【臨床心理学コース】

　

 　

五十嵐　透　子（教　授）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

臨床心理学における【人】のさまざまなこころの動きに関する理論や概念を，自らの体験に基づき実感として理解すること，からだや脳を含めた生物化学的側面，心理面，そして社会面からの包括的理解と対応およびシステム論からの理解と対応を教授している。評価においても，知的理解だけでなく，自らの体験に即した理解を評価点として取り入れている。

【観点２】教育の達成状況

臨床心理学は，臨床実践に反映され，その達成は卒業および修了後の臨床活動での長期的視点で達成されていくものである。受講時は，その基礎の習得状態で判断している。他者理解のまえに，自分に対し率直かつオープンに向き合い，ありのままの状態をみつめることを個別およびグループ力動のなかで達成されている。

研究指導

【観点１】学部

学生一人ひとりが関心のある領域の選択において，論理的に現象を考え，論文レビューから自らの研究計画の立案，分析，考察までの指導を続けている。今年度は，児童生徒にもみられる“過剰適応”に関する研究を行った。

【観点２】大学院

対人関係における感受性と愛着の関係，ボディ・イメージと健康不安，および教員の認知的傾向と精神的健康に関する研究を行った。

その他の教育活動

・　金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻「臨床心理学特論」

・　東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース「心理療法特論」

・　愛知県立大学大学院看護学研究科「ストレス・マネジメント特論」

・　新潟県立看護大学大学院看護学研究科「対人関係特論」

◎特色ある点及び今後の検討課題等

人として”対等“であること，自分の権利としての自己表現を率直に行えることを体験を通して学ぶことを課題と考えている。

　

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

論】(1)平成24年３月：『怒りに対する潜在的態度と怒り表出行動への嫌悪感との関連』（共著） 上越教育大学心理教育相談研究11，pp.59-70

(2)平成23年４月：『書評：松丸未来，下山晴彦，ポール・スタラード著「子どもと若者のための認知行動療法実践セミナー」』（単著） 精神療法，37 (2)

発】(1)平成23年９月：『CBT以外を専門とするセラピストのCBTの活用』（単） 第30回秋季日本心理臨床学会

学会活動への参加状況

(1)７月 Obsessive Compulsive Disorder 出席，　(2)９月 日本心理臨床学会第30回秋季大会 参加，　(3)２月 第4回日本不安障害学会学術大会 参加

　

＜社会との連携＞

社会的活動状況

(1)４月〜３月：高田高等学校外部カウンセラー（新潟県立高田高等学校）

(2)４月〜３月：医療法人常心会川室記念病院カウンセラー（医療法人常心会川室記念病院）

(3)４月〜３月：直江津地区安全衛生協議会講演会講師「コミュニケーションと健康増進：さまざまなコミュニケーション場面のなかで」（直江津地区安全衛生協議会）

(4)４月〜３月：上越市女性講座講師「女性が働き続けられる職場づくり」（上越市女性サポートセンター）

(5)４月〜３月：清里中学校思春期懇談会講師「人生における思春期の意味」（清里中学校青少年育成委員会）

(6)４月〜３月：愛知県立大学大学院[がん化学療法看護]と[がん性疼痛看護]フォローアップセミナー講師「看護師のセルフ・ケア：自らの体験を通したケアへの活用」（愛知県立大学大学院）

(7)４月〜３月：上越市国際交流協会コンサルタント（上越市国際交流協会）

(8)４月〜３月：上越市若年者自立支援ネットワーク委員（上越市）

(9)４月〜３月：妙高ひまわりキャンプ運営委員会（独立行政法人国立青少年教育振興機構国立妙高青少年自然の家）

(10)４月〜３月：J-Center外部アドバイザー（J-Center, Citizen Diplomacy）

　

 　

内　田　一　成（教　授）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

全科目ともスライドの配布資料(２単位科目で１ページあたり４スライドで，両面約30頁)を配り,スライドショウやＶＴＲを中心に講義している。受講生の成績評価はもちろんであるが,その前提である教育の質,授業の質に注意を払うようにしている。臨床心理士試験の合格者数，質の高さが世間から問われることを認識した責任ある教育を日々心がけている。

【観点２】教育の達成状況

授業の学生自身の取り組みについては事前のシラバス確認以外はいずれも平均４.０以上で，この点，授業の方法は，４.３以上，授業内容もシラバス記載を除けば，いずれも４.５以上であった。大体達成できているが，なおいっそうの工夫を期したい。

