【特別支援教育コース】
 

 
我 妻 敏 博(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
少人数の授業が多いことから,学生のニーズに合わせた授業内容になるよう考慮した。さらに,聴覚障害学生が受講している授業では,紙資料やパワーポイントなど,視覚的な資料を豊富に用意し,「見てわかる授業」になるよう心がけた。成績評価では出席を重視しつつも期末試験を実施し,講義内容の定着をはかった。科目によっては学期中に中間試験も実施した。
【観点2】教育の達成状況
少人数の授業が多いため,教育の達成度が高まった。また,聴覚障害学生に配慮して用意した豊富な紙資料は健聴学生にとっても教育の達成度を高める要因となった。期末試験ではほとんどの学生が80%以上の成績を示したことから,達成状況は良好であると思われた。
今年度,私のゼミから3人の院生が教員採用試験を受けたが,3人とも正式に教員に採用された。
研究指導
【観点1】学部
特別支援教育コースは学部を持たないため,学部学生の研究指導はしていない。
【観点2】大学院
ゼミ形式によるグループ指導と個別指導を通して研究指導を行った。特に修士論文作成に関しては,研究テーマの設定,研究目的や研究方法,データの収集方法や分析方法など,頻繁に個別指導を行い,きめ細かな指導を行った。さらに,ゼミ生全員が参加する合宿を3回行い,集中して研究指導を行った。また,演習等の時間を活用して修論発表会原稿の吟味や発表を練習し,模擬質疑応答を徹底し,次年度修士論文を作成する学生にとっても参考になるように工夫した。
高度な臨床的実践力養成に関しては,週1回2時間のケース会議を開き,聴覚障害臨床実習での指導場面のビデオを見ながら指導記録をもとに協議し,具体的な内容で指導実践力を養成した。
その他の教育活動
・ 明治学院大学,信州大学において非常勤講師として集中講義を実施した。
特色ある点及び今後の検討課題等
特別支援教育では障害種別によって指導方法が全くことなるため,障害種別ごとの専門性が求められる。私が担当する聴覚障害児教育も同様であり,通常の講義・実習だけで専門性を育成するのは不十分であるため,ゼミの時間を週当たり6時間以上設けて講義・実習・演習を行い,聴覚障害教育を学んでいるゼミ学生に専門性を身につけさせるようにした。さらに,関連する学会や研究会に学生を連れて参加し,広く学ぶ機会を提供した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年10月:『改訂版 聴覚障害児の言語指導〜実践のための基礎知識〜』(単著) 田研出版
学会活動への参加状況
(1)平成23年7月30日〜平成23年7月31日:第46回ろう教育科学会出席, (2)平成23年10月12日〜平成23年10月14日:第45回全日本聾教育研究大会出席, (3)平成23年12月17日:第15回日本聴覚障害教育実践学会出席
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
上越地域には難聴幼児に対する教育相談や指導を実施する施設・機関が少ないため,本学の地域貢献事業として「上越地域難聴幼児支援事業」を行い,私はこの事業の代表者として活動した。具体的には,上越市・妙高市・糸魚川市の教育委員会及び子ども健康福祉課,長岡聾学校幼稚部,耳鼻科医らを協力者として月1回の「子どもの聞こえ相談」及び年2回の難聴幼児サポートシステム会議の開催を実施した。
 

 
大 庭 重 治(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
シラバスに沿って実施。
【観点2】教育の達成状況
概ね達成。
研究指導
【観点2】大学院
特別支援教育実践研究センター及び市内小学校において継続的に研究指導
その他の教育活動
・ 信州大学教育学部非常勤講師
・ 特別支援学校における教育実習の指導
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『小集団を活用した特別な教育的ニーズのある子どもの学習支援』(共著) 特別支援教育実践研究センター紀要,18巻,29-34
(2)平成24年3月:『知的障害者における反応時間の変動性について』(共著) 特別支援教育実践研究センター紀要,18巻,23-27
(3)平成24年3月:『上越市,妙高市,糸魚川市の小学校に在籍する健康に特別な支援を必要とする子どもたちを対象とした発達支援教室の開催』(共著) 特別支援教育実践研究センター紀要,18巻,47-48
学会活動への参加状況
(1)平成23年8月4日〜平成23年8月7日:American Psychological Association(アメリカ心理学会) 出席, (2)平成23年9月15日〜平成23年9月17日:日本心理学会出席, (3)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県教育研究集会助言者
(2)京都教育大学公開講座講師
(3)上越市特別支援教育リーダー研修会講師
(4)上越特別支援教育研究会講師
(5)長岡技術科学大学FD研修会講師
(6)特別支援教育実践研究センターチャリティー研修会講師
(7)上越特別支援教育研究会顧問
(8)新潟県特別支援学校整備会議委員
(9)日本教育大学協会全国特別支援教育研究部門副代表(理事)
 

 
河 合   康(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
特殊教育から特別支援教育への転換に伴う最新の情報を提供するように試みた。特に新しい特別支援学校学習指導要領をめぐる最新情報を提供するようにした。
【観点2】教育の達成状況
3名の大学院生を修了させた。いずれも教育現場に密着した実践的能力を身につけることができた。
研究指導
【観点1】学部
特別支援教育概論Bでは,特殊教育から特別支援教育への転換に伴う背景を的確に把握できるように工夫した。
【観点2】大学院
「実践場面分析演習T,UA(特別支援教育)」では、近隣の特別支援学校の協力を得て,実際に,子どもの実態把握,授業の立案から実施までを行い,現場に直結した授業展開を行うように配慮した。
その他の教育活動
新井北小学校,新潟県立西特別支援学校において教育実習生の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
特殊教育から特別支援教育への制度的転換を学生が認識できるような授業の工夫を行うと共に,教育現場での観察をできるだけ多く設けるようにした。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年10月:『特別支援教育』(共著) 福村出版
論】(1)平成24年2月:『日本との比較からみたインドネシアの特別支援学校学習指導要領に関する一考察』(単著) 上越教育大学研究紀要 第31巻 155-161頁
(2)平成23年5月:『特別支援教育』(単著) 総合教育技術.5月号増刊 288-305頁
発】(1)平成23年9月:『特別支援教育における学修プログラムの現状と課題』(単) 日本特殊教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会第49回大会出席, (2)平成23年9月3日〜平成23年9月4日:日英教育学会2011年度大会出席
◎特色・強調点等
