【幼児教育コース】
 

 
鈴 木 情 一(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
教材内容の精選を行い,常に新たなコンテンツを提供できるよう工夫を継続した。
人数の多い教室での講義等では学生により接近し,「語りかける」こと,学生の非言語的な反応の感受に努め,応答に応じて説明や解説の方向や内容を随時工夫した。
【観点2】教育の達成状況
すべての講義内容(保育園,幼稚園,等に関連するもの)に採用試験に有効な内容を取り込み,その都度,必要に応じてコメントを加えるなり,より細かい説明を付加した。
研究指導
【観点1】学部
卒業論文の作成に係る必要事項を網羅した(A4で20〜30ページの)レジュメを作成し,ゼミの進行に合わせ,配布しながら指導を進めた。研究法や文献研究の手法等はもちろん,2年間の日程作成〜卒業論文執筆の留意点〜発表会での注意点にいたる内容を網羅している。
なお,すでに数年前に簡略化したG.T.Aの手法を工夫し,授業等で指導している。
【観点2】大学院
「子ども理解の実践演習」では専用のレジュメを作成した。その中には3日目に実施する幼稚園での観察実践に有効な具体的な事例(教師自らが観察記録してきた事例など)を呈示し,専門的な知識のみならず,観察内容及び観察スキルへと繋がる指導を心掛けた。
修士論文の指導では,2(3)年間の目標を8つの段階に分け,ステップ方式で修士論文作成ができるよう,8ページにわたるレジュメを作成し,ゼミの院生に配布した。
その他の教育活動
・ 信州大学教育学部にて「言語教育論」の非常勤講師,9月17日〜19日
・ 保育実習T,U,V,W,幼稚園教育実習TB,幼稚園専修教育実習,小学校実習の引率や指導を行った。なお,保育実習と幼稚園専修教育実習では事前指導(・事後指導)も行っている。
特色ある点及び今後の検討課題等
個別相談と教材内容の精選を,継続して,進めること。
 

 
丸 山 良 平(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部: 幼児教育の理論理解と実践能力の育成に努力した。幼児教育における問題を考察し,解決を図れるように具体的な教育方法を考えるように工夫した。幼児公教育施設における実践の映像資料を提供し,乳幼児の生活の実態と保育者の指導法の具体的な理解を図った。受講生の各授業に学習目標と課題,試験の評価基準を明示することで達成目標を明らかにして評価した。
大学院: 免許プログラム学生が多いので,教育実践の場で必要な理論と情報を提供するのと平行して,幼児教育の研究方法に関する最新の知見を提供し受講生が考察するように工夫した。最初にシラバスで学習目標と評価基準を示し,達成目標を明らかにして評価した。
【観点2】教育の達成状況
学部: 積極的に幼児を理解し,指導方法を学ぼうとする姿勢を習得した。遊びの指導方法や実践方法を具体的に考えられるようになった。ゼミ生のほとんどが公立保育士採用試験に合格した状況から,幼児教育の専門的知識と技能,実践力を習得し,指導者となる意欲も高まったと判断する。
大学院: 幼児教育に対する基本的な考え方,指導の特徴を深く理解し,実践と結びつけて考えられるようになった。修了後も幼児教育の研究を進めたいとの意欲を持ち,幼稚園に就職したことから,実践者,研究者のスキルと意欲が高まったと判断できる。
研究指導
【観点1】学部
セミナーでは,附属幼稚園の協力を得て,フィールドワークを行った。それを通して研究の実施,まとめまでを行い,研究に直結した授業展開を行うことができた。
3年生のときから,卒業論文指導に取り組んできた。観察の実施,資料収集,事例作成,分析とそれぞれの過程をきめ細かく指導した。
【観点2】大学院
場面分析演習U(幼児教育)とセミナーにおいて,附属幼稚園の協力を得て,フィールドワークを行った。それを通して研究の実施,まとめまでを行い,研究に直結した授業展開を行うことができた。
1年生のときから,修士論文指導にとりくんでいる。学生の研究内容に合わせて,文献研究,研究方法などをきめ細かく指導した。
その他の教育活動
・教育実習における学生指導
  学部2年生の幼稚園実習,学部4年生の幼稚園専修実習園,学部2年生の保育実習T及びU,学部4年生の保育実習Vにおける実習先である幼稚園,保育所,児童福祉施設に伺って,実習指導教員と面談を行った後,学生に対して指導を行った。
・附属学校園における指導・助言
  文部科学省が研究開発学校として指定している附属幼稚園の実践と研究遂行の全般的な運営指導をおこなった。
特色ある点及び今後の検討課題等
今日,幼児期からの自然環境とのかかわり,自然体験活動の充実が強調されているが,その実践の方向性を受講生と共に考察して,具体的に指導計画を立案した。