研究指導

【観点１】学部

２名とも，それぞれ「大学生の自尊感情・他尊感情ならびに自己表現方法と友人関係との関連」，「ボランティア活動がアイデンティティ形成に及ぼす影響」の卒論を完成させ，前者の学生は本学大学院修士課程臨床心理学コースに進学し，後者の学生は地方公務員として就職している。

【観点２】大学院

大学院１年次生７名，２年次生５名を担当した。２年次生のうち３名は新潟県職・民間等の臨床心理職に着任し，もう２名は中学校に復帰し，学校心理士資格も取得している。４名は私と共著で「自己評価形成プログラムの実施が特別な教育的支援を要する児童に及ぼす影響　上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 1-12, 2012.」「中学生の抑うつと不安に対する認知行動療法プログラムの開発研究　上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 13-24, 2012.」「中学校入学に向けた抑うつ症状と不安症状に対する予防プログラムの開発研究　上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 25-36, 2012.」「児童青年の抑うつの認知過程における肯定的・否定的自動思考の機能の比較検討　上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 37-48, 2012.」を公表しており，２件は平成24年の日本心理臨床学会大会で論文を私と連名で発表予定である。またこれとは別に２件は学会誌に投稿準備中である。

その他の教育活動

・　教育に関わる臨床的な実践力の修得を促進するため，教員派遣生の大学院生とともに研究指導を行っている。

◎特色ある点及び今後の検討課題等

修士課程の臨床心理学コースにおいては「practitioner-scientist model」並びに「実践即研究」の観点から,基礎研究はもとより，日常の臨床活動を科学的研究に高められる研究指導を行っており，修了生の５名中４名の学術論文が上越教育大学心理教育相談室紀要に掲載され，２編は日本心理臨床学会で発表予定，２編は学会誌に投稿準備中である。

　

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

論】(1)平成24年３月：『自己評価形成プログラムの実施が特別な教育的支援を要する児童に及ぼす影響』（共著）　上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 1-12, 2012.

(2)平成24年３月：『中学生の抑うつと不安に対する認知行動療法プログラムの開発研究』（共著）　 上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 13-24, 2012.

(3)平成24年３月：『中学校入学に向けた抑うつ症状と不安症状に対する予防プログラムの開発研究』（共著）　上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 25-36, 2012.

(4)平成24年３月：『児童青年の抑うつの認知過程における肯定的・否定的自動思考の機能の比較検討』（共著）　上越教育大学心理教育相談室紀要,11, 37-48, 201

発】(1)平成23年９月：『抑うつの発症メカニズムが全人的健康に及ぼす影響』（共）　日本心理臨床学会

(2)平成23年９月：『高校生の抑うつ予防に関する集団認知行動療法の臨床効果』（共）　日本心理臨床学会

学会活動への参加状況

(1)平成23年度：日本福祉心理学会理事，　(2)平成23年９月２日〜平成23年９月４日：日本心理臨床学会第30回大会出席

　

＜社会との連携＞

◎社会への寄与等

平成23年度教職12年経験者(小・中・特)　全体研修（新潟県教育委員会）として，自験例に基づいて「いじめ問題の基本的認識と学校の説明責任」の講演を行い，好評を博している。パワーポイント資料は37枚である。

　

 　

加　藤　哲　文（教　授）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

基本的に授業は，資料を準備し，講義や学生への質問を通して，常に，学生と双方向の授業を進めた。また，学生自ら考えて，質問をし，意見を出し，結論を出すといった過程を重視し，それぞれの過程において，言語やレポートなどによるプレゼンテーションを行ってもらった。

成績の評価は，主に，授業終了後に提出を課すレポート形式が多かったが，その他に，授業時の質問や意見などの積極的な授業参加の程度も評価した。

【観点２】教育の達成状況

大学院では，研究セミナーで指導した学生は，現職教員は現場への復帰，ストレートの学生は，心理カウンセラーの専門性を生かした職場（児童相談所，大学付属病院）に就職した。

学部生は教職に就いた。

研究指導

【観点１】学部

本年度卒業した２名の学生の卒業研究のテーマは，「学部学生の特別支援教育に関する意識調査」と「幼稚園園児の誤信念課題の発達的な特徴」であった。これらは，教育現場での教師の臨床的な実践力を高めるために重要なテーマであり，大学院の現職教員の院生とともに行う研究セミナーにおいて，意見交換を行わせることで，より現実的な教育現場での意識を高める研究指導であった。