特殊教育から特別支援教育への転換がなされていく中で,その方向性を諸外国との比較教育学的観点から検討した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市障害程度区分等審査委員会委員(上越市役所福祉課)
(2)教員免許状更新講習講師(上越教育大学)
(3)独立行政法人特別支援教育総合研究所研究協力者(独立行政法人特別支援教育総合研究所)
(4)新潟県教育職員免許法認定講習講師(新潟県教育委員会)
(5)文部科学省専門性向上事業講習会講師(文部科学省)
(6)上越市民生委員推薦委員会委員(上越市役所福祉課)
 

 
齋 藤 一 雄(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業の初めに,詳細なシラバスと評価方法,参考図書を示し,毎回,授業の内容と予定を示したもの,内容に関わる資料とパワーポイントの印刷物を配布している。特に,聴覚障害のある学生がいる場合は,事前に配布している。
授業では,グループ討議やミニアンケートを実施し,まとめ,次の時間にその結果を資料等で示し,感想・補足等を加えている。パワーポイントには,文字だけではなく,絵や写真を入れ,注目を促すようにしている。
成績評価では,出席とグループ討議,ミニアンケートの内容を考慮し,授業で学んだことをテーマにレポートや自作教材教具,指導案等を提出してもらって評価している。
【観点2】教育の達成状況
院生の中には,大学院になって初めて特別支援教育,障害児教育を学ぶケースもあり,逆に10年以上の経験を積んだ現職教員等もいる。しかし,前期の授業が終わる頃には,基礎的な見方や考え方を身につけ,後期になって場面分析演習などの実践場面に即した授業で,自分の意見を発表したり,障害児の支援を行ったりできるようになっている。さらには,盲学校の教員になった院生もおり,進路の結果からも,これまで行ってきた院生指導の成果をみとめることができ,目標を達成していると考える。
研究指導
【観点2】大学院
修士課程2年の院生が2名,M3の院生が1名,免P2年生が1名,免P1年生が2名いた。1年生は論文の書き方,文献講読,研究テーマに沿った文献検索を行った。2年生以上については,研究テーマに沿った調査研究,特別支援学校小学部の授業に参加した実践研究を行った。特に,特別支援学校小学部の音楽の授業に参加しながら,子どもの実態把握,具体的な目標設定,評価方法について実践的に研究を行った院生は,修士論文の作成とともに,特別支援学校の教員や児童とかかわるなかで,高度な臨床的実践力を身につけた。
その他の教育活動
・ 特別支援学校教員免許状認定講習
・ 上越市立中郷小学校における教育実習の指導
・ 「ソフトテニス部」顧問,テニスコートの除草・砂まき・コートローラー引き,試合への参加
特色ある点及び今後の検討課題等
知的障害養護学校での25年間の教員や管理職の経験を生かし,臨床的・実践的な指導を行ってきた。知的障害教育教育課程の独自性や日課表等に表れる特徴的な学習形態,そして,具体的な教材教具や指導方法について,私自身で示し,学生と一緒に活動することによって,分かりやすくした。
その一つとして,特別支援教育実践研究センターのプレールームでリズム運動を中心とした実技指導を行っている。また,大学内のバリアフリーの現状調査を行い,障害児者がどのような点で不便を感じるか,自分たちはどうかかわったらよいかなど,実地に指導を行っている。
また,通常の学校における障害理解教育について,基礎的な障害児理解の上に,通常の学級の児童生徒が障害のある子どもたちをどのように理解し,かかわり合い,ともに共生社会をどのように作っていったらよいかを主体的に考えることができるような指導案の作成を行っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『埼玉県における養護学校義務制前後の教育課程編成』(単著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,第18巻,1-8頁
業】(1)平成24年3月:『特別支援学校の音楽の授業をどのように展開するか―中学部の場合―』(単著) 学校音楽教育研究,第16巻,101-108頁
(2)平成24年3月:『楽器「ツリーチャイム」用卓上スタンド』(単著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター,第18巻,51-52
(3)平成23年10月:『子どもたちが楽しく取り組める音楽における教材・教具の工夫ー自作曲の紹介と工夫のポイントー』(単著) 特別支援教育研究,650,45-47
発】(1)平成23年9月:『知的障害養護学校教育課程の変遷(1)―埼玉大学教育学部附属養護学校―』(単) 日本特殊教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年8月20日〜平成23年8月21日:日本学校音楽教育実践学会全国大会出席, (2)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会第49回大会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成23年度新任特別支援学級担任教員研修会講師(新潟県教育センター)
(2)平成23年度埼玉県特別支援教育研究協議会分科会講師(埼玉県特別支援教育研究会)
 

 
土 谷 良 巳(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
講義においてはその内容を講述するのみでなく,裏付けとなる実践的,臨床的事実をビデオ映像等で紹介することによって,実践経験,臨床経験の乏しい受講生の理解を深めるように配慮した。また,臨床実習においては,特別支援教育実践研究センターにおける臨床実習のみならず地域の学校を訪問しての臨床実習を実施し,受講生の実践的,臨床的経験を拡げるようにした。毎回の実習に関してビデオ記録をもとに詳細なカンファレンスを実施し,受講生の反省的実践力の形成に努めた。成績評価においては講義,臨床実習ともに知識と技能の評価に加えて反省的実践力の観点を重視した。
【観点2】教育の達成状況
シラバスに掲載した授業目標はほぼ達成され,受講生全体に高い成績評価を与えることができた。また受講生による授業評価において高い評価を得ている。
研究指導
【観点1】学部
該当せず
【観点2】大学院
教職を目指す院生の研究指導であるので,修士論文研究の主題として教育の場における実践的,臨床的課題を対象とし,資料収集にあたってもフィールドワーク,事例研究等の実践的,臨床的手法を用いるように指導した。また,フィールドや事例と実践的,臨床的に係わることと実証的にアプローチすることの両義性,及び理論と実践・臨床の往還的関係のなかで考察を深めることを通して,教育の場において実践研究,臨床研究に取り組む資質を高めるように指導した。
その他の教育活動
・ 横浜国立大学教育人間科学部臨時教員養成課程における集中講義(重度重複障害児教育論)
・ 福井大学教育地域科学部における集中講義(視覚障害心理・生理・病理)
・ 教育実習における学生指導:特別支援学校教員免許に関する教育実習において,新潟県立新潟盲養護学校及び上越特別支援学校における教育実習に関して指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
