【学校臨床研究コース】
 

 
朝 倉 啓 爾(教 授)
 

 
石 野 正 彦(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・ 教育実習前に身体の不具合を訴えたり,不安を訴えたりする学生に対しての指導が求められている。本学においては,実習を4年間の教職キャリアの構築ととらえ,上越教育大学スタンダード及び教育実習ルーブリックに基づくきめ細かな指導を行うようにしている。
・ 本学では,教職キャリアファイルに記述することで自己点検を行うように学生に求めている。その自己点検結果と客観的な成績を勘案し,学生個々の特性や状況を踏まえ考慮すべき点を含んだ上で成績評価基準に基づく評価を行っている。
【観点2】教育の達成状況
・ 教師としての資質を身に付けているかどうかを大学卒業後に厳しく問われる時代である。教師としての資質を身につけさせるために必要な「体験」,「活用力」,「コミュニケーション力」を総合化したボランティア活動に力を入れて取り組んでいる。1年生での「体験学習」,2年生での「学校ボランティアA」,3年生での「学校ボランティアB」,4年生のインターンシップをボランティア支援室の機能を生かしながら企画し,授業を行っている。
研究指導
【観点1】学部
・ 学校でのボランティア活動を通し,教師としての資質を身につけさせるため学生のボランティア組織を作り指導を行っている。この組織が被災地への災害ボランティア活動を実施した。
【観点2】大学院
・ ICTを活用したカリキュラムの育成などについて研究への支援を行っている。
その他の教育活動
・ 教育実習前の個別の相談業務やガイダンスなどを行っている。
・ 教育実習中における授業や学校でのトラブルについての相談業務を行っている。
・ 学びの広場での活動で本部事務局の相談役として参加している。
・ 学校ボランティア室で学生及び大学院生の個別のボランティアに関する相談業務を行っている。
・ 附属中学校におけるフューチャースクールの取組において全体計画に関する相談役を行っている。
特色ある点及び今後の検討課題等
・ 本学では学校ボランティア室を運営している。ボランティアに関する業務内容は年々拡大しており,学生のニーズや現場のニーズに応えきれない状況になってきているのが課題である。
・ 本学学校教育実践研究センターで教職員のためのセミナーを毎週行っている。広報活動の徹底や参加者をこれまで以上に増やすことが課題となっている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成23年10月:『ICTを活用したJAET2010上越大会の大会運営について』(共) 第37回全日本教育工学研究協議会全国大会(丹波大会)
(2)平成23年9月:『SNSを活用した栽培体験学習の教員養成カリキュラム』(共) 日本教育工学会
他】(1)平成23年度:被災地災害ボランティア企画運営 宮城県仙台市若林区に3回実施した。
学会活動への参加状況
(1)平成23年8月6日〜平成23年8月7日:日本学校教育学会第20回静岡大会出席, (2)平成23年8月21日:新潟県生活科総合的学習研究会研究大会出席, (3)平成23年9月18日〜平成23年9月19日:日本教育工学会第27回大会(首都大学東京)出席, (4)平成23年10月21日〜平成23年10月22日:日本教育工学協会全国大会第37回丹波大会理事出席, (5)平成23年9月17日:日本LD学会第19回大会(跡見学園女子大)出席
◎特色・強調点等
・ 学外におけるICT教育に関する調査研究に携わることが多く,共同研究者として研究発表を行っている。
・ 地域の行政や学校と連携しインクルーシブ教育の推進に関わる研究を行っている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)十日町市立中条中学校講演会講師(十日町市立中条中学校学校保健委員会)
(2)長野県上田市少年育成センター講演会講師(上田市少年育成センター)
(3)上越市立里公小学校講演会講師(上越市立里公小学校学校保健委員会)
(4)糸魚川市立大野小学校講演会講師(糸魚川市立大野小学校学校保健委員会)
(5)上越市立清里小学校講演会講師(上越市立清里小学校学校保健委員会)
(6)長岡市立関原小学校講演会講師(長岡市立関原小学校学校保健委員会)
(7)三条市教研国語部会研修会講師(三条市教研国語部会)
(8)上越市立美守小学校講演会講師(上越市立美守小学校学校保健委員会)
(9)柏崎市立石地小学校講演会講師(柏崎市立石地小学校)
(10)新潟県立小千谷高等学校講演会講師(新潟県立小千谷高等学校)
(11)糸魚川市立能生小学校講演会講師(糸魚川市立能生小学校)
(12)上越市立黒田小学校講演会講師(上越市立黒田小学校学校保健委員会)
(13)上越地域広域視聴覚協議会中級パソコン講習会講師(上越地域広域視聴覚協議会)
(14)上越市立大和小学校講演会講師(上越市立大和小学校学校保健委員会)
(15)刈羽村立刈羽小学校講演会講師(刈羽村立刈羽小学校学校保健委員会)
(16)光村図書「国語と情報教育研究プロジェクトセミナー」パネリスト(光村図書出版・内田洋行)
(17)糸魚川市親子サポート養成スクール講演会講師(糸魚川市)
(18)兵庫教育大学図書館データベース構築シンポジウム(兵庫教育大学)
(19)十日町市立松之山小学校講演会講師(十日町市立松之山小学校学校保健委員会)
(20)上越市PTA連合会講演会講師(上越市PTA連合会)
(21)上越市立小猿屋小学校講演会講師(上越市立小猿屋小学校保健委員会)
(22)上越市立宝田小学校講演会講師(上越市立宝田小学校学校保健委員会)
(23)上越市立大潟町中学校講演会講師(上越市立大潟町中学校学校保健委員会)
(24)柏崎市立新道小学校講演会講師(柏崎市立新道小学校学校保健委員会)
(25)上越市立高田西小学校講演会講師(上越市立高田西小学校学校保健委員会)
(26)上越市立城東中学校講演会講師(上越市立城東中学校学校保健委員会)
(27)柏崎市立大洲小学校講演会講師(柏崎市立大洲小学校学校保健委員会)
(28)妙高市立斐太北小学校講演会講師(妙高市立斐太北小学校学校保健委員会)
(29)上越市立城西中学校講演会講師(上越市立城西中学校学校保健委員会)
(30)上越教育大学附属中学校講演会講師(上越教育大学附属中学校学校保健委員会)
(31)財団法人コンピュータ教育開発センター ICT支援員に関する有識者調査研究検討委員(財団法人コンピュータ教育開発センター)
(32)NPO法人上越地域学校教育支援センター 未就学児サポート事業検討委員会委員(NPO法人上越地域学校教育支援センター)
(33)名立の子どもを守り育てる会(名立の子どもを守り育てる会)委員
(34)上越市立名立中学校学校評議員(上越市教育委員会)
(35)上越市立宝田小学校学校評議員(上越市教育委員会)
(36)上越市立里公小学校学校アドバイザー(上越市立里公小学校)
(37)財団法人にいがた産業創造機構「教育関連システムIT戦略会議」事業アドバイザー(財団法人にいがた産業創造機構)
(38)NPO法人はつらつ元気塾理事(NPO法人はつらつ元気塾)
(39)上越情報教育研究会(上越情報教育研究会)委員
(40)NPO法人情報ネットワーク教育活用研究協議会プロジェクト委員(NPO法人情報ネットワーク教育活用研究協議会)
◎社会への寄与等
・ ICT教育に関して有識者として教育行政や教育関係機関などにアドバイスを行うことが多い。
・ 情報化社会における生活習慣に関する出前講座の要請が多く,県内を中心に30回以上の講演会をもった。
・ 地域の教育活動での相談を受けることが多く,市内の学校での学校評議員やアドバイザーを行っている。また,行政からの電話相談を受けることも多い。
 

 
梅 野 正 信(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
「国際理解教育演習」(大学院)と「総合・生活B」(学部・免P)でフィールドワーク,アクティビティと発表形式を結びつけた講義・演習形式に改善した。
【観点2】教育の達成状況
ゼミでは研究と教育実践の関係をもたせて指導している。ゼミ生は懸命に採用試験を目指して努力し,採用されている。また,そうでない院生も臨採・非常勤として頑張っている。
研究指導
【観点1】学部
学部では,教育実践の先達に学ぶことから,上越教師の会の「単元習作」の研究指導,また世界的なアクティビティ研究成果をふまえた指導を中心に,教職の実践力と意欲を向上させる指導に力を入れた。
【観点2】大学院
教育実践史,国際的なまたは国や都道府県教育行政資料に関する先端的研究成果をふまえた実践的研究に取り組むよう指導している。(活用資料は私の研究室に揃えている。)
その他の教育活動
・ 金沢大学において「地歴科教育法」1回2単位,「公民科教育法」2回4単位の非常勤講師を担当した。
・ 附属小学校の研究公開に関わり「総合教科活動」の指導・助言を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
県内外を問わず教育研究指導を求められれば対応することにしている。産休等の危急の事態との理由から金沢大学の非常勤講師を引き受けたが,なるべく学内の学生・院生指導,学校現場の養成に応える指導を優先させたいと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年8月:『混迷の時代“社会科”はどこへ向かえばよいのか―激動の時代から未来を模索する―』(共著) 明治図書
(2)平成23年8月:『21世紀型学校教育への提言―民主的学校と省察的教師―』(共著) 教育開発情報センター
(3)平成23年10月:『社会科教育実践ハンドブック』(共著) 明治図書
論】(1)平成23年6月:「法常識講座44 教師をとりまく困難な環境/実情を理解し共有するための教員研修資料」(単著) 『季刊教育法』第169号エイデル研究所,pp.58-63
(2)平成23年9月:「法常識講座45 教師をとりまく困難な環境/実情を理解し共有するための教員研修資料(その2)」(単著) 『季刊教育法』第170号エイデル研究所,pp.86-91
(3)平成23年12月:「法常識講座46 教師をとりまく困難な環境/実情を理解し共有するための教員研修資料」(その3)」(単著) 『季刊教育法』第171号エイデル研究所,pp.64-69
(4)平成24年3月:「法常識講座47 学級崩壊と指導力不足を理由とした分限免職処分事由の妥当性を検討するための教員研修資料」(単著) 『季刊教育法』第172号エイデル研究所,pp.50-55
(5)平成24年2月:「人権教育資料の分析的研究1−『協力的』『参加的』『体験的』な学習を中心とする指導例示の特色と傾向-」(単著) 上越教育大学研究紀要第31巻,pp.29-40
発】(1)平成23年10月:「Grounded Theory Approachによる社会科学習評価の可能性―棚橋健治氏による学習評価理論を踏まえて―」(共) 全国社会科教育学会
(2)平成23年10月:「『全校体制での学習活動』『異年齢の縦割り集団』『地域の教育力』に着目した総合的な学習の時間における取組に関する研究」(共) 日本社会科教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年10月22日〜平成23年10月23日:日本社会科教育学会全国研究大会出席, (2)平成23年12月10日〜平成23年12月11日:日本教育実践学会研究大会出席, (3)平成23年6月18日〜平成23年6月19日:日本国際理解教育学会出席, (4)平成23年10月8日〜平成23年10月9日:全国社会科教育学会全国研究大会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)全国研究公開(人権教育)指導・助言(埼玉県熊谷奈良中学校)
(2)全国研究公開(人権教育)指導・助言(新潟県上越市大潟町中学校)
 

 
釜 田   聡(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
「教育実地研究TUVW」「教職実践演習」では,上越教育大学スタンダードと教育実習ルーブリックの各事項に即して,学生一人一人が具体的な目標を設定できるような学習の場を設定した。具体的な授業場面においては,少人数での省察の場を意図的に設定し学生同士の相互評価を促した。また,教育実地研究Uでは,模擬授業コンテストを実施し,実践的指導力を培い,学生相互が切磋琢磨する場を設定した。「韓国事情」では,毎時間,学生に対してミニレポートを課し,次時にはそのミニレポートに記載された内容を分類整理した上で,授業を構成して実施した。「総合・生活指導法」では,上越地域から生成された総合学習を中心に授業を構成し,学生の興味・関心をはぐくむことに努め,実践的指導力の育成を目ざした。成績評価全般において,出席点を重視し,毎回のミニレポートと最終レポートを加味し総括的な評価を行った。「研究セミナー」においては,「自立した教育研究者」の育成をめざし,個に応じた指導と協働的なセミナー運営を心がけた。
【観点2】教育の達成状況
○ 研究セミナー
釜田研究室に所属し修士論文を提出し受理された院生2名(ほか現職1名)と卒業論文を提出した受理された学生1名の計3名は,それぞれ教員採用試験を突破し平成24年4月正式に採用された。研究セミナーの成果が反映されたものと考える。
○ 教育実習
教育実習ルーブリックを活用した教育実習に関する指導を行ってきた結果,学生一人一人の省察行為が充実してきた。教育実習校での取り組み,教育実習ノートの記述,事前事後指導での各種レポートの記述に確かな省察を行う学生が多くなってきた。
研究指導
【観点1】学部
学部学生1名:「数学授業における数学的リテラシーの活用についての基礎的研究」と題する卒業論文の指導を行った。臨床的な実践力を習得させるため,9月から12月まで週2日,附属中学校において,総合インターンシップを履修させた。日々の数学の授業実践から数学的リテラシーを抽出し,その上で数学の授業における数学的リテラシーについて考察を行った。附属中学校の教員からは,「数学の授業における理論と実践の往還について,また基本的な臨床的な実践力の修得については良好であった」との評価をいただいた。
【観点2】大学院
M3・2名,M2・2名,M1・4名の研究指導を行った。基本的に全員参加の合同セミナーと週1回のテーマ別のセミナーを開催し,協働力の育成と個人テーマに即した研究指導を行った。実際の指導場面では,実際の事例研究や各教室での学びの実相,児童生徒の学びの足跡に着目できるように助言指導し研究の深化を促した。
その他の教育活動
・ 教育実習
教育実習ルーブリックを活用した教育実習指導を行った。また前年度の授業評価を緻密に分析し,内容と方法の改善を図った。こうした成果を各種学会で発表することによって,本学の教育実習の質的充実に寄与した。
教育実習委員会委員長として,教育実習の円滑な運営に努めた。
・ 学びのひろば
学びのひろばの全体責任者(学びのひろば支援部会部会長)として,円滑な運営と事務局の指導に尽力した。
・ 附属中学校の指導者
附属中学校の全体指導者として,研究全体の進め方や総合教科の在り方について指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
・ 特筆すべき点・教育実地研究U
教育実習の事前指導を兼ねるものとして,多様な学生ニーズと受け入れ校からの声を反映したシラバスを作成した。模擬授業コンクールについては,事前指導を充実させることで,より質的に高まった学習活動になった。
・ 教職実践演習
教職実践演習運営部会の部会長として,全体のコーディネート及びプログラムの質的充実に努めた。
・ 今後の検討課題
教育実習や教職実践演習における協働的省察行為の内実を明らかにし,各種シラバスに反映させること。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年8月:『21世紀型学校教育への提言』(共著) 教育開発情報センター
論】(1)平成24年2月:『ESDの視点からの中学校歴史教科書叙述の比較検討−朝鮮通信使の教科書叙述を中心に−』(単著)『上越教育大学研究紀要』VOL.31,上越教育大学,pp.63-73
(2)平成24年3月:『ESDを基軸とした日韓相互理解を目ざした教材開発研究』(共著)「教育実践研究」第22集,上越教育大学学校教育実践研究センター,pp.35-44
業】(1)平成24年3月:『中学社会 地理』(共著) 中学社会地理 地域に学ぶ 教育出版
(2)平成24年3月:『中学社会 歴史』(共著) 中学社会歴史 未来をひらく 教育出版
(3)平成24年3月:『中学社会 公民』(共著) 中学社会公民 ともに生きる 教育出版
(4)平成24年3月:『学習のめやす(ダイジェスト版)』(共著) 学習のめやす2011 公益財団法人国際文化フォーラム
(5)平成24年3月:『学習のめやす2011』(共著) 学習のめやす2011高校からの中国語・韓国語 公益財団法人国際文化フォーラム
発】(1)平成23年9月:『教職実践演習必修化に向けた試行段階の取組』(共) 日本教師教育学会
(2)平成23年11月:『日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発』(共) 韓国国際理解教育学会
(3)平成23年11月:『第12回韓国国際理解教育学会大会シンポジウム指定討論者』(共) 韓国国際理解教育学会
他】(1)平成23年11月:『NIE活動/新潟県のNIE活動』 上越市立直江津中学校
(2)平成23年12月:『三条高校大学教授講義/三条高校大学教授講義』 三条市
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)自立して学ぶ生徒を育てる教育課程の研究開発 代表者:藤岡達也(上越教育大学) 上越教育大学附属中学校
(2)持続発展教育に関する教材開発研究 代表者:釜田聡(上越教育大学) 学校教育実践研究センター
(3)外国語学習のめやす2012 代表者:中野佳代子(国際文化フォーラム) 国際文化フォーラム(めやすプロジェクト)
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)「臨床的アプローチとESDを基軸とした日韓相互理解のための歴史教育の教材開発研究」 代表者:釜田聡(上越教育大学) 科学研究費
(2)日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発 代表者:大津和子(北海道教育大学) 科学研究費
(3)Collaborative Development of ESD Curriculums and Teaching Materials 代表者:釜田聡(上越教育大学) 米日財団
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本国際理解教育学会理事, (2)日本学校教育学会理事, (3)平成23年7月:日本国際理解教育学会出席, (4)平成23年10月:日本教師教育学会出席, (5)平成23年10月:日本社会科教育学会出席, (6)平成23年11月:韓国国際理解教育学会出席
外国における研究の状況
(1)平成23年11月:韓国,東アジア三カ国とアメリカの協働による持続可能な開発のための教育(ESD)に関する基礎的研究―大学・附属小中・地域・東アジア三カ国・アメリカの臨床的協働研究を中心に―
(2)平成23年12月:韓国,臨床的アプローチとESDを基軸とした日韓相互理解のための歴史教育の教材開発研究
◎特色・強調点等
持続発展教育(ESD)を中心概念として,日本と韓国,日中韓,日米を取り結ぶ国際協働研究をそれぞれ外部資金を獲得し推進した。特徴的な点は,国際協働研究でありながら,理論と実践の架橋を目標として,各国の教育実践者を参画させたことである。また研究成果を学内の授業と附属学校の全体指導の充実に役立てた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県新聞活用教育(NIE)推進協議会会議(新潟県新聞活用教育(NIE)推進協議会)
(2)新潟県妙高市教育委員会「教育に関する事務点検及び評価の実施」に関する協議会委員(妙高市教育委員会)
(3)新潟県糸魚川市教育委員会「子ども一貫教育」指導者(糸魚川市)
(4)上越国際交流協会理事 
◎社会への寄与等
糸魚川市の子ども一貫教育指導者では,「子ども一貫教育」の企画当初から携わり今日に至っている。0歳から18歳までの自立の過程を,それぞれの担当者が統一的に把握し,その上で,自らがどう関わるべきかを当事者が考える教育の営みに指導・助言した。NIEにおいては,新潟県における新聞を活用した授業の在り方に対して,指導・助言を行い,新潟県における教育の質的充実に寄与した。上越国際交流協会の活動においては,日常活動はもとより,アジアを知る会では市民向けの講演を行うなどして,上越地方の国際化に寄与した。それぞれの活動は,随時マスコミ等で取り上げられ,地域の教育の質的充実に貢献したことが記述されていた。
 

