【社会系コース】
 

赤 羽 孝 之(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 地理学は「大地と人間との相互関係」に関わる。従って地表の様々な景観・分布等を実証的に検討する性格をもつ。その為,景観写真・地図,パワーポイント,統計等のプリントなどをなるべく利用し,対話型の授業を心がけた。成績評価は筆記試験の結果のみでなく,受講態度・出欠数も取り入れて総合的に判断するようにした。
【観点2】教育の達成状況
 学生による授業評価の結果を見ると,一部を除き,大半の受講生の評価はほぼ良好であり,授業は概ね,その目標は達成されていると考えている。問題は,意識・意欲に問題があると思われる一部学生に対する今後の対応であろうと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
 地理学分野の学部学生の卒論研究では,中間発表会や授業等を通じて間接的に指摘・指導を行った。
【観点2】大学院
 研究セミナーT・Uを通じた研究指導が主であった。しかし当年度は,M2院生2人,M3院生2人の計4人の修論研究を執筆・完成・提出まで指導した。その為にゼミ以外の個人指導も日常的に行った。研究計画の推進の為,アンケート等実態調査方法,調査票印刷などや,調査結果の分析・考察,また執筆においても頻繁な指導を行った。またM1の留学生1人のための指導,文献収集・購入も行った。
その他の教育活動
 ゼミ所属の院生の教育実習での研究授業を参観し,事後の意見交換・指摘等を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 最近の中国等への自主巡検などで得た成果を,都市・集落・産業・文化,自然等に関して,パワーポイント・説明の形で授業に生かした。また従来,授業内容が理論に傾斜する嫌いがあったが,外国や上越地方の地誌的事例など,具体的な事象を通じて説明するよう心がけた。課題としては,具体的事象と概念的・理論的把握とのバランスの問題がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年8月:『新旧地形図で見る新潟県の百年』(共編著)新潟日報事業社.
論】(1)平成23年1月:『新潟県上越地方の風土と産業』(単著)地域文化,95,24〜30.
発】(1)平成23年3月:日本におけるスキー観光,中日観光地理セミナー,上海師範大学.
在外研究の状況
(1)平成23年3月27日〜4月6日:中国・雲南省麗江市周辺,上海市周辺の地域調査・巡検
◎特色・強調点等
 上記「著】(1)」は新潟県の地理学関係者達による成果であり,2人でまとめさせて頂いた。「論】(1)」は上越の産業に関する長年の研究成果を短くして雑誌に載せたものである。また,平成23年2月には,赤倉・池の平スキー場など上越地方のスキー場で地域調査を行った。雪国の冬季観光に関する文献資料等の収集を行って,3月26日に中国・上海で研究発表「日本におけるスキー観光」を行った。その発表成果や見聞した中国事情を本学での授業に生かしたいと考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市新幹線新駅地区土地区画整理審議会委員, (2)上越市建築紛争調整委員会委員
◎社会への寄与等
 退職が間近であり,以前と比べて社会貢献が減少する事は仕方ない面がある様に思う。
 

浅 倉 有 子(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部・大学院とも,各授業の第1時間目に,授業のおおよその進め方,評価方法についての説明を行っている。
 また,中学校社会歴史的分野,高校日本史の記述が,最近の学説によって変化していることなどに言及しつつ,文書史料の読解,絵画資料等多様な史資料の活用の方法,学校現場における応用等に至るまでを視野に入れて,授業を行っている。
【観点2】教育の達成状況
 学部の授業は,おおむね当初の目標を果たせたと考えるが,大学院の「日本史システム特論A」は,受講生のレベルに大きな差があり,大学院レベルの授業を行うことが困難であった。
 「日本史システム専門セミナー」,「日本史システム研究セミナー」は,おおむね当初の目標を果たすことができた。
研究指導
【観点1】学部
 3年生と4年生の合計5名でゼミを行い,研究の手法の共有と,また議論をする能力の向上に努めた。4年生については,卒業論文のための個別ゼミを別途行った。11月には,大学院のゼミ生とともに合宿を行い,論文の質の向上に努めた。4年生3名の卒業論文は,いずれも優れたものであった。
 4年生のうち1名が,神奈川県の小学校教員として採用され,他の2名は石川県の小学校と愛知県の中学校教員として臨時採用された。
【観点2】大学院
 6名の修士論文の指導を行った(うち1名は茨木智志准教授と共同指導)。修士課程のゼミは,学年の相違に関わらず全体でゼミを行う(修士1年生とあわせて12名。うち1名は,畔上直樹准教授と共同指導。1名は後期より休学)ことで,研究の手法が共有されるよう配慮し,また議論をする能力の向上に努めた。大学院ゼミ生は,いずれも標準以上のレベルの修士論文を提出し,うち3名は特に優れた内容であった。そのうち4名が,修士論文を学会誌へ投稿すべく準備中である。また,1名が宮城県中学校,1名が愛知県小学校の教員として採用され,他4名が群馬県・埼玉県の小学校と長野県の中学校,新潟県の高校教員として臨時採用された。
 博士課程の1名については,随時個別指導を行うとともに,副指導の下里俊行教授,兵庫教育大学の原田智仁教授と共同指導を行った。
その他の教育活動
 中学校実習を行った大学院ゼミ生1名と学部ゼミ生3名,小学校実習を行った大学院ゼミ生1名と学部ゼミ生2名の研究授業を参観し,指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学部・大学院ともに,授業が単調にならないように,AV教材を利用するなどの配慮を行っている。また,資料をできるだけ多く配布するよう努めている。
 学部の「地域調査法A」では,長岡市教育センター勤務の修了生や地域の先生方を講師にお願いして,学習効果を高めるよう配慮した。
 研究指導の上では,一定のレベルの論文が提出できるよう,懇切,かつ厳しい指導を行っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年4月:『都市と城館の中世』(共著) 高志書院
(2)平成23年3月:『高田藩榊原家書目史料集成 全4巻』(共著) ゆまに書房