講義,演習,臨床実習等において,授業者である筆者の臨床実践を見学させる,あるいは自験事例のビデオ映像記録を視聴させることで,具体的,実際的な資料と実践家,臨床家としてのモデルを提示することで,受講者の教育実践力の向上を図っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成23年9月:『自主シンポジウム55先天性盲ろう児との共創コミュニケーション』(共) 日本特殊教育学会
(2)平成23年9月:『脳萎縮を伴うSMAT型児の通常学級での授業における教授学習活動に関する研究』(共) 日本特殊教育学会
(3)平成23年9月:『重度知的障害のある子どもとの音楽活動における表出行動の促進に関する事例的研究』(共) 日本特殊教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会第49回大会出席
◎特色・強調点等
視覚聴覚二重障害(盲ろう二重障害)の子どもはきわめて少数であり,その教育研究に実践的に取り組む研究者も世界的に見てもきわめて限られている。筆者は国内の他大学の研究者5,6名と連携し実践的,臨床的研究を積み重ねるとともに,これまで10年以上にわたって学会における自主シンポジウム,教育実践家を対象にしたワークショップ,研修セミナー,学校コンサルテーションを実施して研究成果の共有と実践の場への支援に取り組んできた。さらに,数度にわたり科学研究費の補助を受けて,ヨーロッパを中心に先端的な実践研究に取り組んでいる研究者,専門家を訪問,招聘し,またセミナーに参加することで交流を重ねており,グローバルな観点から研究を進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)川崎市総合教育センター専門員(川崎市総合教育センター)
(2)平成23年度教員免許状更新講習(上越教育大学)
(3)富山県教育職員免許法認定講習(富山県教育委員会)
(4)新潟県立教育センター重度・重複障害教育講座(新潟県立教育センター)
(5)新潟県立はまぐみ特別支援学校重度重複障害研修会(新潟県立はまぐみ特別支援学校)
(6)新潟県立新潟盲学校視覚障害研修会(新潟県立新潟盲学校)
(7)長野県稲荷山養護学校重度重複学級授業研究会(計2回)(長野県稲荷山養護学校)
(8)千葉県立四街道特別支援学校重度重複学級研修会(計2回)(千葉県立四街道特別支援学校)
(9)神奈川県立小田原養護学校授業研究会(神奈川県立小田原養護学校)
(10)長野県寿台養護学校事例研究会(長野県寿台養護学校)
(11)富山県立富山視覚総合支援学校事例検討会(富山県立富山視覚総合支援学校)
(12)群馬県肢体不自由教育研究会(群馬県肢体不自由教育研究会)
(13)第45回全日本特別支援教育研究連盟関東甲信越地区教育研究協議会神奈川大会自立活動分科会(神奈川県特別支援教育研究連盟)
(14)文部科学省特別支援教育総合推進事業第二年次研究発表会(長野県稲荷山養護学校)
(15)川崎市総合教育センター特別支援学級等新担任者2年次研修(川崎市総合教育センター)
(16)川崎市総合教育センター指導主事研修(川崎市総合教育センター)
(17)青森県立第一高等養護学校研修会(青森県立第一高等養護学校)
(18)長野県障害児教育実践セミナー(長野県障害児教育実践セミナー)
(19)第1回長野重複障害教育実践セミナー夏の学習会(長野重複障害教育実践セミナー)
(20)長野県飯山養護学校研修会(長野県飯山養護学校)
(21)社会福祉法人光道園生活事例支援報告会(社会福祉法人光道園)
(22)新潟県立上越特別支援学校授業研究会重度重複障害部会(新潟県立上越特別支援学校)
◎社会への寄与等
重度ないしは重複した障害のある子どもの授業研究の観点から,特別支援学校,特別支援学級の授業研究会,校内研修会における指導・助言を積極的に行った。またいくつかの学校を対象に継続的なコンサルテーション活動に取り組み,教職員の教育実践力の向上に貢献した。さらに,教育委員会及び上越教育大学の認定講習,都道府県・政令指定都市教育センターにおける研修会等での講義,全国的な教員の研究会での指導・助言を行い,大学での教育臨床,実践研究の成果と知見を教育現場に還元し,教職員の専門性の向上に貢献できた。
 

 
笠 原 芳 隆(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
@ 前年度に引き続き,講義形式の授業においても教育現場での実践状況を踏まえ,障害のある児童生徒の観察による実態把握をはじめとする自立活動の個別の指導計画作成や学習指導案の作成のプロセス等について理解を深めるため,できるだけ演習や実習を取り入れるよう配慮した。
A 1回目の授業開始時や,授業内容の区切りの時など,学生一人ひとりに「疑問・感想カード」を渡し,当該授業で学びたいこと,授業を受けてきて疑問に残ったこと,その他授業で学べてよかったことや感想について記述を求め,その内容についてその後の授業で返答が必要な内容についてコメントすることとした。学生が学習したいと考えていることや疑問に残ったことに応えることで,学生の学習に対する動機も高まると考えた。
B 成績評価については,出席状況も含め,評価の基準や配点をできるだけ明確にし,それを学生に伝えるよう心がけた。
【観点2】教育の達成状況
特別支援教育において重要な領域である自立活動やその実施に必要な個別の指導計画作成プロセスについて講義・演習・実習を通して具体的に学んだことにより,修了した現職教員は勤務校でそれらを推進する中核的役割を担い,学卒者も就職後勤務校の同僚とあまり戸惑わずに職務を遂行できているのではないかと考える。(研究室修了生からそのようなコメントをもらっている。)
研究指導
【観点2】大学院
昨年度に引き続き,私自身が運営にかかわっている障害青年の余暇・学習支援活動(ナディアの会の活動)や全国及び上越地域の特別支援教育・療育に関連する研究会(自立活動研究ネットワーク/上越自立活動研究会/上越地域療育連携研究会−新規設立−)等への参加を促すとともに,近隣学校の教員との話し合いの場を設けるなどして,直接障害児者本人や特別支援教育に携わる現場の教員,医療にかかわる専門家と情報収集・情報交換できるよう工夫した。
さらに,学生の研究希望により,特別支援学校の授業実践の中で臨床研究ができるよう配慮するなど,実践的な研究や特別支援教育の場における諸課題を解決する力を身に付けるための研究が推進できるよう工夫した。
その他の教育活動
・ 秋田大学教育文化学部 非常勤講師
・ 富山大学人間発達科学部 非常勤講師
・ 上越保健医療福祉専門学校非常勤講師(障害者の理解T担当)(上越保健医療福祉専門学校)
・ 上越教育大学 保育実習T・U事前・事後指導(施設見学等含む)担当(8.0回)
・ 上越教育大学 課外活動団体「紙ひこうき」及び「すぺしゃるさんくす」(いずれもボランティア団体)顧問
特色ある点及び今後の検討課題等
授業,学生の研究指導いずれも先行研究や机上の資料だけで進めるのではなく,全国・新潟(上越)地域で先進的に特別支援教育に取り組んでいる学校・研究者と交流の機会をもち,特別支援教育の実践に関する具体的な情報交換・情報共有ができるよう心がけた。併せて,障害児・者本人や医療・福祉をはじめとする教育以外の専門家とも情報交換・情報共有できるようにした。今後も特別支援教育従事者に限らず,障害児者にかかわる専門家とも連携しながら授業や研究指導を進めていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年1月:『ICFを参照した重度・重複障害児の自己決定の機会とその規定要因の検討』(共著) 特殊教育学研究,49(5),469-479