【観点２】大学院

本年度は４名の大学院生の研究指導を行ったが，いずれの学生の研究テーマも，学校及び保育現場での臨床実践研究であった。特に，小学校や高等学校，就学前障害児療育施設で，現場の教員や保育士とともに行った指導や支援方法を開発するための研究は，研究としてもエビデンスの高い研究成果を得たが，これらの取り組みは，各院生に臨床的な実践力を習得させるためにも効果的であった。

その他の教育活動

・　横浜国立大学人間教育学部で「行動・情緒障害児の心理」非常勤講師。富山大学で「生徒指導論�T」非常勤講師。新潟県立看護大学で「心理学」非常勤講師。新潟県立看護大学大学院で「母子関係特論」非常勤講師。

・　小学校教育実習において学生指導を行った（上越市立宝田小学校）

・　臨床心理実習において，上越市こども発達支援センター及び柏崎市立教育センターでの学生の実習指導を行った。

◎特色ある点及び今後の検討課題等

授業や研究指導において，主に学校や福祉現場を対象としたテーマを取り上げてきた。授業では，学校，福祉，及び心理臨床の現場における話題を提供し，それらの資料や話題から学生がリアルに問題に関心を示し，問題を解決するための方策を考察できる機会を提供したと考える。それらは，修士論文と卒業論文において，学生に取り組んでもらった研究テーマにも反映されており，ゼミの各学生はいずれも，学校や福祉現場で実践データをとって，それらから論文を作成した。これらの研究の多くは，学会でも発表され好評であった。

　

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

著】(1)平成23年４月：『学校支援に活かす行動コンサルテーション実践ハンドブック』（共著）　学苑社

論】(1)平成24年１月：『行動分析学による特別支援教育の体制づくり』（単著）　臨床心理学，　第12巻第１号，　pp.25-28

(2)平成23年10月：『スクールカウンセラーの職務内容の明確化がスクールカウンセラーと教員の連携促進に及ぼす効果』（共編著）　カウンセリング研究，　第44巻第３号，　pp.189-198

(3)平成24年１月：『発達障害のある高校生が参加するグループ学習での集団随伴性の適用』（共著）　行動療法研究，　第38巻第１号，　pp.71-82

(4)平成23年11月：『スクールカウンセラーと教員のコンサルテーション頻度と相互認識の関連』（共著）　学校メンタルヘルス，　第14巻第１号，　pp.37-49

(5)平成24年３月：『中学校におけるスクールカウンセラーと教員の連携促進に関する一事例』（共著）　学校メンタルヘルス，　第14巻第２号，　pp.199-210

(6)平成23年７月：『教員・臨床心理士とスクールカウンセラーとの対話：教員とＳＣの協働のありかたとは？教員有資格者の可能性とは？』（共著）　福島大学総合教育研究センター紀要，　第11号，　pp.75-84

(7)平成24年３月：『スポーツパフォーマンスにおける行動コーチング研究の現状と課題』（共著）　上越教育大学心理教育相談研究，　第11巻第１号，　pp.83-96

(8)平成24年３月：『特別支援学校教師の職務ストレッサーがバーンアウト傾向に及ぼす影響』（共著）　上越教育大学心理教育相談研究，　第11巻第１号，　pp.97-106

(9)平成24年３月：『発達障害児の機会利用型SSTが交流学級場面における般化促進に及ぼす効果』（共著）　上越教育大学心理教育相談研究，　第11巻第１号，　pp.107-115

(10)平成23年４月〜平成24年２月：『クラスで使える応用行動分析第１回〜８回』（単著）　実践障害児教育　2011年４月号〜2012年２月号

学会活動への参加状況

(1)平成23年６月２日〜平成23年６月５日：7th International Congress of Cognitive Psychology出席（ﾄﾙｺ共和国，ｲｽﾀﾝﾌﾞｰﾙ市で開催），　(2)日本カウンセリング学会第44回大会準備委員会委員長（日本カウンセリング学会）

◎特色・強調点等

本年度刊行した著書，学術論文，科学研究費補助金による研究は，学校及び教師へのコンサルテーションをテーマとした研究であり，学校に対する教師と専門職（特に，スクールカウンセラー）との協働について，児童生徒や教師の行動や心理面の変化を測度として検証を行った。これらの成果は，今後の学校に対する外部からの支援体制の構築に及ぼす心理専門職の役割を示すための様々な知見を提供したと考えられる。

　

