールカウンセラーとともに広汎性発達障害児における自己意識の発達についての勉強会(講師:十一元三,内藤美加)を行った。
(2)平成22年度 上越教育大学教員免許状更新講習 必修「教育の最新事情関係(’10)上越」(時間数 12,受講人数 138)のうち3時間(7月30日午前)を担当した。
◎社会への寄与等
 NPO法人の活動の一環として,広汎性発達障害児の自己意識に関して,記憶や模倣の諸能力の発達という観点から研究会を継続的に行っている。
 

中 山 勘次郎(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院「学習心理学特論」では,「講義支援システム」を活用して,自主学習用の参考資料を含むすべての講義資料をシステム上に登録し,受講生が自由に参照できるよう配慮した。
 学部「授業の心理学」では,授業に関係する最新の研究成果を,使われている教材等をできるだけ実際に体験しながら理解できるよう,内容や実習教材を部分的に入れ替え,またより基礎的な知識を扱う「学習心理学」と連動させながら,体系的な学習を支援している。
【観点2】教育の達成状況
 学部「学習心理学」において,学校教育に直接関係するテーマとともに,教員採用試験を見通したテーマ・教材等を多く取り入れることで,受講生の意識づけを高めることに成功している。
研究指導
【観点1】学部
 4年生3人・3年生1人を指導した。実践的な問題意識や発想を取り入れた研究指導を行い,本年度は部活動における心理過程に関する卒業研究2編が生み出された。
【観点2】大学院
 修士課程2年生3人の修論研究と,1年生1人を指導した。学校現場の実践的な問題意識を,心理学の視点から理論的に裏づけ,解決方法を探るという方針で指導にあたっており,本年度は,「体育嫌い」に関する動機づけ機構の分析と,サッカーの指導法に関する修士論文が生み出された。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学校現場での実践という視点を常に意識しながら,内容を構成している。また,とくに学部の授業に関しては,受講生の質問を積極的に汲み上げてフォローしたり,授業改善に役立てるよう努力している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年2月:『チェコの教員は生徒の学力低下と学習環境の変化をどう見ているか』(共著) 上越教育大学研究紀要,30,75-83.
(2)平成23年2月:『児童用自尊感情尺度の検討』(共著) 上越教育大学研究紀要,30,63-74.
(3)平成22年5月:『教師の期待は子どもを伸ばすか ―ピグマリオン効果を超えて』(単著) 児童心理(金子書房), 64(7), 19-25.
他】(1)平成22年4月:『研究室HPの公開/動機づけと学習心理学に関する各種情報の提供』 http://www.juen.ac.jp/psych/nakayama/
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)自尊感情の育成 代表者:西山康春校長(上越市立南本町小学校) 上越市立南本町小学校校内研究
学会活動への参加状況
(1)8月21〜22日:日本学校心理士会2010年度大会出席, (2)日本学校心理士会新潟支部長
◎特色・強調点等
 児童の学習への動機づけの予測因としての「目標」の影響性を中心に,個々の学習意欲の特徴をとらえようとする研究を継続して進めている。また,学習指導に関する教育的カウンセリングやコンサルテーションに対して,動機づけ理論にもとづいて提言を試みている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)11月:宮城県涌谷町教育講演会講師, (2)カウンセラー学校派遣事業に基づく派遣カウンセラー, (3)教員免許状更新講習講師
◎社会への寄与等
 派遣カウンセラーとして,教育相談の面で上越・中越地域の小学校への支援を継続して行っている。
 

奥 村 太 一(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
(1)学生に数学的知識がないことを前提に,数式をほとんど用いることなく統計分析の要点を伝えられるよう,解説を工夫した。
(2)各授業,相当詳しい講義ノートを作成し,ウェブに公開し各自自習できるよう配慮した。
(3)具体的な研究例などもまじえ,統計分析法のツールとしての魅力をより強調した。
【観点2】教育の達成状況
 統計に対する敷居を低くし,検定や推定といった統計的推測の考え方や,多変量解析によるデータの記述の考え方のエッセンスがうまく伝わったと理解している。
研究指導
【観点1】学部
 卒業研究を行っている学部生に対し,データの分析法や結果の考察についてアドバイスを行った。
【観点2】大学院
 指導学生およびそれ以外の学生に対し,以下の点を強調して指導を行った。
 (1)世間に流布している教育に関する様々な言説について批判的に考え,自分自身の意見を文章として主張できているか, (2)自分自身の意見を主張するための根拠となるデータや資料を集め,分析を行えているか, (3)得られたデータや資料の分析結果をもとに,論理的に一貫した考察や主張を展開できているか
特色ある点及び今後の検討課題等
 統計学は自分の主張を論理的に展開し,相手を説得させるためのツールであって,その本質を理解し用いるために数学的な知識が特に必要となるわけではないと考えている(自分のように統計学を研究対象とするなら話は別であるが)。従って,難解だと敬遠されがちな統計学の本質的な考え方について,可能な限り単純化して(しかも誤った理解に陥ることのないよう)説明する工夫を常に心がけている。この点については,今後も常に検討課題となると考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年7月:『測定と評価から見た学力問題』(単著) 教育創造, 165, 50-55.
発】(1)平成22年6月:『教師と生徒・児童の比較研究における階層的線形モデルの利用』(単) 第310回 大学入試センター研究開発部セミナー
学会活動への参加状況
(1)日本テスト学会学会誌論文査読委員
◎特色・強調点等
 日本テスト学会が発行している学術雑誌「日本テスト学会誌」に投稿された論文の査読を行った。
 