 
川 村 知 行(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
総合学習分野の大学院の講義・演習では,「地域教育演習」「地域教育特論」などで,学外の実地研究指導によって,座学では理解できない体験学習を身近な地域素材を開発しながら,理解を深める努力をはらった。また,学部では総合学習の他,学芸員養成のための博物館学を担当した。
つねに現場フィ−ルドを対象とするので,学部・院のいずれも,教室ではスライド,パワーポイントを多用し,学外では大学近郊の地域素材を活用している。たとえば,大学にもっとも至近な地域素材は春日山城跡(史跡名勝)である。通常なら自動車道で駐車場まで行って,歩く所を,手前の上越市埋蔵文化財センターから,旧道である大手道を発見させ,本来の進入路から旧道にある施設に気づきながら学習するスタイルを採ることで,学習効果を多角的に向上させることができた。ただし,免許プログラムの院生を含む学部授業では,野外活動は過密時間割のせいで,通常の講義時間内で納めることは不可能であるため,土・日を使うこともあった。
成績評価に関して,これまでレポート提出による評価が多かったが,学内外の実践指導の成果を生かすことを目標にしているので,通常授業内で口頭発表による報告に切り替えた。その結果,評価できる長所や問題点をその場で,説明して,理解されやすい場面が少なくなかったことは改善の成果である。
【観点2】教育の達成状況
学部生2人のうち1人は教育委員会の文化財関係の仕事をめざして,上越市に就職することができた。もう1人4年生は出身地で臨時採用の小学校教員になった。大学院生3人のうち,1人は千葉県小学校に本採用,残り2人は現職派遣教員2人は新潟県本務校に戻って,総合学習等の指導的な役割を担っている。その他,学部生2人と免P院生が2人残ったので,なお一層の進路指導の達成に努めたい。
研究指導
【観点1】学部
今年度は卒業研究の4年生が2人いたが,いずれも出身地域をフィールドにした総合学習の開発だったので,地域の素材研究と,地元学校の実践を調査させ,その成果を逐次ゼミで報告を受けた。現職教員を含めたゼミ生全員で先行実践例をあげながら,教材開発に当たった。出身地域が近隣の石川県だったので,ともに出向いてフィールドワークに当たった。遠隔地の学生でも,幸い近隣だったので,現地に行くことができた。
【観点2】大学院
今年度は総合学習分野1人の修士論文指導に当たった。フィールドとして選択した静岡地域に同行して,地域の素材研究の現場と学校を調査し,地域密着型の総合学習を臨床的に開発する努力を試みた。
その他の教育活動
・ 非常勤講師は本務校の多忙を理由に辞退したので記載はない。
・ 教育実習における学生指導について,ゼミ生の実習にはゼミ生全員でサポートし,研究授業へ参加し,ゼミ室に戻って評価に当たった。
特色ある点及び今後の検討課題等
今年度の研究成果は1本しか出せなかった。長年,調査に従事している醍醐寺の所蔵絵画目録である。この文化財調査は100年続いており,現在のスタッフは5世代目に当たる。醍醐寺は文化財の無尽蔵の宝庫であるが,100年調査を重ねて,ようやく調査完了の見通しがたってきた。初めて目に触れ,世に出すことが調査員の責務である。展覧会に出品され,教科書に掲載されるまでには時間がかかるが,重大な発見は記者会見して,新聞・テレビで全国に報道される。研究者として,きわめて幸福な現場で仕事ができることを教育に活かすことが目標である。シナリオがないのが,総合学習の学習過程であるが,読んで考えるのではなく,見てから,問題に気づき,調べて考えることの重要さを,身をもって示している。
たとえば,学外演習として実地研究を担当しているが,奈良なら東大寺に宿泊,京都なら醍醐寺三宝院そのものに宿泊し,単に美術品として扱うのではなく,本来の安置状態から原形態を復元し,本当の意味を自然に気づき,考えることができるようなプログラムを用意している。
その他, 新潟日報本社とともにNIE(教育に新聞を)を実践開発しているが,今年度も学生たちの作成した特集記事が紙面に掲載された。
また,地域貢献として,上越市その他の文化財保護調査委員を勤めてきたが,とりわけ上越市の場合は委員長として,調査研究と文化財行政にわたって指導に当たっている。今年度は上越市立総合博物館の依頼で,「御所参内・聚楽第行幸屏風」学術調査委員会の組織を立ち上げ,3年計画で成果をあげることになった。
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
(1)5月20〜22日 美術史学会 第64回全国大会出席(同志社大学), (2)12月17日 密教図像学会 第31回学術大会出席(大正大学)
◎特色・強調点等
醍醐寺の美術工芸調査,上越市の文化財調査や世界各地の美術館・博物館の活用など,つねに目に見える実態を把握することによって,本質に迫ろうと努力していることは,美術史研究はもとより,総合学習のプログラム開発としても有効である。大学の隣接学校区にある小学校が春日山城をフィールドとした総合学習を実践しているが,修了生がその成果を生かしながら活躍しているなど,成果をあげつつあるので,さらに全国各地に広げるべく努力している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市文化財調査審議委員(上越市教育委員会)
(2)御所参内聚楽第行幸屏風学術調査委員会(上越市立総合博物館)
(3)會津八一記念館評議会委員(新潟市會津八一記念館)
(4)加茂市史編集委員(新潟県加茂市教育委員会)
(5)醍醐寺文化財研究所研究員(京都市伏見区 総本山醍醐寺)
◎社会への寄与等
文化財の調査・保護について,新潟県内外の審議会委員等として文化政策にかかわった。とりわけ教育委員会からの依頼については,単に学識経験者としての政策形成だけではなく,成果を教育現場で活用してもらえるように働きかけている。その結果,新潟市の小学校が會津八一記念館を総合学習の一貫として利用し,学芸員と学校教諭の間に博学連携が一部ながら実現できた。
今年度も新幹線新駅前で発見された釜蓋遺跡をめぐり,「文化財は楽しい?!」というテーマで連続パネル・ディスカッションなどを実施した。 
 

 
小 林   恵(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
文献の講読法から実践のフィールドワークまで詳細に指導し,適切な評価をした。
【観点2】教育の達成状況
十分に達成できた。
研究指導
【観点1】学部
週数回のゼミ等で学生の意欲を喚起した。文献の選び方,講読法を詳細に指導することから始めた。
研究は社会事象との関連も説明した。総合的な知識の習得に力点を置いた。
教員採用試験への取り組み方など就職に対応することにも力を入れた。
【観点2】大学院
週数回のゼミ等で学生の意欲を喚起した。文献の選び方,講読法を詳細に指導することから始めた。
研究は社会事象との関連も説明した。総合的な知識の習得に力点を置いた。
教員採用試験への取り組み方など就職に対応することにも力を入れた。
免許プログラム院生が現職教員から学ぶように力を入れた。
特色ある点及び今後の検討課題等
2010年にサバティカルでイギリスに半年滞在した経験を基に,イギリスを始めとするヨーロッパ諸国の教育事情,思想にも力点を置きながら研究,指導をした。今後は歴史的観点を踏まえた指導を試みたい。
 
<研究活動>
◎特色・強調点等
コース長として学科全体のあり方を考えた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)6月:糸魚川高校にて大学の模擬授業(糸魚川高校)
 

 
南 部 昌 敏(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
講義は,講義内容の骨子をプレゼンテーションソフトを用いてスクリーンに提示し,口頭で詳細を解説するとともに,受講者に質問を投げ掛け,それへの反応を受けて適宜対応するなど,できるだけ双方向になるように心がけた。スクリーンに提示した情報及び関連資料は全て講義資料として電子データで配布し,受講生は,それを各自のパソコンに提示し,それに直接書き加えたり,同時にワープロソフトを用いてメモを取るなど,講義ノートとしての利用を勧めた。また,講義支援システムを用いて,出席管理,講義資料の配布,毎回のレポート課題の提示と提出受付を行うことで,受講者の管理と適切できめ細かな指導を行うことができた。成績評価も,そこで得られた,受講者の取り組みに関するレポートの執筆内容等の実際の資料をエビデンスとして,詳細に読み解き,絶対評価をおこなうことができた。
【観点2】教育の達成状況
受講生からの評価では,シラバスに記した達成目標の観点から,達成した,おおむね達成したとの回答がほとんどであり,目標達成を実現することができた。また,授業者としての指導法に関しては,講義において用いたプレゼンテーション資料(これは全て学習者に電子データで配布済み)を講義終了後に,シラバスに記した目標・内容に照らし合わせ,目的達成に向けて適切であったかを自己分析するとともに,毎回の講義で受講者全員に課したレポート課題とそれへの記述内容を分析した結果,どの受講者も講義内容を十分に理解し,それを基にして課題に対する自分の考えを論理的に記述して有り,目標達成にむけて有効な指導ができたと評価した。
研究指導
【観点1】学部
本年度は学部学生の卒業研究指導は行わなかった。
【観点2】大学院
本年度は,教育職員免許取得プログラムで入学した3名の大学院生の修士論文指導に当たった。1名は,小学校高学年を対象とした思考力を育成するための目標規準とルーブリックを作成し,それを用いて,小学校5年算数科の学習プログラムを開発し,平成24年度1学期に,十日町市内の小学校で授業実践を行うまでの研究推進計画を策定した。次の1名は,小学生を対象に,学校での学習時間だけでは十分に目標達成を行うことができない児童に焦点を当て,学校での学習と家庭での学習を往還させる過程で目標達成を実現することを目指した,家庭学習支援教材とICT活用システムの開発に取り組んだ。開発環境としては,信州大学の東原義訓氏らが開発した教材開発システムを購入し,それを用いて4年生の算数科の個別学習教材の開発に取り組んだ。平成24年度中に実践を行う予定であるが,協力校の関係で,学校現場や協力者の家庭のICT環境が整っていなくても実践ができるように,プリント教材も併せて開発することとした。もう1名は,教育漫画の可能性に着目し,まず,学校教育における教育漫画の活用に焦点を当て,その実態を分析するとともに,学校教育においてこれまで用いられている様々なメディアを抽出し,その特性比較を通して,教材の適切性について検討した。また,道徳教育における文章と挿絵で構成されている副読本の教材を取り上げ,それぞれの場面を数コマの漫画で描くことに取り組んだ。
その他の教育活動
新潟大学教育学部の非常勤講師として,「教育メディア論2」(受講者97名)を集中講義形式で担当し,9月第1週に,講義と演習指導を行った。また,北陸学園の非常勤講師として,後期の毎週火曜日13:20から14:50に,1年生を対象に,「情報機器の操作」(2単位)を担当し,28名の受講者に対して,講師と演習指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
ブルームの目標分類学の最新理論に 基づく思考力育成を目的とした学習指導プログラムの開発,CAI(Computer Assisted Instruction)の考え方を基盤とし,学習者個々への足場かけ理論を取り入れた個別学習のための教材の開発,様々なメディアの特性を踏まえた漫画教材の開発に関して,どれも,ID(Instructional Design)の理論的基盤を踏まえた開発研究に関する指導を行ったことが特色であり,教育プログラム設計の基本モデルである,ADDIEモデル(Analyze(分析)Design(設計)Development(開発)Implement(実施)Evaluate(評価))に立ち返って研究を進めていく手法を取り入れた点が特色である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『教員属性,研修参加状況と教師の自己効力感及び教職に関する認知との関連:沖縄県島尻地区の小・中学校教員を対象として』(共) 京都教育大学研究紀要,第120巻
発】(1)平成23年9月:『協働と省察による校内教員研修が教師の授業力の向上に及ぼす影響(2)〜沖縄県南城市立佐敷小・馬天小におけるワークショップ型校内教員研修の評価〜』(共) 第27回日本教育工学会全国大会
(2)平成23年9月:『小学校卒業生の追跡調査によるメディア・リテラシー実践の効果検証(1)』(共) 第27回日本教育工学会全国大会
(3)平成23年9月:『日中教育工学研究交流の継続要因の検証』(共) 第27回日本教育工学会全国大会
(4)平成23年11月:『協働と省察による校内教員研修か?教師の授業力の向上に及ほ?す影響(3)?沖縄県島尻教育研究所におけるワークショッフ?方式集合型教員研修フ?ロク?ラムの開発と実践?』(共) 第18回日本教育メディア学会年次大会
学会活動への参加状況
(1)日本教育工学会理事として,学会運営に関する理事会での審議を行うとともに,広報委員会委員長として,ニューズレターの編集に携わった。
(2)日本教育メディア学会監事として,学会の事業運営全般の監督を行うとともに,会計監査の担当として,事業と照らし合わせて,適切に処理されているかを監督した。
(3)日本教育情報学会評議員として,学会の活動に対して幅広く,提言を行った。
(4)日本教育工学協会の副会長として,会長を補佐し,常任理事会及び理事会において,全国大会,セミナー等の協会活動の運営に関して審議を行うとともに,日本教育工学協会の会員である全国41の都道府県において組織されている教育工学関連研究組織の活動の活性化と相互連携の推進に向けた施策の企画立案・実施運営にあたった。
◎特色・強調点等
(1) 平成22-24年度科学研究費補助金基盤研究(B)(課題番号22300283)の研究代表者として,京都教育大学,秋田大学,北海道教育大学の研究分担者と協働して,協働と省察の継続によるワークショップ型校内教員研修について,実践協力校のニーズと実情を踏まえて実践し,教師の授業力向上に及ぼす影響の解明に取り組んだ。その成果を下記に示す。
・ 東京都の小学校を対象に,昨年度から取り組んできた国語,算数,英語の教科を対象とした協働と省察による授業実践研究とワークショップ型教員研修を継続し,教師の授業力向上と児童の学力の向上の取り組みを行い,その成果を2月16日に公開した。
・ 沖縄県の小・中学校12校の教員を対象に,それぞれの学校の全教員(214名)が学校単位で参加した,新しい形のワークショップ方式集合型教員研修を実施するとともに,参加校のうち,小学校2校と小中連携校において授業実践研究とワークショップ型教員研修を継続実施し,教師の授業力向上を図った。
・ 北海道内の学校現場を支援している北海道教育大学の教員,道立教育研究所,道市町村教育委員会指導主事,小中高等学校教員を対象に平成24年1月26日に開催された,北海道地域教育連携フォーラム・北海道の子どもの学力向上を応援するプロジェクト事業「子どもがより良く育つ学校づくり」において,本プロジェクトの成果と荒川区及び沖縄での実践事例を紹介するとともに,ワークショップ研修会をコーディネートし,普及啓蒙を図った。
・ 平成23年度に開発した,児童観察・配慮,授業づくりの工夫,授業規律,教材研究,自己成長の5因子で構成された「授業実践力に関する自己チェックシート」を用いて,沖縄及び東京における実践協力校において,一人ひとりの教師が自分の授業力を確認するための自己評価を実施し,研修の効果を確認した。
・ なお,平成23年11月26日〜12月5日の日程で海外における教員研修調査として,ドイツイエナ及びオランダハーグにて調査を行い,州の公の教育機関において教員研修のプログラムと教室で使える教材が準備され,教員が研修専門のスタッフが常駐している研修機関に出向いて研修を受けたり,研修機関のスタッフが学校に出向いて研修を受けていることが判明した。
本プロジェクトの最終年度である平成24年度には,次のことを計画している。
・ 校内教員研修標準モデル(最終版)と教師の授業力の評価規準(最終版)を策定するとともに,北海道内等の新規に依頼した協力校に提供し,その普及可能性を検討する。
・ 校内教員研修共有サーバシステムの動作環境を改訂し,メーリングリスト,掲示板等を用いて関係者間での情報共有と連絡が徹底できるようにする。
・ 教師の授業力の向上と児童生徒の学力の向上への影響に関して,量的分析に加えて,質的分析も行う。
・ 2年間,3年間と継続して取り組んだ協力校の実態と1年間継続して取り組んだ協力校の実態を比較検討し,継続することの意義を明らかにする。
・ 上越教育大学において開発したWeb版協同学習支援システムと協同思考支援システムを用いたワークショップを実施し,その利用可能性を検討する。
・ カークパトリックの研修達成度に関する視点を用いて調査する。
・ 国内の関連学会に加えて,新規に,国際授業研究学会(WALS2012)発表する。
・ 研究成果報告書を作成し,関係者に配付する。
(2) 平成22-24年度科学研究費補助金基盤研究(C)(課題番号22500907)の研究分担者として,メディアの特性の分析とそれぞれの良さを活かした授業を設計・展開・評価することのできる授業力を育成するための校内授業研究の方法を明らかにするために,秋田県内小学校,東京都荒川区および沖縄県内の小学校において,そのプログラム開発とその実践に取り組んだ。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
・ 平成23年11月に滋賀県総合教育センターで開催した「管理職のためのICT活用研修講座」,平成23年11月と平成24年2月に丹波市で開催した校長及び教頭研修会における「管理職のためのICT活用研修講座」の講師として,講演とワークショップ演習の指導助言を行った。
・ 東京都荒川区教育委員会研究指定校である荒川区立尾久第六小学校における「学校パワーアップ事業」の全体指導講師として,「学び合いを通して,楽しい,わかったを実感できる授業の創造」を目指し,授業づくりと授業実践に関する助言指導を行うとともに,毎回の授業実践研究会において,ワークショップ型校内研修を取り入れた授業評価に関する助言指導を行った。その結果,教師の授業力の向上に有効に寄与したことがアンケート調査と実際の授業分析の結果から確かめられた。
・ 荒川区学校教育研究会視聴覚教育研究部「荒川の子が生き生きと育つ教育の創造?教育ネットワークを活用した授業の創造?」の取り組みに関して,区内の小中学校のすべての学級に設置された電子情報ボード(IWB(Interactive White Board))及びネットワーク配信コンテンツの活用方法に焦点を当てた,大門小学校,第二日暮里小学校,諏訪台中学校における授業実践とそれに基づく協議を行うとともに,その効果的な活用のあり方について助言指導を行い,区内の全ての教員がその活用方法を身につけ,広く区内全域に普及を図ることが学力向上を目指した授業改善と授業力向上に不可欠であることが確かめられた。
・ 平成22年度に引き続き,平成23年7月に,沖縄県島尻教育研究所主催の集合型教員研修において,ワークショップ型校内教員研修のあり方と題して講演するとともに,学校単位でのグループに分かれてのワークショップ演習の指導助言をした。さらに,その研修会に参加した,糸満市立兼城小学校,南城市立知念小学校,同玉城小学校における校内教員研修が2学期になってから行われ,国語科と算数科の授業実践に関する授業づくりと授業実践・評価の考え方について講演をするとともに,授業参観後のワークショップ演習において助言指導を行った。また,糸満市立高嶺中学校区小学校・中学校連携,南城市立与那原中学校区小学校・中学校連携の取り組みに関して助言指導を行った。さらに,南城市立南風原幼稚園において,ワークショップ研修の進め方に関する助言指導を行った。糸満市立兼城小学校・中学校連携事業として,平成24年2月に,「中学校卒業時の望ましい生徒像に関する小中全教員の知恵を共有し,9年間を見通した児童生徒を支援するための具体的手だてを創造し,共有する」をテーマに,合同のワークショップ研修会を開催し,助言指導を行った。
・ 財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)におけるプロジェクト「ICT支援員の養成に関する調査研究委員会」の委員長としてその運営と調査に取り組んだ。3年計画の初年度として,ICT支援員を配置して,学校支援を行っている熊本市教育センター,上越市教育委員会,長野市教育委員会,九州工業大学等の先進地域に焦点を当て,訪問調査を実施するとともに,我が国の教育の情報化に関して指導的役割を担っている研究者にインタビュー調査を実施し,その結果を分析・整理し,平成24年3月に開催した,「コンピュータ教育開発センターの研究成果報告会」において,パネルディスカッション形式で,報告した。
・ 平成23年度の文部科学省から委託事業としてNTTデータ管理研究所が運営する研究プロジェクト「ICT活用教育先進国の訪問調査」の委員の一人として,運営方法,調査方法,調査先の抽出,調査項目,調査結果の分析と考察を行った。調査先は,韓国,英国,オーストラリア,カナダの4カ国で,文献調査の分析を含めて,訪問インタビュー調査の結果を分析し,平成24年3月に325ページの報告書としてまとめ,文部科学省に答申した。
 

