第一章 組織の運営状況に関する自己点検・評価
 
1 年度のハイライト
 
<東日本大震災等への災害支援>
東日本大震災及び長野県北部地震に係る災害支援として,主に以下のことを実施した。
(1) 避難した小・中学生への学習支援等
 東日本大震災で上越市と糸魚川市に避難した小・中学生延べ179人に学習支援等を実施した。
(2) 被災した学生の授業料免除等の経済的な支援
・平成23年度の入学料免除,授業料免除,寄宿料(4月〜9月分)免除
・平成24年度〜26年度の3ヵ年について,岩手県,宮城県,福島県,茨城県からの派遣現職教員の検定料,入学料,入学年度の授業料の不徴収
・平成24年度学部入試に係る検定料免除
・平成24年度の入学料免除,授業料免除を決定
(3) 学生・教職員による被災地でのボランティア活動
・民間企業との共同企画による被災地ボランティア日帰りバスツアー
     訪問先:宮城県,実施回数:3回(8/20,9/3,12/17)
(4) 教員による福島県内の公立学校教員等を対象とした研修支援
 福島県教育委員会からの支援要請により,福島県内の小中学校における校内研修会の実施,授業実践に対する指導助言,カウンセリング活動など本学の参加教員の専門性に合わせた学校支援,教師支援を行った。
   訪問先:小・中学校延べ7校,福島県教育委員会
 
<カリキュラム・ポリシーの制定>
中央教育審議会の答申に基づき大学の教育課程編成・実施の方針を示した「カリキュラム・ポリシー」を制定し,学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行(教育研究活動等の状況についての情報の公表)に基づき大学HPに公表した。
 
上越教育大学スタンダードに準拠したカリキュラム改善への取組>
5月に「上越教育大学スタンダードに準拠させて設定した教科のルーブリック及び知識・理解・技能等」をWeb上に公表した後,2月には印刷物で発行・公表することにより,カリキュラム改善の必要性の意識化を図った。
また,上越教育大学スタンダードをシラバス及びFDの自己評価に反映させることにより,カリキュラムの改善を図ることを教授会において説明の上,全教員へ依頼した。
 
<電子教職キャリアファイルの試験運用開始>
大学生の就業力育成支援事業「人的交流を基軸とする活力ある教員養成」の取組の一つであり,また,教職実践演習の「履修カルテ」として活用する電子教職キャリアファイルの試験運用を開始した。
 
<修士課程の学位論文又は特定の課題についての研究の成果に係る取扱いの策定>
修士課程の学位論文又は特定の課題についての研究の成果に係る取扱いについて,内容・水準や審査方法等を検討し,芸術系コース(音楽)における具体的規定を策定した。
 
<大学院の定員充足>
大学院の定員充足は本学の重要課題であるが,学長のリーダーシップの下,積極的に全学的な広報活動を展開することにより,平成22年度に引き続き3年連続で大学院全体としての入学定員を充足した。
 
<濤ア准教授らにより『「隣」の銀河の星の材料,全貌の把握に成功』の記者会見>
自然・生活教育学系の濤崎准教授と国立天文台の研究グループが,さんかく座銀河(M33,距離270万光年)において,星の“ゆりかご”となる物質の広域かつ精密な地図を世界で初めて完成させたことを,12月に東京田町のキャンパス・イノベーションセンター東京において国立天文台と共同記者会見を実施した。
この研究成果の意義は,天の川銀河以外の銀河に対して,非常に精密な分子ガスと塵の地図を世界で初めて完成し,星を作る材料とその材料を作る「工場」の分布を示したことであり,現代天文学の重要な課題の一つである星間物質から星の形成へ一連のプロセスを理解するための重要な手がかりとなることが期待されている。
 
<科学研究費補助金の応募件数の増>
平成24年度科学研究費補助金(奨励研究を除く)の応募件数が継続予定件数を含め,93件になり,平成21年度の応募件数76件に比し20%以上を増とする中期目標を達成した。
 
<「戦略的な学校支援プロジェクト」を始動>
学校教育実践研究センターを地域の学校と大学とを結ぶプラットホームとして位置付け,学校教育課題に対応した学校支援事業を行う「戦略的な学校支援プロジェクト」が始動した(平成23〜25年度の3年間)。
 
<「高等教育コンソーシアムにいがた」への参画>
平成23年4月,「高等教育コンソーシアムにいがた」が発足し,本学もその構成員となった。「高等教育コンソーシアムにいがた」は,新潟県内にある高等教育機関が相互に連携・協力して,新潟県の教育・研究の充実を図るとともに,新潟県の地方公共団体や産業界と連携しながら,地域社会・国際社会の教育・文化の向上・発展及び人材育成に貢献し,もって新潟県の教育・文化環境の向上及び個々の高等教育機関の発展に寄与することを目的としている。
 
<国立大学法人上越教育大学と上越市とのものづくり支援パートナーに関する協定締結>
9月13日(火)に本学を会場として「国立大学法人上越教育大学と上越市とのものづくり支援パートナー協定」締結調印式と締結記念シンポジウムが開催された。
本協定は,相互の特色を尊重し,緊密かつ組織的な連携・協力を推進することにより,工業振興と産業の発展及び人材育成において寄与するとともに,地域経済の活性化を図り,もって地域社会に貢献することを目的としている。
 
<国際交流サポーターによる国際交流事業の質的充実>
国際交流推進室では,6月から国際交流サポーターを委嘱し,外国人児童生徒への就学支援プロジェクト,国際理解教育派遣プロジェクトなど外国人留学生と上越地域を結びつける地域貢献事業の量的及び質的充実を図った。
 
<附属小学校等の学級定員の引き下げ>
公立小学校における35人学級の実現に伴い,附属小学校等においても学級定員を見直し,平成24年度から学年進行で定員を引き下げることとし,8月に関係校則を改正した。
附属小学校 1年生80人(1学級40人)を70人(1学級35人)に引き下げ
附属幼稚園 4歳児35人を30人に引き下げ
 
<附属幼稚園開園20周年,附属小・中学校開校30周年記念事業の実施>
附属幼稚園が開園20周年,附属小学校及び附属中学校が開校30周年を迎えたことから,附属幼稚園では10月22日(土)に,附属小学校では10月23日(日)に,附属中学校では11月24日(木)に,それぞれ行事に合わせて記念式典を挙行した。
 
<ICT環境の整備充実>
(1) 4月に新たな情報セキュリティポリシーとして「情報システム運用基本方針」及び「情報システム運用規則」を制定した。
(2) ウイルス対策ソフトについて,学生及び教職員が教育研究活動で使用する個人所有のノート型PCにも導入が可能なように4月にウイルス対策ソフトのキャンパスライセンス契約を締結し,より一層のセキュリティー対策を図った。
 
<第1期中期目標期間の業務の実績に関する評価結果>
 第1期中期目標期間(平成16年度〜平成21年度)の業務の実績に関し,国立大学法人評価委員会から各項目において中期目標の達成状況が「おおむね良好」もしくは「良好」と評価された。主な特記事項として,分離方式の初等教育実習や総合インターンシップ制度の導入による実践的指導力の養成,地域の学校や附属学校との共同研究の成果を積極的に学校現場に還元,「学校支援プロジェクト」として地域の教育委員会と連携を保ちながら学校支援活動を行い地域貢献に供したこと等が取り上げられた。