森 口 佑 介(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 まず,教育方法については,動画や静止画などを用いて視覚的に理解しやすい講義に努めている。特に,担当授業が子どもの発達についてのものなので,子どもの映像を流して,直感的に心の発達を理解できるように努めた。また,授業中盤の疲れてくる時間に映像を入れて,気分転換にも努めた。
 成績評価方法については,テストを主に課したが,コピーアンドペーストなどの剽窃が問題になっている昨今の大学の授業においてレポートはできる限り使わないようにしている。ただ,個人的な意見を述べる等のレポートの場合は剽窃は難しいと考えられるため,そのようなレポートを課すこともあった。
【観点2】教育の達成状況
 授業評価アンケートの結果などを見ても,教育はある程度達成されたと考える。また,テストの答案などを見ても,多くの学生は教育内容をしっかりと噛み砕いて理解していることがうかがえた。
研究指導
【観点1】学部
 2010年度は,所属ゼミに学部生はいなかった。
【観点2】大学院
 基本的な姿勢としては,学生に自分で考えて研究に取り組むように指導した。まず論文や本を自ら調べさせて,疑問がある場合だけ指導した。ただ,統計などの専門知識が必要とされる場合は,こちらから指導するようにした。1年間で学生は自ら考える姿勢が身に付き,大きく成長したように思える。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年6月:『Cues that trigger social transmission of disinhibition in young children』(共著) Journal of Experimental Child Psychology, 10
(2)平成22年9月:『Language and cognitive shifting: evidence from young monolingual and bilingual children.』(共著) Psychological Reports. 107
(3)平成22年12月:『Can young children learn words from a robot?』(共著) Interaction Studies, 12
(4)平成23年2月:『Longitudinal development of prefrontal function during early childhood.』(共著) Developmental Cognitive Neuroscience,1
(5)平成23年1月:『幼児はヒト以外のエージェントから言葉を学習することができるか』(単著) 発達研究, 24.
(6)平成23年2月:『児童期における実行機能の発達』(単著) 上越教育大研究学紀要, 30
(7)平成23年1月:『乳幼児期における抑制機能の発達とその神経基盤』(単著) ベビーサイエンス, 10
発】(1)平成22年6月:『Neural basis of executive function in young children: A NIRS study.』(共) The 40th Jean Piaget Society
(2)平成22年7月:『就学前児における前頭前野機能の発達には複数の経路が存在する:縦断的検討』(共) 日本光脳機能イメージング研究会第13回大会
(3)平成22年6月:『乳児の心的状態を読む:養育者と非養育者の比較』(共) 日本赤ちゃん学会第10回大会
(4)平成23年3月:『認知的抑制の発達と脳内機構』(単) 第22回発達心理学会
(5)平成22年9月:『実行機能と社会性』(単) 第74回日本心理学会
(6)平成22年9月:『文化と実行機能』(単) 第74回日本心理学会
(7)平成22年6月:『Neural basis of executive function in young children: A NIRS study.』(単) The 40th Jean Piaget Society,
(8)平成22年7月:『hinohara, I. & Moriguchi, Y. (2010). Adults interpretation of infants inner states : Differences between parents and non-parents.』(単) The 12th World Association for Infant Mental Health
(9)平成22年10月:『ocial and neural origin of executive function in young children, I』(単) ICD Bag Lunch Colloquium
(10)平成22年10月:『Neural basis of cognitive control in young children,』(単) Workshop on Developmental Science
他】(1)平成23年2月:『プレスリリース/研究成果』 日本経済新聞,新潟日報
(2)平成23年2月:『子どもの想像世界?』 上越タイムズ
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)映像メディア接触と社会的認知の発達 代表者:開一夫(東京大学) 科学研究費補助金(基盤研究(A))
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)Univerity of Minnesota Zelazo教授と「幼児における抑制機能の神経基盤:ERPを用いた検討」についての共同研究 代表者:森口佑介(上越教育大学) 8. 平成22年度日米科学技術協力事業「脳研究」分野 共同研究者派遣事業
学会活動への参加状況
(1)6月3日〜5日 The 40th Jean Piaget Society出席, (2)6月12日〜13日 日本赤ちゃん学会第10回大会出席 , (3)7月24日 日本光脳機能イメージング研究会第13回大会出席, (4)9月20日〜22日 日本心理学会第74回大会出席, (5)3月27日 日本発達心理学会第22回大会出席
国内外の学術賞の受賞状況
(1)平成22年6月:Jean Piaget Society Peter Pufall Post Graduate Awards受賞Jean Piaget Society Peter Pufall Post Graduate Awards(Jean Piaget Society)『 Post Graduate Awards』