 
布 川 和 彦(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部「数学学習過程論」においては,実際の中学校でとりあげられている折り紙やデザイン定規を利用した教材をとりあげ,それらを学生にも活動させ,その結果を受講者で話しあう中で,学習者の視点から思考過程や共同的な学習過程の経験ができるよう工夫した。また,「学習臨床観察基礎」では,地元の小学校の御協力を得て,学生をつれて実際の参観を行うとともに,その授業のポイントを考える事前指導,ならびに参観の結果から何を学べるかを議論をする事後検討の指導を行い,実践と理論の往還を体験できるように工夫した。
大学院「学習臨床学特論」や「算数・数学学習過程特論」においては,申請者により記録された,実際の授業や児童・生徒の思考過程をとらえたビデオを視聴し,そこに見られる学習過程を分析・考察する演習を適宜取り入れた。その際,ビデオの視聴に慣れていない受講者が十分にビデオの内容を把握できるよう,ビデオの部分的な筆記記録やその背景になる授業の記録などを書いた資料も配付をして,視聴や考察が効果的なものとなるよう配慮した。また,そこで受講者の議論をさせっぱなしにするのではなく,受講者から出された意見や考察を生かしながら,申請者が国際雑誌に発表した理論枠組みも含め,近年の研究成果を生かしながら,それらを整理することで,具体的なデータと理論的な思考とを往還できるよう工夫した。
【観点2】教育の達成状況
講義の中に受講者が活動する部分(問題を解く,ビデオを見て考察する等)を多く含めることで,受講者に積極的に学ぶ姿が見られ,またそうした活動の中で得られた具体的な事例や経験をもとにしながら,算数・数学教育の理論的枠組みなどを話すことにより,実感を伴いながら講義内容を理解することができたようであった。そうした意図が受講者にも伝わり,授業評価でも高い評価を得ることができた。
研究指導
【観点1】学部
学部の研究指導においては,算数教育に関わる書籍のうち,理論的枠組みを実際の授業に適用した考察を含むようなテキストを選び,その講読を進めるとともに,教育実習の前には,学生が担当する授業の教材研究を一緒に行ったり,また事後には実習での学生の授業を記録したビデオデータの分析を行うなど,指導が教育実践につながるよう努めた。
【観点2】大学院
大学院の研究指導では,各院生の選んだテーマに沿った文献の講読を行うとともに,近隣の知り合いの先生方の協力を得て,院生に希望する校種の学校での授業参観ができるよう手配したり,また院生自身が許可を得てきた学校で研究上必要な授業の記録を取らせてもらえるよう支援したりすることで,研究が教育実践に根ざしたものとなるよう努めた
特色ある点及び今後の検討課題等
形態は講義内容や受講者により様々であるが,講義の中では受講者が主体的に活動する場,あるいはそこでの体験を議論する場を設けるよう努めてきている。これは学習効果をあげるという意味合いと同時に,授業や学習というものについての受講者のもつイメージが講義を通して形成されるであろうこと,したがって,講義を通じて講義者が適切と思うイメージが受講者に形成されることを願ってのことでもある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『関数的内容の学習におけるきまりの関連づけと対象の構成(2)』(単著) 上越数学教育研究,No.27,pp.1-12
業】(1)平成23年10月:『数学が生徒たちのよきパートナーとなるために』(単著) 教科研究数学(学校図書),No.193,pp.2-5
(2)平成24年3月:『子どもの説明を深める教師の支援のあり方』(単著) 新しい算数研究(東洋館出版),No.494,pp. 58-59
発】(1)平成23年11月:☆日本数学教育学会第44回数学教育論文発表会
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本数学教育学会第44回数学教育論文発表会, (2)平成23年度:雑誌『Educational Studies in Mathematics』(Springer)Editorial Board
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許更新講習(上越教育大学)
(2)新潟県小学校教育研究会学習指導改善調査研究事業スーパーバイザー(新潟県小学校教育研究会)
(3)新潟県県立教育センター授業力向上研修(算数・数学)講師(新潟県立教育センター)
(4)新潟県小学校教育研究会学習指導改善調査研究事業公開校実践事例報告会講師(新潟県小学校教育研究会)
(5)新潟県立教育センターステップアップ研修(算数)講師(新潟県立教育センター)
(6)長岡市指定研究校研究実践会講師(長岡市)
(7)三条市小学校教育研究協議会研修会講師(三条市教育研究協議会)
(8)新潟県小学校教育研究会学習指導改善調査研究事業・公開校実践事例報告会助言者(新潟県小学校教育研究会)
(9)県内附属学校園研修会算数・数学部会講師
◎社会への寄与等
別に登録した研修会講師などの他に,地元の先生方からの算数の授業に対する相談を受けることがあり,適宜対応してきた。そうした相談に来て下さる背景には,地元の算数・数学の先生方が月1で行っている勉強会に顔を出してきたからであり,そこで築いた信頼関係からおいで下さるのだろうと思われる。また教師を対象とした雑誌への寄稿は他県の先生方に考えを知ってもらう機会であり,その効果か,昨年は名古屋市の研修の一環として中学校の先生1名が2日間研究室に見えられ,臨時のゼミを行った。
 

 
藤 岡 達 也(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
教育方法及び成績評価面では,大震災後,新学習指導要領に則った教育活動が始まるなど動きが慌ただしい教育界の最新の動向を取り入れながらも,FDのアンケート結果による学生の評価を反映した授業に取り組んだ。教職を自覚させるためにも「総合生活科指導法」など教員希望者が多く受講することを踏まえ,教員採用試験に向けての取り組みからライフワークとしての教職に関する内容を多く取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
FDを見る限り,自分の担当する授業科目では,受講生からそれなりの高い評価を得た。しかし,シラバスを検討して科目を選択したり,授業のねらいを理解して受講したりする学生・院生が必ずしも多くないのが課題である。
研究指導
【観点2】大学院
大学院生の個別指導については,地域を主題とした学校教育における環境教育やESD(持続発展教育)の展開,東アジアにおける環境教育,安全・防災教育の実践方法,地域と学校とのパートナーシップの構築など,様々な今日的な教育課題をテーマとして,M3の2名とM2の3名の修士論文指導を行った。また,自分が主指導教員となっているD2の1名及び副指導教員となっているD3の博士論文作成指導を行った。
その他の教育活動
・ 大阪市立大学理学部非常勤講師「理科教育法」担当
特色ある点及び今後の検討課題等
今年度から附属中学校の校長兼務となったが,100名を超える指導法の主担であったり,ゼミ生の指導があったり(大学院生5名と博士課程の院生1名)と,授業,研究指導ともに考慮されておらず,今後のことを考えると大学のシステムを整備する必要がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年12月:『持続可能な社会をつくる防災教育』(共著) 協同出版
(2)平成24年3月:『学校防災マニュアル作成の手引き』(共著) 文部科学省
論】(1)平成23年7月:『地層の野外観察に関する講義と野外観察を組み合わせた教員研修の実践』(共著) 地学教育 第64巻 第4号 93-106
(2)平成23年11月:『地域・家庭と協働した防災教育・防災訓練にどう取り組むか』(単著) 教職研修 第471号 28-31
(3)平成24年1月:『理科教育と自然災害に関する防災・減災教育について』(単著) 初等教育資料 第882号 64-67
(4)平成24年3月:『自然災害発生時における学校復興・復旧への支援について』(単著) 総合学習研究年報 Vol.10
業】(1)平成24年3月:『防災教育の観点に立った青少年の体験活動プログラムの調査研究』(共著) 国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター
(2)平成24年3月:『文科省委託事業 教員の資質能力向上に係る調査検討事業』(共著)上越教育大学
(3)平成23年12月:『防災教育・防災管理を中心とした学校安全に関する指導者養成』(東部・西部ブロック)(共著)教員研修センター・文科省
(4)平成24年3月:『東アジア等の自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献の可能性』(共著) 科研費基盤B研究成果中間報告書
(5)平成24年1月:『ビオトープを通して,自然と人間,人間と人間とのつながりを再考する』(単著)日本ビオトープ協会「ビオトープ」No.29
(6)平成23年8月:『環境リーダー養成講座』(共著)新潟県環境リーダー養成協議会
(7)平成23年6月:『苦手の理数を克服,直前理数講座 物理・地学』(単著) 教職課程6月号,65-80。
(8)平成23年12月:『2012年度出題傾向分析・専門教養高校物理・地学』(単著) 教職課程臨時増刊号,118-119,124-125。
(9)平成23年10月:『「自立して学ぶ生徒」を育てる教育課程の研究開発』(共著)上越教育大学附属中学校教育研究協議会研究紀要
(10)平成23年4月〜平成24年3月:『実力養成講座,専門教養』(単著) 教職課程,12ヶ月毎月連載
発】(1)平成23年7月:『ESD(持続発展教育)の観点から捉えた防災・減災教育の意義と課題』(単) 日本環境教育学会第22回大会研究発表研究発表
(2)平成23年8月:『自然体験活動と表現活動を重視した地域環境教育の実践』(共) 日本理科教育学会第61回全国大会研究発表
(3)平成23年8月:『これからの理科教育と科学リテラシー』(単) 日本理科教育学会第61回全国大会シンポジウム指定討論者
(4)平成23年9月: 日本安全教育学会第12階新潟上越大会シンポジウム『東日本大震災から何を学ぶか』にてコーディネーターを担当
(5)平成23年10月:『ESDの観点からとらえる教科と連動した総合学習プログラムの開発』(共) 日本地学教育学会第65回全国大会研究発表
(6)平成23年10月:『津波による河川災害教材の観点』(共) 日本地学教育学会第65回全国大会研究発表
(7)平成23年10月:『中学生に対する堆積相に着目した堆積環境推定の方策の試行』(共)日本地学教育学会第65回全国大会研究発表
(8)平成23年6月:『東アジア等自然災害に関する防災・減災教育の日本の教育貢献可能性』 (単)第5回日本科学教育学会研究会研究発表
(9)平成23年12月:『小学校における地域防災学習の実践』 (共)日本理科教育学会支部大会で研究発表
(10)平成23年5月:『持続可能な社会の構築と地学史を取り扱う教育の意義と課題』 第43回地学史研究会で講演
他】(1)平成23年11月:『開校30周年を迎えて』上越教育大学附属幼稚園・小学校・中学校「開園二十周年・開校三十周年記念誌」
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)東アジア等の自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性 代表者:藤岡達也 科学研究費補助金基盤研究(B)
(2)科学者の伝記集の作成とその活用方策の確立 代表者:東徹(弘前大学教授)科学研究費補助金基盤研究(C)
(3)「自立して学ぶ生徒」を育てる教育課程の研究開発 代表者:藤岡達也 文科省研究開発学校第2年次
(4)火焔街道博学連携プロジェクト 代表者:藤岡達也 花王コミュニティ・ミュージアム2011
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)東アジア等の自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性 代表者:藤岡達也  (再掲)
学会活動への参加状況
(1)前掲 発】(1)〜(9)についての学会出席, (2)日本科学教育学会理事, (3)日本地学教育学会評議員, (4)日本安全教育学会理事
外国における研究の状況
(1)9月15日〜9月21日:マレーシア・シンガポール 東南アジアの自然災害に関する防災・減災教育についての日本の教育貢献可能性についての研究
◎特色・強調点等
附属中学校長として,今年度は文科省研究開発学校第2年次に加え,総務省「フューチャースクール推進事業」・文科省「学びのイノベーション事業」に採択されるなど附属中学校の社会的評価の高さを実感することができた。また,附属中学校だけでなく,附属園・小学校とともに20周年・30周年の記念事業を迎え,大学,PTA・保護者,地域の方々と一体となった附属学校の在り方を探ることができた。ただ,東日本大震災の影響は大きく,「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」や「学校防災マニュアル作成会議」,学校安全に関する教員研修の再構築など文科省関係の依頼も多かった。自然災害に関する防災・減災教育についての日本の先行的な取り組みを世界の自然災害による犠牲者が90%を越えると言われるアジアで展開するという先進的な研究によって,採択された科学研究費基盤研究の研究も見直しに迫られている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)文科省「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」専門委員
(2)(独)教員研修センター 「平成23年度健康教育指導者養成研修学校安全コース」講師
(3)スーパーサイエンスハイスクール支援事業推進委員会委員
(4)文科省「学校防災マニュアル作成協力者会議」協力者
(5)新潟県環境審議会委員
(6)新潟県環境リーダー育成協議会会長
(7)平成23年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会審査委員
(8)平成23年度全国公立学校教頭会中央研修大会講演講師
(9)新潟県立教育センター「平成23年度環境教育講座」研修講師
(10)上越市地域省エネルギービジョン策定委員
(11)平成23年度石川県教育センター「環境教育講座」講師
(12)平成23年度秋田県防災教育指導者研修会講師
(13)新潟県立柏崎高等学校SSH運営指導委員
(14)新発田市・聖籠町環境学習発表会講師
(15)信濃川火焔街道博学連携推進研究会顧問
(16)糸魚川法人会能生支部講演研修会講師
(17)新潟大学農学部附属フィールド科学教育センター教育関係共同利用運営委員会委員
(18)新潟県立教育センター「平成23年度教科指導ステップアップ研修(高等学校)」講師
(19)徳島県小学校教育研究会理科教育研究会講師
(20)上越市みんなで防犯安全安心まちづくり推進会議会長
(21)全国学校・園庭ビオトープコンクール2011審査委員
(22)糸魚川市子ども一貫教育の推進指導者
(23)平成23年度上越市社会福祉大会講演講師
(24)上越市教育委員会防災教育にかかわる講演会講師
(25)高田ロータリークラブ講演講師
(26)国立青少年教育振興機構「防災教育の観点に立った青少年の体験活動プログラムの調査研究」に係る研究会委員
◎社会への寄与等
上に記したように文科省関係等の国の委員や教員研修センターの講師から,地元の新潟県はじめ,徳島県,石川県,秋田県や上越市,糸魚川市など,県・市教育委員会レベルの講師まで,幅広く依頼に応えた。
 

 
松 本 健 義(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部「学習臨床支援基礎」では,中等教育実習と連動して実習校において学習活動の研究開発実践を行った。また,3年次初等教育実習と連動し,実習授業の分析をもとに学習活動案を再構成して模擬授業を行い検証した。大学院「学習臨床学特論」「学習臨床支援特論」では,受講者の表現演習と児童生徒の学習活動場面の映像分析,文献をもとに授業構成した。学習場面臨床学特論では,附属学校での観察演習と収集事例の画像を用いた記述分析法をグループ研究した。成績評価は,出席,観察と記述分析発表,表現演習,授業レポートをもとに,学習場面の分析研究のための資質と能力の向上を目指して取り組んだ。
【観点2】教育の達成状況
大学院修士課程修了生5名のうち,1名の現職派遣院生は小学校へ現職復帰を果たした。修士2年課程では,大阪府1名(小学校),東京都1名(中学校)に就職し,免許プログラム3年課程は,神奈川県1名(小学校),さいたま市1名(小学校)に就職した。正規任用率は75%であった。また,2010年度,2011年度2年間の正規任用率は90%であった。実践場面分析演習をはじめとする修士課程でのカリキュラム,担当授業での子どもの学びの過程の臨床的研究法,ゼミでの研究指導が教師の資質と能力の形成において総合的に作用して,きわめて良好な成果を生んでいる。
研究指導
【観点1】学部
学部所属ゼミ学生なし。
【観点2】大学院
修士課程では,子どもの学習過程の臨床研究を進める視点と方法について,現象学,言語哲学,精神病理学,エスノメソドロジー,社会文化的アプローチや状況論の視座から基本文献演習により研究指導している。また,全国の先進教育実践校での観察演習と各自の研究テーマに基づき研究協力校園での観察調査,調査収集事例のビデオカンファレンス,同記述分析報告と協議により臨床研究法の演習指導を行った。その他,学校研究への研究協力,協力校への研究室での共同調査,研究成果の学会発表(日本質的心理学会,日本教育実践学会)を行った。
博士課程では,「図画工作科授業における学習研究の歴史的位置づけ」及び,「図画工作科美術科における資質や能力としての学力を研究調査する方法論的枠組み」について,文献,事例調査,事例の質的記述分析法について研究指導し,その成果を学会発表(美術科教育学会,大学美術教育学会)した。
その他の教育活動
・附属小学校研究協力者
・桐蔭横浜大学非常勤講師(図画工作概論,教科教育法「図画工作」)
・教育実地指導V指導助言,ゼミ所属大学院生の教育実習研究授業指導
特色ある点及び今後の検討課題等
特色ある点は,子どもの学びの実践過程の視点より,学びの関係構造と成り立ち,子どもの学びの臨床研究法について,従来の心理学,教育学における「学習」観とは異なる視点から講義および演習を行う点にある。特に子どもがもの,こと,人とのあいだで行う表現行為に着目して,現象学,エスノメソドロジー,精神病理学,社会文化的アプローチ,状況論,活動理論等の視座より詳細な記述と解説をし,相互行為の記述と画像分析により研究指導を行うことで,授業や学校での具体的場面における子どもの行為の把握と理解を行い,学びの成り立ちの過程と関係性に基づいて臨床的支援と学習活動開発を行うことに特徴がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『表現行為を共に生きる他者との相互作用的関係』(共著) 大学美術教育学会誌,44号,231−238
業】(1)平成23年度:『検定用図書編集委員(図画工作)』 日本文教出版
発】(1)平成23年9月:『授業を単位した造形表現活動の質的分析』(単) 『第50回大学美術教育学会全国大会宮城大会研究(口頭発表)概要集』64
(2)平成24年3月:『造形行為の生成過程の記述可能性について』(単) 第34回美術科教育学会新潟大会研究発表概要集70
(3)平成23年11月:『評価の観点に着目した学習活動デザイン』(共) 日本教育実践学会第14回研究大会論文集111−112
(4)平成23年11月:「媒介された行為の創出による世界と知覚の相互生成」(共) 『日本質的心理学会第8回大会プログラム抄録集』90
(5)平成23年度:「保育実践のアクチュアリティと質的心理学:保育プロフェッション研究の可能性と限界」(共)『日本質的心理学会第8回大会プログラム抄録集』63
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)平成22・23年度珠洲市教育委員会指定「生きる力」をはぐくむ教育指定事業「学びあう授業づくり―4観点に着目した学習活動のデザイン―」 代表者:矢後源治(珠洲市立みさき小学校) 珠洲市教育委員会
(2)一人一人の確かな学力の定着を目指して 代表者:速水 紳(阿賀野市立笹岡小学校) 阿賀野市立笹岡小学校
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月24日〜平成23年9月25日:大学美術教育学会・第51回宮城大会出席, (2)平成23年7月2日〜平成23年7月3日:日本子ども社会学会・第18回大会出席, (3)平成23年11月5日〜平成23年11月6日:日本教育実践学会・第14回大会出席, (4)平成23年11月26日〜平成23年11月27日:日本質的心理学会・第8回大会出席, (5)平成24年3月27日〜平成24年3月28日:美術科教育学会・第34回大会出席, (6)美術教育実践学会副代表理事
◎特色・強調点等
・ 評価の観点に基づく子どもの学びの過程のデザインと評価のアプローチにより,子どもたちの学び合う関係と教師の教育実践の質的な深まりが得られることが明らかになった。
・ 対話による鑑賞活動授業における子どもの学びの臨床過程の記述分析法を研究開発した。
・ 図画工作科美術科授業における授業を単位とした学習活動の質的分析の視点と方法について学習臨床研究での研究成果に基づき報告した。
・ 造形表現行為の記述可能性とその根拠及び方法について「二人称的関係」の視点より明らかにした。
・ 学習活動研究の社会文化的アプローチと現象学的アプローチの連続性を「媒介性」の視点に見出し研究報告した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県立美術館協議会委員(新潟県教育委員会文化行政課)
(2)教員免許状更新講習:造形遊びによる学習活動のデザインと評価(教員免許状更新講習コンソーシアム新潟)
(3)珠洲市教育委員会指定みさき小学校学校研究指導者(珠洲市立みさき小学校,珠洲市教育委員会)
(4)第8回新潟教育アート展審査委員(下越美術教育研究会)
(5)第52回新潟県児童生徒絵画版画コンクール審査員(上越市美術教育連盟)
(6)糸魚川市教育委員会こども課絵画評価・生活リズム改善事業絵画評価講師(糸魚川市教育委員会こども課)
(7)珠洲市図工美術教育研究会講師(珠洲市図工美術教育研究会)
◎社会への寄与等
・ 活動理論と評価の観点から学習活動のデザイン(国語科,算数科)の指導助言を学校研究について行った。出前講座では校内研究会と連携した算数科学習場面観察とビデオカンファレンスを行い研究の成果と課題について指導助言を行った。
・ 「造形遊びによる学習活動のデザインと評価」について教員免許状更新講習を新規開設し,表現演習とそのビデオカンファレンスをもとに造形遊びの過程において子どもの学びをとらえるあり方と活動のデザインについて指導を行った。
・ 新潟県内児童画展審査委員と講評を2件行った。
・ 新潟県立近代美術館協議会委員として特に教育普及事業について協議のとりまとめと助言を「互恵的関係」の視点より運営指針について助言を行った。
・ 糸魚川市保育士を対象に身体接触遊びと絵画表現の変化について指導助言を行った。
・ 附属小学校研究協力者として造形遊びを通した表現と鑑賞の成立について指導助言を行った。
 