＜社会との連携＞

社会的活動状況

(1)新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会委員長（新潟県健康福祉部障害者福祉課）

(2)新潟県発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業運営会議委員長（新潟県教育委員会）

(3)上越市就学支援委員会委員（上越市教育委員会）

(4)公開講座（応用行動分析で特別支援教育が変わる）（上越教育大学）

◎社会への寄与等

新潟県教育委員会，健康福祉部障害福祉課で委嘱を受けた委員会の委員長を務めた。いずれも，発達障害者の教育や福祉に関する委員会で，県でも特に力を入れている協議会である。これらのニーズに対して，委員長として，県の施策について検討したり，新たな提言を行ったりした。以上から，県の教育・福祉施策にたいへん寄与したと考えられる。また，日本カウンセリング学会第44回大会を本学で実施し，実行委員長として企画，運営に携わった。全国レベルの学会の大会を本学で開催することで，新潟県の教育関係者等との教育研究交流の橋わたしとなり，たいへん評価された。

　

 　

佐　藤　淳　一（准教授）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

講義形式の授業では，毎回講義の最後に，質問コメント用紙を配布・回収し，次回の授業の中で，各自の理解の補足や疑問に答えるようにし，あわせて学生の意見を参考に講義内容を調整・改善するようにした。

学部「教育相談・カウンセリング論」（分担）：心理アセスメント２回分を担当し，知能検査や人格検査を中心に，心理査定の実際や倫理的配慮などについてパワーポイント等を用いて説明するとともに，演習形式を取り入れて受講生の体験も重視した。

「臨床心理学」（分担）：心理療法の理論と実際について２回分を担当し，来談者中心療法と力動的心理療法についてパワーポイント等を用いて概説した。

大学院「臨床心理基礎実習�T」（分担）：臨床心理面接の基本的態度と技術を習得するため，クライエント中心療法を中心とする概説と，セラピスト役とクライエント役を通したロールプレイ形式による臨床心理面接（ロールプレイＡ〜Ｄ，インテーク面接）の演習を行った。また，それらの逐語録レポートの提出を求めて，個別の添削指導を詳細に行った。

「臨床心理基礎実習�U」「臨床心理実習Ａ」（分担）：心理教育相談室においてケースを担当するゼミ生（Ｍ１：１名，Ｍ２：３名）に対して臨床指導を行った。具体的には，集団スーパービジョンおよび個人スーパービジョンを通して，ゼミ生自らが，クライエント理解を深め，適切な関わりや対応をできるような指導を心がけた。他に，インテーク・カンファレンス，ケース・カンファレンスに参加し，ケース担当の院生にはクライエントの理解につながるようなコメントを行うことを心がけた。

「臨床心理実習Ｂ」（分担）：外部医療機関の実習生に対して学内および院内における臨床指導を行った。

「学校臨床心理学特論」：学校教育において心理的問題を持つ児童生徒やその保護者への理解と援助，教職員との連携などを概説するとともに，関連文献や事例論文の発表を求めた。

「臨床実践援助法」（分担）：授業全体のとりまとめを担当するとともに，被虐待児への心理臨床的援助についてパワーポイントを用いて概説した。

「臨床心理学研究法特論」（分担）：調査法２回分を担当し，質問紙法と描画法を用いた調査研究について概説した。

「臨床心理マネジメント特論」（分担）：教育，医療，福祉における心理職の実際と他職種との連携について説明した。

「実践場面分析演習�T・�U」（分担）：学部生の教育実習の事例にコメントした。

【観点２】教育の達成状況

学生による授業評価では，いずれも良好な評価を得たと思われる。ゼミの大学院の修了生は，病院の心理職や公立学校のスクールカウンセラーとして，学部の修了生は小学校教員として活躍中である。

研究指導

【観点１】学部

「臨床心理学セミナー�T・�U」学部４年生（１名）には具体的に卒業論文を作成するに当たっての研究の構想，調査の方法，結果の分析，論文の執筆について，細やかに支援ならびに指導を行った。また，筆者が研究代表者を務める本学研究プロジェクトの研究協力者も担った。

【観点２】大学院

「臨床心理研究セミナー�T・�U」Ｍ１（１名）には，自らが興味を持ち，かつ臨床心理学に関する研究となるようなテーマや方法論を見出せるよう支援ならびに指導した。Ｍ２（３名）には，研究の具体的な構想，調査の実施，結果の分析，論文の執筆について，細やかに支援ならびに指導を行った。また，筆者が研究代表者を務める本学研究プロジェクトの研究協力者も担った。