(2)平成24年3月:『肢体不自由児の療育を考える「上越地域療育連携研究会」について』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,18,49
(3)平成24年3月:『上越市,妙高市,糸魚川市に在籍する健康に特別な支援を必要とする子どもたちを対象とした発達支援教室の開催』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,18,47-48
発】(1)平成23年9月:『肢体不自由・病弱者の主体的な地域生活をめざした支援と学校教育』(共) 日本特殊教育学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)特別支援教育における教育課程の在り方を考える 代表者:安藤隆男(筑波大学) 自立活動研究ネットワーク
(2)学習や生活上の困難に対応する指導・支援 代表者:大野俊哉(新潟県立高田特別支援学校) 上越自立活動研究会
(3)肢体不自由の子どもたちの座位確立に向けた支援 代表者:山本典子(上越地域医療センター病院) 上越地域療育連携研究会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会第49回大会出席, (2)平成23年12月9日〜平成23年12月10日:2011年 日本リハビリテイション心理学会出席
◎特色・強調点等
特別支援教育の課題解決に向け,全国及び上越地域で特別支援教育に携わる教員と情報共有の機会を設けると共に,教員だけでなく,医療・療育にかかわる専門家(理学療法士,補装具作成事業者,早期療育担当者)等とも連携を図り,障害のある子への多面的総合的な支援の実現に向けた研究を協同で推進するよう心がけた。
肢体不自由のある本人活動の会を現場教員とともに設立・運営し,特別支援学校卒業後の青年たちの参加状況から,特別支援学校におけるキャリア教育の在り方について研究を進めている。平成23年度,学内プロジェクト研究に「障害児・者の余暇・生涯学習本人活動に基づく卒業後の自立と社会参加を見すえた教育内容・方法の検討」というテーマで採択された。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成23年度大学公開講座「特別な支援を必要とする子の指導・支援計画」(上越教育大学)
(2)第12回自立活動研究フォーラム(自立活動研究ネットワーク(代表:安藤隆男))
(3)上越自立活動研究会研修会(上越自立活動研究会)
(4)新潟県立上越特別支援学校非常勤講師(自立活動担当)(新潟県)
(5)新潟県教職12年経験者研修講師(新潟県立教育センター)
(6)柏崎市早期療育事業「たんぽぽプレー教室」指導・助言者(柏崎市教育委員会)
(7)長岡市教育センター研修講座(特別支援教育)講師(長岡市立教育センター)
(8)新潟県立新潟盲学校評議員(新潟県立新潟盲学校)
(9)肢体不自由青年余暇・学習の会(ナディアの会)運営委員(ナディアの会)
(10)新潟県立はまぐみ特別支援学校校内研修講師(新潟県立はまぐみ特別支援学校)
(11)新潟県立柏崎特別支援学校校内研修講師(新潟県立柏崎特別支援学校)
(12)上越地区特別支援教育研究大会上越市北部大会アドバイザー(新潟県特別支援教育研究会・上越特別支援教育研究会)
(13)上越教育大学インクルーシブ教育フォーラム パネリスト(上越教育大学)
(14)NPO法人スキップ副理事長(NPO法人スキップ)
(15)新潟工科大学教員免許状更新講習(新潟工科大学)
◎社会への寄与等
昨年度に引き続き,特別支援教育に携わる教員に対しては,公開講座や校内研修会等とおして,教育課程編成上の特例,自立活動の理念,ティームによる指導・支援,個別の指導計画・支援計画の作成・活用・評価の方法,肢体不自由児の具体的な指導法等の課題解決に向けて助言した。また,研修会の企画・運営等自立活動研究ネットワークや上越自立活動研究会の活動をとおして,広く地域や全国の特別支援教育担当教員の力量向上の一端を担えたものと考えている。
 

 
葉 石 光 一(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業においては,より具体的な内容理解を促すことを心がけ,エピソードを豊富に語ることを意識した。授業評価において,内容の難度が高すぎるという評価に偏っていなかったのは,その成果の一つと考える。授業では,最近の研究成果を公平に取り扱うことを心がけた。これは,物事の結果をあまり単純に理解しようとしても無理であること,まだ分からない課題が多く残されていることを示すためであった。しかし,授業評価において,「まとまりのない授業だった」という記述が一件見られた。これは,授業の進め方の意図が十分伝わらなかったことによると思われる。今後の課題である。成績評価においては,授業で取り上げた内容をくり返し記述しただけではなく,自分なりにどのように理解したかを書かせるようにした。そういったことにより,内容理解の程度の違いを反映した成績評価ができたと考えている
【観点2】教育の達成状況
修了生は希望通り教職につくことができた。教育の達成状況をこのことから軽々に判断することはできないし,今後の活躍をよく見てから判断する必要があると思われる。ただし,修了段階において少なくとも子どもの状況をどのように理解するか,それに応じて何を行えば良いかということの判断を,根拠をもって,説明可能な状態で行うことができるようになっているとみられた。このことは,大学院での教育において目指してきた,現場での教育実践に必要な最低限の力を身につけられたということと考えている。
研究指導
【観点1】学部
学部生に対する研究指導を行っていないため,非該当。
【観点2】大学院
高度な臨床的実践力の修得には,実践的経験の蓄積とともに,それを整理する理論の獲得が重要である。そのため,臨床実習等のカンファレンスにおいては,子どもの様子について思いつきでエピソードを報告するのではなく,なぜそのエピソードが注目に値するのかという点を,その日の実習のねらいやさらにその背景にある理論との関係で述べることを強く意識させた。そういった中で,子どもの状態に単に振り回されるだけの実践でなく,理論的に一貫性をもった実践力を身につけさせることができたと考える。
その他の教育活動
長野県上田市にある長野大学社会福祉学部の授業「知的障害者の心理・生理・病理」および「肢体不自由者の心理・生理・病理」を担当した。前者は二人の教員で行う授業で,担当時数は全15回のうち5回であった。後者は単独で行う授業で,担当時数は全15回のうち15回であった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年4月:『Age-related trends of interference control in school-age children and young adults in the Stroop color-word test』(共著)Psychological Reports, 108(2), pp.577-584.