 
五 百 川  裕(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部の「体験学習」及び「野外体験演習」では,野外での自然体験が不足している学生の実態を踏まえ,小学校教員になった場合に生活科や総合的な学習の時間,特別活動や環境学習の野外授業で必要となる基礎知識を,興味を持ちやすい素材を厳選し,実際に野外での観察,体験を通して習得できるように工夫した。大学院の「地域環境学習演習」及び「地域環境学習特論」では,地域環境として里山,河川,海岸などを取り上げ,演習においては先ず実際に野外での自然環境学習体験をした上で,各人が校種,学年を意識した学習指導案を作成し検討会を行うことで,興味を持ち主体的に取り組めるように工夫し,特論においては学習素材を見つけるための着眼点を,画像を豊富に使用して具体例を挙げながら解説し,一般論,方法論に留まらないように工夫した。
【観点2】教育の達成状況
大学院修了生(2名)は小学校講師として勤務している。
研究指導
【観点1】学部
総合的な学習の時間の単元開発の素材研究を指導した。故郷の自然環境の調査と報告を繰り返しながら,自然環境の特徴を知り,それを人に伝える基礎的な手法について修得できるように,個人指導とセミナーでのグループ指導を積み重ね,年度末の中間発表会で成果確認を行った。小中高等学校での学習内容との結びつけを大切にし,自然観察の面白さを実感を持って理解させることを意識して指導している。
【観点2】大学院
総合的な学習の時間の単元開発の素材研究を指導した。里山を主なフィールドとして,植物や動物とその生育環境など,学生の興味・関心に応じてテーマ設定を行い,野外での1年間の季節を通しての観察体験を基礎として,自然環境を正確に見る力,それを伝える力を身に付け高めるため,同伴しての野外個別指導,セミナーでのグループ指導を積み重ね,修士論文の完成,中間発表会での報告に結びつけた。小中高等学校での学習内容との結びつけを大切にし,自然観察の面白さを実感を持って理解させることを意識して指導している。
その他の教育活動
・ 研究室所属学生の教育実習における授業教材研究の支援,研究授業の参観,指導を行った。
・ 学びの広場の自然系クラブの顧問として,企画指導,当日立ち合い,事後指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
自身の高校教員経験及び植物学研究の専門性を生かし,これまで学習し習得しているはずの知識の復習を意識させながら,発展的な知的好奇心を高めることが可能な素材を選び,机上に留まらない実際の野外活動を伴った授業を行って,問題意識,興味,体感を高められるようにしている。学習指導案の作成演習等において,現職院生と学部進学院生との経験や興味の違いを配慮しながら双方に有用感を持たせる授業を組み立てることに課題を感じている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年3月:『妙高の山野の植物』(共著) 妙高市教育委員会
(2)平成24年3月:『斐太歴史の里散策ガイドブック』(共著) 妙高市教育委員会
(3)平成24年3月:『大毛無山の植物ガイド』(共著) 妙高市教育委員会
(4)平成24年3月:『沼の原湿原の植物ガイド』(共著) 妙高市教育委員会
発】(1)平成23年6月:『新潟県における理数系教員(コア・サイエンス・ティーチャー)養成拠点構築事業』(単) 日本科学教育学会研究会・北陸甲信越支部会
(2)平成23年9月:『SNSを活用した自然栽培体験学習の教員養成カリキュラム』(共) 日本教育工学会第27回全国大会
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本植物分類学会評議員, (2)平成23年6月11日:平成23年度第5回日本科学教育学会研究会・北陸甲信越支部会出席, (3)平成23年6月4日〜平成23年6月5日:植物地理・分類学会2011年度大会出席, (4)平成23年9月17日〜平成23年9月18日:日本植物学会第75回大会出席, (5)平成24年3月22日〜平成24年3月24日:日本植物分類学会第11回大会出席, (6)植物地理・分類学会庶務幹事(植物地理・分類学会)
◎特色・強調点等
監修した著作は,妙高市の植物学習をする上で必要となるガイドブックであり,植物観察に適した地域ごとにも作成し,漢字にはふりがなを入れて,小学校高学年程度から活用可能なように編集されている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市児童生徒科学研究発表会審査委員(上越市教育委員会)
(2)県下児童生徒生物標本・自然科学写真展示会審査委員(長岡市立科学博物館)
(3)理友会研修会講師(理友会(上越地域中学校理科教員研修団体))
(4)新潟県高等学校授業力向上研修講師(新潟県立教育センター)
(5)上越市版レッドデータブック作成検討委員会委員(上越市役所環境企画課)
(6)吹上・釜蓋遺跡調査指導委員会委員(上越市教育委員会)
(7)上越市文化財調査審議会委員(上越市教育委員会)
(8)新潟県環境影響評価審査会委員(新潟県県民生活・環境部環境企画課)
(9)妙高市環境審議会委員(妙高市環境企画課)
(10)糸魚川市文化財保存活用計画 策定委員会委員(糸魚川市教育委員会)
(11)新潟県立高田高等学校学校評議員(新潟県立高田高等学校)
(12)関川圏域流域協議会委員(新潟県上越地域振興局)
(13)姫川有識者会議委員(国土交通省高田河川国道事務所)
(14)河川水辺の国勢調査アドバイザー(国土交通省高田河川国道事務所)
(15)新潟県野生生物保護対策検討会委員(新潟県県民生活・環境部環境企画課)
(16)環境省レッドリスト見直し主任調査員(環境省自然環境局自然環境計画課)
(17)エコアクション21地域運営委員会委員(上越環境科学センター)
(18)新潟県立阿賀野高等学校講演会講師(新潟県立阿賀野高等学校)
(19)新潟県立江南高等学校講演会講師(新潟県立江南高等学校)
(20)新潟県立新井高等学校大学授業体験講師(新潟県立新井高等学校)
(21)上越教育大学公開講座講師(上越教育大学)
◎社会への寄与等
児童生徒の自然環境への興味関心を高め科学的視点を育む催しに審査委員として実施協力をし,また,中学校教員が自然観察指導力向上を図る催しである理友会研修会,および新潟県立教育センターの理科教育指導力向上のための教員研修会の講師として,研修に協力した。自然環境保全や文化財保存に関わる委員会委員等として植物分類学研究の専門性を地域貢献に生かしている。
 

 
五十嵐 素 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
どの授業でも多様化する学生のニーズに合わせて教育内容を工夫するようにしている。例えば具体的な教育実践のイメージが持ててない学生には,ビデオデータなどを活用して現場の実践のあり方を観察させたり,具体例を出しながら教えている。また,学習への動機付けを高めるために,学生からの質問や感想とその回答を毎時間の冒頭に配布するようにしている。また学生間の理解の差が大きいので,学生からのレポートにはコメントをつけて返却することで個別の学生をフォローするように心がけている。
【観点2】教育の達成状況
2011年度の卒業(修了)者はいないため,判断できないが,講義やセミナーなどで教育実践の研究方法を教えたり,現職教員と議論してもらうなかで,個別の学生が教員としての力量を身につけつつあることを実感している。
研究指導
【観点1】学部
学部生の講義では,具体的な教育実践の事例を取り上げ,授業において教師がどのような言葉を用いて働きかけているのか,そのことによって子ども反応をどのように引き出しているのか,その教育効果について観察させている。このことは,教育実践を観察し評価する力を育てるという意味で,臨床的な実践力を身につけることにつながると考えられる。
【観点2】大学院
大学院(修士・博士)の研究指導では,社会学の相互行為論の理論的知見に基き,授業のビデオデータを用いて教師と子どもの相互行為のあり方を分析させている。授業における活動は多様であり,そうした分析を行うことによって,活動それぞれの教育上の特色や効果について明らかにさせ,活動における教師の役割について学術的な見地から検討をしている。こうした訓練は,教育実践研究としての基礎的な知見を積み重ねる力量を形成する点において重要である。また学生には,実際の現場に行ってフィールドワークを行わせた後,その資料を分析・考察を行ない,知見を現場の教員にフィードバックして共有する機会などを設けている。研究を現場の実践知と架橋させることができる能力を培うよう指導している。
特色ある点及び今後の検討課題等
院生の学問的バックグラウンドや経験が多様であるため,講義で基礎から応用まで広く教えることができる教科書や教材を開発していく必要があると考えており,現在作成中である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年7月:『保育実践における子どもの感情経験の取り扱い――エスノメソドロジーの視点から』(単著),子ども社会学会,第17号,2011年7月,pp.5-14.
(2)平成24年3月:『学習活動をデザインするための視点―エスノメソドロジー研究の立場から』(単著) 教育創造170号,高田教育研究会,pp.48-53.
発】(1)平成23年7月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(15)』(共) 日本教育心理学会第53回大会
(2)平成23年7月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(16)』(共) 日本教育心理学会第53回大会
(3)平成24年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(17)』(共) 日本発達心理学会第23回大会
(4)平成24年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(18)』(共) 日本発達心理学会第23回大会
(5)平成24年3月:『女子短期大学生の心理的発達に関する縦断調査(19)』(共) 日本発達心理学会第23回大会
(6)平成24年3月:『女子短期大学生のメンタルヘルス・学業・就職活動の支援についての包括的検討』(共) 日本発達心理学会第23回大会自主シンポジウム
(7)平成23年7月:『Envisioning the plan on working plan』(共) 10th conference of the International Institute for Ethnomethodology and Conversation Analysis
(8)平成23年7月:『Teachers conversational devices for promoting student clinical reasoning』(共) 10th conference of the International Institute for Ethnomethodology and Conversation Analysis
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)「授業実践の相互行為における学習経験・教授知識の解明」 代表者:五十嵐素子(上越教育大学) 科学研究費補助金・若手研究(B)
(2)「臨床教育のビデオエスノグラフィー:高等教育における臨床教育場面の経験的比較研究」 代表者:樫田美雄(徳島大学) 科学研究費補助金・基盤研究(B)
(3)「他者をまえにした対人支援の問題の社会学的分析に基づく支援システムのデザイン」 代表者:山崎敬一(埼玉大学) 科学研究費補助金・基盤研究(A)
(4)「航空管制における協同と責任の法社会学」 代表者:北村隆憲(東海大学) 科学研究費補助金・基盤研究(C)
(5)「言語的身体的相互行為の多文化エスノグラフィーに基づく身体テクノロジーのデザイン」 代表者:山崎敬一(埼玉大学) 科学研究費補助金・基盤研究(A)
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)「言語的身体的相互行為の多文化エスノグラフィーに基づく身体テクノロジーのデザイン」 代表者:山崎敬一(埼玉大学) 
学会活動への参加状況
(1)平成24年3月10日〜平成24年3月11日:日本発達心理学会第23回大会出席, (2)平成23年7月25日〜平成23年7月26日:日本教育心理学会第53回大会出席, (3)平成23年9月17日〜平成23年9月18日:第84回日本社会学会大会出席, (4)平成23年7月9日〜平成23年7月16日:10th Conference of the International Institute for Ethnomethodology and Conversation Analysis出席
外国における研究の状況
(1)平成23年9月11日〜平成23年9月16日:イギリス,日英共同コロキュアムにおける教育実践の相互行為分析の検討
 

 
石 川   真(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
教育方法においては,すべての担当授業において指定のテキストがないため,毎回資料を作成した。基本的に,パワーポイントによるスライドで作成し,学生にpdfの形式,もしくは紙媒体で配布した。また,そのスライドを用いて授業を行った。また,講義支援システムの特徴を活かし,掲示板を用いて特定のテーマについて意見や感想を述べさせるなど,授業時間外においても学習活動が持続できるような工夫をした。すべての授業において,現場での実践を意識させ,具体的事例などを交えながら講義を行った。
成績評価については,1回目の授業時に評価の説明を行い,基本的にその基準で実施したが,レポートの提出回数が異なるなどした場合は,適宜その都度説明し,受講者と共通理解を図った。レポートは,問題に対して論理的に意見が述べられるかなど,思考的な側面に特に注意を払いながら評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
すべての授業において,シラバスに記載された目標は達成できたと考えられる。特に,レベルの高いものについては,個別指導をすることによって,受講者の理解が高められることから,少人数での授業においては,比較的レベルの高い内容が達成できたと考えられる。教育情報科学概論については,他の授業と異なり大人数のため,きめ細かな教育を行うことはできなかった。しかし,実践場面をビデオで紹介するなど,1年生(前期科目)の内容として具体的でわかりやすいものとしたことで,一定の目標は達成されたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
学部におけるゼミ生は所属なし。
【観点2】大学院
M2(現職派遣) すでに,実践を終了していたため,収集したデータ分析に関わる指導,論文作成の指導を行った。その他,日本教育実践学会(2010年11月開催)での発表原稿,発表の指導を行った。
M2(免P生) 授業実践の検討,質問紙の作成の検討に関わる指導を行った。実践を終了した後は,収集したデータに関わる分析についての指導を行った。その上で,次年度の修士論文の完成に向けてきめ細かな指導を行った。
M3(他研究室所属院生) 修士論文作成の過程において,統計的分析における助言,および,それに関連する論文作成における指導も併せて行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
実践,現場での活動と,授業で取り上げている内容がどのように関係しているのかを説明し,実践場面で意義のあるものと理解できるように取り組んでいることが特色である。また,講義支援システムや,各種メディアを積極的に活用し,学習内容の理解を深めさせたりする工夫をしている。
授業評価などでは必ずしもすべての項目において良好ではない点もある。できる限り,問題点を明らかにすると同時に,より一層わかりやすい授業とする取り組みを検討していく必要があると考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年2月:『感情表現を伝えるテキストメッセージの特徴に関する研究』(単著) 上越教育大学研究紀要,第30巻 p9-17
発】(1)平成23年11月:『自学ノートによる家庭学習を支援する自己調整学習方略教授の実践的研究』(共) 日本教育実践学会
(2)平成23年9月:『大学生の情報社会における行動の認知傾向』(共) 日本心理学会
(3)平成23年9月:『感情や気持ちを伝えるメッセージの送受信における相手の存在感』(共) 日本社会心理学会
(4)平成23年5月:『Changes of Psychophysiological Responses During Mental Work Task on Evaluation Apprehension Settings』(共) Environmental Design Research Association
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)青少年のネットワーク環境における社会的なつながりの認識に関する基礎的研究 研究代表者:石川真 科研費・基盤研究(C)
(2)協同・協調的な学習活動場面におけるこどもの認知とストレスの関連 研究代表者:平田乃美(白鴎大学)科研費・基盤研究(C)
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本心理学会認定心理士資格認定委員会, (2)平成23年6月28日〜平成23年6月29日:第74回ヒューマンインタフェース学会研究会出席, (3)平成23年9月18日〜平成23年9月19日:日本社会心理学会第52回大会出席, (4)平成23年9月15日〜平成23年9月17日:日本心理学会第75回大会出席, (5)平成23年5月25日〜平成23年5月28日:the 42th Annual Conference of the Environmental Design Research Association出席
◎特色・強調点等
共同研究で取り組んでいる「協同・協調的な学習活動場面におけるこどもの認知とストレスの関連」については,生理的指標である唾液アミラーゼ活性を測定し,心理的側面と関連づけて検証している点が特色である。学びを支援する上で,学習者個人が学習環境下でどのようなストレスを受けているかを明らかとすることで,より良い環境の改善,提案が可能となり,教育実践へ大いに寄与すると思われる。 当該年度より採択された「青少年のネットワーク環境における社会的なつながりの認識に関する基礎的研究」においては,ネットワーク上のコミュニケーション行動の他者とのつながりについて調査,実験等を通してその傾向を探ることを目的としている。本研究で明らかとされた点は,近年関心の高い情報モラル教育の指導方法へ大いに寄与すると考えられる。
 

 
井 上 久 祥(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学生が単に教育に関わる理論的な知識について理解を深めるだけでなく,実践知を経験的に習得する場を授業の中に意図的に組み込んでいる。第1に,学習臨床研究の特色を活かし,学校現場で収集した様々な授業実践の映像や写真,授業記録,実際に用いられた学習教材を講義や演習のための資料として取り上げ,より学校現場に即したかたちで,理論と実践との結びつきが実感できるよう配慮している。第2に,協働と省察のもつ学習効果をねらいとし,グループワークによる協調学習や相互交流の時間,及び,受講者個人による内省シート記入や他者による学習フィードバックの時間を確保し,多声的な対話のもとで理論と実践に対峙できるよう配慮している。
成績については,ペーパーテスト試験により,理論的な知識の習得を評価するのではなく,協働による中間/最終成果物,省察による受講者の変容といった,受講者それぞれのグループワークへの取り組みの過程を総合的に評価している。
【観点2】教育の達成状況
実践知を経験的に習得させる授業は,学部1年次に開講される授業において,有効であった。学部学生は入学時には教職の進路に高い動機づけを持っている。この動機づけは学部3年次の教育実習で再び高まりを見せる。しかし,1,2年次の間,この動機づけを維持するために,学生は「学びのひろば」や学校ボランティアに自発的に参加している。同様の位置づけとなる授業が存在する意義は大きいと言える。
また,グループワークによる協調学習や相互交流を様々なかたちで数多く経験することで,「学習する組織」である学校,その「一員」である教師としての力量を形成できる。このことは,学習する組織に貢献できる付加価値の高い人材の養成につながる。
研究指導
【観点1】学部
今年度の指導学生なし
【観点2】大学院
学内の限られた研究者からの研究指導で完結することなく,広く世間一般に向けて研究の意義や成果を問うことをねらいとして,学会での研究発表を行っている。具体的には,日本教育実践学会で発表。
その他の教育活動
・ 他の国立大学法人,公立・私立大学・高等専門学校での非常勤講師・・・電気通信大学,上越保険医療福祉専門学校
・ 教職講座,セキュリティ講習講師・・・情報セキュリティ講習会(4月)講師
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『教員属性,研修参加状況と教師の自己効力感及び教職に関する認知との関連 ―沖縄県島尻地区の小・中学校教員を対象として―』(共著) 京都教育大学紀要,No.120,pp.57-68
発】(1)平成23年11月:『社会科における情報活用能力に着目した体験型学習システムの開発 ―学習システム:「アップル島の冒険」の実用性の評価―』(共) 日本教育実践学会
(2)平成23年11月:『資料活用能力を育成するための学習プログラムの開発 ―発見的な学習における可視化教材の有効性―』(共) 日本教育実践学会
(3)平成23年11月:『情報コミュニケーションにおける文章表現力の育成を目指した学習環境の構築』(共) 日本教育実践学会
(4)平成23年11月:『書き活動における文章表現にメタ認知が及ぼす影響 ―児童の認知活動の差異に着目した質的分析を通して―』(共) 日本教育実践学会
(5)平成23年11月:『算数における情報の科学的な理解の横断的な学習 ―数の概念を扱った授業での情報の科学的な理解―』(共) 日本教育実践学会
(6)平成23年11月:『I教諭の授業実践に埋め込まれた<共生>の実際と原理 ―特別な教育的ニーズのある子どもが在籍する学級に着目して―』(共) 日本教育実践学会
(7)平成23年11月:『教員を目指す大学生のICT活用指導力向上を目的とした研修プログラムの開発 ―ICT活用の模擬授業を題材とした協働と省察による指導力向上―』(共) 日本教育実践学会
(8)平成23年11月:『協働と省察による校内教員研修が教師の授業力の向上に及ぼす影響(2) 〜沖縄県南城市立佐敷小・馬天小におけるワークショップ型校内教員研修の評価〜』(共) 日本教育工学会
◎特色・強調点等
学習臨床研究をつよく意識しており,研究で得られた成果は,全て実践的な研究フィールドでの評価を通じて,実証を試みたものである。その多くは,教育工学の研究アプローチにより開発されている。開発研究の成果として,完成された授業プログラムや学習教材は,直ちに学校現場の実践へと活用できる実用性を有している。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
学校に基礎を置くカリキュラム開発の考え方にもとづいた情報教育のための授業改善のモデルを構想し,実際に地域の学校と連携して,情報教育の授業づくりや学校の情報化についての支援を行っている。これら一連の活動が地域貢献に留まらず,大学講義の改善にも効果のあることを示し,具体的には,学校−大学間の連携で得られた実践知のエッセンスを教職理解のためのケースメソッド教材にし,大学の講義において伝達することを試みている。
 