その他の教育活動

・　上越教育大学附属中学校教育相談員

・　教育実習生への指導

◎特色ある点及び今後の検討課題等

上越教育大学心理教育相談室においてケースを担当するゼミ生（Ｍ１：１名，Ｍ２：３名）に対して臨床指導をきめ細やかに行った。具体的には毎週行う個人スーパービジョンと集団スーパービジョンを通して，ゼミ生自らが来談者に対する理解を深め，適切なかかわりや対応ができるような指導を心掛けた。また，心理検査の実際，絵画・箱庭療法の演習，事例論文の購読・発表なども行った。このような取り組みを通して，ゼミ生が遊戯面接，臨床心理面接，保護者面接といった臨床実践を行いながら，心理臨床の基礎を身につけるとともに，来談者に対して有効な心理的援助を提供できることを目指した。

　

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

論】(1)平成24年２月：『不登校研究の展望（�U）―国内における1980年代の臨床心理学の事例論文から』（共）上越教育大学研究紀要，第 31巻，pp.169-179

(2)平成24年３月：『青年期における自己愛傾向と対人恐怖心性との関連』（共）上越教育大学心理教育相談研究，第 11巻，pp.71-81

発】(1)平成23年９月：『児童養護施設における被虐待児のバウムテスト２』（共）日本心理臨床学会第30回秋季大会

学会活動への参加状況

(1)平成23年９月：日本心理臨床学会第30回秋季大会出席，　(2)平成23年10月：日本箱庭療法学会第25回大会出席，　(3)平成23年11月：日本精神分析学会第57回大会出席，　(4)平成23年度：日本パーソナリティ心理学会「パーソナリティ研究」編集委員

◎特色・強調点等

・　昨年度のプロジェクト研究（若手）の成果を本大学の紀要に発表した。また，本年度のプロジェクト研究（若手）に引き続き採択された。

・　ゼミ生の修論の成果を上越教育大学心理教育相談室紀要に共著で発表した。

・　児童養護施設における共同研究の成果を日本心理臨床学会に発表した。

　

＜社会との連携＞

社会的活動状況

(1)上越教育大学心理教育相談室相談員

(2)新潟県スクールカウンセラー

(3)独立行政法人国立病院機構さいがた病院「倫理会議」「外部評価会議」委員

◎社会への寄与等

・　心理教育相談室の相談員として，ゼミ生の担当ケースの臨床指導を行うとともに，ケースの性質に応じて自ら担当している。また，スクールカウンセラーや教育相談員として，地域のカウンセリング・教育相談にも従事している。

　

 　

高　橋　靖　子（准教授）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

「心理学概論」では評価を明確にしてほしいとの学生の声にこたえ，小テストを４回導入した。「何が重要なのかが分かりやすい」とおおむね好評だった。

【観点２】教育の達成状況

まだゼミ開始１年目のため修了生を送り出していないが，本コース全体としては病院，養護施設や自治体の心理職など，専門職の進路を選ぶ学生が多い。

研究指導

【観点１】学部

前期では心理学研究論文の書き方に関する書籍を，輪読することで理解を深めた。後期は実際に関心のあるテーマに関する論文を統合的・批判的読みを行い自身の問題意識を明確にできるように指導を行った。卒業論文で学校現場でのデータを取るため，学校長へのあいさつに同行し研究結果のフィードバック方法について詳細に検討した。

【観点２】大学院

心理学に関する研究の未経験者が多かったため，前期では心理学研究論文の書き方に関する書籍を，輪読することで理解を深めた。後期は実際に関心のあるテーマに関する論文を統合的・批判的読みを行い自身の問題意識を明確にできるように指導を行った。

その他の教育活動

・　放送大学長野学習センターH23年度非常勤講師「臨床心理演習（15コマ集中講義）」

・　教育実習において指導教員としての学生指導（３年１名）

　

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

業】(1)平成24年３月：『平成23年度文部科学省委託事業　教員の資質能力追跡調査　調査報告書』（共著）　上越教育大学

発】(1)平成24年３月：『妊婦の愛着表象と子どもへの感情との関連』（共）　日本発達心理学会第23回大会

共同研究（幼，小，中，高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む）の実施状況

(1)平成23年度上越教育大学研究プロジェクト　教育実践研究（一般研究）「女性初等教員のキャリア形成」　代表者：細江容子（上越教育大学）　上越教育大学子育て支援の会メンバー

学会活動への参加状況

(1)平成24年３月９日〜平成24年３月11日：日本発達心理学会第23回大会（名古屋大学）出席・発表出席，　(2)平成23年７月23日：日本心理臨床学会地区研修会（新潟青陵大学）参加出席

　

 　