論】(1)平成22年4月:『蝦夷地における漆器の流通と使途』(単著) 北海道・東北史研究第6号,4−18頁
他】(1)平成22年9月:『新潟日報/『宝蔵院日記』についてのコメント』
(2)平成22年12月:『上越タイムズ/環境講演の紹介』 市民プラザ
(3)平成22年12月:『上越タイムズ/高田城下辻標の除幕式』 本町4丁目
◎特色・強調点等
 文献史料とモノ資料の融合をテーマとした研究の一環として,アイヌ民族の文化を特徴づける漆器の研究を行い,新たな研究の地平を開いた。
 また,科学研究費補助金による研究の成果として,『高田藩榊原家書目史料集成』全4巻を刊行した。近代における華族家の蔵書についての研究はいまだ少なく,本書の刊行は貴重な成果である。地域貢献の点でも大きな意義を持つ。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)道路安全性検討委員会委員, (2)上越市歴史的建造物調査専門委員, (3)上越市大規模開発行為審議会委員, (4)ユートピアくびき振興財団理事, (5)史跡上田城跡整備実施計画検討委員, (6)上越市歴史文化構想等策定委員, (7)長野県文化財審議会委員, (8)新潟県文化財審議会委員, (9)上越市文化財審議会委員, (10)旧直江津銀行活用検討委員会, (11)上越市総合計画審議会委員, (12)6月:にいがた連携公開講座2010講師, (13)9月:雁木・町家 歴史・景観フォーラム講師, (14)12月:環境講演会講師, (15)7月:同和教育勉強会講師, (16)7月〜9月:長野県カルチャーセンター講師, (17)3月:お馬出しプロジェクト講師, (18)10月:真田宝物館特別講演 講師
◎社会への寄与等
 上記の他にも,高田旧城下町に建てられた「辻標」の監修を行うなど,地域の歴史や文化の掘り起こしと,それによる人々の歴史認識の形成について,また地域に存在する貴重な文化財や歴史資料の保存と活用等について,一定の寄与を果たしていると考えている。
 

下 里 俊 行(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 教育方法としては,基礎的事項の習得を促すために,時事的なテーマに基づくマルチメデイア教材の提示をおこなった。
 成績評価の面では,独自の学習歴プロファイルを作成し,履修者ひとりひとりの関心と能力に応じた達成度にもとづいて評価した。
【観点2】教育の達成状況
 所期の目的を概ね達成した。
研究指導
【観点1】学部
 各自の問題関心を所在を引き出す方向で指導をおこない,自主的に調査し分析することができるようなスキルの習得を支援した。
【観点2】大学院
 各自の問題関心を所在を引き出す方向で指導をおこない,自主的に調査し分析することができるようなスキルの習得を支援した。
その他の教育活動
 教育実習では,専門的な観点から教材開発のあり方について助言した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育活動の特色としては,マルチメデイア教材の活用と,履修生の基礎学力に対応した対話型授業の構築である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成23年3月:『近代におけるプラトニズムをめぐる諸問題』(単) 「近代ロシア・プラトニズムの総合的研究」研究会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)近代ロシア・プラトニズムの総合的研究 代表者:杉浦秀一(北海道大学教授) 科学研究費補助金
(2)教科専門と教科教育を架橋する教育研究領域に関する調査研究 代表者:若井彌一(上越教育大学学長) 先導的大学改革推進委託事業
在外研究の状況
(1)9月3日〜9月24日:フィンランド ロシア・プラトニズムの研究
 

松 田 愼 也(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部講義においては,内容を精選して,事前に板書事項と資料配付によつて補うべき事項とを厳密に分け,効率的に学習ができるよう工夫し,試験においては主に板書内容について問い,基本的知識の定着をはかった。大学院講義では,配布資料の一層の充実をはかることによって,多角的視点から考えられるように工夫した。
【観点2】教育の達成状況
 全般に学生も院生も受講態度が受身的であり,それは試験・レポート等の解答内容においても同様であった。その意味では達成度は目標の半分程度といささか残念な結果であった。背景には講義形式で行っているということの他に,予備知識の不足の問題も大きいように思う。今後の課題は,予備知識の不足にどのように対応したらよいかということであると考える。
研究指導
【観点1】学部
 卒論指導の4年生ゼミ生は3人であり,それぞれに時間を設定して個人ゼミの形式で指導を行った。3年生ゼミ生は2人であり,前期は例年通り専門書を輪読することで専門知識の習得とともに文献読解能力の向上をはかり,後期は卒論のテーマ設定に向けて,自ら探索してきた文献についてレポート報告をさせた。
【観点2】大学院
 修士課程1年生1人であったので,毎週のゼミの基本は,研究テーマに関する文献検索状況と収集した資料の読解結果の報告とした。また,7月の修論構想発表会,11月の第1回中間発表会に関しては,直前の2回のゼミをそのためのレジュメ作りと発表方法の指導に当てた。
その他の教育活動
 非常勤講師としては,前期は,新潟県立看護大学にて「宗教学」2単位を教え,後期は,私立上越看護専門学校で「生涯教育論」2単位を教えた。
 教育実習における学生指導は,小学校実習では,初日・最終日の挨拶の他,ゼミ生2人の研究授業を参観に赴いた。また,中学校実習でも,ゼミ生3人の研究授業を参観した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 ゼミ指導に関し,4年生と院生については個別指導を基本とし,人間関係を密にすることによりきめ細やかな指導を行っていることを特色とする。また,講義科目については教授内容を精選して,順次に板書内容と配付資料とを確定し,効率よく学習できるように工夫していることが特色である。今後の検討課題としては,特に講義科目において学生・院生の積極的参加をいかにして動機づけるかという点であるが,いまだ適当な方策を探しかねているのが実態である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市文化財調査審議委員会委員, (2)5〜7月:本学公開講座「はじめての短歌〜実作短歌入門」, (3)『平成の大合併〜上越の過去・現在を綴り未来を探る〜』第5集妙高市編の監修(新潟県社会科教育研究会と本学社会系コース教員との共同事業により作成された地域資料集であり,上越教育事務所管内の全小・中学校に配布された)
 