 
古 閑 晶 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
シラバスをもとに見通し,振り返る自己評価場面を初日と最終日に設定し,学習観・授業観の更新を認識できるようにした。また,学習過程の構想・展開の要素が認識できるよう,授業開始10分間を活用した「ことばタイム」の演習,少人数による演習形式での学習の意味づけや教材づくり・学習デザイン案の作成・模擬授業を実施した。さらに,学校現場との連携で授業観察場面を設け,実践場面における学習過程の姿から学びとその要因を意味づけ,授業デザインや支援の在り方につなぐようにした。
【観点2】教育の達成状況
自己評価レポートや演習時の学生・院生の姿,授業評価結果から,おおむねシラバスに明記した到達目標(学習デザインの構築や学習過程の姿と要因の省察など)は達成されたと捉えられる。
研究指導
【観点1】学部
毎週の大学院生との合同セミナーにおいて研究発表・協議を行うことで,多面的な視点から自身の研究テーマの追究・省察を促した。また,各自の研究テーマに関する実践理論の構築と同時に,研究授業の構想・展開を促すために,指導案検討や模擬授業等を実施した。実践セミナーでは,附属小学校・公立学校と連携し,授業観察する中で,学習者の思考過程を分析・考察し,思考表現過程の有り様を大学院生と共に考究することができた。
【観点2】大学院
毎週の研究発表・協議と,定期の構想・中間発表場面を設定し,研究テーマの追究・省察を促すようにした。また,先行研究の吟味による理論構築づくりや検証授業との整合性,分析考察の在り方に着眼した。協議で顕わになる研究テーマの違いによる多面性や相互の考え方の差異を各自が効果的に活用している姿が伺える。実践場面分析演習では,附属小学校・公立学校と連携し,授業観察する中で,学習者の思考過程を分析・考察し,思考表現過程の有り様を考究することができた。
その他の教育活動
・ 上越教育大学附属小学校2011年研究研究協力者
特色ある点及び今後の検討課題等
学習に関する臨床的研究を核にして,理論と演習による教育活動を貫くことで,学習過程の有り様を多面的に捉え直し続けながら,自己課題を追究することができるのではないかと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年5月:『言語活動が成り立つ学習指導過程のデザイン―調査報告文作成における思考表現階層化過程の可視化―』(単著) 国語科教育研究 第120回京都大会研究発表要旨集 pp.287-290
(2)平成24年2月:『言語活動が成り立つ学習過程のデザイン−調査報告文作成における対話機能の考察から−』(単著) 国語研究 第26号 pp.34-47
業】(1)平成23年6月:『共創の言語文化』(単著) 人間社会を生きる子どもが育つ学校 VOL.2 p.47
発】(1)平成23年5月:『言語活動が成り立つ学習指導過程のデザイン―調査報告文作成における思考表現階層化過程の可視化―』(単) 全国大学国語教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)言語活動が成り立つ国語科学習過程の授業デザイン研究−附属小学校:連詩創作− 代表者:古閑晶子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
(2)言語活動が成り立つ国語科学習過程の授業デザイン研究−上越市立大町小学校:随筆創作− 代表者:古閑晶子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
(3)言語活動が成り立つ国語科学習過程の授業デザイン研究−上越市立春日小学校:物語の読みの交流− 代表者:古閑晶子(上越教育大学) 上越教育大学研究プロジェクト
(4)人間社会を生きる子どもをはぐくむ各教科・教育活動の構想・展開−国語科− 代表者:水谷徹平(上越教育大学附属小学校) 上越教育大学附属小学校2011年研究
学会活動への参加状況
(1)平成23年5月28日〜平成23年5月29日:全国大学国語教育学会 第120回全国大学国語教育学会京都大会出席, (2)平成23年8月8日〜平成23年8月9日:日本国語教育学会 第74回国語教育全国大会出席, (3)平成23年9月17日:日本国語教育学会新潟県支部研修会 平成23年度日本国語教育学会新潟県支部総会・研修会出席, (4)平成23年10月29日〜平成23年10月30日:全国大学国語教育学会 第121回全国大学国語教育学会高知大会出席
◎特色・強調点等
研究プロジェクトを中核として国語科学習過程の臨床的・実践的研究に取り組み,その成果を論文,学会,研究報告書等で発表した。また,数校の学校現場と連携し,今日的課題である「言語活動の充実」を図る授業づくりに正対することにより,言語活動が成り立つ国語科学習過程の授業デザインの構築・検証を行うことができた。今後も学校現場と一層連携し,学習過程の構想及び展開過程における各要素の詳細な分析検討を試み,その成果を学会発表及び論文にまとめていくよう努める。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月:妙高市立妙高高原北小学校校内研修講師(妙高市立妙高高原北小学校)
(2)6月:妙高市立妙高中学校校内研修講師(妙高市立妙高中学校)
(3)6月:新潟県立教育センター授業力向上研修講師(新潟県立教育センター)
(4)6月:柏崎市立教育センター教職員専門研修講座講師(柏崎市立教育センター)
(5)6月:十日町市立田沢小学校校内研修講師(十日町市立田沢小学校)
(6)7月:上越市立上雲寺小学校校内研修講師(上越市立上雲寺小学校)
(7)7月:柏崎市立教育センター教職員専門研修国語科指導講座講師(柏崎市立教育センター)
(8)7月:糸魚川市立今井小学校校内研修講師(糸魚川市立今井小学校)
(9)7月〜1月:糸魚川市子ども一貫教育推進事業指導(糸魚川市教育委員会)
(10)8月:教職12年経験者研修コース別研修講師(新潟県立教育センター)
(11)6月〜2月:上越国語同好会例会顧問(上越国語同好会)
(12)8月:柏崎市立鯨波小学校校内研修講師(柏崎市立鯨波小学校)
(13)7月〜8月:上越国語教育連絡協議会夏季研修会講師(上越国語教育連絡協議会)
(14)8月:上越市立教育センター教科・領域別一斉研修会講師(上越市立教育センター)
(15)8月:湯沢町立神立小学校校内研修講師(湯沢町立神立小学校)
(16)9月:上越市立諏訪小学校校内研修講師(上越市立諏訪小学校)
(17)10月〜11月:上越市立稲田小学校校内研修講師(上越市立稲田小学校)
(18)11月:上越市立直江津南小学校校内研修講師(上越市立直江津南小学校)
(19)11月:南魚沼市国語サークル研修講師(南魚沼市国語サークル)
(20)11月:中越地区研修会講師(公孫会女性部会中越地区研修会)
(21)11月:糸魚川市立糸魚川小学校校内研修講師(糸魚川市立糸魚川小学校)
(22)2月:ティーチャーズ・フォーラムin北新講演講師(ティーチャーズ・フォーラムin北新実行委員)
(23)9月:上越市立安塚小学校校内研修講師(上越市立安塚小学校)
◎社会への寄与等
各種教育団体から派遣申請を受けた研修や出前講座は,担当者からの要望を重視し,ニーズに応じた研修内容・講座内容となるよう実施箇所ごとに再構成して臨むようにした。また,学校や教育研究団体,県・市教育委員会等が掲げる教育研究課題の追究・解決に資するよう,学習者の姿をもとに国語科授業再考の視点を臨床的・実践的レベルで伝えるように努めた。
 

 
佐久間 亜 紀(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 大学院講義については,年々大学院生の既習レベルが低下していることを考慮し,予習課題のプリントを毎回配布し,事前学習を支援するとともに,アブストラクトの添削指導など,具体的な個別支援を徹底しておこなった。院生からは高い評価を得た。
 学部講義については,非常勤講師として退職した元教諭を招聘するだけでなく,勤務歴2年,6年,20年の現役教師もゲスト・スピーカーとしてお招きし,教育現場における具体的な実践事例を当事者に直接語っていただき,それら事例をもとに教育方法を考察した。学生の一部からは,本学にきて最も心を打たれた講義だったとの評価を得た。
【観点2】教育の達成状況
 上記のとおり,学生たちからは,高い評価を得たと考えている。
研究指導
【観点1】学部
 今年度は3年生2名の指導を担当した。卒論のテーマを定めるよう,各人に応じた指導をきめ細かくおこなうとともに,優れた教育実践者が集う研究会にゼミとして年3回参加し,現職教師の話を聴きながら,教職への意欲を高めた。
【観点2】大学院
 M1が3名,M2が2名,M3が1名の大所帯だった。一人一人に対し,頻繁に個別指導をおこなうとともに,教職準備教育についても力をいれた。
その他の教育活動
 信濃教育会教育研究所兼任所員として,長野県教育委員会から派遣されている8名の現職教員の実践を,毎月指導した。
 また,長野県,群馬県,新潟県の各小中学校から招聘され,校内研修の講師を担当した。
特色ある点及び今後の検討課題等
 学術的な水準を維持向上するディシプリン・ベイズドの研究活動と,それに基づく臨床的で実践的な教育活動とを,車の両輪のように遂行している点に,私の教育研究活動の特色があると考える。
 今後は,大学院修士課程にストレートで入ってくる院生の,いわゆる「学力」の低下にどう対応するかが鍵となると思う。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
学会活動への参加状況
(1)8月30日,日本教育学会課題研究発表
(2)平成23年度日本教師教育学会理事
◎特色・強調点等
 今年度は,博士論文の執筆に集中したため,発表した著作はありません。3月末に完成します(予定)。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市男女共同参画審議会会長, (2)妙高市立新井中学校平成23年度校内研修講師, (3)長野県長野市立七二会中学校平成23年度校内研修講師, (4)新潟市済生会第二病院平成23年度プリセプター研修講師, (5)上越市教育委員会健康教育部会全市教員研修講師, (6)上越市立大島中学校教員研修にて講演(10月), (7)6月〜10月:本学公開講座講師「インターネット入門」, (8)東京理科大学教職課程平成23年度「総合演習」講師(講演)
◎社会への寄与等
・今年度は,上越市および妙高市の市立小中学校との連携に積極的にかかわった。上越市教育委員会担当者からは,教員研修参加者のアンケートで,かつてなかったほど高い満足度が得られたと感謝され,来年度もぜひ担当してほしいと依頼があった。
 

 
角 谷 詩 織(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
単独担当の授業では,講義以外に,授業後レポートを毎回課し,そこに記された質問への回答をするなど,対話式の授業を推進した。評価は,授業後のレポート,課題成果,授業中の取り組み,主体的な取り組みを基準に行った。メールでの質問も随時受け付けた。
オムニバス形式,単独授業ともに,最新の研究成果から得られた知見も盛り込んだ。
【観点2】教育の達成状況
授業の目標は概ね達成できたと判断される。
研究指導
【観点2】大学院
毎週1本学術雑誌論文の講読を行った。また,教育実践の場に定期的に関わるよう,指導を行い,その際の留意点も確認した。
その他の教育活動
・ 上越教育大学附属幼稚園研究協力者会議
・ 上越教育大学附属幼稚園助言者
特色ある点及び今後の検討課題等
上越教育大学附属幼稚園の研究において,質的研究に新たに量的研究の視点も取り入れた分析を推進した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】(1)平成24年3月:『幼稚園教育と小学校教育の接続期におけるリテラシーの基盤形成に向けた学習者の学び合い,支え合う協同体の育成を目指すカリキュラムと指導方法等の研究開発』(共著) 平成23年度研究開発実施報告書
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)幼稚園教育と小学校教育の接続期におけるリテラシーの基盤形成に向けた学習者の学び合い,支え合う協同体の育成を目指すカリキュラムと指導方法等の研究開発 代表者:泉 真理(上越教育大学附属幼稚園) 上越教育大学附属幼稚園
学会活動への参加状況
(1)平成 24年3月9日〜平成24年3月11日:第23回日本発達心理学会大会出席
◎特色・強調点等
上越教育大学附属幼稚園の研究開発に深くかかわった。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)富山県砺波市小中高校生徒指導連絡協議会講演(富山県砺波市小中高校生徒指導連絡協議会)
(2)平成23年度上越市環境審議委員会委員
◎社会への寄与等
附属幼稚園の研究推進に貢献した。上越市環境保全にかかわる課題について検討した。
富山県礪波市の小学校から高校までの教員を対象として,生徒指導にかかわる課題と研究成果から得られた知見を提供した。
 

 
田 島 弘 司(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
前後期すべての授業において講義支援システムの電子掲示板を使用し,個々の学生が授業の感想や課題を電子掲示板に書き込むことにより,授業の振り返り,授業間の継続性の確保や意見交換,情報の共有化が促進された。成績評価の方法は,シラバスで明示するとともに授業でも説明した。出席,電子掲示板への書き込み,レポート等による総合的な評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
修了した3名の学生のうち,教員としての正規の採用は1名で,他は教員としての臨時採用が1名,大学の事務職員としての正規の採用が1名だった。学部の卒業生はいなかった。
研究指導
【観点1】学部
学部3年生に対して,ゼミ生全員へのゼミ指導に加えて,個別のゼミ指導を行い,論文の研究テーマに関する文献の読み方や分析の仕方等について専門的な研究指導を行った。
【観点2】大学院
高度な臨床的な実践力を修得させるために,研究課題への取組を文献調査にとどまらせず,小学校での授業観察や授業担当などを通じて得た質的及び量的データの分析と考察を行わせた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成23年6月:『コミュニケーション能力の育成を促すアルパカの飼育活動』(共) 日本国際理解教育学会
(2)平成24年3月:『海外における専門分野の講義の可能性と課題』(共) 専門日本語教育学会
他】(1)平成23年11月:『笑いヨガで地域元気に/新潟県で初めての笑いクラブの開設に関する記事』 新潟日報
(2)平成23年11月:『田島准教授が笑いヨガ指導 南本町小放課後児童クラブ/放課後児童クラブでの笑いヨガの指導について』 上越タイムス
(3)平成23年12月:『心身に栄養 笑いヨガ 上越・南本町小放課後クラブで講座 /放課後クラブでの笑いヨガの指導』 上越かわらばん
(4)平成23年12月:『市民活動図鑑「奇跡の笑いクラブin上越」/笑いクラブの活動について取材を受ける』 上越タイムス
(5)平成23年9月:『笑う呼吸で健康に/「ワイワイサロン」で高齢者対象に笑いヨガを指導』 上越タイムス
(6)平成23年12月:『笑いヨガ 県内初!「笑う健康法」で豊かな人生を/健康法としての笑いヨガを紹介』 月刊新潟Komachi上越版2011年12月号
(7)平成24年1月:『笑顔の力 しあわせの種5 「笑いヨガ」で絆深める/本人の紹介』 新潟日報
(8)平成24年2月:『笑って心身健康/笑いヨガの講演』 糸西タイムス
(9)平成24年3月:『笑いを忘れず人生楽しく/名立の高齢者交流会での笑いヨガ体験会』 上越タイムス
(10)平成24年3月:『笑いで健康 世の中明るく/「日本笑いヨガ・ラフターヨガ研究会」の設立』 上越タイムス
(11)平成24年3月:『笑いで心身健康に 三条でヨガ講演とステージ/地域振興イベント「笑いは地域を救う」での笑いヨガの講演について』 新潟日報
(12)平成24年3月:『この人にとことん 上越教育大学准教授 田島弘司さん/本人の紹介』 毎日新聞
(13)平成23年11月:『つばめステーション 笑って健康笑いヨガ/笑いヨガの紹介,笑いクラブ,大学の授業』 JCV つばめステーション
(14)平成23年11月:『新潟ニュース610 ケーブルTV便り「ユニークな健康法笑いヨガ」/笑いヨガの紹介,笑いクラブ,大学』 NHK新潟
(15)平成24年1月:『NSTスーパーニュース「笑いで心と体を健康に」/笑いヨガの紹介,笑いクラブ,大学のゼミ』 NSTスーパーニュース
(16)平成24年2月:『BNSラジオ はや・すた「笑いヨガ」/笑いヨガの紹介』 BNSラジオ はや・すた
(17)平成24年3月:『UX新潟テレビ21全力ライブ「笑いヨガ」/笑いヨガの紹介,笑いクラブのビデオ,生出演』 UX新潟テレビ21全力ライブ
学会活動への参加状況
(1)平成23年6月18日〜平成23年6月19日:日本国際理解教育学会第21回研究大会出席, (2)平成24年3月3日:専門日本語教育学会第14回研究討論会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)10月〜 3月:奇跡の笑いクラブin上越(奇跡の笑いクラブin上越)
(2)9月:わいわいサロン活動「笑いヨガ」(直江津民生委員)
(3)11月:上越市教育コラボ2011「笑いヨガ(親子)体験会」(上越市教育委員会)
(4)10月:上越ヨガフェスタ「笑いヨガ」(上越ヨガフェスタ実行委員会)
(5)10月:出前授業「笑いヨガ(笑いの健康法)で明るく楽しく元気に!」(妙高市役所福祉介護課)
(6)11月:南本町小学校の放課後児童クラブでの笑いヨガ(南本町小学校放課後児童クラブ)
(7)11月:三和区水吉町町内会「笑いヨガ」(三和区水吉町町内会)
(8)3月:出前授業「笑いヨガ(笑いの健康法)で明るく楽しく元気に!」(見附市役所健康福祉課)
(9)2月:大手町小学校スキーボランティア(大手町小学校)
(10)2月:大島商工会議所「笑いヨガ」(大島商工会議所)
(11)2月:出前授業「笑いヨガ(笑いの健康法)で明るく楽しく元気に!」(能生生涯学習センター)
(12)3月:ろばた館での笑いヨガ(名立区社会福祉協議会)
(13)3月:地域振興イベント「笑いは地域を救う」での笑いヨガの講演(夢ちいき県央塾実行委員会)
(14)3月:日本笑いヨガ・ラフターヨガ研究会設立記念講演会(日本笑いヨガ・ラフターヨガ研究会)
 

 
城 間 祥 子(講 師)
 
<教育活動>
特色ある点及び今後の検討課題等
12月着任のため,授業および研究指導は担当していない。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年8月:『社会と文化の心理学:ヴィゴツキーに学ぶ』(共著) 世界思想社
論】(1)平成23年11月:『授業コンサルテーションの現状と可能性』(共著) 大学教育学会誌,33(2),50-53.
発】(1)平成23年6月:『教育・研究の場としての大学研究室に関する分析枠組みの開発』(共) 大学教育学会第33回大会
(2)平成23年6月:『研究室における教育機会の分類』(共) 大学教育学会第33回大会
(3)平成23年6月:『学習環境が学生の学習に与える影響:図書館,学習支援室,自主学習スペースの比較から』(共) 大学教育学会第33回大会
(4)平成23年6月:『授業コンサルテーションの現状と可能性』(共) 大学教育学会第33回大会
(5)平成23年7月:『日本の伝統・文化に関するカリキュラムの分析』(単) 日本教育心理学会第53回総会
(6)平成24年3月:『大学・高専職員のFD研修ニーズに関する研究』(共) 第18回大学教育研究フォーラム
(7)平成23年7月:『The design of the satellite spaces for informal leaning and its validity assessment』(共) HCI International 2011
(8)平成23年7月:『Tactics choice behaviors represented in a programming language in the map tracing problems』(共) HCI International 2011
(9)平成24年2月:『The Dual Coordinate 3D Turtle Graphics Aimed For Interactive Experiments』(共) ATISR 2012
学会活動への参加状況
(1)平成23年6月4日〜5日:大学教育学会第33回大会出席, (2)平成23年7月24日〜26日:日本教育心理学会第53回総会出席, (3)平成23年8月29日:日本高等教育開発協会第1回高等教育開発フォーラム出席, (4)平成24年2月25日〜27日:日本高等教育開発協会「大学教員の教育力に関する研究会」出席
◎特色・強調点等
社会文化的アプローチの入門書として『社会と文化の心理学:ヴィゴツキーに学ぶ』の編集と分担執筆を行った。また,高等教育機関をフィールドとして学習環境デザインの実践研究を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)9月:ティーチング・ポートフォリオ作成ワークショップ講師(阿南工業高等専門学校)
(2)10月:FD研修会講師「公開授業と授業アンケートの効果的な活用方法」(広島文化学園大学)
(3)11月:ティーチング・ポートフォリオの導入・活用シンポジウム講師(佐賀大学高等教育開発センター)
(4)11月:教員研修講師「シラバスの書き方」(松山看護専門学校)
◎社会への寄与等
FD研修会の講師やシンポジウムの報告者として,高等教育機関の教職員に対する教育支援を行った。
 

 
 野 浩 志(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・ 授業の目標を明確にし,わかる授業に取り組んでいる。
・ 講義支援システムを活用し,むだのない授業に取り組んでいる。
・ 目標と評価を連携させて,各授業回数ごとに評価をおこなっている。
【観点2】教育の達成状況
おおむね,達成されている。
研究指導
【観点2】大学院
・ ひとりあたり週1の割合でゼミをおこなった。
・ インストラクショナルデザインに関し勉強会をおこなった。
・ アンドロイド対応アプリ作成のための勉強会をおこなった。
その他の教育活動
・ 卓球部の顧問をおこなっている。
特色ある点及び今後の検討課題等
・ 学生ひとりひとりにあわせたきめ細かい指導を行っている。
・ 免許P学生の教員採用試験対策のため,週2コマの割合で勉強会をおこなった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成23年9月:『Viscous滑り摩擦によるラトルバック反転運動の解析』(単) 日本物理学会2011年秋季大会
(2)平成24年3月:『ラトルバック反転機構の直観的理解』(単) 日本物理学会2012年春季大会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月21日〜平成23年9月24日:日本物理学会2011年秋季大会出席, (2)平成24年3月24日〜平成24年3月27日:日本物理学会2012年春季大会出席
 

 
林   泰 成(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
講義では,実際の授業の様子を理解してもらうために授業ビデオの視聴を行った。演習の授業では,参加体験型で行い,理解し易くなるような工夫をした。成績評価については,授業の内容に応じて,知識を問うテストをしたり,論述式のテストを行ったり,模擬授業の実践によって評価したりしている。
【観点2】教育の達成状況
平成23年度の学部卒業生1名は,本人の希望どおり公立小学校の教諭となった。修士課程の修了生1名は,現職派遣教員であったが,附属小学校への配属となった。
研究指導
【観点1】学部
卒業研究を,近隣の小学校の協力のもと,実際に本人が道徳授業の実践を行い,分析するという手法をとった。指導案の書き方や,質的な分析方法を学ぶ中で,臨床的な実践力を身に付けたと判断できる。
【観点2】大学院
学会へ同行するなどして,道徳教育に関する専門的かつ実践的な研究の在り方について議論を重ねた。
その他の教育活動
・ 国立大学法人富山大学非常勤講師
・ 放送大学客員教授
特色ある点及び今後の検討課題等
卒業論文および修士論文の指導に際して,できるだけ実践的な研究に取り組めるように,近隣の公立学校と協力して学生院生の指導に取り組んでいる。そのことと関連して,三つの小中学校で学校評議員として活動している。
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
・ 参加状況 日本道徳教育学会,日本道徳教育方法学会,教育哲学会などに参加した。
・ 学会役職 日本道徳教育学会理事,日本道徳教育方法学会理事 日本道徳性発達実践学会常任理事,教育哲学会編集委員
・ 国内学会(シンポジウム,フォーラム含む)の企画 大会実行委員長として平成23年度教育哲学会大会を開催した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越教育大学公開講座
◎社会への寄与等
蓮野小学校,新発田南高校豊浦分校,新潟工業高校などで,指導者,講演者として,指導助言や講演などを行った。
 