宮　下　敏　恵（准教授）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

学部の授業である「教育相談，カウンセリング論」では，学校現場において生じる児童・生徒の様々な問題を理解し，援助をおこなえる実践力を身につけるために，具体的な事例をあげ，学生に実際の事例での対応を考えさせた。大学院の授業である「臨床心理査定演習�T」では，学校現場，医療現場などで多く用いられているパーソナリティ検査を中心に，実際に心理検査用紙を用いて検査を施行，採点，結果を解釈した。実際の事例についての検査報告書をまとめさせ，添削して何度も修正することにより，臨床現場ですぐに対応できる実践力を身につけさせるようにした。また「臨床心理学特論�U」では，イメージ療法，箱庭療法，遊戯療法などについて学生に発表させ，まとめることにより，より意欲的に授業に参加することができたと考えられる。シラバスにおいて，成績については明記し，評価基準通りに評価を行った。

【観点２】教育の達成状況

不登校，いじめなど，学校での問題について講義を行い，学校現場における教育相談の必要性について述べ，教師となったときにどのようにしたらよいかなどを考えさせ，学校現場に出たときに自分は何を出来るか，何をしたいのかについて考えさせた。

また大学院においては，知識だけではなく，演習，実習を多く行うことで，臨床現場での実践力，即応力が身につくように行った。

研究指導

【観点１】学部

不登校，いじめなどの学校での問題についてゼミで討論を行い，学校現場における教育相談の必要性，教師となったときにどのようにしたらよいかなどを考えさせ，研究指導をおこなった。教師のシャイネスについての研究や大学生のアパシー傾向とサポートに関する研究について指導を行った。

【観点２】大学院

学校現場における教育相談の実践力を習得させるために，カウンセリング技術をはじめ，様々な臨床技法の実習を行った。さらに，心理教育相談室において受理した事例への関わりを通して，事例の見立て，面接の進め方，面接技術，介入方法，さまざまな病理や症状の知識について指導を行った。また，中学生における空虚感と友人関係，大学生における時間的展望と愛着，大学生における劣等感と自己意識特性，オンラインゲーム利用者の依存傾向に関する研究などについて研究指導をおこなった。

◎特色ある点及び今後の検討課題等

学校現場，臨床現場における実践力を身につけさせるように，様々な点から指導を行っている。

学校をはじめ様々な現場で活躍するために，現在本人の抱えている課題は何かを明確にし，少しずつでも成長し，変化できるように，ひとりひとりに丁寧に対応している。大学院においては，附属の心理教育相談室での指導もあることから，どのように責任をもちながら，指導を行っていくかが今後の検討課題である。

　

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

論】(1)平成24年３月：『語彙分析の方法を用いた面接プロセスの検討(４)』（共著）　上越教育大学心理教育相談研究 11巻　49-57

発】(1)平成23年９月：『語彙分析における連続プロット分析を用いた質的研究』（単）　日本心理臨床学会第30回大会

(2)平成24年３月：『バーンアウト危険域の小学校・中学校教員に関する短期縦断的研究�T』（共）　日本学校メンタルヘルス学会

(3)平成24年３月：『バーンアウト危険域の小学校・中学校教員に関する短期縦断的研究�U』（共）　日本学校メンタルヘルス学会

(4)平成23年９月：『教師のメンタルヘルスに関する健康心理学的研究の動向』（共）　日本健康心理学会第24回大会

(5)平成23年９月：『反社会的行動を示す子どもたちに学校はどう手を差し伸べられるのか』（共）　日本カウンセリング学会第44回大会

(6)平成23年９月：『インシデント・プロセス法による事例検討会が及ぼす教師のバーンアウト軽減効果の研究』（共）　日本カウンセリング学会第44回大会

学会活動への参加状況

(1)平成23年度：日本催眠医学心理学会編集委員，　(2)平成23年度：日本学校メンタルヘルス学会編集委員，　(3)平成23年度：日本心理臨床学会代議員，　(4)平成23年度：人間情報学会研究会招待発表，　(5)平成23年９月２日〜平成23年９月４日：日本心理臨床学会第30回大会参加，　(6)平成24年３月10日〜平成24年３月11日：日本学校メンタルヘルス学会第15回大会参加，　(7)平成23年９月10日〜平成23年９月11日：日本健康心理学会第24回大会参加，　(8)平成24年２月18日〜平成24年２月19日：日本臨床心理士職能研修会倫理に関する研修会出席，　(9)平成23年９月17日〜平成23年９月19日：日本カウンセリング学会第44回大会参加