山 本 友 和(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部では,各講義・演習間の連続性と関連性に留意した指導を行うとともに,教材開発にかかわる成果等については『社会科教育法研究・2010年度』という冊子にまとめた。大学院では,社会科・公民教育の基本概念について習得させた上で,主として方法論の観点から,比較社会科教育学研究の成果を踏まえた授業論や能動的学習論の分析を行った。なお成績評価に関しては,オリエンテーション時に説明するとともに,学部にあっては,期末試験前に質問時間も設定した。
【観点2】教育の達成状況
 学生・院生の授業評価を見る限り,達成状況は良好であると判断できる。
研究指導
【観点1】学部
 ゼミでは,受講生の研究テーマとかかわる文献・先行研究の読解をもとに,相互討論と個別指導を行った。なお,その際には,教材化やカリキュラム開発といった臨床的なあり方を意識しながら助言した。
【観点2】大学院
 初年次のゼミ生に対しては,受講生の研究テーマとかかわる文献・先行研究の講読と分析を行い,受講生相互の討議も踏まえて,研究課題を明確化させた。ゼミの2年次生には,各自の論文構成案に沿って個別指導を行い,教材化やカリキュラム開発といった臨床的なあり方を意識しながら助言・指導した。
その他の教育活動
 群馬大学教育学部非常勤講師として「中学校社会科指導法C」および「公民科指導法A」の集中講義を担当した。また,教育実習における指導学生・院生の研究授業等には積極的に参加し,可能な限り指導・助言した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 講義においても課題追究活動や発表活動を取り入れ,主体的,能動的な学習となるように工夫した。演習では,問題の所在を明らかにさせた上で,受講生の研究課題に沿った内容を設定し,各受講生の問題意識の深化と専門性の追究を可能とするように工夫した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年3月:『中等社会系教科教育研究』(共著) 学芸図書株式会社
論】(1)平成23年3月:『中学校社会科における政治学習の改善に関する実証的研究−選挙公約の分析と模擬投票を取り入れた授業を通して−』(共著) 教育実践研究(上越教育大学学校教育実践センター),第21集,9-18頁
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)中学校社会科公民的分野における政治・経済単元の開発に関する実証的研究 代表者:山本友和(上越教育大学大学院) 上越教育大学および新潟県見附市立南中学校
(2)小学校社会科における社会形成力育成のための単元開発に関する実証的研究 代表者:山本友和(上越教育大学大学院) 上越教育大学および群馬県太田市立綿内小学校
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本社会科教育学会評議員, (2)平成22年度:全国社会科教育学会理事, (3)平成22年度:日本公民教育学会理事, (4)6月18日〜20日:日本公民教育学会第21回全国研究大会出席, (5)10月29日〜31日:全国社会科教育学会第59回全国研究大会出席, (6)11月12日〜14日:日本社会科教育学会第60回全国研究大会出席
◎特色・強調点等
 中等社会系教科に関する体系的理解をはかるために発刊した書籍,及び社会科の単元開発に関する実証的研究等を通して,教育実践の場における臨床研究のあり方に多少なりとも寄与した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県上越市公民館運営審議会委員, (2)新潟県上越市社会教育委員, (3)教科書教育センター特別研究員, (4)11月:上越市学校教育研究会社会科部会指導講師(『新学習指導要領と社会科授業』を講話), (5)8月:教員免許状更新講習講師
◎社会への寄与等
 学会活動,公民館・社会教育活動,教科書の改善,及び教育実践への指導・助言等に,多少なりとも貢献したと考える。
 

畔 上 直 樹(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
(1)出席・感想カードを毎回,一人ひとり教員から授業冒頭に受け取り,授業後それぞれ提出することを繰り返すことにより(学部授業),毎回の講義への積極性確保,講義の規律確保と,前回講義のおさらいや補足等を導入として講義冒頭に一定時間を設けて講義内容の正確な定着と関心向上をはかった。
(2)授業の前日までに講義内容の予告,予習ポイント,特に注意して聴いてもらいたいポイントを授業連絡を活用してアナウンスし(学部・後期),毎回の講義への積極性確保,講義内容の正確な定着と関心向上をはかった。
(3)2年学部講義では,専門内容に加え,それぞれの専門性の前提としてのアカデミズム作法(論理的思考の面から具体的な学術論文の読み方,記述方法等に至る)について言及する時間をかなりとり,大学卒業で当然獲得されるべき基礎力の確保・維持につとめた。
【観点2】教育の達成状況
(1)出席率はほぼ達成され,かつ規律が確保された。毎回の講義への関心確保や理解度定着に一定程度成果があった。
(2)すべての回でできなかったことに改善の余地はあるが,毎回の講義への関心確保や理解度定着に一定程度効果があった。
(3)論理的思考や学術論文の読み方といった面でのアカデミズムの基礎力確保にはやはり授業の合間では限界がある。しかし,技法の面,たとえば書誌情報の適切な表記方法といった点は,レポート提出に際し,その提出前の個別指導も含めあきらかに効果がみられた。
研究指導
【観点1】学部
 アカデミズムの基礎の獲得という目標,つまり論理的な思考や論証手続き,史料読解の基礎,学術論文の読み解き方と把握の仕方,先行研究にかかわる情報収集のテクニック,先行研究の整理の仕方,典拠情報の適切な記述等々,また以上をふまえたプレゼンテーションや相互討論の技術の獲得,こうした目標について,それぞれの卒業論文作成課題を各自設定させ,それにそくして全員で討論していくことで,4年時の卒業論文を各人の積極性と責任の下で,なおかつ教員のみならずゼミ環境下で協力して各自の卒論を作り上げていく状況の形成につとめた。個人の資質特性により,また選択したテーマの特質や難易度により達成度や成長度には個人差がみられ,かならずしもバランスよく目標が達成されたとはいえないが,全体としてアカデミズムの基礎的体力というべきものは着実にゼミとして共有されてきている。