 
安 藤 知 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
大学院授業では,講義と小グループでの意見交換,全体協議とを適宜織り交ぜることで,多様な受講者のニーズに応じ,主体的関与の機会を提供するように工夫し,より深い熟考が促されるように配慮した。学部授業は例年通り多様な方法を活用し,毎回必ず受講者自身が発信する機会を取り入れた。教材についても具体物やパワーポイントのスライドなどを用意した。さらに,受講者が多かった必修科目を1限と6限に分けて開講し,できるだけ受講者の反応を丁寧に見ることができるよう改善した。成績評価については,出席やレポート提出等の他,議論への積極的参加や,様々な作業での発言内容等も全て加味して得点化した。学生からの問い合わせにすぐに説明可能な成績評価のためのチェックシートを作成し,活用した。
【観点2】教育の達成状況
各講義の目標はほぼ達成できた。学部必修科目,選択必修科目等受講者の多い科目も,比較的良好に受講者の積極的,主体的な学習活動を促すことができた。 特に,学部の後期選択必修科目と大学院後期科目では,適正規模の受講者数になったこともあり,質の高い探究活動が実践できた。
指導学生の進学状況は,現職院生の他全ての学生が教職へ進んでいる。内訳として4名が正規採用,4名が臨時採用である。指導の過程で教職への関心を積極的なものとして維持し,目標達成のためのモチベーションを高めるように支援できているものと考える。
研究指導
【観点1】学部
卒業研究への各自の取り組みをお互いに情報交換し,切磋琢磨する中で,主体的・計画的に自らの研究に取り組み,多角的な視点を取り入れて考察する力がつくように配慮した。また,いずれも学校に調査協力を依頼してデータを収集し,分析・考察するスタイルの卒業研究である。学校への調査を依頼する過程で,必要な研究倫理や社会的マナーなどに関する学習も取り入れ,学校教育の実践と研究に関わる責任ある態度を養うことにも重点をおいて指導を行った。
【観点2】大学院
経験的で漠然とした問題関心を,理論的に捉え,そこでの関心に答えを導き出すための分析方法の学習と思考訓練に重点をおいて指導を行った。特に,先行研究を丁寧に読解しつつ自らの主張を組み立てる作業について,多様な関心を持つ院生間での議論が活かされるよう配慮した。また,他コース院生,教職大学院院生等からの相談にも広く応じ,研究活動への支援を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
学部,大学院ともに,授業の内容にあわせて多様な学習手法を活用し,受講者の主体的学習を促す工夫を継続して行っている。課題内容に対して主体的に思考し,積極的に発信し,他者の考えに耳を傾けて更に熟考する姿勢を養成することで,省察的実践家の基礎を身につけるよう促している点が,特色ある点である。
また,成績評価に対する説明資料を丁寧に作成し,学生からの問い合わせに対応できるようにしている。今後は,受講者が多い授業での,レディネスやニーズの多様性に応じたディスカッションの活用方法や,講義の進め方をさらに検討し,工夫することが課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年10月:『「つながり」で創る学校経営』(共著) ぎょうせい
(2)平成23年8月:『21世紀型学校教育への提言−日本学校教育学会創立25周年記念』(共著) 教育開発情報センター
論】(1)平成23年6月:『<仕事>としての教職へのまなざし―今日的状況と課題―』(単著) 日本教育経営学会紀要,第53号,218-227頁
発】(1)平成23年8月:『教員社会で期待される「実践力」に関する研究―研究紀要に描かれる実践場面の記述を手がかりとして―』(単) 日本教育学会第70回大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)地域課題に基づくスクールリーダー研修プログラムに関する開発的研究 代表者:末松裕基(学校教育学系) 上越教育大学研究プロジェクト
(2)教員の職能成長支援の現代的再編 代表者:前原健二(東京学芸大学) 東京学芸大学カリキュラム開発センタープロジェクト研究
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本学校教育学会理事・事務局長, (2)平成23年度:日本教育経営学会理事・紀要編集委員, (3)平成23年度:日本教師教育学会理事・紀要編集委員, (4)平成23年8月6日〜平成23年8月7日:日本学校教育学会第26回大会出席, (5)平成23年8月25日〜平成23年8月26日:日本教育学会第70回大会出席
◎特色・強調点等
昨年に引き続き,上越市内の学校長との研究協議により,学校経営に関する実践と研究を交流させるスクールリーダー研修の在り方を探求した。また,並行して科研費研究では,学校経営改革の先進校2校の訪問調査を進め,同時に学校評価に関する各自治体の指標等の関連資料を収集した。ここから,今後<学校力>を定義しつつ,これが高まる要因についての分析を展開する。特に教職員間のコミュニケーションの有り様に着目した要因分析を行い,教職員個々人の組織的活動への意味付与の重要性を明らかにしていく予定である。これは,実態分析に止まらずに<学校力>の向上を目指すための,具体的手がかりを探る研究として意義深いものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市教育委員会の外部評価委員(上越市教育委員会)
(2)上越カリキュラム開発研究推進委員会委員(上越市教育委員会)
(3)新潟県社会教育委員(新潟県教育委員会)
(4)上越市立高志小学校学校評議員(上越市立高志小学校)
(5)石川県10年経験者研修講師(石川県教育委員会)
(6)上越市学校教育研究会講師(上越市学校教育研究会)
(7)新潟県学校事務研究協議会研究大会講座研修講師(新潟県学校事務研究協議会)
(8)新潟県12年経験者研修講師(新潟県教育委員会)
(9)公開講座『「学校」を知って楽しく仕事をしよう−教師のためのワークモチベーションアップ講座−』(上越教育大学公開講座)
(10)上越教育大学同窓会静岡県支部講演会講師(静岡山屋敷の会)
◎社会への寄与等
学校組織マネジメント,ミドルリーダーの役割論,学校評価等,学校経営学に関する専門知識を活用して,上越カリキュラム開発研究推進委員会委員,新潟県社会教育委員,上越市内小学校学校評議員として活動を行い,また,10年経験者研修や学校教育研究会の講師等を務めた。学校教育,社会教育ともに多様な外部諸機関との組織的連携が課題となっている今日,教育実践を組織的に捉え,経営的発想をもって行動化していくことが重要な課題解決の手がかりとなっており,この点での理論的整理に際して寄与した。一方,研究協力者として,東京学芸大学カリキュラム開発センターの研究活動にも参画し,自己の見識を深めるとともに,これまでの研究活動の成果を社会に還元するよう努力した。
 

 
稲 垣 応 顕(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
〇 演習方式によるグループワーク,実際の事例を基にしたグループ検討および発表などを行った。
〇 出席状況,グループワークでの発表,毎回の小レポート,最終試験により総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
〇 研究室ゼミ生の卒業生・修了生6名(現職教員2名を含む)の内,大学院進学1名,正規教員採用2名,非常勤採用1名という進路状況であった。このことから,教育の達成状況はおおむね良好であったと考えている。
研究指導
【観点1】学部
教育現場での参与観察やデータ集取などの指導を行った。また,実践事例を基にした検討会を行った。
【観点2】大学院
教育現場での参与観察やデータ集取などの指導を行った。また,実践事例を基にした検討会を行った。
その他の教育活動
・ 4月に実施された教職講座2コマを担当した。
・ ゼミ学生6名の教育実習について,研究授業を参観指導した。
・ 附属中学校におけるスクールカウンセラーとして,9名の生徒(保護者を含む)への教育相談を年間を通して継続した。
・ 附属中学校における研究プロジェクト「じりつの時間」の研究指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年11月:『生徒指導論−真心と優しさと−』(共著) 文化書房博文社
(2)平成23年11月:『学際型現代学校教育概論』(共著) 金子書房
論】(1)平成24年3月:『特別支援学級の友達に対する健常児の対人的かかわり』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要第17巻,pp.19-23
(2)平成24年2月:『転校を伴う外国人(ブラジル人)児童の学校適用に関する事例研究(2)』(共著) 上越教育大学研究紀,第31巻,pp.19-28
(3)平成24年3月:『「継続可能な開発のための教育」と「教育カウンセリング」』(単著) 群馬大学教育実践年俸。創刊号,pp.16-20
発】(1)平成23年9月:『大会準備委員会企画特別シンポジウム「震災カウンセリングを考える」』(共) 日本カウンセリング学会
(2)平成23年9月:『シンポジウム 学校教育とカウンセリングとの対話』(共) 日本カウンセリング学会
(3)平成23年9月:『シンポジウム 集団バランスでの対人行動の成熟を促す対人関係ゲーム(2)』(共) 日本カウンセリング学会
(4)平成23年9月:『シンポジウム ”新たな荒れ”にカウンセリングは対応しうるか』(共) 日本カウンセリング学会
(5)平成23年9月:『対人関係ゲームによる学級の人間関係づくり(42)』(共) 日本カウンセリング学会
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
平成23年9月17〜19日に本学を会場として開催した日本カウンセリング学会第44回大会で,事務局長を務めた。地方で開催する大会としては,約500名を集客した。
 

 
大 前 敦 巳(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
今年度も,昨年度に引き続き学部・大学院の授業ともに,毎回ワークシートを配付し,そこに講義内容に関する自分の考えを記入し,数名の学生に発表させ,ディスカッションを行う形式を採用した。ワークシートの記入に5分ほど時間をとり,その間に机間指導を行い,集中力を欠く学生に注意を促した。また,ワークシートの提出をもって出欠の代わりとし,その内容を成績評価に加味した。すべての授業でパソコン等の視聴覚機器を使用し,言語だけでなく,画像,音声,イメージを通じた授業内容の理解を図るよう努めた。
【観点2】教育の達成状況
授業評価アンケートの結果等から,今年度の授業も比較的良好な評価を得ており,一方的に話したことを理解させるよりは,自分の考えを文章に起こし,その発表を通じて他の学生の考えも聞く作業を通じて,授業内容の理解を定着させることに成功していると考える。進学や就職との関わりにおいては,多くの授業内容は教職教養に関わるものであり,特に社会的な問題に関する事項を幅広く教育している。また,大学院の教育実地調査分析演習においては,調査とデータ分析の技法を習得することにより,教育現場において有用な技能を身につけさせている。
研究指導
【観点1】学部
当該年度は学部4年生1名の学生指導であり,「学級づくりに向けた集団スポーツとしての30人31脚―メディア・イベントを活用した実践の教育的意義と課題―」を卒論テーマとして,教員がメディア・イベントを活用した実践を行う際に,どのような意義や問題点・課題があるかを先行文献に基づいて整理させ,実際に「30人31脚」に出場した経験を持つ小学校教員にインタビュー調査を行うことにより,教員の生の経験に基づく証言を得て,学級づくりに向けた実践力向上につながる研究指導を行った。
【観点2】大学院
当該年度は,修士論文提出者3名,M2の免P学生2名,M1生4名の研究指導を行い,修論テーマとして,自立児童支援施設における学校教育導入,ワークショップ校内研修による教師の協働性構築,通信制高校における不登校支援をテーマに取り上げた。いずれも教育現場において喫緊の解決が求められる問題に対し,先行研究を詳細に検討した上で調査計画を立て,質問紙調査・インタビュー・参与観察などの手法を通して教育現場に入り,教職員の生のデータを収集・分析することによって,高度な臨床的実践力を身につける研究指導を行った。また,修士論文を提出しない学生は,自らのテーマを深く掘り下げるとともに,上記の修論発表など他の学生の研究と交差させることにより,実践的な応用の幅を広げ臨床的な対応力を高めることができるよう,研究指導の工夫を行った。
その他の教育活動
・ 当該年度は,愛知県立大学大学院人間発達研究科において,教育社会学特講の非常勤講師を務め,通年30単位の講義を行った。また,課外活動においてセパタクロー部の顧問を務めた。
特色ある点及び今後の検討課題等
講義においては,ワークシートの記述を通して内容の理解定着を図ることに成功しているが,今後は講義の密度を高める工夫をするとともに,惰性でワークシートを記述する学生に対しては,より主体性を引き出せるような取組を考案していきたい。研究指導においては,学生自身が将来のキャリアに役立てられる関心あるテーマを選択し,それについて先行研究を整理し,自ら教育現場に入って生のデータを収集・分析させる指導を引き続き行うとともに,これまで蓄積されてきた論文等の成果を活用して,より実践の幅を広げることのできる取組を今後展開していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年11月:『新刊紹介 「大学を再生する:なぜ高等教育をさらに再構築すべきなのか」』(単著) 日仏教育学会年報 第17号 131-135頁
(2)平成24年3月:『P.ブルデューにおける高等教育の文化変動論』(単著) 日仏社会学会年報 第21号 45-65頁
(3)平成24年2月:『フランスにおける大学の停滞と短期高等教育の拡大』(単著) 上越教育大学研究紀要 第31巻 43-54頁
(4)平成23年4月:『フランスの個人化された学習支援の多様性と管理統制』(単著) 平成22年度科学研究補助金(基盤研究(A), 課題番号20243037)報告書 学力向上策の比較社会学研究 平成22年度各国現地調査のまとめ 135-161頁
発】(1)平成23年9月:『フランスにおける大学の停滞と短期高等教育の拡大』(単) 日本教育社会学会 第63回大会
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)日仏の中等後教育における職業専門化と文化資本伝達の変容過程に関する研究 代表者:大前敦巳(上越教育大学大学院) 科学研究費補助金(基盤研究(C))
(2)学力格差是正政策の国際比較 代表者:志水宏吉(大阪大学大学院) 科学研究費補助金(基盤研究(A))
(3)日本およびフランスの高等教育改革に関する学際的比較研究 代表者:白鳥義彦(神戸大学大学院) 科学研究費補助金(基盤研究(C))
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日仏教育学会事務局長, (2)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本教育社会学会第63回大会出席, (3)平成23年10月22日:日仏社会学会2011年度大会出席, (4)平成23年11月13日:日仏教育学会2011年度研究大会出席
外国における研究の状況
(1)平成23年11月27日〜平成23年12月6日:フランス,フランス高等教育の職業専門化を通じた機会均等政策の最新動向に関する聞き取り調査と情報資料収集
(2)平成24年3月9日〜平成24年3月18日:フランス,フランスの学力格差是正策の最新動向に関する聞き取り調査と情報資料収集
◎特色・強調点等
研究代表者として科学研究費補助金基盤研究(C)の計画に基づき,フランス高等教育における文科系分野の変容と職業専門化に着目した現地調査を行い,日本教育社会学会で研究発表を行うとともに,論文を執筆した。また,研究分担者として参加する科学研究費補助金基盤研究(A)においては,フランスの学力格差是正策についての現地調査を実施して報告書を執筆し,基盤研究(C)においては,フランス人研究者を招聘して日仏大学改革の比較研究に参加し,2012年2月27日に神戸大学で開催した公開研究会に参加し,通訳を行った。いずれの研究テーマにおいても,日仏両国の教育が共通して抱える問題について,国際的な視点から教育現場での調査研究を行った点に特色がある。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市ライフスタイル調査実行委員会(上越市教育委員会)
(2)アレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会)事務局会員(アレゼール日本事務局(早稲田大学))
◎社会への寄与等
当該年度は,上越市ライフスタイル調査実行委員会に有識者メンバーとして参加し,平成24年7月実施予定の市内小中学生を対象とするアンケート調査の企画に携わった。この調査は,小中学生が生涯にわたる健康を促進するための基本的生活習慣の実態を把握し,問題解決に貢献することが期待されている。日仏教育学会事務局では,平成23年11月に関西大学で開催した研究大会において,フランス人研究者招聘などの企画に携わった。アレゼール日本では,平成24年2月に神戸大学で開催した公開研究会「日仏大学改革の比較研究」において,フランス人招聘研究者の通訳を行った。後者2つの活動は,日仏交流の観点から教育改革について省察し,問題提起することに寄与している。
 

 
白 木 みどり(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
キャリア教育の専門分野を生かし,教員を目指す学生のキャリア発達を意図した授業内容を構成している。社会に表出している若年層問題や対策の視点などを自分事と捉えられるような演習や教師の職業観形成に関わる意見交換などリアクションペーパーやフィードバック資料を活用した授業を工夫している。また,必修科目の授業においては,教員の資質,汎用的能力の育成を意図し,関心・意欲(出席,授業取組),表現力,活用力等を重視した評価を実施している。
少人数の授業においては,専門的知識理解に併せて人間関係形成能力の育成を重視し,ディスカッション,グループによる課題解決,教員の技術力向上のための演習等を取り入れた授業を展開している。
【観点2】教育の達成状況
キャリア教育の講義内容の特質から,学生の職業観形成,キャリア発達により教員の資質育成に有効に働いていると考えられる。
また,キャリア・カウンセリングの演習では,教育現場に必要な実践的技術・技能を身につけている。
他コースの学生がキャリア教育に関心を持ち,関連する題目で論文執筆している。その際の参考文献,情報提供等の支援,助言に当たっている。
研究指導
【観点1】学部
多様な視点と批判的思考力を養うため,教育書の輪読を通しディスカッションの時間を設定している。 
3年次後半からは,卒業論文に向けての問題意識を設定させ,研究に関するブックレビューを中心にゼミを実施している。
また,学部生と院生の交流の場を設定し,教員養成の視点か教育実習に備えての指導案検討会や研究課題の検討を深めている。
さらに,年2回のゼミ合宿を院生と合同開催し共同生活を通して,研究の充実と教育現場に通用する実践力の育成に努めている。
【観点2】大学院
理論と実践の融合をゼミ経営方針とし指導に当たっている。個人の問題意識についてゼミ生全員が共通理解しディスカッションする時間を十分に保障することに努めている。
10名のゼミ生が,情報交換や多様な視点による意見交換で新たな課題を見出し修士論文に生かすことができるようにしている。
特に免許プログラムを履修している院生も多く教員養成の視点でのゼミ運営を心掛けるとともに,在籍する現職教員から教育現場の実態を知ることにより研究の質を高めている。
さらに,学校現場で重視される協働の精神の向上を意図した年2回のゼミ合宿を通し,教師の資質育成と研究の充実を目指している。
その他の教育活動
・ 教育実習時の研究授業のゼミ生の参観(実習校との連携を図る)
・ 教育現場との連携を密にし,院生の上越市内,県外の研究校,キャリア教育,道徳教育実践校視察,研究会出席を実現している。
また,上越市の小・中・高等学校との連携で開催されるRikka(店舗経営体験活動)事業に実行委員会から出席し院生全員が参加し4年目となる。
特色ある点及び今後の検討課題等
教師の資質育成及び向上の視点を重視したゼミ経営,実践と理論の融合を目指す研究開発を特色としている。
学生一人一人の個性,能力,適性に応じた教師の資質育成及び向上が課題。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年4月:『生徒指導論−真心と優しさと− 』(共著)文化書房博文社
(2)平成23年11月:『教員採用試験αシリーズ』(共著) 一ツ橋書店
(3)平成24年3月:『教育課題研修指導者海外派遣プログラム報告書』(共著) 国立教育政策研究所
(4)平成23年8月:『解説要約2010-2011教育重要資料集』(共著)教育開発研究所
業】(1)『どうとくいしかわ』(作成委員会12名) 石川県教育委員会
(2)平成24年3月:『中学校道徳読み物資料集』(共著) 文部科学省
(3)平成23年3月:『中学校キャリア教育の手引き』(共著) 文部科学省
◎特色・強調点等
専門的理論研究が,教育現場の実践に有効に働き成果に繋がることを目指し研究に携わっている。
教師を目指す学生,教師の立場を考慮した実践に生かせる専門的知見や効果的な指導方法をわかりやすく提供している。
日本の教育理念の方向性を示すキャリア教育の推進と今後の社会形成との関連について考察し,キャリア教育を実践に効果的に生かすための方策を追究している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県立新井高等学校評議員
(2)6月:キャリア教育講演講師(富山市立堀川中学校)
(3)6月:キャリア教育指導者養成研修講師(独立行政法人教員研修センター)
(4)長岡市道徳教育指定研究指導,講演(長岡市立宮内中学校)
(5)6月:加茂市学校教育研究協議会道徳教育教育研修会講演講師(加茂市立須田中学校)
(6)6月:現職教育校内研究会講師(福島県教育庁)
(7)6月:教育課題研修会講師(上越市)
(8)6月:児童生徒キャリア育成推進事業キャリア教育アドバイザー養成研修講師(東部対象,山梨県総合教育センター)
(9)8月:児童生徒キャリア育成推進事業キャリア教育アドバイザー養成研修講師(西部対象,独立法人教員研修センター)
(10)道徳教育総合支援事業研究会講師(長野県岡谷市立川岸小学校)
(11)7月:金沢市道徳教育研究会講師(金沢市立三和小学校)
(12)7月:キャリア教育講演会講師(富山市立堀川中学校)
(13)7月:道徳教育研修会講師(石川県内灘町立内灘中学校)
(14)人と地域を生かした道徳教育講座講師(石川県能登町立真脇小学校)
(15)8月:大阪府門真市立管理職人権教育研修会講師(門真市民プラザ 教育センター)
(16)7月:福井市教職員課題別研修講師(福井県立大学交流センター)
(17)8月:教員のための金融教育セミナー講師(日本銀行新潟支店 新潟県金融広報委員会)
(18)8月:平成23年度教職員等中央研修の講師(独立行政法人教員研修センター つくば)
(19)8月:教科・領域別一斉研修会講師(上越市教育委員会)
(20)8月:キャリアカウンセラー活用事業講師(上越市立稲田小学校)
(21)8月:キャリアカウンセラー活用事業講師(上越市立大島小学校)
(22)8月:キャリア教育研修会講師(糸魚川市)
(23)11月:中学校キャリア教育・進路指導推進会議講師(石川県教育委員会)
(24)11月:人と地域を生かした道徳教育講座講師(石川県能登町立宇出津小学校)
(25)11月:学級・学年経営に関する講演会とグループ討議(長岡市青年部)
(26)12月:人権教育指定校事業講演会講師(富山県砺波市立般若中学校)
(27)キャリア教育の推進に関する調査研究講師(国立教育政策研究所)
(28)10月:教育課題研修指導者海外派遣プログラムシニアアドバイザー(独立行政法人教員研修センター)
(29)12月:高等学校道徳教育研究協議会講師(石川県教育委員会)
(30)人と地域を生かした道徳教育講座講師(小松市立向本折小学校)
(31)石川県道徳資料教材作成委員会委員長(石川県教育委員会)
(32)キャリア教育バージョンアップ事業講師(鈴鹿市立神戸中学校)
(33)道徳の時間に関する言語活動の在り方講師(茨城県笠間市立友部中学校)
(34)震災復興・日本再生支援事業講師(福島県郡山市立片平小学校)
(35)8月:上越市中学校道徳講座講師 上越市教育プラザ
(36)9月:柏崎市道徳教育研修講座 柏崎教育センター
(37)9月:東京都練馬区初任者研修会講師 ハイライフプラザ板橋
(38)9月:柏崎市キャリア教育研修講座 柏崎教育センター
(39)10月:石川県指定道徳教育研究発表会講師 邑知中学校
(40)11月:石川県珠洲市指定キャリア教育研究発表会講師 蛸島小学校
(41)11月:キャリア教育研修会講師 福島県白河市立中央中学校(震災復興)
(42)1月:キャリア教育研修会 高知県上ノ加江中学校
(43)1月:門真市指定キャリア教育研究発表会講師 大阪府門真市立第五中学校
(44)5月:教育カウンセリング学会招待記念講演 跡見学園大学
◎社会への寄与等
・ 上越市内の小・中・高等学校との連携,キャリア教育研究会研修会参加により上越市キャリア教育発展に努めている。
・ キャリア教育実践校,上越市チャレンジショップRikka事業への参加,支援している。
・ 国際ロータリークラブ2610地区キャリア教育支援事業のアドバイザーとしての支援活動を継続している。
・ 石川県道徳資料作成委員会委員長として,県下小・小中学校教員の資料作成支援に当たっている。
・ 福島県教育支援プロジェクトを通して福島県教育委員会との連携及び県下の小・中・高等学校の教育支援に参加している。
・ 兵庫県県立高等学校長期構想検討委員会メンバーとして,キャリア教育専門の立場で参加している。
 