(2)平成23年7月:『Effects of age, intelligence and executive control function on saccadic reaction time in persons with intellectual disabilities』(共著) Journal of Developmental Disabilities, 32(6), 2644-2650
(3)平成24年3月:『知的障害者の衝動性眼球運動反応時間の年齢変化』(共著) 上越教育大学研究紀要,31,pp.181-188
(4)平成24年3月:『知的障害者における反応時間の変動性について』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,18,pp.23-27
(5)平成24年3月:『小集団を活用した特別な教育的ニーズのある子どもの学習支援』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,18,pp.29-34
発】(1)平成23年9月:『知的障害者のサッケード反応潜時と生活年齢の関連』(共) 日本特殊教育学会
(2)平成23年9月:『動物のストループ様課題を用いた知的障害児の干渉抑制』(共) 日本特殊教育学会
(3)平成23年9月:『動物のストループ様課題を用いた抑制機能の年齢変化』(共) 日本心理学会
(4)平成23年8月:『Process of saccade initiation in persons with intellectual disabilities.』(共) American Psychological Association
(5)平成23年8月:『Interference control in people with and without intellectual disabilities as measured using the real animal size test.』(共) American Psychological Association
学会活動への参加状況
(1)平成23年8月4日〜平成23年8月7日:American Psychological Association, 119th Annual Convention出席, (2)平成23年9月15日〜平成23年9月17日:日本心理学会第75回大会出席, (3)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会第49回大会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県中央児童相談所WISC-IV知能検査実務研修講師(新潟県中央児童相談所)
(2)上越市教育委員会 特別支援教育リーダー研修講師(上越市立教育センター)
(3)特別支援教育研修 心理検査研修会 基礎コース講師(上越市立教育センター)
◎社会への寄与等
近年,特別な支援を必要とする子どものアセスメントにおいて中心的に使用される心理検査の改訂が進んでいる。筆者が専門とする知能検査についても同様であり,ウェクスラー系知能検査のうち,子どもを対象とするWISC知能検査が改訂された。そういった流れを受け,教育委員会や児童相談所から,新しいWISC知能検査の内容についての研修会・講習会を依頼されることが多くなった。特別な支援を必要とする子どもへの教育は,子どものアセスメントから出発するものであり,そういった点では,これらの研修会・講習会の講師を務めたことは,新しい検査の理論的背景の理解,およびそれに基づいた教育的支援の構築に対して大きく寄与するものである。
 

藤 井 和 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
○ 授業形態,学習(研究)指導法等の教育方法に関する取り組み状況
特別支援学校の教育課程には独自の「自立活動」領域があり,学校におけるすべての教育活動は,自立活動を基盤として計画される。したがって,言語障害のある児童生徒に対する指導目標や指導内容を設定するときにも,自立活動の指導との関連を図りながら行われなければならない。言語障害教育では言語障害の改善が求められるため,言語症状の改善のみが授業で取り上げられやすい。したがって,言語障害があることによる学習上又は生活上の困難を明らかにするための追求や,その困難を改善・克服してもらうための指導計画作成にまで至らないことがある。自立活動の理念に基づいた言語障害教育を開発するという意識を持つことが求められると考える。これらのことを受け,授業では,言語障害の知識,指導技能の習得を目指すだけでなく,具体的な事例から自立活動との関連において対象児童生徒の言語障害があることによる問題をとらえさせ,指導目標や指導内容を検討するという取り組みを実施している。
○ 成績評価法に関する取り組み状況
総括的評価だけではなく,授業の過程においても学生の理解状況を把握するためにレポートを課し,その結果を踏まえて授業内容の再検討を行っている。
【観点2】教育の達成状況
上越地域を中心としながら修了生との研究活動を継続する中で,大学院での教育の達成状況を確認している。修了生の研究活動を支援することを通して,養成課程において求められる教育内容を検討することが必要であると考えている。
研究指導
【観点2】大学院
臨床実習では,障害のある児童生徒の実態把握,指導計画作成,評価をいかに協働して行い,実態把握及び指導内容の妥当性を確保するか,その方法の開発が高度な実践力として求められることを意識的に取り組んでもらっている。障害のある児童生徒の学習上又は生活上の困難及びそれに対する指導については,常に妥当性の検証が求められるからである。
その他の教育活動
・ 幼児が言語・コミュニケーション能力を高めていくうえで,特に周囲の大人のかかわり方が影響を及ぼすことが考えられる。附属幼稚園において,幼児の言語・コミュニケーション支援の在り方について,助言を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
学校現場では教師間の協働が求められるが,特別支援教育では,特に協働が求められると考える。教育課程の編成において求められる障害のある児童生徒の実態把握については,医療・福祉機関の専門家からの情報も必要になり,他職種との協働も欠かせない。したがって,特別支援教育を担当する教員の専門性として,関係者と協働して課題を解決していく力量はとても重要なものとして位置づけられる。このことを踏まえ,特に臨床実習においては,基礎的な知識や指導技能を身につけさせることはもちろんのこと,他の院生と協働して児童生徒の実態を捉え,指導目標や指導内容を抽出し,指導と評価を行うなかで,協働に関する力量を高めることを目指している。さらに,学校現場で生じる課題について,現職,学卒院生を含めた複数の院生による共同研究も実施している。共同研究を実施することを通して,学校現場の課題の理解,課題解決の在り方について深く追求することが可能になっている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成23年9月:『通級指導教室担当教師と通常の学級担任との連携の実態に関する研究』(共) 日本特殊教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会 第49回大会出席