【観点2】大学院
 担当した修士学生が卒業論文作成を課されていない学部出身であり,学科専門としても学部時代には専攻していない分野であったため,まずは大学卒業時点で最低限身につけておくべきアカデミズムの基礎的体力の弱点部分の発見,強化につとめ,【観点1】同様,専門性以前に必要となるアカデミズム能力の基礎強化の上での専門的議論への展開を目標とした。しかしながら,学部同様のアカデミズムの基礎的体力それ自体の構築にかなりの時間が必要となり,結果として計画にはかなりの軌道修正が必要となった。
その他の教育活動
・韓国教員大学校短期留学推進制度奨学生の受け入れ
・平成22年度短期留学生発表会・留学生発表会
・平成22年度留学生教育研究会
特色ある点及び今後の検討課題等
 教科専門の以前に,学生にアカデミズムの思考法や各種技術の獲得に重点をおいた指導や講義にこころがけ,単なるカルチャースクールの如き,専門知識の切り売り=意味なき専門知識の実学的「たれながし」に堕することなく,大学大衆化に対応した文化知性の基盤形成を学部でも大学院でもめざしている。今後は,学校教員の社会的機能も意識しつつ,大学教育の役割についての自分なりの体系性と計画性,展望を確立して,よりこれを戦略的にあらゆる教授機会により効率よく具体化していくことが課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年5月:『由緒の比較史』(共著) 青木書店
論】(1)平成22年4月:『近現代史研究はどのように宗教をあつかうべきなのか』(単著) 日本史研究,572,pp.46-50
(2)平成23年2月:『戦前日本社会における現代化と宗教ナショナリズムの形成』(単著) 日本史研究,582,pp.96-120
業】(1)平成22年9月:『戦前日本社会における現代化と宗教ナショナリズムの形成』(単著) 日本史研究,577,pp.9-11
(2)平成22年11月:『藤本頼生著「神道と社会事業史の近代史」』(単著) 明治聖徳記念学会紀要,復刊47,pp.521-524
(3)平成23年2月:『櫻井治男著「地域神社の宗教学」』(単著) 神社新報,3059,p.4
(4)平成23年2月:『コメント』(単著) 国学院大学人間開発学研究,2,pp.56-62
(5)平成23年2月:『コメント』(単著) 国学院大学人間開発学部FDリブレット,2,pp.90-101
(6)平成23年3月:『「鎮守の森」植生環境をめぐる研究の現在』(単著) 上越教育大学社会科教育学会だより,73,p.1
発】(1)平成22年6月:『明治期「鎮守の森」と照葉樹林―地域史料による植生景観復元分析作業からみえてくること』(単) NPO法人 社叢学会関東支部
(2)平成22年10月:『戦前日本における現代化と宗教ナショナリズムの形成』(単) 日本史研究会
(3)平成22年10月:『明治神宮内苑造営と「その後」―近代林学・造園学の「鎮守の森」論』(単) 明治神宮国際神道文化研究所
(4)平成22年11月:『コメント』(単) 国学院大学人間開発学会
(5)平成22年12月:『明治神宮の森をめぐる問題と渋沢栄一』(単) 渋沢研究会
他】(1)平成22年11月:『「明治神宮90年 都会に原生林生む」/創建90年をむかえた明治神宮内苑の森はいかにして造られたのか』 東京新聞24432号 2010.11.1
(2)平成22年12月:『「伝統文化教育の可能性」主題に/国学院大学人間開発学会大会の様子』 神社新報3050号 2010.12.6
(3)平成23年2月:『地域神社の宗教学/櫻井治男著書の書評』 神社新報3059号 2011.2.21
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)帝都東京における神社境内と「公共空間」に関する基礎的研究 代表者:藤田大誠(職名:国学院大学,准教授) 文科省科学研究費補助金
(2)近世・近代における大名・華族家資料群に関する基礎的研究―榊原家を中心に 代表者:浅倉有子(上越教育大学・大学院学校教育研究科,教授) 文科省科学研究費補助金
(3)近現代日本の宗教とナショナリズム―国家神道論を軸にした学際的総合検討の試み 代表者:小島伸之(上越教育大学・学校教育研究科,准教授) 文科省科学研究費補助金
(4)近現代社会の基礎的価値に関する社会科教材開発―人文社会専門諸科学の成果とその横断的連携の視点から 代表者:小島伸之(上越教育大学,大学院学校教育研究科,准教授) 上越教育大学研究プロジェクト(教育実践基盤研究)
学会活動への参加状況
(1)平成22年11月:新潟県社会科教育研究会秋季研究大会出席, (2)5月23日:歴史学研究会2010年度大会出席, (3)6月19日:社叢学会第41回関東定例研究会出席(報告), (4)7月4日:日本史研究会近現代史部会大会第1回報告準備会出席(報告), (5)8月8日:日本史研究会近現代史部会第2回報告準備会出席(報告), (6)9月12日:日本史研究会近現代史部会第3回報告準備会出席(報告), (7)10月3日:日本史研究会2010年度大会出席(報告), (8)11月6日:新潟県社会科教育研究会秋季研究大会出席, (9)11月13日:国学院大学人間開発学学会第2回大会出席(報告), (10)11月28日:日本史研究会近現代史部会大会報告批判会出席, (11)12月4日:渋沢研究会第169回例会出席(報告)
◎特色・強調点等
 日本を代表する歴史学会での大会報告のほか,論文,書評,研究書等に執筆活動をすすめた。また,分野越境を積極的にすすめ,2010年度から開始の科学研究費の一つは,神道学,建築学,都市工学,宗教学,歴史学等の共同,申請の科研(採択)も,法学,社会学,宗教学,神道学,歴史学の共同である。他分野や複数領域にまたがる学会にも積極的に参加した。自分の研究を他領域に積極的に開き発信し,領域横断的で豊かな研究とすることに成果があり,専門領域以外の最前線の研究者との研究交流を深めることにつながった。また,教育大学に所属していることを自覚しそのための教科専門としての専門性の充実を模索するため,他大学の教員養成系の研究企画に参加し議論を相互に深め,私立大学の教員養成系の現状について情報交換をはかった。このこととも関連するが,県内社会科教育の内容にかかわって県内学校教員の研究企画に積極的に参加し,議論と交流を深め,現状についての情報交換をはかった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:平成22年度教員免許状更新講習 地理学・歴史学, (2)1月:平成22年度日本教育大学協会北陸地区社会科部門研究協議会講師
 