 
橋 本 定 男(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
1.教育方法
(1)大学院:
@実践現場でのリアルな課題や問題,学会での問題意識や議論テーマ等を取り上げ講義内容に関連させ,理解や追究の深まりをねらった。
A自身の研究テーマ(学級話合いにおける合意形成)や学校現場の課題(いじめ等)を取り上げ議論することで,特別活動や生徒指導にかかわる実践と理論の統合に向けた追究意欲の向上を図った。
(2)学部:
@教師体験を踏まえ,教師の喜びや実践の楽しさを伝えた。
A実践の映像を多用し,感想や意見の発表の場を増やすなど,関心を高め,実感ある納得を得る工夫に努めた。
2. 成績評価
(1)毎時間,課題を課しミニレポートを提出させた。質問や意見を翌日の講義に生かし,評価材料として活用した。
(2)学部では主として試験問題を,大学院では主として課題レポートを最終判断に活用した。
(3)学部では出欠席の実態を評価に反映させた。
研究指導
【観点1】学部
卒業論文研究指導について個別に述べる。
A: 小学校・話合い授業において児童の発言がどのように質的に変化するかをとらえようとする研究を指導した。葛藤場面に限定し,カテゴリー化して分類した上で,複数回発言した児童の発言内容を「質的特長」カテゴリーで整理し,さらに「質的成長」のカテゴリーで分析する質的研究の手法で追究した。多様な発言を質的に整理し,結果を分析する研究方法を身につけた。また,話合い指導のヒントを多く得たことも意義深い。
B: 自尊感情の低い児童の失敗・成功体験に及ぼす周りの影響をとらえようとした研究を指導した。個々の児童の失敗・成功体験と周りの児童の動きを観察する場として妙高少年自然の家のアドベンチャープログラムに気づくまで時間がかかった。ビデオと観察でフィールドノーツを作成。次に自尊感情の低い子の動きと周りの動きを捉えるカテゴリーを作成。その調査結果を成功・失敗体験から分析する難度の高い研究を乗り越えた。
その他の教育活動
・ 新潟県立大学・非常勤講師 「特別活動論」(集中講義)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年4月:『生徒指導論 ―真心と優しさと ―』(共著) 文化書房博文社
(2)平成24年2月:『指導の改善に生かす新しい学習評価』(共著) 学校図書
論】(1)平成23年6月:『避難児童・生徒を受け入れる際の留意点は何か』(単著) 教職研修,教育開発研究所,466号,4頁
(2)平成23年9月:『がまんする力を育てる』(単著) 子どもとゆうゆう,愛知県教育振興会,671号,2頁
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)重点中学校区社会性育成パイロット事業 代表者:新潟県教育委員会・義務教育課長(新潟県教育委員会) いじめ等対策・人権対策班
(2)互いのよさや個性を生かして,よりよい学校生活を築こうとする児童の育成 代表者:仲川容子(新潟市立関屋小学校) 新潟県小学校教育研究会
(3)学校の活性化を図る学校評価の充実 代表者:藤森進(長岡市立岡南中学校) 長岡市立岡南中学校
学会活動への参加状況
(1)平成23年8月19日〜平成23年8月20日:日本特別活動学会・第20回大会 出席
◎特色・強調点等
3つに分類できる研究活動を進めた。
1つが,話合いの合意形成を中心とする学級活動の研究である。関屋小との共同研究を主軸として進め,合意形成のパターンと教師の働き掛けについてメドの着くところまできた。新潟県,富山県でこのパターンを踏まえた実践が進展しつつある。今後は成果を論文等で発表したい。
2つ目が,いじめ問題への予防対策を中心とする学級づくり・学校づくりの研究である。新潟県教育委員会との共同研究を主軸として進め,成果を教員対象の研修会での講演やリーフレットに結実させることができた。今後も県下の学校に現実的な対策が積極的に進むよう,さらなる研究が求められる。
3つ目が,学校評価に関する研究である。岡南中学校との共同研究を軸に進めてきた。学校が変わりつつあるとの話を聞いている。これからが本格化することとなる。
以上のように,学校現場で生きて働く研究になってきている実感がある。ただ,論文や著作にしていないので,この面での努力を強めたい。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許状更新講習・選択科目「学級づくりに生かす話合い活動指導の基礎と応用」(上越会場,佐渡会場)(ほかに新潟工科大学)
(2)平成23年5月:『いじめ,不登校,暴力行為のない明るい学校づくり(第2集)』社会性育成パイロット事業・リーフレット 指導助言者(新潟県教育委員会)
(3)平成23年11月:『互いのよさや個性を生かして,よりよい学校生活を築こうとする児童の育成』 特別活動研究大会・研究紀要 指導助言者(新潟県小学校教育研究会)
◎社会への寄与等
自分の進める研究活動のうちの「いじめ問題への予防対策を中心とする学級づくり・学校づくりの研究」に関連して,新潟県教育委員会上越教育事務所から委嘱を受け,実際に学校に入って職員と現実的な課題に対応する実践研究を進めることが出来た。研究の成果を活かすことが出来,また職員から喜んでもらえたこともあって,達成感を持つことが出来た。学校評価に関する研究でも,前年度から継続して見附市教育委員会から学校評価アドバイザーを委嘱され,市内小中学校の学校評価に実際にかかわり検討することで,成果を活かすことが出来たので喜んでいる。各学校で,改善に向けた助言を前向きに受け止めていただき,学校改革に寄与できるおもしろさを実感しているところである。
 

 
生 澤 繁 樹(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
これまでと同様に,大学院の授業では,取り扱うテーマやトピックスを毎年度刷新し,授業内容をたえずデザインしなおすことを試みている。また学部の授業では,オリジナルの授業教材を作成・配付し,必要に応じてパワーポイント,映像,ワークショップ型の授業など,様々な教育メディアを効果的に取り入れ,分かりやすさと発見をともなう授業をめざしている。授業評価の結果を反省的に受けとめながら,入門的知識と専門的知識の間のバランスや授業難易度の設定など,受講者の関心の多様性に配慮しながら授業方法の改善を施している。受講者のリアクションを教材としてまとめ,受講者の意見や発言を授業のなかに積極的に還元していくことも例年同様におこなった。成績評価の面では,受講者の各回の提出課題の評価に加え,試験の採点基準,評価のポイントを事前に周知し,厳密かつ公正な成績評価に努めている。
【観点2】教育の達成状況
授業評価の結果から判断する限り,授業における教育活動のねらいはこれまで通り概ね達成されたと考えている。学習者自身の取り組み,授業者の授業内容,授業方法ともに,大学院・学部の授業科目において全体的に高い授業評価を得ている。昨年度と同様に,とりわけ学部の多人数授業においても,総じて高い評価を得ることができている。おもに教育の理念や歴史に関する講義を担当しているが,授業内における課題を充実させるなどしたこともあってか,授業への取り組みや意識についても比較的良い評価が得られた。授業外での学習という面では昨年度の成果と比べていくらか改善された。しかし,授業中以外の努力や学習時間に結びつくような授業内容の提示や課題の出し方をいっそう工夫していくことが引き続き重要な課題であるといえる。
研究指導
【観点1】学部
学部3年生1名の指導を担当した。卒業論文の作成に向けて,関連する文献や資料の収集,先行研究の検討を行なった。合同ゼミなど,適宜大学院のゼミと研究交流する機会を設けるとともに,毎週のゼミ内での研究報告,議論を通して研究課題についての考察・分析を加えていった。
【観点2】大学院
修士課程1年生3名,2年生2名の計5名の指導を担当した。修士論文の作成に向けて,関連する文献や資料の収集,先行研究の検討を行なったほか,毎週のゼミ内での研究報告,ディスカッション等の諸活動を通して研究の基礎をかためつつ,研究課題に関する考察・分析を深めていった。また,ゼミの課外研修の一環として,岐阜県白川町教育委員会が主催するユースカレッジのプロジェクトに共同参画し,教育プログラムを提供した。学内外の大学教員・学生との研究交流を積極的に図り,修士論文構想の報告・検討を合同ゼミとして実施するなど,研究指導上のネットワークづくりも重視した。
その他の教育活動
・ 新潟県立看護大学非常勤講師「教育学」(2011年度前期)
・ 愛知県立大学非常勤講師「道徳教育論」(2011年度前期集中)
・ 富山大学非常勤講師「教育の思想と歴史」(2011年度前期集中)
・ 学びのひろば顧問「フレンド☆アイランドクラブ」
特色ある点及び今後の検討課題等
2010年度の教育活動の特色としては,学外非常勤講師として道徳教育や教育思想と歴史に関する科目を担当し,研究課題についての資料収集や意見交換を図ることができた。学内の授業評価だけでなく,学外(新潟県立看護大学)においても授業評価を実施し,高い評価を得ることができた。さらに,修士課程2年の所属ゼミ生2名が学会発表を行い,修士論文作成に向けた中間的な研究成果をまとめる機会を得ることができた。また,学びのひろばクラブ担当顧問として各回の活動やイベントに参加した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年5月:『学校選択と価値多元社会──公教育の正当性の再構成へ』(単著) 教育哲学研究,第103号,136-141頁
(2)平成23年6月:『教育的関係の政治学──「自然=本性」論の再考』(単著) 教育経営研究,第17号,72-82頁
(3)平成24年3月:『道徳教育の授業開発に関する実践的研究──郷土資料の開発とシティズンシップ教育の課題』(共著) 静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要,第20号,145-157頁
発】(1)平成23年6月:『デューイと正義論──正義の「原理」から「方法」へ』(単) 第103回公共哲学京都フォーラム「アメリカの代表的な公共する人間としてのジョン・デューイ」
(2)平成23年9月:『「契約」と「経験」の思想史──近代の社会的想像と共同性の創出』(単) 教育思想史学会第21回大会シンポジウム「共同性/協働性/協同性」
(3)平成23年10月:『デューイの社会倫理学──1900-1901年シカゴ大学講義録を中心に』(単) 日本デューイ学会第55回大会
(4)平成23年10月:『教育はどのように問われるべきか(指定討論者として報告)』(単) 教育哲学会第54回大会課題研究「教育はどのように問われるべきか」
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)道徳教育の授業開発に関する実践的研究 代表者:藤井基貴(静岡大学)
(2)デューイ著作集検討会(政治1・哲学9チーム) 代表者:生澤繁樹(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)平成23年10月:教育哲学会第54回大会準備委員会事務局, (2)6月2日:上越教育経営研究会出席, (3)8月6日〜8月7日:日本学校教育学会第26回大会出席, (4)6月10日〜12日:第103回公共哲学京都フォーラム出席, (5)9月18日〜19日:教育思想史学会第21回大会出席, (6)10月1日〜2日:日本デューイ学会第55回研究大会出席, (7)10月15日〜16日:教育哲学会第53回大会出席, (8)11月12日:イギリス理想主義学会関東部会出席, (9)12月17日:イギリス理想主義学会関西部会出席
在外研究の状況
(1)3月3日〜16日:アメリカ合衆国 アイオワ大学,アイオワ州の小学校, CHIME,およびカリフォルニア州立大学への訪問(海外教育研究B)
◎特色・強調点等
2011年度は,平成22年度から採択された科学研究費補助金・若手研究(B)「デューイ教育思想の政治哲学的検討─共同体論的再解釈の可能性と課題の解明─」の2年目として引き続き研究に着手した。なかでも本年度は,第103回公共哲学京都フォーラムや所属学会のシンポジウム等,研究の成果を発表する貴重な機会を得ることができ,さらなる課題解明に向けて研究を進めることができた。また,共同研究としては,昨年度に引き続き,道徳教育の授業開発に関する実践的研究のプロジェクトに加わっている。その合同討議の内容と考察は,プロジェクトの報告書『道徳教育の授業開発(U)──「防災道徳」授業の開発』(静岡大学教育学部,2012年4月)のなかにまとめられ,収録された。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:教員免許更新講習講師「教育の最新事情関係(‘11)上越A」
(2)8月:岐阜県白川町ユースカレッジ講師(白川町教育委員会)
◎社会への寄与等
岐阜県白川町ユースカレッジでは白川町教育委員会との連携を図りながら教育プログラムを提供し,地域や行政の取り組みに協力することができた。また11月,12月には,現職教員を中心とした学外における学びの場をつくる目的で,自主的なサークル(えでゅカフェ)の立ち上げに関わった。現在のところは,いまだ試行的な学びの場であるものの,2012年度からはさらに継続的かつ発展的に各種勉強会の開催や独自な教材の開発を進めるなど,着々と成果を挙げつつある。今後はさらに社会に対する寄与へとつなげ,学校現場へと貢献する機会を広げていきたいと考えている。
 

 
井 本 佳 宏(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○授業形態,学習指導法等の教育方法に関する取り組み状況
授業の内容,受講者数等に応じ,講義形式・演習形式を適切に組み合わせて効果的に教育目標が達成されるよう工夫を行った。
○成績評価法に関する取り組み状況
授業内容,授業の到達目標等に応じ,日常的な評価,小レポート,期末テスト,期末レポート等を使い分け,また適宜組み合わせ,適切に成績を評価するよう工夫を行った。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
多くの受講者が教員になることを志望していることから,教員として将来必要となる資質能力の育成を目指した授業内容となるよう,シラバスの作成段階から熟慮を重ねた。授業の計画,実施,評価にあたっては,教員として必要な資質能力を,即戦力として使える限定的な技能に矮小化することを厳につつしみ,大学における教員養成の理念を十分に踏まえた上で,深い学術的思考に支えられた知識と反省力,批判力を基盤とした高度専門職としての資質能力として捉えるよう留意した。このことは,少数ながら教員にならない受講者にとっても有意義な授業を提供することにつながるものと自負している。
研究指導
【観点1】学部
平成23年度は特定の指導学生をゼミにおいて指導することはなかったが,授業等の日常的な機会や,科目群における卒業論文の構想発表会,中間発表会,審査等の機会を通じて,卑近な臨床テクニックの追求に走りがちな科目群所属学生の姿勢を戒め,大学における教員養成の理念を十分踏まえた上で,深い学術的思考に支えられた知識,反省力,批判力等を基盤とした専門職としての教育実践力の育成に尽力した。
【観点2】大学院
ゼミ所属の指導院生はもちろんのこと,そのほかの院生も含め,ゼミ,授業等の日常的な機会や,科目群における修士論文の構想発表会,中間発表会,審査等の機会を通じて,卑近な臨床テクニックの追求に走りがちな姿勢を戒め,大学院における教員養成の理念を十分踏まえた上で,深い学術的思考に支えられた知識,反省力,批判力等を基盤とした高度専門職としての教育実践力の育成に尽力した。
その他の教育活動
・ 高崎経済大学非常勤講師
特色ある点及び今後の検討課題等
○ 特色ある点
受講者数百名規模の大人数の授業から数名程度の少人数の授業まで,対応すべき状況がかなり幅広い中,受講者や授業内容の特徴を捉えながら授業形態を適切に使いわけ,柔軟に対応している。
○ 今後の検討課題等
教職大学院へのシフトが見込まれる中で,修士課程の授業では差別化を図り特色を明確に打ち出していくべきか,それとも教職大学院にできるかぎり準ずる形での授業内容の見直しを進めるべきか,学長をはじめとする大学首脳陣の確固としたリーダーシップに従いつつ,適切な対応を行っていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年6月:『システムとしての教育を探る・自己創出する人間と社会』(共著) 勁草書房
(2)平成23年9月:『初めて学ぶ教育の制度・行政・経営論』(共著) 金港堂
論】(1)平成23年11月:『システム論的アプローチによる学校体系論』(単著) 教育制度学研究,11号,pp.38-43
(2)平成24年3月:『看護師』(単著) 日本的な専門職コンピテンシー抽出と質保証システム構築のための横断的分析最終報告・2009年〜2011年度科学研究費補助金・挑戦的萌芽研究最終報告書・研究代表者/橋本鉱市,pp.32-44
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)地域課題に基づくスクールリーダー研修プログラムに関する開発的研究 代表者:末松裕基(上越教育大学) 上越学校経営サロン
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本学校教育学会機関誌編集委員会幹事, (2)平成23年7月2日:上越教育経営研究会,2011年度研究発表会出席, (3)平成23年8月6日〜平成23年8月7日:日本学校教育学会,第26回大会出席
◎特色・強調点等
平成23年度は活字化された研究業績が多くを占め,口頭発表がなかった点が特色となっている。結果として見ると,これまでの研究成果を一旦まとめる年となったといえる。しかしそれと同時に,具体的に業績としてあがってこない部分で次への布石となる研究の土台を築いた年でもあり,それは平成24年度以降,口頭発表や論文の形で具体化してくるはずである。そういった意味で,次なる展開への着実な一歩となる一年間でもあったといえる。研究そのものの独創性,発展性は十分であると自負しており,社会科学の学際性に根差した研究視角は教育学以外の他分野への貢献にもつながるものとなっている。また,研究活動を通じた教育関係者への啓蒙は,教育実践への寄与という面でも,地域の教育課題への寄与という面でも,十分な意義を有している。政策形成への寄与という点では,直接的な効果は見えにくいものがあるが,教育への貢献を通じて主権者たる国民の育成に貢献することは,将来の政策形成も含めた我が国の国政運営の民主的発展につながるものと考えられる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越教育大学平成23年度更新講習・教育の最新事情関係「2011」長岡B(上越教育大学)
◎社会への寄与等
本項目に登録すべきものに該当するか否かの判断が非常にむずかしく,ここに挙げたもの以外にも日常的な活動のレベルでさまざまな社会への寄与等を行っていることは申し添えておく。本学教員として行っているさまざまな場面における社会的活動は,社会の教育・研究に関するニーズへの寄与,各地域特有の教育上の諸課題解決への寄与,各種の教育課題・政策形成への寄与等,すべての面において,直接間接を問わず意義のあるものと判断している。
 