◎特色・強調点等
言語障害教育研究会を月に1度継続して実施している。対象は,上越地域の言語通級担当教師であり,かつて本大学の研究生(新潟県派遣の内地留学生)であった教員を主としている。内地留学後に言語通級担当となった教員に現場で出会う指導困難事例を持ち寄ってもらい,参加者同士で情報交換することによって解決を図っていく場を提供することにより,内地留学後の言語通級担当教師としての専門性を高めていくことへの支援を行うことを目的とした研究会である。言語通級担当教師は,ごく一部の小学校にしか設置されておらず,また,校内で通級による指導を担当する教師が他にいない環境の中で職務を遂行し,自らの専門性を高めることが要求される。したがって,このような教師たちに対して大学が現職教員研修を実施することは,地域の教育課題への寄与の点において意義あることと考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)公開講座講師(上越教育大学)
(2)柏崎市早期療育事業講師(柏崎市)
(3)未就学児サポート事業講師(特定非営利活動法人上越地域学校教育支援センター)
(4)特別支援教育校内研修講師(上越市立里公小学校)
(5)上越市早期療育事業講師(上越市)
(6)摂食指導研修講師(新潟県立上越特別支援学校)
(7)自立活動研修講師(新潟県立上越特別支援学校)
◎社会への寄与等
言語障害のある子どもの教育を適切に行うためには,小学校段階からではなく幼児期からの継続的な支援が必要である。幼児期に適切な支援を行うためには,保育士や幼稚園教諭が必要な専門性を持たなければならない。現職研修を実施することが重要な意味を持ち,現場からの要請も多い。そのため,大学での研究成果を保育や教育現場に生かすために,障害のある幼児の保育や教育を担当している保育士や幼稚園教諭に対する研修会を実施してきている。研修会開催後は,受講者からの積極的な質問が多く出されていることや毎年継続的に研修依頼があることから,意味あるものとして受け止められていると自己評価している。
また,小学校の通常の学級においても言語障害のある児童が多く在籍している。学級の中で,言語障害のある児童に対して,学級担任が主体的に指導目標を設定し指導を行っていけるよう支援を行うことが求められている。小学校に対する研修では,担任,保護者,関係教職員が子どもの実態を共有し,それぞれが主体的に適切に指導していくことを意図した個別の指導計画作成手続きの在り方について,これまでの研究成果をもとに情報提供してきた。研修会に関与した先生方が積極的に取り組む様子から,意味あるものとして受け止められていると自己評価している。
 

 
村 中 智 彦(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
講義では,受講者の理解をより高めるために,パワーポイントで提示した資料の配布,授業内容に関わる国内外の文献資料の配布,紹介を適宜行った。また,講義の中でも,授業内容に関わる教育臨床場面のビデオ映像など視覚的情報を活用し,実際の教育現場で生じやすい事象をシミュレートした演習体験を取り入れた。 成績評価では,受講者に対して,出席状況や課題のレポート・まとめ,臨床実習におけるカンファレンスの参加状況など評価の観点を明示した。
【観点2】教育の達成状況
平成23年度に指導学生であった院生で修了したものは4名であった。4名全員が各都道府県教員採用試験を受験した。内3名が京都市立,兵庫県立,千葉県立特別支援学校にそれぞれ正規採用され,他1名は教職志望(千葉県)で非常勤講師を希望しながら平成24年度教員採用試験を再受験する予定である。修了した院生4名全員が平成24年度9月に筑波大学で開催される「第50回特殊教育学会」または高知リハビリテーション学院で開催される「第30回日本行動分析学会」で修士論文の成果の一部を発表予定であり,2名は学会誌等への論文投稿の準備中である。
研究指導
【観点2】大学院
多様な価値観や資質・能力を有する院生に対応した研究指導・方法に配慮した。研究室に所属する院生9名(M1:4名,M2:4名,免P・M2:1名)と研究生1名に対して定期的にゼミを開催した。併せて,学生のニーズに応じて個別的な指導を実施した。ゼミでは,今日的な教育課題に関わるテーマの設定や方法論に関わる演習,研究指導を行った。
その他の教育活動
・ 院生2名のはなます支援学校,院生2名の高田支援学校(ひすいの里分校)の教育実習挨拶,研究授業及び協議会に参加し,指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
講義では,特別支援教育に関わる成果,特に教育効果や今日的な課題等について,自身の研究成果を含めて,実証的なデータや根拠(evidence)を示すことを心掛けた。また,指導学生に対して,特別支援教育実践研究センターでの臨床実習を通じた実践的指導力の向上と,障害者教育・福祉に関わるフィールド観察の学習機会をより多く設けるようにした。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年2月:『これならみんな分かって動ける特別支援教育における授業づくりのコツ』(共著) 学苑社
論】(1)平成23年5月:『入所施設における他害行動を示す知的障害者の積極的行動支援による活動参加の促進』(共著) 発達障害研究,第33巻3号,297〜313頁
(2)平成23年7月:『小集団指導における広汎性発達障害児の音楽活動への参加促進と指導者の位置取り』(共著) 特殊教育学研究,第49巻2号,157〜170頁
(3)平成24年3月:『知的障害幼児の小集団指導における課題遂行機会と逸脱反応との関連』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,第18巻,9〜13頁
(4)平成24年3月:『知的障害者の積極的行動支援の効果に関わる文献的考察―波及効果や広がりを中心に―』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,第18巻,15〜21頁
業】(1)平成23年5月:『自閉症の子どもの支援ツールの活用と授業づくり―学校・家庭・地域生活への参加を高める支援ツール―』(単著) 明治図書「自閉症教育の実践研究」,21,54〜55頁
(2)平成23年8月:『連載/自閉症の子どもに効果的な支援ツールの実際―手がかりツールの活用と授業づくり―』(単著) 明治図書「自閉症教育の実践研究」,22,54〜55頁
(3)平成23年11月:『連載/自閉症の子どもの支援ツールの活用と授業づくり―交換記録ツールのねらいと活用―』(単著) 明治図書「自閉症教育の実践研究」,23,54〜55頁
(4)平成23年11月:『特集/チームティーチングを科学する―TTを効果的に機能させることで授業は大きく変わる』(単著) 学研「月刊実践障害児教育」,462,2〜5頁