茨 木 智 志(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部学生対象の授業では,教材開発能力と研究能力の育成に留意し,探究能力の充実,教材開発に関わる技能の向上及び教育実践場面における表現能力の向上に努めた。学習成果の確認を促すために,学生による成果の一部を,山本友和教授,志村喬准教授と共同で社会科教育学研究室紀要『社会科教育法研究2010年度』として発行した。
 大学院学生対象の授業では,基礎的な歴史教育の理論の説明にも留意しつつ研究能力の育成を目指した。そのため,各種の社会科教育・歴史教育の理論や教育内容を紹介及び検討を進めた。特に意見交換の機会を意識して設定した。各自の目標達成の参考とするために,学生の探求の成果をレポート集にまとめた。
 成績評価については,シラバスに記載するとともに,授業時での確認を継続した上で,厳格な成績評価の実施に努めた。
【観点2】教育の達成状況
 教科教育という担当授業の性格上,教育現場での授業実践を念頭に置き,その一方で,教員採用試験をも意識した授業内容を考慮している。特に基礎的な事項に時間をかけることを心がけた。学生による授業評価では概ね好意的な評価を得た。
研究指導
【観点1】学部
 歴史教育をテーマとする学部学生に対して,論文作成あるいは各自の課題への具体的な研究方法について,ゼミ等を通じて指導を行った。
【観点2】大学院
 歴史教育をテーマとする大学院学生に対して,論文作成および課題への具体的な研究方法について,ゼミ等を通じて指導を行った。
その他の教育活動
 本学附属小学校2010年度教育研究指導者として指導助言を行った。学部3年生2名の小学校実習での研究授業を参観・指導し,学部4年生2名・大学院生1名の中学校実習での研究授業を参観・指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 社会科教師としての授業開発能力の育成とともに研究能力の基盤の育成を課題としている。そのため,学生が自己の取り組みの意義を認識でき,世界に視野を広げた思考を促進する授業やゼミを工夫してきた。ただし,特に授業での受講生が持つ個々の希望の収斂は,今後の検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年10月:『「世界史」成立史研究のあり方について』(単著) 歴史学研究,第871号,pp.38-44
(2)平成22年11月:『準教科書に見る初期の世界史教科書の模索』(単著) 社会科教育論叢,第47号,pp.53-62
(3)平成22年12月:『史料研究:上智大学編『西洋史上の諸問題―「西洋の歴史」への補遺―』について』(単著) 歴史教育史研究,第8号,pp.49-66
業】(1)平成22年12月:『インタビュー記録 歴史教育体験を聞く:小林新三先生』(共著) 歴史教育史研究,第8号,pp.67-86
(2)平成23年3月:『成立期の世界史教育に関する総合的研究 2008〜2010年度科学研究費補助金(基盤研究C)研究成果報告書 研究代表者:茨木 智志』(単著)
(3)平成23年3月:『N.ベグズ他著「モンゴルの中東歴史教育における『1939年の日本のモンゴル侵略』に関する事例研究」』(共訳)総合歴史教育,第46号,23-31
発】(1)平成22年5月:『世界史教育をその始まりから考える』(単) 近現代史教育研究会(第172回例会)
(2)平成22年10月:『世界史教育史研究の課題』(単) 歴史教育史研究会(第6回例会)
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本社会科教育学会役員, (2)平成22年度:中等社会科教育学会役員, (3)平成22年度:総合歴史教育研究会委員, (4)5月15日:日本モンゴル学会2010年度春季大会参加, (5)5月29日:近現代史教育研究会第172回例会参加・発表, (6)8月29日:総合歴史教育研究会第46回大会参加, (7)10月9〜10日:教育史学会第54回大会参加, (8)10月16日:上越教育大学社会科教育学会第25回研究大会参加, (9)10月29日:歴史教育史研究会第6回例会参加・発表, (10)10月30〜31日:全国社会科教育学会第59回全国研究大会参加, (11)11月13〜14日:日本社会科教育学会第60回全国研究大会参加
◎特色・強調点等
 社会科教育・歴史教育の向上のために,前年度に続き,歴史的研究の観点からの基盤整備への努力を継続した。科学研究費補助金を得た「成立期における世界史教育に関する総合的研究」に関わり,研究成果の発表,入手した史料の公開,研究のあり方への提言などを進めた。これにより3年間の研究を終了し,成果の一部は報告書として発行した。また,歴史教育史研究に関する研究会活動,研究雑誌の刊行を継続した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:糸魚川市授業改善研修 講師
◎社会への寄与等
 糸魚川市の教員研修の講師を務めた他に,上越市立中学校での社会科授業に特別講師として参加した。また,社会科教育・歴史教育に関わる学会の運営に協力した。
 

小 島 伸 之(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 講義においては,NIE,映像,ロールプレイ,ディベート,ボードゲーム,社会見学(裁判傍聴)などの手法を導入し,学生が能動的に学問内容を検討できる方法を試みた。成績評価では,積極的に参加・学習した学生とそうでない学生の評価の差異化を意識した。
【観点2】教育の達成状況
 教育方法の工夫について,講義に関しては,自身,課題を積み残し,今後のさらなる発展を期さねばならない点もあるが,意欲ある学生には関心を持ってもらえたようである。成績評価については,悩みながらも適切な評価をできたのではないかと思う。差異化をすることによる不満も存すると思われるが,頑張ったものが馬鹿を見ない,ということは成績評価の重要点であると思われるので,今後も維持していきたい。
研究指導
【観点1】学部
 学部ゼミ生の研究指導においては,前期に関しては院生自身が提示したテーマを尊重しつつ,まずは各テーマに関する先行研究の収集,分析を主体的とした指導を行った。後期は,具体的なテーマの検討,論文執筆の指導を中心に行い,4年生は表現の自由と青少年保護条例に関する卒業論文を完成させ,3年生3名についてはそれぞれ研究テーマをほぼ確定させた。