大講義室で行う受講生数の多い授業における受講生の積極性と学ぶ意欲をどのように高めていくために授業内容を検討し,実施方法の工夫をしていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
◎特色・強調点等
附属幼稚園の研究内容の中核が筆者の専門であるため,幼児の発達調査を実施し資料収集して分析を行った。関連して実践と研究遂行について指導した。成果発表までには至らなかったが,乳幼児の遊びと仲間関係に関する研究をさらに発展させ,乳幼児の遊びの指導法の実践研究として推進できた。幼稚園と保育所における教育・保育実践を観察によって捉えて分析し,実践的な研究成果をあげた。それにより筆者と観察園の教員,保育者との協力,信頼関係の構築が促進され,筆者の所属する本学の評価も高めるのにも貢献している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県上越市少子化社会を考える市民懇談会委員長(上越市市民生活部)
(2)新潟県糸魚川市立田沢幼稚園研修会指導講師
(3)新潟県糸魚川市立青海幼稚園研修会指導講師
(4)社会福祉法人みつばち福祉会保育アドバイザー及び苦情解決第三者委員(社会福祉法人みつばち福祉会)
(5)教員免許状更新講習講師(上越教育大学)
◎社会への寄与等
上越市市民生活部が組織した市民懇談会の委員長を務め,市民への質問紙の作成,実施,分析と集計を統括した。幼稚園2園の研修会において講師をつとめ指導と講演を行い,参加教員から好評を得た。
 

 
杉 浦 英 樹(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部・大学院のいずれも,履修人数に応じた方法上の工夫を意識的に行いながら講義・演習を行った。一部授業内容を改訂するとともに,全授業についてレジュメを作成し,幼児教育・幼小連携に関する基本的知識の確実な習得と履修生の興味・関心を高める教材開発に努めた。
【観点2】教育の達成状況
概ね達成されたが,シラバス掲載事項についての周知が課題である。
研究指導
【観点1】学部
通年7名を指導。卒業論文指導(4名)についてはいずれも幼保小の実地に関わる内容になった。
【観点2】大学院
通年5名(修士課程),前期1名(同)を指導。幼児教育に関する基本的知識や意欲に欠く小学校教諭志望の学生が含まれ,対応が困難であった。
その他の教育活動
・幼稚園教育実習(観察・参加),初等教育実習,保育実習・・・において学生指導を行った。
・附属幼稚園研究協力者,運営指導委員。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年2月:『明石女子師範学校附属校園における幼小連携─モンテッソーリ法への対応と幼稚園カリキュラム─』(単著)『上越教育大学研究紀要』第31巻,pp.97-110
発】(1)平成23年12月:『明石女子師範学校附属校園における幼小連携─モンテッソーリ法への対応と幼稚園カリキュラム─』(単)幼児教育史学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)文部科学省指定研究「幼小の円滑な接続を促す幼児教育の推進」(平成22〜24年度) 代表者:阿部靖子(上越教育大学教授)
学会活動への参加状況
(1)平成23年7月16日〜平成23年7月17日:日本カリキュラム学会第22回大会出席, (2)平成23年12月3日:幼児教育史学会第7回大会出席
◎特色・強調点等
わが国で最初に幼小連携カリキュラムの開発が試みられたとみられる明石女子師範学校附属校園の研究を始めて4年になる。神戸大学附属幼稚園・附属小学校及川記念館の所蔵史料,同校園・及川関連文献のうち1917(大正6)年度までのものについて調査を終え成果を報告した。所蔵史料は現物閲覧のみで複写にも限界があり,かつ校園への迷惑がはばかられるため夏季のみ訪問し古典的手法で進めている。今後は1918(大正7)〜1936(昭和11)年度までの関連史料をもとに,合衆国の幼年期カリキュラムの影響のもとでプロジェクト法がどのように導入されたかを保姆の視点から可能な限り明らかにし,まとめていきたいと考えている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市保育園のあり方検討委員会委員長(上越市主催)
(2)糸魚川市立西海保育園研修会講師(糸魚川市主催)
 

 
香曽我部  琢(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学生のグループ毎のカンファレンスを中心にして,学生が主体的に学習活動に取り組めるように工夫を行った。成績評価については,小レポートについてはその時々に5段階で評価したものを示した。