 
末 松 裕 基(講 師)
 

 
辻 村 貴 洋(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○ 講義の時間のほか,授業内にて,受講者の発表(レジュメによる報告)を取り入れ,授業以外の時間を使って学習してもらえるよう工夫した。その発表資料等について,メール等による事前の指導を充実させたり,授業内で取り上げるテーマを,各自の研究テーマ(修士論文)とリンクさせられるように努めた。また,どの授業でも,学校と地域社会とのかかわりを取り上げた。これらは,学校教育のみならず,社会教育の領域までも含めた大きな課題であり,教職員として,どのように各種の活動に取り組んでいくかは,非常に重要となってくる。
○ オリエンテーションの時間では,シラバスの授業計画とあわせ,評価方法についても説明の時間を設けた。
【観点2】教育の達成状況
○ 担当している授業は,主に,教育政策や教育改革について扱うことになっている。こうしたテーマは,とくに教科教育コースの学生・院生には,授業開始当初は,各自の研究関心と結びつけることが困難な様子であった。しかし,教科教育の変遷の過程などと,その社会背景を結びつけて教育政策・教育改革を討議しながら考えていくことで,教師として,教育政策や改革にどのように向き合っていくか,理解が深まっている様子が見受けられ,卒業(終了)後の進路においても,社会に貢献できる力を育成できたものと考える。
研究指導
【観点1】学部
学部生の研究指導は担当してはいなかったが,コース内において,適宜,質問を受け付けたり,資料の提供を行ったりしながら,研究指導にあたった。また,卒業論文の中間発表会などの機会を通じて,私自身の専門領域の観点から,各自の研究テーマについて別の観点からみた問題の捉え方などを提示しながら研究指導を行ってきた。
【観点2】大学院
年度当初の研究計画にとらわれず,院生との話し合いをもとに,その後の関心の深まりから,研究の意義・目的・方法をさらに発展させられるように努めた。論文の講読や,学校現場の調査・ヒアリング等の活動を行いながら,研究指導にあたってきており,院生本人の研究テーマも深めてこられたように思う。
その他の教育活動
・ 独立行政法人 国立病院機構 新潟病院附属看護学校 非常勤講師
特色ある点及び今後の検討課題等
討議や振り返りの時間を多く取り入れることができ,受講者相互の交流も進んだようである。ただし,大学院の授業では,ストレートマスターと現職派遣の院生の理解度,興味・関心の差が大きかった。今後は,両者を近づけて,教職に関する見識を深められるように工夫していきたい。具体的には,討議の時間を多く確保することを考えている。
また,できうる限り,一人一人の興味・関心にもとづいた授業を展開していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成23年11月:『「教育の地方自治」制度化の構想と展開―教育専門職リーダーシップの位置づけをめぐって―』(単) 日本教育制度学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年5月28日〜平成23年5月29日:日本教育法学会第41回定期総会出席, (2)平成23年8月6日〜平成23年8月7日:日本学校教育学会第26回研究大会出席, (3)平成23年10月7日〜平成23年10月9日:日本教育行政学会第46回大会プログラム出席, (4)平成23年11月19日〜平成23年11月20日:日本教育制度学会第19回大会出席, (5)平成23年5月21日:日本学校教育学会第1回公開研究会出席, (6)平成24年2月18日:日本学校教育学会第3回公開研究会出席
◎特色・強調点等
従来,教育の民衆統制と専門職リーダーシップの融合が教育委員会の制度原理として説明されてきた。しかし,教育の地方自治を高め,発展させていくためには,地域における教育行政専門職の存在意義を顕揚し,教育委員会,とくに事務局を地域における教育活動の創造拠点として位置づけていくことが,今日の教育行政改革においても重要である。安易なポピュリズムに陥らないための要といえるものを導き出す基礎となる成果である。
 

 
越   良 子(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学生のリポートを教材とすることで,学生の問題意識や関心に近づけて知識や考え方の展開を促し,また,その定着を図った
【観点2】教育の達成状況
概ね達成した。
研究指導
【観点2】大学院
各院生の特徴を生かした研究テーマの設定と研究方法を指導し,無理なく心理学研究の論理と方法論を学び,研究成果をあげられるよう指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
心理学の知見をいかにリアリティをもたせて学習させ研究させるかに腐心している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年2月:『心理学研究の新世紀2 社会心理学』(共著) ミネルヴァ書房
論】(1)平成24年2月:『学級コミュニティ感覚と学級内相互作用の関連−ソーシャル・サポートを指標として−』(単著) 上越教育大学研究紀要,31,75〜82.
 

 
内 藤 美 加(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
大学院の講義では子どもの発達と学習に関する基礎的な解説を行った。その上で最近の認知発達心理学的な知見に基づく研究成果や修士論文を紹介し,講義内容について討論や意見交換をすることにより学校教育心理学的な理解を促した。成績評価は学生個人の関心や疑問点を文献で調べ報告するレポートによった。大学院および学部の実験では,レポートの添削及びその解説を行い,心理学的データの分析方法や研究計画法,研究報告書の作成方法を習得させた。
学部の概論では,心理学入門としての位置づけを明確に説明した上で,心理学の面白さを体験させることを目標として学生が内容を理解することに重点を置いた。講義3回終了ごとに1回の割合で学生に質問表を提出してもらい,質問の解説を行った。講義内容の定着度を期末試験によって評価した。
【観点2】教育の達成状況
今年度の修士論文提出者はなし。
研究指導
【観点1】学部
今年度の指導学部生はなし。
【観点2】大学院
免許プログラム2年生及び1年生それぞれ1名ずつ(計2名)について毎週1回のゼミを実施し,各自の研究テーマに関連する文献の報告および討論を行った。特に2年生は,来年度が最終年度となるため,3年次進級に合わせて研究計画の策定を促した。1年生は心理学初学者であり免許プログラム受講者のため,授業と研究の両立を図りつつ関連文献の講読,報告を通して心理学の方法や考え方の習得を促した。
特色ある点及び今後の検討課題等
以上の教育活動における特色の第1は,講義への模擬実験と討論の導入である。模擬実験を行うことにより,心理現象の面白さとその心理学的な捉え方を身近な実体験から理解したり,討論を通して疑問点を受講生同士が互いに補足し合うことにより,講義への学生自身の積極的な参加を促すよう努めた。第2に研究指導上の特色は,学生の精神的な問題を見極め,インターネットから得た情報を用いる場合のレジュメの作成上の注意を促した点である。とりわけ2年生は,家族および本人の精神的状態から研究の継続に困難を示す時期があったものの,困難回復に焦点を当てた指導を行った。学部と大学院ともに,講義に対しさらに積極的な聴講を促す方策を検討することが課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年2月:『乳幼児期の精神発達とその病理』(共著) 金子書房「発達障害の臨床的理解と支援2:幼児期の理解と支援」pp.1-26.
論】(1)平成23年12月:『”心の理論”の概念変化:普遍性から社会文化的構成へ』(単著) 心理学評論,54巻,3号,249-263
(2)平成23年8月:『”When did I learn and when shall we act?”: The developmental relationship between episodic future thinking and memory.』(共著) Journal of Experimental Child Psychology, 109巻4号, 397-411.
学会活動への参加状況
(1) 平成24年3月9日〜平成24年3月11日:日本発達心理学会第23回大会に出席し,3月9日のシンポジウム「第二世代に向かう「心の理論」の発達研究」の企画,3月10日のDr. Perner の招待講演「Taking, swiching, confronting perspectives: Development and brain」の企画と司会を担当した。
(2) 2012年3月18日:東京学芸大学国際教育センター主催による国際シンポジウム「社会的能力はどのように発達するのか:心の理論・言語・文化の獲得」の企画協力,当日午前の司会,および研究発表「日本の子どもにおける誤信念理解:感情理解との関連から」を行った。
(3) Child Development誌(SRCD)投稿論文1件,Journal of Experimental Child Psychology誌 投稿論文1件,発達心理学研究(日本発達心理学会)の投稿論文3件の合計5件の査読を行った。うち,CD誌とJECP 誌は不採択,「発達心理学研究」誌は2件が採択,1件が不採択であった。特に後者の採択審査では,発達心理学の学術研究における新たな発見の発表促進および公表される研究論文の質の向上に寄与した。
◎特色・強調点等
JECP 誌に発表した論文では,4〜6歳児を対象にエピソード記憶とエピソード的未来思考との発達的関連を検討した。エピソード的未来思考を測る課題を新たに策定し,その成績と出典記憶の成績との関連を調べた。2つの能力は4〜5歳では関連せず,6歳になって関連することを明らかにした。心理学評論誌の論文では,日本の子どもにおける誤信念理解の発達から見た社会的理解の発達を論評した。欧米主導の認知主義的,普遍主義的な従来の心の理論研究に対し,社会的理解の社会文化的な側面を強調した。著書では,広汎性発達障害に深く関わる社会的能力に焦点を当てその乳幼児期の発達を概観した。さらに発達障害に対するこれまでの学説を平易に紹介し,乳幼児期の社会性発達からみた発達障害の病理を解説した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成23年4月1日〜平成24年3月31日 NPO法人発達障害研究推進機構「広汎性発達障害児における自己意識の発達についての研究」研究会講師
◎社会への寄与等
・ NPO法人の活動の一環として,広汎性発達障害児の自己意識に関して,記憶や模倣の諸能力の発達という観点から研究会を継続的に行っている。
 

 
中 山 勘次郎(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
大学院「学習心理学特論」では,「講義支援システム」を活用して,自主学習用の参考資料を含むすべての講義資料をシステム上に登録し,受講生が自由に参照できるよう配慮した。
学部「授業の心理学」では,授業に関係する最新の研究成果を,使われている教材等をできるだけ実際に体験しながら理解できるよう,内容や実習教材を部分的に入れ替え,またより基礎的な知識を扱う「学習心理学」と連動させながら,体系的な学習を支援している。
【観点2】教育の達成状況
学部「学習心理学」において,学校教育に直接関係するテーマとともに,教員採用試験を見通したテーマ・教材等を多く取り入れることで,受講生の意識づけを高めることに成功している。
研究指導
【観点1】学部
4年生1人を指導した。実践的な問題意識や発想を取り入れた研究指導を行った。本年度はドリル学習場面を取りあげ,単調で意欲がわきにくいこの学習形態を改善すべく,さまざまな工夫を凝らした教授法を提案する卒業研究が生み出された。
【観点2】大学院
修士課程2年生(免P)1人と,1年生1人の研究を指導した。学校現場の実践的な問題意識を,心理学の視点から理論的に裏づけ,解決方法を探るという方針で指導にあたっており,本年度は修士論文の作成はなかったが,次年度に向けて,理科実験・観察場面での具体的な指導法に関する研究を深めた。
特色ある点及び今後の検討課題等
学習心理学に関する専門的知識の教授を意識しつつも,学校現場での実践という視点を常に持ちながら,内容を構成している。また,とくに学部の授業に関しては,受講生の質問を積極的に汲み上げてフォローしたり,授業改善に役立てるよう努力している。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年2月:『学校活動における教師の働きかけに対する自己決定理論からの分析』(単著) 上越教育大学研究紀要,31,pp.111-123
他】(1)平成23年度:研究室HPの公開 http://www.juen.ac.jp/psych/nakayama/
学会活動への参加状況
(1)平成23年7月24日〜平成23年7月26日:日本教育心理学会第53回総会出席, (2)平成23年8月20日〜平成23年8月21日:日本学校心理士会2011年度大会出席
◎特色・強調点等
児童の学習への動機づけの予測因としての「目標」の影響性を中心に,個々の学習意欲の特徴をとらえようとする研究を継続して進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)11月:上越市立三和中学校学校保健委員会講演会講師(上越市立三和中学校)
(2)カウンセラー学校派遣事業に基づく派遣カウンセラー
◎社会への寄与等
心理学の知見にもとづき,小学生の心理的問題に関するカウンセリング及び教員へのコンサルテーションを行ったほか,中学生のメディアコントロールの具体的方法にについて講演を行った。
 

 
奥 村 太 一(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○ 文系学生にとって苦手意識の強いと思われるデータの統計分析の手法について,厳密性は犠牲にしつつも本質的な理解を損なわないよう解説を工夫した。また,授業の講義ノートを整備して学内ウェブ上に公開したほか,ソフトウェアの使い方についても実演するなど学生の利便性に配慮した。
○ 一部の講義では,授業評価アンケートの内容を受けて出席を評価材料として取り入れたり,毎回リアクションペーパーを課すなどして多面的に取り組みを評価できるように工夫した。
【観点2】教育の達成状況
○ 修士課程の学生2名について,研究指導を行った。内1名が修士論文を提出して修了し,特別支援学校に就職した。
研究指導
【観点1】学部
○ 学部学生1名について,研究指導を行った。本人の体験をふまえて児童生徒の心理的な問題を取り上げ,それについて理論的な観点から考察し,他者に簡潔に説明できるよう指導を行った。
【観点2】大学院
○ 日常的なストレス体験からの心理的回復を促進させるような内的変化や外的取り組みのあり方について,また学校教育場面における生徒の失敗行動を生徒自身がどのように解釈することで人間関係や自尊感情や自己肯定感を維持しているかについて,理論的・実証的観点から探求できるよう指導を行った。
その他の教育活動
○ 免P学生の中等教育実習,学部学生の初等教育実習について実習先で行われた研究授業を参観し,アドバイスを行った。
◎特色のある点及び今後の検討課題等
○ 教職科目については,担当している自分自身が教員免許を持たず教職経験もないため,実践的な内容を教授することが困難である。今後,どのように受講生のニーズに応えるか検討する必要がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『悉皆調査における統計的推測』(単著) 上越教育大学研究紀要,31,pp.57-62
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)自己評価の規程因に関する文化心理学的検討 代表者:山口勧(東京大学大学院人文社会研究科)
(2)教師のバーンアウトに関する自己評価システムの構築 代表者:宮下敏恵(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:「Behaviormetrika」誌 査読委員
◎特色・強調点等
○ 教育実践場面で得られる数量的なデータの分析について,「個々の児童生徒の情報をなるべく捨象することなく全体像を把握する」ことを目標とし,単一事例研究のメタ分析や準実験データの分析における「平均への回帰」の影響などについて考察を行った。
○ 学校評価など一般的に悉皆調査として得られるデータについて統計的推測を行うことの意義について,考察を試みた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許状更新講習「実践的介入効果の量的分析と評価」担当講師
 

 
森 口 佑 介(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・ 学部の講義では,学生の興味を持続させるために,ビデオを用いたり,授業のスライドで視覚的な効果を用いるなどした。例えば,発達心理学講義において,乳幼児の様子をビデオを用いて観察させたり,用いるスライドを学生に対して見やすくするなどの工夫をしたりした。これにより,発達心理学に対する興味・意欲は高まったと考えている。大学院の講義では,一方的な情報の伝達にならないように,学生とのやりとりを重視した。例えば,現職派遣教員の話を聞くことで現場の空気を授業の中にいれ,現職以外の大学院生の意見を聞くことで新鮮な空気を授業に入れた。
・ 成績評価では,出席やレポートの成績だけに偏らないように配慮した。具体的には,授業中の発言やアンケートの結果などを含めて総合的に成績を判断した。
【観点2】教育の達成状況
講義が直接的に進学や就職にどの程度影響を与えたかは測りかねるが,所属科目群の学生の教員就職率の高さを考慮すると,授業の取り組みは成功したと考えている。
研究指導
【観点1】学部
臨床的な実践力は研究指導で教えるものではない。臨床的な実践力の基礎となる論理的思考やコミュニケーション能力を専門的な研究指導の中で指導した。
【観点2】大学院
今年度は現職派遣の大学院生が修士論文を執筆したが,現職派遣教員が本コースで求めていたのは,臨床的な実践力ではなく,理論的な見識や思考であった。研究指導の中では,高度な論理的思考力,分析力,創造性などの,現場に戻っても基礎的な力になる能力を養成した。
特色ある点及び今後の検討課題等
昨年に引き続き,真に現場で役に立つための基礎的な思考能力の養成を実施してきた。学生の修士論文やその後の現場復帰の近況を見るに,その方針はまずまず成功したと言えるだろう。
今後の課題は,これまでと同様に,思考能力の養成に力を注ぎたいと考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年3月:『他者とかかわる心の発達心理学: 子どもの社会性はどのように育つか』(共著) 金子書房
論】(1)平成23年10月:『Cultural differences in the development of cognitive shifting: East-West comparison.』(共著) Journal of Experimental Child Psychology, 111, 156-163.
発】(1)平成23年9月:『幼児における課題遂行時と観察時の前頭領域の活動:NIRSを用いた検討.』(共) 日本心理学会第75回大会
(2)平成23年9月:『幼児における2つの認知的シフティング課題での下前頭領域の活動の違い:NIRSを用いた検討』(共) 日本神経科学学会第34回大会
(3)平成24年3月:『Imaginary companionは多弁な親のもとに生み出される:3年間の縦断研究.』(単) 第23回日本発達心理学会
(4)平成23年4月:『Maternal mind-mindedness predicts childs later understanding of others mind: relations with emotion comprehension.』(共) Society for Research in Child Development
(5)平成23年4月:『Multiple Paths in the Development of Prefrontal Function During Early Childhood』(共) Society for Research in Child Development
(6)平成23年度:☆学会での招待講演「有能な赤ちゃんの先にあるもの」 中部学院大学各務原キャンパス
(7)平成23年度:☆学会での招待講演「認知的抑制の発達と脳内機構」 名古屋国際会議場
(8)平成23年度:☆学会での招待講演「Neural basis of executive function in young children」 名古屋国際会議場
他】(1)平成23年6月:『幼児の不思議な言動解明へ/研究および研究室紹介』 新潟日報
学会活動への参加状況
(1)平成23年3月31日〜平成23年4月2日:Society for Research in Child Development 2011 SRCD Biennial Meeting出席, (2)平成23年5月7日〜平成23年5月8日:日本赤ちゃん学会第11回大会出席, (3)平成23年9月15日〜平成23年9月17日:日本心理学会第75回大会出席, (4)平成23年9月15日〜平成23年9月17日: 日本神経科学学会第34回大会 出席, (5)平成24年3月9日〜平成24年3月11日:日本発達心理学会第23回大会出席
外国における研究の状況
(1)平成23年10月23日〜平成23年10月30日:アメリカ,幼児期における社会性の発達とその脳内基盤に関わる研究
◎特色・強調点等
本年度は,主に抑制機能の発達に心理学的・神経科学的研究を論文や学会などで発表した。この抑制機能は,就学時の国語や算数の成績を予測するなど,児童の学習成績に重要な影響を及ぼすことが示されている。しかしながら,抑制機能の発達経路や脳内基盤等は,未だ明らかになっていないことが多い。私は,非侵襲的方法で幼児の脳活動を計測することで,抑制機能発達の脳内基盤を明らかにした。これは,脳活動を利用した新しい療育方法や教育方法につながる可能性を秘める。また,幼児の認知発達の脳内基盤は海外の研究でもあまり検討されておらず,非常に独創的であり,今後の発展性が見込める。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)中等学校進路講演会「赤ちゃんの科学」(柏崎翔陽中等学校)
◎社会への寄与等
本年度は,様々な学会の要請を受けて,幼児の抑制機能の発達に関する講演を行った。抑制機能は,人間の心の発達において重要な役割を果たす認知機能の一つであり,この能力の理解は,子どもの発達の諸側面につながる。また,この能力の発達に問題を抱える子どもたちが多数見られることから,この能力に関する講演を実施し,研究内容を社会に発信することは,非常に重要なことである。また,中等学校等において乳幼児研究に関する講演を実施し,研究の面白さや英語の重要さなどについて中等学校生に伝えた。これは,将来の研究者や乳幼児に関わる仕事への動機づけを高めるという意味で重要だと思われる。