【観点2】大学院
 大学院ゼミ生の研究指導において,前期に関しては院生自身が提示したテーマを尊重しつつ,まずは各テーマに関する先行研究の収集,分析を主体的とした指導を行った。同時に,院生が行ったテーマでは論文完成が困難であると予想されたものについて,関連しつつも論文作成が相対的に容易な別テーマを見つけられるように指導を試みた。また,構想発表,中間発表に向けた準備の機会を中心に,資料の収集・整理法,論文構成等,論文執筆に向けた基礎的研究指導を行った。修士3年生1名が修士論文を完成させた。
その他の教育活動
●他大学での非常勤講師
・新潟産業大学経済学部非常勤講師 法学概論T15コマ,法学概論U(日本国憲法含)15コマ,会社法A15コマ,会社法B15コマ
・新潟県立看護大学非常勤講師 法学15コマ
●教育実習における学生指導
 法律学ゼミ所属の院生(7名)・学部生(4名)の小学校実習,中学校実習,特別支援実習の実習校を訪問のうえ研究授業を参観し,参観した内容を踏まえた学生指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育方法としては,論理の重要性,必要な知識の習得・伝達,多角的思考法の強調という基本を重視しつつも,映像,音楽などの視聴覚的素材,新聞,ロールプレイ,ボード・カードゲームなども活用して,受講生が意欲的知識習得を関心づけられる手法的工夫を試みている。また,専門的なテーマについて講義する際に,可能な場合には,中学校の教科書を手掛かりに導入することを心がけた。意欲ある学生にはおおむね好評であるようだが,試行錯誤を重ねながら,更なる改善を心がけていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年10月:『宗教学事典』(共著) 丸善株式会社
論】(1)平成22年9月:『自由権・民主制と特別高等警察―「特高教本」を題材として―』(単著) 宗教法,第29号 pp.71-98
業】(1)平成23年3月:『実証的宗教社会学の成果と課題・社会状況と宗教』(単著) 宗教研究,第84(4)号
発】(1)平成22年9月:『社会状況と宗教―時代社会・法制度と宗教・教団―』(単) 日本宗教学会第69回学術大会
(2)平成22年12月:『明治憲法下における宗教法制と宗教運動取締―昭和初期を中心に』(単) 政教関係を正す会研究会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)近現代日本における宗教とナショナリズム 代表者:小島伸之(上越教育大学) 科学研究費補助金基盤(C)
(2)近現代社会の基本的価値に関する社会科教材開発―人文社会専門諸科学の成果とその横断的連携の視点から― 代表者:小島伸之(上越教育大学) 平成22年度上越教育大学研究プロジェクト
(3)A資料研究会(オウム真理教とメディア研究会) 代表者:井上順孝(國學院大學) 宗教情報リサーチセンター
学会活動への参加状況
(1)8月1〜2日: 長尾龍一ゼミ社会科学合宿研究会出席・報告, (2)9月4〜5日:日本宗教学会第69回学術大会出席, (3)10月16日:上越社会科教育学会第25回研究大会出席, (4)10月23日第13回日本近代法史研究会出席, (5)12月4日:第14回日本近代法史研究会出席・報告, (6)3月5日:第45回憲法史研究会出席, (7)3月13日:2010年度北陸公法判例研究会出席, (8)4月〜翌3月:約月一回,上越教育大学社会系コース有志研究会出席
◎特色・強調点等
 主として,国家―社会―宗教をめぐる諸問題を,歴史的事例から検討する作業を進めている。特に戦前期の宗教政策・宗教法制に関するテーマについて,現代の視点から単に過去を「評価」するという手法を避け,当時の視点(第一次資料)を踏まえつつ,基礎論的に問題を検討することを意識している。戦前の宗教法制・宗教政策という研究テーマとの関連でいえば,従来の先行研究においては,国家―宗教の二者関係として問題把握がなされることが多かったことを批判的に踏まえたうえで,国家―社会―宗教の三者関係的構図を踏まえた問題把握に再構築することを試みている。
 また,近現代社会の基本的価値対立の教材化およびボードゲームの公民教材利用について,実践的観点から検討を開始した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:教員免許更新講習「選択科目 現代社会と人類の諸課題」講師
◎社会への寄与等
 教員免許更新講習の講座を担当。今後は,公開講座,出張講座などにも積極的に関与していきたい。
 

志 村   喬(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 初等社会科指導法と地理歴史科教育学基礎では,教室内の作業体験に加え野外でのフィールドワーク体験を取り入れ,実践的・体験的な学習を組織し,評価でもそれらを踏まえた課題提出を組み込んだ。大学院では,知識・理解に加え,主体的な研究遂行能力の育成に繋がるように配慮した。
【観点2】教育の達成状況
 学部の社会科・地理歴史科指導法では,同じ社会系免許取得科目である社会科・公民科指導法と連携し,教材開発研究成果『社会科教育法研究』(山本友和・志村喬・茨木智志編)としてまとめている。
研究指導
【観点1】学部
 専門セミナーで3年生2名を指導し,調査研究能力向上を自主的に図り,卒業論文作成の基礎を培うことができた。
【観点2】大学院
 研究セミナーで,免P修士院生(M1生2名,M2生2名,M3生1名)を担当し,3年間での修士論文作成を目指して,それぞれ研究計画に沿った指導を行った。M3生は,実証的現地調査を遂行し,修士論文を完成させた。
その他の教育活動
・兵庫教育大学大学院連合 学生参加プロジェクト 上越教育大学コーディネーター
・本学附属中学校研究協力者
特色ある点及び今後の検討課題等
 ゼミ開講以来,初めて全ての院生が免P学生となった。入学時より実力養成のため,3年間での修了を目指すよう指導し成果を上げることができた。しかし,免P学生の時間的環境はじめ構造的問題は多く,検討すべきと考える。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年8月:『新旧地形図で見る新潟県の百年』(共著) 新潟日報事業社
(2)平成23年1月:『持続可能な社会と地理教育実践』(共著) 古今書院
論】(1)平成22年8月:『新学習指導要領の趣旨をふまえた地図学習のあり方』(単著) 地図,48(2),19−28