(5)平成24年1月:『特別支援教育における児童生徒が主体的に分かって動けて参加できる授業づくり(4) : 小学部・中学部・高等部を超える授業づくりの根幹的配慮とその成果(自主シンポジウム74)』(共著) 特殊教育学研究, 48(5), 490-491
(6)平成24年2月:『連載/自閉症の子どもの支援ツールの活用と授業づくり―協同支援ツールのねらいと活用―』(単著) 明治図書「自閉症教育の実践研究」,24,54〜55頁
発】(1)平成23年9月:『知的障害幼児の小集団指導における課題遂行機会と逸脱反応との関連(1)』(共) 日本特殊教育学会第49回大会
(2)平成23年9月:『知的障害幼児の小集団指導における課題遂行機会と逸脱反応との関連(2)』(共) 日本特殊教育学会第49回大会
(3)平成23年9月:『一自閉症児の家庭場面における要求行動の形成:シミュレーション指導と個別指導を通じて』(共) 日本特殊教育学会第49回大会
(4)平成23年9月:『知的障害・自閉症児の合奏場面におけるリズムに合わせる反応の促進:テンポ操作と楽器改良を中心に』(共) 日本特殊教育学会第49回大会
(5)平成23年9月:『一知的障害成人の入所施設における自立的なアイロン作業の遂行:確認カードと自己記録シートの活用』(共) 日本特殊教育学会第49回大会
(6)平成23年9月:『アスペルガー症候群を示す児童の就学時における支援体制の整備:個別ファイルの活用を通じて』(共) 日本LD学会第20回大会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月:日本行動分析学会参加, (2)平成23年9月:日本LD学会参加・研究発表, (3)平成23年9月:日本特殊教育学会参加・研究発表
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成23年度:妙高市障害児通園事業ひばり園職員研修講師(妙高市教育委員会)
(2)平成23年度:糸魚川市乳幼児発達指導相談事業めだか園職員研修講師(糸魚川市教育委員会)
(3)平成23年度:柏崎市早期療育事業プレー教室講師(柏崎市教育委員会)
(4)村上特別支援学校いじみの分校校内研修会講師(村上特別支援学校)
(5)平成23年度:新潟県カウンセラー派遣事業・派遣カウンセラー(新潟県教育委員会)
(6)上越市立教育センターカウンセリング研修会講師(上越市立教育センター)
(7)平成23年度:富山大学人間発達科学部附属特別支援学校校内研修会講師(富山大学人間発達科学部附属特別支援学校)
(8)平成23年6月〜3月:新潟県立はまなす特別支援学校校内研修会講師(新潟県立はまなす特別支援学校)
(9)和歌山県はまゆう特別支援学校校内研修会講師(和歌山県はまゆう特別支援学校)
(10)平成23年6月〜3月石川県立七尾養護学校校内研修会講師(石川県立七尾養護学校)
(11)平成23年度:妙高市就学指導委員会委員(妙高市就学指導委員会)
(12)公開講座「応用行動分析で特別支援教育が変わる」(上越教育大学)
(13)村上地域特別支援教育夏季研修会講師(村上特別支援学校)
(14)平成23年度:妙高市自立支援協議会教育専門部会委員(妙高市自立支援協議会)
(15)上越市門前ニコニコ保育園園内研修会講師(上越市門前ニコニコ保育園)
(16)小出特別支援学校研修会講師(小出特別支援学校)
(17)魚沼市特別支援教育研修公開講座講師(魚沼市教育委員会)
(18)群馬県立榛名支援学校夏季公開講座講師(群馬県立榛名支援学校)
(19)十日町市川西地域教職員協議会研修会講師(十日町市川西地域教職員協議会)
(20)新潟県立上越特別支援学校研修会講師(新潟県立上越特別支援学校)
(21)かなやの里更生園職員研修会講師(かなやの里更生園)
(22)妙高市立新井中学校校内研修会講師(妙高市立新井中学校)
(23)石川県教育センター研修講座講師(石川県教育センター)
(24)柏崎市障害児保育研究会研修講師(柏崎市障害児保育研究会)
(25)島根県特別支援学校教育研究会講演(島根県特別支援学校教育研究会)
(26)国立特別支援教育総合研究所専門研修講師(国立特別支援教育総合研究所)
(27)LD等発達障害児者親の会「新潟いなほの会」相談会講師(LD等発達障害児者親の会「新潟いなほの会」)
(28)富山聴覚総合支援学校校内研修会講師(富山聴覚総合支援学校)
(29)広島県情緒障害教育研究会年次大会講演会講師(広島県情緒障害教育研究会)
(30)教員免許状更新講習講師(上越教育大学)
◎社会への寄与等
学校や療育現場からの研修会等の講師依頼については,本務に支障のない範囲で受けており,日頃の教育・研究活動に資するところは大きい。近年,これらの依頼については全国規模となっており,本学の教育・研究活動を関係機関にアピールする上でも重要な社会貢献と考えている。
実際,これらの社会貢献活動をきっかけに,本学大学院特別支援教育コースを希望する受験生(現職,学卒とも)が複数いた。
 

 
八 島   猛(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・ 事前に公表したシラバスに基づき講義を行った。
・ 毎回,講義終了後に意見,質問,感想を記述する時間を設け,提出を求めた。
学生が記述した内容を次の講義時間に紹介し,コメントを述べた。
この取組は,講義の復習,他の学生や教員の意見交換の機会となった。
・ 学習への動機付けを高め,疾患児の障害状況をより深く理解することを目的として,「障害理解のための教材開発」の機会を設けた。
・ 授業のオリエンテーションにおいて,学習目標や目的達成のための授業方法及び計画,成績評価基準を口頭および紙面にて伝えた。
【観点2】教育の達成状況
学生の終了後の進路として,教員となる者が大半である。
研究指導
【観点2】大学院
病弱臨床実習,病弱応用臨床実習の授業において,疾患のある子どもとのかかわりの機会を設定した。対象となる子どもに応じて,学生と教員が協議の上,その都度実習内容を設定し,実習終了後,その日の実習内容を振り返り,次回の実習に関する計画立案に向けたカンファレンスを行った。これらの実習を通して,評価・診断に関する専門的知識,技能の習得及び臨床研究に反映させるための方法論を習得する機会とした。
その他の教育活動
・ 仙台大学非常勤講師(講義名・病弱心理・生理・病理,期間・平成23年8月16日-平成23年8月19日)
特色ある点及び今後の検討課題等
・ 講義において,専攻分野である健康障害児の疾患のメカニズムや心理的側面をわかりやすく説明するための教材開発を学生と共に行った。
・ 臨床実習において,健康障害児を対象とする発達支援教室を開催した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:「小集団を活用した特別な教育的ニーズのある子どもの学習支援」(共)上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要 2012;18:29-34.