【観点2】教育の達成状況
ほとんどの授業ではシラバスに記載した目標を達成できた。もっと,それぞれの学生のレディネスに応じた教材を用意したい。
研究指導
【観点1】学部
研究指導については,学生に対して実際の研究方法について,実際に研究技法のモデルを示すなど細やかな指導を心がけた。とくに,事例の記述方法については,子どもの言動を客観的に記述するだけでなく,その言動を自らがどのように捉えたのか,現象学的な視点からの記述ができるように事前の指導を細やかに行った。
【観点2】大学院
学会の口頭発表において,他大学の研究者からの助言を得て,さらに多角的な視点で研究が進められるようなきめこまやかな指導を行った。そのかいもあり,昨年同様2年連続で学会誌の査読をパスし,今年度の学会誌に記載される予定である。
その他の教育活動
・ 附属幼稚園における研究運営委員会への参加を行った。
・ 保育所実習,幼稚園実習において学生指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
自らの研究活動で得た成果をもとに,シラバス内容を再編成していくことで,より先進的な内容を学生に教育する体制を構築していきたい。また,学生が単独で行う場面と,協働で取り組む場面のバランスをとりながら,これから教員に求められる資質の育成を目指していきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年7月:『幼児理解から出発する保育実践の意義と課題―幼児理解・保育計画(デザイン)・実践・省察の循環モデルの提案―』(共著) 『子ども社会研究』17号,83-94頁
(2)平成24年2月:『幼児の手が生み出す遊びの世界:5歳児のごっこ遊びにおける手の動きの事例検討より』(単著) 上越教育大学研究紀要31巻,145-153頁
(3)平成24年3月:『一才児のいざこざの発生プロセスを理解する保育者の専門性』(共著) 東北文教大学・東北文教大学短期大学部研究紀要2号,pp.125-138
業】(1)平成24年3月:『保護者支援における保育者感情労働ストラテジーの解明』(共著) 財団法人こども未来財団補助金、研究報告
(2)平成24年3月:『震災・津波で被災した学校子ども達への支援研究プロジェクト−個別アプローチとコミュニティアプローチの統合モデルの構築に向けて』(共著) 平成23年度文部科学省「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」の実証的共同研究報告書
発】(1)平成23年5月:『幼児理解から出発する保育実践の意義と課題−絵本と地域資源を活用した事例から』(共) 日本保育学会第64回大会
(2)平成23年6月:『サウンド・エスノグラフィーによる子ども理解―ごっこ遊びに見られる音声への気づきがトランスクリプトの記述に与える影響―』(単) 日本音楽表現学会
(3)平成23年7月:『保育者効力感と保育者の成長プロセス』(単) 日本子ども社会学会
(4)平成23年11月:『ピアノ演奏において脱力を意識する要因についての研究』(共) 日本音楽教育学会
(5)平成23年12月:『保育者は「揺らぎ」をどう乗り越えるのか―TLMG(三層モデル)による保育者アイデンティティ獲得過程の分析より―』(単) 日本乳幼児学会
(6)平成23年7月:『Studies of cases of SHOKUIKU conforming to PDCA-cycle starting from understanding children in nursery school.』(共) PECERA
(7)平成23年5月:『The world of play enacted by the hands of infants- Case studies of hand’s movements of 5-year-old children engaging in make-believe play -』(単) PECERA
(8)平成23年9月:『Teacher Identity-forming process in Japanese Public Nursery School』(単) EECERA
学会活動への参加状況
(1)日本オルフ音楽教育研究会の運営委員
◎特色・強調点等
平成23年度は,ピアノの奏法に関する研究と保育者の専門性,幼児の身体的な表現活動の3つの視点で研究を実施した。保育者の専門性については,一般システム理論に基づいた複線径路・等至性モデルとライフラインインタビューを用いた分析を行っており,独創性が高い。保育者からのインタビュー結果については,保育者に対して報告を行い次の実践に活用していただいている。