業】(1)平成23年3月:『中等地理領域における授業実践を支援する学習材の開発』(共著) 『社会系教科目の授業実践を支援する学習材の開発』 兵庫教育大学大学院連合 pp.109-142
発】(1)平成22年8月:『英国における安全教育施設と中等地理単元「犯罪とコミュニティ」向け教材』(共) 日本地理教育学会
(2)平成22年8月:『ESDを組み込んだ地理学習材の開発』(単) 日本地理教育学会
(3)平成22年11月:☆『地域多様性をふまえ持続可能な空間環境を実現する地理教育』(単) 日本社会科教育学会
(4)平成23年3月:『新時代を迎える学校地理教育の課題と展望−開催趣旨と現状認識』(共) 日本地理学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)学校における社会科教育実践諸課題の検討 代表者:志村喬・柳澤一輝・伊藤貴文(上越教育大学) 社会科勉強会
(2)学校教育現場における地域巡検に係わる支援 代表者:松田愼也(上越教育大学 社会系コース) 新潟県社会科教育研究会
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)地理教育におけるESDカリキュラム開発の総合的研究 代表者:中山修一(広島大学名誉教授) 科学研究費補助金B
学会活動への参加状況
(1)10月30日:地理科学学会秋季学術大会参加(広島市), (2)10月31日:全国社会科教育学会参加(京都市), (3)4月〜3月:日本地理教育学会(評議員・学会誌編集委員), (4)4月〜3月:日本地理学会(代議員・地理教育専門委員・Egeo編集委員), (5)4月〜3月:地理科学学会(学会誌編集委員), (6)4月〜3月:日本国際地図学会(評議員), 
在外研究の状況
(1)9月22日〜10月1日:イギリス・アイルランド「社会系教科カリキュラム開発と学習評価に関する多国間比較共同研究」(上越教育大学 留学生・国際交流経費)
◎特色・強調点等
 従来の著作活動に加え,「国内学会発表」のように,日本社会科教育学会大会シンジウム発表者,日本地理学会秋季大会シンポジウムコメンテーター,日本地理学会春季大会シンポジウムコーディネーターなどが増えたのが最大の特徴である。なお,地域の現場教員や,イギリス諸島地域の研究者との協同研究も積極的に遂行したことを強調する。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月〜3月:文部科学省 学習指導要領の改善等に関する調査研究協力者, (2)7月:上越市教育委員会 授業力向上研修「社会科研修会」講師, (3)7月:長岡市教育センター研修講座講師, (4)6月〜8月:新潟県社会科教育研究会58次巡検講師, (5)8月:金沢市教職員研修会講師, (6)8月:新潟県立柏崎高等学校出前講座講師, (7)2月:柏崎刈羽社会科授業を考える会講師, (8)8月〜1月:教員免許状講習会講師, (9)4月〜3月:新潟県社会科教育研究会副幹事長, (10)4月〜3月:上越市みんなで防犯安全安心まちづくり推進協議会会長, (11)4月〜3月:上越市総合計画審議会委員, (12)4月〜3月:新潟県立久比岐高等学校学校評議員, (13)1月:国立教育政策研究所H22プロジェクト研究中間評価研究報告会(第三者専門家(評価者))
◎社会への寄与等
 上記のように,地元地域のみならず全国レベルでの社会的活動へも寄与した。
 

山 縣 耕太郎(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 学部では,地域環境研究および地理学に関わる講義,実験,演習,調査法を担当した。授業,実習においては,ビジュアル素材を多く提示することを心がけ,コンピュータを活用したGIS教材を用いた。また,エネルギー問題や環境問題など現在の社会的な課題についてとりあげ,自ら考える機会をつくるように努めた。巡検などの実習授業では,実地の観察や経験を通して,基礎的な知識を身につけるとともに,地理的な見方に興味関心を持てるよう配慮した。大学院では,地域環境学・地誌学特論を担当し,画像資料を多用して,理解と関心を高めるよう工夫した。また,初歩的なGISソフトを活用した作業を取り入れた。評価にあたっては,課題を設定して,その成果と取り組みへの態度を評価に取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
 学部授業,地域環境研究では,環境に関する基礎的な概念を習得することができたと考える。また,地図に関する学習や,実際の野外観察,地図作成の作業を通して,地理的な見方,考え方を経験し,習得することができたものと考える。地域環境学については,実際の社会的な課題について考えることを通して,問題意識と関心を持つことができたと思われる。大学院授業,地域環境学特論では,地域,環境に関わる解説や,実際にGISソフトを使用して環境地図を作成し,それをプレゼンする作業を通して,地理的な視点で環境を分析するプロセスを体験し習得したものと考える。
研究指導
【観点1】学部
 2名の卒業研究指導を行った。1名は,東頚城山地における雪崩地形の分布に関する研究を行った。空中写真判読によって雪崩地形の分布を特定し,地形図上で地形計測を行った。その結果,雪崩地形の分布密度や形態と標高や地形条件などとの間に相関関係が認められた。もう1名は,新潟県六日町坂戸山における植生分布に対する人為活動の影響について検討を行った。六日町盆地に隣接する坂戸山は,周辺の山地に比べて低木の占める割合が大きい。この理由を検討した結果,坂戸山では,中世に山城が築かれ,植生が改変されたのち,雪崩によって植生の回復が遅れているものと推察された。
その他の教育活動
・新潟県立看護大学非常勤講師「環境生態学」担当
特色ある点及び今後の検討課題等
 教育においては,基本的な概念の理解と,基礎的な知識の習得,およびスキルの習得の3点を考慮し,授業を構成した。特にスキルの習得においては,野外での観察や実際の作業を取り入れることに留意した。野外活動や作業はどうしても時間をとってしまうが,今後もより効果的な作業を取り入れていきたいと考える。大学院の授業では,GISソフトの作業を取り入れ,好評であった。GISについては,研究指導においても活用に取り組んだ。GISは,今後の発展が期待される分野であるので,積極的に取り入れていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成22年11月:『日本地方地質誌1 北海道地方』(共著) 朝倉書店,295-296.