(2)平成24年3月:「知的障害者における反応時間の変動性について」(共)上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要 2012;18:23-27.
(3)平成24年3月:「上越市,妙高市,糸魚川市の小学校に在籍する健康に特別な支援を必要とする子ども達を対象とした発達支援教室の開催」(共)上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要 2012;18:47-48.
発】(1)平成23年9月:進行性疾患のある子どものキャリア教育(ポスター発表,日本特殊教育学会第49回大会ポスター発表).2011.
(2)平成23年9月:てんかん児・者の教育および生活支援(自主シンポジウム,日本特殊教育学会第49回大会シンポジウム).2011.
(3)平成23年9月:肢体不自由・病弱者の主体的な地域生活を目指した支援と学校教育(自主シンポジウム,日本特殊教育学会第49回大会シンポジウム).2011.
(4)平成23年9月:特別支援教育専攻学生を対象とした障害理解のための教材開発.日本特殊教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:日本特殊教育学会第49回大会
◎特色・強調点等
健康に特別な支援を必要とする子どもたちのための発達支援教室を開催した。この教室では通常学校に在籍する健康障害児(慢性疾患児)を対象に友人関係の形成と学習支援活動を実施している。現在3名の児童が登録しており,毎月1回土曜日の13時から16時まで活動が行われている。この活動は,病弱臨床実習,病弱応用臨床実習の一貫として位置づけられており,大学院生の指導の場ともなっている。通常の学校に在籍する疾患児を対象とした発達支援教室は全国的にもまれであり,地域における教育課題かつ大学院生の教育へ大きく寄与するものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:教員免許状更新講習「特別支援教育の基本的理解(心理・生理・病理)」
(2)妙高市早期療育施設ひばり園非常勤講師(内容・研修及び事業運営に関する助言・指導,期間・平成23年4月−平成24年3月)
 

 
小 林 優 子(助 教)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
・ 特別支援教育に関する基礎知識をもった学生もいる一方で,全く基礎知識のない状態で入学する学生が増えている現状から,基礎的な知識の確認を行うことと,実際に臨床実習や教育実習で活用しうる情報(発達検査の実施法など)の呈示を心がけている。
・ 主な受講者が大学院生であるため,修論執筆を想定し,レポートにより自身の考えを文章化して記述する作業に慣れてもらえる評価方法を実施している。
【観点2】教育の達成状況
当コースの修了生は教育や福祉などの関連領域に就職する学生が多く,臨床実習など様々な授業で培った経験を生かし現場の即戦力となっており,大学院で学んだことが生かされていると思われる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年2月:『超早産児における知的発達の推移について』(単著) 上越教育大学研究紀要 第31巻 pp.163-168
(2)平成24年3月:『聴覚障害者の音源定位における頭部運動と視覚情報の活用について−片側補聴者を対象として−』(共著) 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要 第18巻 pp.41-44
(3)平成24年3月:『難聴者の環境音認知に関する研究の展望』(共著) 障害科学研究 第36巻 pp.187-196
発】(1)平成23年9月:『Stickler症候群児の発達の推移について−幼児期から学齢期まで−』(単) 第49回日本特殊教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年9月23日〜平成23年9月25日:第49回日本特殊教育学会発表出席, (2)平成23年10月12日〜平成23年10月14日:第45回全日本聾教育研究大会出席
◎特色・強調点等
臨床現場で行ってきた発達障害児の事例研究と,聴覚障害者を対象とした実験的研究を行った。前者は著者が長年在籍した医療機関での成果であり,発達障害と関連が深い対象事例について幼児期や学齢期における発達の推移など,学校教育現場では知り得ないデータを発表することができた。また,後者については国内では数少ない聴覚障害者を対象とした実験的研究であるが,対象者の聴力閾値や装用している補聴器の型などを考慮した事例的研究の意義も含まれており,現場での指導に結びつけられる研究成果となっている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)糸魚川市「気になる子の療育研修会」講師(糸魚川市役所)
(2)糸魚川市「5歳児発達相談会」事業検討講師(糸魚川市役所)
(3)教員免許状更新講習「教育の最新事情関係」講師(上越教育大学)
(4)上越地域難聴幼児支援事業委員(上越教育大学)
(5)川口市立医療センター心理相談業務(埼玉県川口市)
◎社会への寄与等
・ 糸魚川市の保育者対象の研修会及び市が運営する発達相談事業に関する業務に積極的に関わり,保育士が抱える困難の解消に寄与できた。
・ 教員免許状更新講習講師として特別支援教育の基礎について講義を行い,受講者の幅広いニーズに対しある程度応えられたと思われた。
・ 上越地域難聴幼児支援事業では,必要に応じて特別支援教育実践研究センターの教育相談につなげることで,保護者支援に貢献することができた。