◎特色・強調点等

科学研究費による教師のメンタルヘルスについての研究を進めており，介入や予防的観点からの研究を行うためにさらに科学研究費を申請し，採択が決定した。また，臨床実践についての実証的見地から事例をまとめ，分析する方法をさらに検討している。

　

＜社会との連携＞

社会的活動状況

(1)新潟県教職員12年研修いじめ問題とその説明責任（新潟県教育庁義務教育課）

(2)新潟県教職員12年研修生徒指導コース研修（新潟県教育庁義務教育課）

(3)上越市立教育センター研修会カウンセリング研修（上越市立教育センター）

(4)上越市立教育センター研修会　教師のメンタルヘルス（上越市立教育センター）

(5)新潟県新任教頭メンタルへルス研修会下越（新潟県福利課）

(6)新潟県新任教頭メンタルヘルス研修会中越・上越（新潟県福利課）

(7)上越市立大瀁小学校教職員メンタルヘルス研修会（上越市立大瀁小学校）

(8)新潟県臨床心理士会スクールカウンセラー部会運営委員（新潟県臨床心理士会）

(9)新潟県上越特別支援学校教職員メンタルヘルス研修（新潟県福利課）

(10)秋田県教職員組合県南支部研修会（秋田県教職員組合県南支部）

◎社会への寄与等

上越教育大学附属心理教育相談室において，心理的な悩みを持って来談した地域の方の相談を担当，また相談室での指導を行うことなどを通して地域への貢献を行っている。また，スクールカウンセラーとして小，中学校にて児童・生徒・保護者への援助を行っている。さらには，新潟県内において，中越・中越沖地震，東日本大震災により被害を受けた児童・生徒・保護者への心のケアを行い，社会への援助・サービスを行っている。

　

 　

井　沢　功一朗（講　師）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

近年の大学生は数学の基礎知識に乏しい者が多く見受けられる。また，課題について思考する際に，因果関係を明確にしながら，推論したり記述したりすることが苦手な者が多いと感じている。

そのため，授業においては，多様な題材を並列的に説明するのではなく，何が先行し，その結果としてどのような実験や議論が行われたのかを，「時間軸に沿って」説明するよう，心がけた。また，成績の評価についても，単なる知識の羅列や，ペダンティックな概念用語の軽率な使用について，かなり厳しく注意をうながし，「自分自身の」言葉で平易にまとめるように指導した。

【観点２】教育の達成状況

学部生対象の授業では，「自分の平素の言葉で，論理的に考え記述するスキルをある程度身につけた生徒が多く現れた。

また，大学院授業においても同様の結果を得ることができた。

研究指導

【観点１】学部

該当なし

【観点２】大学院

事情により健康を害し当方が指導を引き継ぐこととなった大学院生の修士論文作成指導。

内容的，分析手法的に修士過程合格レベルの論文を作成するところまでこぎつけた。当該学生の健康面に対する配慮や，遠隔指導など，多大の時間と労力を費やしたが，それに見合った論文を提出してもらうことができた。

その他の教育活動

上記学生指導に専念のため，兼業をするなどの余裕などなかった。

◎特色ある点及び今後の検討課題等

学生の個別的な能力差やその他の個人差があろうと，ひとつひとつ，平易な言葉で原因と結果を明確にしながら説明をし，時には自分で見本をみせ，何度でも学生に練習の余裕を与えることで，かなり高度な数学的分析方法や理論を，本学の学生は理解できるということがわかった。

今後はよりいっそう，雑言を省いて，「むずかしくみえること」を丁寧に紐解いて検討していく態度を徹底したい。

　

 　

山　本　隆一郎（助　教）

　

＜教育活動＞

授　　業

【観点１】教育方法及び成績評価面での取組

前年度同様，具体（具体的な事象や実践）と抽象（理論や法則など）を相互往来し，“わかりやすく・面白い”かつ教育の内容を学生が自ら応用をしたり問題解決場面で活用できることを意識した講義や演習を心がけた。また，毎回の授業にレジュメを準備し，授業の最後には感想・疑問点などを記入させ，次回以降の授業に反映させるよう心掛けた。自身の担当分の成績評価に関しては，授業開始時に明確な評価基準を伝え，学生が評価に疑問のないように心がけた。

【観点２】教育の達成状況

授業評価の各項目において概ね高評価が得られた。また，当初から目標としていた「卒後に活用できる実践知識やスキル（具体）だけでなく，様々な未解決の問題を考える力（抽象）の育成」ができたと考えている。また，今年度は特に教員養成という視点を授業内容に取り込み，臨床心理学的視座が教員にとってどのように寄与していくかを考えさせる授業を意識したことにより，授業内容の実践的応用に寄与できたと考えている。