発】(1)平成22年5月: 『The Influence of human-induced hydrological change on the riparian environment of the Kuiseb River in the Namib Desert, Namibia』(単) Japan Geoscience Union Meeting
(2)平成22年5月:『十勝平野湧洞沼湖底堆積物に見られる流域の環境変化』(単) 日本地球惑星科学連合大会
(3)平成22年5月:『Application of tephrochronology to the glacial and periglacial environment study in Kamchatka Peninsula, Russia』(単) International Field Conference and Workshop on Tephrochronology, Volcanism and Human Activity Active Tephra in Kyushu
(4)平成22年7月:『Reconstruction of the watershed environmental changes based on the lake sediment of Yudou Numa in the Tokachi Plain, Hokkaido』(単) International Geographical Union Regional Conference 2010 in Israel
(5)平成22年7月:『The nature-human interaction in 2004 Chuetsu Earthquake in central Japan』(単) International Geographical Union Regional Conference 2010 in Israel
(6)平成22年7月:『Land cover changes in the middle reached of Amur River』(共) International Geographical Union Regional Conference 2010 in Israel
(7)平成22年8月:『糸魚川ジオパークの取り組み』(単) 日本第四紀学会大会
(8)平成22年8月:『アムール川中流三江平原周辺における地形形成環境変化』(共) 日本第四紀学会大会
(9)平成23年3月:『十勝平野湧洞沼湖底堆積物に見られる流域の環境変化』(単) 日本地理学会春季大会
(10)平成23年3月:『ロシア・キーヤ川周辺における湿地分布及び水質』(共) 日本地理学会春季学術大会
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)アムール川流域における人間活動による河川環境への影響に関する検討 代表者:山縣耕太郎(上越教育大学)科学研究費・基盤研究(C)
学会活動への参加状況
(1)平成22年度:日本学術会議PAGES小委員会委員, (2)平成22年度:日本第四紀学会PAGES−PEPU対応委員会委員, (3)平成22年度:日本地理学会災害対応委員会地域拠点担当, (4)平成22年度:日本地理教育学会編集委員, (5)平成22年度:日本第四紀学会テフラ・火山研究委員会委員, (6)平成22年度:日本第四紀学会特集号編集委員会委員
◎特色・強調点等
 従来の研究が少ない東アジア寒冷地域と南部アフリカ乾燥地域における古環境変動に関する研究を行っている。また,新潟,北海道およびアムール川流域における人為作用の自然環境への影響について調査した。これらの研究は,現在行われている国際的なプロジェクト(IGBP,PAGES)による汎地球的な規模での古環境変動の復元,人為的な環境改変に関する研究に寄与するものと考えられる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市環境フェア企画委員, (2) 教員免許状更新講習(社会科)講師
 

吉 田 昌 幸(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 基本的概念の理解を重視する目的から毎回学生にコメントノートの記入を求め,そのフィードバックを次回授業に行った。
 また,評価においてはあらかじめ出席やコメントノート,中間ないし最終レポートなどのウェイトを説明した。
【観点2】教育の達成状況
 卒業,終了後の進路状況をみるだけでは,私が担当している経済学の授業がどこまで学生に高い付加価値を付与させることになったかについては把握できない。
研究指導
【観点1】学部
 学生に対しては,一次資料(フィールドでの収集資料や基礎文献)を当たることの重要性を指導した。
【観点2】大学院
 学部と同様に一次資料の重要性について指導した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成22年8月:『市場と国家,そして株式会社:ドラッカーとポランニーの経済社会批判』(単著) 『現代思想』8月号,第38巻第10号,141-159頁
業】(1)平成23年3月:『北陸地域づくり叢書NO.4 中山間地の活性化策を用いた課題解決手法の調査研究』(共著) 社団法人北陸建設弘済会 北陸地域づくり研究所
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)中山間地域における地域通貨を用いた地域循環・交流モデルの構築と発信 代表者:吉田昌幸(上越教育大学) 新潟県中越大震災復興基金 地域貢献型中越復興研究支援
(2)子どもの社会体験促進ツールとしての地域通貨の効果と課題の研究 代表者:栗田健一(北海道大学大学院経済学研究科) 財団法人科学技術融合振興財団
(3)北陸地域の活性化に関する研究助成事業 プロジェクト5 中山間地の活性化策・課題解決の調査研究 代表者:朝岡幸彦(東京農工大学) 北陸建設弘済会
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許状更新講習講師, (2)新潟県立看護大学「ふれあい実習」事前学習会 司会, (3)地域通貨「らて」2ndステージキックオフミーティング 講師
◎社会への寄与等
 「上越市高田地区中心市街地における交流が広がるまちづくりワーキング」委員を務めた。