研究指導

【観点１】学部

セミナーは担当していないが，コース２年生の科目である心理学講読演習の講義においては，学術論文の探し方，読み方，批判的思考の重要性などを学生の発表と討論を通じて育成するよう務めた。また，学位論文の副査として２名の卒論生の審査を行なった。 実践セミナーなどにおいては，臨床心理学的視座がどのように教職実践に寄与できるかということをに関するディスカッションやレポート課題を実施した。

【観点２】大学院

セミナーは担当していないが，学生の研究計画や統計的解析手法，研究倫理に関して積極的に助言を行なった。また，発表会などでもレジュメにコメントを残し，学生全員にフィードバックを行なった。

◎特色ある点及び今後の検討課題等

昨年度同様，セミナーを担当していない立場を生かし，広く学生の質問や相談などの窓口としてコースの教育の活性化を測れるよう努めてきた。また，昨年度の課題としてあげた自身の研究，心理臨床の教育活動への還元に関しては，授業などでの研究紹介，実践紹介などによって活動できている。次年度以降の検討課題としては，これまでの教育活動の洗練化（教材研究を深め，講義内容の質の更なる向上など）が挙げられる。

　

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

論】(1)平成23年４月：『入眠困難と入眠時の対処行動の関連』（共著）　行動医学研究，第17巻第1号，8頁‐15頁

(2)平成23年４月：『New onset and natural remission of excessive daytime sleepiness and its correlates among high school students.』（共著）　Sleep and Biological Rythms，Vol.9，No.2，117-126

(3)平成23年８月：『The association between use of mobile phones after lights out and sleep disturbances among Japanese adolescents: a nationwide cross-sectional survey.』（共著）　Sleep，Vol.34，No.8，1013-1020

発】(1)平成23年９月：『学校保健における睡眠健康教育』（単）　日本健康心理学会第24回大会

(2)平成23年12月：『睡眠問題の訴えと身体感覚増幅傾向との関連．』（共）　第27回不眠研究会

(3)平成23年６月：『Relationships between distorted estimation of sleep onset latency and pre-sleep excessive cognitive activity.』（共）　7th international congress of Cognitive Psychotherapy

他】(1)平成23年４月：『上越教育大学 大学院学校教育研究科 臨床・健康教育学系 臨床心理学コース 山本 隆一郎　のホームページ／経歴・研究業績・研究課題に関する情報情報公開』　http://www.juen.ac.jp/lab/ryuitiro/

学会活動への参加状況

(1)平成23年度：日本カウンセリング学会第44回大会大会準備委員，　(2)平成23年６月２日〜平成23年６月５日：7th International Congress of Cognitive Psychotherapy 参加・ポスター発表出席，　(3)平成23年９月11日〜平成23年９月12日：日本健康心理学会第24回大会 参加・会員企画シンポジウムでの話題提供出席，　(4)平成23年９月17日〜平成23年９月19日：カウンセリング学会第44回大会　大会準備委員として参加・事例研究発表司会出席，　(5)平成23年10月16日〜平成23年10月20日：World Sleep 2011（世界睡眠学会）参加出席，　(6)平成23年12月３日：第27回不眠研究会 参加・口頭発表出席

◎特色・強調点等

平成23年度は，研究成果の発表・依頼原稿・翻訳の執筆を中心に行った。その成果は平成24年度以降に印刷予定である。また，採択となった科学研究費補助金若手研究（Ｂ）の研究活動で調査研究を実施，とりまとめ国際会議で発表予定である。また，個人研究以外にも学外の研究グループの研究活動（女子学生の食行動異常予防に関する基礎的研究）に参与し，連携研究者として科学研究費補助金基盤研究（Ｃ）に応募し，平成24年度より３ヶ年の研究助成が採択された。

　

＜社会との連携＞

社会的活動状況

(1)７月：社団法人産業カウンセラー協会上信越支部シニアコース講座「学習・行動理論」（社団法人産業カウンセラー協会上信越支部）

(2)８月：国立病院機構北陸病院院内研修会「行動療法―学習理論による精神障害の理解と援助―」講師（国立病院機構北陸病院）

◎社会への寄与等

・　臨床心理士として上越教育大学附属心理教育相談室を中心に，地域における心理臨床業務を積極的に行なった。また，自身の研究・心理臨床の専門領域に関する講演等を通じ，地域の精神保健活動に関する教育に寄与した。